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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107966
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】太陽光パネル清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240802BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20240802BHJP
   A47L 11/283 20060101ALI20240802BHJP
   H02S 40/10 20140101ALI20240802BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B08B1/04
A47L11/283
H02S40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012180
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】522306642
【氏名又は名称】PVJレントオール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】参鍋 一
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
3B116AA31
3B116AA46
3B116AB54
3B116BA02
3B116BA13
3B116BA23
3B116BA35
3B116BB22
3B116BB62
3B201AA31
3B201AA46
3B201AB56
3B201BA02
3B201BA13
3B201BA23
3B201BB22
3B201BB62
3B201BB92
5F151JA01
5F151JA15
5F251JA01
5F251JA15
(57)【要約】
【課題】重量を軽くして屋根に設置された太陽光パネルユニットまで運搬し易くなり、パネル面同士にほぼ隙間がないような太陽光パネルユニットに対しても問題なく清掃することができる太陽光パネル清掃装置を提供する。
【解決手段】太陽光パネルユニット1の清掃を行う太陽光パネル清掃装置10であって、フレーム部20と、駆動部30と、清掃部40と、流体供給部50と、制御部60とを有し、流体供給部50は、駆動部30による進行方向Sにおける清掃部40を挟んだ前後双方に進行方向Sと直交する方向Tに延出する流体送出管51を有しており、流体送出管51に複数の流体送出ノズル52が設けられており、駆動部30でパネル面3上を移動しながら、パネル面3に対して流体供給部50の流体送出ノズル52から流体Wを供給し、清掃部40で流体Wが供給されたパネル面3を清掃するように構成された。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面を有する太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットの清掃を行う太陽光パネル清掃装置であって、
装置の枠組を形成するフレーム部と、
前記フレーム部に設けられて前記装置を前記パネル面上で移動させる駆動部と、
前記フレーム部に設けられて前記パネル面の清掃を行う清掃部と、
前記フレーム部に設けられて前記パネル面に流体を供給する流体供給部と、
前記フレーム部に設けられて前記駆動部、前記清掃部、前記流体供給部を制御する制御部と、
を有し、
前記流体供給部は、前記駆動部による進行方向における前記清掃部を挟んだ前後双方に前記進行方向と直交する方向に延出する流体送出管を有しており、前記流体送出管に複数の流体送出ノズルが設けられており、
前記駆動部で前記パネル面上を移動しながら、前記パネル面に対して前記流体供給部の前記流体送出ノズルから流体を供給し、前記清掃部で流体が供給された前記パネル面を清掃するように構成されたことを特徴とする太陽光パネル清掃装置。
【請求項2】
前記流体送出ノズルは、流体が前記流体送出管の延出方向に広がって送出されるように構成されており、前記パネル面に供給される流体が前記流体送出管の前記延出方向に対して隙間なく送出されるように配置されており、
前記流体送出ノズルから送出された流体で、前記パネル面の汚れを前記進行方向の前方に押し流すように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【請求項3】
前記駆動部は、複数の駆動モータと、当該駆動モータにそれぞれ繋がる車輪とを有する構成となっており、
