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特開2024-107904ベース部材及びそれを備えた支柱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107904
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ベース部材及びそれを備えた支柱装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E04F11/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012083
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113779
【氏名又は名称】マツ六株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】松戸 宣仁
(72)【発明者】
【氏名】森 勇信
(72)【発明者】
【氏名】木林 稜登
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 誠司
【テーマコード(参考)】
2E301
【Fターム(参考)】
2E301FF01
2E301FF05
2E301HH16
2E301HH18
2E301LL02
2E301LL04
2E301LL11
2E301PP00
(57)【要約】
【課題】傾いた床面に支柱を設置する際に床面の傾きに容易に追従し得るとともに、横方向の耐衝撃性にも優れたベース部材及びそれを備えた支柱装置を提供する。
【解決手段】床面Fと接する台板10と、台板10上に設けられ、支柱Sの下端部Sbが嵌まる凹陥部20と、凹陥部20の中心に立設され、支柱Sの下端部Sb内に挿入されるアンカー部30と、を備え。凹陥部20は、その内周面21が上方に向かって広がるテーパ面とされ、アンカー部30は、その外周面31が上端に向かって窄まる截頭円錐形とされるとともに、アンカー部30の上端部であって凹陥部20の上端開口面23より上方の位置に、支柱Sの下端部Sbに貫通される連結固定用ボルトBの挿通孔32が、ボルトBが上下左右に揺動可能な大きさに形成されたベース部材。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下端部が筒状とされた支柱を受けるベース部材であって、
床面と接する台板と、
この台板上に設けられ、前記支柱の下端部が嵌まる凹陥部と、
この凹陥部の中心に立設され、前記支柱の下端部内に挿入されるアンカー部と、を備え、
前記凹陥部は、その内周面が上方に向かって広がるテーパ面とされ、
前記アンカー部は、その外周面が上端に向かって窄まる截頭円錐形とされるとともに、前記アンカー部の上端部であって前記凹陥部の上端開口面より上方の位置に、前記支柱の下端部に貫通される連結固定用ボルトの挿通孔が、該ボルトが上下左右に揺動可能な大きさに形成されたことを特徴とするベース部材。
【請求項2】
請求項1に記載のベース部材であって、
前記挿通孔は、その内周上面に、前記連結固定用ボルトの軸部を受け入れ可能なボルト受容部が設けられたことを特徴とするベース部材。
【請求項3】
請求項2に記載のベース部材であって、
前記台板の上面又は前記凹陥部の外周面或いは前記台板の上面から前記凹陥部の外周面に亘る位置に、前記挿通孔の軸心の向きを示す軸心標示が設けられたことを特徴とするベース部材。
【請求項4】
少なくとも下端部が筒状とされた支柱と、請求項1から3のいずれか一つに記載のベース部材とを備えたことを特徴とする支柱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材及びそれを備えた支柱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床と天井との間に設置される突張型の支柱が公知である。これは、伸縮可能な支柱と、この支柱の上端に設けられ天井と接する天井受部材と、支柱の下端に設けられ床面と接するベース部材とを備えたものである(例えば、特許文献1参照)。また、そのような支柱と同様の構成であって、例えば家具等の耐震性を高めるために天井と家具との間に設置される突張装置が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
