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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108030
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】測定装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/02 20060101AFI20240802BHJP
   G01T 1/02 20060101ALI20240802BHJP
   G21K 5/00 20060101ALI20240802BHJP
   G21H 5/00 20060101ALI20240802BHJP
   G01T 7/00 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
G01B15/02
G01T1/02 A
G21K5/00 S
G21H5/00 M
G01T7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012282
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】王 剛
【テーマコード(参考)】
2F067
2G188
【Fターム(参考)】
2F067AA28
2F067EE17
2F067HH09
2F067JJ08
2G188AA27
2G188BB01
2G188CC00
2G188EE25
(57)【要約】
【課題】シャッタを含む遮断部をより確実に駆動して放射線に対する安全性を向上可能な測定装置を提供する。
【解決手段】測定装置1は、放射線を用いて被測定物の厚さを測定する。測定装置1は、放射線源が放射した放射線を遮断可能な遮断部10と、遮断部10の開閉により放射線の非遮断及び遮断を制御する制御部30a、30bと、放射線源を含む所定範囲の境界への侵入者を検出する検出部60とを備える。制御部30a、30bは、検出部60が所定範囲の境界への侵入者を検出した場合に、遮断部10を閉じて放射線を遮断する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を用いて被測定物の厚さを測定する測定装置であって、
放射線源が放射した前記放射線を遮断可能な遮断部と、
前記遮断部の開閉により前記放射線の非遮断及び遮断を制御する制御部と、
前記放射線源を含む所定範囲の境界への侵入者を検出する検出部と
を備え、
前記制御部は、前記検出部が前記所定範囲の境界への侵入者を検出した場合に、前記遮断部を閉じて前記放射線を遮断する、測定装置。
【請求項2】
前記所定範囲を撮影可能なカメラを更に備え、
前記制御部は、前記検出部が前記所定範囲の境界への侵入者を検出した場合に、前記カメラによる前記所定範囲の撮影を開始する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記所定範囲を撮影可能なカメラを更に備え、
前記制御部は、前記カメラのメモリ使用量が使用量閾値以上になった場合に、前記遮断部を遮断する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記放射線源を移動させるヘッド駆動部を更に備え、
前記検出部は、前記放射線源の移動とともに前記所定範囲が移動するように配置される、請求項1から3までのいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
放射線源と放射線を遮断する遮断部とを備え、前記放射線を用いて被測定物の厚さを測定する測定装置の制御方法であって、
前記放射線源を含む所定範囲の境界への侵入者を検出することと、
前記所定範囲の境界への侵入者が検出された場合に、前記遮断部を閉じて前記放射線を遮断することと
を含む、測定装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物の厚さを含むパラメータを測定する厚さ計において、放射線を遮るシャッタを備えることによって装置の安全性を向上させる厚さ計安全装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-55012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
厚さ計安全装置において、放射線源の近くに人間又は動物等が侵入した場合に、侵入した人間又は動物等が被ばくするおそれがある。
【0005】
本開示は、放射線源の近くに侵入した人間又は動物等の被ばくを抑制できる測定装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、放射線を用いて被測定物の厚さを測定する測定装置であって、放射線源が放射した前記放射線を遮断可能な遮断部と、前記遮断部の開閉により前記放射線の非遮断及び遮断を制御する制御部と、前記放射線源を含む所定範囲の境界への侵入者を検出する検出部とを備える。前記制御部は、前記検出部が前記所定範囲の境界への侵入者を検出した場合に、前記遮断部を閉じて前記放射線を遮断する。測定装置が検出部によって所定範囲の境界への侵入者を検出して遮断部を閉じることによって、放射線が速やかに遮断される。放射線が速やかに遮断される結果、侵入した人間又は動物等の被ばくが抑制される。
【0007】
一実施形態に係る測定装置は、前記所定範囲を撮影可能なカメラを更に備えてよい。前記制御部は、前記検出部が前記所定範囲の境界への侵入者を検出した場合に、前記カメラによる前記所定範囲の撮影を開始してよい。測定装置がカメラを用いて所定範囲を撮影することによって、侵入者の動向が監視される。また、測定装置の異常状態が把握される。
【0008】
一実施形態に係る測定装置は、前記所定範囲を撮影可能なカメラを更に備えてよい。前記制御部は、前記カメラのメモリ使用量が使用量閾値以上になった場合に、前記遮断部を遮断してよい。カメラのメモリ使用量が使用量閾値以上になった場合に、カメラが所定範囲を撮影できなくなることがある。仮にカメラが所定範囲を撮影できなくなる場合、測定装置の安全上の問題が生じることがある。カメラのメモリ使用量が使用量閾値以上になった場合に遮断部を遮断することによって、カメラが所定範囲を撮影できない間に遮断部が閉じなくなって放射線が漏洩する事態が防がれる。
【0009】
一実施形態に係る測定装置は、前記放射線源を移動させるヘッド駆動部を更に備えてよい。前記検出部は、前記放射線源の移動とともに前記所定範囲が移動するように配置されてよい。放射線源の移動とともに所定範囲が移動するように検出部が配置されることによって、作業者が測定装置1の周辺に侵入できる範囲が広くなる。その結果、測定装置の占有スペースが削減される。また作業者が動きやすくなる。
【0010】
幾つかの実施形態に係る測定装置の制御方法は、放射線源と放射線を遮断する遮断部とを備え、前記放射線を用いて被測定物の厚さを測定する測定装置の制御方法であって、前記放射線源を含む所定範囲の境界への侵入者を検出することと、前記所定範囲の境界への侵入者が検出された場合に、前記遮断部を閉じて前記放射線を遮断することとを含む。測定装置が検出部によって所定範囲の境界への侵入者を検出して遮断部を閉じることによって、放射線が速やかに遮断される。放射線が速やかに遮断される結果、侵入した人間又は動物等の被ばくが抑制される。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る測定装置及び制御方法によれば、放射線源の近くに侵入した人間又は動物等の被ばくが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】比較例に係る測定装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
図2図1の第1制御ラインで装置を制御する手順を示すフローチャートである。
図3図1の第2制御ラインで装置を制御する手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の一実施形態に係る測定装置の概略構成例を示すブロック図である。
図5】発光部と受光部とを備える検出部の構成例を示す模式図である。
図6A図4の第1制御ラインで測定装置を制御する手順例を示すフローチャートである。
図6B図6Aで通常電源がオンであると判定された場合の手順例を示すフローチャートである。
図6C図6Bで通常条件を満たさないと判定された場合の手順例を示すフローチャートである。
図6D図6Bで侵入が検出された場合の手順例を示すフローチャートである。
