(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108015
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20240802BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240802BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H05K3/34 501E
H05K3/46 B
H05K3/46 N
H05K3/18 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012259
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】島田 志保
【テーマコード(参考)】
5E316
5E319
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC06
5E316CC09
5E316CC32
5E316CC34
5E316DD17
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5E316GG15
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5E316JJ02
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB05
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5E319CC33
5E319GG20
5E343AA02
5E343AA17
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5E343BB24
5E343BB28
5E343BB52
5E343BB57
5E343BB71
5E343DD25
5E343DD43
5E343ER11
5E343FF16
5E343GG06
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、導体層と、導体層を露出する開口と第1面と第1面と反対側の第2面とを有し、第2面が導体層と対向する状態で、導体層上に形成されている最外の絶縁層と、開口内に形成されている金属ポストと、を有する。金属ポストは、シード層とシード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、シード層は、第1面の表面形状に沿って形成されており、金属ポストは、最外の絶縁層の第1面を超える高さに形成されており、シード層は、第1層と第1層上に形成される第2層とを有しており、金属ポストは、最外の絶縁層に近い方から順に第1層、第2層、電解めっき層で構成されており、金属ポストの最外の絶縁層の高さを超える部分の断面において、第1層の幅は第2層の幅より大きく、電解めっき層の幅は第1層の幅より大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体層と、
前記導体層を露出する開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第2面が前記導体層と対向する状態で、前記導体層上に形成されている最外の絶縁層と、
前記開口内に形成されている金属ポストと、を有するプリント配線板であって、
前記金属ポストは、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、前記シード層は、前記第1面の表面形状に沿って形成されており、
前記金属ポストは、前記最外の絶縁層の前記第1面を超える高さに形成されており、
前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、前記金属ポストは、前記最外の絶縁層に近い方から順に前記第1層、前記第2層、前記電解めっき層で構成されており、前記金属ポストの前記最外の絶縁層の高さを超える部分の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記シード層はスパッタで形成される。
【請求項3】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1層と前記第2層は異なる材料の銅合金の組み合わせ、あるいは前記銅合金と銅の組み合わせからなる。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、前記銅合金は、銅の含有量が全重量の90%以上である。
【請求項5】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1層は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、モリブデン、銀、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む銅合金で形成されており、前記第2層は銅で形成されている。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板であって、前記第1層は、アルミニウムとケイ素を含む銅合金である。
【請求項7】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1層は、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀のうちのいずれか1つの金属で形成されており、前記第2層は銅で形成されている。
【請求項8】
