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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107982
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20240802BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240802BHJP
【FI】
H01R13/6473
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012204
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】森田 倫太朗
(72)【発明者】
【氏名】中村 将史
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB11
5E021FC20
5E021FC23
5E021LA01
5E021LA06
5E021LA09
5E021LA15
5E021LA21
5E223AA01
5E223AB58
5E223AB60
5E223BA01
5E223BA05
5E223BA07
5E223BA08
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB39
5E223CD01
5E223CD02
5E223DB11
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB23
5E223EB32
(57)【要約】
【課題】特性インピーダンスの調整を容易に行うこと。
【解決手段】プラグコネクタ20は、絶縁性を有するハウジング22と、Y軸方向に沿ってハウジング22に配列されており、電気ケーブル60の内部導体61及びリセプタクルコネクタ10の信号端子13Bに接触する導電性の複数の信号コンタクト23Bと、シェル21と、を備え、ハウジング22は、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23B間の領域に、それら信号コンタクト23Bを伝わる信号の電気長を調整する空間が形成されている。
【選択図】図11

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有するハウジングと、
第1方向に沿って前記ハウジングに配列されており、電気ケーブルの内部導体及び相手コネクタのコンタクトに接触する導電性の複数の信号コンタクトと、
配線基板に取り付けられた相手コネクタの導電性のグランド部材に接触する導電性のシェルと、を備え、
前記ハウジングは、
互いに隣り合う2つの前記信号コンタクトの間の領域に、それら信号コンタクトを伝わる信号の電気長を調整する空間が形成されている、電気コネクタ。
【請求項2】
前記複数の信号コンタクトは、それぞれ、前記内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、前記相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、
前記ハウジングは、複数の前記第1部分の前記第1接触面あるいは前記第2部分の前記第2接触面よりも凹んだ段差部を有し、
前記段差部は、前記空間の少なくとも一部を区画する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記段差部は、互いに隣り合う2つの前記信号コンタクトの前記第1部分間に形成されている、請求項2記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記第1部分は、前記第1接触面に対応する部分であり隣り合う前記第1部分に近接する幅広部分と、前記幅広部分よりも、隣り合う前記第1部分から離間している幅狭部分と、を有し、
前記段差部は、互いに隣り合う2つの前記第1部分の前記幅広部分間に形成されている、請求項3記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記2つの信号コンタクトの間の領域を貫通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔は、前記空間の少なくとも一部を区画する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記複数の信号コンタクトは、それぞれ、前記内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、前記相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、
前記貫通孔は、互いに隣り合う2つの前記信号コンタクトの前記第2部分間に形成されている、請求項5記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記配線基板の主面に直交する方向である第2方向において、前記第2部分の前記第2接触面と異なる位置に形成されている、請求項6記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記複数の信号コンタクトは、それぞれ、前記内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、前記相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、
前記ハウジングは、複数の前記第1部分の前記第1接触面よりも凹んだ段差部を有し、
前記ハウジングには、前記2つの信号コンタクトの間の領域を貫通する貫通孔が形成されており、
前記段差部は、前記空間の第1の領域を区画し、
前記貫通孔は、前記空間の領域であって前記第1の領域とは異なる第2の領域を区画する、請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記配線基板の主面に直交する方向において前記相手コネクタに嵌合する、請求項1~8のいずれか一項記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記配線基板の主面に平行な方向において前記相手コネクタに嵌合する、請求項1~8のいずれか一項記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の細線同軸ケーブルを基板に接続するための電気コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-173018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、伝送速度の高速化に伴い、電気コネクタにおける伝送回路上のインピーダンスの整合が求められている。例えば、上述した特許文献1に記載されたような電気コネクタでは、端子の板厚・幅・形状、ハウジングの形状・材料、端子間の距離、又は端子とシールドシェルの距離等を調整することによって、特性インピーダンスの調整を行っている。しかしながら、このような調整方法においては、変更する対象が多岐にわたるため、特性インピーダンスの調整が困難である。
【0005】
本開示は、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる電気コネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電気コネクタは、絶縁性を有するハウジングと、第1方向に沿ってハウジングに配列されており、電気ケーブルの内部導体及び相手コネクタのコンタクトに接触する導電性の複数の信号コンタクトと、配線基板に取り付けられた相手コネクタの導電性のグランド部材に接触する導電性のシェルと、を備え、ハウジングは、互いに隣り合う2つの信号コンタクトの間の領域に、それら信号コンタクトを伝わる信号の電気長を調整する空間が形成されている。
【0007】
本開示の電気コネクタでは、ハウジングにおける、互いに隣り合う2つの信号コンタクト間の領域に、電気長を調整する空間が形成されている。このように、ハウジングに、電気長を調整するための空間が形成されることにより、互いに隣り合う2つの信号コンタクト間に存在するものをハウジングの材料(例えば樹脂)及び空気層にすることができる。このような構成によれば、電気長を調整する空間の大きさを調整することによって、誘電率を容易にコントロールし、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0008】
複数の信号コンタクトは、それぞれ、内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、ハウジングは、複数の第1部分の第1接触面あるいは第2部分の第2接触面よりも凹んだ段差部を有し、段差部は、空間の少なくとも一部を区画していてもよい。このように、信号コンタクトにおける内部導体に接触する第1接触面あるいは相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面よりも凹んだ段差部が形成され、該段差部によって空間が区画されることにより、内部導体と信号コンタクトとが接触する箇所あるいは相手コネクタのコンタクトと信号コンタクトとが接触する箇所に関して、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0009】
段差部は、互いに隣り合う2つの信号コンタクトの第1部分間に形成されていてもよい。このような構成によれば、互いに隣り合う第1部分間において特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0010】
第1部分は、第1接触面に対応する部分であり隣り合う第1部分に近接する幅広部分と、幅広部分よりも、隣り合う第1部分から離間している幅狭部分と、を有し、段差部は、互いに隣り合う2つの第1部分の幅広部分間に形成されていてもよい。このような構成によれば、隣り合う第1部分に近接する箇所において特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0011】
ハウジングには、2つの信号コンタクトの間の領域を貫通する貫通孔が形成されており、貫通孔は、空間の少なくとも一部を区画してもよい。このような構成によれば、容易に形成することができる貫通孔によって、互いに隣り合う2つの信号コンタクト間の特性インピーダンスの調整を行うことができる。
【0012】
複数の信号コンタクトは、それぞれ、内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、貫通孔は、互いに隣り合う2つの信号コンタクトの第2部分間に形成されていてもよい。このような構成によれば、信号コンタクトと相手コネクタのコンタクトとが接触する箇所において、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0013】
