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特開2024-107917鍵管理システム、鍵管理装置および鍵管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107917
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】鍵管理システム、鍵管理装置および鍵管理方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E05B19/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012109
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸貴
(72)【発明者】
【氏名】小熊 直輝
(57)【要約】
【課題】より厳正な鍵の管理に柔軟に対応できる鍵管理システムを提供する。
【解決手段】鍵管理システム10は、鍵11を保持する複数のホルダー12と、ホルダー12をそれぞれ収納する複数のホルダー収納部35と、ホルダー12とは別体であって、ホルダー12の位置情報を取得するための位置情報取得用媒体13と、ホルダー12と位置情報取得用媒体13とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵を保持する複数のホルダーと、
前記ホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部と、
前記ホルダーとは別体であって、前記ホルダーの位置情報を取得するための位置情報取得用媒体と、
前記ホルダーと前記位置情報取得用媒体とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする鍵管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ホルダーに保持される前記鍵を交換する鍵交換処理を実行し、この鍵交換処理にて前記関連付け処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の鍵管理システム。
【請求項3】
前記位置情報取得用媒体を用いて取得された前記ホルダーの位置情報に基づき、前記ホルダーが所定範囲外に持ち出されたか否かを判定する判定部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1記載の鍵管理システム。
【請求項4】
前記所定範囲は、前記ホルダー毎に設定される
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記ホルダーの使用者毎に設定される
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項6】
前記所定範囲は、時間帯毎に設定される
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項7】
前記所定範囲は、前記ホルダーの使用目的毎に設定される
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項8】
前記ホルダーの現在の位置情報にかかる情報を報知する報知部をさらに備え、
前記報知部は、前記所定範囲外に持ち出された前記ホルダーを他の前記ホルダーと区別可能に報知する
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項9】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合と前記所定範囲外に持ち出されていない場合とで、前記ホルダーの使用履歴を区別可能に記憶する記憶部をさらに備える
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項10】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、持ち出し理由を入力可能とする
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項11】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、前記ホルダーの返却処理に前記ホルダーの使用者と別の認証者による二者認証を必要とする
ことを特徴とする請求項3記載の鍵管理システム。
【請求項12】
鍵を保持するホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部と、