上記支柱等を設置するにあたって、床面や家具の天面が、天井と平行でない場合、支柱の上端の天井受部材又は支柱の下端のベース部材が共に支柱に対して固定されていることから、天井受部材やベース部材がそれぞれ天井や床面に添わなくなるため、うまく設置することができない。
【0004】
このような従来の支柱等における不都合な点を解消するものとして、例えば、特許文献3に開示された機構を採用することが考えられる。この機構は、ベース部材に凹部を設け、この凹部内に支柱の下端部を挿脱可能且つ揺動可能に遊嵌したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6222871号公報
【特許文献2】登録実用新案第3016905号公報
【特許文献3】特開平8-308664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献3に開示された機構は、あくまでも支柱に地震等により横方向の外力が加わった場合に、それに伴う揺れを吸収して支柱の倒壊を防止することを主眼とするものであり、傾斜した床面には対応していない。また、支柱の下端部をベース部材の凹部に挿脱可能に遊嵌したものであるため、支柱を持ち上げると支柱がベース部材から容易に離脱してしまう。このため、支柱の設置位置を変更しようとする際に支柱とベース部材とがバラバラになり易く、変更作業がし辛いものである。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、床面の傾斜に容易に対応することができ、支柱との連結状態を常に維持し得るベース部材及びそれを備えた支柱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願開示のベース部材は、少なくとも下端部が筒状とされた支柱を受けるベース部材であって、床面と接する台板と、この台板上に設けられ、前記支柱の下端部が嵌まる凹陥部と、この凹陥部の中心に立設され、前記支柱の下端部内に挿入されるアンカー部と、を備え、前記凹陥部は、その内周面が上方に向かって広がるテーパ面とされ、前記アンカー部は、その外周面が上端に向かって窄まる截頭円錐形とされるとともに、前記アンカー部の上端部であって前記凹陥部の上端開口面より上方の位置に、前記支柱の下端部に貫通される連結固定用ボルトの挿通孔が、該ボルトが上下左右に揺動可能な大きさに形成されたことを特徴とするものである。
【0009】
上記ベース部材にあっては、前記挿通孔は、その内周上面に、前記連結固定用ボルトの軸部を受け入れ可能なボルト受容部が設けられていてもよい。
【0010】
また、前記台板の上面又は前記凹陥部の外周面或いは前記台板の上面から前記凹陥部の外周面に亘る位置に、前記挿通孔の軸心の向きを示す軸心標示が設けられていてもよい。
【0011】
本願開示の支柱装置は、少なくとも下端部が筒状とされた支柱と、上記のいずれかのベース部材とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、床面の傾斜に容易に対応することができ、支柱との連結状態を常に維持し得るベース部材及びそれを備えた支柱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願開示のベース部材の一実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すベース部材の正面図である。
図3図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
図4図1に示すベース部材と支柱との関係を示す側面から視た断面図である。
図5図1に示すベース部材と支柱との関係を示す正面から視た断面図である。
図6図1に示すベース部材の挿通孔におけるボルト受容部を説明するための部分拡大正面図である。
図7図1に示すベース部材の使用態様を示す側面から視た断面図である。
図8図1に示すベース部材に支柱を連結する直前の状態を示す分解斜視図である。
図9】本願開示の支柱装置の一実施形態を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は、本発明を具現化した実施形態の例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、以下の説明及び図面において共通する構成要素には同一符号を付している。
