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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107958
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/20 20200101AFI20240802BHJP
   H05B 45/46 20200101ALI20240802BHJP
   H05B 45/42 20200101ALI20240802BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20240802BHJP
【FI】
H05B45/20
H05B45/46
H05B45/42
H05B47/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012171
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】藪下 雅也
(72)【発明者】
【氏名】大北 直之
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA07
3K273BA27
3K273CA02
3K273CA03
3K273CA09
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA30
3K273GA28
3K273GA29
3K273HA17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少ない配線数でフルカラー発光できる照明装置を提供する。
【解決手段】赤、緑、青のいずれかの色の光を発する第1光源、第2光源、及び、第3光源を有する灯体としてのLED灯体10と、LED灯体10に電力供給を行なう2本の配線21、22によりLED灯体10の点灯状態を制御する点灯制御部20と、を備え、青色LED11のアノード11a側は配線21に接続され、青色LED11のカソード11b側は配線22に接続され、緑色LED12のカソード12b側は配線21に接続され、緑色LED12のアノード12a側は配線22に接続されている。赤色LED13のアノード13a側は配線21に接続され、赤色LED13のカソード13b側はスイッチング素子としてのトランジスタ50を介して配線22に接続されている。点灯制御部20は、配線21及び配線22の電位の組み合わせにより、LED灯体10の点灯状態を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤、緑、青のいずれかの色の光を発する第1光源、第2光源、及び、第3光源を有する灯体と、
前記灯体に電力供給を行なう2本の第1配線、第2配線により前記灯体の点灯状態を制御する点灯制御部と、を備え、
前記第1光源の第1アノード側は前記第1配線に接続され、前記第1光源の第1カソード側は前記第2配線に接続され、前記第2光源の第2カソード側は前記第1配線に接続され、前記第2光源の第2アノード側は前記第2配線に接続され、前記第3光源の第3アノード側は前記第1配線に接続され、前記第3光源の第3カソード側はスイッチング素子を介して前記第2配線に接続され、
前記点灯制御部は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより、前記灯体の点灯状態を制御する、照明装置。
【請求項2】
前記第1光源及び前記第2光源は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより点灯状態を制御され、前記第3光源は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより前記スイッチング素子のスイッチング制御を介して点灯状態を制御される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1光源、前記第2光源は、それぞれ、前記第1配線と前記第2配線の間に直列にダイオードが接続されている、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記第3光源は、赤色を発する赤色灯体である、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記灯体は、車両のステアリングに搭載され、ステアリングロールコネクタを介して前記車両の車両本体に配置された前記点灯制御部と電気的に接続されている、請求項1又は2に記載の照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光体と、孔を有するベースと、前記孔の周囲にバルブ点灯用に配置された配線と、前記孔の周縁に係止されて、前記配線とは絶縁状態でベースに固定された可変色LEDランプと、から構成され、前記可変色LEDランプの光を前記導光体端面に照射する、車両に搭載される照明装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この照明装置は、基板のほぼ中央に赤色LEDを配置し、その両脇に緑色LED及び青色LEDを配置したLED灯体を有する構成である。LED灯体の各LEDは透明な樹脂66でカバーされている。
