(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108034
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】楽音制御装置
(51)【国際特許分類】
G10H 1/24 20060101AFI20240802BHJP
G10H 1/00 20060101ALI20240802BHJP
G10H 1/053 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G10H1/24
G10H1/00 A
G10H1/053 C
G10H1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012287
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】319004537
【氏名又は名称】株式会社エフノート
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】小森 達也
(72)【発明者】
【氏名】古田 吉徳
【テーマコード(参考)】
5D478
【Fターム(参考)】
5D478CC31
5D478CC36
5D478DB01
5D478DB11
5D478HH02
5D478HH14
5D478NN11
(57)【要約】
【課題】音源部及び表示操作部を分離するとともに、演奏時において音源部の出力処理速度が低下するのを抑制することができる楽音制御装置を提供する。
【解決手段】複数の演奏部を有した電子打楽器の楽音制御情報を出力可能とされるとともに、当該楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な楽音制御装置であって、複数の演奏部とそれぞれ接続される接続部1aを有し、各演奏部に対する叩打に応じて、楽音制御情報に基づいて出力する音源部1と、音源部1と接続され、楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な表示操作部6とを具備するとともに、音源部1及び表示操作部6のそれぞれが楽音制御情報を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の演奏部を有した電子打楽器の楽音制御情報を出力可能とされるとともに、当該楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な楽音制御装置であって、
前記複数の演奏部とそれぞれ接続される接続部を有し、各演奏部に対する叩打に応じて、前記楽音制御情報に基づいて出力する音源部と、
前記音源部と接続され、前記楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な表示操作部と、
を具備するとともに、前記音源部及び表示操作部のそれぞれが前記楽音制御情報を有することを特徴とする楽音制御装置。
【請求項2】
前記表示操作部において前記楽音制御情報を操作したとき、当該表示操作部が有する楽音制御情報に基づいて出力されるとともに、その操作後の楽音制御情報が発音に影響を与えないタイミングで前記音源部に送信されて反映されることを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項3】
前記表示操作部は、所定時間毎に前記音源部に対して確認信号を送信するとともに、前記音源部は、前記確認信号の受信の有無により前記表示操作部の異常を検出可能とされたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項4】
前記音源部が有する楽音制御情報と前記表示操作部が有する楽音制御情報とが互いに異なる場合、何れの楽音制御情報を採用するか任意選択可能とされたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項5】
前記表示操作部は、起動時、前記音源部と通信して互換性を確認することを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項6】
前記音源部は、床面に固設可能とされるとともに、前記表示操作部は、前記演奏部の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項7】
前記音源部及び前記表示操作部は、有線又は無線にて接続されたことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項8】
前記表示操作部は、前記音源部に向かって光照射する光照射手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項9】
前記音源部は、電源から電力を供給するための電源プラグを有するとともに、前記表示操作部は、装置を起動するための主電源スイッチを有することを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【請求項10】