前記フレーム部には、前記車輪が前記パネル面同士の隙間に嵌ったときに前記装置を支持して、それ以上前記車輪が前記パネル面同士の前記隙間に嵌り込まないようにする補助輪が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【請求項4】
前記フレーム部における前記駆動部の進行方向の前後両端部に装置落下防止センサが設けられており、
前記装置が太陽光パネルの縁まで移動してきたときに、前記装置落下防止センサが検知し、前記制御部が警告を発する及び/又は強制停止を行うように制御されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【請求項5】
前記清掃部は、前記パネル面に対して略垂直方向に延びる回転軸を中心として回転する回転ブラシ部と、前記回転ブラシ部を回動させる回転ブラシ用モータとを有しており、
前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心とした所定範囲にブラシが形成されており、該ブラシの間に間隙部を有するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【請求項6】
前記流体供給部は、外部の流体供給装置と流体供給管を介して繋がって流体が供給されるように構成されており、
前記流体供給管が前記流体供給部と繋がる接続部は、回動自在に構成されており、
前記駆動部によって移動しても前記流体供給管が絡まないように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光パネル清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルの発電能力の低下を防ぎ、効率良く発電等するために清掃を行う太陽光パネル清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットが知られている。また、このような太陽光パネルユニットの、各太陽光パネルの発電能力の低下を防ぐために、太陽光を受光するパネル面を清掃する清掃装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の清掃装置は、太陽光パネルのパネル面に接触する車輪等の走行体と回転ブラシ等の清掃機構を有しており、太陽光パネルのパネル面上を走行体で走行しながら清掃機構で清掃する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-138854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、太陽光パネルユニットとしては、野立てのものの他、家屋や社屋、工場等の屋根に設置されるものがある。屋根に設置された太陽光パネルユニットは、太陽光パネルのパネル面が略平面に設置され、パネル面同士にほぼ隙間のない状態で並べているものが多い。
【0006】
このような屋根に設置された太陽光パネルユニットを清掃しようとした場合、清掃装置を屋根の上まで運ぶ必要があり、従来使用されている清掃装置では、重量が重過ぎて屋根まで運ぶことが困難な場合が生じていた。また、屋根に設置された太陽光パネルユニットは、パネル面同士にほぼ隙間がない状態となっているため、手動で清掃をしようとした場合に、手動の装置が届かない、又は作業が非常に困難な場合があり、問題が生じていた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、重量を軽くして屋根に設置された太陽光パネルユニットまで運搬し易くなり、パネル面同士にほぼ隙間がないような太陽光パネルユニットに対しても問題なく清掃することができる太陽光パネル清掃装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を達成するために、本発明は、パネル面を有する太陽光パネルを複数並べて設置した太陽光パネルユニットの清掃を行う太陽光パネル清掃装置であって、装置の枠組を形成するフレーム部と、前記フレーム部に設けられて前記装置を前記パネル面上で移動させる駆動部と、前記フレーム部に設けられて前記パネル面の清掃を行う清掃部と、前記フレーム部に設けられて前記パネル面に流体を供給する流体供給部と、前記フレーム部に設けられて前記駆動部、前記清掃部、前記流体供給部を制御する制御部と、を有し、前記流体供給部は、前記駆動部による進行方向における前記清掃部を挟んだ前後双方に前記進行方向と直交する方向に延出する流体送出管を有しており、前記流体送出管に複数の流体送出ノズルが設けられており、前記駆動部で前記パネル面上を移動しながら、前記パネル面に対して前記流体供給部の前記流体送出ノズルから流体を供給し、前記清掃部で流体が供給された前記パネル面を清掃