(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107910
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】情報処理装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3206 20190101AFI20240802BHJP
【FI】
G06F1/3206
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012096
(22)【出願日】2023-01-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】牧 耕太郎
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA02
5B011DB12
5B011EA04
5B011KK01
5B011LL11
(57)【要約】
【課題】外部電源から電力が供給される場合、休止期間における消費電力を低減する。
【解決手段】電源回路は、電源から供給される電力を動作電力に変換し、動作電力をコンピュータシステムに供給し、コンピュータシステムは、稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、第1低消費電力状態は、通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、第2低消費電力状態は、第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、通常稼働状態と第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて稼働状態を制御し、稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、第2稼働時間は、第1稼働時間を含み、かつ、第1稼働時間よりも長く、コンピュータシステムは、電源がバッテリであるとき第1稼働時間に基づいて稼働状態を制御し、電源が外部電源であるとき第2稼働時間に基づいて稼働状態を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムと、
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力を前記コンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
前記コンピュータシステムは、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記コンピュータシステムは、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する
情報処理装置。
【請求項2】
前記コンピュータシステムは、
前記電源がバッテリであり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第1継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記電源が外部電源であり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第2継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記第2継続時間は、前記第1継続時間よりも長く、
前記稼働状態が前記通常稼働状態であるとき、前記第1継続時間と前記第2継続時間を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、
前記稼働時間の範囲外の時刻において、
前記電源がバッテリであり、現時刻が前記第1稼働時間の起点である第1稼働開始時刻となるとき、または、前記電源が外部電源であり、現時刻が前記第2稼働時間の起点である第2稼働開始時刻となるとき、前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更し、
前記第2稼働開始時刻は、前記第1稼働開始時刻よりも早く、
前記稼働状態が前記第2低消費電力状態になる前に、前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻を設定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記コンピュータシステムは、
現時刻が前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻の間であり、
前記電源がバッテリから外部電源に変更されるとき、
前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
2個の筐体と、前記2個の筐体を回動可能に係合する係合具と、前記2個の筐体の開閉状態を検出するセンサと、をさらに備え、
前記コンピュータシステムが前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更するとき、
前記2個の筐体が開いている場合、
前記稼働状態を前記通常稼働状態に変更する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コンピュータシステムは、
所定の時間間隔で自システムの使用状況を収集し、前記使用状況に基づいて時刻ごとの使用頻度を集計し、
自システムを継続して未使用とする第1前置マージン期間と第1後続マージン期間に挟まれ、使用頻度が所定の使用頻度よりも高い期間を含む一連の期間を前記第1稼働時間として定める
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1低消費電力状態は、モダンスタンバイモードであって、
前記第2低消費電力状態は、ハイバネーションモードである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力をコンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記情報処理装置が、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化などの環境問題、人権、差別などの社会問題など、さまざまな課題が生じている。企業が長期的に成長するためには、ESG(Environment、Social、Governance)の観点が重要といわれている。PC(Personal Computer)などの情報処理装置においても、環境に配慮した電力制御(power management)が期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、所定の継続時間を越えて操作等のイベントが継続して検出されないとき、通常の稼働状態から、より消費電力が少ないスリープ状態に変更し、さらにイベントが検出されないとき、さらに消費電力が少ないハイバネーション状態に変化させる情報処理装置が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、所定のOS(Operation System)では、外部電源から電力が供給される場合、スリープ状態からハイバネーション状態への遷移が考慮されていなかった。また、通勤と在宅勤務との併用(ハイブリッド勤務(hybrid work style))を認める事業所が増加している。そのような勤務態様において、特に、情報処理装置の使用が想定されない時間帯、例えば、夜間などの勤務時間外に、外部電源と接続したまま放置されることがある。情報処理装置は、使用されないにも関わらずハイバネーション状態に変更されないので、無用に電力が消費されてしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は上記の課題を解決するためになされたものであり、本願の一態様に係る情報処理装置は、コンピュータシステムと、電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力を前記コンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、前記コンピュータシステムは、稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で、切り替え可能とし、前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で稼働状態を変更可能とする稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御する情報処理装置であって、前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、前記コンピュータシステムは、前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御し、前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御する。