図7A図4の第2制御ラインで測定装置を制御する手順例を示すフローチャートである。
図7B図7Aで通常電源がオンであると判定された場合の手順例を示すフローチャートである。
図7C図7Bで通常条件を満たさないと判定された場合の手順例を示すフローチャートである。
図7D図7Bで侵入が検出された場合の手順例を示すフローチャートである。
図8】検出部の他の構成例を示す模式図である。
図9A】測定ヘッドの移動範囲全体をバーチャルフェンスで囲う構成例を示す図である。
図9B】測定ヘッドの移動とともにバーチャルフェンスで囲った所定範囲が移動する構成例を示す図である。
図10】第1カメラによる撮影を制御する手順を示すフローチャートである。
図11】第2カメラによる撮影を制御する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(比較例)
比較例において、放射線を用いた厚さ計は、放射性物質の漏洩を防ぐために、厚さ計を設置した区域に出入りするドアが開いたことを検出して放射線のシャッタを閉じるように構成される。
【0014】
図1に示されるように、比較例に係る測定装置91は、放射線を用いて被測定物の厚さを測定する。測定装置91は、放射線の透過又は反射時の減衰を利用して被測定物の厚さを測定する。測定装置91は、フェンス92により囲まれている。フェンス92は、放射線による作業者の被ばくを抑制するために測定装置91の周りを囲む柵を含む。フェンス92は、例えば測定装置91のメンテナンス時に作業者がフェンス92内に立ち入ってメンテナンス作業を行えるように開閉可能なドアを有する。
【0015】
フェンス92は、測定装置91の操業時にフェンス92のドアと連動するドアスイッチ921を有する。例えば、ドアスイッチ921は、フェンス92のドアが開くとオンになり、フェンス92のドアが閉じるとオフになる。ドアスイッチ921は、測定装置91と接続されている。ドアスイッチ921は、フェンス92のドアの開閉状態を反映したドアスイッチ921のオンオフ情報を、測定装置91に出力する。ドアスイッチ921は、測定装置91のメンテナンス時に無効化される。
【0016】
測定装置91は、被測定物の厚さを測定するために用いられる放射線源が放射した放射線を遮断可能な遮断部910を有する。遮断部910は、例えばシャッタを有する。遮断部910は、測定装置91による制御により閉じることで放射線源からの放射線を遮断する。遮断部910は、測定装置91による制御により開くことで放射線源からの放射線を遮断せずに通過させる。遮断部910は、後述する第1駆動部940a及び第2駆動部940bによって遮断部910を駆動することができないときのために、例えばシャッタに取り付けられているばねであって、シャッタを機械的に閉じる方向に常時付勢しているばねを有する。
【0017】
測定装置91は、遮断部910の開閉により放射線の非遮断及び遮断を制御する第1制御ラインL91及び第2制御ラインL92を有する。第1制御ラインL91は、第1センサ部920aと、第1制御部930aと、遮断部910を駆動する第1駆動部940aとを有する。第2制御ラインL92は、第2センサ部920bと、第2制御部930bと、遮断部910を駆動する第2駆動部940bとを有する。第2制御ラインL92に含まれる各構成部は、通常電源とは異なる補助電源を有する。
【0018】
第1センサ部920aは、パラメータの状態を検出する。第1センサ部920aは、パラメータの状態の検出結果を第1検出情報として第1制御部930aに出力する。第1センサ部920aは、例えば温度センサ、電圧センサ、及び位置センサなどを含む。第1センサ部920aは、例えば高温、過電圧、ヘッド分離などのパラメータの異常状態を第1検出情報として検出し、第1検出情報を第1制御部930aに出力する。
【0019】
第1制御部930aは、1つ以上のプロセッサを含む。第1制御部930aは、測定装置91を構成する各構成部と通信可能に接続され、測定装置91全体の動作を制御する。
【0020】
第1制御部930aは、フェンス92のドアの開閉状態を反映したドアスイッチ921のオンオフ情報を、フェンス92のドアスイッチ921から取得する。第1制御部930aは、第1センサ部920aから出力された第1検出情報を第1センサ部920aから取得する。第1制御部930aは、第2制御部930bと通信可能に接続されている。第1制御部930aは、第2制御部930bの動作状態、第2制御部930bの演算により導き出された判定情報及び制御情報、並びに測定装置91の動作に必要とされる他の任意の情報を第2制御部930bから取得する。第1制御部930aは、第1駆動部940a及び第2駆動部940bを制御する。
【0021】
第1駆動部940aは、第1制御部930a及び第2制御部930bと接続されている第1リレー941aと、第1リレー941aを介して第1制御部930aから出力される制御信号に基づき遮断部910を駆動する第1モータ942aとを有する。
【0022】
第1リレー941aは、第1制御部930a又は第2制御部930bからの制御信号に基づいてオン及びオフのいずれか一方となり、第1制御ラインL91の接続状態及び遮断状態のいずれか一方を実現する。第1リレー941aは、通常電源が失われると自動的にオフになり第1制御ラインL91の遮断状態を実現する。第1モータ942aは、第1リレー941aを介して第1制御部930aから出力される制御信号に基づき遮断部910の開閉動作を実行する。
【0023】
第1制御部930aは、ドアスイッチ921及び第1センサ部920aを監視する。第1制御部930aは、例えばフェンス92のドアに異常があったり、第1センサ部920aからの第1検出情報に異常があったりすると第1モータ942aにより遮断部910を駆動して閉じる。
【0024】
第2センサ部920bは、パラメータの状態を検出する。第2センサ部920bは、パラメータの状態の検出結果を第2検出情報として第2制御部930bに出力する。第2センサ部920bは、例えば温度センサ、電圧センサ、及び位置センサなどを含む。第2センサ部920bは、例えば高温、過電圧、ヘッド分離などのパラメータの異常状態を第2検出情報として検出し、当該第2検出情報を第2制御部930bに出力する。
【0025】
第2制御部30bは、1つ以上のプロセッサを含む。第2制御部930bは、測定装置91を構成する各構成部と通信可能に接続され、測定装置91全体の動作を制御する。
【0026】
第2制御部930bは、フェンス92のドアの開閉状態を反映したドアスイッチ921のオンオフ情報を、フェンス92のドアスイッチ921から取得する。第2制御部930bは、第2センサ部920bから出力された第2検出情報を第2センサ部920bから取得する。第2制御部930bは、第1制御部930aと通信可能に接続されている。第2制御部930bは、第1制御部930aの動作状態、第1制御部930aの演算により導き出された判定情報及び制御情報、並びに測定装置91の動作に必要とされる他の任意の情報を第1制御部930aから取得する。第2制御部930bは、第1駆動部940a及び第2駆動部940bを制御する。
【0027】
第2駆動部940bは、第1制御部930a及び第2制御部930bと接続されている第2リレー941bと、第2リレー941bを介して第2制御部930bから出力される制御信号に基づき遮断部910を駆動する第2モータ942bとを有する。
【0028】
第2リレー941bは、第1制御部930a又は第2制御部930bからの制御信号に基づいてオン及びオフのいずれか一方となり、第2制御ラインL92の接続状態及び遮断状態のいずれか一方を実現する。第2リレー941bは、通常電源が失われると自動的にオフになり第2制御ラインL92の遮断状態を実現する。第2モータ942bは、第2リレー941bを介して第2制御部930bから出力される制御信号に基づき遮断部910の開閉動作を実行する。
【0029】
第2制御部930bは、ドアスイッチ921及び第2センサ部920bを監視する。第2制御部930bは、例えばフェンス92のドアに異常があったり、第2センサ部920bからの第2検出情報に異常があったりすると第2モータ942bにより遮断部910を駆動して閉じる。
【0030】
第1制御部930aと第2制御部930bとは、互いに通信可能に接続されている。第1制御部930aと第2制御部930bとは、定期的又は非定期的に互いを監視する。第1制御部930a及び第2制御部930bの各々は、第1リレー941a及び第2リレー941bの両方に制御信号を出力することができる。
【0031】
測定装置91は、第1制御部930aと接続されている第1線量計950aをさらに有する。第1線量計950aは、放射線量を検知するためのセンサを含む。第1線量計950aは、検知した第1放射線量を測定値として第1制御部930aに出力する。