するように構成された太陽光パネル清掃装置としたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明においては、前記流体送出ノズルは、流体が前記流体送出管の延出方向に広がって送出されるように構成されており、前記パネル面に供給される流体が前記流体送出管の前記延出方向に対して隙間なく送出されるように配置されており、前記流体送出ノズルから送出された流体で、前記パネル面の汚れを前記進行方向の前方に押し流すように構成されていることが望ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記駆動部は、複数の駆動モータと、当該駆動モータにそれぞれ繋がる車輪とを有する構成となっており、前記フレーム部には、前記車輪が前記パネル面同士の隙間に嵌ったときに前記装置を支持して、それ以上前記車輪が前記パネル面同士の前記隙間に嵌り込まないようにする補助輪が設けられていることが望ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記フレーム部における前記駆動部の進行方向の前後両端部に装置落下防止センサが設けられており、前記装置が太陽光パネルの縁まで移動してきたときに、前記装置落下防止センサが検知し、前記制御部が警告を発する及び/又は強制停止を行うように制御されるように構成されていることが望ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記清掃部は、前記パネル面に対して略垂直方向に延びる回転軸を中心として回転する回転ブラシ部と、前記回転ブラシ部を回動させる回転ブラシ用モータとを有しており、前記回転ブラシ部は、前記回転軸を中心とした所定範囲にブラシが形成されており、該ブラシの間に間隙部を有するように構成されていることが望ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記流体供給部は、外部の流体供給装置と流体供給管を介して繋がって流体が供給されるように構成されており、前記流体供給管が前記流体供給部と繋がる接続部は、回動自在に構成されており、前記駆動部によって移動しても前記流体供給管が絡まないように構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、太陽光パネル清掃装置が、フレーム部と駆動部と清掃部と流体供給部と制御部とを有し、流体供給部が清掃部を挟んだ前後双方の進行方向と直交する方向に延出する流体送出管を有し、当該流体送出管に設けられた流体送出ノズルから流体をパネル面に供給するように構成されたことで、効率よく太陽光パネルのパネル面を清掃することができる構成となっており、これにより、装置をコンパクトにして無駄をなくし、重量を軽くすることができるようになっている。その結果、屋根に設置された太陽光パネルユニットまで運搬し易くなり、パネル面同士にほぼ隙間がないような太陽光パネルユニットに対しても問題なく清掃することができる太陽光パネル清掃装置とすることができる。
【0015】
また、本発明において、流体送出ノズルから流体が流体送出管の延出方向に広がって送出されるように構成され、パネル面に供給される流体が流体送出管の延出方向に対して隙間なく送出されるように配置されていることで、流体送出ノズルから送出された流体で、パネル面の汚れを進行方向の前方に押し流すようにすることができ、屋根等に設定された太陽光パネルがほぼ勾配のない状態で水はけが悪い状態の中で、汚れ及び汚れた水をパネル面上に留まらせずに排出し易くすることができる。
【0016】
また、本発明において、駆動部が複数の駆動モータと当該駆動モータにそれぞれ繋がる車輪とを有する構成となっており、フレーム部には車輪がパネル面同士の隙間に嵌ったときに装置を支持して、それ以上車輪がパネル面同士の隙間に嵌り込まないようにする補助輪が設けられていることで、トラブルを事前に回避できる構造にして、清掃を中断させずにスムーズな作業を行うことができる。
【0017】
また、本発明において、フレーム部における駆動部の進行方向の前後両端部に装置落下防止センサが設けられており、装置が太陽光パネルの縁まで移動してきたときに、装置落下防止センサが検知し、制御部が警告を発する及び/又は強制停止を行うように制御されるように構成されていることで、装置がパネル面から脱落する不具合が生じないように防止することができる。
【0018】
また、本発明において、清掃部がパネル面に対して略垂直方向に延びる回転軸を中心として回転する回転ブラシ部とそれを回動させる回動モータとを有しており、回転モータと回転ブラシ部を直結させることで、余分な駆動機構を介在させずに装置を軽量化することができる。また、回転ブラシ部が回転軸を中心とした所定範囲にブラシが形成されており、ブラシの間に間隙部を有するように構成されていることで、ブラシの間隙部から汚れた水を外側に放出することができ、効率よく清掃を行うことができる。
