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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107939
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】エンコーダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20240802BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G01D5/244 E
G01D5/245 110M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012147
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 晃
(72)【発明者】
【氏名】中山 智晴
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077AA20
2F077AA24
2F077AA25
2F077CC02
2F077CC09
2F077NN02
2F077NN04
2F077NN17
2F077PP12
2F077PP13
2F077QQ17
2F077TT33
2F077TT35
2F077TT51
2F077TT66
2F077TT71
2F077TT87
(57)【要約】
【課題】誤差の発生を抑制するエンコーダを提供する。
【解決手段】回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石による磁場により発電する発電素子と、を備えるエンコーダ。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、
前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石による磁場により発電する発電素子と、
を備える、
エンコーダ。
【請求項2】
前記第2磁石は、片面6極の磁石である、
請求項1に記載のエンコーダ。
【請求項3】
前記発電素子の発電極性と、前記磁気センサにより磁場を検出した磁場極性に基づいて、角度位置及び回転カウントを測定する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダ。
【請求項4】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を更に備える、
請求項3に記載のエンコーダ。
【請求項5】
位置検出部を更に備え、
前記発電素子及び前記磁気センサに基づいて検出された角度位置と、前記位置検出部により検出された角度位置に基づいて、前記角度位置及び前記回転カウントを補正する、
請求項3に記載のエンコーダ。
【請求項6】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を備える、
請求項5に記載のエンコーダ。
【請求項7】
回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石と、
前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石と、
前記第1磁石による磁場及び前記第2磁石による磁場により動作するエンコーダと、
を備える、
エンコーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンコーダ及びエンコーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1つのパルスワイヤ(ウィーガンドワイヤ)センサを有するセグメントカウンタと精密位置センサとを同期させるための方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5730809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリレスエンコーダとして、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子を利用する場合がある。バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子はヒステリシスを有している。バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子はヒステリシスを有するため、一方向で発電した後に、十分な磁気飽和に達していない場合に反対方向の発電量が少なくなる場合がある。発電素子において、発電量が少ないと、エンコーダの回転誤差が発生する場合がある。
【0005】
本開示は、誤差の発生を抑制するエンコーダを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石による磁場により発電する発電素子と、を備えるエンコーダを提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のエンコーダによれば、誤差の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータシステムを説明する図である。
図2図2は、第1実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータの構成を説明する図である。
図3図3は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
図4図4は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
図5図5は、第1実施形態に係るエンコーダの回路構成を説明する図である。
図6図6は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図7図7は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図8図8は、第1実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図9図9は、第1実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図10図10は、第1実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図11図11は、第1実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図12図12は、第1実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図13図13は、第1実施形態に係るエンコーダの処理を説明するフロー図である。
図14図14は、第2実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータの構成を説明する図である。
図15図15は、第2実施形態に係るエンコーダの構成について説明する図である。
図16図16は、第2実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図17図17は、第2実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図18図18は、第2実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図19図19は、第2実施形態に係るエンコーダの動作について説明する図である。
図20図20は、第2実施形態に係るエンコーダの処理を説明するフロー図である。
図21図21は、本実施形態に係るエンコーダの磁石の変形例について説明する図である。
図22図22は、本実施形態に係るエンコーダの磁石の変形例について説明する図である。
図23図23は、本実施形態に係るエンコーダシステムの磁石により生成される磁場について説明する図である。
図24図24は、本実施形態に係るエンコーダの変形例の構成について説明する図である。
図25図25は、本実施形態に係るエンコーダの変形例の回路構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態に係る明細書及び図面の記載に関して、実質的に同一の又は対応する機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0010】
≪第1実施形態≫
<サーボモータシステム>
最初に、本実施形態に係るエンコーダを用いるサーボモータシステムについて説明する。図1は、本実施形態に係るエンコーダ12を用いるサーボモータシステム1を説明する図である。
【0011】
サーボモータシステム1は、サーボモータ10と、サーボコントローラ20と、を備える。サーボコントローラ20は、サーボモータ10から回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を取得する。サーボコントローラ20は、取得した位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を用いて、サーボモータ10を制御する
【0012】
サーボモータ10は、モータ11と、エンコーダ12と、を備える。モータ11は、配線L1を介してサーボコントローラ20と接続する。エンコーダ12は、配線L2を介してサーボコントローラ20と接続する。
【0013】
モータ11は、サーボコントローラ20からの指令に基づいて矢印ARの方向に回転軸11aを回転する。具体的には、モータ11は、サーボコントローラ20から供給される電力に基づいて、矢印ARの方向に回転軸11aを回転する。サーボコントローラ20は、配線L1から制御した電力を供給することにより、モータ11を制御する。モータ11は、例えば、AC(Alternating Current)モータ、DC(Direct Current)モータ等である。
【0014】
エンコーダ12は、磁場の変動を検出して、モータ11の回転軸11a等の対象の位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を検出する。また、エンコーダ12は、検出した位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を、配線L2を介してサーボコントローラ20に出力する。なお、回転軸11aの位置情報とは、例えば、回転軸11aの回転方向の角度である。回転軸11aの回転情報とは、例えば、回転軸11aの回転速度又は回転軸11aが所定の時点から何回転したかを示す回転回数である。
【0015】
<サーボモータ10>
次に、本実施形態に係るエンコーダ12を用いるサーボモータ10の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るエンコーダ12を用いるサーボモータ10の構成を説明する図である。なお、矢印付き線は、電力又は電流の供給の流れを示す。
