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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108035
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】充電制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240802BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240802BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240802BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240802BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240802BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/32
H02J3/14
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012288
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 淳
(72)【発明者】
【氏名】環貫 陽
(72)【発明者】
【氏名】茂手木 直也
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5G066KA01
5G066KA12
5G066KB01
5G066KC01
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB01
5G503CB16
5G503CC02
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】建物の機能を維持しつつ、蓄電池と電気自動車への効率的な充電の制御を可能とする充電制御システムを提供する。
【解決手段】充電制御システムは、建物に関して収集された収集データに基づいて、所定の時間帯ごとに、特定負荷及び前記特定負荷以外の一般の電力負荷に関する建物の電力需要と、前記建物に収容されるEVの充電需要とを予測する予測部を含む。充電制御システムは、前記電力需要及び前記充電需要に基づいて、目標とする供給電力上限を超えない範囲において、前記建物に備えられた蓄電池と、EVとに対する前記時間帯ごとの充電スケジュールを作成する予定作成部を含む。充電制御システムは、EVの台数が充電可能台数よりも多い場合に、EVの充電スケジュールを更新する更新部と、作成又は更新されたEVの充電スケジュールと、あらかじめ定めた充電制御方式とに応じて、前記接続されたEVに対する充電を制御する制御部と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に関して収集された収集データに基づいて、所定の時間帯ごとに、建物の停電時にも電力供給を要する特定の設備に関する電力負荷である特定負荷及び前記特定負荷以外の一般の電力負荷に関する建物の電力需要と、前記建物に収容される電気自動車の充電需要とを予測する予測部と、
前記電力需要及び前記充電需要に基づいて、目標とする供給電力上限を超えない範囲において、前記建物に備えられた蓄電池と、前記電気自動車とに対する前記時間帯ごとの充電スケジュールを作成する予定作成部と、
所定時間ごとに、前記建物の所定の充電器に充電のために接続された前記電気自動車の台数と、前記充電スケジュールによって規定される充電可能台数との比較において、前記台数が前記充電可能台数よりも多い場合に、前記電気自動車の充電スケジュールを更新する更新部と、
作成又は更新された前記電気自動車の充電スケジュールと、あらかじめ定めた充電制御方式とに応じて、前記接続された前記電気自動車に対する充電を制御する制御部と、
を含む充電制御システム。
【請求項2】
前記予測部は、
前記建物の電力需要の予測において、
前記時間帯ごとの前記特定負荷に確保する容量と、前記時間帯ごとの前記一般の電力負荷に確保する容量と、をそれぞれ予測し、
前記特定負荷の容量の予測に基づいて、前記蓄電池について、停電時に備えた前記特定負荷への電力を確保し、かつ、前記電気自動車に対する放電許容量を決定し、
前記制御部は、前記充電スケジュールに従った前記電気自動車への充電において、前記放電許容量まで前記蓄電池の電力を前記電気自動車の充電に供するように制御する、
請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項3】
前記予定作成部は、
予測される前記特定負荷の容量及び前記一般の電力負荷の容量を合わせた前記建物の設備の電力使用量が、前記供給電力上限を超える時間帯がある場合に、
前記供給電力上限を超えた分の前記建物の設備の容量を、前記供給電力上限に達した場合の電力供給のピークカットに供される前記蓄電池からの前記時間帯ごとの放電量とし、