【0019】
また、本発明において、流体供給部が外部の流体供給装置と流体供給管を介して繋がって流体が供給されるように構成されており、流体供給管が流体供給部と繋がる接続部が回動自在に構成されていることで、駆動部によって移動しても流体供給管が絡まないように構成され、効率よく政争を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置が太陽光パネルユニットのパネル面上で移動する状態の概略を示す上面図である。
図2】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置を示す上面図である。
図3】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置における流体送出ノズルからの流体送出状態を示す一部省略正面図である。
図4】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置における流体送出ノズルからの流体送出状態を示す一部省略側面図である。
図5】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の第1構成部を示す上面図である。
図6】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の第2構成部を示す上面図である。
図7】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の第2構成部を示す正面図である。
図8】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の流体送出管を示す正面図である。
図9】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の回転ブラシ部を示す斜視図である。
図10】同実施の形態に係る太陽光パネル清掃装置の回転ブラシ部を裏面から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1図10には、本発明の実施の形態を示す。この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、図1に示すような、太陽光パネルユニット1のパネル面3の清掃を行う。この太陽光パネル清掃装置10は、装置の枠組を形成するフレーム部20と、当該フレーム部20に設けられて装置をパネル面3上で移動させる駆動部30と、フレーム部20に設けられてパネル面3の清掃を行う清掃部40と、フレーム部20に設けられてパネル面3に流体としての液体Wを供給する流体供給部50と、フレーム部20に設けられて駆動部30、清掃部40、流体供給部50を制御する制御部60と、を有するように構成されている。
【0023】
そして、図1の太線矢印に示すように、太陽光パネルユニット1が横方向Pに移動しながら清掃作業を行い、縦方向Lに移動した後に逆向きの横方向Pに移動しながら清掃作業を行う、という作業を繰り返して太陽光パネルユニット1のパネル面3の全体を清掃するようになっている。
【0024】
まず、この実施の形態の太陽光パネルユニット1について、図1を用いて説明する。
【0025】
一般に、家屋や社屋、工場等の屋根に設置された太陽光パネルユニット1は、パネル面3が略水平面(傾斜していない又はほんの僅か(例えば、2~3°)傾斜した状態)となるように設置される。以下、図1における方向Pを横方向、方向Lを縦方向として説明する。
【0026】
この太陽光パネルユニット1は、図1に示すように、複数の太陽光パネル2を、縦横に並べて設置したものである。図1では、設置例として、太陽光パネル2を、縦方向Lに3枚、横方向Pに4枚並べたものを示している。また、図1では、縦横に隣り合う太陽光パネル2同士がほぼ密着するように設置された状態が記載されているが、縦横に隣り合う太陽光パネル2同士の間には、所定の隙間が設けられる場合もある。
【0027】
また、それぞれの太陽光パネル2は、前記したパネル面3と、その裏面側に配置された発電装置(図示省略)とを有するパネル本体4と、その周囲に設けられた縁部5とを有している。このうち、パネル面3はガラスで構成されており、縁部5はアルミニウム等の金属で構成されている。
【0028】