請求項1のプリント配線板であって、前記金属ポストの前記最外の絶縁層の高さを超える部分の断面において、前記シード層の側面と前記第1面との間の第1角度は、前記電解めっき層の側面下端部から前記シード層と前記電解めっき層との境界部分に向かう直線と前記第1面との間の第2角度より大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、シード層と金属めっき層とからなり、最外絶縁層の高さを超える部分を有する金属ポストを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1の技術では、シード層が過度にエッチングされ、シード層の側面に金属めっき層の下端から内側に後退する食込部(アンダーカット部)が形成されることがある。これにより、最外絶縁層の表面において、シード層と最外絶縁層との接触面積が減少し、密着不良が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のプリント配線板は、導体層と、前記導体層を露出する開口と第1面と前記第1面と反対側の第2面とを有し、前記第2面が前記導体層と対向する状態で、前記導体層上に形成されている最外の絶縁層と、前記開口内に形成されている金属ポストと、を有するプリント配線板であって、前記金属ポストは、シード層と前記シード層上に形成される電解めっき層とによって形成されており、前記シード層は、前記第1面の表面形状に沿って形成されており、前記金属ポストは、前記最外の絶縁層の前記第1面を超える高さに形成されており、前記シード層は、第1層と前記第1層上に形成される第2層とを有しており、前記金属ポストは、前記最外の絶縁層に近い方から順に前記第1層、前記第2層、前記電解めっき層で構成されており、前記金属ポストの前記最外の絶縁層の高さを超える部分の断面において、前記第1層の幅は前記第2層の幅より大きく、前記電解めっき層の幅は前記第1層の幅より大きい。
【0006】
本開示の実施形態のプリント配線板では、金属ポストを構成するシード層は第1面の表面形状に沿って形成されている。そのため、シード層は最外の絶縁層の内側に入り込んで形成されない。製造過程でシード層が除去される際のエッチング量が少なく済む。金属ポストが過度にエッチングされることを抑制できる。金属ポストの幅を設計値に近くすることができる。金属ポストを最外の絶縁層の第1面を超える高さに形成することで、金属ポストと外部部品が備える接続端子との密着性を高くできる。第1層の幅を第2層の幅より大きく形成することで、シード層と最外の絶縁層との密着性を高くできるため、高い品質を有するプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
【
図3】実施形態のプリント配線板に外部部品が接続された状態を模式的に示す断面図。
【
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。
図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と第1樹脂絶縁層20と第2導体層30と第1ビア導体40と第2樹脂絶縁層120と第3導体層130と第2ビア導体140と最外の絶縁層220と金属ポスト250とを有する。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第3面6(図中の上面)と第3面6と反対側の第4面8(図中の下面)を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第3面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aは第3面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aは銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成されている。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。
【0011】
第1樹脂絶縁層20は絶縁層4の第3面6と第1導体層10上に形成されている。第1樹脂絶縁層20は第5面22(図中の上面)と第5面22と反対側の第6面24(図中の下面)を有する。第1樹脂絶縁層20の第6面24は第1導体層10と対向する。第1樹脂絶縁層20はパッド14を露出する開口26を有している。第1樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂80の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は、例えば、シリカやアルミナである。無機粒子90の粒子径は、平均粒子径0.5μm、粒子径範囲は、0.1μm以上5.0μm以下である。
【0012】
図1に示されるように、無機粒子90は、開口26の内壁面27を形成する第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第2無機粒子92の形は球である。第1無機粒子91の形状は球を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第1無機粒子91の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。
【0013】
図1に示されるように、第1樹脂絶縁層20の第5面22はほとんど樹脂80で形成されている。第5面22から無機粒子90(第2無機粒子92)は少量露出する。第1樹脂絶縁層20の第5面22には凹凸が形成されていない。第5面22は荒らされていない。第5面22は平滑に形成されている。第5面22の算術平均粗さ(Ra)は、0.02μ m以上0.06μm以下である。
