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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108032
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/30 20060101AFI20240802BHJP
   B62J 9/14 20200101ALI20240802BHJP
【FI】
B62K19/30
B62J9/14
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012284
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】石川 竜也
(72)【発明者】
【氏名】上田 成二
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BH08
(57)【要約】
【課題】ブレーキケーブルを短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保に有利な構成を提供すること。
【解決手段】鞍乗り型車両(10)において、車体フレーム(11)は、ヘッドパイプ(18)から後下方に延びるメインフレーム(19)を有し、リアブレーキ装置(62)は、リアブレーキ操作子(64)に対して左右逆側に配置され、ブレーキケーブル(72)がメインフレーム(19)を横切って配策される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(11)と、前記車体フレーム(11)の前部に位置するヘッドパイプ(18)に支持されるハンドル(21)と、前記ハンドル(21)の左右一方に設けられるリアブレーキ操作子(64)と、前記車体フレーム(11)の後部にスイングアーム(16)を介して支持される後輪(15)と、前記リアブレーキ操作子(64)にブレーキケーブル(72)を介して繋がるリアブレーキ装置(62)とを備える鞍乗り型車両において、
前記車体フレーム(11)は、前記ヘッドパイプ(18)から後下方に延びるメインフレーム(19)を有し、
前記リアブレーキ装置(62)は、前記リアブレーキ操作子(64)に対して左右逆側に配置され、前記ブレーキケーブル(72)が前記メインフレーム(19)を横切って配策される
鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記ブレーキケーブル(72)は、前記メインフレーム(19)を下方から横切っている
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記メインフレーム(19)の下方に駆動源(12)を有し、
前記ブレーキケーブル(72)と前記駆動源(12)の間に他の車体構成部品(36)が配置される
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
前記ブレーキケーブル(72)は、前記駆動源(12)のうち上方に膨出する膨出部(23)より前方で、前記メインフレーム(19)を下方から横切っている
請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記ブレーキケーブル(72)は、前記メインフレーム(19)を上方から横切っている
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記メインフレーム(19)の上方に支持される収納ボックス(91)を備え、
前記ブレーキケーブル(72)は、前記収納ボックス(91)の前方で前記メインフレーム(19)を上方から横切っている
請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記メインフレーム(19)の上方に支持される収納ボックス(91)を備え、
前記ブレーキケーブル(72)は、前記メインフレーム(19)と前記収納ボックス(91)との間で高さ方向に空く空間を通って前記メインフレーム(19)を横切っている
請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記メインフレーム(19)から後上方に延びるシートフレーム(20)を有し、
前記ブレーキケーブル(72)は、前記メインフレーム(19)と前記収納ボックス(91)と前記シートフレーム(20)との間に空く空間を通って前記メインフレーム(19)を横切っている
請求項6に記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記メインフレーム(19)の下方に駆動源(12)を有し、
前記ブレーキケーブル(72)は、前記リアブレーキ操作子(64)側から前記メインフレーム(19)に沿って延びる上流部分(72A)と、前記メインフレーム(19)を跨ぐ跨ぎ部分(72B)と、前記跨ぎ部分(72B)よりも下流に位置する下流部分(72C)とを有し、
前記下流部分(72C)を、前記駆動源(12)の後方で前記車体フレーム(11)に保持するケーブル保持部材(82)を一つだけ有する
請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記車体フレーム(11)は、前記スイングアーム(16)の前部を回動自在に支持するピボット軸(22)を有し、
前記ケーブル保持部材(82)は、車体側面視で、前記ピボット軸(22)の前後幅上に配置される