前記ホルダーとは別体の位置情報取得用媒体を用いて検出される前記ホルダーの位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記ホルダーと前記位置情報取得用媒体とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする鍵管理装置。
【請求項13】
鍵を保持するホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部を有する鍵管理装置の鍵管理方法であって、
前記ホルダーとこのホルダーとは別体の位置情報取得用媒体とを関連付け処理し、
前記位置情報取得用媒体を用いて検出される前記ホルダーの位置情報を取得する
ことを特徴とする鍵管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵を管理する鍵管理システム、鍵管理装置および鍵管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理用のホルダーを用いて鍵を管理する鍵管理装置がある。例えば特許文献1では、位置情報取得モジュールを一体に備えたホルダーを用い、このホルダーに鍵を保持しておき、そして、ホルダーの位置情報により、ホルダーが予め決められた移動を許容される範囲の外に出たら、ホルダーが音声や警報音によって報知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-88828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような鍵管理装置では、位置情報取得モジュールを一体に備えたホルダーを用いることで、位置情報を含めた鍵管理の運用形態としているが、位置情報が不要な鍵管理の運用形態もあり、柔軟に対応できることが求められる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より厳正な鍵の管理に柔軟に対応できる鍵管理システム、鍵管理装置および鍵管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鍵管理システムは、鍵を保持する複数のホルダーと、前記ホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部と、前記ホルダーとは別体であって、前記ホルダーの位置情報を取得するための位置情報取得用媒体と、前記ホルダーと前記位置情報取得用媒体とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部と、を備える。
【0007】
前記制御部は、前記ホルダーに保持される前記鍵を交換する鍵交換処理を実行し、この鍵交換処理にて前記関連付け処理を実行する。
【0008】
前記位置情報取得用媒体を用いて取得された前記ホルダーの位置情報に基づき、前記ホルダーが所定範囲外に持ち出されたか否かを判定する判定部をさらに備える。
【0009】
前記所定範囲は、前記ホルダー毎、前記ホルダーの使用者毎、時間帯毎、前記ホルダーの使用目的毎、に設定される。
【0010】
前記ホルダーの現在の位置情報にかかる情報を報知する報知部をさらに備え、前記報知部は、前記所定範囲外に持ち出された前記ホルダーを他の前記ホルダーと区別可能に報知する。
【0011】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合と前記所定範囲外に持ち出されていない場合とで、前記ホルダーの使用履歴を区別可能に記憶する記憶部をさらに備える。
【0012】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、持ち出し理由を入力可能とする。
【0013】
前記ホルダーが前記所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、前記ホルダーの返却処理に前記ホルダーの使用者と別の認証者による二者認証を必要とする。
【0014】
また、鍵管理装置は、鍵を保持するホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部と、前記ホルダーとは別体の位置情報取得用媒体を用いて検出される前記ホルダーの位置情報を取得する位置情報取得部と、前記ホルダーと前記位置情報取得用媒体とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部と、を備える。
【0015】
また、鍵を保持するホルダーをそれぞれ収納する複数のホルダー収納部を有する鍵管理装置の鍵管理方法であって、前記ホルダーとこのホルダーとは別体の位置情報取得用媒体とを関連付け処理し、前記位置情報取得用媒体を用いて検出される前記ホルダーの位置情報を取得する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より厳正な鍵の管理に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態を示す鍵管理システムの構成図である。