【0016】
[モータ11]
モータ11は、回転軸11aのエンコーダ12側に設けられるディスク11dと、ディスク11d上に設けられる磁石11mと、を備える。なお、モータ11は、回転軸11a、ディスク11d及び磁石11m以外に、回転軸11aを支持する軸受、回転軸11aを回転させるためのステータを構成する巻線、鉄芯及びロータを構成する永久磁石等の周知の要素を備えるが、ここでは説明を省略する。
【0017】
ディスク11dは、回転軸11aに固定される。ディスク11dは、回転軸11aの矢印ARの方向への回転に伴って、回転軸11aと一緒に回転する。ディスク11dのエンコーダ12側の面に、磁石11mが固定される。
【0018】
磁石11mは、ネオジム等により形成される永久磁石である。磁石11mは、ディスク11dの面に平行な方向に、N極とS極を有するように設けられる。磁石11mがディスク11dとともに回転すると、エンコーダ12側の磁場が変化する。
【0019】
後述するように、磁石11mは、回転軸11aに対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石11m1と、回転軸11aに対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石11m2と、を備える(図8参照)。
【0020】
[エンコーダ12]
エンコーダ12について説明する。エンコーダ12は、磁石11mの回転によって変化する磁場によって、回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を検出する。エンコーダ12は、アブソリュートエンコーダである。本実施形態に係るエンコーダ12は、少なくともマルチターンエンコーダとして動作する。すなわち、エンコーダ12は、回転軸11aが何回転したかを計数する。また、エンコーダ12は、磁石11mの回転によって変化する磁場によって、エンコーダ12を動作させるために必要な電力を生成する。
【0021】
エンコーダ12は、発電素子12gと、整流回路12aと、安定化電源回路12bと、極性検知回路12dと、を備える。また、エンコーダ12は、駆動回路12e1及び駆動回路12e2と、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2と、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2と、制御回路12pと、記憶部12rと、を備える。なお、整流回路12a及び安定化電源回路12bをまとめて電源回路12nという。また、極性検知回路12d、駆動回路12e1、駆動回路12e2、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2をまとめて回転検知回路12mと呼ぶ。また、エンコーダ12と磁石11mをまとめてエンコーダシステム30という場合がある。
【0022】
エンコーダ12は、移動による磁束の変化により発電する発電素子12gと、磁場を計測する第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2と、を備える。発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁石11mにより生じる磁場の影響を受けやすいように、エンコーダ12のモータ11側に設けられる。
【0023】
[発電素子12g]
発電素子12gは、磁気エネルギーを電気パルスに変換して発電する素子である。発電素子12gは、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子である。発電素子12gは、例えば、環境発電機(EHG:Energy Harvest Generator)であるウィーガントワイヤ(Wiegand wire)である。
【0024】
発電素子12gは、ハードコアと、ハードコアの周りに巻き付けられたソフトレイヤと、を備える。ハードコアは、保磁力の大きな素材により形成される。ソフトレイヤは、保磁力の小さい素材により形成される。発電素子12gは、外部磁場の向きが反転する際に、発電パルスが発生する。
【0025】
例えば、ウィーガントワイヤは、外部磁界が反転する零点近傍で、外部磁束の変化速度に依存せずに電気パルスを発生する。したがって、ウィーガントワイヤは、回転軸11aの回転速度によらずに一定の電力を発生する。ウィーガントワイヤは、低速の回転(移動)による緩やかな磁束変化でも安定した電気パルス(電圧パルス)を発生する。ウィーガントワイヤは、磁場が反転するタイミングで電気パルスが発生する。
【0026】
発電素子12gにおいて、環境発電機を利用することにより、エンコーダ12は、電池又は外部電源が不要である。すなわち、エンコーダ12は、バッテリーレスのエンコーダである。ウィーガントワイヤは、回転軸11aの回転速度によらずに一定の電力を発生すること、特に低速回転でも安定した発電波形が得られることから、バッテリーレスのエンコーダであるエンコーダ12の発電素子12gとして使用するのに適している。
【0027】
なお、発電素子12gは、ウィーガントワイヤに限らず、バルクハウゼン特性を利用して発電する発電素子であればよい。
【0028】
発電素子12gは、磁石11mによる磁場により発電する。より具体的には、発電素子12gは、後述する第2磁石11m2による磁場により発電する。
【0029】
[第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2]
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁場を検出する。より具体的には、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、後述する第1磁石11m1による磁場を検出する。
【0030】
第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、例えば、ホール素子である。ホール素子は、駆動電流が流れる半導体素子を横切る磁場を検出する。エンコーダ12では、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、磁石11mにより生じる磁場を主に検出する。第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを構成するホール素子は、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)、ヒ化ガリウム(GaAs)等の半導体素子により構成される。ホール素子は、駆動電流及び駆動電流を横切る磁束密度に比例した電圧を出力する。
【0031】
第1磁気センサ12h1は、磁場の検出信号を信号処理回路12f1に出力する。第1磁気センサ12h1は、駆動回路12e1から定電流Idrが供給される。また、第2磁気センサ12h2は、磁場の検出信号を信号処理回路12f2に出力する。第2磁気センサ12h2は、駆動回路12e2から定電流Idrが供給される。
【0032】
第1磁気センサ12h1には、発電素子12gで生成された電力を、整流回路12aで整流し、更に駆動回路12e1で定電流化された電流(定電流Idr)が供給される。また、第2磁気センサ12h2には、発電素子12gで生成された電力を、整流回路12aで整流し、更に駆動回路12e2で定電流化された電流(定電流Idr)が供給される。
【0033】
なお、エンコーダ12は、2個の磁気センサを備えているが、磁気センサの個数に関しては、2個に限らない。エンコーダ12は、磁気センサを3個以上備えてもよい。また、磁場の測定は磁気を検出可能な素子(磁気検出素子)であれば、ホール素子に限らない。例えば、磁気センサとして、磁気抵抗効果素子等を用いてもよい。
【0034】
エンコーダ12が備える回路構成について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態に係るエンコーダ12の回路構成を説明する図である。
【0035】
[整流回路12a]
整流回路12aは、発電素子12gが生成した電力を整流して、正の電圧を生成する。整流回路12aは、全波整流回路12a1と、コンデンサ12a2と、を備える。
【0036】
全波整流回路12a1は、発電素子12gが生成した電圧Vgnの正負のパルスを正のパルスに整流する。全波整流回路12a1は、いわゆる、ダイオードブリッジ回路である。例えば、発電素子12gがウィーガントワイヤである場合に、発電素子12gは、正負のパルスを生成する。全波整流回路12a1は、発電素子12gが生成した正負のパルスを、正のパルスに変換する。
【0037】
コンデンサ12a2は、発電素子12gが発電した電力を蓄電する。また、コンデンサ12a2は、全波整流回路12a1が生成した正のパルスを平滑化する。コンデンサ12a2は、全波整流回路12a1の出力端子と、共通電位との間に設けられる。コンデンサ12a2によって正のパルスが平滑化されることにより、整流回路12aから、平滑化された電圧Vrcが出力される。
【0038】
[安定化電源回路12b]
安定化電源回路12bは、整流回路12aから出力された電圧を略一定の電圧にして出力する。安定化電源回路12bは、レギュレータ12b1を備える。レギュレータ12b1は、例えば、LDO(Low Dropout)レギュレータである。
【0039】
安定化電源回路12bは、所定の大きさの電圧が入力されると、略一定の電圧Vddを出力する。
【0040】
[極性検知回路12d]
極性検知回路12dは、発電素子12gが生成した電力の極性を検知する。図4は、本実施形態に係るエンコーダ12における極性検知回路12dの回路構成を説明する図である。極性検知回路12dは、比較器12d1と、フィルタ回路12d2と、ダイオード12d3と、を備える。ダイオード12d3は、極性検知回路12dから発電素子12gに電流が流れることを防止する。フィルタ回路12d2は、抵抗12d2aと、コンデンサ12d2bと、を備えるローパスフィルタである。
【0041】
比較器12d1は、電圧Vgnsと基準となる電位(基準電位Vref2)とを比較して、比較結果を制御回路12pに出力する。比較器12d1は、いわゆるコンパレータである。比較器12d1は、差動増幅器12d1aと、抵抗12d1b、抵抗12d1c及び抵抗12d1dと、を備える。差動増幅器12d1aには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。差動増幅器12d1aは、発電素子12gの出力の電圧Vgnをフィルタ回路12d2により平滑化した電圧Vgnsと、電圧Vddを抵抗12d1c及び抵抗12d1dとで分圧して生成した基準電位Vref2とを比較する。そして、差動増幅器12d1aは、比較結果を電圧信号である極性信号Splとして制御回路12pに出力する。抵抗12d1bは帰還抵抗である。
【0042】
[駆動回路12e1及び駆動回路12e2]