【0032】
第1制御部930aは、遮断部910の開閉状態それぞれに応じた第1閾値を設定する。第1制御部930aは、第1閾値以上となる第1放射線量を測定値として第1線量計950aから取得すると、異常であると判定し、遮断部910を閉じる。
【0033】
測定装置91は、第2制御部930bと接続されている第2線量計950bをさらに有する。第2線量計950bは、放射線量を検知するためのセンサを含む。第2線量計950bは、検知した第2放射線量を測定値として第2制御部930bに出力する。第2線量計950bは、通常電源とは異なる補助電源を有する。
【0034】
第2制御部930bは、遮断部910の開閉状態それぞれに応じた第2閾値を設定する。第2制御部930bは、第2閾値以上となる第2放射線量を測定値として第2線量計950bから取得すると、異常であると判定し、遮断部910を閉じる。
【0035】
比較例に係る測定装置91は、図2のフローチャートに示される手順例を実行することによって、図1の第1制御ラインL91で測定装置91を制御する。
【0036】
ステップS1000に示すとおり、通常電源が供給されてオンになっているか否かによって、第1制御ラインL91における測定装置1の制御方法のその後の各ステップが異なる。通常電源がオンになっている場合、第1制御ラインL91の第1制御部930aは、ステップS1002以降の処理を実行する。
【0037】
通常電源が失われてオフになっている場合、ステップS1001に示すとおり、第1制御ラインL91の第1リレー941aはオフになる。より具体的には、第1リレー941aがオンになっている状態で通常電源がオフになると第1リレー941aはオン状態からオフ状態に移行する。第1リレー941aがオフになっている状態で通常電源がオフになると第1リレー941aはオフ状態を維持する。以上により、第1制御ラインL91が第1リレー941aにおいて遮断状態となる。
【0038】
ステップS1002では、第1制御部930aは、ステップS1000において通常電源がオンになったことに伴い動作可能となる。このとき、第1制御部930aは、測定装置91に関する状態監視を開始する。
【0039】
ステップS1003では、第1制御部930aは、測定装置91がメンテナスモードに設定されているか否かを判定する。第1制御部930aは、測定装置91がメンテナンスモードに設定されていると判定するとステップS1006の処理を実行する。第1制御部930aは、測定装置91がメンテナンスモードではなく操業モードに設定されていると判定するとステップS1004の処理を実行する。
【0040】
ステップS1004では、第1制御部930aは、ステップS1003において測定装置91が操業モードに設定されていると判定すると、フェンス92のドアが閉じているか否かを判定する。すなわち、第1制御部930aは、ドアスイッチ921がオフになっているか否かを判定する。第1制御部930aは、フェンス92のドアが閉じていると判定すると、ステップS1006の処理を実行する。第1制御部930aは、フェンス92のドアが開いていると判定するとステップS1005の処理を実行する。
【0041】
ステップS1005では、第1制御部930aは、ステップS1004においてフェンス92のドアが開いていると判定すると、第1駆動部940aの第1モータ942aを用いて遮断部910を閉じる制御信号を第1リレー941aに出力する。これにより、第1制御部930aは、遮断部910を閉じるように第1リレー941aを介して第1モータ942aを制御する。
【0042】
ステップS1006では、第1制御部930aは、ステップS1004においてフェンス92のドアが閉じていると判定すると、第1センサ部920aからの第1検出情報が正常であるか否かを判定する。第1制御部930aは、第1検出情報が正常であると判定するとステップS1007の処理を実行する。第1制御部930aは、第1検出情報が異常であると判定するとステップS1005の処理を実行する。
【0043】
ステップS1007では、第1制御部930aは、ステップS1006において第1検出情報が正常であると判定すると、第1線量計950aから測定値として取得した第1放射線量が第1閾値未満であるか否かを判定する。第1制御部930aは、第1放射線量が第1閾値未満であると判定するとステップS1008の処理を実行する。第1制御部930aは、第1放射線量が第1閾値以上であると判定するとステップS1005の処理を実行する。
【0044】
ステップS1008では、第1制御部930aは、ステップS1007において第1放射線量が第1閾値未満であると判定すると、通常条件を満たすか否かを判定する。第1制御部930aは、通常条件を満たすと判定するとステップS1010の処理を実行する。第1制御部930aは、通常条件を満たさないと判定すると、ステップS1009の処理を実行する。
【0045】
ステップS1009では、第1制御部930aは、ステップS1008において通常条件を満たさないと判定すると、第1駆動部940aの第1モータ942aを用いて遮断部910を閉じ、かつ第2駆動部940bの第2リレー941bをオフにする制御信号を第1リレー941a及び第2リレー941bに出力する。これにより、第1制御部930aは、遮断部910を閉じるように第1リレー941aを介して第1モータ942aを制御し、かつオフになるように第2リレー941bを制御する。
【0046】
ステップS1010では、第1制御部930aは、ステップS1008において通常条件を満たすと判定すると、遮断部910の通常の開閉制御を実行させる第1制御情報に基づく制御信号を第1リレー941aに出力する。すなわち、第1制御部930aは、遮断部910の通常の開閉制御を第1モータ942aにより実行する。
【0047】
ステップS1011では、第1制御部930aは、測定装置91に関する状態監視を終了する。その後、第1制御部930aは、ステップS1002以降の処理を再度繰り返す。
【0048】
比較例に係る測定装置91は、図3のフローチャートに示される手順例を実行することによって、図1の第2制御ラインL92で測定装置91を制御する。
【0049】
ステップS1100では、第2制御ラインL92の第2制御部930bは、通常電源又は補助電源により動作可能となる。このとき、第2制御部930bは、測定装置91に関する状態監視を開始する。
【0050】
ステップS1101では、第2制御部930bは、通常電源が供給されてオンになっているか否かを判定する。第2制御部930bは、通常電源がオンになっていると判定するとステップS1103の処理を実行する。第2制御部930bは、通常電源がオフになっていると判定すると、ステップS1102の処理を実行する。
【0051】
ステップS1102では、第2制御部930bは、ステップS1101において通常電源がオフになっていると判定すると、第2駆動部940bの第2モータ942bを用いて遮断部910を閉じる制御信号を第2リレー941bに出力する。これにより、第2制御部930bは、遮断部910を閉じるように第2リレー941bを介して第2モータ942bを制御する。第2制御ラインL92による以上の一連の処理は、各構成部の補助電源を用いて実行される。
【0052】
ステップS1103では、第2制御部930bは、測定装置91がメンテナスモードに設定されているか否かを判定する。第2制御部930bは、測定装置91がメンテナンスモードに設定されていると判定するとステップS1105の処理を実行する。第2制御部930bは、測定装置91がメンテナンスモードではなく操業モードに設定されていると判定するとステップS1104の処理を実行する。
【0053】
ステップS1104では、第2制御部930bは、ステップS1103において測定装置91が操業モードに設定されていると判定すると、フェンス92のドアが閉じているか否かを判定する。すなわち、第2制御部930bは、ドアスイッチ921がオフになっているか否かを判定する。第2制御部930bは、フェンス92のドアが閉じていると判定すると、ステップS1105の処理を実行する。第2制御部930bは、フェンス92のドアが開いていると判定するとステップS1102の処理を実行する。このとき、ステップS1102に関する第2制御ラインL92による一連の処理は、各構成部の補助電源を用いて実行されてもよいし、通常電源を用いて実行されてもよい。
【0054】
ステップS1105では、第2制御部930bは、ステップS1104においてフェンス92のドアが閉じていると判定すると、第2センサ部920bからの第2検出情報が正常であるか否かを判定する。第2制御部930bは、第2検出情報が正常であると判定するとステップS1106の処理を実行する。第2制御部930bは、第2検出情報が異常であると判定するとステップS1102の処理を実行する。このとき、ステップS1102に関する第2制御ラインL92による一連の処理は、各構成部の補助電源を用いて実行されてもよいし、通常電源を用いて実行されてもよい。