【0015】
<ベース部材の実施形態>
本願開示のベース部材1は、少なくとも下端部Sbが筒状とされた支柱S(図4、5、7参照)を受けるものであり、設置される床面F(図7参照)が傾斜していてもこれに追従できるものである。
【0016】
このベース部材1は、床面Fと接する台板10と、この台板10上に設けられ、支柱Sの下端部Sbが嵌まる凹陥部20と、この凹陥部20の中心に立設され、支柱Sの下端部Sb内に挿入されるアンカー部30と、を備えている。以下、各部について詳述する。
【0017】
台板10は、底面11aが平滑面とされた円盤状の基盤部11と、この基盤部11の中央に隆起するように膨出形成された受座部12とを備えている。受座部12の頂面12aは底面11aと平行な平滑面とされている。基盤部11の上面は、その外周縁と受座部12の裾野との間の領域が、複数ヶ所に亘って肉盗み部13とされている。これら各肉盗み部13同士の間は、上面が受座部12の外周面に滑らかに連なる凹曲面とされたリブ14となっている。
【0018】
凹陥部20は、受座部12の中央に設けられており、水平断面形状が円形とされている。この凹陥部20の内周面21は、図3に示すように、底部22から上端開口面23に向かって広がるテーパ面とされている。この内周面21のテーパ角度は、支柱Sの最大許容傾斜角度に応じて決まる。なお、支柱Sの最大許容傾斜角度は任意である。また、凹陥部20の深さも任意である。
【0019】
アンカー部30は、その外周面31が上端に向かって窄まる截頭円錐形とされている。すなわち、アンカー部30の外周面31もテーパ面とされている。外周面31のテーパ角度は、凹陥部20の内周面21のそれと同様、支柱Sの最大許容傾斜角度に応じて決まる。
【0020】
このようになるアンカー部30の上端部には、凹陥部20の上端開口面23より上方の位置に、支柱Sの下端部Sbに貫通される連結固定用ボルトBの挿通孔32が形成されている。この挿通孔32は、連結固定用ボルトBの軸部Baの外径よりも十分に大きく、連結固定用ボルトBが、図5に示すように、上下左右に揺動可能な大きさとされている。なお、図5において、連結固定用ボルトBは、支柱Sが図面上左側に傾斜しているので、挿通孔32の左側に偏位しており、これを実線で示し、それ以外の箇所に位置する場合を破線で示している。このように、支柱Sの傾斜に伴う連結固定用ボルトBの揺動が許容されることになる結果、支柱Sが、連結固定用ボルトBの揺動範囲内において凹陥部20内で傾動可能となる。換言すれば、ベース部材1が、連結固定用ボルトBの揺動範囲内において傾動可能となる。これにより、図7に示すように、床面Fが傾斜している場合でも、ベース部材1はその傾きに容易に追従し得る。なお、図中の符号Nは、連結固定用ボルトBの軸部Baに螺着されたナットを示す。
【0021】
ところで、上記の挿通孔32は、水平方向に長軸を有し、上下の内周面が相互に平行な形状のものであってもよいが、その場合、連結固定用ボルトBが前記長軸の端部に偏位したり、挿通孔32の軸心に対して連結固定用ボルトBの軸心Baが斜めとなるような姿勢になったりすると、連結固定用ボルトBの軸心が、円形である台板10の法線方向と一致しなくなるため、挿通孔32内における連結固定用ボルトBの上下方向の揺動範囲が、連結固定用ボルトBが前記長軸の中央に位置する場合と比べて狭くなる。その結果、ベース部材1の床面Fの傾斜(図7おいてθで示す)に対する追従性が低下する。
【0022】
そこで、本実施形態では、図6に示すように、挿通孔32の内周上面に、連結固定用ボルトBの軸部Baを受け入れ可能なボルト受容部33が設けられている。これによって、支柱Sを上方へ引っ張って台板10を床面Fから完全に離すと、ベース部材1の自重により連結固定用ボルトBの軸部Baがボルト受容部33に導かれるため、連結固定用ボルトBが前記長軸の中央に自然と位置することとなり、連結固定用ボルトBの軸心が、円形である台板10の法線方向と一致することになる。その結果、挿通孔32内における連結固定用ボルトBの上下方向の揺動範囲が最大Hとなる。なお、図中の符号hは、連結固定用ボルトBが挿通孔32の長軸の端部に偏位した場合の上下方向の揺動範囲を示す。また、連結固定用ボルトBが円滑にボルト受容部33に導かれるよう、ボルト受容部33は、縦断面形状がドーム状に形成されるのが好ましいが、形状はこれに限定されない。