請求項8に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車等の鞍乗り型車両には、ヘッドパイプから後下方に延びるメインフレームを備え、メインフレームの下方、かつ後輪の前方に、エンジン及び無段変速機を備えるエンジンユニットを備えた構成が知られている。この種の鞍乗り型車両には、ハンドルにリアブレーキレバーを備えると共に、後輪の近傍にリアブレーキ装置を備え、ブレーキケーブルを、リアブレーキレバーからヘッドパイプの前方を通して後方に向けて屈曲し、メインフレームに沿わせて後ろ下方に向けて配策した構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-46019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成は、ヘッドパイプの前方をブレーキケーブルが通るため、ブレーキケーブルが長くなってしまう。ブレーキケーブルが長い程、ケーブルの摺動抵抗の増大によって伝達ロスが増大するおそれや、周囲の部品配置が制約されるおそれが生じる。例えば、ブレーキケーブルをヘッドパイプの前方を通す場合、ヘッドパイプ前方の部品配置が制約されるおそれが生じる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、ブレーキケーブルを短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保に有利な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
車体フレームと、前記車体フレームの前部に位置するヘッドパイプに支持されるハンドルと、前記ハンドルの左右一方に設けられるリアブレーキ操作子と、前記車体フレームの後部にスイングアームを介して支持される後輪と、前記後輪に設けられ、前記リアブレーキ操作子にブレーキケーブルを介して繋がるリアブレーキ装置とを備える鞍乗り型車両において、前記車体フレームは、前記ヘッドパイプから後下方に延びるメインフレームを有し、前記リアブレーキ装置は、前記リアブレーキ操作子に対して左右逆側に配置され、前記ブレーキケーブルが前記メインフレームを横切って配策される鞍乗り型車両を提供する。
【発明の効果】
【0006】
ブレーキケーブルを短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保に有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】車体カバーを取り外した状態の鞍乗り型車両の一部を示す図である。
図3】ハンドルを周辺構成と共に示す図である。
図4】ハンドルの左側部分を周辺構成と共に示す斜視図である。
図5】フロントフレームを右上方から周辺構成と共に示す図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図7】フロントフレームの後部を周辺構成と共に斜め上方から示す図である。
図8】収納ボックスを周辺構成と共に斜め上方から示す図である。
図9】フロントフレーム上の第2ブレーキケーブルを周辺構成と共に示す側断面図である。
図10】変形例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダ部24とを備える。シリンダ部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
鞍乗り型車両10は、車体を覆う車体カバー30を備える。車体カバー30は、車体前部を前方及び左右側方から覆うフロントカバー31と、フロントフレーム19を上方から覆うインナーカバー33とを備える。
インナーカバー33の上面は、ヘッドパイプ18とシート17との間で下方に凹む足跨ぎ部33Mを有する形状に形成される。
【0016】
図2は、車体カバー30を取り外した状態の鞍乗り型車両10の一部を示す図である。
乗員用のシート17は、運転者と同乗者からなる2名の乗員が着座可能であり、タンデムシートとも称される。運転者用のステップ28は、フロントフレーム19の下方、かつクランクケース23の左右に相当する位置に配置される。同乗者用のステップ38は、リアフレーム20及びクランクケース23の後方に配置される。ステップ28,38のいずれも乗員用のステップである。同乗者用のステップ38は、ピリオンステップ、及びタンデムステップとも称され、以下、ピリオンステップ38と表記する。
【0017】
ピリオンステップ38は、左右のスイングアーム16にステー38Sを介して支持され、車体側面視で後輪15と重なる位置に配置される。左右一方(本実施形態では右側)のピリオンステップ38の下方には、排気装置25の一部を構成する排気マフラー25M(図1参照)が配置される。排気マフラー25Mは、上方からマフラーカバー25C(図1参照)で覆われる。
パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材には、ドライブチェーン12CN(図2参照)が使用されるが、ドライブチェーン12CN以外の部材でもよい。
【0018】
図2に示すように、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から車幅中央を後下方に延び、シート17の下方、かつ後輪15近傍まで延出する。フロントフレーム19は、メインフレーム及びセンターフレームとも称される。フロントフレーム19の後部には、左右一対のピボットプレート34が接合され、ピボットプレート34にピボット軸22が支持される。
【0019】