次に、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10について、図2図10を用いて説明する。この太陽光パネル清掃装置10は、図2に示すように、装置の枠組を形成するフレーム部20、フレーム部20に設けられて装置をパネル面3上で移動させる駆動部30、フレーム部20に設けられてパネル面3の清掃を行う清掃部40、フレーム部20に設けられてパネル面3に液体Wを供給する流体供給部50と、フレーム部20に設けられて駆動部30と清掃部40と流体供給部50とを制御する制御部60を有して構成されている。
【0029】
また、この実施の形態の太陽光パネル清掃装置10は、持ち運び時、収納時等には、複数に分割しておくことができるようになっており、ここでは、図5に示すような第1構成部11、図6及び図7に示すような第2構成部12、図8に示すような第3構成部(流体送出管)としての散水管51に分割しておくことができるようになっている。そして、第2構成部12は、図2図4図5に示す4つの取付クランプ21等の取付手段によって、第1構成部11に固定して取り付けられるようになっている。
【0030】
また、散水管51は、図2図4図5に示すような、上向きに略U字状の凹部が形成された樹脂等からなる嵌込部材25等の取付手段によって、第1構成部11に嵌合して取り付けられるようになっている。散水管51が、嵌込部材25で第1構成部11に取り付けられていることで、後述する散水管51の流体送出ノズルとしての散水ノズル52から水が噴射される角度を簡単かつ自在に変更することができる。これにより、後述する水のカーテンを自由な角度で形成することができ、現場の状況に応じてより良い角度に水を噴射するように変更することができる。
【0031】
なお、第1構成部11と第2構成部12、第1構成部11と散水管51の取付方法については、本実施の形態で記載したものに限るものではなく、適宜の構成で取り付けるようになっていれば良い。
【0032】
また、第1構成部11は、図5に示すように、フレーム部20の一部に駆動部30と制御部60が設けられたものである。また、第2構成部12は、フレーム部20の一部に清掃部40が設けられたものである。また、第3構成部としての散水管51は、流体供給部50の一部であり、散水管51に散水ノズル52が複数設けられたものである。また、散水管51の略中央部には、水(純水が好ましい)等の液体を散水管51に供給する水タンク(図示省略)に繋がるホース等の流体供給管(図示省略)を取り付ける接続部53が設けられている。
【0033】
このうち、フレーム部20は、アルミ等で軽量化させて構成された枠組み部材であり、種々の部材をこのフレーム部20に取り付けるようになっている。また、ここでは、フレーム部20が第1構成部11と第2構成部12に分かれて形成されており、これらを組み合わせてフレーム部20を形成するようになっている。
【0034】
また、駆動部30は、図2等に示すように、4つの駆動モータ31と、それぞれの駆動モータ31に取り付けられた車輪32を有しており、この4つの車輪32で太陽光パネル清掃装置10を移動させるようになっている。この4つの車輪は全て略同じ方向を向くようになっており、この車輪32が向いている方向が進行方向Sとなっている。そして、この車輪32を全て同じ速度で同じ方向に回転させることで、太陽光パネル清掃装置10を前進又は後退させるように構成されている。また、駆動モータ31はそれぞれ独立して駆動させることができるため、進行方向Sと直交する方向Tの車輪32を逆回転させたり、回転数を方向Tで変化させたりすることで、その場(略同位置)で太陽光パネル清掃装置10を回動(旋回)させたり、太陽光パネル清掃装置10をカーブさせたりすることができるようになっている。これらの制御は、制御部60で駆動モータ31の回転数及び回転方向を制御することで変更することができるようになっている。なお、駆動モータ31は、バッテリBから電気の供給を受け、制御部60の信号で駆動するようになっている。
【0035】
また、本実施の形態では、フレーム部20の進行方向Sの前後両端に補助輪35が2つずつ設けられている。この補助輪35はモータ等の駆動手段には接続されておらず、回転も首振りもフリーの状態となっている。また、車輪32よりも所定位置(例えば2~3mm程度)高くなるように配置されており、通常はパネル面3に接触しないように構成されている。そして、車輪32が太陽光パネル2同士の隙間等に嵌りそうになって太陽光パネル清掃装置10が落ち込みそうになったときに、この補助輪35が太陽光パネル清掃装置10の落ち込みを防止して支持するように構成されている。これにより、太陽光パネル清掃装置10が走行移動不能になることを防止して、落ち込んでいない車輪32の動力で落ち込みかけた車輪32を復帰させて、そのまま清掃を続けられるようにすることができる。
【0036】