前記放電量に応じて必要な前記時間帯ごとの前記蓄電池の充電需要を含む前記充電スケジュールを作成する、
請求項2に記載の充電制御システム。
【請求項4】
前記予定作成部は、
前記時間帯の各々について、前記特定負荷の電力需要、前記一般の電力負荷、及び前記蓄電池の充電需要、前記電気自動車への充電需要を含む合計の電力需要が、前記供給電力上限を超える場合には、当該時間帯について前記電気自動車への充電が実施されないように前記充電スケジュールを作成する、
請求項3に記載の充電制御システム。
【請求項5】
電力供給に太陽光発電の電力供給を含み、
前記制御部は、予測された前記特定負荷の容量と太陽光発電の電力とを比較し、余剰となる前記太陽光発電の電力がある場合に、前記蓄電池からの前記電気自動車への充電を停止し、前記太陽光発電の電力を前記電気自動車への充電に割り当てる、
請求項2に記載の充電制御システム。
【請求項6】
前記充電制御方式は、
前記電気自動車の充電状態に対して定めた優先順位による台数制限を課した制御、又は、出力制限をして全台に充電する制御の何れかの制御方式を用いる、
請求項1に記載の充電制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の電力需要を制御するための技術が開示されている。
【0003】
例えば、蓄電装置の充電を制御することによって、蓄電装置の充電および放電を効率良く実行する蓄電システムに関する技術がある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、特定負荷の消費電力及び蓄電池の充電電力を予測して算出し、第2所定時間における一般負荷30の消費電力と第1所定時間内における充電電力とを比較して得られた情報に基づき、蓄電装置の充電を制御することを開示している。
【0004】
また、近年、電気自動車(以下、EV:Electric Vehicle)の普及に伴い、EV用の充電器(以下、EV充電器)を設置した駐車場等が増えており、そのようなEVに対する充電(以下、EV充電)に関する技術が開示されている。
【0005】
例えば、限られた電力量の範囲内で、多くの電気自動車のバッテリを効率よく充電する技術がある(例えば、特許文献2)。特許文献2の充電最適制御装置は、選択した充電方式に基づいて、各電気自動車のバッテリに対する充電を制御する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-111986号公報
【特許文献2】特開2012-075247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、建物に備えられた駐車場にEV充電器を設置し、EV充電を実施する需要がある。建物のEV充電では、複数のEVに対する充電が実施される。この場合、特許文献1に記載されているような建物の蓄電池の充電制御と、特許文献2に記載されているようなEV充電とを組み合わせる必要が出てくる。
【0008】
しかしながら、EV充電の電力需要が特定の時間帯に集中すると、瞬間的な電力需要量である電力デマンドの引き上げにより、建物の供給電力上限を超えることが懸念される。
【0009】
建物側の電力需要が多い場合、EV充電に使用できる電力が少なくなる。なお、一般的な制御の方法としては建物の利用を優先し、建物側需要電力と設定した目標とする電力デマンド値の差分電力のみをEV充電器で使用できるよう制御することが多いとされる。EV充電に使用できる電力量が限られている状況では、各EVのバッテリ充電量にばらつきが出る恐れがある。
【0010】
従来技術では、建物の電力需要、蓄電池の充電、及びEV充電を同時に制御することは想定されていなかった。
【0011】
また、特許文献1は、系統電源の停電時に蓄電池から特定負荷への電力供給を行うことは想定されておらず、停電時に建物の設備の維持ができない恐れがある。
【0012】
また、季節要因等の影響により特定負荷には変動が生じる。そのため、BCP(BCP:Business Continuity Plan)対応にも使用する蓄電池を用いてEVへの電力供給を実現するには、特定負荷の変動も考慮する必要がある。
【0013】
また、BCP対応にも使用する蓄電池とEV充電器を一つのシステムに組み込んだ場合、建物、EV充電、及び蓄電池の充電の需要のそれぞれが重なり、すなわち目標デマンドを超える恐れがある。
【0014】