図2】同上鍵管理システムの鍵管理装置の構成図である。
図3】同上鍵管理システムの位置管理処理のフローチャートである。
図4】同上鍵管理システムの返却処理のフローチャートである。
図5】同上鍵管理システムの鍵交換処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1に鍵管理システム10の構成図を示す。鍵管理システム10では、鍵11を、この鍵11を保持するホルダー12を用いて管理し、さらに、少なくとも特定の鍵11については、ホルダー12とともにこのホルダー12とは別体の位置情報取得用媒体13を用いて管理する。
【0020】
ホルダー12には、リング等の連結部14を介して鍵11や位置情報取得用媒体13が連結される。なお、ホルダー12には、鍵11や位置情報取得用媒体13が直接的に連結されてもよい。また、ホルダー12は、このホルダー12に対応した固有の識別情報や連結される鍵11の識別情報等を含む情報を読書可能に記憶するRFIDタグ等のICタグを備えている。そして、ホルダー12は、連結部14を介して連結された鍵11が外れないようにロックが掛けられているが、所定の鍵交換処理により、ロックが解除されて鍵11や位置情報取得用媒体13を自由に着脱可能な状態となり、鍵11の交換あるいは追加や削減、位置情報取得用媒体13の装着や取り外しが可能となっている。
【0021】
位置情報取得用媒体13は、本実施形態では電波を発信する発信部で構成されている。発信部としては、例えばBluetooth(登録商標)などの無線通信規格の電波を周期的に発信するビーコンタグが用いられる。位置情報取得用媒体13は、電波を発信する発信回路、およびこの発信回路に電力を供給する電池等を備えている。位置情報取得用媒体13は、固有の認識情報(ID)を有し、この認識情報が電波によって発信する情報に含まれる。なお、電波によって発信する情報には、電池の残量の情報を含めてもよい。また、位置情報取得用媒体13は、連結部14によって鍵11およびホルダー12とともに連結可能とする。
【0022】
位置情報取得用媒体13は、位置情報の管理が必要な鍵11を保持したホルダー12に取り付けられる。そのため、複数のホルダー12のうちの一部のみに位置情報取得用媒体13が取り付けられる場合、全てのホルダー12に位置情報取得用媒体13が取り付けられる場合、全てのホルダー12に位置情報取得用媒体13が取り付けられない場合(位置情報の管理が必要ない場合)がある。
【0023】
また、鍵管理システム10は、鍵管理装置20と、端末装置21と、位置情報取得用媒体13からの電波を受信する受信部(通信部)22とを備え、これらが例えば金融機関の店舗内ネットワーク等の所定のネットワーク23を通じて通信可能に接続されている。
【0024】
鍵管理装置20は、本体30、この本体30の前面側を開閉する表扉31、本体30の上部に設けられた表示操作部(表示部および操作部)32、および本体30の側部に配設されたプリンタ33部等を備えている。
【0025】
本体30は、この本体30の前面側に、鍵11を保管して管理する鍵管理部34を備えている。鍵管理部34には、ホルダー12をそれぞれ着脱可能に収納する複数のホルダー収納部35が設けられている。ホルダー収納部35は、鍵管理部34の前面側に、上下方向に複数段に設けられているとともに、各段の左右方向に複数列に並んで設けられている。ホルダー収納部35は、鍵管理部34の前面側に開口する孔状に設けられ、前方からホルダー12を挿入または取り出し可能とする。
【0026】
ホルダー収納部35には、収納されたホルダー12を施解錠する錠機構36(図2参照)、ホルダー収納部35に対してホルダー12の挿入(収納)および取り出しを検知する検知部37(図2参照)、ホルダー12のICタグに対して情報を読み書きするICタグ用リーダライタである情報読書部38(図2参照)、および使用者の使用権限に応じてホルダー収納部35から取り出し可能なホルダー12を表示するホルダー表示部39等が設けられている。なお、情報読書部38は、ホルダーのICタグから情報を読み出すICタグ用リーダである情報読取部であってもよい。また、ホルダー表示部39は、ホルダー収納部35の孔の周囲に設けられた導光体、およびこの導光体に光を入射する例えばLED等の光源を有している。そして、ホルダー表示部39は、光源が発する光により導光体が発光してホルダー収納部35に収納されているホルダー12の場所を表示するものであり、ホルダー収納部35にホルダー12が収納状態にあっても鍵管理部34の前方から視認可能となっている。ホルダー表示部39は、点灯、点滅が可能となっているとともに、例えば青色や黄色等の光色の変更が可能となっている。