また、本実施の形態の清掃部40は、3つの回転ブラシ用モータ41、回転ブラシ部42、水供給部(図示省略)等を有する構成となっている。このうち、回転ブラシ用モータ41は、回転ブラシ部42を回転させる動力源となるものであり、パネル面3に対して略垂直方向に延びる方向が回転軸43となるように配設されている。この回転ブラシ用モータ41は、バッテリBから電気の供給を受け、制御部60の信号で駆動するようになっている。
【0037】
また、回転ブラシ部42は、回転ブラシ用モータ41に接続されており、回転ブラシ用モータ41の動力で回転軸43を中心としてパネル面3上で回転作動するように構成されている。この回転ブラシ部42には、パネル面3に接する側にブラシ44が設けられている。このブラシ44は、目の詰まった均一の状態(例えば略円形状に均一に植毛された状態)に形成されたものではなく、回転軸43を中心とした所定範囲にブラシ44が形成されており、当該ブラシ44の間にブラシ44が植毛されていない間隙部45を有するように構成されている。また、本実施の形態の間隙部45は、回転軸43の軸方向に貫通した貫通孔として形成されている。
【0038】
また、本実施の形態では、複数のブラシ44が回転軸43を中心として放射状かつ等間隔に形成され、それぞれのブラシ44は略同一形状、略同じ大きさとなるように構成されている。具体的には、図9及び図10に示すように、回転ブラシ部42の裏面側(パネル面3に触れる側)に、4つの略扇形状の同一形状かつ同じ大きさのブラシ44が、回転軸43を中心として放射状で等間隔になるように(すなわち略90°ずつずれた位置に)配設されるように構成されており、それぞれのブラシ44の間に貫通孔に形成された間隙部45が設けられている。
【0039】
ここでは、間隙部45は回転軸43からブラシ44の外側まで至るように構成されている。また、ここでは、ブラシ44と当該ブラシ44の間の間隙部45が略同一形状、略同じ大きさとなるように構成されており、回転ブラシ部42におけるブラシ44が占める面積が回転ブラシ部42の裏面に対して略半分程度になるように構成されている。
【0040】
このような構成により、従来の目の詰まったブラシでは掻き出した汚れやこすり落とした汚れ、水を含んで浮き上がらせた汚れの汚水がブラシの内部で留まってしまう不具合について、ブラシ44の間の間隙部45で外側に汚れや汚水を排出することができ、内部に留まらないようにすることができる。その結果、よりパネル面3の清掃、洗浄を効率よく確実に行うことができる。
【0041】
また、本実施の形態では、回転ブラシ部42は、ブラシ44における複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部46を有している。この補強外形部46は、ブラシ44同士を繋ぐことで回転ブラシ部42の剛性を高めると共にブラシ44の挙動を安定させて、確実なパネル面3の清掃を行うことができ、回転ブラシ部42の耐久性を高めることができるようにするものである。ここでは、4つ全てのブラシ44の外側端部同士を繋ぐように4つの補強外形部46が形成されており、4つのブラシ44と4つの補強外形部とで略円形状を構成するようになっている。
【0042】
また、流体供給部50は、図2等に示すように、駆動部30による進行方向Sにおける清掃部40を挟んだ双方に進行方向Sと直交する方向Tに延出する散水管51を有している。この散水管51に複数の散水ノズル52が所定間隔で設けられており、太陽光パネル清掃装置10が駆動部30でパネル面3上を移動しながら、パネル面3に対して流体供給部50の散水ノズル52から液体(ここでは水、特には純水、洗浄液等の場合もあり)Wを供給し、清掃部40で液体Wが供給されたパネル面3を清掃するようになっている。
【0043】
また、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、散水ノズル52は、液体Wが散水管51の延出方向(進行方向Sと直交する方向)Tに広がって散水されるように構成されており、かつ、進行方向Sには広がらないように散水されるように構成されており、液体Wが薄い膜のような状態でパネル面3に供給されるようになっている。また、図3に示すように、液体Wが散水管51の延出方向Tに対して隙間なく散水されるように配置されており、散水ノズル52から散水された液体Wが薄い膜のような状態となって、パネル面3の汚れを進行方向Sの前方に押し流すように構成されている。これにより、略水平面に構成されたパネル面3においても、清掃により汚れた水が排出されずに残ってしまうことを防止して、清掃後のパネル面3をより綺麗な状態にすることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、流体供給部50は、外部の流体供給装置(図示省略)と流体供給管(図示省略)を介して繋がって液体Wが供給されるように構成されており、流体供給管が流体供給部50と繋がる接続部53は、回動自在に構成されており、太陽光パネル清掃装置10が駆動部30によって移動しても流体供給管が絡まないように構成されている。