【0007】
上記の情報処理装置において、前記コンピュータシステムは、前記電源がバッテリであり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第1継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、前記電源が外部電源であり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第2継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、前記第2継続時間は、前記第1継続時間よりも長く、前記稼働状態が前記通常稼働状態であるとき、前記第1継続時間と前記第2継続時間を設定してもよい。
【0008】
上記の情報処理装置において、前記コンピュータシステムは、前記稼働時間の範囲外の時刻において、前記電源がバッテリであり、現時刻が前記第1稼働時間の起点である第1稼働開始時刻となるとき、または、前記電源が外部電源であり、現時刻が前記第2稼働時間の起点である第2稼働開始時刻となるとき、前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更し、前記第1稼働開始時刻は、前記第2稼働開始時刻よりも早く、前記稼働状態が前記第2低消費電力状態になる前に、前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻を設定してもよい。
【0009】
上記の情報処理装置において、前記コンピュータシステムは、現時刻が前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻の間であり、前記電源がバッテリから外部電源に変更されるとき、前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更してもよい。
【0010】
上記の情報処理装置において、2個の筐体と、前記2個の筐体を回動可能に係合する係合具と、前記2個の筐体の開閉状態を検出するセンサと、をさらに備え、前記コンピュータシステムが前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更するとき、前記2個の筐体が開いている場合、前記稼働状態を前記通常稼働状態に変更してもよい。
【0011】
上記の情報処理装置において、前記コンピュータシステムは、所定の時間間隔で自システムの使用状況を収集し、前記使用状況に基づいて時刻ごとの使用頻度を集計し、自システムを継続して未使用とする第1前置マージン期間と第1後続マージン期間に挟まれ、使用頻度が所定の使用頻度よりも高い期間を含む一連の期間を前記第1稼働時間として定めてもよい。
【0012】
上記の情報処理装置において、前記第1低消費電力状態は、モダンスタンバイモードであって、前記第2低消費電力状態は、ハイバネーションモードであってもよい。
【0013】
本願の他の態様に係る制御方法は、電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力をコンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で、切り替え可能とし、前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で稼働状態を変更可能とする稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御する情報処理装置の制御方法であって、前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、前記情報処理装置が、前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御し、前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて、前記稼働状態を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本願の実施形態によれば、外部電源から電力が供給される場合であっても休止期間中における消費電力を低減することができる。また、低消費電力状態を適用することにより利便性が損なわれる可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す概略ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る使用状況情報の例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る使用状況情報の表示例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る稼働時間情報の表示例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る情報処理装置の一動作例を示す説明図である。
【
図7】本実施形態に係る情報処理装置の他の動作例を示す説明図である。
【
図8】本実施形態に係る稼働時間情報生成処理の例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係る情報処理装置の外観構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本願の実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例について、図面を参照して説明する。以下の説明では、情報処理装置1が主にノートブック型PC(本願では、「ノートPC」と呼ぶことがある)である場合を例にするが、これには限られない。情報処理装置1は、デスクトップ型PC、タブレット端末装置、スマートフォンなど、いずれの形態で実現されてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置1は、プロセッサ11、メインメモリ12、ビデオサブシステム13、ディスプレイ14、チップセット21、BIOS(Basic Input-Output System)メモリ22、ストレージ23、オーディオシステム24、WLAN(Wireless Local Area Network)カード25、USB(Universal Serial Bus)コネクタ26、カメラ27、EC(Embedded Controller)31、入力デバイス32および電源回路33を含んで構成される。
【0018】
プロセッサ11は、プログラム制御により各種の演算処理を行い、情報処理装置1全体の動作を制御する。プロセッサ11は、例えば、1個または2個以上のCPU(Central Processing Unit)を含む。
メインメモリ12は、プロセッサ11の実行プログラムの読み込み領域、または実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、1個または2個以上のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップを含んで構成される。実行プログラムには、例えば、OS(Operating System)、周辺機器の動作を制御するためのドライバ、各種サービス/ユーティリティプログラム(以下、ユーティリティ)、アプリケーションプログラム(本願では、「アプリ」と呼ぶことがある)などが含まれる。なお、本願では、「プログラムを実行する」または「プログラムの実行」とは、プログラムに記述された指令で指示される処理を行うという意味を含む。プロセッサ11とメインメモリ12は、情報処理装置1の主たるコンピュータシステム(即ち、ホストシステム)を構成する最小限のハードウェアである。本願では、ホストシステムを単に「システム」と呼ぶことがある。
【0019】
ビデオサブシステム13は、画像表示に関連する機能を実現するためのサブシステムである。ビデオサブシステム13は、ビデオコントローラを含んで構成される。ビデオコントローラは、プロセッサ11から入力される描画命令で指示される処理を行い、処理により得られる表示データを自部に備わるビデオメモリに書き込む。ビデオコントローラは、ビデオメモリから書き込んだ表示データを読み出し、読み出した表示データをディスプレイ14に出力する。
【0020】
ディスプレイ14は、ビデオサブシステム13から入力される表示データに基づいて各種の表示画面を表示する。ディスプレイ14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)、OLED(Organic Light Emitting Diode、有機発光ダイオード)ディスプレイなど、いかなる種類のディスプレイであってもよい。
