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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108018
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01G 20/43 20180101AFI20240802BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A01G20/43
F04D25/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012263
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】百鳥 大輔
【テーマコード(参考)】
2B022
3H130
【Fターム(参考)】
2B022AA01
2B022AB02
2B022AB06
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB42
3H130AC22
3H130BA72J
(57)【要約】
【課題】火起こし作業に適した形状や性能を備えた作業機を提供する。
【解決手段】モータ13と,モータ13によって回転駆動されるファン14と,ファン14の回転によって生成される空気流Fが吐出される排気口15とを備える本体部10と、本体部10に装着される電池パック30と、本体部10に着脱可能に装着され、排気口15から前方に延びる空気通路41を形成するノズル40と、を有する。ノズル40は、空気通路41の少なくとも前方端部を形成する金属製の第3管部材70を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、前記モータによって回転駆動されるファンと、前記ファンの回転によって生成される空気流が吐出される排気口と、を備える本体部と、
前記本体部に装着される電池パックと、
前記本体部に着脱可能に装着され、前記排気口から前方に延びる空気通路を形成するノズルと、を有し、
前記ノズルは、前記空気通路の少なくとも前方端部を形成する金属製の管部材を含む、作業機。
【請求項2】
前記本体部の下部から下方に延びるハンドルをさらに有し、
前記ハンドルの下部に、前記電池パックが装着される電池装着部が設けられている、請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記本体部に装着された前記ノズルの前記本体部に対する突出長は、前記ハンドルの前記本体部に対する突出長よりも長い、請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記本体部に装着された前記ノズルの前記本体部に対する突出長は、前記ハンドルの長手方向に沿う前記本体部の上面から前記電池装着部の下面までの長さよりも長い、請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記ハンドルは、当該ハンドルの長手方向に延びる把持部を含み、
前記把持部の下方に、前記電池装着部が設けられ、
前記把持部の上方に、作業者によって後方に引き操作される操作部が設けられている、請求項2に記載の作業機。
【請求項6】
前記電池装着部に装着された前記電池パックの前端は、前記操作部の前端よりも前方であって、かつ、前記排気口よりも後方に位置する、請求項5に記載の作業機。
【請求項7】
前記ノズルは、樹脂製の第1管部材と金属製の第2管部材とを含み、
前記第1管部材の長手方向一端側に、前記排気口に係合可能な係合部が設けられ、
前記第1管部材の長手方向他端に、前記第2管部材が接続される、請求項1に記載の作業機。
【請求項8】
前記ノズルは、前記空気通路の少なくとも前方端部を形成する金属製の第3管部材を含み、
前記第3管部材は、前記第2管部材に前後方向に相対移動可能に接続される、請求項7に記載の作業機。
【請求項9】
前記ノズルの内部に、前記空気通路内の風量が閾値を上回ると、前記空気通路の流路抵抗を増加させる風量制限部が設けられている、請求項1に記載の作業機。
【請求項10】
前記風量制限部は、
前記空気通路の一部を形成する通気孔が設けられた弁座部と、
前記弁座部に対して移動可能であって、前記通気孔に接離可能な弁体と、
前記弁体を付勢する弾性体と、を有し、