駆動回路12e1、駆動回路12e2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2に定電流Idrを供給するいわゆる定電流回路である。駆動回路12e1及び駆動回路12e2のそれぞれは、定電流源として動作する。エンコーダ12は、ホール素子である第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを定電流Idrで駆動する。
【0043】
駆動回路12e1は、駆動電流として定電流がホール素子である第1磁気センサ12h1に流れるように、第1磁気センサ12h1に駆動電力を供給する。また、駆動回路12e2は、駆動電流として定電流がホール素子である第2磁気センサ12h2に流れるように、第2磁気センサ12h2に駆動電力を供給する。
【0044】
図5は、本実施形態に係るエンコーダ12における駆動回路及び磁気センサの回路構成を説明する図である。なお、駆動回路12e1及び駆動回路12e2は、同じ回路構成を有することから、図5においては、駆動回路12e1及び駆動回路12e2のそれぞれを駆動回路12eとして説明する。また、図5においては、ホール素子である第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれを、抵抗12ha、抵抗12hb、抵抗12hc及び抵抗12hdを備えるブリッジ回路を用いて、磁気センサ12hとして等価的に示す。
【0045】
駆動回路12eは、トランジスタ12eaと、電流検出用抵抗12ebと、差動増幅器12ecと、を備える。また、駆動回路12eは、抵抗12edと、ツェナーダイオード12ee、コンデンサ12efと、を備える。
【0046】
トランジスタ12eaは、磁気センサ12hに定電流が流れるように制御される。トランジスタ12eaのゲート端子には、差動増幅器12ecの出力端子が接続される。差動増幅器12ecは、+端子と-端子との間の電位差に基づく電圧を、出力端子から出力する。駆動回路12eは、+端子に入力される電圧と、電流検出用抵抗12ebの抵抗値に基づく一定の電流(定電流Idr)が、トランジスタ12eaのドレインとソースの間に流れるように制御される。
【0047】
磁気センサ12hは、定電流Idrにより駆動され、定電流Idr及び磁気センサ12hを横切る磁束密度に比例する電圧Vh+及び電圧Vh-を出力する。
【0048】
なお、駆動回路12eは、安定化電源回路12bから供給される電圧Vddにより駆動される。
【0049】
[信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2]
信号処理回路12f1、信号処理回路12f2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2からの検出信号を処理して、磁石11mの磁場の方向を検出する。また、信号処理回路12f1、信号処理回路12f2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2からの検出信号に基づいて、磁石11mの磁場の強度を制御回路12pに出力する。図3を用いて、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2について説明する。なお、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2は、同じ回路構成を有することから、図3においては、信号処理回路12f1を用いて説明する。
【0050】
信号処理回路12f1は、差動増幅器12faと、比較器12fbと、量子化器12fcと、を備える。
【0051】
(差動増幅器12fa)
差動増幅器12faは、磁気センサ12hから出力された電圧Vh+及び電圧Vh-の電位差を増幅した電圧Vdを、比較器12fbに出力する。差動増幅器12faには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。
【0052】
(比較器12fb)
比較器12fbは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdと基準となる電位(基準電位Vref)とを比較して、比較結果を制御回路12pに出力する。比較器12fbは、いわゆるコンパレータである。比較器12fbは、差動増幅器12fb1と、抵抗12fb2、抵抗12fb3及び抵抗12fb4と、を備える。差動増幅器12fb1には、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。差動増幅器12fb1は、差動増幅器12faの出力の電圧Vdと、電圧Vddを抵抗12fb3及び抵抗12fb4とで分圧して生成した基準電位Vrefとを比較して、比較結果を電圧信号である磁極信号Smg1として制御回路12pに出力する。抵抗12fb2は帰還抵抗である。
【0053】
(量子化器12fc)
量子化器12fcは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdを量子化して、量子化した結果を制御回路12pに出力する。量子化器12fcは、いわゆるアナログ/デジタルコンバータ(ADコンバータ)である。量子化器12fcは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdを量子化して、例えば、8ビットのデジタル値を磁場強度信号Dmg1として制御回路12pに出力する。
【0054】
[制御回路12p]
制御回路12pは、極性検知回路12d、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2のそれぞれからの入力に基づいて、モータ11の回転軸11aの回転位置、回転数等の位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を算出する。また、制御回路12pは、検出したモータ11の回転軸11aの位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を記録したり、外部の制御システム、例えば、サーボコントローラ20、に伝送したりする。
【0055】
制御回路12pは、例えば、マイコン、ASIC(application specific integrated circuit)等である。また、制御回路12pは、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)等でもよい。
【0056】
制御回路12pは、外部に設けられた記憶部12rに接続する。なお、制御回路12pは、外部の記憶部12rに換えて、強誘電体メモリ等の不揮発性のメモリを内部に備えてもよい。
【0057】
制御回路12pは、端子PWR、端子SIG1、端子列SIG1d、端子SIG2、端子列SIG2d及び端子SIG3を少なくとも備える。
【0058】
制御回路12pの端子PWRはプラス側の電源が供給される端子である。端子PWRには、安定化電源回路12bから電圧Vddの電力が供給される。制御回路12pは、端子PWRに電力が供給されることにより動作する。
【0059】
制御回路12pの端子SIG1、端子SIG2及び端子SIG3のそれぞれは、外部から信号が入力される端子である。制御回路12pの端子列SIG1d及び端子列SIG2dは、外部から複数ビットの信号が入力される端子列である。
【0060】
端子SIG1は、信号処理回路12f1に接続される。端子SIG1から、信号処理回路12f1で検出された検出結果である磁極信号Smg1が入力される。磁極信号Smg1は、第1磁気センサ12h1で検出された磁場の方向を示す信号である。端子SIG2は、信号処理回路12f2に接続される。端子SIG2から、信号処理回路12f2で検出された検出結果である磁極信号Smg2が入力される。磁極信号Smg2は、第2磁気センサ12h2で検出された磁場の方向を示す信号である。
【0061】
端子列SIG1dは、信号処理回路12f1に接続される。端子列SIG1dから、信号処理回路12f1で検出された検出結果である磁場強度信号Dmg1が入力される。磁場強度信号Dmg1は、第1磁気センサ12h1で検出された磁場の強度を示す信号である。端子列SIG2dは、信号処理回路12f2に接続される。端子列SIG2dから、信号処理回路12f2で検出された検出結果である磁場強度信号Dmg2が入力される。磁場強度信号Dmg2は、第2磁気センサ12h2で検出された磁場の強度を示す信号である。
【0062】
端子SIG3は、極性検知回路12dに接続される。端子SIG3から、極性検知回路12dで検出された検出結果である極性信号Splが入力される。極性信号Splは、発電素子12gの発電極性を示す信号である。
【0063】
本実施形態に係るエンコーダ12は、回転軸11aが何回転したかを計数する。制御回路12pは、磁極信号Smg1及び極性信号Splを用いて、回転軸11aが何回転したかを計数する。また、制御回路12pは、磁極信号Smg1及び極性信号Splを用いて、回転軸11aが一周を90度ごとに分けた領域のどの領域にあるかを検出する。そして、制御回路12pは、回転軸11aが何回転したか計数した結果と回転軸がどの領域にあるかを検出した結果を、記憶部12rに保存する。また、制御回路12pは、最後に検出した磁極信号Smg1、磁極信号Smg2及び極性信号Splを記憶部12rに保存する。
【0064】
また、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2を用いて、回転軸11aの回転角度を求める。例えば、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1と、磁場強度信号Dmg2の比から、逆正接関数を用いて回転軸11aの回転角度を算出する。
【0065】
[記憶部12r]
記憶部12rは、例えば、回転カウント等を保存する。記憶部12rは、例えば、強誘電体メモリである。制御回路12pは、記憶部12rに、回転軸11aが何回転したか示す計数値と、回転軸の位置と、最後に検出した磁極信号Smg1、磁極信号Smg2及び極性信号Splと、を少なくとも保存する。
【0066】
<エンコーダ12の構成>
エンコーダ12の構成について説明する。図6及び図7は、第1実施形態に係るエンコーダ12の構成について説明する図である。図6は、エンコーダ12における発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2の配置を説明するための斜視図である。図7は、エンコーダ12における発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2の配置を説明するための平面図である。
【0067】
発電素子12gは、基板12jの上側の面における中心に配置される。第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2のそれぞれは、基板12jの下側の面に配置される。図7に示すように、図7における右側の水平な軸を角度0度として、反時計回りに角度を定義した場合について説明する。角度0度の軸上に第1磁気センサ12h1は配置される。また、角度90度の軸上に第2磁気センサ12h2は配置される。言い換えると、第2磁気センサ12h2は、第1磁気センサ12h1に対して、回転方向に90度位相がずれた位置に設けられる。発電素子12gは、図7における縦方向に長手方向を有するように配置される。なお、発電素子12gの位置は、上記の例に限らず、発電可能な位置であって、発電素子12gが発電時に、第1磁気センサ12h1がN極又はS極のピークになる位置であればよい。例えば、発電素子12gは、発電できる範囲であれば、図7における発電素子12gの位置から平行移動してもよい。