【0014】
開口26の内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91で形成されている。第1無機粒子91は平坦部を有する。内壁面27は樹脂80と第1無機粒子91の平坦部とで形成されている。内壁面27は平滑に形成されている。
【0015】
第2導体層30は第1樹脂絶縁層20の第5面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第5面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第5面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。第1層31aは銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成されている。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第5面22に接している。第2層31bは電解めっき層30bと接着している。第2導体層30のうち第1樹脂絶縁層20の第5面22と対向する面は第5面22の表面形状に沿って形成されている。第2導体層30は第1樹脂絶縁層20の第5面22の内側に入り込まない。
【0016】
第1ビア導体40は開口26内に形成されている。第1ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。
図1では第1ビア導体40はパッド14とランド36を接続する。第1ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。第1ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。第1層31aは内壁面27に接している。
【0017】
第2樹脂絶縁層120は第1樹脂絶縁層20の第5面22と第2導体層30上に形成されている。第2樹脂絶縁層120は第7面122(図中の上面)と第7面122と反対側の第8面124(図中の下面)を有する。第2樹脂絶縁層120の第8面124は第2導体層30と対向する。第2樹脂絶縁層120はランド36を露出する開口126を有している。第2樹脂絶縁層120は、樹脂180と樹脂180内に分散されている多数の無機粒子190で形成されている。樹脂180、無機粒子190は、第1樹脂絶縁層20の樹脂80、無機粒子90と同様である。無機粒子190は、開口126の内壁面127を形成する第1無機粒子191と、樹脂180内に埋まっている第2無機粒子192を含む。第2無機粒子192の形は球である。第1無機粒子191の形状は球を平面で切断することで得られる。
【0018】
第2樹脂絶縁層120の第7面122はほとんど樹脂180で形成されている。第7面122から無機粒子190(第2無機粒子192)は少量露出する。第2樹脂絶縁層120の第7面122には凹凸が形成されていない。第7面122は荒らされていない。第7面122は平滑に形成されている。
【0019】
開口126の内壁面127は樹脂180と第1無機粒子191で形成されている。内壁面127は樹脂180と第1無機粒子191の平坦部とで形成されている。内壁面127は平滑に形成されている。
【0020】
第3導体層130は第2樹脂絶縁層120の第7面122上に形成されている。第3導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136を含む。図に示されていないが、第3導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線132と第2信号配線134はペア配線を形成している。第3導体層130は主に銅によって形成される。第3導体層130は、第7面122上のシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。シード層130a、電解めっき層130bは第2導体層30のシード層30a、電解めっき層30bと同様である。シード層130aは第7面122上の第1層131aと第1層131a上の第2層131bで形成されている。第1層131aは銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成されている。第2層131bは銅で形成されている。電解めっき層130bは銅で形成されている。第1層131aは第7面122に接している。第3導体層130のうち第2樹脂絶縁層120の第7面122と対向する面は第7面122の表面形状に沿って形成されている。第3導体層130は第2樹脂絶縁層120の第7面122の内側に入り込まない。
【0021】
第2ビア導体140は開口126内に形成されている。第2ビア導体140は第2導体層30と第3導体層130を接続する。
図1では第2ビア導体140はランド36とランド136を接続する。第2ビア導体140はシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。第2ビア導体140を形成するシード層130aと第3導体層130を形成するシード層130aは共通である。第1層131aは内壁面127に接している。
【0022】
最外の絶縁層220は第2樹脂絶縁層120の第7面122と第3導体層130上に形成されている。最外の絶縁層220は第1面222(図中の上面)と第1面222と反対側の第2面224(図中の下面)を有する。最外の絶縁層220の第2面224は第3導体層130と対向する。最外の絶縁層220は第3導体層130のランド136を露出する開口226を有している。最外の絶縁層220は、樹脂280と樹脂280内に分散されている多数の無機粒子290で形成されている。樹脂280、無機粒子290は、第1樹脂絶縁層20の樹脂80、無機粒子90と同様である。無機粒子290は、開口226の内壁面227を形成する第1無機粒子291と、樹脂280内に埋まっている第2無機粒子292を含む。第2無機粒子292の形は球である。第1無機粒子291の形状は球を平面で切断することで得られる。