前記音源部は、強制的に電源遮断処理を実行する終了スイッチを有することを特徴とする請求項1記載の楽音制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の演奏部を有した電子打楽器の楽音制御情報を出力可能とされるとともに、当該楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な楽音制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子打楽器は、アコースティックドラムやアコースティックシンバル等の特定の自然楽器の打音に基づいて、予め打撃時の波形データを記憶しておき、演奏時の打撃を検出したとき、予め記憶された波形データを出力するよう構成されている。このような電子楽器は、通常、演奏時の打撃に基づく任意の音をスピーカやヘッドフォンから出力させる音源部を具備している。
【0003】
かかる音源部は、複数の演奏部とそれぞれ接続される接続部を背面に有しており、各演奏部に対する叩打に応じて、予め設定された楽音制御情報(例えば、音量や音響効果等)に基づいて出力するよう構成されている。また、従来の音源部は、楽音制御情報を任意に調整及び表示し得る表示操作部を具備しており、操作者が任意に楽音制御情報を操作可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の音源部は、演奏者が楽音制御情報を操作し易い位置(例えば、操作者が手の届くようにスタンド等に支持させた位置)に設置する必要があるものの、接続される演奏部が多数に及ぶものにおいては、演奏部に応じた数の入力ジャックが必要されて筐体が大きくなってしまい、スタンド等に安定して支持させるのが困難な場合が想定される。
【0006】
そこで、このような不具合を解消するため、音源部と表示操作部とを分離して構成し、音源部を床面に設置するとともに表示操作部をスタンド等で別個に支持させることが考えられる。しかし、音源部と表示操作部とを分離するとともに、音源部が専ら楽音制御情報を有し、その楽音制御情報を表示操作部で操作する場合、表示操作部が現在表示すべき楽音制御情報の内容を音源部に対して逐次通信して得る必要があるため、演奏時において音源部の出力処理速度が低下してしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、音源部及び表示操作部を分離するとともに、演奏時において音源部の出力処理速度が低下するのを抑制することができる楽音制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、複数の演奏部を有した電子打楽器の楽音制御情報を出力可能とされるとともに、当該楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な楽音制御装置であって、前記複数の演奏部とそれぞれ接続される接続部を有し、各演奏部に対する叩打に応じて、前記楽音制御情報に基づいて出力する音源部と、前記音源部と接続され、前記楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な表示操作部と、を具備するとともに、前記音源部及び表示操作部のそれぞれが前記楽音制御情報を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記表示操作部において前記楽音制御情報を操作したとき、当該表示操作部が有する楽音制御情報に基づいて出力されるとともに、その操作後の楽音制御情報が発音に影響を与えないタイミングで前記音源部に送信されて反映されることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記表示操作部は、所定時間毎に前記音源部に対して確認信号を送信するとともに、前記音源部は、前記確認信号の受信の有無により前記表示操作部の異常を検出可能とされたことを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記音源部が有する楽音制御情報と前記表示操作部が有する楽音制御情報とが互いに異なる場合、何れの楽音制御情報を採用するか任意選択可能とされたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記表示操作部は、起動時、前記音源部と通信して互換性を確認することを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記音源部は、床面に固設可能とされるとともに、前記表示操作部は、前記演奏部の任意位置に取り付け可能とされたことを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記音源部及び前記表示操作部は、有線又は無線にて接続されたことを特徴とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記表示操作部は、前記音源部に向かって光照射する光照射手段を具備したことを特徴とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記音源部は、電源から電力を供給するための電源プラグを有するとともに、前記表示操作部は、装置を起動するための主電源スイッチを有することを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、請求項1記載の楽音制御装置において、前記音源部は、強制的に電源遮断処理を実行する終了スイッチを