前記弁体は、前記空気通路内を流れる空気流により、前記弾性体の付勢に抗して移動して前記通気孔に近接する、請求項9に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物や目標エリアに向けて空気流を吹き出す作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業機の一例である送風機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されている送風機は、モータによって回転駆動されるファンを収容するとともに、回転するファンによって生成される空気流が排気される排気口を備えるハウジングと、作業者によって把持されるハンドルと、排気口に着脱される樹脂製のノズルと、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/044991号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送風機は、主に粉塵の除去や落ち葉の寄せ集め等の作業に使用されてきた。しかし、近年、送風機が火起こし作業に使用されることがある。例えば、送風機から吹き出される空気流を火種に当てることにより、短時間で火を起こすことができる。そこで、火起こし作業に適した形状や性能などを備えた送風機が求められている。
【0005】
本発明の目的は、火起こし作業に適した形状や性能を備えた作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る作業機は、モータと,前記モータによって回転駆動されるファンと,前記ファンの回転によって生成される空気流が吐出される排気口とを備える本体部と、前記本体部に装着される電池パックと、前記本体部に着脱可能に装着され、前記排気口から前方に延びる空気通路を形成するノズルと、を有する。そして、前記ノズルは、前記空気通路の少なくとも前方端部を形成する金属製の管部材を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火起こし作業に適した形状や性能を備えた作業機が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】送風機の外観を示す斜視図である。
図2】送風機の外観を示す左側面図である。
図3】送風機の内部構造を示す側面図である。
図4】ノズルの分解斜視図である。
図5】短縮状態のノズルの断面図である。
図6】延長状態のノズルの断面図である。
図7】風量制限部を含む樹脂管の断面図である。
図8A】風量制限部を含む樹脂管の正面図である。
図8B】風量制限部を含む樹脂管の背面図である。
図9A】弁体が開状態のときの樹脂管の断面図である。
図9B】弁体が閉状態のときの樹脂管の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の作業機の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一または実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0010】
本実施形態に係る作業機は、目標物や目標エリアに向けて空気流を吹き出す機能を有しており、火起こし作業に適している。以下の説明では、本実施形態に係る作業機を“送風機1A”と呼ぶ。
【0011】
<送風機の概要>
図1は、送風機1Aの外観を示す斜視図であり、図2は、送風機1Aの外観を示す左側面図である。
【0012】
送風機1Aは、本体部10と、本体部10に連接しているハンドル20と、本体部10に装着された電池パック30と、本体部10に装着されたノズル40と、を有する。以下の説明では、ハンドル20の長手方向を“上下方向”とする。さらに、本体部10に対するハンドル20の延在方向(突出方向)を“下方”とする。
【0013】
また、ノズル40の長手方向を“前後方向”とする。さらに、本体部10に対するノズル40の延在方向(突出方向)を“前方”とする。加えて、上下方向および前後方向の双方と直交する方向を“左右方向”とする。
【0014】
本体部10の外郭は、突き合わされた2つのハウジング部材11,12によって形成されている。本体部10の外郭を形成しているハウジング部材11,12は、同時にハンドル20も形成している。
【0015】
それぞれのハウジング部材11,12は、ナイロンやポリカーボネイト等の合成樹脂によって形成されている。2つのハウジング部材11,12は、互いに突き合わされ、ネジによって固定されている。
【0016】
ハンドル20は、上下方向に延びる把持部21を含んでいる。把持部21の上方には、操作部であるトリガ22が設けられている。トリガ22は、把持部21を掴んでいる作業者の手の指によって後方に引き操作される。一方、把持部21の下方には、電池パック30を着脱可能な電池装着部31が設けられている。
【0017】
送風機1Aは、作業者によってトリガ22が引かれると作動する。具体的には、送風機1Aは、周囲の空気を取り込み、取り込んだ空気をノズル40の先端から吹き出す。よって、作業者がノズル40の先端を目標物や目標エリアに向けた状態でトリガ22を引くと、これらに向けて空気流が吹き出される。
