(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024107998
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】水処理装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/72 20230101AFI20240802BHJP
C02F 1/461 20230101ALI20240802BHJP
C02F 1/02 20230101ALI20240802BHJP
C02F 1/20 20230101ALI20240802BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20240802BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20240802BHJP
C02F 1/78 20230101ALI20240802BHJP
【FI】
C02F1/72 Z
C02F1/461 101Z
C02F1/02 B
C02F1/20 A
C02F1/32
C02F1/28 D
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012229
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
4D034
4D037
4D050
4D061
4D624
【Fターム(参考)】
4D034AA11
4D034CA04
4D034DA02
4D037AA11
4D037AB01
4D037AB12
4D037BA18
4D037BA23
4D037BB07
4D037CA01
4D037CA04
4D037CA12
4D050AA12
4D050AB07
4D050AB34
4D050AB35
4D050BB02
4D050BB20
4D050BC01
4D050BC09
4D050BC10
4D050BD02
4D050BD03
4D050BD04
4D050BD06
4D050CA01
4D050CA03
4D050CA07
4D050CA10
4D061DA08
4D061DB09
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4D061FA03
4D061FA06
4D061FA07
4D624AA09
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4D624BA02
4D624BC04
4D624CA01
4D624DA01
4D624DA07
4D624DB01
4D624DB06
4D624DB09
4D624DB10
4D624DB24
(57)【要約】
【課題】処理の清浄性に優れた水処理装置を提供しようとするもの。
【解決手段】処理液W中に脱気作用と曝気作用を及ぼすと共に、前記処理液W中にオゾンを共存させ電気分解して酸素ラジカルを生成させるようにした。塩素(Cl2、HOCl、NaOCl)を使用する場合と異なり、塩化物イオン(Cl-)などの不純物の残留を回避して処理液の浄化をすることができる。前記処理液Wを活性炭Cにより浄化するようにしてもよい。前記オゾンに紫外線を照射して酸素ラジカルを生成させるようにしてもよい。前記処理液W中に排水・廃液等の熱分解ガスを吸入するようにしてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液(W)中に脱気作用と曝気作用を及ぼすと共に、前記処理液(W)中にオゾンを共存させ電気分解して酸素ラジカルを生成させるようにしたことを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記処理液(W)を活性炭(C)により浄化するようにした請求項1記載の水処理装置。
【請求項3】
前記オゾンに紫外線を照射して酸素ラジカルを生成させるようにした請求項1又は2記載の水処理装置。
【請求項4】
前記処理液(W)中に排水・廃液等の熱分解ガスを吸入するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理の清浄性に優れた水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排ガス回収方法に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、プラント等から排出される揮発性有機化合物の回収には、活性炭等の吸着材に揮発性有機化合物を吸着させる方法が知られている。
この方法は、揮発性有機化合物、例えば、溶剤ガスの種類によっては、吸着材に吸着されることなく、外部に放出されてしまい、所期する除去性能を達成できないことがある、というものである。
これに対し、処理の清浄性に優れた水処理装置に対する要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、処理の清浄性に優れた水処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の水処理装置は、処理液中に脱気作用と曝気作用を及ぼすと共に、前記処理液中にオゾンを共存させ電気分解して酸素ラジカルを生成させるようにしたことを特徴とする。
【0006】
この水処理装置(排水、廃液などを浄化する)は、処理液中に脱気作用を及ぼすようにしたので、例えば真空ポンプで吸引し負圧にして脱ガスすることにより処理液中にオゾン(オゾンガス乃至オゾン水)などを吸入・共存させ易くすることができる。オゾンはオゾン発生装置(オゾナイザー)により発生させることができる。
また、処理液中に曝気作用(例えば散気管を使用)を及ぼすようにしたので、吸入した気体粒子を処理液中で流動させることによりよく攪拌することができる。曝気と脱気による処理液の攪拌は大事である。