【0023】
ここで、連結固定用ボルトBの挿通孔32に対する姿勢は、アンカー部30が支柱Sの下端部Sbに覆われるため、目視することができない。その結果、連結固定用ボルトBの軸心と挿通孔32の軸心とを揃えて、連結固定用ボルトBの軸部Baをボルト受容部33の全域に収めることにより、連結固定用ボルトBの軸心を台板10の法線方向と一致させようとした場合に、それができているか否かが確認できないといったことが懸念される。
【0024】
そこで、そのような懸念を払拭するために、本実施形態では、図1及び図6に示すように、凹陥部20の外周面、つまり受座部12の外周面に、挿通孔32の軸心の向きを示す軸心標示15が設けられている。なお、この軸心標示15は、台板10の上面から受座部12の外周面に亘る位置に設けられていてもよく、或いは台板10の上面のみに設けられていてもよい。また、軸心表示15は、図示例では幅広の浅い凹部としているが、これに限らず、挿通孔32の軸心の向きを示すことができるのであれば、その形態は任意である。
【0025】
図8は、以上説明したベース部材1に支柱Sを連結する直前の状態を示す分解斜視図である。なお、図中の符号Cは、ベース部材1全体と支柱Sの下端部Sb、並びに、連結後の連結固定用ボルトB及びナットNを覆うカバー部材を示す。このカバー部材Cを用いる場合は、連結に先立ってカバー部材Cの支柱挿通孔Caに支柱Sを挿通しておき、カバー部材Cを支柱Sの下端部Sbから上方に引き上げた状態で下端部Sbをベース部材1に連結固定する。その後、カバー部材Cを引き下げて、ベース部材1の台板10にカバー部材Cを冠着する。カバー部材Cは、少なくとも裾部分が弾性変形可能な合成樹脂或いはゴムなどの材料から構成されるのが好ましい。なお、図中の符号Shはボルト挿通孔を示す。
【0026】
<支柱装置の実施形態>
図9は、本願開示の支柱装置の一実施形態を示す正面図である。この支柱装置40は、床面Fと天井Rとの間に突っ張った状態で立設されるもので、上記のベース部材1と支柱41と天井当接部42とを備えている。
【0027】
支柱41は、下側筒部41Lとこの下側筒部41Lの内径より小さい外径の上側筒部41Uとから構成されており、下側筒部41Lの上端部に上側筒部41Uが挿入可能となっている。このようになる支柱41としては、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金製のパイプを半硬質樹脂などで被覆したものや、ステンレス鋼などの金属或いはエンジニアリングプラスチックなどの高強度合成樹脂を素材としたものを採用することができる。
【0028】
また、支柱41の下側筒部41Lの上端部には、支柱41を伸縮させてその全長寸法を調整するための伸縮操作機構43が設けられている。伸縮操作機構43は、下側筒部41Lの上端部に上側筒部41Uの下端部を挿入した状態で両者41L,41Uを固定する固定状態と、下側筒部41Lに対する上側筒部41Uの挿入深さを変更可能とする可動状態とに切り替えるものである。なお、その詳細な構成は、例えば特開2014-51858号公報に開示されているものを採用することができるので、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0029】
本実施形態における伸縮操作機構43では、レバー43Lを下側筒部41Lに寄り添わせる姿勢に倒す操作をすると、上記の固定状態にすることができる一方、レバー43Lを下側筒部41Lの側面から水平姿勢に引き起こす操作をすると、上記の可動状態にすることができる。図9は、固定状態を示している。
【0030】
天井当接部42は、支柱41の上側筒部41Uの上端に取り付けられて天井Rに当接されるものである。この天井当接部42の上面は、小判形状、即ち平行な両側縁と半円形の両端部とから構成されており、外側面は下側に向かって窄まるようなテーパ面で構成されている。このようになる天井当接部42の下面には支柱41の上端筒部41Uが嵌入される嵌入孔42Hが該下面の中央と両端寄りの3箇所に儲けられている。なお、天井当接部42は上端筒部41Uに対して回動可能とされていてもよい。
【0031】