【0003】
このような構成により、各LEDに発光部外から電流を供給する3本の配線と各LEDから発光部外に電流を放出するグランド線の計4本の配線から成り、点灯制御部(制御装置)により各LEDの点灯状態を制御することができる。すなわち、LED灯体を構成する各LEDの発光をそれぞれの3本の電力配線により電流制御することにより、LEDランプは任意の色に制御でき、フルカラーで発光させることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-221058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成によれば、異なる色を発する3つのLEDに対して、LED灯体外からLED灯体に電流を供給する配線を3本必要とする。また、このような構成の照明装置を自動車等に設置する場合は、配線数が多くなり、配線の設置スペースや重量、コスト等に制約が生じる、という問題があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、少ない配線数でフルカラー発光できる照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明は、赤、緑、青のいずれかの色の光を発する第1光源、第2光源、及び、第3光源を有する灯体と、前記灯体に電力供給を行なう2本の第1配線、第2配線により前記灯体の点灯状態を制御する点灯制御部と、を備え、前記第1光源の第1アノード側は前記第1配線に接続され、前記第1光源の第1カソード側は前記第2配線に接続され、前記第2光源の第2カソード側は前記第1配線に接続され、前記第2光源の第2アノード側は前記第2配線に接続され、前記第3光源の第3アノード側は前記第1配線に接続され、前記第3光源の第3カソード側はスイッチング素子を介して前記第2配線に接続され、前記点灯制御部は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより、前記灯体の点灯状態を制御する、照明装置を提供する。
[2]前記第1光源及び前記第2光源は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより点灯状態を制御され、前記第3光源は、前記第1配線及び前記第2配線の電位の組み合わせにより前記スイッチング素子のスイッチング制御を介して点灯状態を制御される構成であってもよい。
[3]また、前記第1光源、前記第2光源は、それぞれ、前記第1配線と前記第2配線の間に直列にダイオードが接続されている構成であってもよい。
[4]また、前記第3光源は、赤色を発する赤色灯体であってもよい。
[5]また、前記灯体は、車両のステアリングに搭載され、ステアリングロールコネクタを介して前記車両の車両本体に配置された前記点灯制御部と電気的に接続されている構成であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、少ない配線数でフルカラー発光できる照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、本発明の実施の形態に係る照明装置の構成を示す回路構成図であり、図1(b)は、グランド線を車両等の金属ボデーとした場合の構成を示す回路構成図である。
図2図2(a)は、本発明の実施の形態に係る照明装置の発光色を調整する調色制御における配線X、配線Yの電位の組み合わせと、その時のLEDの点灯状態を示す表であり、図2(b)は、緑色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G(緑色)の関係を示す図であり、図2(c)は、青色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B(青色)の関係を示す図であり、図2(d)は、赤色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色R(赤色)の関係を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る照明装置において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)以外の任意の色を発光させるフルカラー照明をする場合の例を示すものであり、図3(a)は、点灯色として水色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B、Gの関係を示し、点灯色B、Gが混色して水色が点灯する例を示す図であり、図3(b)は、点灯色として紫色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B、Rの関係を示し、点灯色B、Rが混色して紫色が点灯する例を示す図であり、図3(c)は、点灯色として黄色