【0068】
磁石11mは、モータ11における回転軸11aに固定されるディスク11dに設けられる。回転軸11aが回転すると、磁石11mも回転する。エンコーダ12は、回転軸11aの回転角度を測定する。すなわち、回転軸11aは、回転位置の測定対象の一例である。
【0069】
磁石11mについて説明する。図8は、第1実施形態に係るエンコーダ12の構成について説明する図である。具体的には、図8は、エンコーダ12に用いられる磁石11mを説明するための平面図である。
【0070】
磁石11mは、回転軸11aに対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石11m1と、回転軸11aに対称に設けられる片面6極の磁石である第2磁石11m2と、を備える。なお、第2磁石11m2の極数は6に限らない。例えば、第2磁石11m2の極数は4以上であればよい。例えば、第2磁石11m2の極数は、2+2nであればよい。ただし、nは自然数である。
【0071】
第1磁石11m1は、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2において検出される磁場を発生させる。第2磁石11m2は、発電素子12gにおいて発電するため磁場を発生させる。
【0072】
図8のように、第1磁石11m1のN極を角度0度の方向に配置した状態を基準にして説明する。なお、第1磁石11m1のN極が示す方向を磁石11mの磁石方向という。
【0073】
第1磁石11m1のN極が角度0度の方向に配置されている場合、第1磁石11m1のS極は角度180度の方向に配置される。また、第1磁石11m1のN極が角度0度の方向に配置されている場合、第2磁石11m2のN極は、角度60度、角度180及び角度300度のそれぞれの方向に配置される。さらに、第1磁石11m1のN極が角度0度の方向に配置されている場合、第2磁石11m2のS極は、角度0度、角度120及び角度240度のそれぞれの方向に配置される。
【0074】
磁石11mが回転したときの発電素子12gの発電極性と、第1磁気センサ12h1の磁化極性について説明する。
【0075】
図9は、第1実施形態に係るエンコーダ12の動作について説明する図である。図9に示すように発電素子12gの発電デバイスであるウィーガントワイヤを配置した場合、磁石11mの回転と共に発電が角度60度ごとに発生する。
【0076】
ウィーガントワイヤである発電素子12gは、ヒステリシスを有する。ヒステリシスによる角度のずれを、例として10度として説明する。なお、ヒステリシスによる角度のずれは、10度に限らず、発電素子12gの特性によって異なる。例えば、ヒステリシスは、温度等により変化する場合がある。
【0077】
磁石11mが回転すると、発電素子12gは、角度0度、角度60度、角度120度、角度180度、角度240度及び角度300度の付近で発電する。図9において、発電素子12gが発電する角度を丸印で示す。図9に示すように、回転方向によって、ヒステリシスの分ずれた角度で発電する。
【0078】
具体的に説明すると、例えば、角度60度において、反時計回り(CCW)に回転する場合、ヒステリシスにより角度がずれて、発電素子12gは角度70度でマイナス発電する。すなわち、角度70度において、発電素子12gの発電極性(GP)はマイナス(-)である。なお、図9において、発電極性がマイナスであることを「GP:-」として表す。
【0079】
一方、角度60度において、時計回り(CW)に回転する場合、と、発電素子12gは角度50度でプラス発電する。すなわち、角度50度において、発電素子12gの発電極性(GP)はプラス(+)である。なお、図9において、発電極性がプラスであることを「GP:+」として表す。
【0080】
なお、磁石11mが反時計回り(CCW)に回転する場合、角度0度付近、角度120度付近及び角度240度付近のそれぞれにおいて、発電素子12gはプラス発電する。図9の例で説明すると、磁石11mが反時計回り(CCW)に回転する場合、角度10度、角度130度及び角度250のそれぞれの角度において、発電素子12gはプラス発電する。磁石11mが反時計回り(CCW)に回転する場合、角度60度付近、角度180度付近及び角度300度付近のそれぞれにおいて、発電素子12gはマイナス発電する。図9の例で説明すると、磁石11mが反時計回り(CCW)に回転する場合、角度70度、角度190度及び角度310のそれぞれの角度において、発電素子12gはマイナス発電する。
【0081】
また、磁石11mが時計回り(CW)に回転する場合、角度60度付近、角度180度付近及び角度300度付近のそれぞれにおいて、発電素子12gはプラス発電する。図9の例で説明すると磁石11mが時計回り(CW)に回転する場合、角度50度、角度170度及び角度290のそれぞれの角度において、発電素子12gはプラス発電する。磁石11mが時計回り(CW)に回転する場合、角度0度付近、角度120度付近及び角度240度付近のそれぞれにおいて、発電素子12gはマイナス発電する。図9の例で説明すると、磁石11mが時計回り(CW)に回転する場合、角度110度、角度230度及び角度350のそれぞれの角度において、発電素子12gはマイナス発電する。
【0082】
また、図9に示すように配置した第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性:MP)は、角度0度から角度90度及び角度270度から角度360度(角度0度)、すなわち、図9の右側半分ではNになる。一方、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性:MP)は、角度90度から角度270度、すなわち、図9の左側半分ではSとなる。なお、図9において、第1磁気センサ12h1における発電極性がNであることを「MP:N」、第1磁気センサ12h1における発電極性がSであることを「MP:S」として表す。
【0083】
したがって、発電素子12gの発電極性と、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)から角度90度で位置が検出可能である。角度分解能が90度である位置検出を発電のタイミング(角度0度付近及び角度180度付近)で実施する。なお、角度0度付近及び角度180度付近であるかどうかについては、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2を用いて回転軸11aの回転角度を求めて、角度0度付近及び角度180度付近であるかどうか判定する。例えば、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1と、磁場強度信号Dmg2の比から、逆正接関数を用いて回転角度を算出して、角度が角度0度付近及び角度180度付近であるかどうか判定する。
【0084】
具体的には、角度0度付近及び角度180度付近において、発電素子12gの発電極性がプラスで、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)がNの場合、回転軸11aの位置は、角度が0度から90度の範囲である位置POS1(第1象限)であると判断する。角度0度付近及び角度180度付近において、発電素子12gの発電極性がプラスで、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)がSの場合、回転軸11aの位置は、角度が90度から180度の範囲である位置POS2(第2象限)であると判断する。
【0085】
角度0度付近及び角度180度付近において、発電素子12gの発電極性がマイナスで、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)がSの場合、回転軸11aの位置は、角度が180度から270度の範囲である位置POS3(第3象限)であると判断する。角度0度付近及び角度180度付近において、発電素子12gの発電極性がマイナスで、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)がNの場合、回転軸11aの位置は、角度が270度から360度(0度)の範囲である位置POS4(第4象限)であると判断する。
【0086】
上記をまとめたものを表1に示す。表1は、エンコーダ12が、発電極性(GP)と磁場極性(MP)を検出したときに、エンコーダ12が、磁石11mにおけるN極がどの位置(象限)にあると判定するかを示す。なお、表1には、磁石11mがどちら向きに回転するかについても示す。以下、磁石11mにおけるN極の位置を、磁石11mの位置という。
【0087】
【表1】
【0088】
例えば、極性検知回路12dが検出した発電極性(GP)がプラス(+)で、第1磁気センサ12h1により検出した磁場極性(MP)がN極の場合、制御回路12pは、磁石11mの位置は、位置POS1(第1象限)であると判定する。なお、位置POS1の場合は、反時計回り(CCW)に回転して基準となる角度0度を通過するので、記憶部12rに記憶している回転カウント値に1を加えて、記憶部12rに更新した回転カウント値を保存する。
【0089】
極性検知回路12dが検出した発電極性(GP)がプラス(+)で、第1磁気センサ12h1により検出した磁場極性(MP)がS極の場合、制御回路12pは、磁石11mの位置は、位置POS2(第2象限)であると判定する。なお、位置POS2の場合は、時計回り(CW)に回転して角度180度を通過する。
【0090】
極性検知回路12dが検出した発電極性(GP)がマイナス(-)で、第1磁気センサ12h1により検出した磁場極性(MP)がS極の場合、制御回路12pは、磁石11mの位置は、位置POS3(第3象限)であると判定する。なお、位置POS3の場合は、反時計回り(CCW)に回転して角度180度を通過する。
【0091】
極性検知回路12dが検出した発電極性(GP)がマイナス(-)で、第1磁気センサ12h1により検出した磁場極性(MP)がN極の場合、制御回路12pは、磁石11mの位置は、位置POS4(第4象限)であると判定する。なお、位置POS4の場合は、時計回り(CW)に回転して基準となる角度0度を通過するので、記憶部12rに記憶している回転カウント値から1を引いて、記憶部12rに更新した回転カウント値を保存する。
【0092】
そして、発電素子12gの発電極性と、第1磁気センサ12h1のセンサ極性(磁場極性)により、例えば角度0度を時計方向を正とした場合の回転数を求める。
【0093】
発電パルスの極性だけでは角度360度の範囲において位置を検出できないが、発電パルスと90度位相が異なる位置に第1磁気センサ12h1を配置することで、発電パルスの発電極性と第1磁気センサ12h1の磁場極性で90度位相を検知することができる。また、前回の発電位置と今回の発電位置を比較することで、角度0度を基準角度とすると、基準角度を何回回転したかを決定できる。