貫通孔は、配線基板の主面に直交する方向である第2方向において、第2部分の第2接触面と異なる位置に形成されていてもよい。これにより、例えば、第2接触面と相手コネクタのコンタクトとを接触させる工程において、誤って貫通孔に信号コンタクト等が入り込むことを好適に抑制することができる。
【0014】
複数の信号コンタクトは、それぞれ、内部導体に接触する第1接触面を含む第1部分、及び、相手コネクタのコンタクトに接触する第2接触面を含む第2部分を有し、ハウジングは、複数の第1部分の第1接触面よりも凹んだ段差部を有し、ハウジングには、2つの信号コンタクトの間の領域を貫通する貫通孔が形成されており、段差部は、空間の第1の領域を区画し、貫通孔は、空間の領域であって第1の領域とは異なる第2の領域を区画してもよい。このように、段差部及び貫通孔によってそれぞれ空間が区画されることによって、より広範囲で特性インピーダンスの調整を行うことができる。
【0015】
上記電気コネクタは、配線基板の主面に直交する方向において相手コネクタに嵌合してもよい。このような構成によれば、垂直篏合を行う電気コネクタにおいて、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0016】
上記電気コネクタは、配線基板の主面に平行な方向において相手コネクタに嵌合してもよい。このような構成によれば、平行篏合を行う電気コネクタにおいて、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる電気コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係るコネクタ装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1のコネクタ装置を示す平面図である。
図3図3は、図1のコネクタ装置を示す側面図である。
図4図4は、図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿った断面図である。
図6図6(a),(b)は、図1のコネクタ装置に含まれるリセプタクルコネクタを示す斜視図である。
図7図7は、導電端子の詳細な構成を説明する図である。
図8図8は、複数の導電端子に含まれるグランド端子及び信号端子を説明する図である。
図9図9(a),(b)は、図1のコネクタ装置に含まれるプラグコネクタを示す斜視図である。
図10図10は、プラグコネクタのシェルを除いたコネクタ装置を示す斜視図である。
図11図11は、電気長調整空間を区画する段差部について説明する図である。
図12図12は、図2のXII-XII線に沿った断面図である。
図13図13は、図2のXIII-XIII線に沿った断面を示す斜視図である。
図14図14は、グランドコンタクト間の連結部を説明する図である。
図15図15はグランドコンタクトについての隙間の大きさ毎の撓み量と基部に加わる応力との関係を示すグラフである。
図16図16(a),(b)は比較例に係る共振点を示すグラフであり、図16(c),(d)は本実施形態に係る共振点を示すグラフである。
図17図17(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図17(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。
図18図18(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図18(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。
図19図19(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図19(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。
図20図20(a),(b)は比較例に係る共振点を示すグラフであり、図20(c),(d)は本実施形態に係る共振点を示すグラフである。
図21図21は、第2実施形態に係るコネクタ装置を示す斜視図である。
図22図22は、図21のコネクタ装置を示す平面図である。
図23図23は、図21のXXIII-XXIII線に沿った断面図である。
図24図24は、図21のXXIV-XXIV線に沿った断面図である。
図25図25は、図21のコネクタ装置に含まれるリセプタクルコネクタを示す斜視図である。
図26図26は、図21のコネクタ装置に含まれるプラグコネクタを示す斜視図である。
図27図27は、プラグコネクタのシェルを除いたコネクタ装置を示す斜視図である。
図28図28は、電気長調整空間を区画する段差部について説明する図である。
図29図29は、グランドコンタクト間の連結部を説明する図である。
図30図30(a),(b)は比較例に係る共振点を示すグラフであり、図30(c),(d)は本実施形態に係る共振点を示すグラフである。
図31図31(a)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結される前の状態を示す斜視図であり、図31(b)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結される前の状態を示す斜視図であって図31(a)とは異なる方向から見た斜視図である。
図32図32(a)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結された後の状態を示す斜視図であり、図32(b)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結された後の状態を示す斜視図であって図32(a)とは異なる方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面においては、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。各図において、Z軸正方向を「上」、Z軸負方向を「下」という場合がある。また、各図において、X軸正方向を「後」、X軸負方向を「前」という場合がある。以下に説明される本開示に係る実施形態は、本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。
【0020】
[第1実施形態]
【0021】
[コネクタ装置]
図1図3を参照して、コネクタ装置1の概要について説明する。図1図3に示されるように、コネクタ装置1は、電気コネクタである、リセプタクルコネクタ10と、プラグコネクタ20と、を備える。リセプタクルコネクタ10は、プラグコネクタ20の相手コネクタである。プラグコネクタ20は、リセプタクルコネクタ10の相手コネクタである。リセプタクルコネクタ10は、回路基板50に取り付けられ、回路基板50に電気的に接続されている。プラグコネクタ20は、電気ケーブル60(接続体)に取り付けられ、電気ケーブル60に電気的に接続されている。
【0022】
リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20は、回路基板50の主面50s(表面。例えば、XY平面)に直交するする第2方向(例えばZ軸方向)に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成されている。リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20は、垂直嵌合を行う電気コネクタである。リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、回路基板50の主面50sに形成されている導電路(例えば配線であって、図示を省略する。)と電気ケーブル60とが電気的に接続される。このように、コネクタ装置1は、当該導電路と電気ケーブルとを電気的に接続するための装置である。
【0023】
回路基板50は、電子回路や電子部品を搭載する各種の基板であり、例えばプリント配線基板又はフレキシブルプリント基板等である。回路基板50は、主面50s上にリセプタクルコネクタ10を半田接続等により実装している。
【0024】
電気ケーブル60は、携帯電話等の小型の電子機器に内蔵される各種の回路基板間で信号等を伝送するために用いられる配線である。電気ケーブル60は、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、第2方向に交差する第3方向(例えばX軸方向)に沿って延びている。電気ケーブル60は、図5に示されるように、線状に延びる金属線(例えば銅線)からなる内部導体61と、内部導体61の周面を覆う絶縁体62と、円筒状を呈する金属編組線からなり且つ絶縁体62の周面を覆う外部導体63と、外部導体63の周面を覆う保護被膜64とを含む。
【0025】
電気ケーブル60は、プラグコネクタ20が取り付けられる先端部(端末部分)から基端部(先端部とは逆の端末部分)に向かうにつれて内部導体61、絶縁体62、外部導体63及び保護被膜64がこの順で段状に露出される。例えば電気ケーブル60は同軸ケーブル等である。すなわち、プラグコネクタ20は、第2方向及び第3方向の双方に交差する第1方向(例えばY軸方向)に沿って延びる同軸ケーブル用のコネクタであってもよい。
【0026】
以下、第1方向がY軸方向に沿い、第2方向がZ軸方向に沿い、第3方向がX軸方向に沿うものとして説明する。
【0027】
[リセプタクルコネクタ]
図4図6(a),(b)、図7、及び図8を参照してリセプタクルコネクタ10について詳細に説明する。リセプタクルコネクタ10は、全体としてY軸方向に沿って延びる長尺状のコネクタであり、回路基板50の主面50s(図1参照)に取り付けられている。そのため、図6(a),(b)に示されるように、リセプタクルコネクタ10の一方の端部10a及び他方の端部10bは、Y軸方向において互いに対向している。図6(a)に示されるように、リセプタクルコネクタ10は、シェル11と、ハウジング12と、複数の導電端子13(第1端子)とを含む。
【0028】
ハウジング12は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数の導電端子13を保持すると共に、シェル11と導電端子13との間を絶縁する。図4図6(a),(b)に示されるように、例えばハウジング12は、側壁12a,12bと、中央壁12cと、側壁12d,12dと、底壁12eと、を含む。底壁12eは、略矩形状を呈する板状体である。側壁12a,12b、中央壁12c、及び側壁12d,12dはそれぞれ、底壁12eから立設するように底壁12e上に設けられている。
【0029】
側壁12a,12bはそれぞれ底壁12eの各長辺近傍に位置し当該長辺に沿ってY軸方向に延びている。そのため、側壁12a,12b同士はX軸方向において互いに対向している。側壁12aは、その内部に導電端子13の一部を収容するように(導電端子13の一部を囲うように)設けられている。側壁12bは、X軸方向の外面及び内面がシェル11の側壁11b(後述)によって覆われている。側壁12d,12dはそれぞれ、底壁12eの各短辺近傍に位置し当該短辺に沿ってX軸方向に延びている。そのため、側壁12d,12d同士はY軸方向において互いに対向している。側壁12d,12dは、Y軸方向の外面及び内面がシェル11の側壁11c(後述)によって覆われている。
