(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108043
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】シミュレーションモデル編集装置、及びオブジェクト選択方法
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20240802BHJP
G06F 3/0482 20130101ALI20240802BHJP
【FI】
G06T19/00 C
G06F3/0482
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012301
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】河内 智志
(72)【発明者】
【氏名】小山 亮
(72)【発明者】
【氏名】池田 慎二
(72)【発明者】
【氏名】近藤 健史
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050BA08
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA18
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5E555AA27
5E555BA02
5E555BB02
5E555BC04
5E555BE17
5E555CC03
5E555DC43
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】作業効率を向上させることが可能なシミュレーションモデル編集装置、及びオブジェクト選択方法を提供する。
【解決手段】一態様に係るシミュレーションモデル編集装置は、表示部と、3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを前記表示部に表示させる3次元描画部と、入力されたサイズに対応するオブジェクトを表示部に表示されたシミュレーションモデルから選択可能な選択部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを前記表示部に表示させる3次元描画部と、
入力されたサイズに対応するオブジェクトを前記表示部に表示された前記シミュレーションモデルから選択可能な選択部と、を有する
シミュレーションモデル編集装置。
【請求項2】
前記選択部は、
前記オブジェクトの前記サイズが入力可能な選択画面を前記表示部に表示させる選択画面表示部と、
前記選択画面により入力された前記サイズに対応する前記オブジェクトを前記シミュレーションモデルから選択するオブジェクト選択部と、を含む
請求項1記載のシミュレーションモデル編集装置。
【請求項3】
前記サイズは、前記オブジェクトの辺の長さ、前記オブジェクトの3辺の合計、前記オブジェクトの面の面積、前記オブジェクトの2辺の比率、前記オブジェクトの3辺の比率、及び前記オブジェクトの体積のいずれかである
請求項2記載のシミュレーションモデル編集装置。
【請求項4】
前記3次元描画部は、現実空間上の物体を直方体に置換した前記オブジェクトを含む前記シミュレーションモデルを、前記3次元データに基づいて前記表示部に表示させる
請求項3記載のシミュレーションモデル編集装置。
【請求項5】
前記選択されたオブジェクトに対して所定処理を行うオブジェクト削除変更部を更に有し、
前記所定処理は、前記選択されたオブジェクトを前記表示部に表示する、前記選択されたオブジェクトを前記表示部において非表示にする、前記選択されたオブジェクトの材質情報が入力される、前記選択されたオブジェクトを作業対象から除外する、及び前記選択されたオブジェクトをグループ化するのいずれかである
請求項1記載のシミュレーションモデル編集装置。
【請求項6】
表示部を有するシミュレーションモデル編集装置におけるオブジェクト選択方法であって、
3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを前記表示部に表示させるステップと、
入力されたサイズに対応するオブジェクトを前記表示部に表示された前記シミュレーションモデルから選択可能なステップと、を有する
オブジェクト選択方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションモデル編集装置、及びオブジェクト選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線LAN(Local Area Network)システムやローカル5G(5th Generation)システム等の無線システムを導入する際に行われる無線システム設計においては、仮想空間上に構築した3次元のシミュレーションモデルを利用したシミュレーションによりエリア設計が行われる場合がある。
【0003】
無線システムにおけるシミュレーションでは、無線局から送信された電波が、対象エリア内に存在する壁や什器などの構造物に対して、どのように反射したり、透過したり、回折するのかを仮想空間上でシミュレートする場合がある。このようなシミュレーションを電波伝搬シミュレーションと呼ぶ。
【0004】
電波伝搬シミュレーションにおいては、対象エリアに存在する構造物について、その形状、サイズ、及び材質などについてはマニュアル(手作業)により入力される場合がある。電波伝搬シミュレーション後、対象エリア内において実際に測定が行われ、エリア設計の妥当性が確認される。その際、電波伝搬シミュレーションによるシミュレーション結果と実際の測定結果とに乖離がある場合は、構造物の材質などを見直して、再度、電波伝搬シミュレーションが行われる場合がある。