本発明は上記事実を考慮して、建物の機能を維持しつつ、蓄電池と電気自動車への効率的な充電の制御を可能とする充電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の充電制御システムは、建物に関して収集された収集データに基づいて、所定の時間帯ごとに、建物の停電時にも電力供給を要する特定の設備に関する電力負荷である特定負荷及び前記特定負荷以外の一般の電力負荷に関する建物の電力需要と、前記建物に収容される電気自動車の充電需要とを予測する予測部と、前記電力需要及び前記充電需要に基づいて、目標とする供給電力上限を超えない範囲において、前記建物に備えられた蓄電池と、前記電気自動車とに対する前記時間帯ごとの充電スケジュールを作成する予定作成部と、所定時間ごとに、前記建物の所定の充電器に充電のために接続された前記電気自動車の台数と、前記充電スケジュールによって規定される充電可能台数との比較において、前記台数が前記充電可能台数よりも多い場合に、前記電気自動車の充電スケジュールを更新する更新部と、作成又は更新された前記電気自動車の充電スケジュールと、あらかじめ定めた充電制御方式とに応じて、前記接続された前記電気自動車に対する充電を制御する制御部と、を含む。これにより、建物の特定負荷を含む電力需要を考慮して、建物が提供する充電の効率化を図ることが可能となる。
【0016】
また、充電制御システムにおいて、前記予測部は、前記建物の電力需要の予測において、前記時間帯ごとの前記特定負荷に確保する容量と、前記時間帯ごとの前記一般の電力負荷に確保する容量と、をそれぞれ予測し、前記特定負荷の容量の予測に基づいて、前記蓄電池について、停電時に備えた前記特定負荷への電力を確保し、かつ、前記電気自動車に対する放電許容量を決定し、前記制御部は、前記充電スケジュールに従った前記電気自動車への充電において、前記放電許容量まで前記蓄電池の電力を前記電気自動車の充電に供するように制御する、ようにできる。これにより、特定負荷及び一般的な電力負荷をそれぞれ分けて予測することで、電気自動車への充電を最適化できる。
【0017】
また、充電制御システムにおいて、前記予定作成部は、予測される前記特定負荷の容量及び前記一般の電力負荷の容量を合わせた前記建物の設備の電力使用量が、前記供給電力上限を超える時間帯がある場合に、前記供給電力上限を超えた分の前記建物の設備の容量を、前記供給電力上限に達した場合の電力供給のピークカットに供される前記蓄電池からの前記時間帯ごとの放電量とし、前記放電量に応じて必要な前記時間帯ごとの前記蓄電池の充電需要を含む前記充電スケジュールを作成する、ようにできる。これにより、蓄電池の放電許容量を電気自動車の充電に割り当て、電気自動車への充電を最適化できる。
【0018】
また、充電制御システムにおいて、前記予定作成部は、前記時間帯の各々について、前記特定負荷の電力需要、前記一般の電力負荷、及び前記蓄電池の充電需要、前記電気自動車への充電需要を含む合計の電力需要が、前記供給電力上限を超える場合には、当該時間帯について前記電気自動車への充電が実施されないように前記充電スケジュールを作成する、ようにできる。これにより、蓄電池に必要な電力を確保しつつ、電気自動車への充電を最適化できる。
【0019】
また、充電制御システムにおいて、電力供給に太陽光発電(PV)の電力供給を含み、前記制御部は、予測された前記特定負荷の容量と太陽光発電の電力とを比較し、余剰となる前記太陽光発電の電力がある場合に、前記蓄電池からの前記電気自動車への充電を停止し、前記太陽光発電の電力を前記電気自動車への充電に割り当てる、ようにできる。また、系統電源の停電時の場合に、太陽光発電の電力を、電気自動車への充電に用いるようにもできる。これにより、太陽光発電を電気自動車の充電に割り当て、蓄電池を含めた、電気自動車への充電を最適化できる。
【0020】
また、充電制御システムにおいて、前記充電制御方式は、前記電気自動車の前記充電状態に対して定めた優先順位による台数制限を課した制御、又は、出力制限をして全台に充電する制御の何れかの制御方式を用いる、ようにできる。これにより、建物で可能な電力供給に応じて、電気自動車への望ましい充電制御を適用できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、建物の特定負荷を含む電力需要を考慮して、建物が提供する充電の効率化を図ることが可能となる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1に、本実施形態の充電制御システムの構成の概略図を示す。
図2図2は、制御装置の機能的な構成を示す図である。
図3図3は、充電制御の方式を説明する図である。
図4図4は、特定負荷と蓄電池の概念図である。
図5図5は、電力需要に対する蓄電池の使用イメージである。
図6図6は、蓄電池の容量の使用イメージの概略図である。
図7図7は、蓄電池の特定負荷用の電力量の従来の設定方法と本手法での設定方法の違いを示す図である。
図8図8は、平常時における蓄電池の充電制御の態様の一例である。
図9図9は、停電時における蓄電池の充電制御のイメージである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る処理を示すフローチャートである。
図11図11は、特定負荷の需要予測とPVの発電予測を比較した例である。
図12図12は、本実施形態のPVからのEV充電への電力供給のイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態の背景及び先行技術の問題点について説明する。
【0024】