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、複数の演奏部とそれぞれ接続される接続部を有し、各演奏部に対する叩打に応じて、楽音制御情報に基づいて出力する音源部と、音源部と接続され、楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な表示操作部とを具備するとともに、音源部及び表示操作部のそれぞれが楽音制御情報を有するので、音源部及び表示操作部を分離するとともに、演奏時において音源部の出力処理速度が低下するのを抑制することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、表示操作部において楽音制御情報を操作したとき、当該表示操作部が有する楽音制御情報に基づいて出力されるとともに、その操作後の楽音制御情報が発音に影響を与えないタイミングで音源部に送信されて反映されるので、演奏時において音源部の出力処理速度が低下するのを確実に抑制することができる。
【0020】
請求項3の発明によれば、表示操作部は、所定時間毎に音源部に対して確認信号を送信するとともに、音源部は、確認信号の受信の有無により表示操作部の異常を検出可能とされたので、音源部及び表示操作部の間の通信が途絶えた場合などの異常を早急に把握することができる。
【0021】
請求項4の発明によれば、音源部が有する楽音制御情報と表示操作部が有する楽音制御情報とが互いに異なる場合、何れの楽音制御情報を採用するか任意選択可能とされたので、意図しない楽音制御情報に基づく出力を確実に防止することができる。
【0022】
請求項5の発明によれば、表示操作部は、起動時、音源部と通信して互換性を確認するので、互換性がないことによる不具合を回避することができる。
【0023】
請求項6の発明によれば、音源部は、床面に固設可能とされるとともに、表示操作部は、演奏部の任意位置に取り付け可能とされたので、音源部に多数の演奏部を容易に接続することができるとともに、演奏者の手の届く所望の位置に表示操作部を取り付けることができ、操作性を向上させることができる。
【0024】
請求項7の発明によれば、音源部及び表示操作部は、有線又は無線にて接続されたので、有線で接続することにより音源部及び表示操作部の間において安定した通信を行わせることができるとともに、無線で接続することにより表示操作部の可搬性及び操作性を向上させることができる。
【0025】
請求項8の発明によれば、表示操作部は、音源部に向かって光照射する光照射手段を具備したので、音源部の周囲を明るくして音源部に対する通信ケーブル等の接続作業を容易に行わせることができる。
【0026】
請求項9の発明によれば、音源部は、電源から電力を供給するための電源プラグを有するとともに、表示操作部は、装置を起動するための主電源スイッチを有するので、表示操作部の配線を簡素化することができるとともに、表示操作部が切断された状態などにおける楽音制御装置の意図しない起動を回避することができる。
【0027】
請求項10の発明によれば、音源部は、強制的に電源遮断処理を実行する終了スイッチを有するので、何らかの原因で表示操作部との通信が途絶え、音源部を強制終了せざるを得ない場合に、電源遮断時のノイズ発生を回避する処理を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る楽音制御装置を示すブロック図
【
図2】同楽音制御装置が適用される電子打楽器を示す模式図
【
図5】同楽音制御装置における表示操作部を示す斜視図
【
図6】同楽音制御装置における表示操作部を示す6面図
【
図7】同楽音制御装置による制御内容(起動時)を示すフローチャート
【
図8】同楽音制御装置による制御内容(発音処理時)を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る楽音制御装置は、複数の演奏部を有した電子打楽器の楽音制御情報を出力可能とされるとともに、当該楽音制御情報を任意に操作及び表示可能なもので、
図1~6に示すように、電子打楽器Dにおいて、音源部1と表示操作部6とが分離して配設されるとともに、これら音源部1と表示操作部6とが通信ケーブルCを介して接続(有線にて接続)されている。
【0030】
音源部1は、床面に固設可能とされるとともに、表示操作部6は、演奏部の任意位置に取り付け可能とされている。特に、本実施形態においては、
図2に示すように、電子打楽器Dが設置された床面に音源部1を固設するとともに、演奏部のスタンドに表示操作部6が取り付けられている。なお、本実施形態においては、音源部1及び表示操作部6は、有線にて接続されているが、音源部1及び表示操作部6との間において、例えば電波や赤外線等により演奏に必要な情報(制御信号など)を送信及び受信(無線にて接続)するようにしてもよい。
【0031】
適用される電子打楽器Dは、電子的に打撃音を生成して演奏時に出力し得るもので、本実施形態においては、電子ドラムや電子シンバル等から成る演奏部(a~h)を有し、演奏者がスティック等で打撃することにより演奏可能とされている。演奏部(a~h)は、演奏時に打撃し得る打撃部と、打撃部に対する演奏時の打撃を検出し、その検出信号を送信可能な振動センサを有しており、振動センサで検出された検出信号が音源部1に送信されるよう構成されている。そして、音源部1が演奏部(a~h)から検出信号を受信すると、その検出信号に応じた出力信号をスピーカやヘッドフォンなどの音出力部11に出力可能とされている。