【0030】
中央壁12cは、側壁12a,12b,12d,12dから離間した状態で、側壁12a,12b,12d,12dに囲まれる空間内に位置している。中央壁12cは、側壁12a,12b間において、側壁12a,12bに沿って(側壁12a,12bの延在方向であるY軸方向に)延びている。そのため、中央壁12cは、X軸方向において、側壁12a,12bと対向している。中央壁12cにおける側壁12aと対向する面には、導電端子13を露出させるための複数の切欠き12Xが形成されている。
【0031】
ハウジング12は、側壁12a,12b、中央壁12c、側壁12d,12d、及び底壁12eを含んで構成されることにより、四角環状を呈した凹状の凹部Vを有する。凹部Vは、プラグコネクタ20を収容する空間であり、一対の凹部V1,V2を有する。凹部V1は、側壁12aと、中央壁12cと、底壁12eとにより囲まれる空間によって形成されており、プラグコネクタ20の凸部W1(図9(b)参照)を収容する。凹部V2は、側壁12bと、中央壁12cと、底壁12eとにより囲まれる空間によって形成されており、プラグコネクタ20の凸部W2(図9(b)参照)を収容する。
【0032】
シェル11は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。図6(a),(b)に示されるように、例えばシェル11は、側壁11a,11b,11c,11cと、複数の突起11eと、コネクタ係合部11g,11gとを含む。
【0033】
側壁11a,11bは、図5及び図6(a),(b)に示されるように、X軸方向において互いに対向し、Y軸方向に沿って延びている。側壁11aは、ハウジング12の側壁12aよりもX軸方向の外方に位置している。側壁11aは、回路基板50の主面50sから上方に延びその上端において側壁11b方向に向かって湾曲しており(すなわち、X軸方向の内方に向けて折り返しており)、X軸方向において弾性変形可能に構成されている。側壁11aにおける折り返し部分(X軸方向の内方の部分)には複数のスリット11xが形成されている。これにより、側壁11aはX軸方向において撓みやすくなっている。側壁11bは、ハウジング12の側壁12bにおけるX軸方向の外面及び内面を覆うように設けられている。側壁11bは、回路基板50の主面50sから側壁12bの外面に沿って上方に延び、その上端において側壁11a方向に湾曲しており(すなわち、X軸方向の内方に向けて折り返して側壁12bの内面に沿って下方に延びており)、X軸方向において弾性変形可能に構成されている。側壁11bにおける折り返し部分(X軸方向の内方の部分)には複数のスリット11yが形成されている。これにより、側壁11bはX軸方向において撓みやすくなっている。側壁11bの高さ(Z軸方向における長さ)は、側壁11aの略半分程度である。
【0034】
側壁11c,11cは、図6(a),(b)に示されるように、Y軸方向において互いに対向し、X軸方向に沿って延びている。側壁11cは、ハウジング12の側壁12dにおけるY軸方向の外面及び内面を覆うように設けられている。側壁11c,11cは、側壁11a,11bに連結されている。側壁11cは、そのX軸方向の中央部にグランド接触部11zを有する。グランド接触部11zは、側壁11cの上端から対向する側壁11c方向(凹部V方向)に向かって湾曲した部分であり、Y軸方向において弾性変形可能に構成されている。グランド接触部11zには、撓みやすくするための切欠きが形成されていてもよい。
【0035】
複数の突起11eは、図5及び図6(a),(b)に示されるように、側壁11a,11bの下端において外方(凹部Vと反対側)に突出するように設けられ、Y軸方向に沿って並んでいる。突起11eは、さらに側壁11c,11cの下端において外方(凹部Vと反対側)に突出するように設けられていてもよい。突起11eの回路基板50の主面50sに伏せられる面は、例えば半田等によって回路基板50の導電路に電気的に接続される。すなわち、突起11eは、回路基板50の主面50sに取り付けられるように構成された取付面を含む。
【0036】
コネクタ係合部11g,11gは、プラグコネクタ20とリセプタクルコネクタ10とが嵌合した嵌合状態を保持するように設けられるロック部材(不図示)がプラグコネクタ20に取り付けられる場合に、該ロック部材(不図示)に係合される部分である。
【0037】
複数の導電端子13は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。図6(a)に示されるように、複数の導電端子13は、Y軸方向に沿ってハウジング12に配列されている。図5に示されるように、各導電端子13は、X軸方向に沿って延び、第1部分13aと、保持部13bと、第2部分13cと、基部13dと、接触部13eとを含む。導電端子13の詳細について、図7を参照して説明する。
【0038】
図7に示されるように、第1部分13aは、回路基板50の主面50s上に配置され、回路基板50の主面50sに沿って延びる部分である。第1部分13aは、ハウジング12の側壁12aの下方に位置している。第1部分13aの下面131は、回路基板50の導電路であるパッドに実装されて、該パッドに例えば半田等によって接続されている(詳細は後述)。第1部分13aは、保持部13bの一端部135に連続するように設けられている。
【0039】
保持部13bは、第1部分13aと第2部分13cとを連結する部分であり、ハウジング12に保持される略U字状の部分である。保持部13bは、ハウジング12の側壁12aの内部においてU字状に屈曲している。保持部13bは、U字状の一端部135において第1部分13aに連続すると共に、他端部136において第2部分13cに連続している。
【0040】
第2部分13cは、保持部13bの他端部136に連続するように設けられ、回路基板50の主面50sに沿って延びる部分である。第2部分13cの下面133は、第1部分13aの下面131と同一面上に延びている。
【0041】
基部13dは、第2部分13cと接触部13eとを連結するように、第2部分13c及び接触部13e間に延びる部分である。基部13dは、傾斜部13fと、第3部分13gとを有する。傾斜部13fは、第2部分13cと第3部分13gとを連結するように延びており、第2部分13cに連続する部分から第3部分13gに連続する部分に向かって斜め上方に傾斜するように延びる部分である。
【0042】
第3部分13gは、傾斜部13fに連続するように設けられ、回路基板50の主面50sに沿って延びる部分である。基部13dを構成する第3部分13gは、接触部13eを構成する立ち上がり部13h(後述)と交差する方向に延びている。すなわち、第3部分13gはX軸方向に沿って延びており、立ち上がり部13hはZ軸方向に沿って延びている。第3部分13gは、中央壁12cの近傍まで延びている。ここで、傾斜部13fが設けられているため、第3部分13gの下面134は、第2部分13cの下面133よりも形成位置が高い。このため、基部13dを構成する第3部分13gの下面134と、回路基板50の主面50sとの間には、基部13dの撓みを許容する隙間Gが形成されている。Z軸方向(回路基板50の厚さ方向)における隙間Gの長さは、例えば、0.01mm以上であってもよく、0.01mm~0.05mmの範囲内であってもよい。なお、Z軸方向における隙間Gの長さは上記に限定されず、当該隙間Gを利用して基部13dが撓むことにより、プラグコネクタ20の導電端子23に接触部13eが接触する際の接触部13eに加わる応力が低減される程度の長さであればよい。
【0043】
接触部13eは、保持部13bとの間にプラグコネクタ20の導電端子23(第2端子)が挿抜可能となるように、保持部13bに対向して設けられ、導電端子23に接触する。接触部13eは、立ち上がり部13hと、突出部13iとを有する。立ち上がり部13hは、中央壁12cに沿って上方に延びる部分である。突出部13iは、立ち上がり部13hの上端に連続するように設けられており、保持部13b方向に突出した部分である。突出部13iは、図5に示されるように、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、プラグコネクタ20の導電端子23に接触する。突出部13iは、図6(a)に示されるように、凹部Vにおける側壁12aとの間に一部が露出(中央壁12cの切欠き12Xから露出)している。接触部13eは、X軸方向において弾性変形可能に構成されている。
【0044】
ここで、複数の導電端子13は、図8に示されるように、複数のグランド端子13Aと、複数の信号端子13Bと、を含んで構成されている。図8においては、複数の導電端子13に含まれる一対のグランド端子13A,13A及び一対の信号端子13B,13Bが示されている。図8に示されるように、複数の導電端子13は、少なくとも、一対のグランド端子13A,13Aと、該一対のグランド端子13A,13Aに挟まれて配置された一対の信号端子13B,13Bと、を含んで構成されている。グランド端子13Aと、信号端子13Bとは、互いに同一の形状とされている。
【0045】
グランド端子13Aにおいては、第1部分13aの下面131が、回路基板50のパッド501(第1パッド)に実装される第1実装部として機能する。また、第2部分13cの下面133が、回路基板50のパッド502(第2パッド)に実装される第2実装部として機能する。このように、グランド端子13Aは、第1部分13aの下面131及び第2部分13cの下面133の2点においてパッドに実装される2点実装とされている。そして、上述したように、第3部分13gの下面134と回路基板50の主面50sとの間には隙間Gが形成されているため、基部13dは、接触部13eの突出部13iにプラグコネクタ20の導電端子23が接触する際、第2実装部である第2部分13cの下面133を支点として、撓むことが可能に構成されている。以上のように、グランド端子13Aは、保持部13bと、第1実装部として機能する第1部分13aと、第2実装部として機能する第2部分13cと、接触部13eと、基部13dと、を有する。
【0046】
信号端子13Bにおいては、第1部分13aの下面131が、回路基板50のパット503に実装される第1実装部として機能する。一方で、第2部分13cの下面133は、回路基板50のパッドに実装されない。このように、信号端子13Bは、第1部分13aの下面131の1点においてパッドに実装される1点実装である。以上のように、信号端子13Bは、第2実装部として機能する構成を有しておらず、保持部13bと、第1実装部として機能する第1部分13aと、接触部13eと、保持部13bの他端部136及び接触部13eの立ち上がり部13h間に延びる延在部を構成する第2部分13c及び基部13dと、を有する。
【0047】
[プラグコネクタ]
次に、図4図5図9(a),(b)、及び、図10図14を参照し、プラグコネクタ20について詳細に説明する。プラグコネクタ20は、全体としてY軸方向に沿って延びる長尺状のコネクタであり、リセプタクルコネクタ10に嵌合するように構成され、且つ、電気ケーブル60が接続されたコネクタである。図9(a),(b)に示されるように、プラグコネクタ20は、シェル21と、ハウジング22と、複数の導電端子23とを含む。