【0027】
鍵管理部34には、ホルダー12に対して、鍵11の交換あるいは追加や削減、位置情報取得用媒体13の装着や取り外しを行うための交換部40が設けられている。交換部40は、開閉可能とするカバー41で覆われ、内部にホルダー12を挿入する交換孔が設けられている。交換部40は、交換部40に挿入されたホルダー12のICタグに対して情報を読み書きするICタグ用リーダライタまたは情報を読み出すICタグ用リーダを備えている。そして、交換部40は、権限を有する管理者(権限者)の操作による鍵交換処理に基づき、交換部40に挿入されたホルダー12のロックを解除して交換可能な状態とし、鍵11の交換あるいは追加や削減、位置情報取得用媒体13の装着や取り外しを可能とする。
【0028】
表扉31は、本体30の前面側の鍵管理部34を開閉可能で、鍵管理部34の閉鎖時には本体30に対して施錠可能とし、鍵管理部34の開放時にはプリンタ部33とは反対側となる本体30の側部に折り畳んで配置可能とする。
【0029】
表示操作部32は、タッチパネルディスプレイが用いられている。表示操作部32は、使用者に対して操作案内等の情報を表示する表示部、および使用者からの各種操作の入力を受け付ける操作部(入力部)である。
【0030】
プリンタ部33は、ホルダー12の持出履歴および返却履歴、各種の履歴等をロール紙等の用紙に印字する。印字された用紙は、プリンタ部33内の巻き取り部に巻き取られるか、プリンタ部33の前面側から導出される。なお、プリンタ部33は鍵管理装置20に必須の構成ではない。
【0031】
また、端末装置21は、パソコン、スマートフォン等で構成される。端末装置21は、権限を有する管理者(権限者)により、ネットワーク23を通じて鍵管理装置20を設定したり、鍵管理装置20が保有する鍵管理情報を確認可能とする。
【0032】
また、受信部22は、位置情報取得用媒体13から発信される電波を受信するビーコン受信部であり、例えばIoTゲートウェイ(Internet of Things Gateway)等の通信装置が用いられる。受信部22は、位置情報取得用媒体13から発信される電波を受信し、その受信した情報を、ネットワーク23を通じて鍵管理装置20や端末装置21に送信する。受信部22から送信する情報には、少なくとも位置情報取得用媒体13の識別情報、位置情報取得用媒体13からの電波を受信した際に検知される電波強度等が含まれ、さらに、位置情報取得用媒体13の電池の残量情報等が含まれていてもよい。
【0033】
なお、受信部22としては、ネットワーク23に接続される親機と、この親機に無線等によって通信可能とする複数の子機(中継受信部)とを用い、複数の子機を所定のエリア毎に設置し、位置情報取得用媒体13から発信される電波をいずれかの子機、または複数の子機で受信し、その情報を子機から親機を通じて鍵管理装置20や端末装置21に送信してもよい。
【0034】
次に、図2に鍵管理装置20のブロック図を示す。
【0035】
鍵管理装置20では、使用者とこの使用者の使用権限に応じて使用が許可されるホルダー12(鍵11)とを関連付けて予め登録しておき、使用者を認証して鍵管理装置20にログインすることにより、使用者の使用権限に応じて使用が許可されるホルダー12(鍵11)の持ち出しまたは返却を可能としている。
【0036】
鍵管理装置20は、鍵管理装置20を制御する制御部51を有している。制御部51には、表示操作部32と、各ホルダー収納部35の錠機構36、検知部37、情報読書部38およびホルダー表示部39と、交換部40と、各種の情報を記憶する記憶部52と、報知をするための報知部53とが接続されている。報知部53は、表示操作部32やホルダー表示部39での表示による報知や、スピーカ等を用いた音や音声等による報知が含まれる。
【0037】
制御部51は、使用者のログイン時に、使用者を認証する認証部54の機能を備えている。認証部54は、使用者の生体情報で認証してもよく、あるいはカードリーダを用いて使用者のIDカードにより認証したり、表示操作部32でのID番号やパスワードの入力により認証してもよい。
【0038】
また、制御部51は、ホルダー12と位置情報取得用媒体13とを関連付けする関連付け処理を実行する関連付け部(紐付け部)55の機能を備えている。関連付け部55は、権限を有する管理者により関連付け処理が可能で、表示操作部32に関連付けガイダンスを表示し、この関連付けガイダンスに従って管理者により入力されるホルダー12の識別情報と位置情報取得用媒体13の識別情報との関連付けを設定し、設定された関連付け情報を記憶部52に記憶する。ホルダー12と位置情報取得用媒体13との関連付けの設定は、1組に限らず、複数組の設定が可能となっている。なお、ホルダー12自体に識別情報(ICタグ)がない場合には、該ホルダー12を収納するホルダー収納部35の識別情報と位置情報取得用媒体13の識別情報とを関連付けすることで、ホルダー12と位置情報取得用媒体13とを間接的に関連付けしてもよい。