【0032】
本実施形態に係る音源部1は、複数の演奏部(a~h)とそれぞれ接続される接続部1aを有し、各演奏部(a~h)に対する叩打に応じて、楽音制御情報に基づいて出力するもので、
図1に示すように、音出力部11に対して発音させる発音部2と、楽音制御情報を記憶するメモリから成る記憶部3と、楽音制御装置の制御を行うマイコン等から成る制御部4と、表示操作部6と通信する通信部5とを有して構成されている。
【0033】
そして、演奏時、演奏者が演奏部(a~h)を叩打すると、制御部4による制御によって、記憶部3で記憶された楽音制御情報に基づいて楽音を生じさせ、発音部2から音出力部11に対して出力信号を出力することにより所望の楽音を発音させることができる。楽音制御情報は、任意のパラメータ(例えば、電子打楽器Dの音量、音質、楽音、音響効果、出力先の設定、及び演奏部(a~h)の調整項目等)から成り、表示操作部6にて操作可能とされている。
【0034】
表示操作部6は、音源部1と接続され、楽音制御情報を任意に操作及び表示可能なもので、
図1に示すように、操作部8及び楽音制御情報を表示可能な表示部7と、楽音制御情報を記憶するメモリから成る記憶部9と、音源部1と通信する通信部10とを有して構成されている。本実施形態に係る表示部7は、種々の文字、数字及び図柄を表示させ得るタッチパネルから成り、設定されている楽音制御情報に加え、
図5、6に示すように、楽音制御情報を操作するための操作部8等が表示可能とされている。
【0035】
そして、操作者が操作部8を触れて楽音制御情報を任意に操作すると、操作後の楽音制御情報が記憶部9に記憶されるとともに、通信部10から音源部1に対して送信可能とされている。この送信された楽音制御情報は、通信ケーブルCを介して音源部1の通信部5にて受信され、制御部4の制御によって記憶部3に記憶された楽音制御情報と置き換えられて更新される。したがって、音源部1は、更新された楽音制御情報に基づいて楽音を生じさせるようになっている。
【0036】
このように、本実施形態においては、音源部1及び表示操作部6が分離して構成されるとともに、これら音源部1及び表示操作部6のそれぞれが楽音制御情報を有するよう構成されているので、演奏時において、表示操作部6が現在表示すべき楽音制御情報の内容を音源部1に対して逐次通信する必要がなく、その通信に費やす処理を削減することができる。
【0037】
ここで、本実施形態に係る表示操作部6は、
図6に示すように、音源部1に向かって光照射する光照射手段6aを具備している。かかる光照射手段6aは、例えばLEDから成り、表示操作部6がスタンド等にて支持された状態において、下方に固設された音源部1に向かって光を照射し得るよう構成されている。これにより、音源部1の周囲を明るくして音源部1に対する通信ケーブル等の接続作業を容易に行わせることができる。
【0038】
また、音源部1は、電源から電力を供給するための電源プラグを有するとともに、表示操作部6は、装置を起動するための主電源スイッチF(
図6参照)を有している。これにより、表示操作部6の配線を簡素化することができるとともに、表示操作部6が切断された状態などにおける楽音制御装置の意図しない起動を回避することができる。さらに、本実施形態に係る音源部1は、強制的に電源遮断処理を実行する終了スイッチB(
図3、4参照)を有している。これにより、終了時に電源プラグを抜いてしまい大音量のノイズが発生してしまうのを確実に回避することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る楽音制御装置によれば、表示操作部6において楽音制御情報を操作したとき、当該表示操作部6が有する楽音制御情報に基づいて出力されるとともに、その操作後の楽音制御情報が発音に影響を与えないタイミングで音源部1に送信されて反映されるようになっている。これにより、演奏時において音源部1の出力処理速度が低下するのを確実に抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る表示操作部6は、所定時間毎に音源部1に対してセンス信号(確認信号)を送信するとともに、音源部1は、センス信号(確認信号)の受信の有無により表示操作部6の異常を検出可能とされている。これにより、音源部1及び表示操作部6の間の通信が途絶えた場合などの異常を早急に把握することができる。
【0041】
加えて、本実施形態に係る楽音制御装置は、音源部1が有する楽音制御情報と表示操作部6が有する楽音制御情報とが互いに異なる場合、何れの楽音制御情報を採用するか任意選択可能とされている。これにより、意図しない楽音制御情報に基づく出力を確実に防止することができる。さらに、表示操作部6は、起動時、音源部1と通信して互換性を確認するよう構成されている。これにより、互換性がないことによる不具合を回避することができる。
【0042】
次に、本実施形態に係る楽音制御装置の制御内容について、
図7、8で示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、起動時においては、
図7に示す制御が行われることとなり、S1にて表示操作部6の主電源スイッチFが押圧操作されてスイッチオンされたことが判断されると、S2にて音源部1及び表示操作部6の電源がオンして楽音制御装置が起動するとともに、S3にて表示操作部6が音源部1と通信して互換性を確認する。かかる互換性は、例えばソフトウェアのバージョンや通信のためのソフトウェアの種類等が挙げられる。