【0048】
ハウジング22は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数の導電端子23を保持すると共に、シェル21と導電端子23との間を絶縁する。図5、及び図9(a),(b)に示されるように、例えばハウジング22は、側壁22a,22bと、側壁22c,22cと、上壁22dと、を含む。上壁22d(図5参照)は、略矩形状を呈する板状体である。上壁22dはその上面がシェル21の上壁21a(後述)によって覆われている。側壁22a,22b及び側壁22c,22cはそれぞれ上壁22dから下垂するように設けられている。
【0049】
側壁22a,22bはそれぞれ上壁22dの各長辺近傍に位置し当該長辺に沿ってY軸方向に延びている。そのため、側壁22a,22b同士はX軸方向において互いに対向している。側壁22aには、図5に示されるように、導電端子23が設けられている。側壁22aは、X軸方向の外面及び内面の一部が導電端子23によって覆われている。側壁22bはX軸方向の内面及び外面がシェル21の側壁21b(後述)によって覆われている。側壁22c,22cはそれぞれ上壁22dの各短辺近傍に位置し当該短辺に沿ってX軸方向に延びている。そのため、側壁22c,22c同士はY軸方向において互いに対向している。側壁22c,22cの上端部分には、側壁22c,22cからさらにY軸方向の外方に張り出した張出部22xが設けられている(図9(b)参照)。張出部22xは、プラグコネクタ20にロック部材(不図示)が取り付けられた状態においてロック部材(不図示)が載置される部分として機能する。
【0050】
側壁22a,22b,22c,22cは、プラグコネクタ20がリセプタクルコネクタ10と嵌合する際に、リセプタクルコネクタ10の凹部V内に収容される。そのため、側壁22a,22b,22c,22cは、全体として突出状を呈する凸部Wを構成している。側壁22a,22bは、一対の凸部W1,W2を構成し、一対の凹部V1,V2に収容される。すなわち、凸部W1を構成する側壁22aは、凹部V1に収容され、凸部W2を構成する側壁22bは、凹部V2に収容される(図5参照)。図5に示されるように、プラグコネクタ20がリセプタクルコネクタ10と嵌合した状態においては、側壁22a(凸部W1)に設けられた導電端子23と、凹部V2を構成する中央壁12cの切欠き12Xから露出した導電端子13とが接触することで、信号回路及びグランド回路の一部を構成する。
【0051】
図4図5、及び図9(a),(b)に示されるように、シェル21は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。例えばシェル21は、上壁21aと、側壁21bと、グランド接触部21dと、を含む。
【0052】
上壁21aは、図5に示されるように、電気ケーブル60の先端部を覆うと共にハウジング22の上壁22dの上面を覆う。上壁21aは、図4及び図9(a)に示されるようにY軸方向に延びている。上壁21aは、図5及び図9(a)に示されるように、X軸方向の前端において湾曲し下方に延びる前端部21zを有する。また、上壁21aは、張出部22x(図9(b)参照)の上面及びY軸方向の外面(側面)を覆う部分を有している。
【0053】
側壁21bは、図5に示されるように、ハウジング22の側壁22bを覆うように設けられている。グランド接触部21dは、図4及び図9(b)に示されるように、ハウジング22の側壁22cのY軸方向の外面の一部を覆うように設けられている。グランド接触部21dは、図4に示されるように、プラグコネクタ20及びリセプタクルコネクタ10が嵌合した状態において、リセプタクルコネクタ10のグランド接触部11zに接触することでグランド回路の一部を構成する。
【0054】
また、グランド回路の構成として、図10に示されるように、各電気ケーブル60の外部導体63に接するグランドバー70が、Y軸方向に沿って設けられている。グランドバー70には、該グランドバー70からX軸方向に沿って延びるグランド部材71(グランド接続対象物)が形成されている。グランド部材71は、Y軸方向において所定の間隔で複数形成されている。
【0055】
複数の導電端子23は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、導電性を有する。図9(b)に示されるように、複数の導電端子23は、Y軸方向に沿って配列されている。
【0056】
複数の導電端子23は、図10に示されるように、複数のグランドコンタクト23Aと、複数の信号コンタクト23Bと、を含んで構成されている。複数のグランドコンタクト23Aは、Y軸方向に沿ってハウジング22に配列されている。複数の信号コンタクト23Bは、Y軸方向に沿ってハウジング22に配列されている。隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aは、Y軸方向において、例えば差動伝送を行う2つの信号コンタクト23B,23Bを挟むように配置されている。グランドコンタクト23A及び信号コンタクト23Bは、互いに同一の形状とされていてもよい。Y軸方向において、グランドコンタクト23Aの両隣は信号コンタクト23Bであり、信号コンタクト23Bの両隣は一方がグランドコンタクト23Aであり他方が信号コンタクト23Bである。
【0057】
図14に示されるように、各グランドコンタクト23Aは、X軸方向に沿って延びる第1接触部23aと、第1接触部23aにおけるX軸方向の前端に連続すると共に下方に延びる第2接触部23cとを含む。また、各信号コンタクト23Bは、X軸方向に沿って延びる第1接触部23bと、第1接触部23bにおけるX軸方向の前端に連続すると共に下方に延びる第2接触部23dとを含む。
【0058】
図10に示されるように、グランドコンタクト23Aの第1接触部23a(第1部分,第1接続部)は、上壁22d上において、グランド部材71に沿って延びると共に、該グランド部材71に半田等で接続されている。第1接触部23aは、その上面の少なくとも一部がグランド部材71に接触する第1接触面231とされている。図11に示されるように、第1接触部23aは、第1接触面231に対応する部分であり、隣り合う信号コンタクト23Bの第1接触部23bに近接する幅広部分230と、幅広部分230よりも、隣り合う信号コンタクト23Bの第1接触部23bから離間している幅狭部分235と、を有している。幅広部分230は、幅狭部分235よりも、Y軸方向において長く(幅広に)形成されている。図11に示される例では、幅狭部分235は、幅広部分230よりも前方に形成されている。また、図12に示されるように、グランドコンタクト23Aの第2接触部23c(第2部分,第2接続部)は、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ10のグランド端子13A(相手コネクタの導電性のグランド部材)に接触する(接続される)第2接触面238を有する。
【0059】
図10に示されるように、信号コンタクト23Bの第1接触部23b(第1部分,第3接続部)は、上壁22d上において、電気ケーブル60の先端部の内部導体61(信号接続対象物)に沿って延びると共に、露出状態の内部導体61に半田等で接続されている。第1接触部23bは、その上面が内部導体61に接触する第1接触面241とされている。図11に示されるように、第1接触部23bは、第1接触面241に対応する部分であり、隣り合う第1接触部23bに近接する幅広部分240と、幅広部分240よりも、隣り合う第1接触部23bから離間している幅狭部分245と、を有している。幅広部分240は、幅狭部分245よりも、Y軸方向において長く(幅広に)形成されている。図11に示される例では、幅狭部分245は、幅広部分240よりも前方に形成されている。また、図12に示されるように、信号コンタクト23Bの第2接触部23d(第2部分,第4接続部)は、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ10の信号端子13B(相手コネクタの導電性の信号部材)に接触する(接続される)第2接触面248を有する。
【0060】
ここで、本実施形態に係るプラグコネクタ20では、互いに隣り合う導電端子23間におけるハウジング22の部分に対して肉抜きを行うことにより、導電端子23間に存在するものを樹脂及び空気層にし、誘電率をコントロールして特性インピーダンスの調整を行っている。すなわち、プラグコネクタ20では、ハウジング22における、互いに隣り合う導電端子23間の領域に、それら導電端子23を伝わる信号の電気長を調整するための空間(以後、「電気長調整空間」と称す。)が形成されている。電気長調整空間は、例えば凹状であってもよいし、ハウジング22を完全に貫通して形成されていてもよい。以下では、ハウジング22に形成される電気長調整空間の例について、図11図13を参照して説明する。
【0061】
図11に示されるように、ハウジング22は、上壁22dにおいて、導電端子23の第1接触部23a,23bの第1接触面231,241よりも凹んだ段差部221を有している。段差部221は、互いに隣り合う信号コンタクト23B間の領域に形成されている。また、段差部221は、互いに隣り合うグランドコンタクト23A及び信号コンタクト23B間にも形成されている。このような段差部221は、凹状の電気長調整空間の少なくとも一部(第1の領域)を区画する。すなわち、プラグコネクタ20では、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23Bの第1接触部23b,23b間の領域、及び、互いに隣り合うグランドコンタクト23Aの第1接触部23a及び信号コンタクト23Bの第1接触部23b間の領域に、凹状の電気長調整空間が形成されている。
【0062】
段差部221は、一例として、互いに隣り合う2つの第1接触部23b,23bの幅広部分240間に形成されている。なお、段差部221の形状は上記に限定されず、例えば、互いに隣り合う2つの第1接触部23b,23b間、幅広部分240間だけでなく、幅狭部分245間にも形成されていてもよい。段差部221は、図11に示されるように、設けられた領域を貫通しないように形成されている。このような段差部221に代えて、設けられた領域を貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0063】