【0045】
また、本実施の形態では、図2に示すように、フレーム部20における駆動部30の進行方向Sの前後両端部に、赤外線センサやフォトセンサ等で構成された装置落下防止センサ70が設けられており、太陽光パネル清掃装置10が太陽光パネル2の縁まで移動してきたときに、装置落下防止センサ70が検知し、制御部60が警告を発するか強制停止を行うかその双方により制御されるように構成されている。なお、本実施の形態では、前後2箇所に装置落下防止センサ70が設けられていたが、これに限るものではなく、横方向の端部等にもセンサが設けられていて、これらで装置が落下しないように監視するようになっていても良い。また、本実施の形態では、制御部60は、作業者が操作するリモコン装置(無線又は有線)と電気的に繋がっており、作業者の操作に応じて、制御部60が各部を制御して太陽光パネル2の清掃を行うようになっているが、これに限るものではなく、自動制御となっていて作業者からの直接の指示なく自動で太陽光パネル2の清掃作業を行っていくようになっていても良い。
【0046】
以上のように、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、太陽光パネル清掃装置10が、フレーム部20と駆動部30と清掃部40と流体供給部50と制御部60とを有し、流体供給部50が清掃部40を挟んだ前後双方の進行方向Sと直交する方向Tに延出する散水管51を有し、当該散水管51に設けられた散水ノズル52から液体Wをパネル面3に供給するように構成されたことで、効率よく太陽光パネル2のパネル面3を清掃することができる構成となっており、これにより、装置をコンパクトにして無駄をなくし、重量を軽くすることができるようになっている。その結果、屋根に設置された太陽光パネルユニット1まで運搬し易くなり、パネル面3同士にほぼ隙間がないような太陽光パネルユニット1に対しても問題なく清掃することができる太陽光パネル清掃装置10とすることができる。
【0047】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10で、散水ノズル52から液体Wが散水管51の延出方向Tに広がって散水されるように構成され、パネル面3に供給される液体Wが散水管51の延出方向Tに対して隙間なく散水されるように配置されていると、散水ノズル52から散水された液体Wで、パネル面3の汚れを進行方向Sの前方に押し流すようにすることができ、屋根等に設定された太陽光パネル2がほぼ勾配のない状態で水はけが悪い状態の中で、汚れ及び汚れた水をパネル面3上に留まらせずに排出し易くすることができる。
【0048】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10で、駆動部30が複数の駆動モータ31と当該駆動モータ31にそれぞれ繋がる車輪32とを有する構成となっており、フレーム部20には車輪32がパネル面3同士の隙間に嵌ったときに装置を支持して、それ以上車輪32がパネル面3同士の隙間に嵌り込まないようにする補助輪35が設けられていると、トラブルを事前に回避できる構造にして、清掃を中断させずにスムーズな作業を行うことができる。
【0049】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10で、フレーム部20における駆動部30の進行方向Sの前後両端部に装置落下防止センサ70が設けられており、装置が太陽光パネル2の縁まで移動してきたときに、装置落下防止センサ70が検知し、制御部60が警告を発する及び/又は強制停止を行うように制御されるように構成されていると、装置がパネル面3から脱落する不具合が生じないように防止することができる。
【0050】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10で、清掃部40がパネル面3に対して略垂直方向に延びる回転軸43を中心として回転する回転ブラシ部42とそれを回動させる回転ブラシ用モータ41とを有しており、回転ブラシ用モータ41と回転ブラシ部42を直結させるようになっていると、余分な駆動機構を介在させずに装置を軽量化することができる。また、回転ブラシ部42が回転軸43を中心とした所定範囲にブラシ44が形成されており、ブラシ44の間に間隙部45を有するように構成されていることで、ブラシ44の間隙部45から汚れた水を外側に放出することができ、効率よく清掃を行うことができる。
【0051】
また、前記した実施の形態の太陽光パネル清掃装置10で、流体供給部50が外部の流体供給装置と流体供給管を介して繋がって液体Wが供給されるように構成されており、流体供給管が流体供給部と繋がる接続部53が回動自在に構成されていると、駆動部30によって移動しても流体供給管50が絡まないように構成され、効率よく清掃を行うことができる。