【0043】
そして、S3にて互換性があると判断されると、S4にて音源部1において表示操作部6が有する楽音制御情報が記憶されているか否か判断するとともに、音源部1に当該楽音制御情報が記憶されていない(すなわち、音源部1が有する楽音制御情報と表示操作部6が有する楽音制御情報とが互いに異なる)と判断されると、S5にて表示操作部6の楽音制御情報を音源部1に送信して記憶させることにより更新する。
【0044】
一方、S3にて互換性がないと判断されると、S6にて互換プログラムにより互換性のあるソフトウェアに書き換え、S4にて音源部1において表示操作部6が有する楽音制御情報が記憶されていると判断されると、S7にて音源部1が有する楽音制御情報と表示操作部6が有する楽音制御情報の何れの楽音制御情報とするか操作者に選択させる。かかる楽音制御情報の選択は、例えば表示操作部6の表示部7に何れを選択すべきか表示するとともに、操作部8にて選択操作させるようにするのが好ましい。その後、S7にて表示操作部6が有する楽音制御情報が選択されると、S8にて当該楽音制御情報を音源部1に送信して記憶させる。また、S7にて音源部1が有する楽音制御情報が選択されると、S8にて当該楽音制御情報を表示操作部6に送信して記憶させ、続いて音源部発音処理が行われる。
【0045】
音源部発音処理においては、
図8に示す制御が行われることとなり、S9にて演奏部(a~h)からの入力があるか否か判断し、演奏部(a~h)から入力がある場合は、S10にて楽音を発音させた後、繰り返しS9が行われるとともに、演奏部(a~h)から入力がない場合は、S11に進む。S11においては、表示操作部6から変更された楽音制御情報を受信したか否か判断され、変更された楽音制御情報を受信したと判断された場合、受信した楽音制御情報(操作後の楽音制御情報)を記憶して反映させた後、S13に進む。
【0046】
一方、S11にて変更された楽音制御情報を受信しないと判断された場合、S12をスキップしてS13に進む。S13においては、センス信号(確認信号)を継続的に受信したか否か判断され、センス信号(確認信号)を継続的に受信していると判断された場合、S9に戻って一連の制御が繰り返されるとともに、センス信号(確認信号)を継続的に受信していないと判断された場合、S14にて音源部1のエラーランプEを点灯させた後、S15にて強制消音処理が行われる。
【0047】
ところで、表示操作部6に楽音制御情報を持たない従来技術の場合、表示操作部6は表示内容を更新するため、音源部1に楽音制御情報の現在値を逐次問い合わせる必要があった。つまり、音源部1は表示操作部6から楽音制御情報の現在値取得要求を受信しているかを逐次確認する必要があり、受信している場合は全ての現在値を返信し終えるまで通信を続けなければならず、次の発音までの処理時間を長くする原因となっていた。特に、画面表示の切替時など、表示操作部6が一度に多量の楽音制御情報の現在値を取得する必要がある場合は、音源部1は現在値の返信を繰り返して次のステップに進めず、発音の遅れや音切れ(ノイズ)が発生する場合があった。
【0048】
本実施形態によれば、複数の演奏部(a~h)とそれぞれ接続される接続部1aを有し、各演奏部(a~h)に対する叩打に応じて、楽音制御情報に基づいて出力する音源部1と、音源部1と接続され、楽音制御情報を任意に操作及び表示可能な表示操作部6とを具備するとともに、音源部1及び表示操作部6のそれぞれが楽音制御情報を有するので、音源部1及び表示操作部6を分離するとともに、演奏時において音源部1の出力処理速度が低下するのを抑制することができる。
【0049】
また、音源部1は、床面に固設可能とされるとともに、表示操作部6は、演奏部(a~h)の任意位置に取り付け可能とされたので、音源部1に多数の演奏部(a~h)を容易に接続することができるとともに、演奏者の手の届く所望の位置に表示操作部6を取り付けることができ、操作性を向上させることができる。さらに、音源部1及び表示操作部6は、有線又は無線にて接続されたので、有線で接続することにより音源部1及び表示操作部6の間において安定した通信を行わせることができるとともに、無線で接続することにより表示操作部6の可搬性及び操作性を向上させることができる。
【0050】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、光照射手段6aや主電源スイッチFを具備しない表示操作部6、或いは終了スイッチBを具備しない音源部1としてもよい。また、電子打楽器Dが他の演奏部(a~h)を具備するもの、表示操作部6の操作部8が機械式のスイッチ(シーソースイッチやスライドスイッチ)等から成るものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明と同趣旨の楽音制御装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 音源部
1a 接続部
2 発音部
3 記憶部
4 制御部
5 通信部
6 表示操作部
6a 光照射手段
7 表示部
8 操作部
9 記憶部
10 通信部
11 音出力部
D 電子打楽器
C 通信ケーブル
a~h 演奏部
F 主電源スイッチ
B 終了スイッチ