図12に示されるように、ハウジング22の側壁22aには、互いに隣り合う導電端子23間の領域をX軸方向に貫通する貫通孔225が形成されている。貫通孔225は、互いに隣り合う信号コンタクト23Bの第2接触部23d,23d間の領域(側壁22aの領域)をX軸方向に貫通している。また、貫通孔225は、互いに隣り合うグランドコンタクト23Aの第2接触部23c及び信号コンタクト23Bの第2接触部23d間の領域(側壁22aの領域)をX軸方向に貫通している。このような貫通孔225は、電気長調整空間の少なくとも一部(第1の領域とは異なる第2の領域)を区画する。すなわち、プラグコネクタ20では、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23Bの第2接触部23d,23d間の領域、及び、互いに隣り合うグランドコンタクト23Aの第2接触部23c及び信号コンタクト23Bの第2接触部23d間の領域に、凹状の電気長調整空間が形成されている。なお、貫通孔225に代えて、上記領域を貫通しない段差部が形成されていてもよい。この場合の段差部は、第2接触部23dの第2接触面248よりも凹んだ部分である。
【0064】
貫通孔225は、回路基板50の主面50sに直交する方向であるZ軸方向において、第2接触部23c,23dの第2接触面238,248と異なる位置に形成されている。例えば図13に示される例では、貫通孔225は、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、第2接触部23cの第2接触面238と導電端子13の突出部13iとが接触する位置よりも上方に形成されている。同様に、貫通孔225は、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、第2接触部23dの第2接触面248と導電端子13の突出部13iとが接触する位置よりも上方に形成されている。
【0065】
ここで、本実施形態に係るプラグコネクタ20では、クロストークを抑制する観点から、信号コンタクト23Bを挟むように配置された、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト23A同士を連結する構成が設けられている。以下では、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト23A同士を連結する構成について、図14を参照して説明する。
【0066】
図14に示されるように、プラグコネクタ20は、複数の導電端子23に含まれる、隣り合う2つのグランドコンタクト23A同士を連結する連結部28を有する。連結部28は、隣り合う2つのグランドコンタクト23Aの第1接触部23a,23a同士を連結する第1連結部28aを有する。連結部28は、隣り合う2つのグランドコンタクト23Aの第2接触部23c,23c同士を連結する第2連結部28cを有する。第1連結部28a及び第2連結部28cは、グランドコンタクト23Aと一体的に成形されている。
【0067】
第1連結部28aは、第1接触部23a,23aの後端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。第2連結部28cは、第2接触部23c,23cの下端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。
【0068】
信号コンタクト23Bの第1接触部23b及び第2接触部23dは、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aと、第1連結部28a及び第2連結部28cと、によって囲まれている。具体的には、Y軸方向から見ると、グランドコンタクト23Aの第1接触部23aが信号コンタクト23Bの第1接触部23bに重なるように配置されており、グランドコンタクト23Aの第2接触部23cが信号コンタクト23Bの第2接触部23dに重なるように、配置されている。
【0069】
上述したように、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23A同士が第1連結部28a及び第2連結部28cによって連結されている。複数のグランドコンタクト23Aには、このように連結された、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aを1セットとしたグランドコンタクト対239が複数セット含まれている。そして、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト対239,239は、互いの第1連結部28a,28a同士が連結されると共に、互いの第2連結部28c,28c同士が連結されている。このようにして、全てのグランドコンタクト対239の第1連結部28a同士が連結されると共に、第2連結部28c同士が連結されていてもよい。この場合、各第1連結部28a同士を連結した1本の部材がY軸方向に沿って延びており、また、各第2連結部28c同士を連結した1本の部材がY軸方向に沿って延びていてもよい。
【0070】
[作用]
上述したように、リセプタクルコネクタ10は、絶縁性を有するハウジング12と、ハウジング12に配列された、導電性の複数の導電端子13と、を備える。図7及び図8等に示されるように、複数の導電端子13に含まれる複数のグランド端子13Aは、ハウジング12に保持される略U字状の保持部13bと、保持部13bの一端部135に連続するように設けられ、回路基板50のパッド501に実装される第1実装部として機能する第1部分13aの下面131と、保持部13bの他端部136に連続するように設けられ、回路基板50のパッド502に実施される第2実装部として機能する第2部分13cの下面133と、保持部13bとの間にプラグコネクタ20の導電端子23が挿抜可能となるように、保持部13bに対向して設けられ、導電端子23に接触する接触部13eと、第2部分13cと接触部13eとを連結するように、第2部分13c及び接触部13e間に延びる基部13dと、を有し、基部13dは、接触部13eに導電端子23が接触する際、第2部分13cの下面133を支点として撓む。
【0071】
このように、リセプタクルコネクタ10では、保持部13bと接触部13eとの間にプラグコネクタ20の導電端子23が挿入されて、接触部13eに導電端子23が接触する際、パッド502に実装された第2部分13cの下面133を支点として、基部13dが撓む。このように、接触部13eに連結された基部13dが撓むことによって、接触部13eと導電端子23との接触時において、接触部13eにおける応力集中を緩和することができる。
【0072】
図7に示されるように、基部13dは、接触部13eが延びる方向であるZ軸方向と交差する方向であるX軸方向に延びていてもよい。このような構成によれば、基部13dが撓むことによって接触部13eにおける応力集中をより好適に緩和することができる。
【0073】
図7に示されるように、基部13dは、回路基板50の主面50sに沿って延びており、基部13dと回路基板50の主面50sとの間には、基部13dの撓みを許容する隙間Gが形成されていてもよい。このような構成によれば、撓んだ基部13dが回路基板50の主面50sに当たることが抑制され、基部13dをより好適に撓ませることができる。
【0074】
図15はグランド端子13Aについての隙間の大きさ毎の撓み量と基部13dに加わる応力との関係を示すグラフである。横軸は撓み量(mm)、縦軸は基部13dに加わる応力を示している。図15に示されるように、基部13dに加わる応力が同じ状態で比較をすると、隙間が大きいほど撓み量が大きくなる。このように、隙間が大きいほど基部13dは大きく撓むことができるので、接触部13eにおける応力集中を好適に緩和することができる。すなわち、隙間が無いものよりも隙間が0.01mmであるほうが応力緩和の観点から好ましく、隙間が0.01mmよりも隙間が0.03mmであるほうが応力緩和の観点から好ましく、隙間が0.03mmよりも隙間が0.05mmであるほうが応力緩和の観点から好ましい。
【0075】
そして、上述したように、グランド端子13Aは、第1実装部及び第2実装部の2点で回路基板50のパッド501,502に接続されるので、グランド端子13Aにおける電気長が短くなり、クロストークを低減することができる。
【0076】
図16(a)はグランド端子が1点でパッドに接続される場合のNEXT(Near EndCross Talk)の共振点を示しており、図16(b)はグランド端子が1点でパッドに接続される場合のFEXT(Far End Cross Talk)の共振点を示しており、図16(c)はグランド端子13Aが2点でパッドに接続される場合のNEXTの共振点を示しており、図16(d)はグランド端子13Aが2点でパッドに接続される場合のFEXTの共振点を示している。図16(a)~(d)において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は伝送信号の減衰量(dB)を示している。図16(a)(b)の比較例に係る構成と、図16(c)(d)の本実施形態に係る構成とは、パッドに接続される箇所の数(1点or2点)以外は、同様である。図16(a)(b)に示される比較例(1点実装)では、NEXT及びFEXTのいずれについても、約16GHz付近が共振点になっている。これに対して、図16(c)(d)に示される本実施形態(2点実装)では、NEXT及びFEXTのいずれについても、約21GHz付近が共振点になっている。このように、グランド端子13Aにおいて回路基板50のパッド501,502に2点実装とされることにより、1点実装とされる場合と比べて、約5GHz程度、共振点が高周波域に移動する。このことから明らかなように、グランド端子13Aにおいて回路基板50のパッド501,502に2点実装されることにより、クロストークを低減することができた。
【0077】
複数の導電端子13は、少なくとも一対のグランド端子13A,13Aと、該一対のグランド端子13A,13Aに挟まれて配置された一又は複数の信号端子13Bと、を含んで構成されていてもよい。一対のグランド端子13A,13Aによって信号端子13Bが挟まれた構成とすることにより、クロストークをより効果的に低減することができる。
【0078】
回路基板50の厚さ方向における隙間Gの長さは、0.01mm以上であってもよい。このような構成によれば、図15に示されるように、基部13dが撓むスペースを十分に確保し、基部13dをより好適に撓ませることができる。
【0079】
また、図11及び図12等に示されるように、プラグコネクタ20のハウジング22には、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23Bの間の領域に、凹状の電気長調整空間が形成されている。このように、ハウジング22に、電気長を調整するための空間が形成されることにより、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23B,23B間に存在するものをハウジング22の材料(例えば樹脂)及び空気層にすることができる。このような構成によれば、電気長調整空間の大きさを調整することによって、誘電率を容易にコントロールし、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0080】