【0023】
最外の絶縁層220の第1面222はほとんど樹脂280で形成されている。第1面222から無機粒子290(第2無機粒子292)は少量露出する。最外の絶縁層220の第1面222には凹凸が形成されていない。第1面222は荒らされていない。第1面222は平滑に形成されている。
【0024】
開口226の内壁面227は樹脂280と第1無機粒子291で形成されている。内壁面227は樹脂280と第1無機粒子291の平坦部とで形成されている。内壁面227は平滑に形成されている。
【0025】
金属ポスト250は、最外の絶縁層220の開口226内と最外の絶縁層220の第1面222上に形成されている。金属ポスト250を構成する第4導体層230は最外の絶縁層220の第1面222上に形成されている。第4導体層230は導体回路であるランド236を含む。図に示されていないが、第4導体層230はランド236以外のランドも含んでいる。第4導体層230は主に銅によって形成される。第4導体層230は、第1面222上のシード層230aとシード層230a上の電解めっき層230bで形成されている。シード層230a、電解めっき層230bは第2導体層30のシード層30a、電解めっき層30bと同様である。シード層230aは第1面222上の第1層231aと第1層231a上の第2層231bで形成されている。第1層231aは銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成されている。第2層231bは銅で形成されている。電解めっき層230bは銅で形成されている。第1層231aは第1面222に接している。第4導体層230のうち最外の絶縁層220の第1面222と対向する面は第1面222の表面形状に沿って形成されている。第4導体層230は最外の絶縁層220の第1面222の内側に入り込まない。
【0026】
金属ポスト250は開口226内に形成されている。金属ポスト250は第3導体層130と第4導体層230を接続する。
図1では金属ポスト250はランド136とランド236を接続する。また、金属ポスト250はランド236と外部部品が備える接続端子を接続する。金属ポスト250はシード層230aとシード層230a上の電解めっき層230bで形成されている。シード層230aは第1面222上の第1層231aと第1層231a上の第2層231bで形成されている。第1層231aは内壁面227に接している。電解めっき層230b上には接続用金属層240が形成されている。接続用金属層240はニッケル及び錫で形成されている。
【0027】
図2は第4導体層230のランド236周辺の拡大断面図である。
図2に示されるように、ランド236には、金属ポスト250が設けられている。金属ポスト250は、第1面222上のシード層230aと、シード層230a上の電解めっき層230bによって形成されている。シード層230aは、第1面222上の第1層231aと第1層231a上の第2層231bを備える。第1層231aは第1面222に接している。第1層231aは第1面222と第1層231aの第1面222と対向する面の表面形状に沿って形成されている。第2層231bは電解めっき層230bと接着している。
【0028】
図2に示されるように、金属ポスト250は、最外の絶縁層220の第1面222を超える高さ(図中上下方向において金属ポスト250の上端の高さ位置H1が第1面222の高さ位置H2よりも上側となる高さ)に形成されている。金属ポスト250の最外の絶縁層220の高さを超える部分の断面において、金属ポスト250のシード層230aの幅(図中左右方向の長さ)は、電解めっき層230bの幅よりも小さい。第1面222を超える高さ部分において、金属ポスト250の幅は、シード層230aと電解めっき層230bの境界部分Bにおいて最も小さい。第1層231aの幅D1は第2層231bの幅D2より大きく、電解めっき層230bの幅D3は第1層231aの幅D1より大きい。シード層230aの側面と第1面222との間の第1角度θ1は、電解めっき層230bの側面下端部からシード層230aと電解めっき層230bとの境界部分Bに向かう直線と第1面222との間の第2角度θ2より大きい。
【0029】
図2は金属ポスト250を例示するが、第1導体層10の導体回路(信号配線12、パッド14)、第2導体層30の導体回路(第1信号配線32、第2信号配線34、ランド36)、第3導体層130の導体回路(第1信号配線132、第2信号配線134、ランド136)も金属ポスト250と同様の構成を有する。
【0030】
図3は実施形態のプリント配線板2に半導体チップ300が接続された状態を示す断面図である。
図3に示されるように、プリント配線板2には、外部部品である半導体チップ300が接続される。金属ポスト250上の接続用金属層240は、はんだ320を介して半導体チップ300の接続端子310に接続される。プリント配線板2と半導体チップ300との間の隙間には、アンダーフィル樹脂330が充填されている。アンダーフィル樹脂330はエポキシ系樹脂である。
【0031】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図4A~
図4Gは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。
図4A~
図4Gは断面図である。
【0032】
実施形態のプリント配線板2の製造方法では、