【0039】
制御部51は、交換部40でのホルダー12の鍵交換処理を実行し、この鍵交換処理の際に、関連付け部55による関連付け処理を実行するように制御する。なお、関連付け処理は、鍵交換処理とは別に独立して実行可能としてもよい。
【0040】
また、制御部51は、位置情報取得用媒体13が発信する電波に基づいて、ホルダー12の位置を検知する位置検知部56の機能を備えている。位置情報取得用媒体13から発信する電波は距離とともに減衰するため、位置情報取得用媒体13からの電波を受信する受信部22では位置情報取得用媒体13との距離に応じて受信する電波強度が変化する。制御部51は、位置検知部56により受信部22で受信する電波強度から位置情報取得用媒体13(ホルダー12)の位置を検知する。鍵管理システム10が1つの受信部22で運用する場合には、受信部22との間の距離に対応した位置情報取得用媒体13(ホルダー12)の位置を検知し、また、受信部22が親機と複数の子機を用いて運用する場合には、位置情報取得用媒体13からの電波を受信した親機または子機の設置エリアに対応した位置情報取得用媒体13(ホルダー12)の位置を検知する。なお、このような位置検知部56の機能は、端末装置21や受信部22が備え、検知した位置情報を鍵管理装置20の制御部51に送ってもよい。
【0041】
また、制御部51は、位置情報取得用媒体13を用いて取得されたホルダー12の位置情報に基づき、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたか否かを判定する判定部57の機能を備えている。なお、鍵管理装置20は、所定範囲内に設置される。
【0042】
判定部57によって判定する所定範囲は、例えば、ホルダー12毎、ホルダー12の使用者毎、時間帯毎、ホルダー12の使用目的毎等に任意に設定可能とする。この設定は、鍵管理装置20の表示操作部32や、端末装置21によって行うことができる。
【0043】
ホルダー12毎では、例えば、金融機関の店舗内に設置される金庫の鍵11を保持したホルダー12は店舗内のみ、社用車の鍵11を保持したホルダー12は店舗外でも可能等に設定される。
【0044】
ホルダー12の使用者毎では、一般使用者は店舗内のみ、管理者は制限なしに設定される。
【0045】
時間帯毎では、日付、時間、曜日、営業日や休業日等に応じて設定されるものであって、例えば営業時間内は店舗内のみ、営業時間外は店舗外でも可能等に設定される。
【0046】
ホルダー12の使用目的毎では、社用車の鍵11の使用目的が「忘れ物」なら駐車場を含む店舗内まで、使用目的が「運転」なら店舗外でも可能等に設定される。
【0047】
このような設定は、管理者により、鍵管理装置20の表示操作部32または端末装置21に表示される設定ガイダンスに従って行われる。
【0048】
また、制御部51は、報知部53によりホルダー12の現在の位置情報にかかる情報を報知する。この際、報知部53では、所定範囲外に持ち出されたホルダー12を他のホルダー12と区別可能に報知する。報知部53による報知は、表示操作部32およびホルダー表示部39のいずれで行ってもよい。例えば、持ち出されたホルダー12の現在の位置情報を表示操作部32の画面に表示したり、また、ホルダー表示部39で報知する場合には、所定範囲内に位置するホルダー12が抜き取られているホルダー収納部35のホルダー表示部39を青色表示し、所定範囲外に持ち出されたホルダー12が抜き取られているホルダー収納部35のホルダー表示部39を赤色表示し、区別可能に報知する。
【0049】
また、制御部51は、ホルダー12の使用履歴を記憶部52に記憶する。ホルダー12の使用履歴には、ホルダー12を持ち出した使用者、持出日時、返却日時、使用目的等が含まれる。
【0050】
記憶部52には、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたと判定された場合に所定範囲外への履歴(所定範囲外へ持ち出している位置情報や日時等)を記憶し、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたと判定された場合と所定範囲外に持ち出されていない場合とで、ホルダー12の使用履歴を区別可能に記憶する。
【0051】
また、制御部51は、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、ホルダー12の返却処理に、ホルダー12を所定範囲外に持ち出した持ち出し理由を入力することで、返却可能とする。例えば、ホルダー12の返却処理時に、表示操作部32に表示される返却ガイダンスに持ち出し理由の選択項目を設けて選択を受け付けるようにしてもよい。なお、予めホルダー12を所定範囲外に持ち出すことが分かっている場合等には、ホルダー12の取り出し時に持ち出し理由を入力してもよい。