【0021】
チップセット21は、1個または複数の周辺デバイスと接続し、各種のデータの入出力を制御する。チップセット21は、各種の入出力インタフェースを備え、それらに対応したデバイスを接続する。チップセット21は、各種の入出力方式に対応したコントローラを備える。チップセット21は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、シリアルATA(Advanced Technology Attachment)、SPI(Serial Peripheral Interface)バス、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス、PCI-Expressバス、およびLPC(Low Pin Connect)バスなどのいずれか、または、いずれかの組み合わせに係るコントローラを備える。
図1では、チップセット21に接続される周辺デバイスとして、BIOSメモリ22、ストレージ23、オーディオシステム24、WLANカード25、USBコネクタ26およびカメラ27が例示されている。
【0022】
BIOSメモリ22には、BIOSなどのシステムファームウェアが予め記憶される。BIOSメモリ22には、EC31、その他のデバイスの動作を制御するためのファームウェアを記憶させておいてもよい。BIOSメモリ22は、書き換え可能とする不揮発性メモリ(例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROMなど)を含んで構成される。
ストレージ23は、プロセッサ11で実行される各種のプログラムやデータを記憶する補助記憶装置である。ストレージ23は、書き換え可能とする不揮発性メモリを含んで構成される。ストレージ23は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などのいずれであってもよい。
オーディオシステム24は、音声データの入力、出力、および、記録を実行する。オーディオシステム24は、スピーカを備え、自部に入力される音声データに基づく音を放音する。オーディオシステム24は、マイクロホンを備え、自部に到来する音を収音し、収音した音を示す音声データを取得する。
【0023】
WLAN(Wireless Local Area Network、無線LAN)カード25は、無線LANに接続し、無線LANに直接または間接的に接続された他の機器との間でデータ通信を行う。無線LANは、所定の無線通信方式(例えば、IEEE802.11)に従って機器間で各種のデータを送受信可能とする。
USBコネクタ26は、USB規格に従って周辺デバイスとデータを入出力可能に接続するためのコネクタである。
カメラ27は、画像を撮影し、撮影した画像を示す画像データを取得する。カメラ27は、例えば、ウェブカメラである。
【0024】
EC31は、情報処理装置1の動作状態に関わらず、動作環境を監視し、所定のデバイスの動作を制御する。EC31には、独自にプロセッサ、メモリおよび入出力端子を備え、マイクロコンピュータとして構成される。EC31には、その入出力端子を用いて入力デバイス32および電源回路33などが接続されている。
EC31は、電源管理機能を有し、電源回路33の動作状態を制御する。EC31は、例えば、所定の複数段階のシステム状態に基づいて電源回路33を制御する。情報処理装置1のホストシステムは、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されたシステム状態(即ち、S0~S5状態)の一部、例えば、S0状態とS4状態を用いる。S0状態は、複数段階のシステム状態のうち最も活発な状態であり、通常の稼働状態(本願では、「通常稼働状態」または「通常モード」と呼ぶ)に相当する。それ以外のシステム状態が、通常稼働状態よりも消費電力が低い低消費電力状態に相当する。一般に、消費電力が低いシステム状態ほど、通常稼働状態への回復により多くの時間を要する。S4状態は、プロセッサ11とメインメモリ12への電力供給が停止された休止状態(ハイバネーション(hibernation))である。休止状態は、ホストシステムの動作が停止した状態に相当する。
【0025】
情報処理装置1のホストシステムは、それ以外のシステム状態、例えば、S0ix状態に対応する。EC31は、S0ix状態に対応した状態に電源回路33を制御する。S0ix状態は、S1~S5状態よりもよりも迅速に通常稼働状態に復帰可能な低消費電力状態である。S0ix状態は、ACPIに規定されるS0状態の拡張状態であって、S0状態よりも消費電力が低減されたシステム状態である。S0ix状態は、モダンスタンバイモード(modern standby)とも呼ばれる。低消費電力状態は、情報処理装置1の動作モードとして待機モードに相当し、一部のデバイスもしくは機能を停止した状態である。低消費電力状態では、少なくともディスプレイ14の機能が停止される。なお、本願では、低消費電力状態を「待機モード」、S0ix状態を「モダンスタンバイモード」、S4状態を「ハイバネーションモード」と呼ぶことがある。「待機モード」は、「モダンスタンバイモード」と「ハイバネーションモード」の総称とみなすこともできる。モダンスタンバイモード、ハイバネーションモードは、それぞれ第1の低消費電力状態の一例、第2の低消費電力状態の一例に相当する。
【0026】
入力デバイス32は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作信号を生成し、生成した操作信号をEC31に出力する。入力デバイス32は、例えば、キーボード、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイスのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0027】
電源回路33は、AC(Alternating Current/Direct Current, AC/DC)アダプタ(図示せず)またはバッテリユニットから供給される直流電力の供給電圧を複数段階の動作電圧に変換する。電源回路33は、変換した動作電圧を有する動作電力を、動作電圧に対応するデバイスに供給する。電源回路33は、例えば、DC/DCコンバータ、充放電ユニットおよびバッテリユニットなどを含んで構成される。電源回路33は、EC31からの制御に従い、情報処理装置1の各デバイスへの電力供給の要否を制御する。電源回路33は、電力供給要とするデバイスのうち、所定のデバイス(例えば、プロセッサ11)に対しては、動作電力の供給量を調整する。
また、電源回路33は、ACアダプタからの供給電圧を検出する検出器を備え、検出した供給電圧をEC31に通知する。電源回路33は、バッテリユニットの起電力を電池電圧として計測する電圧計を備え、計測した電池電圧をEC31に通知してもよい。
【0028】
なお、情報処理装置1がノートPCである場合、
図9に例示されるように、情報処理装置1は、2個の筐体41、43、ヒンジ機構45a、45b、および、センサ38を備える。ヒンジ機構45a、45bは、それぞれ第1筐体41の一辺と第2筐体43の一辺に固定される。第1筐体41と第2筐体43の一辺を回転軸として第1筐体41と第2筐体43の一方は、他方に対して相対的に回動可能とする。即ち、第1筐体41の主面と第2筐体43の主面とのなす角度(本願では、「開き角」と呼ぶ)が可変となる。
【0029】
第1筐体41の主面には、ディスプレイ14が配置され、その大部分を占める。第2筐体43の主面には、キーボード32kと、タッチパッド32tと、電源ボタン37が配置される。かかる配置により、情報処理装置1は、第1筐体41と第2筐体43が開いた状態で使用される。キーボード32kとタッチパッド32tは、入力デバイス32に相当する。
第2筐体43には、回転軸とする一辺よりも、その一辺に対向する対辺に近い位置にはセンサ38が設置されている。センサ38は、例えば、周囲の磁場を検出する磁気センサである。第1筐体41の一辺よりも対辺に近い位置には永久磁石39が設置されている。第1筐体41が第2筐体43に対して完全に閉じた状態、即ち、開き角θが0°となる状態では、永久磁石39の位置は、センサ38の位置に対面する。よって、センサ38が検出した磁場は、第1筐体41が第2筐体43に対して閉じた状態か否かを判定するための手がかりとなる。センサは、検出した磁場の大きさを示す検出信号をEC31に出力する。EC31は、センサから入力される検出信号に示される磁場の強度に基づいて第1筐体41が第2筐体43に対して開いた状態か否かを判定することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成例について説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成例を示す概略ブロック図である。
情報処理装置1は、第1制御部110と、第2制御部120と、記憶部130とを備える。