【0094】
上述のように、第1実施形態に係るエンコーダ12は、角度分解能が90度のエンコーダとなる。また、第1実施形態に係るエンコーダ12は、第1磁石11m1による磁場及び第2磁石11m2による磁場により動作する。
【0095】
次に、エンコーダ12を動作させているときの発電素子12gについて説明する。図10は、本実施形態に係るエンコーダ12の動作させているときの発電素子12gの状態について説明する図である。図10は、バルクハウゼン特性を有する発電素子12gについて、外部磁場に対する磁化特性(B-Hカーブ)について説明する図である。
【0096】
図10の横軸は、発電素子12gにおける外部磁場Hextを示す。図10は、発電素子12gにおける磁化を示す。線Laは、一方の方向に回転するときの発電素子12gの磁化状態を示す。
【0097】
また、図10において、発電素子12gの磁化状態を説明するために簡易図PS1、簡易図PS2、簡易図AS1及び簡易図AS2を示す。簡易図PS1、簡易図PS2、簡易図AS1及び簡易図AS2のそれぞれにおいて、中心の円柱はハードコアHC、外側の円筒はソフトレイヤSLを表す。また、ハードコアHC及びソフトレイヤSLのそれぞれにおける矢印により、それぞれの磁化の向きを示す。
【0098】
なお、簡易図PS1は、ハードコアHC及びソフトレイヤSLのそれぞれにおける磁化が正の外部磁場に対して同じ向きを向いている状態(パラレル状態)を示す。簡易図PS2は、ハードコアHC及びソフトレイヤSLのそれぞれにおける磁化が負の外部磁場に対して同じ向きを向いている状態(パラレル状態)を示す。簡易図AS1は、ハードコアHCが正の外部磁場の向き、ソフトレイヤSLが負の外部磁場の向きになっていて、互いに反対向きとなっている状態(アンチパラレル状態)を示す。簡易図AS2は、ハードコアHCが負の外部磁場の向き、ソフトレイヤSLが正の外部磁場の向きになっていて、互いに反対向きとなっている状態(アンチパラレル状態)を示す。
【0099】
最初に、反時計回り(CCW)に回転する場合における発電素子12gの特性について説明する。ここでは、点Aから一方の方向に回る場合について説明する。なお、点Aは、発電素子12gに最大の外部磁場がかかっている状態を示す。点Aは、図9における角度90度、210度及び330度に相当する。点Aにおいて、発電素子12gは、ハードコアHC及びソフトレイヤSLの両方が、正の外部磁場の向きに磁化されている(パラレル状態)。
【0100】
磁石が回転すると、点Aから矢印Bに沿って、発電素子12gの磁化状態が変化する。なお、縦軸との交点は、図9における角度0度、角度120度及び角度240度に相当する。そして、外部磁場Hextが正から負になると、ウィーガント効果により、矢印Cに示すように、急激に磁化が変化する。磁化が急激に変化するのは、ソフトレイヤSLの磁化が反転する際に生じる大バルクハウゼンジャンプが発生するからである。矢印Cに示すように、磁化が急激に変化することにより、発電素子12gにおいて大きな発電パルスが発生する。また、発電素子12gは、簡易図AS1に示すようにアンチパラレル状態になる。
【0101】
そして、更に磁石が回転すると、矢印Dに沿って発電素子12gの磁化状態が変化する。点Eまで到達すると、簡易図PS2に示すように、発電素子12gはパラレル状態になっている。点Eは、図9における角度30度、150度及び270度に相当する。
【0102】
そして、上記の説明と同様に、発電素子12gの磁化状態は、点Eから矢印Fに沿って変化する。なお、縦軸との交点は、図9における角度60度、角度180度及び角度300度に相当する。そして、外部磁場Hextが負から正になると、ウィーガント効果により、矢印Gに示すように、急激に磁化が変化する。矢印Gに示すように、磁化が急激に変化することにより、発電素子12gにおいて大きな発電パルスが発生する。また、発電素子12gは、簡易図AS2に示すようにアンチパラレル状態になる。そして、矢印Hに沿って磁化状態が変化する。
【0103】
このように、線Laのようなループ(メジャーループ)により発電素子12gの磁化状態が変化すると、矢印C及び矢印Gで示すように、大きな発電パルスが発生する。
【0104】
ここで、例えば、矢印Cで示すように大きな発電パルスが発生した後に、点Xにおいて、逆に回転した場合、すなわち、点Xにおいて反転した場合について説明する。
【0105】
点Xで反転すると、線Lzに示すように状態が変化する。点Xで反転すると、矢印Mに沿って、発電素子12gの磁化状態が変化する。なお、点Xで反転すると、簡易図PS2に示すようなパラレル状態になる前に、外部磁場Hextが反対方向に変化する。すなわち、発電素子12gは、十分磁化される前に、逆方向に外部磁場Hextがかかる。そのため、矢印Nに示すように、小さく磁化が変動する。矢印Nに示すように、小さな磁化変動による発電パルスをラントパルス(RuntPulse)という。そして、ラントパルス発生後、矢印P及び矢印Qに示すように残りの部分が変化する。
【0106】
ラントパルスが発生すると、発電量が小さいため、反転したことがカウントされず、回転誤差となる。
【0107】
ラントパルスが発生する発電不良は、図10における外部磁場に対する磁化特性(B-Hカーブ)のメジャーループから逸脱した状態になった場合に発生する。例えば、正常な発電が発生した直後に反転された場合などである。例えば、磁石11mにおける、N極が角度30度から角度0度を通り過ぎ、バルクハウゼンジャンプによってマイナスパルスが発生した直後に反転する場合である。バルクハウゼンジャンプによってマイナスパルスが発生した直後に反転すると、角度330度の磁化状態にセットされていないためにバルクハウゼンジャンプが存在せず、ラントパルスが発生し正常パルスが発生しない。したがって、本来であれば、角度0度においてプラスパルスが発生するはずであるが正常なパルスが発生しない。
【0108】
しかしながら、上記のメカニズムで、ウィーガントワイヤである発電素子12gが十分磁化されずに発電不良が発生するのは、角度30度、角度90度、角度150度、角度210度、角度270度又は角度330度付近を通らずに、反転した場合に限定される。反対に言えば、角度30度、角度90度、角度150度、角度210度、角度270度又は角度330度付近をN極が通過する場合には、上述のような発電不良は発生しない。
【0109】
つまり、角度0度、角度60度、角度120度、角度180度、角度240度又は角度300度付近において往復運動する場合を除き、2回続けての発電不良は生じないことになる。なお、角度0度又は180度付近での往復運動する場合は最後の状態のみ検知すれば途中の往復回数はカウント更新に影響しないので考慮する必要はない。
【0110】
発明者らは、発電素子12gにおける上記のメカニズムを用いて、発電素子12gが発電して位置を検出した際に、その直近に検出した位置(前回推定した回転位置)との関係に基づいて、発電不良による回転カウント値を正しく更新できることを見いだした。
【0111】
発電素子12gが発電をしたとき検出した位置(今回発電の位置)と、その直近に発電素子12gが発電したときに検出した位置(前回発電の位置:前回回転位置)との関係について、まとめたものを表2に示す。また、表2に示す事例について、エンコーダ12において検出した位置と、どのように磁石11mが動いたかについてまとめた図を図11及び図12に示す。なお、ここでいう今回発電の位置と前回発電の位置とは、0度付近又は180度付近での発電に限定し、それ以外の60度付近、120度付近、240度付近及び300度付近における発電については考慮しないこととする。
【0112】
なお、図11及び図12のそれぞれにおいて、内側の丸印は前回発電したときの位置(前回発電の位置)、外側の丸印は今回発電したときの位置(今回発電の位置)を示す。内側の矢印付き線は、前回発電したときの磁石11mのN極の動きを示す。外側の矢印付き線は、今回発電したときの磁石11mのN極の動きを示す。
【0113】
【表2】
【0114】
典型的な例について説明する。例えば、事例Case3、すなわち、前回発電の位置が第1象限で、今回発電の位置が第3象限の場合、エンコーダ12において正常な発電が行われたと判断する。事例Case3の場合は、基準となる角度0度を通過しないので、記憶部12rに保存している回転カウント値の更新は行わない。
【0115】
事例Case4、すなわち、前回発電の位置が第1象限で、今回発電の位置が第4象限の場合、エンコーダ12において正常な発電が行われたと判断する。事例Case4の場合は、基準となる角度0度を通過するので、記憶部12rに保存している回転カウント値から1を引いて、更新した回転カウント値を記憶部12rに格納する。
【0116】
一方、事例Case1、すなわち、前回発電の位置が第1象限で、今回発電の位置が第1象限の場合、角度180度と角度0度で2回連続して発電不良が生じた場合が想定される。しかしながら、上述のように、2回連続の発電不良は生じないので、事例Case1のようなケースは実際発生せず、カウント値は更新せずに前のままにしておく。なお、事例Case1のような場合、エラーを出力するようにしてもよい。
【0117】
また、事例Case2、すなわち、前回発電の位置が第1象限で、今回発電の位置が第2象限の場合、角度0度で発電不良が生じて、角度180度で正常に発電した場合が想定される。事例Case2の場合は、基準となる角度0度を通過するので、記憶部12rに保存している回転カウント値から1を引いて、更新した回転カウント値を記憶部12rに格納する。
【0118】
上記の説明では、事例Case1、事例Case2、事例Case3及び事例Case4について説明したが、他の事例でも同様である。表2に示す遷移表(更新テーブル)に従ってカウント値を更新することで、発電による回転カウント値において誤差が発生することを抑制できる。
【0119】
具体的な処理について説明する。図13は、第1実施形態に係るエンコーダ12の処理を説明するフロー図である。
【0120】
(ステップS10)
最初に、制御回路12pは、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2による測定結果に基づいて、角度を算出する(第1磁気センサ及び第2磁気センサによる測定結果に基づいて角度を算出する工程)。
【0121】
制御回路12pは、第1磁気センサ12h1から測定結果である磁極信号Smg1を取得する。また、制御回路12pは、第2磁気センサ12h2から測定結果である磁極信号Smg2を取得する。また、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2を取得する。そして、制御回路12pは、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2に基づいて、磁石11mの角度を算出する。磁極信号Smg1及び磁極信号Smg2に基づく磁石11mの角度の算出は、発電する角度間隔(図9の場合は角度60度)の半分よりも小さい分解能で行う。
【0122】
(ステップS20)