図10及び図11に示されるように、複数の信号コンタクト23Bは、それぞれ、電気ケーブル60の内部導体61に接触する第1接触面241を含む第1接触部23bを有し、ハウジング22は、複数の第1接触部23bの第1接触面241よりも凹んだ段差部221を有し、段差部221は、電気長調整空間の少なくとも一部(第1の領域)を区画していてもよい。このように、信号コンタクト23Bにおける内部導体61に接触する第1接触面241よりも凹んだ段差部221が形成され、該段差部221によって電気長調整空間が区画されることにより、内部導体61と信号コンタクト23Bとが接触する箇所において、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0081】
図17(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図17(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。ここでの比較例に係る構成は、電気長調整区間を区画する段差部221が形成されていない点を除いて、本実施形態に係る構成と同様であるとする。図17(a)(b)において横軸は時間(ns)であり、縦軸はインピーダンスZ(t)である。図17(a)に示されるように、比較例に係る構成では、信号コンタクトと内部導体との結線部における特性インピーダンスが93ohmとなっている。これに対して、図17(b)に示されるように、本実施形態に係る構成では、信号コンタクト23Bと内部導体61との結線部である第1接触部23bにおける特性インピーダンスが95.5ohmとなっている。このように、段差部221が形成されることにより、結線部における特性インピーダンスを2.5ohm程度上昇させることができた。
【0082】
図11に示されるように、段差部221は、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23Bの第1接触部23b,23b間に形成されていてもよい。このような構成によれば、互いに隣り合う第1接触部23b,23b間において特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0083】
図11に示されるように、第1接触部23bは、第1接触面241に対応する部分であり、隣り合う第1接触部23bに近接する幅広部分240と、幅広部分240よりも、隣り合う第1接触部23bから離間している幅狭部分245と、を有し、段差部221は、互いに隣り合う2つの第1接触部23b,23bの幅広部分240間に形成されていてもよい。このような構成によれば、隣り合う第1接触部23b,23bに近接する箇所において特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0084】
図12に示されるように、ハウジング22には、2つの信号コンタクト23B,23Bの間の領域を貫通する貫通孔225が形成されており、貫通孔225は、電気長調整空間の少なくとも一部(第2の領域)を区画する。このような構成によれば、容易に形成することができる貫通孔225によって、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23B,23B間の特性インピーダンスの調整を行うことができる。
【0085】
図18(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図18(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。ここでの比較例に係る構成は、電気長調整区間を区画する貫通孔225が形成されていない点を除いて、本実施形態に係る構成と同様であるとする。図18(a)(b)において横軸は時間(ns)であり、縦軸はインピーダンスZ(t)である。図18(a)に示されるように、比較例に係る構成では、信号コンタクトとリセプタクルコネクタのグランド端子との接点部における特性インピーダンスが87ohmとなっている。これに対して、図18(b)に示されるように、本実施形態に係る構成では、信号コンタクト23Bとグランド端子13Aとの接点部である第2接触部23dにおける特性インピーダンスが88ohmとなっている。このように、貫通孔225が形成されることにより、接点部における特性インピーダンスを1ohm程度上昇させることができた。
【0086】
図12に示されるように、複数の信号コンタクト23B,23Bは、それぞれ、リセプタクルコネクタ10のグランド端子13Aに接触する第2接触面248を含む第2接触部23dを有し、貫通孔225は、互いに隣り合う2つの信号コンタクト23B,23Bの第2接触部23d,23d間に形成されている。このような構成によれば、信号コンタクト23Bとリセプタクルコネクタ10のグランド端子13Aとが接触する箇所において、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0087】
図12に示されるように、貫通孔225は、回路基板50の主面50sに直交する方向であるZ軸方向において、第2接触部23dの第2接触面248と異なる位置に形成されていてもよい。これにより、第2接触面248とリセプタクルコネクタ10のグランド端子13Aとの接触工程において、誤って貫通孔225に信号コンタクト23B等が入り込むことを好適に抑制することができる。
【0088】
プラグコネクタ20は、上述した段差部221及び貫通孔225を両方有していることにより、段差部221及び貫通孔225によってそれぞれ電気長調整空間が区画されることになり、より広範囲で特性インピーダンスの調整を行うことができる。
【0089】
図19(a)は比較例に係る特性インピーダンスを示すグラフであり、図19(b)は本実施形態に係る特性インピーダンスを示すグラフである。ここでの比較例に係る構成は、電気長調整区間を区画する段差部221及び貫通孔225が形成されていない点を除いて、本実施形態に係る構成と同様であるとする。図19(a)(b)において横軸は時間(ns)であり、縦軸はインピーダンスZ(t)である。図19(a)に示されるように、比較例に係る構成では、信号コンタクトと内部導体との結線部における特性インピーダンスが93ohmとなっている。また、信号コンタクトとリセプタクルコネクタのグランド端子との接点部における特性インピーダンスが87ohmとなっている。これに対して、図19(b)に示されるように、本実施形態に係る構成では、信号コンタクト23Bと内部導体61との結線部である第1接触部23bにおける特性インピーダンスが96ohmとなっている。また、信号コンタクト23Bとグランド端子13Aとの接点部である第2接触部23dにおける特性インピーダンスが89ohmとなっている。このように、段差部221が形成されることにより結線部における特性インピーダンスを3ohm程度上昇させることができ、また、貫通孔225が形成されることにより、接点部における特性インピーダンスを2ohm程度上昇させることができた。
【0090】
図5に示されるように、本実施形態に係るリセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20は、回路基板50の主面50sに直交するZ軸方向に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成されている。このような構成によれば、垂直嵌合を行う電気コネクタにおいて、特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
【0091】
また、図14に示されるように、本実施形態に係るプラグコネクタ20では、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aによって少なくとも1つの信号コンタクト23Bが挟まれると共に、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aの第1接触部23a,23a同士が第1連結部28aによって連結され、更に、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aの第2接触部23c,23c同士が第2連結部28cによって連結されている。このように、信号コンタクト23Bを挟む2つのグランドコンタクト23A,23Aについて、第1接触部23a,23a同士、及び、第2接触部23c,23c同士が、2つの連結部で連結されることにより、2つのグランドコンタクト23A,23A間に挟まれた少なくとも1つの信号コンタクト23Bと、他の信号コンタクト23Bとの間におけるクロストークが効果的に抑制される。すなわち、グランド部材71に接続される部分(第1接触部23a)同士が第1連結部28aによって連結されると共に、リセプタクルコネクタ10のグランド端子13Aに接続される部分(第2接触部23c)同士が第2連結部28cによって連結されることにより、接続に係る2か所の構成がいずれも連結部によって連結されることとなり、伝送速度が速くなった場合においても、クロストークを効果的に抑制することができる。
【0092】
図20(a)は第1連結部28a及び第2連結部28cを有さない構成のNEXT(NearEnd Cross Talk)の共振点を示しており、図20(b)は第1連結部28a及び第2連結部28cを有さない構成のFEXT(Far End Cross Talk)の共振点を示しており、図20(c)は本実施形態に係る構成(第1連結部28a及び第2連結部28cを有する構成)の共振点を示しており、図20(d)は本実施形態に係る構成(第1連結部28a及び第2連結部28cを有する構成)のFEXTの共振点を示している。図20(a)~(d)において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は伝送信号の減衰量(dB)を示している。図20(a)(b)の比較例に係る構成と、図20(c)(d)の本実施形態に係る構成とは、第1連結部28a及び第2連結部28cの有無以外は、同様である。図20(a)(b)に示される比較例では、27~28GHz付近の共振点において減衰量が大きくなっている。この点、図20(c)(d)に示されるように、本実施形態に係る構成では、同じ27~28GHz付近において、共振点の減衰量を抑制することができている。このことから明らかなように、第1連結部28a及び第2連結部28cを設けることにより、クロストークを低減することができた。
【0093】
図14に示されるように、信号コンタクト23Bは、内部導体61に接続される第1接触部23bと、リセプタクルコネクタ10の信号端子13Bに接続される第2接触部23dと、を有し、第1接触部23b及び第2接触部23dは、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aと、第1連結部28a及び第2連結部28cとによって囲まれている。このような構成によれば、信号コンタクト23Bにおける内部導体61に接続される部分及びリセプタクルコネクタ10の信号端子13Bに接続される部分の両方が、2つのグランドコンタクト23A,23Aと第1連結部28a及び第2連結部28cとによって囲まれるので、より効果的にクロストークを抑制することができる。
【0094】
Y軸方向から見ると、グランドコンタクト23Aの第1接触部23aが信号コンタクト23Bの第1接触部23bに重なるように配置されていてもよい。このような構成によれば、グランドコンタクト23Aが信号コンタクト23Bに重なるように配置され、効果的にクロストークを抑制することができる。