上記課題において述べたように、電気自動車(EV)の充電を建物で実施するには課題がある。特に建物に併設される駐車場において複数台のEV充電器が設置される場合は、高圧一括受電し建物と駐車場に配電すると想定されるため、建物側の需要電力も考慮しなければならない。そのため、前述のような状況において電力デマンド上昇を抑制する制御や電力デマンドの値の平準化制御が必要とされている。
【0025】
ここで、建物側の需要電力に対して設定した目標とする電力のデマンドの値を「目標デマンド」と定義する。目標デマンドは建物20の供給電力上限である。
【0026】
一般的な制御の方法としては建物の利用を優先し、目標デマンドの差分電力のみをEV充電器で使用できるよう制御することが多い。しかしながら、問題点1として建物側の電力需要が多い場合、EV充電に使用できる電力が少なくなるという問題がある。
【0027】
また、問題点2として上記のようにEVの充電に使用できる電力量が限られている状況では、各EVのバッテリ充電量にばらつきが出る恐れがある。複数台のEVが充電を要望する場合、一般的には充電台数を制限したうえで、先着順で充電する、又は一定時間で充電するEVを切り替える、といった制御を行う。しかし、EVのバッテリ残量のばらつきを考慮していないため、特定の時間帯に利用が集中する状況において、各EVの充電状況にばらつきが生じ、EVの使用者のニーズに応えられない恐れがある。前述の使用形態としては、事業所等で通勤者や営業車等の午前中に駐車され日中に充電し、夕方に出庫するというような形態が挙げられる。
【0028】
一般的なEV充電を備える建物の駐車場には、上述の問題点1及び問題点2が考えられるが、先行技術において、例えば、下記のような対策が講じられている。
【0029】
問題点1に対しては、定置型蓄電池(以下、蓄電池)を追加することで目標デマンドを超えた電力について、蓄電池から電力供給する「ピークカット制御」を行う手法がある。一般に蓄電池はピークカット制御以外にもBCP対応として使う状況も考えられる。停電等で系統電源からの電力供給が停止した際にも使用したい設備、いわゆる「特定負荷」に対して、停電時に電力供給を行う使い方であり、特定負荷を一定時間動かせるように一定の電力量を常に保持しておかなければいけない。「特定負荷」には一般的にエレベータやサーバ、重要機能室の空調などが該当し、特定負荷用に蓄電池内に保持しなければいけない容量(kWh)は特定負荷の設備容量の総和(kW)と使用したい時間(h)の積で決めることが多い。このように蓄電池とEV充電器を組み合わせる場合、蓄電池自体の充電もデマンド制御下で行う必要がある。特許文献1では、例えば、蓄電池の充電は夜間に行うことを想定し、特定負荷の消費電力と蓄電池への充電電力の和が契約電力値、すなわち目標とする電力デマンド値を超えないように制御している。制御では、夜間の特定負荷の需要電力量の予測値から蓄電池への給電可能電力を決定し、設定した時間までに満充電になるように充電スケジュールを立てる想定となる。
【0030】
また、問題点2に対して、先行技術の特許文献2において、例えばEVの充電状況(以後、SOC:State of Charge)を元に充電の優先順位を付けるといった制御もある。この場合、接続されたEVのSOC情報を取得できるEV充電器(例えばCHAdeMOのような規格)を利用し、各EVのSOCを比較して充電の優先順位を決定する。他にも管理者が充電条件を指定できる条件指定方式やEV充電器に接続されているすべてのEVに均等に電力を振り分ける均等充電方式など5つの充電メニューから管理者が充電方式を選択可能としている。
【0031】
しかし先行特許のシステムの場合、次のような課題がある。課題(1)は、系統電源の停電時に蓄電池から特定負荷への電力供給を行うことを想定していない点である。また、特定負荷の需要予測も行っているが、特定負荷用として蓄電池に保持する電力量を決定するために使っていない。
【0032】
課題(2)は、特定負荷の想定が一定である点である。特定負荷用として蓄電池内に確保しておく電力量は、特定負荷の設備容量の総和と停電時に使用したい時間の積(特定負荷の総使用電力量[kWh])で計算し年間を通じて一定値とする場合が多い。しかし特定負荷の需要にも季節による変動があるため、中間期などは前述の計算によると過剰となる可能性がある。従って特定負荷需要の変動に追従して蓄電池の充電を制御することでEV充電に使用可能な電力を増やすことができると考えられる。
【0033】
課題(3)は、上記の先行特許はそれぞれ個別の技術であり、BCP対応にも使用する蓄電池とEV充電器を一つのシステムに組み込んだ時、建物、EV充電、蓄電池の充電の需要が重なり目標デマンドを超える恐れがある点である。
【0034】
課題(4)は、EV充電のシステムとして平常時の充電の効率化を想定しているが、系統電源が停電した際のEV充電は考えられていない点である。
【0035】