フロントフレーム19には、シート17の前下方位置から後上方に延びる左右一対のサブフレーム20Sが接続される。サブフレーム20Sは、左右に間隔を空けて後上方に延出し、シート17を支持するシートフレーム等として機能する。リアフレーム20は、フロントフレーム19の後部から後上方に延出し、サブフレーム20Sと接合される。サブフレーム20Sとリアフレーム20とによって車体フレーム11の後部分が構成される。
なお、シート17から作用する乗員等の荷重は、リアフレーム20によっても支持されるので、リアフレーム20もシートフレームの一部として機能する。リアフレーム20と後輪15との間には、リアサスペンション35が介挿される。
【0020】
ピボットプレート34の前方、かつフロントフレーム19の下方には、パワーユニット12が支持される。パワーユニット12は、クランクケース23からシリンダ部24が前方へ向けて水平に突出するエンジンを有する。
クランクケース23は、複数の軸部材や歯車機構を収容するため、上方に膨出する形状を有し、パワーユニット12の中でも上下等に大型の部分となる。そのため、クランクケース23とフロントフレーム19との間で上下に空く隙間は、シリンダ部24とフロントフレーム19との間で上下に空く隙間よりも相対的に狭い隙間となる。
【0021】
シリンダ部24とフロントフレーム19との間に上下に空く隙間には、図2に示すように、吸気系部品の一部を構成するスロットルボディ36が配置される。スロットルボディ36は、シート17下に配置されたエアクリーナ37とシリンダ部24とをつなぐ吸気経路に設けられる。スロットルボディ36は、ハンドル21に設けられたスロットル操作子21R(図1参照)の操作に応じて、シリンダ部24への吸気量を調整する機能を有する。この機能を実現するために、スロットルボディ36には、スロットル操作子21Rから延出するスロットルワイヤ41(図1図2参照)が接続される。
【0022】
図3は、ハンドル21を周辺構成と共に示す図である。
図3に示すように、スロットル操作子21Rは、ハンドル21の右側に設けられ、乗員の右手で操作される。スロットル操作子21Rからは2本のスロットルワイヤ41が延びている。これらスロットルワイヤ41は、ヘッドパイプ18の前方を通ってヘッドパイプ18の左側方に延びた後、フロントフレーム19の左側面に沿って後方に延び、その後、フロントフレーム19を上方から左右方向に跨ぎ、下方に向けて延びてスロットルボディ36につながる。
【0023】
図2及び図3に示すように、複数の配線を束ねたハーネス44は、ヘッドパイプ18、及びフロントフレーム19の右側面に沿って前後方向に延出する。このハーネス44の異なる箇所から配線がそれぞれ分岐し、車体各部の電装部品に接続される。ハーネス44は、メインハーネス、及びワイヤーハーネスとも称される。なお、図2は配線や配管の一部を省略して示している。
図3に示すように、ヘッドパイプ18の前方には、ヘッドライト51及びメータユニット52が設けられる。
【0024】
鞍乗り型車両10は、図1に示すように、前輪13に制動力を付与するフロントブレーキ装置61と、後輪15に制動力を付与するリアブレーキ装置62とを備える。フロントブレーキ装置61及びリアブレーキ装置62は、ブレーキディスク及びキャリパからなる油圧式のディスクブレーキ、及びドラムブレーキのいずれでもよいし、公知のブレーキ装置を適宜に適用してもよい。
【0025】
鞍乗り型車両10は、ハンドル21の右側に、フロントブレーキレバー63(図1参照)を備える。フロントブレーキレバー63は、スロットル操作子21Rの前方に位置し、乗員の右手で操作される。フロントブレーキレバー63の操作は、フロントブレーキケーブル71(以下、第1ブレーキケーブル71と表記する)を介してフロントブレーキ装置61に伝達される。
【0026】
図3に示すように、第1ブレーキケーブル71は、フロントブレーキレバー63側からヘッドパイプ18の前方を通ってヘッドパイプ18の左側方に延びた後、下方に延出してフロントブレーキ装置61につながる。
つまり、フロントブレーキ装置61における第1ブレーキケーブル71の接続先は、フロントブレーキレバー63に対して左右逆側である左側に位置する。換言すると、フロントブレーキ装置61は、フロントブレーキレバー63に対して左右逆側に配置される。そのため、第1ブレーキケーブル71がヘッドパイプ18の前方を左右に跨ぐことで、フロントブレーキ装置61側に取り回すことができる。
【0027】
なお、第1ブレーキケーブル71は、フロントブレーキ装置61が油圧式の場合、油圧配管であり、油圧式でない場合(いわゆる機械式の場合)、ワイヤーケーブルである。ワイヤーケーブルは、ブレーキ操作によってインナーケーブルが牽引されるので、油圧配管の場合と比べて、ブレーキ操作に応じて移動し易い傾向がある。
【0028】
ところで、この鞍乗り型車両10は、パワーユニット12と駆動輪である後輪15との間の動力伝達/遮断の切り換えを、遠心式クラッチ等で行う自動クラッチ式の車両である。そのため、乗員が手動でクラッチ操作するためのクラッチ操作子が不要であり、例えば、ハンドル21にクラッチレバーが不要である。
【0029】
ここで、図4には、ハンドル21の左側部分を周辺構成と共に示している。
図4に示すように、本構成の鞍乗り型車両10では、ハンドル21の左側にリアブレーキレバー64を備えている。リアブレーキレバー64は、乗員が左手で把持する左側のグリップ部21Lの前方に位置し、乗員の左手で操作可能である。リアブレーキレバー64の操作は、リアブレーキケーブル72(以下、第2ブレーキケーブル72と表記する)を介してリアブレーキ装置62に伝達される。リアブレーキレバー64は、リアブレーキ操作子として機能する。但し、本発明のリアブレーキ操作子はレバー形状に限定されず、任意な操作子を適用可能である。