【0031】
第2制御部120の機能は、EC31が、所定のプログラムを実行し、電源回路33などのハードウェアと協働して実現される。
第2制御部120は、電源制御部122、計時部124およびイベント処理部126を備える。
【0032】
電源制御部122は、情報処理装置1のシステム状態に応じて電源回路33を制御する。電源制御部122は、第1制御部110から通知される動作モードに応じて、電源回路33から各デバイスでの電力供給の要否を制御する。電源制御部122は、電力供給要とするデバイスのうち、所定のデバイス(例えば、プロセッサ11)に対しては、その消費電力に応じて動作電力の供給量を制御してもよい。
【0033】
電源制御部122には、電源回路33から通知された供給電圧に基づいてACアダプタからの電力の供給の有無を判定する。本願では、システムの電源が外部電源である場合、即ち、システムがACアダプタから供給される電力を消費する電源モードを「ACモード」と呼び、システムの電源がバッテリユニットである場合、即ち、システムがバッテリユニットから供給される電力を消費する電源モードを「DCモード」と呼ぶことがある。電源制御部122は、判定した電源モードをイベント処理部126および第1制御部110に通知する。
【0034】
計時部124は、EC31に備わるRTC(Real Time Clock、図示せず)を用い、その時点における時刻(現時刻)を計時する。EC31は、情報処理装置1のホストシステムが停止していても電力が供給され、時刻を計時可能とする。
【0035】
イベント処理部126は、入力デバイス32からの操作信号の入力、その他、EC31に備わるセンサからの検出信号に応じて各種のイベントを検出する。イベント処理部126は、検出したイベントを第1制御部110に出力する。例えば、イベント処理部126には、予め所定の時限イベントごとにイベント時刻を設定しておく。イベント処理部126は、計時された時刻が、予め設定されたイベント時刻に達する場合、そのイベント時刻に対応する時限イベントの検出を判定してもよい。
【0036】
イベント処理部126は、記憶部130に記憶された稼働時間情報(後述)参照し、電源モードと現時刻に基づいて稼働時間の開始または終了をイベントの一環として検出してもよい。より具体的には、イベント処理部126は、電源モードがDCモードであり、現時刻が第1稼働開始時刻に達するとき、第1稼働時間の開始を判定する。イベント処理部126は、電源モードがDCモードであり、現時刻が第1稼働終了時刻に達するとき、第1稼働時間の終了を検出する。イベント処理部126は、電源モードがACモードであり、現時刻が第2稼働開始時刻に達するとき、第2稼働時間の開始を判定する。イベント処理部126は、電源モードがACモードであり、現時刻が第2稼働終了時刻に達するとき、第2稼働時間の終了を判定する。
【0037】
なお、イベント処理部126は、電源回路33か通知される供給電圧が所定の供給電圧の閾値以上であるか否かに応じて電源モードがACモードであるか、DCモードであるかを判定することができる。イベント処理部126は、判定した電源モードを第1制御部110に通知する。
イベント処理部126は、予め定めた電池電圧と電荷残量の関連を示す残量推定情報を参照し、電源回路33から通知される電池電圧に基づいてバッテリユニットの電荷残量を推定してもよい。イベント処理部126は、推定した電荷残量を第1制御部110に通知する。
【0038】
イベント処理部126は、第1稼働時間または第2稼働時間の開始を電源制御部122に通知してもよい。電源制御部122は、イベント処理部126から第1稼働時間または第2稼働時間の開始が通知されるとき、その時点の電源モードに応じて、電源回路33に対し、プロセッサ11とメインメモリ12への通電を再開させてもよい。これにより、ホストシステムの起動ならびに稼働に要する電力が供給される。
また、イベント処理部126は、システム状態がハイバネーションモードであって、電源モードとしてDCモードからACモードへの変更を検出するとき、現時刻が第2稼働開始時刻よりも前であり、第1稼働開始時刻よりも後の場合には、電源回路33に対し、プロセッサ11とメインメモリ12への通電を再開させてもよい。このとき、システム状態がモダンスタンバイモードまたは通常稼働状態に変更可能となる。
【0039】
情報処理装置1がノートPCである場合、イベント処理部126は、センサから入力される検出信号に示される磁場の強度が所定の強度の閾値以下となるか否かにより、筐体41、43が開いているか否かを判定してもよい。イベント処理部126は、判定した開閉状態を第1制御部110のモード制御部116に通知する。
【0040】
記憶部130は、ストレージ23、BIOSメモリ22など、不揮発性の記憶媒体を含んで構成される。記憶部130には、例えば、使用状況情報と稼働時間情報が記憶される。使用状況情報は、第1制御部110の稼働時間情報生成部114(後述)により所定の時間間隔で情報処理装置1のホストシステムによる使用状況を集計して構成され、記憶部130に記憶される。
【0041】
図3は、本実施形態に係る使用状況情報の例を示す図である。使用状況情報は、曜日、開始時刻、終了時刻および使用レベルを含み、これらを対応付けてなる。使用レベルは、使用頻度を示す。
図3の例では、大きい値ほど未使用の確からしさが高いことを示し、「100」、「75」、「50」、「25」、「0」の5段階のいずれかに離散化される。「100」、「0」は、それぞれ不使用、使用を示す。開始時刻、終了時刻は、それぞれ、その使用レベルに対する開始時刻、終了時刻を示す。例えば、
図3の第2行は、曜日「日曜日」の開始時刻「0:00:00」から終了時刻「21:44:59」までの期間は、使用レベルが「100」、即ち、不使用であることを示す。
図3の第8行は、曜日「月曜日」の開始時刻「9:15:00」から終了時刻「9:59:59」までの期間は、使用レベルが「75」、即ち、4回のうち1回は使用されることを示す。
【0042】
第1制御部110の設定処理部118(後述)は、操作信号により使用状況情報の表示が指示されるとき、使用状況情報を表す表示画面を構成し、構成した表示画面をディスプレイ14に表示させてもよい。
図4は、本実施形態に係る使用状況情報の表示例を示す図である。
図4に例示される使用状況情報は、曜日および時刻ごとの使用レベルを濃淡で表現される。明るい部分ほど使用レベルが高いことを示す。黒色部分が使用レベル「0」(使用)を示し、白色部分は使用レベル「100」(不使用)を示す。
【0043】
稼働時間情報は、稼働時間、即ち、情報処理装置1のホストシステムの稼働が推定される時間帯を示す情報である。稼働時間は、アクティブ時間とも呼ばれる。稼働時間は、稼働開始時刻を起点とし、稼働終了時刻を終点とする時間帯である。稼働開始時刻は、起動時刻とも呼ばれる。稼働終了時刻は、休止時刻とも呼ばれる。稼働時間は、通常稼働状態と第1低消費電力状態との間でホストシステムの稼働状態を変更可能とする時間帯である。通常稼働状態は、後述の通常モードに相当し、第1低消費電力状態は、後述の待機モードの一部をなす。稼働時間において、通常稼働状態から第1低消費電力状態への遷移条件として、後述の通常モードから待機モードへの遷移条件が適用される。第1低消費電力状態から通常稼働状態への遷移条件として、後述の待機モードから通常モードへの遷移条件が適用される。稼働時間外(即ち、休止時間)では、ホストシステムの稼働状態として第2低消費電力状態が原則として適用される。但し、起動が指示される場合、例えば、電源ボタンの押下が検出される場合など、休止時間中であっても、ホストシステムは稼働状態を通常稼働状態に変更する。
【0044】
本実施形態では、2種類の稼働時間が設定される。2種類の稼働時間を第1稼働時間および第2稼働時間と呼んで区別する。第1制御部110のモード制御部116(後述)は、電源がバッテリユニットである場合、即ち電源モードがDCモードである場合に第1稼働時間を適用する。第1制御部110のモード制御部116は、電源が外部電源である場合、即ち電源モードがACモードである場合に第2稼働時間を適用する。後述するように、第2稼働時間は、第1稼働時間を含み、第1稼働時間よりも長くなるように設定される。
【0045】
第1制御部110の設定処理部118は、入力デバイス32から入力される操作信号により第1稼働時間情報と第2稼働時間情報の一方または両方の表示が指示されるとき、指示された情報を表す表示画面を構成し、構成した表示画面をディスプレイ14に表示させてもよい。
図5は、本実施形態に係る稼働時間情報の表示例を示す図である。
図5に例示される稼働時間情報は、曜日ごとの稼働時間を示す。塗りつぶしの部分が第1稼働時間を示す。例えば、月曜日の第1稼働時間は、第1稼働開始時刻8時15分から第1稼働終了時刻23時30分までの時間帯である。矩形の枠で囲まれた部分が第2稼働時間を示す。例えば、火曜日の第2稼働時間は、第2稼働開始時刻8時15分から第2稼働終了時刻として翌日0時15分までの時間帯である。