【0018】
<本体部>
図3は、送風機1Aの内部構造を示す側面図である。本体部10は、モータ13,ファン14及び排気口15を備えている。モータ13は、ステータ及びロータを含むブラシレスモータであって、前後方向の延びる回転軸13aを備えている。ファン14は、回転軸13aの端部に設けられた遠心ファンであって、回転軸13aと一体的に回転する。
【0019】
ファン14が回転すると、本体部10の背面に設けられている吸気口16から空気が吸い込まれる。本体部10に吸い込まれた空気は、本体部10内で前方に送られ、排気口15から吐出される。
【0020】
ここで、モータ13は、円筒形のケーシング17の内側に配置されており、回転軸13aは、ケーシング17の軸線上に配置されている。ファン14は、回転軸13aの後端又はその近傍に設けられており、ケーシング17の後方開口部の内側又はその近傍に位置している。この結果、ファン14の回転に伴って本体部10内に吸い込まれた空気は、ケーシング17の内周面に沿って前方に流れる。
【0021】
つまり、モータ13によってファン14が回転駆動されると、本体部10の内部に、後方から前方に向かう空気流Fが生成される。空気流Fは、本体部10の排気口15から吐出され、ノズル40に流入する。ノズル40に流入した空気流Fは、ノズル40の内部を前方に向かって進み、ノズル40の先端からノズル40の外に流出する。
【0022】
なお、吸気口16にはフィルタが取り付けられている。より特定的には、金属製または樹脂製のメッシュフィルタ18が吸気口16に嵌め込まれている。
【0023】
ケーシング17の前方開口部の先には、モータ用基板3が配置されている。モータ用基板3には、モータ13を駆動するためのインバータ回路や、ロータの回転位置を検出するためのセンサ等が設けられている。空気流Fは、モータ用基板3の周囲を通過して排気口15に向かう。この際、空気流Fは、モータ用基板3から熱を奪う。つまり、空気流Fは、モータ用基板3を冷却する冷却風でもある。
【0024】
本体部10の下部は前方に向かって迫り出しており、迫り出し部の先端には照明用LED19が埋設されている。照明用LED19は作業者の操作に従って点灯・消灯する。点灯した照明用LED19は、前方に向けて光を放ち、ノズル40の先端が向けられている目標物や目標エリアを照明する。
【0025】
<ハンドル>
ハンドル20の内部には、トリガスイッチ23が設けられている。トリガスイッチ23は、トリガ22が引き操作されると、トリガ22の引き量(操作量)に応じたトリガ信号を出力する。
【0026】
また、ハンドル20の内部には、マイクロコンピュータが搭載された制御基板4が収容されている。制御基板4に搭載されているマイクロコンピュータは、メモリに格納されているプログラムに従って、センサやスイッチから出力される信号に基づいて送風機1Aを制御する。別の見方をすると、制御基板4は、送風機1Aを統括的に制御するコントローラを構成している。
【0027】
例えば、トリガスイッチ23から出力されたトリガ信号は、制御基板4に搭載されているマイクロコンピュータに入力される。トリガ信号が入力されたマイクロコンピュータは、モータ用基板3に設けられているインバータ回路などを制御してモータ13に電力を供給し、モータ13を作動させる。さらに、マイクロコンピュータは、入力されるトリガ信号の変化(例えば、トリガ信号の電圧変化)に応じてモータ13の回転数や回転速度を変化させる。つまり、マイクロコンピュータは、トリガ22の引き量(操作量)に応じてファン14の回転数や回転速度を変化させる。
【0028】
<電池装着部>
電池装着部31は、把持部21の下部に設けられている。より特定的には、電池装着部31は、ハンドル20の下端に設けられている。電池装着部31に装着される電池パック30は、送風機1Aの電源であり、主にモータ13の電源である。
【0029】
ここで、図3に示されている鎖線A-Aは、電池装着部31に装着された電池パック30の前端の位置を示している。図3に示されているように、電池装着部31に装着された電池パック30の前端は、トリガ22の前端よりも前方であって、かつ、排気口15よりも後方に位置する。
【0030】
<ノズル>
図1図2に示されているノズル40は、本体部10に着脱可能である。より特定的には、ノズル40は、図3に示されている本体部10の排気口15に着脱可能である。
【0031】
図4は、ノズル40の分解斜視図である。ノズル40は、複数の管部材から構成されている。より特定的には、ノズル40は、第1管部材50,第2管部材60及び第3管部材70から構成されている。
【0032】