そこで、本実施形態では、既存の構成機器を変更し、建物運用を想定とした構成に変更する。図1に、本実施形態の充電制御システムの構成の概略図を示す。本実施形態の充電制御システム10は、エネルギーマネジメントシステム(EMS)である制御装置100、EV充電器102、蓄電池104、建物の電力系統(特定負荷106及び一般の電力負荷108)、及び太陽光発電(PV:Photovoltaic)パネル110(以下、PV110)から構成される。WHは電力量計である。EV充電器102、蓄電池104は建物20と同じ電源系統に接続されている。EV充電器102には、EV30が充電のために接続されている(以下、説明の便宜のため、適宜、各要素の符号を省略する場合がある)。
【0036】
EMS(制御装置100)は建物内の設備機器とEV充電器102、蓄電池104等全てを制御する最も上位側のシステムとする。EV充電器102はCHAdeMO規格品であり、接続したEV30のSOCを取得可能である。蓄電池104は常用/非常用を兼ねるものであり、平常時はピークカット、系統電源の停電等の非常時には特定負荷への電力供給を行う。
【0037】
図2は、制御装置100の機能的な構成を示す図である。制御装置100は、記憶部130と、予測部120と、予定作成部122と、更新部124と、制御部126とを含んで構成される。制御のロジックとしては、事前に充電スケジュールの予定作成工程と実稼働時に充電制御を行う制御工程の2段階に分かれる。予定作成工程は、予測部120及び予定作成部122の処理であり、制御工程は、更新部124及び制御部126の処理である。制御装置100のハードウェア構成としては、CPU(Central Processing Unit)、各処理ルーチンを実現するためのプログラム等を記憶したROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、記憶手段としてのメモリ、及びネットワークインタフェース等を含んだコンピュータにより実現される。記憶部130は、機能として、ROM、RAM、又はメモリの何れかを用いてデータを記憶する。
【0038】
記憶部130には、建物に関して収集された収集データが格納される。収集データは、建物20の各設備の日別の時間帯ごとの電気使用量の予定、日別の時間帯ごとのEVの接続予定、リアルタイムに建物20に接続されているEVの台数、及び各EVのSOC情報等である。設備は、照明、空調、エレベータ、及び電子機器などである。設備の電力負荷は、特定負荷と、一般の電力負荷に分けられる。特定負荷は建物の停電時にも電力供給を要する特定の設備に関する電力負荷である。特定の設備は、エレベータ、サーバ、その他の維持が必要な重要な設備などである。一般の電力負荷は特定負荷以外の電力負荷である。電気使用量の予定は、過去の設備の電力使用量から求めた統計情報であり、日別の電力使用量の予定、及び一日における時間帯別の電力使用量の予定に細分化される。日別の電力使用量の予定は、後述する月別の総電力量を日割りした電力使用量とする。また、一日における時間帯別の電力使用量の予定は、例えば、月ごとの建物20の時間帯別の電力使用量の平均を標準化した値を重みとして用いればよい。
【0039】
以下、制御装置100の各部の処理概要を説明する。
【0040】
予測部120は、収集データに基づいて、時間帯ごとに、特定負荷及び一般の電力負荷に関する建物20の電力需要と、建物20に収容されるEVの充電需要とを予測する。建物の電力需要は、一般の電力負荷、特定負荷のそれぞれについて予測する。予測部120では、建物20の電力需要の予測において、収集データの建物20の電力使用の予定を用いて予測を行う。予測部120は、時間帯ごとの特定負荷に確保する容量と、時間帯ごとの一般の電力負荷に確保する容量とのそれぞれを予測する。また、予測部120は、特定負荷の容量の予測に基づいて、蓄電池104について、停電時に備えた特定負荷への電力を確保し、かつ、EVに対する放電許容量を決定する。
【0041】
予定作成部122は、建物の電力需要及びEVの充電需要に基づいて、目標デマンドを超えない範囲において、蓄電池104と、EVとに対する時間帯ごとの充電スケジュールを作成する。目標デマンドは、建物20の目標とする供給電力上限である。また、作成した充電スケジュールによって、時間帯ごとのEVの充電可能台数が規定される。EVの充電可能台数は、目標デマンドから建物20の需要電力を差し引いた電力に対して、EV一台あたりの時間あたりの充電に必要な電力を割り当てた場合の最大の台数である。
【0042】
更新部124は、所定時間ごとに、必要に応じてEVの充電スケジュールを更新する。EVの充電スケジュールは、建物20のEV充電器102に充電のために接続されたEVの台数と、作成した充電スケジュールによって規定される充電可能台数との比較において、台数が充電可能台数よりも多い場合に更新する。更新では、優先度の低いEVについて、充電の時間帯を後ろ倒しにして充電するように充電スケジュールを変更する。
【0043】
制御部126は、作成又は更新されたEVの充電スケジュールと、あらかじめ定めた充電制御方式とに応じて、建物20に接続されたEVに対する充電を制御する。また、制御部126は、蓄電池104の充電スケジュールに従って蓄電池104の充電を制御する。