【0052】
また、制御部51は、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたと判定された場合、ホルダー12の返却処理に、表示操作部32に表示される返却ガイダンスによって、ホルダー12の使用者と、この使用者とは別の管理者等の認証者とによる二者認証を必要とするように制御してもよい。
【0053】
なお、鍵管理装置20の関連付け部55、位置検知部56および判定部57の機能は、端末装置21や受信部22が備えてもよく、鍵管理システム10として備えていればよい。したがって、鍵管理システム10は、鍵11を保持する複数のホルダー12と、これらホルダー12をそれぞれ収納する複数のホルダー収納部35と、ホルダー12とは別体であって、ホルダー12の位置情報を取得するための位置情報取得用媒体13と、ホルダー12と位置情報取得用媒体13とを関連付けする関連付け処理を実行する制御部51とを備え、さらに、履歴を記憶する記憶部52と、ホルダー12の位置情報にかかる情報を報知する報知部53と、ホルダー12の持ち出しを判定する判定部57とを備えている。
【0054】
次に、鍵管理装置20での処理について説明する。
【0055】
鍵管理装置20で管理されている鍵11を使用するためにホルダー12を取り出す場合、使用者により表示操作部32で取り出しが選択操作されることにより、鍵管理装置20は使用者の認証処理を実行する。使用者が認証されると、使用者が使用権限のあるホルダー12を収納するホルダー収納部35の錠機構36を解錠するとともにホルダー表示部39を点滅表示する。
【0056】
使用者は、ホルダー表示部39が点滅したホルダー12のうち、使用するホルダー12を選択してホルダー収納部35から取り出す。
【0057】
そして、使用者によりホルダー12がホルダー収納部35から取り出されると、そのホルダー12の取り出しを検知部37で検知し、使用者の情報、取り出されたホルダー12や鍵11の情報、取出日時情報等を含む持出履歴を記憶部52に記憶する。そして、使用者は、取り出したホルダー12が備える鍵11を使用する。
【0058】
一方、ホルダー12を返却する場合には、認証有の場合と、認証無の場合とがある。
【0059】
認証有の場合、使用者により表示操作部32で返却が選択操作されることにより、鍵管理装置20は使用者の認証処理を実行する。使用者が認証された後、ホルダー12が対応するホルダー収納部35に挿入されることにより、検知部37でホルダー12の返却を検知し、ホルダー12の返却を受け付け、ホルダー12をホルダー収納部35の錠機構36で施錠する。
【0060】
認証無の場合には、ホルダー12が対応するホルダー収納部35に挿入されることにより、検知部37でホルダー12の返却を検知し、ホルダー12の返却を受け付け、ホルダー12をホルダー収納部35の錠機構36で施錠する。なお、認証無の場合でも、使用者により表示操作部32で返却が選択操作されてから、ホルダー12が対応するホルダー収納部35に返却されるようにしてもよい。
【0061】
そして、ホルダー12の返却を受け付けると、使用者の情報(認証有の場合)、返却されたホルダー12や鍵11の情報、返却日時情報等を含む返却履歴を記憶部52に記憶する。
【0062】
次に、位置情報取得用媒体13を用いたホルダー12の位置管理処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
位置情報取得用媒体13によってホルダー12の位置情報を取得する位置情報取得処理を実行する(ステップS1)。
【0064】
ホルダー12に保持されている位置情報取得用媒体13は、少なくともこの位置情報取得用媒体13の識別情報を電波によって周期的に発信する。
【0065】
受信部22は、位置情報取得用媒体13からの電波を受信すると、受信した位置情報取得用媒体13の識別情報、その位置情報取得用媒体13からの電波を受信した際に検知される電波強度の情報を、ネットワーク23を通じて鍵管理装置20に送信する。
【0066】
鍵管理装置20では、位置検知部56により、識別情報で特定される位置情報取得用媒体13の位置を電波強度の情報から検知し、この位置情報取得用媒体13に関連付けられているホルダー12の位置情報を取得する。鍵管理システム10が1つの受信部22で運用する場合には、受信部22との距離に対応した位置情報取得用媒体13の位置を検知し、また、受信部22が親機と複数の子機を用いて運用する場合には、位置情報取得用媒体13からの電波を受信した親機または子機の設置エリアに対応した位置情報取得用媒体13の位置を検知する。