【0055】
ステップS1106では、第2制御部930bは、ステップS1105において第2検出情報が正常であると判定すると、第2線量計950bから測定値として取得した第2放射線量が第2閾値未満であるか否かを判定する。第2制御部930bは、第2放射線量が第2閾値未満であると判定するとステップS1107の処理を実行する。第2制御部930bは、第2放射線量が第2閾値以上であると判定するとステップS1102の処理を実行する。このとき、ステップS1102に関する第2制御ラインL92による一連の処理は、各構成部の補助電源を用いて実行されてもよいし、通常電源を用いて実行されてもよい。
【0056】
ステップS1107では、第2制御部930bは、ステップS1106において第2放射線量が第2閾値未満であると判定すると、通常条件を満たすか否かを判定する。第2制御部930bは、通常条件を満たすと判定するとステップS1109の処理を実行する。第2制御部930bは、通常条件を満たさないと判定すると、ステップS1108の処理を実行する。
【0057】
ステップS1108では、第2制御部930bは、ステップS1107において通常条件を満たさないと判定すると、第2駆動部940bの第2モータ942bを用いて遮断部910を閉じ、かつ第1駆動部940aの第1リレー941aをオフにする制御信号を第1リレー941a及び第2リレー941bに出力する。これにより、第2制御部930bは、遮断部910を閉じるように第2リレー941bを介して第2モータ942bを制御し、かつオフになるように第1リレー941aを制御する。
【0058】
ステップS1109では、第2制御部930bは、ステップS1107において通常条件を満たすと判定すると、遮断部910の通常の開閉制御を実行させる第1制御情報に基づく制御信号を第2リレー941bに出力する。すなわち、第2制御部930bは、遮断部910の通常の開閉制御を第2モータ942bにより実行する。
【0059】
ステップS1110では、第2制御部930bは、測定装置91に関する状態監視を終了する。その後、第2制御部930bは、ステップS1100以降の処理を再度繰り返す。
【0060】
以上述べてきた比較例に係る測定装置91は、シャッタを含む遮断部910を確実に駆動して放射線に対する安全性を向上可能である。しかし、人間又は動物等がフェンス92のドアを経由せずフェンス92に囲まれた安全制限区域に侵入した場合、ドアスイッチ921が作動しない。この場合、人間又は動物等が安全制限区域に侵入しても、遮断部910が閉じずに、侵入した人間又は動物等が被ばくする可能性がある。
【0061】
本開示に係る測定装置1(図4等参照)は、ドアを経由せずに安全制限区域に侵入した人間又は動物等の被ばくを抑制できる。以下、図面を参照して本開示の一実施形態に係る測定装置1の構成例が説明される。
【0062】
(本開示に係る実施形態)
図4に示されるように、本開示の一実施形態に係る測定装置1は、検出部60a、60b、60c及び60dによって構成されるバーチャルフェンス2によって囲まれている所定範囲の中に設置される。
【0063】
測定装置1は、放射線を用いて被測定物の厚さを測定する。測定装置1は、放射線の透過又は反射時の減衰を利用して被測定物の厚さを測定する厚さ計を含む。本明細書において、「被測定物」は、例えば、紙、並びに数ミリ以下の比較的薄いフィルム及びプラスチックシートなどを含む。
【0064】
バーチャルフェンス2によって囲まれている所定範囲は、測定装置1が被測定物の厚さを測定するために放射線を放射するときに、作業者が被ばくする可能性のある範囲に対応する。測定装置1は、バーチャルフェンス2の内側に作業者を含む人間、又は、動物等が侵入したときに放射線を放射しないようにすることによって、侵入した人間又は動物等の被ばくを抑制する。
【0065】
検出部60aは、発光部61aと受光部62aとを備える。検出部60bは、発光部61bと受光部62bとを備える。検出部60cは、発光部61cと受光部62cとを備える。検出部60dは、発光部61dと受光部62dとを備える。検出部60a、60b、60c及び60dは、検出部60とも総称される。発光部61a、61b、61c及び61dは、発光部61とも総称される。受光部62a、62b、62c及び62dは、受光部62とも総称される。検出部60は、発光部61と受光部62とを結ぶ線が所定範囲の境界となるように配置される。言い換えれば、発光部61と受光部62とを結ぶ、所定範囲の境界を構成する線は、バーチャルフェンス2に対応する。
【0066】
測定装置1が検出部60として備える発光部61と受光部62との組み合わせの数は、図4に例示されるように4組に限られない。発光部61と受光部62とを結ぶ線によって所定範囲を囲むことができれば、発光部61と受光部62との組み合わせの数は、3組であってもよいし、5組以上であってもよい。
【0067】
図5に示されるように、検出部60は、発光部61と受光部62とを備えてよい。発光部61は、受光部62に向けて検出光63を射出する。発光部61と受光部62との間に検出対象3が存在する場合、検出光63は、検出対象3に遮られて受光部62に入射しない。発光部61と受光部62との間に検出対象3が存在しない場合、検出光63は、受光部62に入射する。したがって、検出部60は、受光部62で検出光63を検出した場合に発光部61と受光部62との間に検出対象3が存在しないと判定し、受光部62で検出光63を検出しない場合に発光部61と受光部62との間に検出対象3が存在すると判定する。つまり、検出部60は、遮光式のセンサとして動作し、バーチャルフェンス2に侵入した検出対象3の存在を検出できる。侵入した検出対象3は、侵入者とも称される。
【0068】
検出光63は、例えば近赤外光又は可視光等を含んでよい。発光部61は、例えばLD(Laser Diode)又はLED(Light Emitting Diode)等を含んで構成されてよい。受光部62は、フォトダイオード又はフォトトランジスタ等の種々の受光素子を含んで構成されてよい。
【0069】
測定装置1は、被測定物の厚さを測定するために用いられる放射線源が放射した放射線を遮断可能な遮断部10を有する。遮断部10は、例えばシャッタを有する。遮断部10は、測定装置1による制御により閉じることで放射線源からの放射線を遮断する。遮断部10は、測定装置1による制御により開くことで放射線源からの放射線を遮断せずに通過させる。遮断部10は、後述する第1駆動部40a及び第2駆動部40bによって遮断部10を駆動することができないときのために、例えばシャッタに取り付けられているばねであって、シャッタを機械的に閉じる方向に常時付勢しているばねを有する。
【0070】
測定装置1は、遮断部10の開閉により放射線の非遮断及び遮断を制御する第1制御ラインL1及び第2制御ラインL2を有する。第1制御ラインL1は、第1センサ部20aと、第1制御部30aと、遮断部10を駆動する第1駆動部40aと、を有する。第2制御ラインL2は、第2センサ部20bと、第2制御部30bと、遮断部10を駆動する第2駆動部40bと、を有する。第2制御ラインL2に含まれる各構成部は、通常電源とは異なる補助電源を有する。
【0071】
本明細書において、「通常電源」は、例えば測定装置1の動作を可能にする外部電源を含む。「補助電源」は、例えば、使い切りタイプの一次電池、繰り返し充電して使用できる二次電池、及びUPS(Uninterruptible Power Supply)などを含む。第2制御ラインL2に含まれる各構成部は、通常電源が失われてオフになった場合であっても補助電源により動作することができる。補助電源は、通常電源がオンになって供給された場合に充電可能である。
【0072】
第1センサ部20aは、パラメータの状態を検出する。第1センサ部20aは、パラメータの状態の検出結果を第1検出情報として第1制御部30aに出力する。本明細書において、「パラメータ」は、例えば測定装置1が配置されている環境、すなわち所定範囲内の温度、測定装置1の内部温度、測定装置1内で生じる電圧、並びに放射線をそれぞれ放射及び検出する一対のヘッド間の相対位置などを含む。第1センサ部20aは、例えば温度センサ、電圧センサ、及び位置センサなどを含む。第1センサ部20aは、例えば高温、過電圧、ヘッド分離などのパラメータの異常状態を第1検出情報として検出し、当該第1検出情報を第1制御部30aに出力する。
【0073】
第1制御部30aは、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。第1制御部30aは、測定装置1を構成する各構成部と通信可能に接続され、測定装置1全体の動作を制御する。