【0044】
充電制御方式の一例を説明する。図3は充電制御の方式を説明する図である。図3の(A)はバッテリ残量の低い順の台数制御、(B)はバッテリ残量の高い順の台数制御、(C)は出力制御である。充電制御の際、建物20の管理者は台数制御又は出力制御をあらかじめ設定又は選択できる。台数制御とは、EV充電器102に接続されているEVのSOCを取得し、バッテリ残量の低い順又は高い順に優先順位をつけ、優先順位が高いEVから台数を制限して充電することを指す。(A)及び(B)では上から3台のEVから優先するように充電を制御している。また、出力制御とは、EV充電器102に接続されているすべてのEVを充電することを指し、一台当たりの供給出力は出力可能電力を接続されているEVの台数で按分した値とする制御である。
【0045】
図4は、特定負荷と蓄電池の概念図である。蓄電池104について、(a)の電力は通常時でも停電時でも一般の電力負荷、特定負荷に関わらず電力供給可能である。他方、(b)の電力は特定負荷の需要量であり、停電時に備えて常に保持しておく電力である。需要量は、予測部120で予測される建物20の電力需要である。
【0046】
図5は、電力需要に対する蓄電池の使用イメージである。縦軸の需要予想電力[kWh]は、1時間ごと予測された建物20の電力需要であり、横軸は1時間ごとの時間帯別の区間である。目標デマンドを超えると予想される時間帯に蓄電池104の電力が供給される。
【0047】
図6は、蓄電池の容量の使用イメージの概略図である。図6の(a)及び(b)は図4と同様である。縦軸は蓄電池容量[kWh]である。(c)は、蓄電池104の放電許容量であり、目標デマンドの超過に従って容量が使用される必要がある。また、(d)はEV充電の充電需要である。EVの充電需要は、建物20に対して予定されるEVの時間あたりの充電量予定である。
【0048】
以上のようなケースに対して、予定作成部122では、予測される特定負荷の容量及び一般の電力負荷の容量を合わせた建物の設備の電力使用量が、目標デマンド(供給電力上限)を超える時間帯がある場合に、蓄電池104からの時間帯ごとの放電量を算出する。蓄電池104からの時間帯ごとの放電量は、電力供給のピークカットに供される電力である。放電量は、目標デマンドを超えた分の建物20の設備の電力容量とする。また、予定作成部122は、放電量に応じて必要な時間帯ごとの蓄電池104の充電需要を含む充電スケジュールを作成する。
【0049】
ここで、図7に、蓄電池の特定負荷用の電力量の従来の設定方法と本手法での設定方法の違いを示す。(e)及び(f)は月別の特定負荷に必要な電力量を示すグラフである。(e)は従来の特定負荷用の電力量の設定である。(f)は本手法で適用する特定負荷用の電力量の設定である。それぞれ特定負荷に必要な総電力量の月別に並べたものである。(e)が月別でも一定の電力量であるのに対して、(h)は月別に可変の総電力量が設定される。そのため、月別で余裕がある場合、余剰電力をEV充電に活用できる。
【0050】
予定作成部122は、建物20の電力需要の予測から目標デマンドを超過する電力量の合計値(目標デマンドの超過電力量)と蓄電池104のEV充電に使える電力予測量(蓄電池104の許容放電電力量)を算出する。予定作成部122は、算出した許容放電電力量を元に、EV充電が可能な場合は、EV充電をするEVの充電スケジュールを作成する。作成する充電スケジュールには、EV充電の充電制御(台数制限又は出力制限)を含む。また、EV充電をしない時間帯に、蓄電池104の充電スケジュールを作成する。
【0051】
なお、蓄電池104の充電スケジュールは、前日に、当日のEV充電に用いる電力を蓄電池104に充電するように蓄電池104を充電するように計画する。制御部126は、事前の蓄電池104の充電により、蓄電池104の充電中に目標デマンドを超えないように充電時間の変更、出力量の制御を行う。
【0052】
図8は、平常時における蓄電池の充電制御の態様の一例である。図8の(A)のように、需要予想電力の合計の電力需要が19時以降に目標デマンドを超えていたとする。この場合、蓄電池104はピークカットの建物側の需要電力を優先する。また、合計の電力需要には、建物側の需要電力(特定負荷及び一般の電力負荷)、EV充電の需要電力、及び蓄電池充電の需要電力を含む。また、このとき、蓄電池104の充電の需要電力とEV充電の需要電力が重複している。そこで、(B)のように、EV充電の需要電力の配分をカットして、その分の電力は蓄電池104の充電に割り当てるようにする。このようにして、目標デマンドを超えないように、充電スケジュールを作成する。
【0053】
上記のように予定作成部122は、時間帯の各々について、合計の電力需要が、目標デマンドを超える場合には、当該時間帯についてEVへの充電が実施されないように充電スケジュールを作成する。
【0054】
図9は、停電時における蓄電池の充電制御のイメージである。図9の(A)では、EV充電の余剰電力があるため、EV充電と特定負荷への電力供給の両方が可能である。(B)では、EV充電に使用可能な余剰電力が尽きたため、EVへの電力供給を停止するが、特定負荷への電力供給は継続する。