このようになる支柱装置40を床面Fと天井Rとの間に立設するには、まず、カバー部材Cに支柱41の下側筒部41Lを挿通しておいてから、ベース部材1と下側筒部41Lとを連結固定用ボルト及びナット(図8参照)により連結する。次に、伸縮操作機構43のレバー43Lを引き起こして下側筒部41L内にその上方から上側筒部41Uを挿入し、挿入し終えたらレバー43Lを引き下げて支柱41を一時的に固定状態とする。この状態で支柱41を上方へ引っ張ってベース部材1の台板10を床面Fから完全に離すと、ベース部材1の自重により連結固定用ボルトBの軸部Baがボルト受容部33に導かれるため(図6参照)、連結固定用ボルトBが前記長軸の中央に自然と位置することとなり、連結固定用ボルトBの軸心が、円形である台板10の法線方向と一致することになる。その結果、挿通孔32内における連結固定用ボルトBの上下方向の揺動範囲が最大Hとなる。この状態で、連結固定用ボルトBの軸部Baを床面Fの傾斜方向に沿わせるようにしてベース部材1を床面Fに設置させる。その際、軸心標示15を上記したように利用すると床面Fへのベース部材1の設置が簡単に行える。その後、レバー43Lを引き起こして支柱41を可動状態にしてから上側筒部41Uを引き上げ、天井当接部42を天井Rにやや強めに当接させて床面Fと天井Rとの間で支柱41を突っ張らせる。そして最後に、レバー43Lを引き下げて支柱41を固定状態にするとともに、ベース部材1にカバー部材Cを冠着して立設作業を完了する。なお、上記の支柱装置40は一例にすぎず、これに限るものではない、
【0032】
上記の支柱装置にあっては、支柱に横方向から衝撃や荷重が加わっても、本発明に係るベース部材の特徴的な構造により、その影響をほとんど受けない。その要因は、連結固定用ボルトが挿通孔内で上下左右に揺動可能とされているため、支柱に横方向より衝撃等が加わった場合、それを受けて連結固定用ボルトボルトがベース部材の挿通孔内で揺動し、これによって衝撃等が吸収されることにある。また、従来の支柱装置とは異なり、支柱に横方向から衝撃等が加わることで仮にベース部材が変位しても、ベース部材と床面との面接触状態が保たれることから、支柱の姿勢維持に必要な摩擦力が得られるため、床面に対する滑りが発生しない。したがって、本発明に係る支柱装置は、ベース部材が床面の傾斜に追従可能であるとともに、衝撃等が加わることで仮に支柱が鉛直よりも傾いた場合であっても対応可能なものである。この点に関して、連結固定用ボルトにより支柱と完全に固定される従来のベース部材を用いた支柱装置では、支柱が受けた衝撃等がベース部材にそのまま伝わり、支柱が床面と天井間から外れてしまう。その要因は、従来の支柱装置はベース部材が支柱に対して揺動不可能であるため、衝撃等によりベース部材が変位すると、床面との接触面積が減少して摩擦力が低下することにあると考えられる。
【0033】
以上説明したベース部材1は、図9に示すような支柱装置40や、特許文献1に記載の突張支柱、或いは特許文献2に記載の突張装置に限らず、例えば、屋外や屋内に設置される手摺の支柱の下端部にも装着可能である。そのような支柱において、床面Fに設置する場合、ベース部材1を床面Fから持ち上げてフリーの状態としてから、軸心表示15が床面Fの傾斜方向に向くよう支柱Sをその軸心周りに回動させる。このとき、軸心表示15は、床面Fの傾斜の上り側又は下り側のいずれかの向きに合わせればよい。そして軸心表示15が床面Fの傾斜方向に向いたならば、ベース部材1を床面Fに設置させる。この状態で、連結固定用ボルトBの軸部Baは挿通孔32のボルト受容部33に収まるので、上記したようにベース部材1は最大の揺動範囲を得る。したがって、床面Fの傾斜角θがベース部材1の最大の揺動範囲内である限り、問題無くベース部材1を床面Fに設置することができ、支柱Sを垂直に支持することができる。
【0034】
なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲の記載によって示すものであって、明細書本文及び図面の記載にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0035】
1 ベース部材
10 台板
11 基盤部
11a 底面
12 受座部
12a 頂面
13 肉盗み部
14 リブ
15 軸心標示
20 凹陥部
21 内周面
22 底部
23 上端開口面
30 アンカー部
31 外周面
32 挿通孔
33 ボルト受容部
S 支柱
Sb 支柱の下端部
B 連結固定用ボルト
Ba 軸部
F 床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9