第1管部材50の後端側は本体部10に接続され、第2管部材60の後端側は第1管部材50の先端側に接続され、第3管部材70の後端側は第2管部材60の先端側に接続される。つまり、ノズル40は、一連に繋がった3本の管部材から構成されている。この結果、図3に示されている本体部10の排気口15にノズル40が装着されると、排気口15と連通し、かつ、排気口15から前方に延びる空気通路41が形成される。
【0033】
より特定的には、第1管部材50によって空気通路41の後方端部を含む上流部が形成され、第2管部材60によって空気通路41の中流部が形成され、第3管部材70によって空気通路41の前方端部を含む下流部が形成される。別の見方をすると、第3管部材70は、空気通路41の少なくとも前方端部を形成する管部材である。
【0034】
さらに、第3管部材70は、第2管部材60に前後方向(長手方向)に相対移動可能に接続される。この結果、ノズル40は、短縮状態と延長状態との間で伸縮可能である。別の見方をすると、空気通路41の長さは可変である。図5は、短縮状態のノズル40の断面図であり、図6は、延長状態のノズル40の断面図である。
【0035】
ここで、第1管部材50は樹脂製であり、第2管部材60及び第3管部材70は金属製である。そこで、以下の説明では、第1管部材50を“樹脂管50”、第2管部材60を“中間金属管60”、第3管部材70を“先端金属管70”と呼ぶ場合がある。
【0036】
<第1管部材(樹脂管)>
図4図6に示されるように、樹脂管50は、合成樹脂によって形成された円形の筒である。樹脂管50の長手方向一端側(後端側)には、2つの係合部51が設けられている。また、樹脂管50の長手方向他端側(先端側)には、他の部分よりも外径の小さい挿入部52が設けられている。
【0037】
それぞれの係合部51は、樹脂管50の外周面上の180度異なる位置に一体成形されている。係合部51は、樹脂管50の外周面から径方向外側に向かって膨出し、かつ、周方向に沿って延びる凸部である。
【0038】
2つの係合部51は、排気口15(図3)に係合可能である。より特定的には、排気口15の周縁には一対の係合溝が設けられている。樹脂管50の後端部を排気口15に挿入した後に樹脂管50を回転させると、それぞれの係合部51が対応する係合溝に進入する。この結果、樹脂管50、或いは樹脂管50を含むノズル40が本体部10(排気口15)に接続される。
【0039】
挿入部52の外周面上の180度異なる位置に、2つの突起53が一体成形されている。それぞれの突起53は、挿入部52の外周面から径方向外側に向かって膨出する凸部であって、前方から後方に向かって上り傾斜のテーパ面を備えている。
【0040】
<第2管部材(中間金属管)>
中間金属管60は、アルミニウム等の金属によって形成された円形の筒である。中間金属管60の内径は、樹脂管50の挿入部52の外径よりも僅かに大きい。また、中間金属管60の外径は、挿入部52を除く樹脂管50の外径と同一または略同一である。
【0041】
中間金属管60の長手方向一端側(後端側)には、2つの係合孔61が設けられている。樹脂管50の挿入部52を中間金属管60の後端に挿入すると、挿入部52に設けられている突起53が係合孔61に嵌合する。このとき、突起53は、テーパ面の作用によって係合孔61に円滑に嵌合される。
【0042】
上記のようにして突起53が係合孔61に嵌合すると、中間金属管60が樹脂管50の先端に相対回転不能に接続される。
【0043】
中間金属管60の外周面上の180度異なる位置に2つのガイド溝62が形成されている。それぞれのガイド溝62は、中間金属管60の径方向内側に向かって窪み、かつ、長手方向に沿って延びる凹部である。ガイド溝62は、プレス加工によって中間金属管60に形成されたものである。
【0044】
<第3管部材(先端金属管)>
先端金属管70は、アルミニウム等の金属によって形成された円形の筒である。先端金属管70の内径は、樹脂管50及び中間金属管60の外径よりも僅かに大きい。
【0045】
先端金属管70の長手方向一端側(後端側)には、2つのスライド係合部71が形成されている。それぞれのスライド係合部71は、先端金属管70の径方向内側に向かって膨出する半球状の凸部である。スライド係合部71は、プレス加工によって先端金属管70に形成されたものである。
【0046】
中間金属管60を先端金属管70に挿入すると、先端金属管70に設けられているスライド係合部71が中間金属管60に設けられているガイド溝62に嵌合する。この結果、先端金属管70が中間金属管60に、相対回転不能かつ相対移動可能に接続される。
【0047】
別の見方をすると、中間金属管60に接続された先端金属管70は、中間金属管60に対して前後にスライド可能である。先端金属管70が前後にスライドするとき、スライド係合部71はガイド溝62の表面を摺動する。したがって、ガイド溝62によって先端金属管70のスライド移動が案内される。