【0055】
次に、本発明の実施形態の制御装置100の作用について説明する。図10は、本発明の実施形態に係る処理を示すフローチャートである。なお、制御装置100のCPUがROMからプログラム及び各種データを読み出して実行することにより、各種処理を行う。CPUが、制御装置100の各部として機能する。以下のステップS100及びS102の処理は予定作成工程に相当し、日ごとに実行される。なお、日ごとは一例であり、数日単位をまとめて作成してもよい。以下のステップS104からS108の処理は制御工程に相当し、スケジュールの作成後に、定期的な時間間隔の所定時間ごと(例えば1時間ごと)に実行される。
【0056】
ステップS100では、予測部120は、収集データに基づいて、時間帯ごとに、特定負荷及び一般の電力負荷に関する建物20の電力需要と、建物20に収容されるEVの充電需要とを予測する。
【0057】
ステップS102では、予定作成部122は、建物の電力需要及びEVの充電需要に基づいて、目標デマンドを超えない範囲において、蓄電池と、EVとに対する時間帯ごとの充電スケジュールを作成する。
【0058】
ステップS104では、更新部124は、EVの充電スケジュールは、建物20のEV充電器102に充電のために接続されたEVの台数と、作成した充電スケジュールによって規定される充電可能台数との比較において、台数が充電可能台数よりも多いか否かを判定する。多い場合にはステップS106へ移行し、多くない場合にはステップS108へ移行する。
【0059】
ステップS106では、更新部124は、EVの充電スケジュールを更新する。
【0060】
ステップS108では、制御部126は、作成又は更新されたEVの充電スケジュールと、あらかじめ定めた充電制御方式とに応じて、建物20に接続されたEVに対する充電を制御する。また、制御部126は、蓄電池104の充電スケジュールに従って蓄電池104の充電を制御する。
【0061】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例として、PV110を用いる態様について説明する。
【0062】
図11は、特定負荷の需要予測とPVの発電予測を比較した例である。図11の(A)は、特定負荷の機能維持期間であり、期間が3日の場合を例としている。(B)は、時間帯あたりの比較である。(x)は特定負荷の電力需要の予測値、(y)はPVの発電量の予測値、(z)はEVにPV110からEVに供給可能な余剰の電力である。すなわちPV110の発電が特定負荷の電力需要を上回る時間帯については、充電制御システム10では、PV110からEV充電への電力供給を実施する。ここで蓄電池104のEV充電は停止する。このように制御部126は、予測された特定負荷の容量とPV110の電力とを比較し、余剰となるPV110の電力がある場合に、蓄電池からのEVへの充電を停止し、EVへの充電に割り当てる。なお、系統電源の停電時にのみ、PV110からEV充電への電力供給を実施するようにしてもよい。
【0063】
また、PV110は蓄電池104への電力供給も可能である。図12は、本実施形態のPVからのEV充電への電力供給のイメージである。図12の(A)では、蓄電池104の電力容量が不足しているため、制御部126は、PV110の発電電力から蓄電池104を充電し、特定負荷用に電力を貯めるように制御する。(B)では、特定負荷用の電力が十分に蓄電池104に確保されているので、制御部126は、PV110の発電電力からの蓄電池104への充電を停止し、EV充電に振り向けるように制御する。
【0064】
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る充電制御システム10によれば、建物の特定負荷を含む電力需要を考慮して、建物が提供する充電の効率化を図ることが可能となる。
【0065】
また、平常時の電力の使用に対しては次の2点が優位な点として挙げられる。(1)特定負荷の需要予測に基づき蓄電池104の放電許容量を決定することができる。(2)BCP対応に使用する蓄電池104とEV充電器102を組み合わせたEVの充電制御システムにおいて、蓄電池104の充電時にも目標デマンドを超えないように制御が可能である。
【0066】
系統電源の停電時には下記の2点が優位な点として挙げられる。(3)系統電源の停電時等に蓄電池から特定負荷とEV充電両方に電力を供給する状況下でも、特定負荷用に蓄電池内に保持した電力量を確保したうえでEV充電が行える。(4)系統電源の停電時等に蓄電池とPVから特定負荷とEV充電両方に電力を供給する状況下で、PVの特定負荷への供給電力に余剰が出ると予測された場合、EV充電器へ余剰電力の供給が可能である。
【0067】