【0007】
さらに、前記処理液中にオゾン(オゾンガス乃至オゾン水)を共存させ電気分解して酸素ラジカル(・Oラジカル)を生成させるようにしたので、塩素(Cl2、HOCl、NaOCl)を使用する場合と異なり、塩化物イオン(Cl-)などの不純物の残留を回避して処理液の浄化をすることができる。これにより、付随的に装置の金属部分の電気的腐食を抑制することができる。
また、処理液中に混在する溶存ガスを脱気しその分できた隙間をオゾンで置換することにより、このオゾンガス乃至オゾン水の液中溶解度・共存度ができるだけ飽和に近い状態で電気分解してより高濃度に酸素ラジカルを生成させることができる。
【0008】
そして、処理液中の汚れ物質(COD成分、TOC成分、T-N成分など)と酸素ラジカルの遭遇率を向上させて浄化反応を促進することができる。
ここで、オゾン(O3)含有水を電気分解すると3つの酸素ラジカル(・O)が生成するが、オゾンの酸化電位は2.07Vであるのに対し酸素ラジカルの酸化電位は2.42Vであり、これはオゾンが酸素ラジカルに変化することにより酸化力が増大することの指標である。また、COD濃度÷酸素ラジカル濃度により、汚れ物質に対する処理性を評価することができる。
【0009】
処理液中に吸入するオゾン(O3)量によりオゾン水濃度(ppm)が把握可能であり、このオゾン含有水を電気分解することにより生成する酸素ラジカル(・O)量も推測可能であるので、この処理液の酸化力の評価ができ、水中のCODやアンモニアなどの分解量の推測が可能である。すなわち、推測が可能な水処理装置である。
電気分解の電極として、導電性セラミック電極を好適に使用することができる。処理液中に脱気作用を及ぼして負圧にする真空ポンプとして、例えばインペラーポンプを使用することができる。脱気し減圧すると液体の沸点が下がり蒸発量が増加する傾向となる。
【0010】
(2)前記処理液を活性炭により浄化するようにしてもよい。
このように構成すると、処理液を活性炭で浄化して再利用したり放流したりすることができる。
【0011】
(3)前記オゾンガスに紫外線を照射して酸素ラジカルを生成させるようにしてもよい。
このように構成すると、オゾンガスに紫外線(波長2537Å、1849Å)を照射して生成させた酸素ラジカルにより汚れ物質の浄化処理性を向上させることができる。
【0012】
(4)前記処理液中に排水・廃液等の熱分解ガスを吸入するようにしてもよい。
このように構成すると、排水・廃液等の熱分解ガス(例えば約600~900℃での熱分解ガス)などの気体を吸入(導入)して処理液中で浄化することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
塩化物イオン(Cl-)などの不純物の残留を回避して処理液の浄化をすることができるので、処理の清浄性に優れた水処理装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の水処理装置の実施形態を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、この実施形態の水処理装置は、処理液W(高濃度廃液)中に脱気作用(真空ポンプVPを使用した)と曝気作用(散気管1を使用した)を及ぼすと共に、前記処理液W中にオゾン(オゾンガス乃至オゾン水)を共存させ電気分解して酸素ラジカルを生成させるようにした。
【0016】
オゾンはオゾン発生装置Oにより発生させた。電気分解の電極Eとして、導電性セラミック電極を使用した。処理液中に脱気作用を及ぼして負圧にする真空ポンプVPとして、インペラーポンプを使用した。前記処理液をポンプPにより循環しつつ、活性炭Cにより浄化するようにした。活性炭C、は賦活再生装置2により約900℃で再生して循環するようにした。
【0017】
次に、この実施形態の水処理装置の使用状態を説明する。
この水処理装置は、処理液W中に脱気作用を及ぼすようにしたので、真空ポンプVPで吸引し負圧にして脱ガスすることにより処理液中にオゾン(オゾンガス乃至オゾン水)などを吸入・共存させ易くすることができた。
また、処理液W中に曝気作用を及ぼすようにしたので、吸入した気体粒子Bを処理液中で流動させることによりよく攪拌することができた。
【0018】
さらに、前記処理液W中にオゾン(オゾンガス乃至オゾン水)を共存させ電気分解して酸素ラジカル(・Oラジカル)を生成させるようにしたので、塩素(Cl2、HOCl、NaOCl)を使用する場合と異なり、塩化物イオン(Cl-)などの不純物の残留を回避して処理液の浄化をすることができ、処理の清浄性に優れたものであった。
また、処理液W中に混在する溶存ガスを脱気しその分できた隙間をオゾンで置換することにより、このオゾンガス乃至オゾン水の液中溶解度・共存度が飽和に近い状態で電気分解してより高濃度に酸素ラジカルを生成させることができた。
【0019】
そして、処理液W中の汚れ物質(COD成分、TOC成分、T-N成分)と酸素ラジカルの遭遇率を向上させて浄化反応を促進することができた。処理液W中に吸入するオゾン(O3)量によりオゾン水濃度(ppm)が把握可能であり、このオゾン含有水を電気分解することにより生成する酸素ラジカル(・O)量も推測可能であるので、この処理液Wの酸化力の評価ができ、水中のCODやアンモニアなどの分解量の推測が可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
処理の清浄性に優れていることによって、種々の水処理装置の用途に適用することができる。例えば、医療用・食品加工用除菌装置、配管洗浄装置、プール・浴場用除菌浄化装置、工業用廃液処理・排水脱臭・脱色・除菌浄化処理装置、半導体製造排水処理装置、水耕栽培循環液除菌浄化処理装置、養殖循環水除菌浄化処理装置として適用することができる。
【符号の説明】
【0021】
W 処理液
C 活性炭