【0046】
図2に戻り、第1制御部110の機能構成について説明する。第1制御部110の機能は、ホストシステムをなすプロセッサ11が、所定のプログラムを実行し、入力デバイス32、ビデオサブシステム13、ディスプレイ14などのハードウェアと協働して実現される。第1制御部110は、使用状況収集部112、稼働時間情報生成部114、モード制御部116および設定処理部118を備える。
【0047】
使用状況収集部112は、所定の時間間隔でシステムの使用状況を収集し、時刻情報とシステムの使用状況とを対応付けて集計し、使用状況情報を生成する。使用状況収集部112は、一定時間間隔(例えば、15分間隔)で、曜日ごとに、システムの使用状況を収集する。使用状況収集部112は、収集した使用状況を曜日、時間帯および使用頻度を対応付けて使用状況情報として集計し、集計して得られる使用状況情報を記憶部130に記憶する。使用状況収集部112の機能は、例えば、ホストシステムで実行されるOSによる使用状況の収集機能を用いて実現されてもよい。
【0048】
稼働時間情報生成部114は、使用状況情報に基づいてシステムの稼働時間情報を生成する。まず、第1稼働時間情報の生成手順について説明する。稼働時間情報生成部114は、例えば、使用状況情報に基づいて、日ごとの第1稼働開始時刻と第1稼働終了時刻を特定し、第1稼働開始時刻を起点とし第1稼働終了時刻を終点とする第1稼働時間を示す稼働時間情報を生成する。第1稼働開始時刻は、DCモードにおいてハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに変更する時刻に相当する。第1稼働終了時刻は、DCモードにおいてモダンスタンバイモードからハイバネーションモードに変更する時刻に相当する。
【0049】
より具体的には、稼働時間情報生成部114は、次の手順で稼働時間情報を生成することができる。
図8は、本実施形態に係る稼働時間情報生成処理の例を示すフローチャートである。
(ステップS102)稼働時間情報生成部114は、所定の時間間隔(例えば、15分)ごとに使用状況情報に示される使用頻度(例えば、使用レベル)を特定する。
(ステップS104)稼働時間情報生成部114は、個々の時間間隔を(a)使用頻度が高い期間(例えば、使用レベルが60以下)、(b)使用頻度が低い期間(例えば、使用レベルが60より大きく、100未満)、(c)未使用の期間(使用レベルが100の3段階に分類する。
【0050】
(ステップS106)稼働時間情報生成部114は、第1稼働時間の候補に対し、時間的に隣接した(a)使用頻度が高い期間を結合し、結合により得られる期間を第1稼働時間の候補として定める。第1稼働時間の候補の終点が深夜(例えば、午前0時から午前2時)となる場合には、稼働時間情報生成部114は、前日の第1稼働時間の候補の終点とみなしてもよい。
(ステップS108)稼働時間情報生成部114は、(a)第1稼働時間の候補に対して隣接する(b)使用頻度が低い期間を加えて、新たな第1稼働時間の候補を更新する。
【0051】
(ステップS110)稼働時間情報生成部114は、第1稼働時間の候補の直前に所定の第1前置マージン期間(pre-margin)を加え、第1稼働時間の候補の直後に所定の第1後続マージン期間(post-margin)を設定する。稼働時間情報生成部114は、例えば、第1前置マージン期間を30分間、第1後続マージン期間を15分間と設定しておく。本願では、第1前置マージン期間と、第2前置マージン期間を「前置マージン期間」と総称し、第1後続マージン期間と第2後続マージン期間を「後続マージン期間」と総称することがある。第2前置マージン期間、第2後続マージン期間は、後述するように、第2稼働時間の直前、直後に設定されるマージン期間を指す。また、前置マージン期間と後続マージン期間を「マージン期間」と総称することがある。
【0052】
(ステップS112)稼働時間情報生成部114は、マージン期間内の使用状況情報が全て(c)未使用の期間となったか否かを判定する。全て(c)未使用の期間となっていない場合(ステップS112 NO)、ステップS114の処理に進む。全て(c)未使用の期間となった場合(ステップS112 YES)、ステップS116の処理に進む。
(ステップS114)第1前置マージン期間および第1後続マージン期間のうち、(b)使用頻度が低い期間が含まれる場合、稼働時間情報生成部114は、その(b)使用頻度が低い期間をさらに第1稼働期間の候補に加える。その後、ステップS110の処理に戻る。
【0053】
(ステップS116)稼働時間情報生成部114は、所定の間隔以下のシステムが定常的に使用されていない期間((c)未使用の期間)を挟んで隣接する第1稼働時間の候補が存在するか否かを判定する。所定の間隔は、例えば、モダンスタンバイモードとハイバネーションモードを相互に変更する処理に要する消費電力が、当該間隔においてモダンスタンバイモードからハイバネーションモードに変更して低減される消費電力よりも大きくなる間隔とする。存在しない場合(ステップS116 NO)、稼働時間情報生成部114は、ステップS118の処理に進む。存在する場合(ステップS116 YES)、稼働時間情報生成部114は、これらの隣接する第1稼働時間の候補を結合して得られる期間を第1稼働時間として定める。その後、ステップS110の処理に戻る。
(ステップS118)稼働時間情報生成部114は、その時点で得られた第1稼働時間の候補を第1稼働時間として確定する。稼働時間情報生成部114は、曜日ごとに定めた第1稼働時間を示す稼働時間情報を記憶部130に記憶する。その後、
図8の処理を終了する。
【0054】
次に、第2稼働時間を定める手法について説明する。稼働時間情報生成部114は、第1稼働時間を含み、第1稼働時間よりも長くなるように第2稼働時間を定める。第2稼働時間は、第2稼働開始時刻と第2稼働終了時刻のセットで画定される。第2稼働開始時刻は、ACモードにおいて、ハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに変更する時刻に相当する。第2稼働終了時刻は、ACモードにおいて、モダンスタンバイモードからハイバネーションモードに変更する時刻に相当する。
【0055】
例えば、稼働時間情報生成部114は、ステップS110において第1稼働時間の候補の前後に加える第2マージン期間として、第1マージン期間よりも長い期間を用いて、第1稼働時間と同様な手順で第2稼働時間を定めてもよい。例えば、第1稼働時間の候補の直前に加える第1前置マージン期間を30分間、第1稼働時間の候補の直後に加える第1後続マージン期間を15分間とする場合、第2稼働時間の候補の直前に加える第2前置マージン期間を60分間、第2稼働時間の候補の直後に加える第2後続マージン期間を30分間と設定しておく。
【0056】
稼働時間情報生成部114は、使用状況情報から、第1稼働時間の導出に用いられるパラメータとは異なるパラメータを用いて第2稼働時間を定めてもよい。例えば、第1稼働時間を定める際の(a)使用頻度が高い期間に対する使用レベルを60以下とし、(b)使用頻度が低い期間に対する使用レベルを60より大きく100未満とするのに対し、第2稼働時間を定める際の(a)使用頻度が高い期間に対する使用レベルを80以下とし、(b)使用頻度が低い期間に対する使用レベルを80より大きく100未満と設定しておいてもよい。
【0057】
稼働時間情報生成部114は、第1稼働時間をより直接的に用いて第2稼働時間を定めてもよい。
例えば、稼働時間情報生成部114は、全曜日中で最も早い第1稼働開始時刻を第2稼働開始時刻とし、最も遅い第1稼働終了時刻を第2稼働終了時刻となるように共通の第2稼働時間を定めることができる。
図5の例では、月曜日の第1稼働開始時刻8時15分を第2稼働開始時刻とし、木曜日の第1稼働終了時刻として翌日0時15分を第2稼働終了時刻として設定されている。稼働時間情報生成部114は、各曜日に代え、平日もしくは就業日に共通の第2稼働時間を同様な手順で算出してもよいし、土、日曜日および祝日もしくは休日に共通の第2稼働時間を同様な手順で算出してもよい。
また、1日に複数の第1稼働時間が設定される場合、稼働時間情報生成部114は、複数の第1稼働時間のうち最も早い第1稼働開始時刻を第2稼働開始時刻とし、最も遅い第1稼働終了時刻が第2稼働終了時刻となるように、複数の第1稼働時間を結合して1個の第2稼働時間を定めてもよい。
図5の例では、土曜日の第2稼働開始時刻を14時30分とし、第2稼働終了時刻を23時00分とする1個の第2稼働時間が設定されている。
【0058】