次に、制御回路12pは、ステップS10で算出した角度に基づいて、磁石11mの角度が0度又は180度付近かどうかを判定する。なお、0度又は180度付近かどうかについては、例えば、磁場強度信号Dmg1及び磁場強度信号Dmg2に基づいて算出した磁石11mの角度が、次の発電角度までの間にあるかどうかで判定する。
【0123】
磁石11mの角度が0度又は180度付近である場合(ステップS20のYES)、制御回路12pは、ステップS30に処理を進める。磁石11mの角度が0度又は180度付近ではない場合(ステップS20のNO)、制御回路12pは、ステップS50に処理を進める。
【0124】
(ステップS30)
制御回路12pは、発電素子12gにおける発電極性及び第1磁気センサ12h1による磁気極性に基づいて位置検知を行う(発電極性及び第1磁気センサによる磁気極性に基づいて位置検知を行う工程)。磁石11mの角度が0度又は180度付近である場合(ステップS20のYES)、制御回路12pは位置検知を行う。
【0125】
制御回路12pは、極性検知回路12dから極性信号Splを取得する。また、制御回路12pは、信号処理回路12f1から磁極信号Smg1を取得する。そして、制御回路12pは、極性信号Spl及び磁極信号Smg1と、前回の測定結果と、表2に基づいて、位置検知を行う。
【0126】
(ステップS40)
制御回路12pは、ステップS40で検知した位置を、記憶部12rに保存する。
【0127】
(ステップS50)
磁石11mの角度が0度又は180度付近でなかった場合(ステップS20のNO)、制御回路12pは、第2磁気センサ12h2による測定結果を保存する(第2磁気センサによる測定結果を保存する工程)。
【0128】
制御回路12pは、信号処理回路12f2から磁極信号Smg2を取得する。そして、制御回路12pは、磁極信号Smg2を記憶部12rに保存する。
【0129】
第1実施形態に係るエンコーダは上記の処理を行うことにより、異常発電によって発電異常が起こったことによる誤差の発生を抑制できる。
【0130】
≪第2実施形態≫
第2実施形態に係るサーボモータ110について説明する。第2実施形態に係るサーボモータ110は、第1実施形態に係るサーボモータ10に位置検出部112sを更に備える。
【0131】
<サーボモータ110>
次に、第2実施形態に係るサーボモータ110の構成について説明する。図14は、第2実施形態に係るエンコーダ112を用いるサーボモータ110の構成を説明する図である。なお、矢印付き線は、電力又は電流の供給の流れを示す。なお、サーボモータ110は、サーボコントローラ120に接続される。
【0132】
サーボモータ110は、モータ111と、エンコーダ112と、を備える。なお、第1実施形態に係るサーボモータ10と同じ構成については、サーボモータ10の説明を参照することとして、ここでは、サーボモータ10と異なる点について説明する。
【0133】
なお、後述するように、位置検出部112sは、サーボコントローラ120から電源を供給されることにより動作する。したがって、サーボコントローラ120から位置検出部112sに電源が供給されたときに、発電素子12gにおける発電極性及び第1磁気センサ12h1による磁気極性に基づいて位置検知した結果と同期を行う必要がある。
【0134】
[モータ111]
モータ111は、回転軸11aのエンコーダ12側に設けられるディスク111dと、ディスク111d上に設けられる磁石11mと、を備える。
【0135】
ディスク111dは、エンコーダ112側の表面に、所定のパターンで配置された複数のスリット111sを備える。スリット111sは、位置検出部112sにより位置を検出するために用いられる。スリット111sは、例えば、M系列のパターンとなるようにディスク111dの表面に形成される。
【0136】
[エンコーダ112]
エンコーダ112は、エンコーダ12に位置検出部112sを更に備える。また、位置検出部112sを備えることに伴って、エンコーダ112は、制御回路12pに換えて制御回路112p、記憶部12rに換えて記憶部112rを備える。なお、エンコーダ112と磁石11mをまとめてエンコーダシステム130という場合がある。
【0137】
[位置検出部112s]
位置検出部112sは、エンコーダ12における角度分解能より高い角度分解能を有する。例えば、位置検出部112sは、円周方向に対して20から24ビット程度の分解能を有する。位置検出部112sは、例えば、角度位置センサである。また、位置検出部112sは、いわゆる、シングルターンエンコーダである。位置検出部112sは、サーボコントローラ120から電源を供給されることにより動作する。
【0138】
位置検出部112sは、発光部112s1と、受光部112s2と、を備える。発光部112s1は、ディスク111dの表面におけるスリット111sが形成される部分に光を照射する。発光部112s1は、発光素子、例えば、LED(Light Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)を含む。受光部112s2は、ディスク111dの表面におけるスリット111sから反射された光を受光する。受光部112s2は、受光素子、例えば、PD(Photo Detector)を含む。
【0139】
位置検出部112sは、発光部112s1から照射されて、スリット111sにおいて反射し受光部112s2で受光された光の強度を検出する。そして、位置検出部112sは、受光部112s2で受光された光の強度から、光を反射した部分のスリット111sのディスク111dにおける位置を検出する。位置検出部112sは、スリット111sの位置から、ディスク111dに固定されている磁石11mの位置(磁石11mのN極の位置)を検出する。位置検出部112sは、検出した位置情報Sagを制御回路112pに出力する。
【0140】
[制御回路112p]
制御回路112pは、制御回路12pの機能に加えて、位置検出部112sから位置情報Sagを取得して処理を行う。
【0141】
[記憶部112r]
記憶部112rは、記憶部12rの機能に加えて、位置検出部112sに関連する情報を保存する。
【0142】
<エンコーダ112の構成>
エンコーダ112の構成について説明する。図15は、第2実施形態に係るエンコーダ112の構成について説明する図である。図15は、エンコーダ112における発電素子12g、第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2及び位置検出部112sの配置を説明するための平面図である。
【0143】
位置検出部112sは、基板112jの下側の面に配置される。位置検出部112sは、発電素子12g、第1磁気センサ12h1及び第2磁気センサ12h2と位置が重ならない場所、例えば、角度180度の位置に設けられる。
【0144】
<エンコーダ112の動作>
次に、エンコーダ112の動作について説明する。エンコーダ112における位置検出部112sに、サーボコントローラ120から外部電源が投入されたときに、発電素子12gが発電したときの位置からずれていたときの処理について説明する。
【0145】
基本的な考えは第1実施形態と同じであるが、今回の位置を位置検出部112sにより検出した位置情報を用いることが相違する。言い換えると、発電によって取得した最後の位置情報と、位置検出部112sに外部電源を投入した際の位置検出部112sの位置情報から磁石11mの遷移を推定し、ラントパルス発生等の発電パルス抜けを考慮して回転カウント値を補正する。発電素子12gにおいて正常な発電が行われていれば、発電によって取得した最後の正しい位置情報が既に記憶部112rに保存されている。したがって、発電によって取得した最後の位置情報と、位置検出部112sに外部電源を投入した際の位置検出部112sの位置情報から磁石11mの遷移を推定できる。
【0146】
発電素子12gが発電をしたとき検出した位置(MTの位置情報)と、その後であって発電素子12gが発電する前に位置検出部112sに外部電源が供給されて、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)との関係について表3に示す。また、表3に示す事例について、エンコーダ112において検出した位置と、どのように磁石11mが動いたかについてまとめた図を図16図17図18及び図19に示す。
【0147】
【表3】
【0148】
なお、図16図17図18図19のそれぞれにおいて、内側の丸印は発電素子12gが発電をしたとき検出した位置(MTの位置情報)、外側の丸印は位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)を示す。内側の矢印付き線は、発電素子12gが発電したときの磁石11mのN極の動きを示す。外側の矢印付き線は、位置検出部112sが検出したときの磁石11mのN極の動きを示す。
【0149】
なお、外側の矢印付き線が示す間(内側の丸印から外側の丸印までの間)において、角度0度又は角度180度付近において正常な発電が含まれないものとする。なぜならば、正常な発電の場合は、その結果が既に記憶部112rに保存されているからである。
【0150】
また、図16図17図18図19のそれぞれにおいて、一番外側の両矢印付き線は、MTの位置情報を補正する範囲を示す。すなわち、MTの位置情報は、STの位置情報に変更する。言い換えると、MTの位置情報は、STの位置情報が正しいとしてSTの位置情報に変更する。なお、MSは、第2磁気センサ12h2の位置を示す。また、外側の丸印は、発電素子12gによる発電位置を示す。
【0151】
表3において、角度αは、ヒステリシスにより発電が遅れる角度である。例えば、事例Case11は、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第1象限であって、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度0度から角度+αの範囲にある事例である。
【0152】
なお、事例Case11から事例Case18までの事例は、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第1象限である事例である。事例Case21から事例Case28までの事例は、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第2象限である事例である。事例Case31から事例Case38までの事例は、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第3象限である事例である。事例Case41から事例Case48までの事例は、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第4象限である事例である。
【0153】