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G、Rの関係を示し、点灯色G、Rが混色して黄色が点灯する例を示す図であり、図3(d)は、点灯色として白色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G、R、Bの関係を示し、点灯色G、R、Bが混色して白色が点灯する例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る照明装置を赤色で発光させる場合において、その発光光量をパルス幅の比(デューティ比)により調整する調光制御の場合を示す図であり、図4(a)は、デューティ比5%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図であり、図4(b)は、デューティ比25%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図であり、図4(c)は、デューティ比50%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図であり、図4(d)は、デューティ比75%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図であり、図4(e)は、デューティ比100%、すなわち、連続点灯で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。
図5図5(a)は、本発明の実施の形態に係る照明装置のLED灯体を、車両のステアリングスポーク部に搭載してステアリング照明として使用する場合を示す図であり、図5(b)は、図5(a)における構成を示す構成図である。
図6図6は、従来技術における照明装置の赤色LED、緑色LED及び青色LEDの配置と電流を供給する配線状態を示す従来構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔本発明の実施の形態〕
本発明の実施の形態に係る照明装置1は、図1(a)に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の光を発する第1光源、第2光源、及び、第3光源を有する灯体としてのLED灯体10と、LED灯体10に電力供給(電流供給)を行なう2本の第1配線21、第2配線22によりLED灯体10の点灯状態を制御する点灯制御部20と、を備える。第1光源としての青色LED11の第1アノード11a側は第1配線21に接続され、青色LED11の第1カソード11b側は第2配線22に接続されている。第2光源としての緑色LED12の第2カソード12b側は第1配線21に接続され、緑色LED12の第2アノード12a側は第2配線22に接続されている。第3光源としての赤色LED13の第3アノード13a側は第1配線21に接続され、赤色LED13の第3カソード13b側はスイッチング素子としてのトランジスタ50を介して第2配線22に接続されている。点灯制御部20は、第1配線21及び第2配線22の電位(H:High、L:Low)の組み合わせにより、LED灯体10の点灯状態を制御する。
【0011】
また、第1光源としての青色LED11及び第2光源としての緑色LED12は、第1配線21及び第2配線22の電位の組み合わせにより点灯状態を制御され、第3光源としての赤色LED13は、第1配線21及び第2配線22の電位の組み合わせによりトランジスタ50のスイッチング制御を介して点灯状態を制御される。
【0012】
スイッチング素子は、信号を流したり切ったりするスイッチング動作を行なうことができる半導体素子であり、本実施の形態では、バイポーラトランジスタ50を使用した例で説明したが、MOSトランジスタ等の半導体素子を使用することもできる。また、本実施の形態では、NPN型バイポーラトランジスタの使用例で説明したが、PNP型バイポーラトランジスタでも同様に使用可能である。また、図1に示すように、トランジスタを負荷(LED)に対して下側回路に配するローサイドスイッチとして使用する例を示したが、トランジスタを負荷(LED)に対して上側回路に配するハイサイドスイッチとして使用することも可能である。
【0013】
なお、青色LED11の第1カソード11bはダイオードD1のアノードD1aに接続され、ダイオードD1のカソードD1bが第2配線22に接続されている。また、緑色LED12の第1アノード11aはダイオードD2のカソードD1bに接続され、ダイオードD2のアノードD1aが第2配線22に接続されている。すなわち、青色LED11、緑色LED12にそれぞれダイオードD1、D2が順方向に直列に接続されて、これにより、青色LED11、緑色LED12に逆方向の電圧が印加された場合にLEDが破損しないように保護することができる。
【0014】
トランジスタ50のコレクタ50cは赤色LED13の第3カソード13bに接続され、ベース50bは第2配線22に接続され、エミッタ50eはグランド線23に接続されている。トランジスタ50のベース50bに第2配線22からH(High)電圧が印加されることにより、コレクタ50cとエミッタ50e間が導通(ON)し、ベース50bに第2配線22からL(Low)電圧が印加されることにより、コレクタ50cとエミッタ50e間が遮断(OFF)することにより、赤色LED13のスイッチング制御をすることができる。