図4Aに示されるように、先ず、製造途中のプリント配線板2Aを用意する。プリント配線板2Aは、絶縁層4と第1導体層10と第1樹脂絶縁層20と第2導体層30と第1ビア導体40と第2樹脂絶縁層120と第3導体層130と第2ビア導体140を有する。
【0033】
図4Bに示されるように、第2樹脂絶縁層120と第3導体層130上に最外の絶縁層220と保護膜50が形成される。最外の絶縁層220の第2面224が第2樹脂絶縁層120の第7面122と対向している。最外の絶縁層220の第1面222上に保護膜50が形成されている。最外の絶縁層220は樹脂80により形成される。保護膜50は最外の絶縁層220の第1面222を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と最外の絶縁層220との間に離型剤が形成されている。
【0034】
図4Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と最外の絶縁層220を同時に貫通する。第3導体層130のビア導体140に至る金属ポスト用の開口226が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。開口226によりビア導体140が露出される。開口226が形成される時、第1面222は保護膜50で覆われている。そのため、開口226が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面222に樹脂が付着することが抑制される。最外の絶縁層220の第1面222には凹凸が形成されない。第1面222は荒らされない。内壁面227上に凹凸が形成されない。内壁面227は平滑に形成される。
【0035】
図4Dに示されるように、最外の絶縁層220から保護膜50が除去される。最外の絶縁層220の第1面222を荒らすことは行われない。そのため、第1面222は平滑に形成される。第1面222の算術平均粗さ(Ra)は、0.02μm以上0.06μm以下である。
【0036】
図4Eに示されるように、最外の絶縁層220の第1面222上にシード層230aが形成される。シード層230aはスパッタによって形成される。シード層230aの形成はドライプロセスで行われる。シード層230aは第1層231aと、第1層231a上に第1層231aとは異なる材料で形成される第2層231bとを有する。第1層231aと第2層231bは異なる材料の銅合金の組み合わせ、あるいは銅合金と銅の組み合わせからなる。第1層231aは銅合金で形成されている。銅合金と最外の絶縁層220との密着強度は、銅と最外の絶縁層220との密着強度より大きい。第2層231bは銅合金あるいは銅で形成される。第1層231aと第2層231bの銅合金は、銅の含有量が全重量の90%以上で形成される。銅の含有量が高いほど電気抵抗を低くできるため接続信頼性が向上する。
【0037】
シード層230aの厚みは、0.02μm以上1μm以下、好ましくは0.03μm以上0.5um以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.3um以下の範囲で形成される。第1面222の算術平均粗さ(Ra)は、0.02μm以上0.06μm以下である。シード層230aの厚みは、0.02μm以下では最外の絶縁層220の表面全体に均一に形成することが困難である。また1μm以上ではシード層のエッチング除去工程時の電解めっき層230bの配線幅の制御が難しい。第1層231aが第1面222上にスパッタで形成される。第1層231aの厚みは、0.01μm以上0.5μm以下、好ましくは0.02μm以上0.3um以下、さらに好ましくは0.03μm以上0.1um以下の範囲で形成される。第1層231aは0.01μm以下では最外の絶縁層220との密着性が低下する。第1層231aは0.5μm以上では配線抵抗値が高くなる。第2層231bが第1層231a上にスパッタで形成される。第2層231bの厚みは、0.01μm以上0.9μm以下、好ましくは0.02μm以上0.3um以下、さらに好ましくは0.03μm以上0.2um以下の範囲で形成される。第2層231bは0.01μm以下では配線抵抗値が高くなる。第2層231bが0.9μm以上では第1層231aは薄く形成されるため配線と最外の絶縁層220の密着性が低下する。
【0038】
シード層230aは第1面222の表面形状に沿って形成されている。シード層230aは最外の絶縁層220の内側に入り込んで形成されない。製造過程でシード層230aが除去される際のエッチング量が少なく済む。導体回路が過度にエッチングされることを抑制できる。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。シード層230aは開口226から露出するビア導体140の上面と開口226の内壁面227にも形成される。第1層231aは銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成される。第2層231bは銅で形成される。
【0039】
図4Fに示されるように、シード層230a上にめっきレジスト層60が形成される。めっきレジスト層60は、ランド236(
図1参照)を形成するための開口を有する。
【0040】
図4Gに示されるように、めっきレジスト層60から露出するシード層230a上に電解めっき層230bが形成される。電解めっき層230bは銅で形成される。電解めっき層230bは開口226を充填する。第1面222上のシード層230aと電解めっき層230bによって、ランド236を有する第4導体層230が形成される。開口226内のシード層230aと電解めっき層230bによって、金属ポスト250が形成される。金属ポスト250は、ビア導体140とランド236を接続する。また、金属ポスト250はランド236と外部部品が備える接続端子を接続する。金属ポスト250の電解めっき層230b上に接続用金属層240が形成される。接続用金属層240はニッケル及び錫で形成される。