また、事例Case11、事例Case21、事例Case31及び事例Case41のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度0度から角度α度までの範囲にある事例である。事例Case12、事例Case22、事例Case32及び事例Case42のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度α度から角度180-α度までの範囲にある事例である。事例Case13、事例Case23、事例Case33及び事例Case43のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度180-α度から角度180度までの範囲にある事例である。
【0154】
事例Case14、事例Case24、事例Case34及び事例Case44のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度180度から角度180+α度までの範囲にある事例である。事例Case15、事例Case25、事例Case35及び事例Case45のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度180+α度から角度-α度までの範囲にある事例である。事例Case16、事例Case26、事例Case36及び事例Case46のそれぞれは、位置検出部112sが検出した位置(STの位置情報)が角度-α度から角度0度までの範囲にある事例である。
【0155】
最後に検出した位置(MTの位置情報)が第1象限である場合、事例Case13及び事例Case17に示すように、STの位置情報が角度180-α度から角度180度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度180-α度から角度180度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case13、Sの場合は事例Case17と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0156】
同様に、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第1象限である場合、事例Case14及び事例Case18に示すように、STの位置情報が角度180度から角度180+α度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度180-α度から角度180度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case14、Sの場合は事例Case18と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0157】
また、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第2象限である場合、事例Case21及び事例Case27に示すように、STの位置情報が角度0度から角度α度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度0度から角度α度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case21、Sの場合は事例Case27と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0158】
同様に、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第2象限である場合、事例Case26及び事例Case28に示すように、STの位置情報が角度-α度から角度0度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度-α度から角度0度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case26、Sの場合は事例Case28と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0159】
また、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第3象限である場合、事例Case31及び事例Case37に示すように、STの位置情報が角度0度から角度α度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度0度から角度α度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case31、Sの場合は事例Case37と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0160】
同様に、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第3象限である場合、事例Case36及び事例Case38に示すように、STの位置情報が角度-α度から角度0度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度-α度から角度0度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case36、Sの場合は事例Case38と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0161】
最後に検出した位置(MTの位置情報)が第4象限である場合、事例Case43及び事例Case47に示すように、STの位置情報が角度180-α度から角度180度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度180-α度から角度180度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case43、Sの場合は事例Case47と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0162】
同様に、最後に検出した位置(MTの位置情報)が第4象限である場合、事例Case44及び事例Case48に示すように、STの位置情報が角度180度から角度180+α度の範囲の時は、回転方向が反時計回りと時計回りの両方の場合が考えられる。そこで、最後に測定した第2磁気センサ12h2の値を用いて、どちら向きに回転したかを判断する。具体的には、STの位置情報が角度180度から角度180+α度の範囲の場合、制御回路112pは、最後に測定した第2磁気センサ12h2がNの場合は事例Case44、Sの場合は事例Case48と判断する。そして、それに応じて回転回数を補正する。
【0163】
<エンコーダ112における処理>
エンコーダ112における処理について説明する。図20は、第2実施形態に係るエンコーダ112の処理を説明するフロー図である。
【0164】
(ステップS110)
最初に、サーボコントローラ120から位置検出部112sに電源を供給する(上位制御部から電源を供給する工程)。位置検出部112sは、電源が供給されると、位置の検出を行う。
【0165】
(ステップS120)
次に、制御回路112pは、位置検出部112sから位置情報を取得する(位置検出部より位置情報を取得する工程)。制御回路112pは、位置検出部112sから位置情報(STの位置情報)を取得する。
【0166】
(ステップS130)
また、ステップS120と並列に、制御回路112pは、記憶部112rから、前回発電時に測定した位置情報及び回転情報である回転カウント値を取得する(記憶部から位置情報及び回転情報を取得する工程)。制御回路112pは、記憶部112rから位置情報(MTの位置情報)と回転カウント値を取得する。
【0167】
(ステップS140)
また、ステップS120及びステップS130と並列に、制御回路112pは、第2磁気センサ12h2により測定を行う(第2磁気センサにより測定を行う工程)。制御回路112pは、第2磁気センサ12h2から磁気極性を取得する。
【0168】
(ステップS150)
次に、制御回路112pは、位置情報及び回転情報を補正する(位置情報及び回転情報を補正する工程)。制御回路112pは、表3に示すような補正テーブルに基づいて回転カウント値の補正を行う。
【0169】
なお、ステップS120、ステップS130及びステップS140は、同時に行うようにする。
【0170】
第2実施形態に係るエンコーダは上記の処理を行うことにより、異常発電による誤差の発生を抑制できる。
【0171】
≪磁石の変形例≫
<変形例1>
磁石11mについての変形例1について説明する。図21は、本実施形態に係るエンコーダの磁石の変形例の一例である磁石111mについて説明する図である。
【0172】
磁石11mは、内側に片面6極の磁石である第2磁石11m2と、外側に片面2極の磁石である第1磁石11m1を備える。一方、磁石111mは、内側に片面2極の磁石である第1磁石111m1と、外側に片面6極の磁石である第2磁石111m2を備える。
【0173】
<変形例2>
磁石11mについての変形例2について説明する。図22は、本実施形態に係るエンコーダの磁石の変形例の一例である磁石211mについて説明する図である。
【0174】
磁石11mは、内側に片面6極の磁石である第2磁石11m2と、外側に片面2極の磁石である第1磁石11m1を備える。一方、磁石211mは、内側に片面2極の磁石である第1磁石211m1と、外側に棒状の6極の磁石である複数の第2磁石211m2を備える。
【0175】
≪第1磁気センサ及び第2磁気センサによって検出される磁場≫
第1磁石及び第2磁石のそれぞれによって発生される磁場について説明する。図23は、本実施形態に係るエンコーダシステムの磁石により生成される磁場について説明する図である。
【0176】
図23の横軸は、回転軸11aの回転角度である。図23の縦軸は、磁石11mにより生成される磁場を示す。なお、磁場は、プラスがN極側の磁場を検出していること、マイナスがS極側の磁場を検出していることを示す。そして、N極による磁場を1、S極による磁場を-1として正規化して示す。
【0177】
第1磁石(例えば、第1磁石11m1等)は2極の磁石であることから、図23の線Lms1に示すように、1回転で1周期となるように変化する。一方、第2磁石(例えば、第2磁石11m2等)は6極の磁石であることから、図23の線Lms2に示すように、1回転で3周期となるように変化する。
【0178】
≪エンコーダの変形例≫
本実施形態に係るエンコーダの変形例について説明する。エンコーダ12において、信号処理回路12f1及び信号処理回路12f2のそれぞれは、量子化器12fcを備えている。本実施形態に係るエンコーダの変形例であるエンコーダ212は、量子化器12fcに換えて、ウィンドウコンパレータ12fdを備える。
【0179】
図24は、本実施形態に係るエンコーダの変形例であるエンコーダ212の構成について説明する図である。図25は、本実施形態に係るエンコーダの変形例であるエンコーダ212のウィンドウコンパレータ12fdの回路構成を説明する図である。
【0180】