【0030】
より具体的には、第2ブレーキケーブル72の上流端は、リアブレーキレバー64の基端部の周辺に設けられたCBS(Combined Brake System)モジュール65に接続される。
CBSモジュール65は、リアブレーキレバー64の操作力を、リアブレーキ装置62、及びフロントブレーキ装置61にそれぞれ配分することによって、前後輪連動ブレーキを実現する機構である。但し、CBSモジュール65は必須ではなく、CBSモジュール65を備えず、第2ブレーキケーブル72の上流端をリアブレーキレバー64に直接接続してもよい。
【0031】
なお、左側のグリップ部21Lの基端部には、各種のスイッチを備えたスイッチボックス66が設けられる。スイッチボックス66に、ハーネス44から分岐した配線44Aが接続される。この配線44Aは、ヘッドパイプ18の前方を通って左から右へと延びることでヘッドパイプ18右側に配策されたハーネス44につながる。
【0032】
図5は、フロントフレーム19を右上方から周辺構成と共に示す図である。
図3及び図5等を参照しながら、第2ブレーキケーブル72の配策構造について説明する。
図3に示すように、第2ブレーキケーブル72は、CBSモジュール65からヘッドパイプ18の左側方に向けて下方に延び、ヘッドパイプ18の左側方からフロントフレーム19の左側面に沿って後下がりに延出する。
【0033】
フロントフレーム19の左側面には、第2ブレーキケーブル72を保持する第1ケーブル保持部材81が設けられる。この第1ケーブル保持部材81によって、第2ブレーキケーブル72が、ヘッドパイプ18の左側方からフロントフレーム19の左側面に沿って延びる状態を維持するように保持される。
また、第1ケーブル保持部材81は、フロントフレーム19から左側に離れた位置で第2ブレーキケーブル72を保持する。そのため、フロントフレーム19の左側において、第2ブレーキケーブル72が、ヘッドパイプ18及びフロントフレーム19から左側に離れた状態に保持される。したがって、ブレーキ操作に応じて第2ブレーキケーブル72が移動しようとしても、第2ブレーキケーブル72は、ヘッドパイプ18及びフロントフレーム19に接触しない。
【0034】
第2ブレーキケーブル72のうち、リアブレーキレバー64から第1ケーブル保持部材81付近までの部分は、「第2ブレーキケーブル72の上流部分72A」に相当する。上述したように、第2ブレーキケーブル72の上流部分72Aは、車幅中心に対してリアブレーキレバー64側(本実施形態では左側)に位置する。
【0035】
図2及び図5中の第2ブレーキケーブル72は、第1ケーブル保持部材81よりも下流の部分である。図2及び図5に示すように、第2ブレーキケーブル72は、第1ケーブル保持部材81の箇所からフロントフレーム19の下方を通り、フロントフレーム19の右側方へと引き回される。
第2ブレーキケーブル72のうち、フロントフレーム19を下方から跨ぐ部分を、符号72Bを付して示し、「第2ブレーキケーブル72の跨ぎ部分72B」と表記する。
【0036】
第2ブレーキケーブル72は、クランクケース23よりも前方、かつシリンダ部24よりも上方の位置で、フロントフレーム19を左側方から右側方へと下方から横切っている。第2ブレーキケーブル72の跨ぎ部分72Bは、パワーユニット12とフロントフレーム19との間に上下に空く空間のうち、上下に広く空く空間、つまり、シリンダ部24とフロントフレーム19との間に空く空間である。そのため、第2ブレーキケーブル72の配置がし易く、また、第2ブレーキケーブル72を、熱源であるクランクケース23やシリンダ部24から離して配置できる。したがって、第2ブレーキケーブル72への熱影響を回避し易くなる。
【0037】
図2及び図5に示すように、クランクケース23よりも前方、かつシリンダ部24よりも上方の位置であって、フロントフレーム19の下方には、スロットルボディ36を含む吸気系部品が配置される。第2ブレーキケーブル72の跨ぎ部分72Bは、スロットルボディ36を含む吸気系部品と、フロントフレーム19との間に上下に空く空間を通ることで、パワーユニット12との間に吸気系部品を有する。これにより、吸気系部品によって、パワーユニット12から第2ブレーキケーブル72への熱影響をより回避し易くなる。
【0038】
第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19を下方から跨いだ後、フロントフレーム19の右側面に沿って後下方に延出する。フロントフレーム19の後部には、右側方に突出する一つの第2ケーブル保持部材82が設けられ、この第2ケーブル保持部材82に、第2ブレーキケーブル72が保持される。
第2ケーブル保持部材82は、第2ブレーキケーブル72がフロントフレーム19の右側面に沿い、かつ、フロントフレーム19の右側面から離間するように第2ブレーキケーブル72を保持し、パワーユニット12のクランクケース23等に第2ブレーキケーブル72が接触しないようにする。
【0039】
第2ブレーキケーブル72のうち、跨ぎ部分72Bよりも下流の部分は、「第2ブレーキケーブル72の下流部分72C」に相当する。
下流部分72Cをフロントフレーム19に保持する第2ケーブル保持部材82は、パワーユニット12の後方であって、図2に示すように、車体側面視で、ピボット軸22の前後幅上に位置する。
【0040】