【0067】
鍵管理装置20では、ホルダー12の位置情報が取得されると、取得されたホルダー12の位置情報から、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたか否かを判定部57により判定する(ステップS2)。所定範囲は、上述したように、ホルダー12毎、ホルダー12の使用者毎、時間帯毎、ホルダー12の使用目的毎等に任意に設定されている。
【0068】
鍵管理装置20は所定範囲内に設置されるため、位置情報取得用媒体13を保持したホルダー12が鍵管理装置20のホルダー収納部35に収納されている状態では、ホルダー12が所定範囲内にあると判定する。
【0069】
位置情報取得用媒体13を保持したホルダー12がホルダー収納部35から取り出されると、ホルダー12の持ち出し位置に応じて取得される位置情報が変化し、判定部57によりホルダー12が所定範囲外に持ち出されていないか監視する。
【0070】
判定部57によりホルダー12が所定範囲内に位置すると判定された場合には、該当するホルダー12が抜き取られているホルダー収納部35のホルダー表示部39を青色表示したり、表示操作部32の画面で表示したりして、所定範囲内に位置することを報知する(ステップS3)。
【0071】
判定部57によりホルダー12が所定範囲外に持ち出されたと判定された場合には、該当するホルダー12が抜き取られているホルダー収納部35のホルダー表示部39を赤色表示したり、表示操作部32の画面で表示したりして、所定範囲外に持ち出されたことを報知する(ステップS4)。
【0072】
これにより、持ち出されたホルダー12が所定範囲内に位置するのか、所定範囲外に持ち出されたかを区別して確認できる。
【0073】
ホルダー12が所定範囲外に持ち出された場合には、該当するホルダー12に関連付けて所定範囲外に持ち出されたことを示す履歴を記憶部52に記憶する(ステップS5)。この場合、ホルダー12が所定範囲外に持ち出された場合と所定範囲外に持ち出されていない場合とで、ホルダー12の使用履歴を区別可能に記憶し、この使用履歴からホルダー12の所定範囲外への持ち出しを容易に確認可能とする。
【0074】
次に、位置情報取得用媒体13を用いたホルダー12の返却処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0075】
ホルダー12の返却処理において、ホルダー12が鍵管理装置20の対応するホルダー収納部35に挿入され、検知部37でホルダー12の返却を検知すると、このホルダー12が所定範囲外に持ち出されているか判断する(ステップS11)。
【0076】
ホルダー12が所定範囲外に持ち出されていなければ、この返却処理にてホルダー12の返却を受け付ける(ステップS12)。
【0077】
ホルダー12が所定範囲外に持ち出されていれば、使用者による所定範囲外への持ち出し理由を入力するか、あるいは二者認証を行うことにより(ステップS13)、ホルダー12の返却を受け付ける。
【0078】
所定範囲外への持ち出し理由の入力は、例えば、表示操作部32の画面に持ち出し理由の選択項目を複数表示して選択を受け付けるようにしてもよい。入力された持ち出し理由は、ホルダー12に関連付けた履歴として記憶部52に記憶する。
【0079】
二者認証では、ホルダー12の使用者と、この使用者とは別の管理者等の認証者とが鍵管理装置20に対して認証をとる。認証をとった使用者および認証者の情報は、ホルダー12に関連付けた履歴として記憶部52に記憶する。二者認証では、認証者が、使用者から持ち出し理由を確認する対応をとることが可能となる。
【0080】
次に、ホルダー12の鍵交換処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0081】
権限を有する管理者により、表示操作部32で鍵交換処理が選択操作されると、表示操作部32に鍵交換ガイダンスを表示し、この鍵交換ガイダンスに従ってホルダー12の鍵交換処理が行われる(ステップS21)。鍵交換処理では、管理者によりホルダー12がホルダー収納部35から取り出されて交換部40に挿入されることにより、ホルダー12のロックが解除されて交換可能な状態となる。交換可能となったホルダー12に対して鍵11の交換、追加、削減を含む鍵交換処理が行われ、さらに、必要に応じて、位置情報取得用媒体13の新規の装着、交換、取り外しが行われる。その後、管理者により、ホルダー12が交換不可能な状態に戻され、ホルダー12が交換部40から取り出されてホルダー収納部35に戻される。
【0082】
また、この鍵交換処理において、表示操作部32には、鍵交換ガイダンスの途中、または鍵交換ガイダンスの終了後に続けて、位置情報取得用媒体13の関連付けガイダンスを表示する。
【0083】