モード制御部116は、システム状態の一環である動作モードを制御する。モード制御部116は、ホストシステムの動作モードが通常モードである場合、待機モードへの所定の遷移条件を満たすとき、動作モードを待機モードに変更する。モード制御部116は、変更後の動作モードとして待機モードを電源制御部122に通知し、電源回路33に待機モードに対応する電力を供給させる。モード制御部116は、操作信号が所定時間(例えば、3~10分)以上継続して入力されないとき、表示データが所定時間以上更新されない場合、イベント処理部126から筐体が閉じている状態を示す閉状態が通知される場合、などが待機モードへの遷移条件となりうる。また、モード制御部116は、ホストシステムの動作モードが待機モードである場合、所定の通常モードへの遷移条件を満たすとき、動作モードを通常モードに変更する。モード制御部116は、変更後の動作モードとして待機モードを第2制御部120の電源制御部122に通知し、電源回路33に待機モードに対応する電力を供給させる。モード制御部116は、操作信号が入力されるとき、表示データが更新される場合、イベント処理部126から通知される開閉状態が、筐体41、43が開いている状態を示す場合、などが通常モードへの遷移条件となりうる。
【0059】
モード制御部116は、待機モードにおいて稼働時間情報を参照し、モダンスタンバイモードとハイバネーションモードとを相互に切り替える。ハイバネーションモードは、モダンスタンバイモードよりも消費電力が少なく、通常稼働状態への復帰時間が長い。モード制御部116は、次の手順(a1)~(a3)を実行して、モダンスタンバイモードからハイバネーションモードに遷移することができる。(a1)モード制御部116は、その時点で実行中の処理を停止する。(a2)モード制御部116は、メインメモリ12において保持された各種のパラメータ、中間値などを含むイメージファイルをストレージ23に記憶する。(a3)モード制御部116は、第2制御部120に自部の停止を通知し、電源回路33に対し自部をなすプロセッサ11ならびにメインメモリ12への電力供給を停止させる。
【0060】
モード制御部116は、次の手順(b1)~(b5)を実行してハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに遷移することができる。(b1)モード制御部116は、自部をなすプロセッサ11への電力供給を検出し、メインメモリ12を検出する。(b2)モード制御部116は、各種のファームウェアをBIOSメモリ22から読み出し、プロセッサ11に実行を再開させる。(b3)モード制御部116は、停止前に実行されていたプログラムをストレージ23から読み出し、メインメモリ12にロードする。(b4)モード制御部116は、ストレージ23からイメージファイルを読み出し、メインメモリ12にロードする。(b5)モード制御部116は、停止前に実行していたプログラムの実行を再開する。
【0061】
設定処理部118は、稼働時間情報または使用状況情報を示す表示画面をディスプレイ14に表示させる。設定処理部118は、入力デバイス32から入力される操作信号に従って、稼働時間情報または使用状況情報の一部もしくは全部を設定する。これにより、ユーザに確認できるようにし、任意に設定できるようにすることができる。また、設定処理部118は、稼働時間情報または使用状況情報を外部装置に出力(エクスポート)してもよいし、外部装置から稼働時間情報または使用状況情報を取得(インポート)してもよい。
【0062】
なお、モード制御部116は、電源モードがDCモードであって、システム状態がモダンスタンバイモードであり、かつ、イベント処理部126から通知される電荷残量が、モダンスタンバイモードが開始された時点における電荷残量から所定の比率以下に減少するとき、システム状態をハイバネーションモードに変更してもよい。この電荷残量の減少率は、スタンバイバジェット(standby budget (StandbyBudgetPercent))とも呼ばれる。これにより、電荷残量が少なくなったとき、消費電力を減少させることで、電荷残量が払底するために電池電圧が動作電圧未満となる時期を遅らせることができる。
【0063】
また、モード制御部116は、システム状態がモダンスタンバイモードである状態が所定の休止判定時間(hibernate idle time)以上継続する場合には、システム状態を休止状態に変更してもよい。但し、電源モードがDCモードであって稼働時間に第1前置マージン期間と第1後続マージン期間を加えた第1稼働期間内に適用される休止判定期間(以下、「第1休止判定時間」と呼ぶ)、電源モードがACモードであって稼働時間に第2前置マージン期間と第2後続マージン期間を加えた第2稼働期間内に適用される休止判定期間(以下、「第2休止判定時間」と呼ぶ)、それ以外の期間内に適用される休止判定期間(以下、「稼働時間外休止判定時間」と呼ぶ)は互いに独立な値であってもよい。第1休止判定時間は稼働時間外休止判定時間と等しくてもよいし、より長くてもよい。第2休止判定時間は、第1休止判定期間ならびに稼働時間外休止判定時間よりも長くてもよい。第2休止判定時間として、その終期が第2稼働終了時刻よりも後にならない程度に長い時間(例えば、3~6時間)に設定しておくことで、システム状態がハイバネーションモードに変化する可能性を低減することができる。
【0064】
電源モードがDCモードであるとき第1後続マージン期間の終点または電源モードがACモードであるとき第2後続マージン期間の終点までモダンスタンバイ状態が継続し、第1休止判定期間または第2休止判定期間までの残り期間が、稼働時間外休止判定時間よりも長くなる場合がある。その場合、第1後続マージン期間の終点または第2後続マージン期間の終点において、モード制御部116は、モダンスタンバイ状態の継続時間の目標値を稼働時間外休止判定時間に再設定してもよい。モード制御部116は、その後におけるシステム状態がモダンスタンバイモードとなる継続期間が稼働時間外休止判定時間に達した時点で、システム状態をハイバネーションモードに変更することができる。
【0065】
また、電源モードがDCモードであるとき第1前置マージン期間の起点または電源モードがACモードであるとき第2前置マージン期間の起点に達した時点までモダンスタンバイ状態が継続する場合がある。その場合、第1前置マージン期間の起点または第2前置マージン期間の起点において、モード制御部116は、モダンスタンバイ状態の継続時間の計時を停止し、システム状態としてのモダンスタンバイ状態を継続してもよい。また、モード制御部116は、電源モードがDCモードであるとき、第1前置マージン期間の起点においてモダンスタンバイ状態の継続時間の目標値を第1休止判定期間に再設定し、電源モードがACモードであるとき、第2前置マージン期間の起点においてモダンスタンバイ状態の継続時間の目標値を第2休止判定期間に再設定してもよい。モード制御部116は、その後におけるシステム状態がモダンスタンバイモードとなる継続期間が第1休止判定時間または第2休止判定時間に達した時点で、システム状態をハイバネーションモードに変更することができる。
【0066】
なお、モード制御部116におけるモード制御と、稼働時間情報生成部114における稼働時間情報の生成ならびに設定は、必ずしも同期していなくてもよい。システム状態が通常稼働状態またはモダンスタンバイモードである間に現時点までに取得され、記憶部130に記憶された稼働時間情報がモード制御に用いられる。システム状態がハイバネーションモードであって、電源モードがDCモードからACモードに変更される場合、現時刻が第2稼働開始時刻よりも前であっても、第1稼働開始時刻よりも後の場合には、モード制御部116は、システム状態をモダンスタンバイモードに変更する。モード制御部116は、第2制御部120から筐体41、43が開いている状態を示す開閉状態が通知されるとき、システム状態を通常稼働状態に変更する。
【0067】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の動作例について説明する。
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の一動作例を示す説明図である。
図6の例では、月曜日の第1稼働終了時刻(アクティブ時間(DC)の終点)が23:30、第2稼働終了時刻(アクティブ時間(AC)の終点)が翌日0:00、火曜日の第1稼働開始時刻(アクティブ時間(DC)の始点)が8:45、第2稼働開始時刻(アクティブ時間(AC))が7:30と設定され、電源モードがACモードであって、月曜日の22:00にユーザが情報処理装置1の使用を終了する場合が仮定されている。
【0068】
第1制御部110の設定処理部118は、通常稼働状態で情報処理装置1の使用を終える前(
図6の例では、月曜日の22:00に達する前)、第1休止判定時間(休止判定時間(AC))と第2休止判定時間(休止判定時間(DC))をモード制御部116に設定する。モード制御部116は、使用を終え、継続して操作が行われない状態が所定時間以上継続するとき(