リアブレーキ装置62や後輪15を支持するスイングアーム16は、ピボット軸22を基準にして上下に回動(揺動)するので、ピボット軸22の前後幅上に第2ブレーキケーブル72を保持することにより、スイングアーム16の回動基準位置と、第2ブレーキケーブル72の回動基準位置とが近接する。そのため、第2ケーブル保持部材82を基準にして、第2ブレーキケーブル72を大きく撓めることなく、スイングアーム16の上下動に合わせて上下動させることができ、第2ブレーキケーブル72の短縮化に有利である。
【0041】
このように、第2ブレーキケーブル72を、ピボット軸22の前後幅上に保持することによって、第2ブレーキケーブル72を大きく撓めることなく、第2ブレーキケーブル72の上下動に合わせて、第2ブレーキケーブル72を上下動し易くすることができる。
【0042】
第2ケーブル保持部材82よりも下流の第2ブレーキケーブル72は、図2に示すように、左右のスイングアーム16間に進入し、右側のスイングアーム16の下方かつ車幅方向内側を通って後方に延出し、リアブレーキ装置62に接続される。
【0043】
右側のスイングアーム16には、前後に間隔を空けて第3ケーブル保持部材83(図2参照)が設けられ、これら第3ケーブル保持部材83に、第2ブレーキケーブル72が保持される。これによって、第2ブレーキケーブル72が、車幅方向で右側のスイングアーム16と後輪15との間であって、車体上下方向で右側のスイングアーム16の下方を右側のスイングアーム16に沿った状態に保持される。したがって、第2ブレーキケーブル72を、直線形状を保つようにし易くなり、リアブレーキケーブル72の直線部分を長くし、リアブレーキケーブル72に付着した雨水をリアブレーキケーブル72に沿わせてリアブレーキケーブル72外に排出し易くなり、いわゆる水抜きをし易くなる。
【0044】
リアブレーキ装置62における第2ブレーキケーブル72の接続先は、右側のスイングアーム16の後部下方、かつ後輪15の右側方に位置する。つまり、リアブレーキ装置62は、リアブレーキレバー64に対して左右逆側かつ車体後方に相当する位置に配置されていると言える。
本構成では、リアブレーキ装置62が、リアブレーキレバー64に対して左右逆側かつ車体後方に相当する位置に配置されるので、第2ブレーキケーブル72が車体フレーム11のいずれかの部位を左右に跨ぐ必要がある。
【0045】
また、図1に示すように、リアブレーキケーブル72は、排気マフラー25Mの車幅方向内側を通って排気マフラー25Mと車幅方向に重なる。これにより、排気マフラー25Mによってリアブレーキケーブル72が外観視し難くなり、鞍乗り型車両10の外観性向上に有利となる。また、排気マフラー25Mを、周囲の飛散物等からリアブレーキケーブル72を保護する保護部材として機能させることができる。
【0046】
上述したように、本実施形態の鞍乗り型車両10は、ハンドル21の左右一方(本構成では左側)に、リアブレーキ操作子として機能するリアブレーキレバー64を備え、リアブレーキレバー64側から延びる第2ブレーキケーブル72が、フロントフレーム19を横切って、リアブレーキレバー64に対して左右逆側に配置されたリアブレーキ装置62に繋がる構成である。この構成によれば、第2ブレーキケーブル72がヘッドパイプ18を前方から横切って左右逆側のリアブレーキ装置62に繋がる構成と比べて、第2ブレーキケーブル72を短縮化できる。第2ブレーキケーブル72を短縮化することで、第2ブレーキケーブル72の摺動抵抗の増大によって伝達ロスが増大するおそれや、ヘッドパイプ18前方等の部品配置スペースが制約される事態を抑制することができる。
【0047】
また、ヘッドパイプ18前方の部品配置スペースが第2ブレーキケーブル72によって制約されないので、既存の車両に、リアブレーキレバー64及び第2ブレーキケーブル72を追加した場合でも、ヘッドライト51及びメータユニット52等の配置変更や形状変更等を不要にできる。したがって、本構成の第2ブレーキケーブル72の配策構造は、既存車両への適用が容易である。
なお、フロントフレーム19は、本発明の「メインフレーム」に相当する。
【0048】
また、第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19を下方から横切っているので、フロントフレーム19上方の足跨ぎ部33Mが第2ブレーキケーブル72で制約されることがなく、足跨ぎスペースを広く確保し易くなる。
【0049】
また、メインフレーム19の下方に駆動源であるパワーユニット12を有し、第2ブレーキケーブル72とパワーユニット12の間に、他の車体構成部品からなるスロットルボディ36が配置される。そのため、パワーユニット12から第2ブレーキケーブル72への熱影響を抑制し易くなる。なお、第2ブレーキケーブル72とパワーユニット12の間に、スロットルボディ36以外の車体構成部品を配置してもよい。
【0050】
また、第2ブレーキケーブル72は、リアブレーキレバー64側からフロントフレーム19に沿って延びる上流部分72Aと、フロントフレーム19を跨ぐ跨ぎ部分72Bと、跨ぎ部分72Bよりも下流に位置する下流部分72Cとを有し、下流部分72Cを、駆動源であるパワーユニット12の後方でフロントフレーム19に保持する第2ケーブル保持部材82を一つだけ有する。この構成によれば、フロントフレーム19に沿って第2ブレーキケーブル72を、直線に近い経路で配置し易くなり、かつ、スイングアーム16が上下に揺動しても、第2ブレーキケーブル72を大きく撓めることなく、スイングアーム16の上下移動に合わせて、第2ブレーキケーブル72を上下動し易くなる。これにより、第2ブレーキケーブル72を短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保により有利になり、第2ブレーキケーブル72に付着した雨水の排出にも有利となる。