【0074】
第1制御部30aは、バーチャルフェンス2への検出対象3の侵入の検出結果を、検出部60から取得する。第1制御部30aは、第1センサ部20aから出力された第1検出情報を第1センサ部20aから取得する。第1制御部30aは、第2制御部30bと通信可能に接続されている。第1制御部30aは、第2制御部30bの動作状態、第2制御部30bの演算により導き出された判定情報及び制御情報、並びに測定装置1の動作に必要とされる他の任意の情報を第2制御部30bから取得する。第1制御部30aは、第1駆動部40a及び第2駆動部40bを制御する。
【0075】
第1駆動部40aは、第1制御部30a及び第2制御部30bと接続されている第1リレー41aと、第1リレー41aを介して第1制御部30aから出力される制御信号に基づき遮断部10を駆動する第1モータ42aとを有する。
【0076】
第1リレー41aは、第1制御部30a又は第2制御部30bからの制御信号に基づいてオン及びオフのいずれか一方となり、第1制御ラインL1の接続状態及び遮断状態のいずれか一方を実現する。第1リレー41aは、通常電源が失われると自動的にオフになり第1制御ラインL1の遮断状態を実現する。第1モータ42aは、第1リレー41aを介して第1制御部30aから出力される制御信号に基づき遮断部10の開閉動作を実行する。
【0077】
第1制御部30aは、検出部60及び第1センサ部20aを監視する。第1制御部30aは、例えばバーチャルフェンス2に検出対象3が侵入したり、検出部60に異常があったり、第1センサ部20aからの第1検出情報に異常があったりすると第1モータ42aにより遮断部10を駆動して閉じる。
【0078】
第2センサ部20bは、パラメータの状態を検出する。第2センサ部20bは、パラメータの状態の検出結果を第2検出情報として第2制御部30bに出力する。第2センサ部20bは、例えば温度センサ、電圧センサ、及び位置センサなどを含む。第2センサ部20bは、例えば高温、過電圧、ヘッド分離などのパラメータの異常状態を第2検出情報として検出し、第2検出情報を第2制御部30bに出力する。
【0079】
第2制御部30bは、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。第2制御部30bは、測定装置1を構成する各構成部と通信可能に接続され、測定装置1全体の動作を制御する。
【0080】
第2制御部30bは、バーチャルフェンス2への検出対象3の侵入の検出結果を、検出部60から取得する。第2制御部30bは、第2センサ部20bから出力された第2検出情報を第2センサ部20bから取得する。第2制御部30bは、第1制御部30aと通信可能に接続されている。第2制御部30bは、第1制御部30aの動作状態、第1制御部30aの演算により導き出された判定情報及び制御情報、並びに測定装置1の動作に必要とされる他の任意の情報を第1制御部30aから取得する。第2制御部30bは、第1駆動部40a及び第2駆動部40bを制御する。
【0081】
第2駆動部40bは、第1制御部30a及び第2制御部30bと接続されている第2リレー41bと、第2リレー41bを介して第2制御部30bから出力される制御信号に基づき遮断部10を駆動する第2モータ42bと、を有する。
【0082】
第2リレー41bは、第1制御部30a又は第2制御部30bからの制御信号に基づいてオン及びオフのいずれか一方となり、第2制御ラインL2の接続状態及び遮断状態のいずれか一方を実現する。第2リレー41bは、通常電源が失われると自動的にオフになり第2制御ラインL2の遮断状態を実現する。第2モータ42bは、第2リレー41bを介して第2制御部30bから出力される制御信号に基づき遮断部10の開閉動作を実行する。
【0083】
第2制御部30bは、検出部60及び第2センサ部20bを監視する。第2制御部30bは、例えばバーチャルフェンス2に検出対象3が侵入したり、検出部60に異常があったり、第2センサ部20bからの第2検出情報に異常があったりすると第2モータ42bにより遮断部10を駆動して閉じる。
【0084】
第1制御部30aと第2制御部30bとは、互いに通信可能に接続されている。第1制御部30aと第2制御部30bとは、定期的又は非定期的に互いを監視する。第1制御部30a及び第2制御部30bの各々は、第1リレー41a及び第2リレー41bの両方に制御信号を出力することができる。
【0085】
測定装置1は、第1制御部30aと接続されている第1線量計50aをさらに有する。第1線量計50aは、放射線量を検知するためのセンサを含む。第1線量計50aは、検知した第1放射線量を測定値として第1制御部30aに出力する。
【0086】
第1制御部30aは、遮断部10の開閉状態それぞれに応じた第1線量閾値を設定する。第1制御部30aは、第1線量閾値以上となる第1放射線量を測定値として第1線量計50aから取得すると、異常であると判定し、遮断部10を閉じる。
【0087】
測定装置1は、第2制御部30bと接続されている第2線量計50bをさらに有する。第2線量計50bは、放射線量を検知するためのセンサを含む。第2線量計50bは、検知した第2放射線量を測定値として第2制御部30bに出力する。第2線量計50bは、通常電源とは異なる補助電源を有する。
【0088】
第2制御部30bは、遮断部10の開閉状態それぞれに応じた第2線量閾値を設定する。第2制御部30bは、第2線量閾値以上となる第2放射線量を測定値として第2線量計50bから取得すると、異常であると判定し、遮断部10を閉じる。
【0089】
測定装置1は、第1制御部30aと接続されている第1カメラ70aと、第2制御部30bと接続されている第2カメラ70bとをさらに有する。第1カメラ70a及び第2カメラ70bは、バーチャルフェンス2で囲まれた所定範囲を撮影可能に構成される。第1カメラ70aは、1台のカメラで所定範囲の全体を撮影するように構成されてもよいし、複数のカメラのそれぞれで所定範囲の一部を撮影することによって、所定範囲の全体を撮影するように構成されてもよい。第2カメラ70bは、1台のカメラで所定範囲の全体を撮影するように構成されてもよいし、複数のカメラのそれぞれで所定範囲の一部を撮影することによって、所定範囲の全体を撮影するように構成されてもよい。
【0090】
測定装置1は、図4の第1制御ラインL1で測定装置1を制御するために、図6A図6B図6C及び図6Dのフローチャートの手順例を実行してよい。
【0091】
第1制御部30aは、測定装置1に関する状態監視を開始する(図6AのステップS1)。第1制御部30aは、通常電源がオンであるか判定する(ステップS2)。第1制御部30aは、通常電源がオンである場合(ステップS2:Yes)、図6BのステップS3の手順に進む。第1制御部30aは、通常電源がオンではない場合(ステップS2:No)、つまり通常電源がオフである場合、図6Aのフローチャートの手順の実行を終了する。
【0092】
通常電源が失われてオフになっている場合、第1制御ラインL1の第1リレー41aはオフになる。具体的に、第1リレー41aがオンになっている状態で通常電源がオフになると第1リレー41aはオン状態からオフ状態に移行する。第1リレー41aがオフになっている状態で通常電源がオフになると第1リレー41aはオフ状態を維持する。以上により、第1制御ラインL1が第1リレー41aにおいて遮断状態となる。
【0093】
第1制御部30aは、図6AのステップS2で通常電源がオンであると判定した場合、測定装置1がメンテナスモードに設定されているかを判定する(図6BのステップS3)。第1制御部30aは、測定装置1がメンテナンスモードに設定されていない場合(ステップS3:No)、つまり測定装置1が操業モードに設定されている場合、検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出されたか判定する(ステップS4)。第1制御部30aは、検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出された場合(ステップS4:Yes)、図6DのステップS21の手順に進む。
【0094】
第1制御部30aは、測定装置1がメンテナンスモードに設定されている場合(ステップS3:Yes)又は検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出されていない場合(ステップS4:No)、第1センサ部20aからの第1検出情報が正常であるかを判定する(ステップS5)。第1制御部30aは、第1検出情報が正常でない場合(ステップS5:No)、図6DのステップS21の手順に進む。
【0095】