図6の例では、22:05)、システム状態を通常稼働状態(S0状態)からモダンスタンバイモードに変更する。設定処理部118は、システム状態をハイバネーションモード(休止状態、S4状態)に変更するまでの間、稼働時間情報を参照し、火曜日の第1稼働開始時刻と第2稼働開始時刻を特定する。次にハイバネーションモードに変更するまでの間とは、第2稼働終了時刻である火曜日の0:00とその時点から第2休止判定時間経過後の時刻のうち、遅い方の時刻に相当する。そして、電源モードがACモードに維持されたまま現時刻が第2稼働開始時刻である火曜日の7:30に達するとき、モード制御部116は、システム状態をハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに変更する。その後、モード制御部116は、8:15において使用開始を検出し、システム状態を通常稼働状態に変更する。モード制御部116は、入力デバイス32からの操作信号の入力、または、イベント処理部126から筐体41、43が開いている状態を示す開閉状態が通知されることにより、情報処理装置1の使用開始を検出することができる。
【0069】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の他の動作例について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報処理装置1の他の動作例を示す説明図である。
図7の例では、記憶部130に設定される稼働時間情報は、
図6に例示した稼働時間情報と同様である。但し、当初の電源モードがDCモードであって、第2稼働開始時刻と第1稼働開始時刻の間である8:00において電源回路33にACアダプタが接続され、電源モードがACモードに変更される場合を例とする。
【0070】
現時刻が第2稼働開始時刻である火曜日7:30に達した段階では、情報処理装置1のシステム状態はハイバネーションモードである。電源回路33にACアダプタが接続されると、ACアダプタから直流電力の供給が開始される。電源回路33は、ACアダプタからの供給電圧を検出し、検出した供給電圧をEC31に通知する。
イベント処理部126は、通知された供給電圧が所定の閾値以上となるため、電源モードをACモードと判定する。イベント処理部126は、その時点の時刻が8:00と、第2稼働開始時刻である7:30よりも後の時刻となるため、電源回路33に対し、プロセッサ11とメインメモリ12への通電を再開させる。
【0071】
第1制御部110のモード制御部116は、電源モードがDCモードからACモードに変更されるとき、その時点の時刻8:00が第2稼働開始時刻よりも後の時刻であるため、システム状態をハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに変更する。この時点では、情報処理装置1の2個の筐体は互いに閉じた状態に維持されるため、イベント処理部126から筐体が開いている状態を示す開閉状態は通知されていない。そのため、モード制御部116は、システム状態をモダンスタンバイモードのまま維持する。
その後、8:30において情報処理装置1の使用が開始される。このとき、2個の筐体が互いに開いた状態になる。モード制御部116には、イベント処理部126から筐体が開いている状態を示す開閉状態が通知される。モード制御部116は、システム状態をハイバネーションモードからモダンスタンバイモードに変更する。
かかる構成を有する情報処理装置1は、ノートPCに限られず、携帯電話機など他種の機器として実現されてもよい。
【0072】
なお、上記の例では、稼働時間として、一日または週ごとの稼働開始時刻と稼働終了時刻を設定可能とする場合を例にしたが、これには限られない。設定可能な稼働時間の周期は、異なる周期、例えば、10日、1か月などより長い周期、午前または午後の別、6時間、などより短い周期であってもよい。また、時刻を設定可能な時間間隔は、15分に限られず、より短くても、より長くてもよい。また、時刻は必ずしも周期的でなくてもよく、間欠的もしくは一時的(1回限り)であってもよい。
第1低消費電力状態、第2低消費電力状態は、それぞれモダンスタンバイモード、ハイバネーションモードに限られない。第2低消費電力状態は、第1低消費電力状態よりも情報処理装置1の消費電力が少ない待機モードであればよい。例えば、第1低消費電力状態、第2低消費電力状態は、それぞれACPIのS3状態、S4状態であってもよい。
また、RTCが計時する時刻は、必ずしも所定の標準時でなくてもよいし、任意に計時の起点とする時刻を変更可能であってもよい。
【0073】
以上に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置1は、コンピュータシステムと電源回路33を備える。電源回路33は、電源から供給される電力を動作電力に変換し、動作電力をコンピュータシステムに供給する。コンピュータシステムは、稼働状態(システム状態)を通常稼働状態、第1低消費電力状態(例えば、モダンスタンバイモード)および第2低消費電力状態(例えば、ハイバネーションモード)の間で切り替え可能とし、第1低消費電力状態は通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、第2低消費電力状態は第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、通常稼働状態と第1低消費電力状態との間で稼働状態を変更可能とする稼働時間に基づいて稼働状態を制御する。稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、第2稼働時間は第1稼働時間を含み、かつ、第1稼働時間よりも長く、コンピュータシステムは、電源がバッテリ(例えば、バッテリユニット、電源モードがDCモード)であるとき第1稼働時間に基づいて稼働状態を制御し、電源が外部電源(例えば、ACアダプタから供給、電源モードがACモード)であるとき第2稼働時間に基づいて稼働状態を制御する。
この構成により、電源が外部電源であっても、第2稼働時間内の時刻において稼働状態として通常稼働状態と第1低消費電力状態の間で切り替え可能となり、第2稼働時間は第1稼働時間よりも長い。そのため、電源モードがACモードで、稼働時間が全く設定されない場合よりも消費電力を低減し、第2低消費電力状態から通常稼働状態への遷移により利便性が損なわれる可能性を低減することができる。
【0074】
また、コンピュータシステムは、電源がバッテリであり、稼働状態が第1低消費電力状態である継続時間が所定の第1継続時間を越えるとき稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、電源が外部電源であり、稼働状態が第1低消費電力状態である継続時間が所定の第2継続時間を越えるとき、稼働状態を第2低消費電力状態に変更してもよい。第2継続時間は、第1継続時間よりも長く、稼働状態が通常稼働状態であるとき、第1継続時間と第2継続時間を設定してもよい。
第1低消費電力状態の継続時間の目標値である第1継続時間と第2継続時間を設定することで、電源がバッテリである場合には第1継続時間を、電源が外部電源である場合には第2継続状態を用いて第2低消費電力状態への変更を制御することができる。第1継続時間より長い第2継続時間の設定により、電源が外部電源である場合に、バッテリである場合よりも第1低消費電力状態から第2低消費電力状態へ変更されづらくすることで、第2低消費電力状態から通常稼働状態への変更により利便性が損なわれる可能性を低減することができる。
【0075】
また、コンピュータシステムは、稼働時間の範囲外の時刻において、電源がバッテリであり、現時刻が第1稼働時間の起点である第1稼働開始時刻となるとき、または、電源が外部電源であり、現時刻が第2稼働時間の起点である第2稼働開始時刻となるとき、稼働状態を第2低消費電力状態から第1低消費電力状態に変更し、第2稼働開始時刻は第1稼働開始時刻よりも早い時刻に、稼働状態が第2低消費電力状態になる前に、第1稼働開始時刻と第2稼働開始時刻を設定してもよい。
電源がバッテリである場合には現時刻が第1稼働開始時刻となるとき、電源が外部電源である場合には現時刻が第2稼働開始時刻となるとき、稼働状態を第2低消費電力状態から第1低消費電力状態に制御することができる。コンピュータシステムのプロセッサが停止する第2低消費電力状態に変更するまでに、第1稼働開始時刻と第2稼働開始時刻を設定しておくことで、第2低消費電力状態から第1低消費電力状態への制御を確実に行うことができる。
【0076】
また、コンピュータシステムは、現時刻が第1稼働開始時刻と第2稼働開始時刻の間であり、電源がバッテリから外部電源に変更されるとき、稼働状態を第2低消費電力状態から第1低消費電力状態に変更してもよい。
電源が外部電源に変更されることで、情報処理装置1が使用される可能性が推認される。稼働状態を第1低消費電力状態に変更することで、通常稼働状態への変更により利便性が損なわれる可能性を低減することができる。
【0077】
情報処理装置1は、2個の筐体と、2個の筐体を回動可能に係合する係合具と、2個の筐体の開閉状態を検出するセンサと、をさらに備えてもよい。コンピュータシステムが稼働状態を第2低消費電力状態から第1低消費電力状態に変更するとき、2個の筐体が開いている場合、稼働状態を通常稼働状態に変更してもよい。