【0051】
また、第2ケーブル保持部材82によって、第2ブレーキケーブル72を、パワーユニット12等から離間させて配置し易くなり、第2ブレーキケーブル72と他部品との接触を避けやすくなる。
仮に、パワーユニット12の後端よりも前方に、第2ケーブル保持部材82を配置した場合、第2ケーブル保持部材82よりも下流に位置する第2ブレーキケーブル72がパワーユニット12に接触するおそれが生じやすくなる。
【0052】
本実施形態では、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材にドライブチェーン12CNを採用するので、ドライブチェーン12CNが伸びた場合に対応すべく、後輪15の車軸15aを後方に調整可能に構成される。そのため、第2ケーブル保持部材82よりも下流に位置する第2ブレーキケーブル72は、車軸15aの位置を調整可能な程度に、適度な弛みを持たせておくことが好ましい。本構成では、このような弛みを設けても、弛みがパワーユニット12の後方に位置するので、第2ブレーキケーブル72がパワーユニット12に接触する事態を効果的に防止できる。
【0053】
また、第2ケーブル保持部材82は、車体側面視で、ピボット軸22の前後幅上に配置されるので、第2ブレーキケーブル72を大きく撓めることなく、上下に揺動するスイングアーム16に沿わせて配置し易くなり、第2ブレーキケーブル72の短縮化により有利となる。また、デッドスペースを利用して第2ブレーキケーブル72を配策でき、足跨ぎスペースを確保し易くなる。
【0054】
なお、本実施形態では、パワーユニット12が内燃機関の場合を説明したが、内燃機関に限定されず、駆動モータでもよい。つまり、鞍乗り型車両10は電動車両でもよい。駆動モータの場合、駆動モータ自体が上方に膨出する膨出部の形状となる。この駆動モータより前方で、第2ブレーキケーブル72がフロントフレーム19を下方から跨ぐように配置することによって、駆動モータと第2ブレーキケーブル72との離間距離を確保でき、駆動モータから第2ブレーキケーブル72への熱影響を抑制し易くなる。
【0055】
[他の実施形態]
図6は、本発明の他の実施形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。なお、上記した実施形態と同様の構造は同一の符号を付して示し、重複説明を適宜に省略する。説明の便宜上、上記した実施形態を「第1実施形態」と表記し、他の実施形態を「第2実施形態」と表記する。
第2実施形態は、車体フレーム11の一部、シート17下方に収納ボックス91が配置される点、及び、第2ブレーキケーブル72がフロントフレーム19を上方から跨ぐ点が第1実施形態と異なる。また、第2実施形態では、フロントブレーキ装置61、及びリアブレーキ装置62のいずれもドラムブレーキである。
【0056】
図7は、フロントフレーム19の後部を周辺構成と共に斜め上方から示す図である。
図6及び図7に示すように、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から車幅中央を後下方に延び、シート17の下方、かつ後輪15近傍まで延出する。フロントフレーム19の前後中間部には、左右一対のリアフレーム20が接合される。
【0057】
左右一対のリアフレーム20は、フロントフレーム19の左右側面から左右に延びた後に後方に延出し、その後、後上方に向けて屈曲する屈曲部20Kを介して後上方に延出する。このリアフレーム20は、シートフレームとしても機能する。
屈曲部20Kには補強プレート20Pが接合されると共に、屈曲部20K間を車幅方向に架橋するクロスフレーム20Cが接合される。補強プレート20P及びクロスフレーム20Cにより、リアフレーム20が補強され、車体フレーム11の剛性が向上される。
【0058】
図8は、収納ボックス91を周辺構成と共に斜め上方から示す図である。なお、図8には、収納ボックス91にヘルメット92を収納している。
図8に示すように、収納ボックス91は、フロントフレーム19の後部上、かつ、左右一対のリアフレーム20の前部上に配置される。この収納ボックス91の後方にて、リアフレーム20に燃料タンク29が支持される。収納ボックス91及び燃料タンク29の上方にシート17が開閉自在に配置され、このシート17の荷重はリアフレーム20によって支えられる。
【0059】
左右一対のピリオンステップ38は、左右一対のリアフレーム20の後部から後下方に延出するステー38Sの後端部に折り畳み自在に支持される。
なお、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、ハンドル21の左側に、リアブレーキ操作子として機能するリアブレーキレバー64を備え、第2ブレーキケーブル72の上流部分72Aは、リアブレーキレバー64側から、ヘッドパイプ18の左側方を通ってフロントフレーム19の左側面に沿って後下がりに延出し、ヘッドパイプ18の前方に配置されない。また、スロットルワイヤ41、ハーネス44及び第1ブレーキケーブル71は、上記実施形態と略同様に配置される。
【0060】
図7及び図8に示すように、第2ブレーキケーブル72は、第1ケーブル保持部材81の箇所からフロントフレーム19の上方を通り、フロントフレーム19の右側方へと引き回される。