第1制御部30aは、第1検出情報が正常である場合(ステップS5:Yes)、第1線量計50aから測定値として取得した第1放射線量が第1閾値未満であるかを判定する(ステップS6)。第1制御部30aは、第1放射線量が第1閾値未満でない場合(ステップS6:No)、つまり第1放射線量が第1閾値以上である場合、図6DのステップS21の手順に進む。
【0096】
第1制御部30aは、第1放射線量が第1閾値未満である場合(ステップS6:Yes)、通常条件が満たされるかを判定する(ステップS7)。第1制御部30aは、通常条件が満たされない場合(ステップS7:No)、図6CのステップS11の手順に進む。
【0097】
第1制御部30aは、通常条件が満たされる場合(ステップS7:Yes)、第1駆動部40aの第1モータ42aを用いて遮断部10の開閉制御を実行する(ステップS8)。具体的に、第1制御部30aは、測定装置1で測定を実行するときに遮断部10を開き、測定装置1で測定を実行しないときに遮断部10を閉じるように、第1リレー41aに制御信号を出力する。
【0098】
第1制御部30aは、例えば第2制御部30bが故障しており、第1制御情報を含む任意の制御情報が第2制御部30bから受信されないと通常条件を満たさないと判定する。第1制御部30aは、第1制御情報とは異なる第2制御情報を第2制御部30bから受信すると通常条件を満たさないと判定する。本明細書において、「第2制御情報」は、例えば第1検出情報の異常により第1モータ42aを用いて遮断部10を閉じる制御情報、又は第2検出情報の異常により第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる制御情報を含む。ステップS107において、第2制御情報は、第2センサ部20bからの第2検出情報の異常により第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる制御情報を含む。
【0099】
第1制御部30aは、ステップS8の手順で遮断部10の開閉を制御した後、測定装置1に関する状態監視を終了する(ステップS9)。その後、第1制御部30aは、図6AのステップS1に戻り、処理を繰り返す。
【0100】
第1制御部30aは、図6BのステップS7で通常条件が満たされないと判定した場合(ステップS7:No)、第1カメラ70aによる所定範囲の撮影を開始する(図6CのステップS11)。第1制御部30aは、第1モータ42aを用いて遮断部10を閉じる(ステップS12)。第1制御部30aは、第2リレー41bをオフにする(ステップS13)。
【0101】
第1制御部30aは、第1カメラ70aによる撮影時間が指定時間より長いか判定する(ステップS14)。第1制御部30aは、撮影時間が指定時間より長くない場合(ステップS14:No)、つまり撮影時間が指定時間以下である場合、撮影時間が指定時間より長くなるまで第1カメラ70aによる撮影を終了せずにステップS14の判定手順を繰り返す。第1制御部30aは、撮影時間が指定時間より長くなった場合(ステップS14:Yes)、第1カメラ70aによる撮影を終了する(ステップS15)。第1制御部30aは、ステップS15の手順の実行後、図6Cのフローチャートの手順の実行を終了する。
【0102】
第1制御部30aは、図6BのステップS4で検出部60によって侵入が検出されたと判定した場合、図6BのステップS5で第1検出情報が異常であると判定した場合、又は、図6BのステップS6で第1放射線量が第1線量閾値以上であると判定した場合、第1カメラ70aによる所定範囲の撮影を開始する(図6DのステップS21)。第1制御部30aは、第1モータ42aを用いて遮断部10を閉じる(ステップS22)。
【0103】
第1制御部30aは、第1カメラ70aによる撮影時間が指定時間より長いか判定する(ステップS23)。第1制御部30aは、撮影時間が指定時間より長くない場合(ステップS23:No)、つまり撮影時間が指定時間以下である場合、撮影時間が指定時間より長くなるまで第1カメラ70aによる撮影を終了せずにステップS23の判定手順を繰り返す。第1制御部30aは、撮影時間が指定時間より長くなった場合(ステップS23:Yes)、第1カメラ70aによる撮影を終了する(ステップS24)。第1制御部30aは、ステップS24の手順の実行後、図6Dのフローチャートの手順の実行を終了する。第1制御部30aは、図6Dのフローチャートにおいて、図6Cのフローチャートと異なり、第2リレー41bをオフにしない。
【0104】
測定装置1は、図4の第2制御ラインL2で測定装置1を制御するために、図7A図7B図7C及び図7Dのフローチャートの手順例を実行してよい。
【0105】
第2制御部30bは、測定装置1に関する状態監視を開始する(図7AのステップS31)。第2制御部30bは、通常電源がオンであるか判定する(ステップS32)。第2制御部30bは、通常電源がオンである場合(ステップS32:Yes)、図7BのステップS41の手順に進む。第2制御部30bは、通常電源がオンではない場合(ステップS32:No)、つまり通常電源がオフである場合、第2制御ラインL2の第2リレー41bをオンにする(ステップS33)。
【0106】
第2制御部30bは、第2カメラ70bによる所定範囲の撮影を開始する(ステップS34)。第2制御部30bは、第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる(ステップS35)。
【0107】
第2制御部30bは、第2カメラ70bによる撮影時間が指定時間より長いか判定する(ステップS36)。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くない場合(ステップS36:No)、つまり撮影時間が指定時間以下である場合、撮影時間が指定時間より長くなるまで第2カメラ70bによる撮影を終了せずにステップS36の判定手順を繰り返す。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くなった場合(ステップS36:Yes)、第2カメラ70bによる撮影を終了する(ステップS37)。第2制御部30bは、ステップS37の手順の実行後、図7Aのフローチャートの手順の実行を終了する。
【0108】
第2制御部30bは、図7AのステップS32で通常電源がオンであると判定した場合、測定装置1がメンテナスモードに設定されているかを判定する(図7BのステップS41)。第2制御部30bは、測定装置1がメンテナンスモードに設定されていない場合(ステップS41:No)、つまり測定装置1が操業モードに設定されている場合、検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出されたか判定する(ステップS42)。第2制御部30bは、検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出された場合(ステップS42:Yes)、図7DのステップS61の手順に進む。
【0109】
第2制御部30bは、測定装置1がメンテナンスモードに設定されている場合(ステップS41:Yes)又は検出部60によってバーチャルフェンス2への侵入が検出されていない場合(ステップS42:No)、第2センサ部20bからの第2検出情報が正常であるかを判定する(ステップS43)。第2制御部30bは、第2検出情報が正常でない場合(ステップS43:No)、図7DのステップS61の手順に進む。
【0110】
第2制御部30bは、第2検出情報が正常である場合(ステップS43:Yes)、第2線量計50bから測定値として取得した第2放射線量が第2閾値未満であるかを判定する(ステップS44)。第2制御部30bは、第2放射線量が第2閾値未満でない場合(ステップS44:No)、つまり第2放射線量が第2閾値以上である場合、図7DのステップS61の手順に進む。
【0111】
第2制御部30bは、第2放射線量が第2閾値未満である場合(ステップS44:Yes)、通常条件が満たされるかを判定する(ステップS45)。第2制御部30bは、通常条件が満たされない場合(ステップS45:No)、図7CのステップS51の手順に進む。
【0112】
第2制御部30bは、通常条件が満たされる場合(ステップS45:Yes)、第2駆動部40bの第2モータ42bを用いて遮断部10の開閉制御を実行する(ステップS46)。具体的に、第2制御部30bは、測定装置1で測定を実行するときに遮断部10を開き、測定装置1で測定を実行しないときに遮断部10を閉じるように、第2リレー41bに制御信号を出力する。
【0113】