(1)の工夫により、平常時に特定負荷用の電力量を蓄電池内に保持した状況下で、EV充電や建物の電力負荷に蓄電池から供給可能な電力量を最大化することが可能になる。先行特許の課題(1)に対して、本手法の蓄電池は系統電源の停電時に特定負荷への電力供給を行う。また課題(2)に対して、特定負荷需要の季節変動を考慮して蓄電池に保持しなければいけない電力量を決定する。この時、保持しておかなければいけない電力量の余剰電力がEV充電に使用可能な電力量となるため、特定負荷需要の変動に追従して保持しなければいけない電力量を決めることで従来、余剰となっていた電力をEV充電や建物の電力負荷に使用することができる。なお前述の通り、平常時では基本的にピークカットのために蓄電池を用いる。EV充電や建物の電力が目標デマンドを超過する場合、蓄電池から電力を供給するものとする。
【0068】
(2)の工夫により、平常時に蓄電池の充電を行う際、特定負荷用に蓄電池内に保持しなければいけない電力量の確保を優先的に行える。課題(3)で述べたように、蓄電池とEV充電器を組み合わせたシステムにおいて、蓄電池の充電を行う時間にも建物やEV充電の需要があるはずである。もし建物、EV充電、蓄電池の電力需要の合計が目標デマンドを超えそうな場合、EV充電を停止することで、建物への電力供給は維持しながら特定負荷用に保持しなければいけない電力量の確保を優先させる。またEV充電を停止してもなお、蓄電池を満充電にできないと予測された場合、特定負荷用に保持しなければならない電力量だけでも確保できるように充電を行う。つまり建物の電力需要と蓄電池の充電電力の合計が目標デマンドを超えないように制御する。もし充電終了後、蓄電池残容量が特定負荷用に保持しなければならない電力量を超えていない場合、翌日のピークカットに蓄電池は用いないものとする。
【0069】
(3)の工夫により、系統電源の停電時にも建物への電力供給を維持しながらEV充電を行うことを可能にする。系統電源の停電時にも移動のニーズはあり、EVを充電しなければならない状況は十分に考えられる。一方でBCP対応としては蓄電池から建物への電力供給は第一優先事項であり、特定負荷用に保持しなければいけない電力量が確実に蓄電池内に確保されるべきである。もし制限を設けずに蓄電池からEV充電が可能となれば建物へ供給できる電力量が減ってしまう恐れがある。本手法では、課題(4)に対して、建物の機能維持を第一義としつつ、蓄電池内に余剰電力がある場合にはEVの充電を行う。具体的には、特定負荷の需要予測に基づき蓄電池に保持した電力量の余剰電力量をEV充電に使用可能な電力量と定義し、EV充電に使用するものとした。例えば、特定負荷へ供給するための電力量として蓄電池容量の70%が必要な場合、EV充電に使用可能な電力量は蓄電池容量の30%である。EV充電を行い蓄電池容量の30%に当たる電力量を蓄電池が放電しきると蓄電池からEV充電器への電力供給を停止し、特定負荷へ供給するための電力量は確実に残す。
【0070】
(4)の工夫により、(3)の工夫のシステムにPVが追加された場合に特定負荷へ電力供給が可能な期間を延ばしつつEVへの充電を可能にする。蓄電池の保持する電力やEV充電に供給可能な電力は(3)と同様に特定負荷の需要予測から算出するが、当該構成においてはPVの発電量をPV発電量予測に基づき決定する。BCP対応として一定時間特定負荷の機能を維持したい期間を仮に特定負荷機能維持期間と呼ぶこととする。特定負荷機能維持期間内の特定負荷需要の総電力量の予測値とPVの総発電量の予測値を比較し、特定負荷需要の総電力量の余剰電力量をEV充電に使用可能な電力量とする。この余剰電力は直接EV充電に使用される場合と蓄電池に充電される場合がある。特定負荷機能維持期間内にEV充電に使用可能な電力量を使い切ってしまった場合、EV充電は停止する。実際に制御を行う際には電力供給の優先順位として第一に特定負荷、第二に蓄電池、第三にEV充電器とする。まずPVの発電量が特定負荷の需要量を下回る場合、PVの発電電力は全て特定負荷へ供給する。次に、PVの発電量が特定負荷の需要量を上回る場合、特定負荷の需要電力の余剰電力は蓄電池へ供給する。このとき、蓄電池に貯まっている電力量が特定負荷用に保持しなければいけない電力量を超えていて、かつ、EV充電器へEVが接続されている場合、蓄電池はEV充電器へ電力を供給する。蓄電池容量が特定負荷用に保持しなければいけない電力量を下回ったとき、蓄電池はEV充電器への電力供給を停止する。このためEVを充電する際にも特定負荷用に保持しなければならない電力量は蓄電池に確実に確保される。この際の特定負荷用に保持しなければならない電力量とは、現時点から数えた特定負荷の機能維持期間内で消費されると予測される電力量として表される。つまり、特定負荷用に保持しなければならない電力量と特定負荷の機能が停止する日時は一定時間ごとに更新され、PVが発電を続ける限り設定した時間内において特定負荷の機能維持は保証される。
【0071】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0072】
100 制御装置
102 EV充電器
104 蓄電池
120 予測部
122 予定作成部
124 更新部
126 制御部
130 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12