ここで、図9は、フロントフレーム19上の第2ブレーキケーブル72を周辺構成と共に示す側断面図である。図9に示すように、第2実施形態では、第2ブレーキケーブル72(跨ぎ部分72Bに相当)は、クランクケース23よりも後方、かつ、リアフレーム20の屈曲部20Kよりも前方で、フロントフレーム19の上方に延びる。
【0061】
つまり、第2ブレーキケーブル72の跨ぎ部分72Bは、左右一対のリアフレーム20の間であって、フロントフレーム19と収納ボックス91の間で高さ方向に空く空間Sを通ってフロントフレーム19を横切っている。
【0062】
第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19を上方から跨いだ後、フロントフレーム19の後部に一つ設けられた第2ケーブル保持部材82に保持される。その後、第2ブレーキケーブル72は、右側のスイングアーム16と後輪15との間を通って、リアブレーキ装置62につながる。
図7に示すように、右側のスイングアーム16には、第2ブレーキケーブル72をガイドするブレーキガイド85が設けられる。このブレーキガイド85は、ピリオンステップ38よりも車幅方向内側に配置され、第2ブレーキケーブル72が通るループ部を有し、このループ部の範囲内に、第2ブレーキケーブル72の移動範囲を規制する。
【0063】
このように、本実施形態においても、上記実施形態と同様に、ハンドル21の左右一方に、リアブレーキ操作子として機能するリアブレーキレバー64を備え、リアブレーキレバー64側から延びる第2ブレーキケーブル72が、フロントフレーム19を横切って、リアブレーキレバー64に対して左右逆側に配置されたリアブレーキ装置62に繋がる。これにより、上記実施形態と同様に、第2ブレーキケーブル72を短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保に有利になる、と言った各種の効果が得られる。
【0064】
また、第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19を上方から横切っているので、フロントフレーム19下方の部品配置スペースが第2ブレーキケーブル72によって制約されない。これにより、フロントフレーム19下方の部品のレイアウト自由度が向上する。
【0065】
しかも、第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19と収納ボックス91との間で上下方向に空く空間S(図9参照)を通ってフロントフレーム19を横切っている。この構成によれば、フロントフレーム19と収納ボックス91との間に空くデッドスペースの空間Sを利用して第2ブレーキケーブル72を配置できる。これにより、フロントフレーム19上方の足跨ぎ部33Mのスペースが、第2ブレーキケーブル72で制限されることがなく、足跨ぎスペースを広く確保し易くなる。
【0066】
また、第2ブレーキケーブル72は、フロントフレーム19と収納ボックス91とシートフレームとして機能するリアフレーム20との間に空く空間Sを通ってフロントフレーム19を横切っている。これにより、フロントフレーム19と収納ボックス91とリアフレーム20の間に空くデッドスペースの空間Sを利用して第2ブレーキケーブル72を配置でき、フロントフレーム19上方の足跨ぎスペースを広く確保し易くなる。
【0067】
なお、第2ブレーキケーブル72を、上記空間Sを通してフロントフレーム19を上方から跨ぐように配置する構成に限定しなくてもよい。例えば、図10に示すように、第2ブレーキケーブル72を、収納ボックス91の前方でフロントフレーム19を上方から跨ぐように配置してもよい。この場合、収納ボックス91をフロントフレーム19に寄せて配置でき、収納ボックス91の位置を下げて乗降性を向上し易くなる。
【0068】
また、第2実施形態においても、上記実施形態と同様に、第2ブレーキケーブル72は、リアブレーキレバー64側からフロントフレーム19に沿って延びる上流部分72Aと、フロントフレーム19を跨ぐ跨ぎ部分72Bと、跨ぎ部分72Bよりも下流に位置する下流部分72Cとを有し、下流部分72Cを、駆動源であるパワーユニット12の後方でフロントフレーム19に保持する第2ケーブル保持部材82を有する。これにより、第2ブレーキケーブル72を短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保により有利になる。
【0069】
また、第2実施形態では、図7に示すように、第2ケーブル保持部材82が、ピボット軸22の前後幅よりも後方に配置される。この構成に限定されず、第1実施形態と同様に、第2ケーブル保持部材82が、車体側面視で、ピボット軸22の前後幅上に配置されるようにしてもよい。
【0070】
上述の実施形態は本発明の一態様を示すものであり、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、細部等の構成は適宜に変更してもよい。例えば、第2ケーブル保持部材82をフロントフレーム19の後部に設ける場合を例示したが、フロントフレーム19以外の車体フレーム11に設けるようにしてもよい。また、本発明を、図1等に示す自動二輪車に適用する場合を説明したが、これに限定されず、本発明を、任意の鞍乗り型車両に適用してもよい。なお、鞍乗り型車両は、二輪車両に限定されず、三輪車両、及び四輪車両等でもよい。
【0071】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0072】