【0015】
なお、「接続」とは、電気的接続を意味する。また、電位(H:High、L:Low)は、一例として、H=3V、L=0V、あるいは、H=5V、L=0Vである。また、図1において、第1配線21の端子を端子X、第2配線22の端子を端子Y、及び、グランド線23の端子をGNDとしている。
【0016】
第1光源、第2光源、及び、第3光源は、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の光を発するLEDに設定することが可能である。ただし、本実施の形態では、第3光源は、赤色を発する赤色灯体としての赤色LED13に限定した。一般に、LED(Light Emitting Diode)素子は、順方向に電圧降下を有する。この順方向電圧降下(VF)の値は、発光色によりバンドギャップ(禁制帯幅)が異なるので、発光する色によって順方向電圧が決まることになる。一例として、赤色LEDは電圧降下の値が1.8V程度、緑色LEDは電圧降下の値が2V程度、青色LEDは電圧降下の値が2.7V程度である。
【0017】
したがって、第3光源として赤色LED13を使用することにより、順方向電圧降下(VF)を小さくすることができ、赤色LED13のアノードとカソード間に印加される電圧を大きくすることができる。これにより、一定の電源電圧でLEDを駆動する場合に効率が良い。特に、照明装置1を低電圧で動作させる場合に有利である。
【0018】
灯体(第1灯体、第2灯体、第3灯体)は、本実施の形態では、LED(Light Emitting Diode)素子によるLED灯体10としたが、LD(Laser Diode)素子、EL(Electro Luminescence)素子、電球、蛍光管などの光源も使用可能である。
【0019】
本実施の形態では、図1に示したように、第1光源としての第1灯体を青色の光を発する青色LED11、第2光源としての第2灯体を緑色の光を発する緑色LED12、第3光源としての第3灯体を赤色の光を発する赤色LED13として説明した。青色LED11が発する青色の光は、目で見た際の色に相当する波長であり、主波長(ドミナント波長)が約435~480nm(ナノメートル)である。緑色LED12が発する緑色の光は、目で見た際の色に相当する波長であり、主波長が約500~560nmである。また、赤色LED13が発する赤色の光は、目で見た際の色に相当する波長であり、主波長が約610~760nmである。
【0020】
点灯制御部20は、LED灯体10の青色LED11、緑色LED12、及び赤色LED13に電流を供給する第1配線21、第2配線22を有する。また、トランジスタ50のエミッタ50eに接続されるグランド線23を有する。
【0021】
点灯制御部20は、内部にパルスジェネレータを備え、青色LED11、緑色LED12、及び赤色LED13を駆動して発光させる任意のパルスを発生させて出力できる。すなわち、点灯制御部20は、所定の電圧で、任意のパルス幅の比(デューティ比)のパルスを発生させることができる。これにより、LED灯体10の点灯制御、消灯制御、調光制御、及び、調色制御が可能となる。
【0022】
図1(a)に示す構成では、専用のグランド線を備えるものとしたが、図1(b)に示すように、例えば、照明装置1を自動車等の車両に搭載する場合には、車両の金属ボデー150の設置位置がグランド電位となる場合は、金属ボデー150をグランド線の代わりに使用することができる。これにより、図1(b)に示すように、グランド線の配線を省略することができる。
【0023】
図6は、従来技術における照明装置の赤色LED、緑色LED及び青色LEDの配置と電流を供給する配線状態を示す従来構成図である。従来のフルカラーLED照明200では、赤、緑、青の各LEDに電流を供給する独立した配線201、202、203と、各LEDから電流を戻す配線204の合計4本の配線が最低限必要であった。すなわち、各LEDに電流を供給する独立した配線としては、3本の信号線を必要としていた。
【0024】
上記のことは、特に自動車などの配線スペースや重量に制約のあるアプリケーションでは、配線の多さが問題となっていた。図1(a)、図1(b)に示した本実施の形態に係る照明装置1では、配線に流す電流の方向を工夫することにより、最低3本の配線があればフルカラー照明を実現できる。各LEDに電流を供給する独立した配線としては、2本の信号線でフルカラー照明を実現できる。
【0025】
これにより、配線設置スペースや重量制約のあるアプリケーションにも容易にフルカラー照明を応用できるようになる。また、配線の本数が減ることにより、配線コストの低減も期待できる。
【0026】
(照明装置1の調色制御)