【0052】
また、本実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、清掃部40の回転ブラシ部42が、従来見られる回転軸を中心とした略円形の隙間のない目の詰まったブラシを有するものではなく、回転軸43を中心として所定範囲にブラシ44が形成されていてブラシ44の間に間隙部45を有するように構成されたものであるため、従来のものであるとパネル面3から落とした汚れが目の詰まったブラシに留まってしまい、清掃能力が落ちてしまうものを、本実施の形態では、パネル面3から落とした汚れをブラシ44の間の間隙部45から外部に排出して、清掃能力を維持したまま清掃を行うことができる。
【0053】
特に、本実施の形態のように、回転ブラシ部42から水(及び洗剤)を出してパネル面3を洗浄するものでは、従来のものでは目の詰まったブラシにパネル面3洗浄後の汚水が留まってしまい、その汚水を含んだブラシでその後の洗浄を行うため、洗浄能力が著しく落ちてしまっていたところを、本実施の形態では、パネル面3洗浄後の汚水をブラシ44の間隙部45から流れ落としていくことができ、汚水を含まない状態でパネル面3の洗浄を続けていけるため、特に洗浄能力を維持したまま洗浄を行うことができる。
【0054】
また、本実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、複数のブラシ44が回転軸43を中心に等間隔に放射状に形成されているため、より均一に汚れをブラシ44同士の間の間隙部45から外部に排出することができ、清掃能力を確実に維持して清掃を行うことができる。
【0055】
また、本実施の形態の太陽光パネル清掃装置10によれば、回転ブラシ部42が、ブラシ44における複数の外側端部同士を繋ぐ補強外形部46を有しているため、回転ブラシ部42の構造を補強して強固にすることができ、耐久性を向上させ、高出力に耐えうる回転ブラシ部42とすることができる。
【0056】
なお、以上説明した各実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するものではない。
【0057】
例えば、前記した実施の形態では、清掃部40において、回転ブラシ部42が3つ取り付けられているものを例に説明したが、これに限るものではなく、回転ブラシ部42が1~2つ又は4つ以上取り付けられたものであっても良い。
【0058】
また、回転ブラシ部42のブラシ44と間隙部45の大きさ、形状、数等も前記したものに限らず、適宜の大きさ、形状、数に構成されていれば良い。例えば、形状が異なる複数のブラシ44を有する構成となっていても良いし、間隙部45の形状や大きさもそれぞれ異なるように構成されていても良い。また、ブラシ44は直線的な扇形形状でなくても良く、例えば渦巻状の形状となっていて、それぞれのブラシ44の間に同じく渦巻状の間隙部45を有しているような構成となっていても良い。また、ブラシ44は複数のブロックに分かれていなくても良く、1つのブラシ44の中に間隙部45が形成されているような構成であっても良い。また、間隙部45は貫通孔に形成されていないものでも良く、ブラシの植毛がされていないだけで貫通していない構成であっても、汚れや汚水が外側に排出されるような構成となっていれば良い。
【0059】
また、前記した実施の形態では、水や洗浄液等を液体を用いて清掃を行うものについて説明したが、これに限るものではなく、液体以外のエアー等の気体を用いて汚れを吹き飛ばしながら清掃を行うものであっても良い。また、流体の供給方法は、霧状に噴射する方法や、パルス状に吐出する方法、流れ落とす方法等、どのような供給方法でも良いが、前記したような薄い膜状に噴射して汚れを押し流していくのが好ましい。
【符号の説明】
【0060】
1 太陽光パネルユニット
2 太陽光パネル
3 パネル面
4 パネル本体
5 縁部
10 太陽光パネル清掃装置
11 第1構成部
12 第2構成部
20 フレーム部
21 取付クランプ
25 嵌込部材
30 駆動部
31 駆動モータ
32 車輪
35 補助輪
40 清掃部
41 回転ブラシ用モータ
42 回転ブラシ部
43 回転軸
44 ブラシ
45 間隙部
46 補強外形部
50 流体供給部
51 散水管(第3構成部、流体送出管)
52 散水ノズル(流体送出ノズル)
53 接続部
60 制御部
70 装置落下防止センサ
B バッテリ
P 横方向
L 縦方向
S 進行方向
T 進行方向と直交する方向
W 水(液体、流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10