【0095】
隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aは、Y軸方向において、差動伝送を行う2つの信号コンタクト23B,23Bを挟むように配置されていてもよい。差動伝送を行う場合、高速伝送になりクロストークが問題になりやすい。この点、差動伝送を行う2つの信号コンタクト23B,23Bを挟むように、上述した隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aが配置されていることにより、2つのグランドコンタクト23A,23A及び第1連結部28a及び第2連結部28cによって、差動伝送時におけるクロストークを効果的に抑制することができる。
【0096】
第1連結部28a及び第2連結部28cは、Y軸方向に沿って延びていてもよい。このような構成によれば、最短距離で第1連結部28a及び第2連結部28cを設けることができ、構成を簡素化することができる。
【0097】
複数のグランドコンタクト23Aには、隣り合う2つのグランドコンタクト23A,23Aを1セットとしたグランドコンタクト対239が複数セット含まれており、隣り合う2つのグランドコンタクト対239は、互いの第1連結部28a同士が連結されると共に、互いの第2連結部28c同士が連結されていてもよい。このような構成によれば、グランドコンタクト23Aの数が増えた場合においても、構成を簡素化することができ、構成の小型化を実現することができる。
【0098】
[第2実施形態]
以下では、図21図30を参照して、本開示の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる点について主に説明する。図21は、第2実施形態に係るコネクタ装置100を示す斜視図である。図22は、図21のコネクタ装置100を示す平面図である。図23は、図22のXXIII-XXIII線に沿った断面図である。図24は、図22のXXIV-XXIV線に沿った断面図である。図25は、図21のコネクタ装置100に含まれるリセプタクルコネクタ110を示す斜視図である。図26は、図21のコネクタ装置100に含まれるプラグコネクタ120を示す斜視図である。図27は、プラグコネクタ120のシェル121を除いたコネクタ装置100を示す斜視図である。
【0099】
図21図24に示されるように、コネクタ装置100は、リセプタクルコネクタ110と、プラグコネクタ120と、を備える。リセプタクルコネクタ110は、回路基板(不図示)に取り付けられ、回路基板(不図示)に電気的に接続されている。プラグコネクタ120は、電気ケーブル60に取り付けられ、電気ケーブル60に電気的に接続されている。
【0100】
リセプタクルコネクタ110及びプラグコネクタ120は、回路基板の主面に平行な方向において互いに嵌合及び抜去可能に構成されている。リセプタクルコネクタ110及びプラグコネクタ120は、水平嵌合を行う電気コネクタである。
【0101】
図24及び図25に示されるように、リセプタクルコネクタ110は、全体としてY軸方向に沿って延びる長尺状のコネクタである。リセプタクルコネクタ110は、シェル111と、ハウジング112と、複数の導電端子113と、を含んでいる。
【0102】
ハウジング112は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数の導電端子113を保持すると共に、シェル111と導電端子113との間を絶縁する。ハウジング112は、基部112aと、一対の端部112b,112bと、を含む。基部112aは、Y軸方向に沿って延びる略矩形状を呈する板状体である。基部112aにおけるX軸方向の前端面112cには、基部112aをX軸方向に貫通する複数の貫通孔112dが形成されている。複数の貫通孔112dは、Y軸方向に沿って配列されている。貫通孔112dは、導電端子113が挿入される孔部である。貫通孔112dから挿入される導電端子113は、基部112aの上壁112eに沿ってX軸方向に延びる(図24参照)。
【0103】
前端面112cにおける貫通孔112dよりも下方の領域には、基部112aをX方向に貫通するシェル固定穴112fが複数形成されている。複数のシェル固定穴112fは、Y軸方向において所定の間隔で、複数形成されている。シェル固定穴112fには、シェル111の一部が挿入される。図24に示されるように、前端面112cにおいては、Z軸方向において、上壁112e、貫通孔112d、中間部112g、シェル固定穴112f、下壁112hが順に形成されている。上壁112e及び下壁112hに挟まれる領域には、プラグコネクタ120の一部を収容する収容空間AS(図24参照)が形成されている。一対の端部112b,112bは、基部112aのY方向の両端部に設けられている。端部112bは、シェル111によって覆われている。
【0104】
シェル111は、上壁111aと、下壁111bと、側壁111c,111cと、を有する。上壁111aは、ハウジング112の基部112aの上壁112eを上方から覆う部分である。下壁111bは、ハウジング112の下壁112hに載置されるように設けられる部分である。下壁111bは、X方向の端部において、X方向前方に突出した突出部111dを複数有する。突出部111dは、Y軸方向において所定の間隔で、複数設けられている。突出部111dは、ハウジング112のシェル固定穴112fに挿入される。これにより、ハウジング112に対してシェル111が固定される。側壁111c,111cは、ハウジング112の端部112bを覆うように設けられる。
【0105】
複数の導電端子113は、Y軸方向に沿ってハウジング112に配列されている。各導電端子113は、X軸方向に沿って延び、図24に示されるように、第1部分113aと、立ち上がり部113bと、延在部113cと、接触部113dと、を含む。
【0106】
第1部分113aは、回路基板(不図示)の主面上に配置され、回路基板の主面に沿って延びる部分である。第1部分113aは、回路基板の導電路であるパッドに実装され、該パッドに半田等によって接続される。立ち上がり部113bは、第1部分113aに連続すると共に上方に立ち上がる部分である。延在部113cは、立ち上がり部113bの上端に連続すると共に、X方向に延在する部分である。延在部113cは、ハウジング112の貫通孔112dを通過するようにX方向に延在する。接触部113dは、延在部113cの後端に連続するように設けられており、プラグコネクタ120の導電端子123に接触する部分である。導電端子113は、互いに同じ形状であるグランド端子113Aと信号端子113Bとを有する。
【0107】
図24図26、及び図27に示されるように、プラグコネクタ120は、全体としてY軸方向に沿って延びる長尺状のコネクタである。プラグコネクタ120は、シェル121と、ハウジング122と、複数の導電端子123と、を含んでいる。
【0108】
ハウジング122は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数の導電端子123を保持すると共に、シェル121と導電端子123との間を絶縁する。ハウジング122は、基部122aと、中央壁部122bと、一対の端部122c,122cと、を含む。基部122aは、Y軸方向に沿って延びる略矩形状を呈する板状体である。基部122aの上壁122dには、複数の導電端子123がY軸方向に沿って配列される。中央壁部122bは、基部122aの上壁122dにおけるX軸方向の略中央部分においてY軸方向の全域に設けられており、Z方向に立ち上がった部分である。図24に示されるように、基部122aにおける中央壁部122bよりも前方の部分は、リセプタクルコネクタ110のハウジング112の上壁112e及び下壁112h間の収容空間ASに収容(嵌合)される。中央壁部122bは、ハウジング112の上壁112eの上端112xに当接することにより、リセプタクルコネクタ110に嵌合されるプラグコネクタ120の位置決めを行う。一対の端部122c,122cは、基部122aのY方向の両端部に設けられている。端部122cは、シェル121によって覆われている。
【0109】
シェル121は、上壁121aと、プルバー覆い部121bと、を有する。上壁121aは、ハウジング122の上壁122dを上方から覆う部分である。上壁121aは、ハウジング122の上壁122dの内、概ね、中央壁部122bよりも後方の領域を覆う。プルバー覆い部121bは、プルバー180の一部を覆うように設けられている。
【0110】
また、グランド回路の構成として、図27に示されるように、各電気ケーブル60の外部導体63に接触するグランドバー170が、Y軸方向に沿って設けられている。グランドバー170には、該グランドバー170からX軸方向に沿って延びるグランド部材171(グランド接続対象物)が形成されている。グランド部材171は、Y軸方向において所定の間隔で複数形成されている。
【0111】
複数の導電端子123は、Y軸方向に沿ってハウジング122に配列されている。複数の導電端子123は、図27に示されるように、複数のグランドコンタクト123Aと、複数の信号コンタクト123Bと、を含んで構成されている。複数のグランドコンタクト123Aは、Y軸方向に沿ってハウジング122に配列されている。複数の信号コンタクト123Bは、Y軸方向に沿ってハウジング122に配列されている。隣り合う2つのグランドコンタクト123A,123Aは、Y軸方向において、例えば差動伝送を行う2つの信号コンタクト123B,123Bを挟むように配置されている。グランドコンタクト123A及び信号コンタクト123Bは、互いに同一の形状とされていてもよい。Y軸方向において、グランドコンタクト123Aの両隣は信号コンタクト123Bであり、信号コンタクト123Bの両隣は一方がグランドコンタクト123Aであり他方が信号コンタクト123Bである。
【0112】
図29に示されるように、各グランドコンタクト123Aは、X軸方向に沿って延びる第1接触部123aと、第1接触部123aにおけるX軸方向の前端に連続すると共にX軸方向の前方に延びる第2接触部123cとを含む。また、信号コンタクト123Bは、X軸方向に沿って延びる第1接触部123bと、第1接触部123bにおけるX軸方向の前端に連続すると共にX軸方向の前方に延びる第2接触部123dとを含む。
【0113】
図27に示されるように、グランドコンタクト123Aの第1接触部123aは、上壁122d上において、グランドバー170からX軸方向に沿って延びるグランド部材171に沿って延びると共に、該グランド部材171に半田等で接続されている。第1接触部123aは、その上面の少なくとも一部がグランド部材171に接触する第1接触面431とされている。また、グランドコンタクト123Aの第2接触部123cは、リセプタクルコネクタ110及びプラグコネクタ120の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ110のグランド端子113Aに接触する。第2接触部123cは、第1接触部123aにおけるX軸方向の前端に連続すると共にX方向前方に延びている。