図2は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の発光色を調整する調色制御を説明するための図である。図2(a)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1の発光色を調整する調色制御における配線X、配線Yの電位の組み合わせと、その時のLEDの点灯状態を示す表である。図2(a)に示すように、配線Xと配線Yの電位を(H:High、L:Low)の組み合わせにすることにより、各LED(青色LED11、緑色LED12、赤色LED13)の点灯状態、消灯状態(ON、OFF)を制御できる。すなわち、配線X、配線Yに印加するパルスのHigh、Lowの組み合わせにより、青色LED11、緑色LED12、赤色LED13のいずれかのLEDを点灯させて、所望の色で照明することができる。
【0027】
図1(a)において、配線XをL、配線YをLの電位とした場合は、いずれのLED(青色LED11、緑色LED12、赤色LED13)にも電圧が印加されず、すべてのLEDは消灯状態である。
【0028】
配線XをL、配線YをHの電位とした場合は、青色LED11には逆方向の電圧が印加され、緑色LED12には順方向の電圧が印加される。また、トランジスタ50のベース50bにH電圧が印加されるが赤色LED13には順方向の電圧が印加されない。これにより、配線XをL、配線YをHの電位とした場合は、緑色LED12のみが点灯する。
【0029】
配線XをH、配線YをLの電位とした場合は、青色LED11には順方向の電圧が印加され、緑色LED12には逆方向の電圧が印加される。また、トランジスタ50のベース50bにL電圧が印加されるのでトランジスタ50は通電しない。これにより、配線XをH、配線YをLの電位とした場合は、青色LED11のみが点灯する。
【0030】
配線XをH、配線YをHの電位とした場合は、青色LED11には順方向の電圧が印加されず、緑色LED12にも順方向の電圧が印加されない。また、トランジスタ50のベース50bにはH電圧が印加されてトランジスタ50は通電し、赤色LED13には順方向の電圧が印加される。これにより、配線XをH、配線YをHの電位とした場合は、赤色LED13のみが点灯する。
【0031】
図2(b)は、緑色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G(緑色)の関係を示す図である。緑色LED12に対して、配線XにL、配線YにHのパルスを印加させることにより、緑色LED12を発光させることができる。図2(b)においては、パルス波形をパルス幅の比(デューティ比)50%として一定の周期で緑色を点灯させている。
【0032】
図2(c)は、青色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B(青色)の関係を示す図である。青色LED11に対して、配線XにH、配線YにLのパルスを印加させることにより、青色LED11を発光させることができる。図2(c)においては、パルス波形をパルス幅の比(デューティ比)50%として一定の周期で青色を点灯させている。
【0033】
図2(d)は、赤色のLEDを発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色R(赤色)の関係を示す図である。赤色LED13に対して、配線XにH、配線YにHのパルスを印加させることにより、赤色LED13を発光させることができる。図2(d)においては、パルス波形をパルス幅の比(デューティ比)50%として一定の周期で赤色を点灯させている。
【0034】
(照明装置1のフルカラー制御)
図3は、本発明の実施の形態に係るフルカラーの照明装置において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)以外の任意の色を発光させるフルカラー調色制御の例を示すものである。本発明の実施の形態に係る照明装置1は、任意の色(フルカラー)を発光させることができるが、以下において、任意の色の一例として、水色、紫色、黄色、白色を発光させる場合のフルカラー制御について説明する。
【0035】
図3(a)は、点灯色として水色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B、Gの関係を示し、点灯色B、Gが混色して水色が点灯する例を示す図である。図3(a)に示すように、配線XにH、配線YにLの電位を印加することにより青色LED11を発光させて青色(B)の点灯色にし、別のタイミングで、配線XにL、配線YにHの電位を印加することにより緑色LED12を発光させて緑色(G)の点灯色にすることができる。このタイミングを高速で切り替えるパルス波形とすることにより点灯色B、Gが混色して水色の点灯色を発光させることができる。
【0036】
図3(b)は、点灯色として紫色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色B、Rの関係を示し、点灯色B、Rが混色して水色が点灯する例を示す図である。図3(b)に示すように、配線XにH、配線YにLの電位を印加することにより青色LED11を発光させて青色(B)の点灯色にし、別のタイミングで、配線XにH、配線YにHの電位を印加することにより赤色LED13を発光させて赤色(R)の点灯色にすることができる。このタイミングを高速で切り替えるパルス波形とすることにより点灯色B、Rが混色して紫色の点灯色を発光させることができる。