情報処理装置1に備わる2個の筐体が開いている場合、稼働状態が通常稼働状態に変更される。そのため、ユーザが2個の筐体を開く操作を行うことで、速やかに情報処理装置1を使用することができる。
【0078】
また、コンピュータシステムは、所定の時間間隔で自システムの使用状況を収集し、収集した使用状況に基づいて時刻ごとの使用頻度を集計し、自システムを継続して未使用とする第1前置マージン期間と第1後続マージン期間に挟まれ、使用頻度が所定の使用頻度よりも高い期間を含む一連の期間を前記第1稼働時間として定め、自システムを継続して未使用とする第2前置マージン期間と第2後続マージン期間に挟まれ、使用頻度が所定の使用頻度よりも高い期間を含む一連の期間を前記第2稼働時間として定めてもよい。
これにより、情報処理装置1が使用される可能性が高い時間帯が第1稼働時間として定まり、第1稼働時間を含む、より長い時間帯が第2稼働時間として定まる。そのため、情報処理装置1が第1稼働時間の周縁において、第2稼働時間が設定されることで、その時点における稼働状態の第2低消費電力状態から通常稼働状態への変更により利便性が損なわれる可能性を低減することができる。
【0079】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
1…情報処理装置、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…ビデオサブシステム、14…ディスプレイ、21…チップセット、22…BIOSメモリ、23…ストレージ、24…オーディオシステム、25…WLANカード、26…USBコネクタ、27…カメラ、31…EC、32…入力デバイス、33…電源回路、110…第1制御部、112…使用状況収集部、114…稼働時間情報生成部、116…モード制御部、118…設定処理部、120…第2制御部、122…電源制御部、124…計時部、126…イベント処理部、130…記憶部
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムと、
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力を前記コンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
前記コンピュータシステムは、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、 前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記コンピュータシステムは、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源がバッテリであり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第1継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記電源が外部電源であり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第2継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記第2継続時間は、前記第1継続時間よりも長く、
前記稼働状態が前記通常稼働状態であるとき、前記第1継続時間と前記第2継続時間を設定する
情報処理装置。
【請求項2】
コンピュータシステムと、
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力を前記コンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
前記コンピュータシステムは、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、 前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記コンピュータシステムは、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記稼働時間の範囲外の時刻において、
前記電源がバッテリであり、現時刻が前記第1稼働時間の起点である第1稼働開始時刻となるとき、または、前記電源が外部電源であり、現時刻が前記第2稼働時間の起点である第2稼働開始時刻となるとき、前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更し、
前記第2稼働開始時刻は、前記第1稼働開始時刻よりも早く、
前記稼働状態が前記第2低消費電力状態になる前に、前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻を設定する
情報処理装置。
【請求項3】
前記コンピュータシステムは、
現時刻が前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻の間であり、
前記電源がバッテリから外部電源に変更されるとき、
前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
2個の筐体と、前記2個の筐体を回動可能に係合する係合具と、前記2個の筐体の開閉状態を検出するセンサと、をさらに備え、
前記コンピュータシステムが前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更するとき、
前記2個の筐体が開いている場合、
前記稼働状態を前記通常稼働状態に変更する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コンピュータシステムは、
所定の時間間隔で自システムの使用状況を収集し、前記使用状況に基づいて時刻ごとの使用頻度を集計し、
自システムを継続して未使用とする第1前置マージン期間と第1後続マージン期間に挟まれ、使用頻度が所定の使用頻度よりも高い期間を含む一連の期間を前記第1稼働時間として定める
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1低消費電力状態は、モダンスタンバイモードであって、
前記第2低消費電力状態は、ハイバネーションモードである
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力をコンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、 前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記情報処理装置が、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源がバッテリであり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第1継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記電源が外部電源であり、前記稼働状態が前記第1低消費電力状態である継続時間が所定の第2継続時間を越えるとき、前記稼働状態を第2低消費電力状態に変更し、
前記第2継続時間は、前記第1継続時間よりも長く、
前記稼働状態が前記通常稼働状態であるとき、前記第1継続時間と前記第2継続時間を設定する
制御方法。
【請求項8】
電源から供給される電力を動作電力に変換し、前記動作電力をコンピュータシステムに供給する電源回路と、を備え、
稼働状態を通常稼働状態、第1低消費電力状態および第2低消費電力状態の間で切り替え可能とし、
前記第1低消費電力状態は、前記通常稼働状態よりも消費電力が少ない状態であり、 前記第2低消費電力状態は、前記第1低消費電力状態よりも消費電力が少ない状態であり、
前記通常稼働状態と前記第1低消費電力状態との間で変更可能とする稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記稼働時間は、第1稼働時間と第2稼働時間を有し、前記第2稼働時間は、前記第1稼働時間を含み、かつ、前記第1稼働時間よりも長く、
前記情報処理装置が、
前記電源がバッテリであるとき前記第1稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記電源が外部電源であるとき前記第2稼働時間に基づいて前記稼働状態を制御し、
前記稼働時間の範囲外の時刻において、
前記電源がバッテリであり、現時刻が前記第1稼働時間の起点である第1稼働開始時刻となるとき、または、前記電源が外部電源であり、現時刻が前記第2稼働時間の起点である第2稼働開始時刻となるとき、前記稼働状態を前記第2低消費電力状態から前記第1低消費電力状態に変更し、
前記第2稼働開始時刻は、前記第1稼働開始時刻よりも早く、
前記稼働状態が前記第2低消費電力状態になる前に、前記第1稼働開始時刻と前記第2稼働開始時刻を設定する
制御方法。