【0114】
図27に示されるように、信号コンタクト123Bの第1接触部123bは、上壁122d上において、電気ケーブル60の先端部の内部導体61に沿って延びると共に、露出状態の内部導体61に半田等で接続されている。第1接触部123bは、その上面が内部導体61に接触する第1接触面441とされている。また、信号コンタクト123Bの第2接触部123dは、図24に示されるように、リセプタクルコネクタ10及びプラグコネクタ20の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ10の信号端子113Bに接触する。第2接触部123dは、第1接触部123bにおけるX軸方向の前端に連続すると共にX方向前方に延びている。
【0115】
ここで、本実施形態に係るプラグコネクタ120においても、第1実施形態と同様に、互いに隣り合う導電端子123間におけるハウジング122の部分に対して肉抜きを行うことにより、導電端子123間に存在するものを樹脂及び空気層にし、誘電率をコントロールして特性インピーダンスの調整を行っている。すなわち、プラグコネクタ120では、ハウジング122における、互いに隣り合う導電端子123間の領域に、凹状の電気長調整空間が形成されている。電気長調整空間について、図28を参照して説明する。
【0116】
図28に示されるように、ハウジング122は、上壁122dにおいて、導電端子123の第1接触部123a,123bの第1接触面431,441よりも凹んだ段差部421を有している。段差部421は、互いに隣り合う信号コンタクト123B間の領域に形成されている。また、段差部421は、互いに隣り合うグランドコンタクト123A及び信号コンタクト123B間にも形成されている。このような段差部421は、凹状の電気長調整空間の少なくとも一部(第1の領域)を区画する。すなわち、プラグコネクタ120では、互いに隣り合う2つの信号コンタクト123Bの第1接触部123b,123b間の領域、及び、互いに隣り合うグランドコンタクト123Aの第1接触部123a及び信号コンタクト123Bの第1接触部123b間の領域に、凹状の電気長調整空間が形成されている。段差部421は、図28に示されるように設けられた領域を貫通しないように形成されていている。このような段差部421に代えて、設けられた領域を貫通する貫通孔が形成されていてもよい。
【0117】
更に、本実施形態に係るプラグコネクタ120では、クロストークを抑制する観点から、信号コンタクト123Bを挟むように配置された、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト123A同士を連結する構成が設けられている。以下では、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト123A同士を連結する構成について、図29を参照して説明する。
【0118】
図29に示されるように、プラグコネクタ120は、複数の導電端子123に含まれる、隣り合う2つのグランドコンタクト123A同士を連結する連結部128を有する。連結部128は、隣り合う2つのグランドコンタクト123Aの第1接触部123a,123a同士を連結する第1連結部128aを有する。連結部128は、隣り合う2つのグランドコンタクト123Aの第2接触部123c,123c同士を連結する第2連結部128cを有する。
【0119】
第1連結部128aは、第1接触部123a,123aの後端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。第2連結部128cは、第2接触部123c,123cの前端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。信号コンタクト123Bは、隣り合う2つのグランドコンタクト123A,123Aと、第1連結部128a及び第2連結部128cと、によって囲まれている。
【0120】
上述したように、隣り合う2つのグランドコンタクト123A,123A同士が第1連結部128a及び第2連結部128cによって連結されている。複数のグランドコンタクト123Aには、このように連結された隣り合う2つのグランドコンタクト123A,123Aを1セットとしたグランドコンタクト対439が複数セット含まれている。そして、互いに隣り合う2つのグランドコンタクト対439,439は、互いの第1連結部128a,128a同士が連結されると共に、互いの第2連結部128c,128c同士が連結されている。このようにして、全てのグランドコンタクト対439の第1連結部128a同士が連結されると共に、第2連結部128c同士が連結されていてもよい。この場合、各第1連結部128a同士を連結した1本の部材がY軸方向に沿って延びており、また、各第2連結部128c同士を連結した1本の部材がY軸方向に沿って延びていてもよい。
【0121】
図30(a)は第1連結部128a及び第2連結部128cを有さない構成のNEXT(NearEnd Cross Talk)の共振点を示しており、図30(b)は第1連結部128a及び第2連結部128cを有さない構成のFEXT(Far End Cross Talk)の共振点を示しており、図30(c)は本実施形態に係る構成(第1連結部128a及び第2連結部128cを有する構成)の共振点を示しており、図30(d)は本実施形態に係る構成(第1連結部128a及び第2連結部128cを有する構成)のFEXTの共振点を示している。図30(a)~(d)において、横軸は周波数(GHz)、縦軸は伝送信号の減衰量(dB)を示している。図30(a)(b)の比較例に係る構成と、図30(c)(d)の本実施形態に係る構成とは、第1連結部128a及び第2連結部128cの有無以外は、同様である。図30(a)(b)に示される比較例では、17~18GHz付近の共振点において減衰量が大きくなっている。この点、図30(c)(d)に示されるように、本実施形態に係る構成では、同じ17~18GHz付近において、共振点の減衰量を抑制することができている。このことから明らかなように、第1連結部128a及び第2連結部128cを設けることにより、クロストークを低減することができた。
【0122】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、図14等を参照して、隣り合うグランドコンタクト23A同士を連結する第1連結部28a及び第2連結部28bを説明したが、第1連結部及び第2連結部の構成は、これに限定されない。図31(a)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結される前の状態を示す斜視図であり、図31(b)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結される前の状態を示す斜視図であって、図31(a)とは異なる方向から見た斜視図である。図32(a)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結された後の状態を示す斜視図であり、図32(b)は変形例に係る第1連結部及び第2連結部がグランドコンタクトに連結された後の状態を示す斜視図であって、図32(a)とは異なる方向から見た斜視図である。
【0123】
図31(a)(b)及び図32(a)(b)に示されるように、変形例に係る第1連結部600及び第2連結部500は、グランドコンタクト23Aとは別部材で構成されており、グランドコンタクト23Aに着脱可能に構成されている。このように別部材で構成されることによって、例えば既存の連結部を有さないグランドコンタクトを用いながら、別部材で構成された第1連結部600及び第2連結部500を組み合わせて、クロストーク抑制を適切に実現することができる。第1連結部600は、第1接触部23a,23aの後端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。第2連結部500は、第2接触部23c,23cの下端寄りの部分同士を連結するように、Y軸方向に沿って延びている。
【0124】
第1連結部600は、第1基部600xと、複数セットの一対の第1突出部600y,600yと、を有している。第1基部600xは、複数のグランドコンタクト23Aの配列方向であるY軸方向に沿って延びる部分である。第1基部600xは、例えば、複数のグランドコンタクト23Aの配列方向の全域に亘って延びている。一対の第1突出部600y,600yは、各グランドコンタクト23Aの第1接触部23a(第1接続部)の位置に対応して設けられており、第1基部600xから上方に突出するように設けられている。一対の第1突出部600y,600yは、第1接触部23aの後端部である先端部237a(端部)を挟み込むようにして第1接触部23aに接触している。
【0125】
第2連結部500は、第2基部500xと、複数セットの一対の第2突出部500y,500yと、を有している。第2基部500xは、複数のグランドコンタクト23Aの配列方向であるY軸方向に沿って延びる部分である。第2基部500xは、例えば、複数のグランドコンタクト23Aの配列方向の全域に亘って延びている。一対の第2突出部500y,500yは、各グランドコンタクト23Aの第2接触部23c(第2接続部)の位置に対応して設けられており、第2基部500xから上方に突出するように設けられている。一対の第2突出部500y,500yは、第2接触部23cの下端部である先端部237cを挟み込むようにして第2接触部23cに接触している。
【0126】
このような構成によれば、第1連結部600及び第2連結部500がグランドコンタクト23Aとは別部材で構成される場合においても、一対の第1突出部600y,600y及び一対の第2突出部500y,500yにより、グランドコンタクト23Aと第1連結部600及び第2連結部500との接触を実現することができ、上述したクロストーク抑制を実現することができる。
【符号の説明】
【0127】
10,110…リセプタクルコネクタ、11,111…シェル、12,112…ハウジング、13,113…導電端子、13A,113A…グランド端子、13B,113B…信号端子、13a…第1部分、13b…保持部、13c…第2部分、13d…基部、13e…接触部、20,120…プラグコネクタ、21,121…シェル、22,122…ハウジング、23,123…導電端子、23A,123A…グランドコンタクト、23B,123B…信号コンタクト、23a,23b,123a,123b…第1接触部、23c,23d,123c,123d…第2接触部、28,128…連結部、28a,128a…第1連結部、28c,128c…第2連結部、50…回路基板、50s…主面、60…電気ケーブル、61…内部導体、221,421…段差部、225…貫通孔、230,240…幅広部分、231,431…第1接触面、235,245…幅狭部分、238,248…第2接触面、239,439…グランドコンタクト対、500…第2連結部、500x…第2基部、500y…第2突出部、600…第1連結部、600x…第1基部、600y…第1突出部、G…隙間。
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