第2制御部30bは、例えば第1制御部30aが故障しており、第2制御情報を含む任意の制御情報が第1制御部30aから受信されないと通常条件を満たさないと判定する。第2制御部30bは、第2制御情報とは異なる第1制御情報を第1制御部30aから受信すると通常条件を満たさないと判定する。第2制御情報は、第2センサ部20bからの第2検出情報の異常により第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる制御情報を含む。
【0114】
第2制御部30bは、ステップS46の手順で遮断部10の開閉を制御した後、測定装置1に関する状態監視を終了する(ステップS47)。その後、第2制御部30bは、図7AのステップS31に戻り、処理を繰り返す。
【0115】
第2制御部30bは、図7BのステップS45で通常条件が満たされないと判定した場合(ステップS45:No)、第2カメラ70bによる所定範囲の撮影を開始する(図7CのステップS51)。第2制御部30bは、第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる(ステップS52)。第2制御部30bは、第1リレー41aをオフにする(ステップS53)。
【0116】
第2制御部30bは、第2カメラ70bによる撮影時間が指定時間より長いか判定する(ステップS54)。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くない場合(ステップS54:No)、つまり撮影時間が指定時間以下である場合、撮影時間が指定時間より長くなるまで第2カメラ70bによる撮影を終了せずにステップS54の判定手順を繰り返す。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くなった場合(ステップS54:Yes)、第2カメラ70bによる撮影を終了する(ステップS55)。第2制御部30bは、ステップS55の手順の実行後、図7Cのフローチャートの手順の実行を終了する。
【0117】
第2制御部30bは、図7BのステップS42で検出部60によって侵入が検出されたと判定した場合、図7BのステップS43で第2検出情報が異常であると判定した場合、又は、図7BのステップS44で第2放射線量が第2線量閾値以上であると判定した場合、第2カメラ70bによる所定範囲の撮影を開始する(図7DのステップS61)。第2制御部30bは、第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる(ステップS62)。
【0118】
第2制御部30bは、第2カメラ70bによる撮影時間が指定時間より長いか判定する(ステップS63)。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くない場合(ステップS63:No)、つまり撮影時間が指定時間以下である場合、撮影時間が指定時間より長くなるまで第2カメラ70bによる撮影を終了せずにステップS63の判定手順を繰り返す。第2制御部30bは、撮影時間が指定時間より長くなった場合(ステップS63:Yes)、第2カメラ70bによる撮影を終了する(ステップS64)。第2制御部30bは、ステップS64の手順の実行後、図7Dのフローチャートの手順の実行を終了する。第2制御部30bは、図7Dのフローチャートにおいて、図7Cのフローチャートと異なり、第1リレー41aをオフにしない。
【0119】
測定装置1は、第1制御部30a及び第2制御部30bが共に通常条件を満たすと判定した場合にのみ、遮断部10の通常の開閉制御を実行する。このとき、測定装置1において、第1制御部30aによる図6BのステップS8の処理又は第2制御部30bによる図7BのステップS46の処理のうち、早く通常条件が満たされると判定した一方の処理のみが実行される。すなわち、測定装置1は、最終的に、第1駆動部40a及び第2駆動部40bのいずれか一方のみに基づいて遮断部10の通常の開閉制御を実行する。
【0120】
一方で、測定装置1は、第1制御部30a及び第2制御部30bが共に通常条件を満たすと判定した場合を除くすべての場合について、第1駆動部40a及び第2駆動部40bのいずれか一方により遮断部10を閉じる。すなわち、測定装置1は、第1制御部30a及び第2制御部30bの両方により安全と判断できる場合にのみ遮断部10の通常の開閉制御を実行し、それ以外の場合には遮断部10を閉じて放射線に対する測定装置1の安全機能を確実に提供する。
【0121】
以上述べてきたように、測定装置1は、検出部60で所定範囲への侵入が検出された場合に、遮断部10を閉じることができる。検出部60が測定装置1の放射線源を含む所定範囲の周りを囲んでバーチャルフェンス2を形成することによって、放射線源の周囲に侵入した人間又は動物等の被ばくが抑制される。
【0122】
検出部60が遮光式のセンサとして動作する場合、検出部60が侵入者を検出して検出結果を第1制御部30a又は第2制御部30bに対して出力するまでの時間が短い。検出結果の出力までの時間が短いことによって、測定装置1は、所定範囲への侵入があった場合に速やかに遮断部10を閉じることができる。仮に侵入者が所定範囲に侵入してから遮断部10を閉じるまでに時間がかかると、侵入者が被ばくする可能性が高くなる。遮断部10を速やかに閉じることによって、侵入した人間又は動物等の被ばくが抑制される。
【0123】
また、測定装置1は、検出部60が侵入者を検出した場合に、第1カメラ70a又は第2カメラ70bを用いて所定範囲を撮影できる。測定装置1は、所定範囲を撮影することによって、侵入者の動向を監視したり、測定装置1の異常状態を把握したりできる。
【0124】
上述してきた実施形態において、測定装置1は、第1制御ラインL1だけを備え、第2制御ラインL2を備えなくてもよい。逆に、測定装置1は、第2制御ラインL2だけを備え、第1制御ラインL1を備えなくてもよい。測定装置1は、第1制御ラインL1又は第2制御ラインL2の一方だけを備えることによって、バーチャルフェンス2に人間又は動物等が侵入したときに速やかに遮断部10を閉じることができる。第1制御部30a又は第2制御部30bは、単に制御部とも称される。第1カメラ70a又は第2カメラ70bは、単にカメラとも称される。
【0125】
(他の実施形態)
以下、他の実施形態に係る測定装置1の構成例が説明される。
【0126】
<検出部60の他の構成例>
図8に例示されるように、検出部60は、検出対象3から射出される遠赤外線等の射出光65を検出する受光部64を備えてよい。この場合、検出部60は、遠赤外線センサ若しくは赤外線センサ、又は、遠赤外線カメラ若しくは赤外線カメラとして構成されてよい。検出部60が発光部61を備えずに受光部64だけを備えることによって、必要な部品の数が削減される。また、受光部64が天井又は柱等に設置されてよい。つまり、検出部60の配置の自由度が高くなる。
【0127】
<検出部60の配置例>
測定装置1は、図9A及び図9Bに例示されるように、放射線源を含む測定ヘッド5と、測定ヘッド5を移動可能に構成されるヘッド駆動部4とを備えてよい。測定装置1は、図9Aに例示されるように、測定ヘッド5の移動範囲を含むヘッド駆動部4の全体を所定範囲としてバーチャルフェンス2が形成されるように配置された検出部60を備えてよい。
【0128】
測定装置1は、図9Bに例示されるように、測定ヘッド5だけを所定範囲としてバーチャルフェンス2が形成されるように配置された検出部60を備えてよい。つまり、検出部60は、放射線源を含む測定ヘッド5の移動とともに所定範囲が移動するように配置されてよい。
【0129】
検出部60が測定ヘッド5だけを所定範囲としてバーチャルフェンス2が形成されるように配置される場合、検出部60の数が低減されることがある。また、検出部60の発光部61と受光部62との間の距離が短縮されることがある。その結果、検出部60のコストが低減されることがある。
【0130】
また、検出部60が測定ヘッド5だけを所定範囲としてバーチャルフェンス2が形成されるように配置される場合、作業者の侵入が禁止される範囲が狭くなる。逆に言えば、作業者が侵入できる範囲が広くなる。その結果、測定装置1の占有スペースが削減される。また作業者が動きやすくなる。
【0131】
<カメラのメモリ使用量に基づく遮断部10の制御>
上述してきた実施形態において、測定装置1は、検出部60が検出対象3を検出した場合、通常電源が失われた場合、又は、システムに異常が発生した場合に、第1カメラ70a又は第2カメラ70bを用いて所定範囲を撮影する。測定装置1は、検出部60による侵入者の検出結果、通常電源の有無、又は、システムの状態にかかわらず、第1カメラ70a又は第2カメラ70bを用いて、定常的に所定範囲を撮影し、所定範囲の安全制御の状態を監視してもよい。
【0132】