【0041】
図1に示されるように、めっきレジスト層60が除去される。電解めっき層230bから露出するシード層230aがエッチングで除去される。第4導体層230と金属ポスト250が同時に形成される。第1層231aの幅は第2層231bの幅より大きく、電解めっき層230bの幅は第1層231aの幅より大きい。シード層230aのエッチング速度は電解めっき層230bのエッチング速度より大きい。シード層のエッチング速度は電解メッキ層のエッチング速度の1.1倍から1.5倍である。スパッタで形成されるシード層230aは、電解めっき層230bに比べ、金属結晶部に対するアモルファス構造部の割合が高い。一般にアモルファス構造部は結晶欠陥を多く有する。結晶欠陥を多く有するほどエッチング速度が大きくなる。シード層230aは、電解めっき層230bに比べエッチング速度が大きくなる。そのため、製造過程でシード層230aが除去される工程のエッチング量が少なく済む。導体回路が過度にエッチングされることを抑制できる。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。
【0042】
シード層230aがエッチングで除去された結果、第4導体層230の導体回路(ランド236)のシード層230aの幅が電解めっき層230bの幅よりも小さくなる。シード層230aは、第1層231a上に第2層231bが形成される。第1層231aは銅合金からなる。第2層231bは銅からなる。スパッタにより形成される銅のエッチング速度がスパッタにより形成される銅合金のエッチング速度がより大きいエッチング液を使用することで、第1層231aの幅を第2層231bの幅より大きくできる。第1面222を超える高さ部分において、第2層231bと電解めっき層230bとの境界部分Bが最も配線幅が小さくなる。第4導体層230の配線の境界部分Bで最も応力が大きくなるので、第1層231aと最外の絶縁層220との密着性が向上する。
【0043】
金属ポスト250の断面において、シード層230aの側面と第1面222との間の第1角度θ1は、電解めっき層230bの側面下端部から境界部分Bに向かう直線と第1面222との間の第2角度θ2より大きい。シード層230aのエッチング速度は電解めっき層230bのエッチング速度より大きいため、シード層230aの側面と第1面222との間の第1角度θ1が第2角度θ2より大きく形成される。その結果、境界部分Bの深さを小さくできるため応力集中を緩和できる。
【0044】
実施形態のプリント配線板2では、第4導体層230のうち第1面222と対向する面は第1面222の表面形状に沿って形成されている。そのため、第4導体層230内の導体回路(ランド236)を形成するシード層230aは最外の絶縁層220の第1面222より内側に入り込んで形成されない。シード層230aを薄くすることができる。シード層230aの厚みのバラツキを小さくすることができる。製造過程でシード層230aが除去される際のエッチング量が少なく済む。導体回路が過度にエッチングされることを抑制できる。導体回路の幅を設計値に近くすることができる。第1層231aの幅D1は第2層231bの幅D2より大きく、電解めっき層30bの幅D3は第1層231aの幅D1より大きくなるように形成される。シード層230aは最外の絶縁層220との密着性を高くすることができる。最外の絶縁層220の第1面222は樹脂280で形成されている。第1面222には凹凸が形成されない。第1面222近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第1面222の比誘電率は場所によって大きく変わらない。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0045】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、シード層10a、30a、130a、230aの第1層11a、31a、131a、231aは、銅と第2元素で形成されている。第2元素は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀、の中から選ばれる。第1層11a、31a、131a、231aは銅を含む合金で形成される。第2層11b、31b、131b、231bは銅で形成される。第2層11b、31b、131b、231bを形成している銅の含有量(原子量%)は99.9%以上である。99.95%以上が好ましい。
【0046】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30a、130a、230aの第1層11a、31a、131a、231aは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀、のうちのいずれか1つの金属で形成される。
【符号の説明】
【0047】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :第1樹脂絶縁層
30 :第2導体層
40 :ビア導体
120 :第2樹脂絶縁層
130 :第3導体層
140 :ビア導体
220 :最外の絶縁層
226 :開口
227 :内壁面
230 :第4導体層
230a :シード層
230b :電解めっき層
231a :第1層
231b :第2層
236 :ランド
240 :接続用金属層
250 :金属ポスト
280 :樹脂
300 :半導体チップ
B :境界部分
H1 :金属ポストの上端の高さ位置
H2 :第1面の高さ位置
L :レーザ光
θ1 :第1角度
θ2 :第2角度