【0048】
図5に示されている短縮状態は、先端金属管70を移動ストロークの一端(後端)までスライドさせた状態である。一方、図6に示されている延長状態は、先端金属管70を移動ストロークの他端(前端)までスライドさせた状態である。
【0049】
図5図6とを対比すると、中間金属管60と先端金属管70とのオーバーラップ長は、短縮状態(図5)のときに最大となり、延長状態(図6)のときに最小となることが理解できる。
【0050】
別の見方をすると、ノズル40の全長は、図5に示されている短縮状態のときに最小となり、図6に示されている延長状態のときに最大となる。なお、以下の説明中でノズル40の“全長”と言う場合、特に断らない限り、延長状態(図6)におけるノズル40の全長を意味する。
【0051】
<ハンドル及びノズルの長さ>
再び図2を参照する。ノズル40の全長は、ハンドル20の全長よりも長い。このため、本体部10に装着されたノズル40の本体部10に対する突出長L1は、ハンドル20の本体部10に対する突出長L2よりも長くなる。別の見方をすると、少なくともノズル40を延長状態にすれば、突出長L1を突出長L2よりも長くすることができる。
【0052】
さらに、図2に示されている突出長L1は、同図に示されている長さL3よりも長い。図2に示されている長さL3は、上下方向における本体部10の上面から電池装着部31の下面までの長さである。別の見方をすると、長さL3は、電池パック30を除く送風機1Aの全高Hに相当する。
【0053】
突出長L1,L2及び全高Hが上記のような大小関係(長短関係)にある送風機1Aでは、ノズル40の先端を火に向けた際、火からハンドル20までの距離が長くなる。この結果、ハンドル20を掴んでいる作業者の手やハンドル20の下端に装着されている電池パック30が火から遠ざかる。なお、電池装着部31に装着された電池パック30の前端は、トリガ22の前端よりも前方であって、かつ、ノズル40が着脱される排気口15よりも後方に位置するため、電池パック30はさらに火から遠ざかる。
【0054】
なお、火に最も近接するノズル40の先端部分は、金属製の第3管部材70によって形成されている。したがって、本実施形態のノズル40は、全体が樹脂によって形成されている他のノズルよりも耐熱性に優れている。
【0055】
また、ノズル40の基端部分は、樹脂製の第1管部材50によって形成されている。したがって、第2管部材60や第3管部材70から第1管部材50への熱伝導が防止または抑制される。
【0056】
<風量制限部>
図5図6に示されるように、ノズル40の内部に風量制限部80が設けられている。より特定的には、風量制限部80は、樹脂管50の内部に設けられている。図7は、風量制限部80を含む樹脂管50の断面図である。図8Aは、風量制限部80を含む樹脂管50の正面図であり、図8Bは、風量制限部80を含む樹脂管50の背面図である。もっとも、図8A図8Bでは、便宜上の理由により、風量制限部80の一部が省略されている。
【0057】
図7に示されるように、風量制限部80は、弁座部81,弁体82及び弾性体83を有する。弁座部81は、フランジ部84,弁体保持部85,支持部86及び通気孔87を含んでおり、樹脂管50に一体成形されている。
【0058】
フランジ部84は、樹脂管50の内周面から径方向内側に向かって突出する環状部である。弁体保持部85は、フランジ部84の中央に配置され、樹脂管50と同軸で前後方向に延びる柱状部である。
【0059】
フランジ部84と弁体保持部85とは、弁体保持部85の外周面から放射状に延びる3本の支持部86によって接続されている。3本の支持部86は、周方向に沿って等間隔で配置されており、隣接する支持部86の間には隙間がある。この結果、フランジ部84と弁体保持部85との間に通気孔87が形成されている。
【0060】
別の見方をすると、空気通路41の上流部を形成している樹脂管50の一端側と他端側とは、通気孔87を介して連通している。したがって、樹脂管50の一端側から流入した空気流Fは、通気孔87を通過して樹脂管50の他端側に流れる。つまり、通気孔87は空気通路41の一部を形成している。
【0061】
弁体82は、通気孔87よりも大径の円板である。弁体82の中央には貫通孔が設けられており、この貫通孔に弁体保持部85が挿入されている。別の見方をすると、弁体82は、当該弁体82に挿入されている弁体保持部85によって保持されている。言い換えれば、弁体保持部85は、弁体82の支持軸である。
【0062】
弁体保持部85は、弁体保持部85の後端面にはネジ88がねじ込まれている。そして、ネジ88の頭部88aと弁体保持部85の外周面に形成されている環状のストッパ部85aとの間に弁体82が配置されている。この結果、弁体82は、弁座部81に対して前後に移動可能である。より特定的には、弁体82は、ネジ88の頭部88aとストッパ部85aとの間で前後に移動可能である。別の見方をすると、弁体82は、ネジ88の頭部88aとストッパ部85aとの間で通気孔87に接離可能である。