(構成1)車体フレームと、前記車体フレームの前部に位置するヘッドパイプに支持されるハンドルと、前記ハンドルの左右一方に設けられるリアブレーキ操作子と、前記車体フレームの後部にスイングアームを介して支持される後輪と、前記リアブレーキ操作子にブレーキケーブルを介して繋がるリアブレーキ装置とを備える鞍乗り型車両において、前記車体フレームは、前記ヘッドパイプから後下方に延びるメインフレームを有し、前記リアブレーキ装置は、前記リアブレーキ操作子に対して左右逆側に配置され、前記ブレーキケーブルが前記メインフレームを横切って配策される鞍乗り型車両。
この構成によれば、ブレーキケーブルを短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保に有利になる。
【0073】
(構成2)前記ブレーキケーブルは、前記メインフレームを下方から横切っている構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレーム上方の足跨ぎ部がブレーキケーブルで制約されることがなく、足跨ぎスペースを広く確保し易くなる。
【0074】
(構成3)前記メインフレームの下方に駆動源を有し、前記ブレーキケーブルと前記駆動源の間に他の車体構成部品が配置される構成2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、駆動源からブレーキケーブルへの熱影響を抑制し易くなる。
【0075】
(構成4)前記ブレーキケーブルは、前記メインフレームを上方から横切っている構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレーム下方の部品のレイアウト自由度が向上する。
【0076】
(構成5)前記メインフレームの上方に支持される収納ボックスを備え、前記ブレーキケーブルは、前記収納ボックスの前方で前記メインフレームを上方から横切っている構成4に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、収納ボックスの位置を下げて乗降性を向上し易くなる。
【0077】
(構成6) 前記メインフレームの上方に支持される収納ボックスを備え、前記ブレーキケーブルは、前記メインフレームと前記収納ボックスとの間で高さ方向に空く空間を通って前記メインフレームを横切っている構成4に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームと収納ボックスとの間に空くデッドスペースを利用してブレーキケーブルを配置できる。
【0078】
(構成7)前記メインフレームから後上方に延びるシートフレームを有し、前記ブレーキケーブルは、前記メインフレームと前記収納ボックスと前記シートフレームとの間に空く空間を通って前記メインフレームを横切っている構成6に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームと収納ボックスとシートフレームとの間に空くデッドスペースを利用してブレーキケーブルを配置でき、メインフレーム上方の足跨ぎスペースを広く確保し易くなる。
【0079】
(構成8)前記メインフレームの下方に駆動源を有し、前記ブレーキケーブルは、前記リアブレーキ操作子側から前記メインフレームに沿って延びる上流部分と、前記メインフレームを跨ぐ跨ぎ部分と、前記跨ぎ部分よりも下流に位置する下流部分とを有し、前記下流部分を、前記駆動源の後方で車体フレームに保持するケーブル保持部材を一つだけ有する構成1から7のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、メインフレームに沿ってブレーキケーブルを、直線に近い経路で配置し易くなり、かつ、スイングアームが上下に揺動しても、ブレーキケーブルを大きく撓めることなく、スイングアームの上下移動に合わせて、ブレーキケーブルを上下動し易くなる。これにより、ブレーキケーブルを短縮化し、伝達ロスの低減や、他の部品の配置スペースの確保により有利になる。
【0080】
(構成9)前記車体フレームは、前記スイングアームの前部を回動自在に支持するピボット軸を有し、前記ケーブル保持部材は、車体側面視で、前記ピボット軸の前後幅上に配置される構成8に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ブレーキケーブルを大きく撓めることなく、上下に揺動するスイングアームに沿わせて配置し易くなり、ブレーキケーブルの短縮化により有利となる。また、デッドスペースを利用してブレーキケーブルを配策でき、足跨ぎスペースを確保し易くなる。
【符号の説明】
【0081】
10 鞍乗り型車両
11 車体フレーム
12 パワーユニット(駆動源)
13 前輪
15 後輪
16 スイングアーム
18 ヘッドパイプ
19 フロントフレーム(メインフレーム)
20 リアフレーム(シートフレーム)
21 ハンドル
22 ピボット軸
23 クランクケース(膨出部)
24 シリンダ部
36 スロットルボディ(他の車体構成部品)
61 フロントブレーキ装置
62 リアブレーキ装置
64 リアブレーキレバー(リアブレーキ操作子)
71 フロントブレーキケーブル(第1ブレーキケーブル)
72 リアブレーキケーブル(第2ブレーキケーブル)
72A 第2ブレーキケーブルの上流部分
72B 第2ブレーキケーブルの跨ぎ部分
72C 第2ブレーキケーブルの下流部分
81 第1ケーブル保持部材
82 第2ケーブル保持部材
83 第3ケーブル保持部材
85 ブレーキガイド
91 収納ボックス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10