エンコーダ212は、エンコーダ12における信号処理回路12f1に換えて、信号処理回路212f1を備える。また、エンコーダ212は、エンコーダ12における信号処理回路12f2に換えて、信号処理回路212f1を備える。また、エンコーダ212は、エンコーダ12における制御回路12pに換えて、制御回路212pを備える。極性検知回路12d、駆動回路12e1、駆動回路12e2、信号処理回路212f1及び信号処理回路212f2をまとめて回転検知回路212mと呼ぶ。
【0181】
[信号処理回路212f1及び信号処理回路212f2]
信号処理回路12f1、信号処理回路12f2は、それぞれ第1磁気センサ12h1、第2磁気センサ12h2からの検出信号を処理して、磁石11mの磁場の方向を検出する。図24を用いて、信号処理回路212f1及び信号処理回路212f2について説明する。なお、信号処理回路212f1及び信号処理回路212f2は、同じ回路構成を有することから、図24においては、信号処理回路212f1を用いて説明する。
【0182】
信号処理回路212f1は、差動増幅器12faと、比較器12fbと、ウィンドウコンパレータ12fdと、を備える。なお、差動増幅器12fa及び比較器12fbについては、エンコーダ12の説明を参照することとして、ここでは説明を省略する。
【0183】
(ウィンドウコンパレータ12fd)
ウィンドウコンパレータ12fdは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdが零付近であることを検出して、検出した結果を制御回路212pに出力する。ウィンドウコンパレータ12fdは、差動増幅器12faから出力された電圧Vdが零付近にあるかどうかの検出信号Tmg1として制御回路212pに出力する。
【0184】
図25は、本実施形態に係るエンコーダの変形例であるエンコーダ212の回路構成を説明する図である。具体的には、図25は、ウィンドウコンパレータ12fdの回路構成を説明する図である。
【0185】
ウィンドウコンパレータ12fdは、比較器12fd1及び比較器12fd2と、抵抗12fd3、抵抗12fd4、抵抗12fd5及び抵抗12fd6と、を備える。ウィンドウコンパレータ12fdは、安定化電源回路12bから供給される電圧Vddを抵抗12fd3、抵抗12fd4及び抵抗12fd5により分圧する。そして、ウィンドウコンパレータ12fdは、電圧Vdが分圧した電圧Vt1と電圧Vt2との間の電圧である場合、検出信号Tmg1としてhighの電圧(電圧Vdd)を出力する。ウィンドウコンパレータ12fdは、電圧Vdが分圧した電圧Vt1と電圧Vt2との間の電圧でない場合、検出信号Tmg1としてlowの電圧(共通電位)を出力する。
【0186】
ウィンドウコンパレータ12fdは、上述のように動作することにより、差動増幅器12faから出力された電圧Vdが零付近であるかどうかを検出する。
【0187】
[制御回路212p]
制御回路212pは、極性検知回路12d、信号処理回路212f1及び信号処理回路212f2のそれぞれからの入力に基づいて、モータ11の回転軸11aの回転位置、回転数等の位置情報及び回転情報の少なくともいずれか一方を算出する。なお、制御回路212pにおいて制御回路12pと共通の構成及び機能については、制御回路12pの説明を参照することとしてここでは説明を省略する。
【0188】
制御回路212pは、制御回路12pにおける端子列SIG1dに換えて、端子SIG1tを備える。また、制御回路212pは、制御回路12pにおける端子列SIG2dに換えて、端子SIG2tを備える。
【0189】
端子SIG1tは、信号処理回路12f1に接続される。端子SIG1tから、信号処理回路212f1で検出された検出結果である検出信号Tmg1が入力される。検出信号Tmg1は、第1磁気センサ12h1で検出された磁場の強度が零付近であるかどうかを示す信号である。端子SIG2tは、信号処理回路212f2に接続される。端子SIG2tから、信号処理回路212f2で検出された検出結果である検出信号Tmg2が入力される。検出信号Tmg2は、第2磁気センサ12h2で検出された磁場の強度が零付近であるかどうかを示す信号である。
【0190】
制御回路212pは、検出信号Tmg1及び検出信号Tmg2を用いて、回転軸11aが、磁石11mの角度が角度0度付近であるか又は角度180度付近であるかどうか判定する。
【0191】
エンコーダ212によれば、回路構成を簡略化できる。磁石11mの角度が角度0度付近及び角度180度付近であるかどうか判定する場合、例えば、第2磁気センサ12h2の磁場強度が零付近であることが検出できればよい。したがって、エンコーダ12における量子化器12fcに換えてウィンドウコンパレータ12fdを用いることにより、回路構成を簡略化できる。なお、本変形例は、第2実施形態に係るエンコーダ112に適用してもよい。
【0192】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0193】
1 サーボモータシステム
10、110 サーボモータ
11、111 モータ
11a 回転軸
11d、111d ディスク
11m、111m、211m 磁石
11m1、111m1、211m1 第1磁石
11m2、111m2、211m2 第2磁石
12、112、212 エンコーダ
12g 発電素子
12h1 第1磁気センサ
12h2 第2磁気センサ
12p、112p、212p 制御回路
12r、112r 記憶部
20、120 サーボコントローラ
111s スリット
112s 位置検出部
30、130 エンコーダシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【手続補正書】
【提出日】2023-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定され、前記回転軸と一緒に回転するディスクと、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石と
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石と
前記第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、
前記第2磁石による磁場により発電する発電素子と、
を備える、
エンコーダシステム
【請求項2】
前記第2磁石は、片面6極の磁石である、
請求項1に記載のエンコーダシステム
【請求項3】
前記発電素子の発電極性と、前記磁気センサにより磁場を検出した磁場極性に基づいて、角度位置及び回転カウントを測定する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダシステム
【請求項4】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を更に備える、
請求項3に記載のエンコーダシステム
【請求項5】
位置検出部を更に備え、
前記発電素子及び前記磁気センサに基づいて検出された角度位置と、前記位置検出部により検出された角度位置に基づいて、前記角度位置及び前記回転カウントを補正する、
請求項3に記載のエンコーダシステム
【請求項6】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を備える、
請求項5に記載のエンコーダシステム
【請求項7】
回転軸に固定され、前記回転軸と一緒に回転するディスクと、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石と、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石と、
前記第1磁石による磁場及び前記第2磁石による磁場により動作するエンコーダと、
を備える、
エンコーダシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本開示は、エンコーダシステムに関する。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定され、前記回転軸と一緒に回転するディスクと、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石と、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石と、
前記第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、
前記第2磁石による磁場により発電する発電素子と、
を備える、
エンコーダシステム。
【請求項2】
前記第2磁石は、片面6極の磁石である、
請求項1に記載のエンコーダシステム。
【請求項3】
前記発電素子の発電極性と、前記磁気センサにより磁場を検出した磁場極性に基づいて、角度位置及び回転カウントを測定する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダシステム。
【請求項4】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を更に備える、
請求項3に記載のエンコーダシステム。
【請求項5】
位置検出部を更に備え、
前記発電素子及び前記磁気センサに基づいて検出された角度位置と、前記位置検出部により検出された角度位置に基づいて、前記角度位置及び前記回転カウントを補正する、
請求項3に記載のエンコーダシステム。
【請求項6】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を備える、
請求項5に記載のエンコーダシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に固定され、前記回転軸と一緒に回転するディスクと、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面2極の磁石である第1磁石と、
前記ディスクに固定され、前記回転軸に対称に設けられる片面多極の磁石であって極数が4以上である第2磁石と、
前記第1磁石による磁場を検出する磁気センサと、
前記第2磁石による磁場により発電する発電素子と、
を備え、
前記磁気センサは、第1磁気センサと、前記第1磁気センサに回転方向に90度位相がずれた位置に設けられる第2磁気センサと、を含む、
エンコーダシステム。
【請求項2】
前記第2磁石は、片面6極の磁石である、
請求項1に記載のエンコーダシステム。
【請求項3】
前記発電素子の発電極性と、前記磁気センサにより磁場を検出した磁場極性に基づいて、角度位置及び回転カウントを測定する、
請求項1又は請求項2のいずれかに記載のエンコーダシステム。
【請求項4】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を更に備える、
請求項3に記載のエンコーダシステム。
【請求項5】
位置検出部を更に備え、
前記発電素子及び前記磁気センサに基づいて検出された角度位置と、前記位置検出部により検出された角度位置に基づいて、前記角度位置及び前記回転カウントを補正する、
請求項3に記載のエンコーダシステム。
【請求項6】
前記角度位置及び前記回転カウントを保存する記憶部を備える、
請求項5に記載のエンコーダシステム。