測定装置1は、CPU等のメインプロセッサを更に備えてよい。メインプロセッサは、ホストシステムを経由してインターネット又はイントラネット等のネットワークに接続することによって、所定範囲の撮影によって検知した異常情報をリモートで通知できるように構成されてもよい。また、測定装置1は、リモートで制御できるように構成されてもよい。例えば、測定装置1は、異常情報をリモートで通知した場合に、通知した先からの制御によって、第1カメラ70a又は第2カメラ70bによる録画の開始若しくは終了、又は映像配信等を実行してよい。
【0133】
測定装置1がメインプロセッサを備える場合、第1制御部30a及び第2制御部30bは、メインプロセッサとの共用メモリに、第1カメラ70a又は第2カメラ70bで撮影した録画データを含む、測定装置1の安全制御情報を書き込んでよい。第1制御部30a又は第2制御部30bは、メインプロセッサとの共用メモリの指定領域から定期的にデータを読み取ることによって、メインプロセッサからの指示を受け取ってよい。
【0134】
メインプロセッサは、第1制御部30a又は第2制御部30bとの共用メモリに保存された録画データを含む、測定装置1の安全制御情報を定期的に読み取ってよい。また、メインプロセッサは、共用メモリの指定領域にデータを書き込むことによって、第1制御部30a又は第2制御部30bに対して指示を送信してよい。また、メインプロセッサは、ホストシステムとの間でIP(Internet Protocol)通信又はフィールドバス通信等の通信を実行してよい。
【0135】
ホストシステムは、メインプロセッサとの間でIP通信又はフィールドバス通信等の通信を実行してよい。また、ホストシステムは、リモートで接続する外部の装置との間で、IP通信又はフィールドバス通信等の通信を実行してよい。
【0136】
仮に第1カメラ70a又は第2カメラ70bが撮影できなくなる場合、安全上の問題が生じることがある。例えば、第1カメラ70a又は第2カメラ70bが撮影できない間に測定装置1に異常が生じた場合に、遮断部10の開閉が適切に制御されなくなることがある。具体的に、第1カメラ70a又は第2カメラ70bのメモリ使用量が上限に近づくことによって、第1カメラ70a又は第2カメラ70bは撮影できなくなることがある。測定装置1は、第1カメラ70a又は第2カメラ70bのメモリ使用量に基づいて遮断部10を制御してもよい。カメラのメモリ使用量が使用量閾値以上になった場合に遮断部10を遮断することによって、例えばカメラが所定範囲を撮影できない間に遮断部10が閉じなくなって放射線が漏洩する事態が防がれる。
【0137】
測定装置1は、図4の第1制御ラインL1で測定装置1を制御するために、図10のフローチャートの手順例を実行してよい。
【0138】
第1制御部30aは、測定装置1に関する状態監視を開始する(ステップS71)。第1制御部30aは、通常電源がオンであるか判定する(ステップS72)。第1制御部30aは、通常電源がオンではない場合(ステップS72:No)、つまり通常電源がオフである場合、図10のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0139】
第1制御部30aは、通常電源がオンである場合(ステップS72:Yes)、第1カメラ70aのメモリ使用量が使用量閾値未満であるかを判定する(ステップS73)。
【0140】
第1制御部30aは、第1カメラ70aのメモリ使用量が使用量閾値未満でない場合(ステップS73:No)、つまり第1カメラ70aのメモリ使用量が使用量閾値以上である場合、第1カメラ70aによる撮影を停止する(ステップS74)。第1制御部30aは、第1モータ42aを用いて遮断部10を閉じる(ステップS75)。第1制御部30aは、ステップS75の手順の実行後、図10のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0141】
第1制御部30aは、第1カメラ70aのメモリ使用量が使用量閾値未満である場合(ステップS73:Yes)、第1カメラ70aが所定範囲を撮影中であるか判定する(ステップS76)。第1制御部30aは、第1カメラ70aが所定範囲を撮影中でない場合、第1カメラ70aによる所定範囲の撮影を開始する(ステップS77)。第1制御部30aは、ステップS76の手順で第1カメラ70aが所定範囲を撮影中であると判定した場合(ステップS76:Yes)又はステップS77の手順で第1カメラ70aによる所定範囲の撮影を開始した後、図6BのステップS3の手順に進み、遮断部10の開閉の制御を実行する。
【0142】
測定装置1は、図4の第2制御ラインL2で測定装置1を制御するために、図11のフローチャートの手順例を実行してよい。
【0143】
第2制御部30bは、測定装置1に関する状態監視を開始する(ステップS81)。第2制御部30bは、通常電源がオンであるか判定する(ステップS82)。第2制御部30bは、通常電源がオンではない場合(ステップS82:No)、つまり通常電源がオフである場合、第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じる(ステップS83)。第2制御部30bは、ステップS83の手順の実行後、図11のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0144】
第2制御部30bは、通常電源がオンである場合(ステップS82:Yes)、第2カメラ70bのメモリ使用量が使用量閾値未満であるかを判定する(ステップS84)。
【0145】
第2制御部30bは、第2カメラ70bのメモリ使用量が使用量閾値未満でない場合(ステップS84:No)、つまり第2カメラ70bのメモリ使用量が使用量閾値以上である場合、第2カメラ70bによる撮影を停止する(ステップS85)。第2制御部30bは、ステップS85の手順の実行後、ステップS83の手順に進み、第2モータ42bを用いて遮断部10を閉じ、図11のフローチャートの手順の実行を終了する。
【0146】
第2制御部30bは、第2カメラ70bのメモリ使用量が使用量閾値未満である場合(ステップS84:Yes)、第2カメラ70bが所定範囲を撮影中であるか判定する(ステップS86)。第2制御部30bは、第2カメラ70bが所定範囲を撮影中でない場合、第2カメラ70bによる所定範囲の撮影を開始する(ステップS87)。第2制御部30bは、ステップS86の手順で第2カメラ70bが所定範囲を撮影中であると判定した場合(ステップS86:Yes)又はステップS87の手順で第2カメラ70bによる所定範囲の撮影を開始した後、図7BのステップS41の手順に進み、遮断部10の開閉の制御を実行する。
【0147】
以上述べてきたように、測定装置1は、第1カメラ70a又は第2カメラ70bを用いて定常的に所定範囲を撮影することによって、測定装置1の状態を定常的に監視できる。また、測定装置1は、メインプロセッサ及びホストシステムを用いて外部の装置と通信することによって、測定装置1の状態をリモートで通知できるとともに、外部の装置からリモートで安全に指示を受信できる。
【0148】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行うことが可能であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0149】
例えば、本開示は、上述した測定装置1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラム又はプログラムを記録した非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体としても実現し得る。本開示の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【0150】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 測定装置
2 バーチャルフェンス
3 検出対象
4 ヘッド駆動部
5 測定ヘッド
10 遮断部
10a 第1遮断部
10b 第2遮断部
20a 第1センサ部
20b 第2センサ部
30a 第1制御部
30b 第2制御部
40a 第1駆動部
40b 第2駆動部
41a 第1リレー
41b 第2リレー
42a 第1モータ
42b 第2モータ
50a 第1線量計
50b 第2線量計
60、60a~60d 検出部
61、61a~61d 発光部
62、62a~62d 受光部
63 検出光
64 受光部
65 射出光
70a 第1カメラ
70b 第2カメラ
L1 第1制御ライン
L2 第2制御ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10
図11