位置情報取得用媒体13の新規の装着、交換、取り外しを行わなければ、管理者は表示操作部32を操作して関連付けガイダンスを終了し(ステップS22のNO)、鍵交換処理を終了する。
【0084】
位置情報取得用媒体13の新規の装着、交換、取り外しを行うと、ホルダー12との関連付けが変更になるため、管理者は表示操作部32を操作して関連付け処理を選択し(ステップS22のYES)、関連付け処理を実行する(ステップS23)。
【0085】
関連付け処理では、表示操作部32に表示される関連付けガイダンスに従って、位置情報取得用媒体13の識別情報を入力してホルダー12の識別情報と関連付けを設定する。このとき、上述したように、ホルダー12自体に識別情報(ICタグ)がない場合には、該ホルダー12を収納するホルダー収納部35の識別情報と位置情報取得用媒体13の識別情報とを関連付けすることで、ホルダー12と位置情報取得用媒体13とを間接的に関連付けしてもよい。ホルダー12の識別情報はホルダー12を交換部40に挿入することでのホルダー12のICタグから自動的に読み取ってもよいし、管理者が表示操作部32で入力してもよい。設定された関連付け情報は記憶部52に記憶し(ステップS24)、関連付け処理を終了する。
【0086】
なお、ホルダー12に対して鍵11を交換せず、位置情報取得用媒体13の新規の装着、交換、取り外しのみを行う場合にも、交換部40での鍵交換処理によって関連付け処理を実行することができる。
【0087】
そして、このように構成された鍵管理システム10、および鍵管理装置20では、ホルダー12とは別体の位置情報取得用媒体13を用い、この位置情報取得用媒体13をホルダー12と関連付け処理して運用する構成であるため、位置情報の管理が不要なホルダー12はそのままで、位置情報の管理が必要なホルダー12にのみ位置情報取得用媒体13を付加して管理でき、より厳正な鍵11の管理に柔軟に対応できる。
【0088】
また、ホルダー12の鍵交換処理において、位置情報取得用媒体13の新規の装着、交換とともに、その関連付け処理を実行することができる。
【0089】
また、位置情報取得用媒体13を用いて取得されたホルダー12の位置情報に基づき、ホルダー12が所定範囲外に持ち出されたか否かを自動的に判定することにより、鍵11の管理を厳正にできる。
【0090】
所定範囲は、ホルダー12毎、ホルダー12の使用者毎、時間帯毎、ホルダー12の使用目的毎等に任意に設定でき、状況に応じた厳正な鍵11の管理に柔軟に対応できる。
【0091】
所定範囲外に持ち出されたホルダー12を他のホルダー12と区別可能に報知することにより、持ち出されたホルダー12が所定範囲内に位置するのか、所定範囲外に持ち出されかを区別して確認できる。
【0092】
ホルダー12が所定範囲外に持ち出された場合と所定範囲外に持ち出されていない場合とで、ホルダー12の使用履歴を区別可能に記憶部52に記憶するため、この使用履歴からホルダー12の所定範囲外への持ち出しを容易に確認できる。
【0093】
所定範囲外に持ち出されたホルダー12の返却処理の際、使用者による所定範囲外への持ち出し理由を入力するか、あるいは二者認証を必要とすることにより、鍵11の管理を厳正にできる。
【0094】
なお、位置情報取得用媒体13は、例えば、GPS(Global Positioning System)や、加速度センサ等を用いて、自身で位置情報を取得する位置情報取得部であってもよい。この場合、位置情報取得用媒体13は、例えば携帯電話回線等を通じて通信する通信手段を備え、取得された位置情報を鍵管理システム10のサーバーに送信し、サーバーから受信部22を通じて鍵管理装置20や端末装置21が取得するように構成してもよい。
【0095】
また、位置情報取得用媒体13から発信する電波に電池の残量情報を含める場合には、この電池の残量情報を取得した鍵管理装置20において、位置情報取得用媒体13毎の電池の残量情報を表示したり、電池の残量が所定の閾値よりも少なくなった場合に報知するようにしてもよい。電池の残量が少なくなると、電波強度が低下し、位置情報の取得に影響が生じるため、影響が生じる前に電池交換や位置情報取得用媒体13の交換などの対応ができる。
【0096】
また、位置情報取得用媒体13は、ホルダー12に一体に配置されていてもよい。例えば、鍵交換処理によってロックが解除されたホルダー12の内部に位置情報取得用媒体13を組み込んで一体に構成してよく、あるいは、予め位置情報取得用媒体13が一体に組み込まれたホルダー12を用いてもよい。
【0097】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 鍵管理システム
11 鍵
12 ホルダー
13 位置情報取得用媒体
20 鍵管理装置
51 制御部
52 記憶部
53 報知部
57 判定部
図1
図2
図3
図4
図5