【0037】
図3(c)は、点灯色として黄色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G、Rの関係を示し、点灯色G、Rが混色して黄色が点灯する例を示す図である。図3(c)に示すように、配線XにL、配線YにHの電位を印加することにより緑色LED12を発光させて緑色(G)の点灯色にし、別のタイミングで、配線XにH、配線YにHの電位を印加することにより赤色LED13を発光させて赤色(R)の点灯色にすることができる。このタイミングを高速で切り替えるパルス波形とすることにより点灯色G、Rが混色して黄色の点灯色を発光させることができる。
【0038】
図3(d)は、点灯色として白色を発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形を示す横軸時間の波形図と点灯色G、R、Bの関係を示し、点灯色G、R、Bが混色して白色が点灯する例を示す図である。図3(d)に示すように、配線XにL、配線YにHの電位を印加することにより緑色LED12を発光させて緑色(G)の点灯色にし、別のタイミングで、配線XにH、配線YにHの電位を印加することにより赤色LED13を発光させて赤色(R)の点灯色にし、また別のタイミングで、配線XにH、配線YにLの電位を印加することにより青色LED11を発光させて青色(B)の点灯色にすることができる。このタイミングを高速で切り替えるパルス波形とすることにより点灯色G、R、Bが混色して白色の点灯色を発光させることができる。
【0039】
(照明装置1の調光制御)
図4は、本発明の実施の形態に係る照明装置1を赤色で発光させる場合において、その発光光量をパルス幅の比(デューティ比)により調整する調光制御の場合を示す図である。なお、赤色で発光させるのは一例であり、他の任意の色においても同様に発光光量を調整する調光制御が可能である。
【0040】
図4(a)は、デューティ比5%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。パルス波形を、基本周期をT、パルス幅をTdとするパルス幅の比(デューティ比)に設定する。すなわち、デューティ比=(Td/T)×100%である。図4(a)は、デューティ比5%に設定して通電幅を小さくすることで、全点灯の5%の発光量とする例である。配線XにH、配線YにHの電位を印加させることにより、赤色LED13が発光する。配線XにL、配線YにLの電位を印加した部分は消灯してオフタイムとなる。
【0041】
図4(b)は、デューティ比25%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。図4(b)は、デューティ比25%に設定して通電幅を小さくすることで、全点灯の25%の発光量とする例である。配線XにH、配線YにHの電位を印加させることにより、赤色LED13が発光する。配線XにL、配線YにLの電位を印加した部分は消灯してオフタイムとなる。
【0042】
図4(c)は、デューティ比50%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。図4(c)は、デューティ比50%に通電幅を設定することで、全点灯の半分の発光量とする例である。配線XにH、配線YにHの電位を印加させることにより、赤色LED13が発光する。配線XにL、配線YにLの電位を印加した部分は消灯してオフタイムとなる。
【0043】
図4(d)は、デューティ比75%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。図4(d)は、デューティ比75%に設定して通電幅を大きくすることで、全点灯の75%の発光量とする例である。配線XにH、配線YにHの電位を印加させることにより、赤色LED13が発光する。配線XにL、配線YにLの電位を印加した部分は消灯してオフタイムとなる。
【0044】
図4(e)は、デューティ比100%で発光させる場合の配線X、配線Yに印加されるパルス波形図である。図4(e)は、デューティ比100%に設定して通電幅を最大にすることで、連続点灯(全点灯)とする例である。配線XにH、配線YにHの電位を印加させることにより、赤色LED13が発光する。連続点灯するので、すべてオンタイムとなり、オフタイムはない。
【0045】
(照明装置1の車両への適用例)
図5(a)は、本発明の実施の形態に係る照明装置1のLED灯体10を、車両100のステアリングスポーク部112に搭載してステアリング照明として使用する場合を示す図であり、図5(b)は、図5(a)における構成を示す構成図である。図5(a)に示すように、一例として、照明装置1のLED灯体10をステアリングスポーク部112に搭載して、ステアリング照明、フルカラーのイルミネーションとして使用することができる。
【0046】