【0063】
もっとも、弁座部81と弁体82との間には弾性体(コイルスプリング)83が配置されている。コイルスプリング83は、弁体保持部85の先端に形成されている環状の底壁部85bと、当該底壁部85bと対向する弁体82の前面82aとの間に配置されている。この結果、弁体82は、コイルスプリング83によって後方に付勢され、ネジ88の頭部88aに押し付けられる。
【0064】
図9Aは、弁体82が開状態のときの樹脂管50の断面図である。図9Bは、弁体82が閉状態のときの樹脂管50の断面図である。上記のように、弁体82は、コイルスプリング83によって後方に付勢され、ネジ88の頭部88aに押し付けられる。すると、図9Aに示されるように、弁体82が通気孔87から離れ、通気孔87が開放される。
【0065】
一方、空気通路41を形成している樹脂管50内に設けられている弁体82には、空気通路41を通過する空気流Fがぶつかる。より特定的には、弁体82の背面82bに空気流Fがぶつかる。すると、弁体82に、当該弁体82を前方に押し出す力が作用する。この力は、空気通路41内の空気流Fの量(風量)が増加するに連れて強くなる。
【0066】
そして、空気通路41内の風量が閾値を上回ると、弁体82は、コイルスプリング83の付勢に抗して前方に移動し始め、通気孔87に近接する。すると、空気通路41の流路抵抗が増加する。
【0067】
空気通路41内の風量が上記閾値を上回った後の弁体82の移動量は、風量の増加に応じて増加する。つまり、弁体82は、空気通路41内の風量が増えれば増えるほど、空気通路41の流路抵抗を増加させる。この結果、風量制限部80よりも下流側の風量が一定または略一定に維持される。
【0068】
図9Bに示されるように、空気通路41内の風量が上記閾値よりも大きい第2閾値に達すると、弁体82は、その前面82aがフランジ部84に当接する位置まで前方に移動し、通気孔87を閉塞する。したがって、風量制限部80よりも下流側の風量が第2閾値を超えることはない。
【0069】
別の見方をすると、図3に示されているトリガ22の操作量が所定量を超えた後は、トリガ22の操作量に関わらず、ノズル40から吹き出される空気流Fの量が一定または略一定に維持される。つまり、火起こし作業に適した風量が維持される。
【0070】
また、トリガ22が過剰に操作されたとしても、ノズル40から吹き出される空気流Fの量の所定量を超えることはない。つまり、火起こし作業に適さない程度(例えば、火種を吹き消してしまう程度)にまで風量が増大することはない。
【0071】
なお、樹脂管50の内部に、樹脂管50とは別体の弁座部81を設置してもよい。また、風量制限部80は、樹脂管50以外の管部材の内部に設けてもよい。
【0072】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、ノズル40を構成する管部材の本数は3本に限られない。また、ノズル40は、一部が金属によって形成され、他の一部が樹脂によって形成されている管部材を含んでいてもよい。例えば、上記実施形態における第3管部材70は、先端側が金属によって形成され、基端側が樹脂によって形成されている管部材に置換することができる。また、風量を制限する必要が無い場合(例えば、送風機1A側の制御(モータ13の回転数制御)によって風量を充分制限できる場合)には、風量制限部80を省略し、空気通路41の流路抵抗が風量によって変化しない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1A…送風機、3…モータ用基板、4…制御基板、10…本体部、11,12…ハウジング部材、13…モータ、13a…回転軸、14…ファン、15…排気口、16…吸気口、17…ケーシング、18…メッシュフィルタ、19…照明用LED、20…ハンドル、21…把持部、22…トリガ、23…トリガスイッチ、30…電池パック、31…電池装着部、40…ノズル、41…空気通路、50…第1管部材(樹脂管)、51…係合部、52…挿入部、53…突起、60…第2管部材(中間金属管)、61…係合孔、62…ガイド溝、70…第3管部材(先端金属管)、71…スライド係合部、80…風量制限部、81…弁座部、82…弁体、82a…前面、82b…背面、83…弾性体(コイルスプリング)、84…フランジ部、85…弁体保持部、85a…ストッパ部、85b…底壁部、86…支持部、87…通気孔、88…ネジ、88a…頭部、F…空気流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B