図5(b)に示すように、本発明の実施の形態に係る照明装置1を車両100に適用する場合は、ステアリング110側にLED灯体10を搭載し、点灯制御部20を車両本体101側に設置する。この場合、LED灯体10と点灯制御部20は、ステアリングロールコネクタ120を介して電気的に接続される。図1(b)で示した配線21、22は、ステアリングロールコネクタ120の2チャンネル分の配線を使用し、グランドを金属ボデー150としてステアリング110の心金等を使用することができる。
【0047】
ここで、ステアリングロールコネクタ(SRC)120は、ステアリング110と車両本体101を結ぶ回転するコネクタで、車両側とステアリング上に装着された電装品を電気的に接続するものである。ステアリングロールコネクタ120は、例えば、フラットケーブルをロール状に配置して、車両本体101に対して回転可能なステアリング110と電気的に接続することができる。ステアリング110側には、各種スイッチ類や照明、エアバッグ等が搭載される。ステアリングロールコネクタ120のチャンネル数には限度があるので、搭載される各機器の配線数は少ないほうが好ましい。
【0048】
前述したように、本発明の実施の形態に係る照明装置1は、LED灯体10に電力(電流)供給を行なう2本の配線があればよいので、従来の構成に比べて配線数が少なくてよい。これにより、限られたチャンネル数のステアリングロールコネクタ120を効率よく使用でき、本発明の実施の形態に係る照明装置1は、車両へ搭載する場合に好適に適用することができる。
【0049】
上記の例に限らず、特に自動車などの配線スペースや重量に制約のあるアプリケーションでは、配線の多さが問題となる場合があり、本発明の実施の形態に係る照明装置1は、配線設置スペースや重量制約のあるアプリケーションにも容易にフルカラー照明を応用できるようになる。また、配線の本数が減ることにより、配線コストの低減も期待できる。
【0050】
〔本発明の実施の形態の効果〕
(1)発明の実施の形態に係る照明装置1は、図1(a)に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色の光を発する第1光源、第2光源、及び、第3光源を有する灯体としてのLED灯体10と、LED灯体10に電力(電流)供給を行なう2本の第1配線21、第2配線22によりLED灯体10の点灯状態を制御する点灯制御部20と、を備える。第1光源としての青色LED11の第1アノード11a側は第1配線21に接続され、青色LED11の第1カソード11b側は第2配線22に接続されている。第2光源としての緑色LED12の第2カソード12b側は第1配線21に接続され、緑色LED12の第2アノード12a側は第2配線22に接続されている。第3光源としての赤色LED13の第3アノード13a側は第1配線21に接続され、赤色LED13の第3カソード13b側はスイッチング素子としてのトランジスタ50を介して第2配線22に接続されている。点灯制御部20は、第1配線21及び第2配線22の電位(H:High、L:Low)の組み合わせにより、LED灯体10の点灯状態を制御する。これにより、最低3本の配線があればフルカラー照明を実現できる。また、各LEDに電流を供給する独立した配線としては、2本の信号線でフルカラー照明を実現することが可能になる。
(2)本実施の形態では、第3光源は赤色LED13に限定する構成とした。第3光源として赤色LED13を使用することにより、順方向電圧降下(VF)を小さくすることができ、赤色LED13のアノードとカソード間に印加される電圧を大きくすることができる。これにより、一定の電源電圧でLEDを駆動する場合に効率が良い。特に、照明装置1を低電圧で動作させる場合に有利である。
(3)発明の実施の形態に係る照明装置1は、最低3本の配線があればフルカラー照明を実現できる。また、各LEDに電流を供給する独立した配線としては、2本の信号線でフルカラー照明を実現することが可能になる。したがって、特に自動車などの配線スペースや重量に制約のあるアプリケーションでは、配線の多さが問題となる場合があり、本発明の実施の形態に係る照明装置1は、配線設置スペースや重量制約のあるアプリケーションにも容易にフルカラー照明を応用できるようになる。また、配線の本数が減ることにより、配線コストの低減も期待できる。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0052】
1…照明装置
10…LED灯体、11…青色LED、11a…第1アノード、11b…第1カソード、12…緑色LED、12a…第2アノード、12b…第2カソード、13…赤色LED、13a…第3アノード、13b…第3カソード
20…点灯制御部、21…第1配線、22…第2配線、23…グランド線
50…トランジスタ、50b…ベース、50c…コレクタ、50e…エミッタ
100…車両、101…車両本体、110…ステアリング、112…ステアリングスポーク部、120…ステアリングロールコネクタ、150…金属ボデー
200…フルカラーLED照明、201、202、203、204…配線
D1、D2…ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6