【0005】
電波伝搬シミュレーションに関して、以下のような技術がある。
【0006】
すなわち、ネットワーク上から自動収集した種々の物体の画像に基づいて、物体を種類ごとに分類した分類用データを蓄積し、分類用データを参照して、通信エリアの画像から抽出した物体の種類を認識し、データベースを参照して、当該物体の種類に対応する媒質定数を推定する、電波伝搬シミュレーションモデルの作成装置がある。
【0007】
また、点群データの高さに基づいて点群データを天井及び床に分離し、分離した天井の点群データに対して画像処理により部屋領域を作成した後、床から天井まで3次元拡張して部屋モデルを作成し、部屋領域の内側の点群データを物体毎の点群データに分類した後、画像処理により当該物体を多角柱でモデル化する3次元モデル構築手法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】“屋内環境における点群データを用いたレイトレース解析に適用可能な3次元平面モデル構築手法の提案および電波伝搬評価”、岡村航、株式会社構造計画研究所、2021 IEICE B-1-113
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した3次元モデル構築手法において、点群データを多角柱の物体にモデル化した場合、同一種類の物体が複数存在する場合がある。モデル化された同一種類の物体一つ一つに、材質情報などのパラメータを与えることは、必ずしも作業効率が良いとは言えない。
【0011】
そこで、本開示は、作業効率を向上させることが可能なシミュレーションモデル編集装置、及びオブジェクト選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様に係るシミュレーションモデル編集装置は、表示部と、3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを表示部に表示させる3次元描画部と、入力されたサイズに対応するオブジェクトを表示部に表示されたシミュレーションモデルから選択可能な選択部と、を有する。
【0013】
また、一態様に係るシミュレーションモデル編集方法は、表示部を有するシミュレーションモデル編集装置におけるオブジェクト選択方法である。前記オブジェクト選択方法は、3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを表示部に表示させるステップを有する。また、前記オブジェクト選択方法は、入力されたサイズに対応するオブジェクトを表示部に表示されたシミュレーションモデルから選択可能なステップを有する。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、作業効率を向上させることが可能なシミュレーションモデル編集装置、及びオブジェクト選択方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシミュレーションモデル編集装置の構成例を表す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るオブジェクトの表示例を表す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るシミュレーションモデルの表示例を表す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る選択UIの表示例を表す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下では、図面を参照しながら、実施形態に係るシミュレーションモデル編集装置について説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0017】
(シミュレーションモデル編集装置の構成例)
最初に、第1実施形態に係るシミュレーションモデル編集装置の構成例について説明する。
【0018】
図1は、シミュレーションモデル編集装置100の構成例を表す図である。第1実施形態に係るシミュレーションモデル編集装置100は、3次元データ(又は3D(Three-Dimensions)データ、或いは点群データ(以下では、「3次元データ」と称する場合がある。)に基づいて、仮想空間上において3次元のシミュレーションモデルを生成(又は構築)することが可能である。また、シミュレーションモデル編集装置100は、生成したシミュレーションモデルに含まれるオブジェクトの中から、ユーザにより指定されたオブジェクトを選択(又は検索)することが可能である。なお、シミュレーションモデル編集装置100は、選択したオブジェクトを表示させたり、選択したオブジェクトの材質情報を入力可能であったりしてもよい。
【0019】
図1に示すように、シミュレーションモデル編集装置100は、処理部110と、表示部120と、記憶部130とを有する。
【0020】
処理部110は、シミュレーションモデル編集装置100において各種処理を実行することが可能である。処理部110は、シミュレーションモデルを表示部120に描画する(又は表示させる)ことが可能である。また、処理部110は、表示部120に描画したシミュレーションモデルの中から、ユーザが指定したオブジェクトを選択することも可能である。
【0021】
処理部110は、入力部111と、3D描画部(又は3次元描画部)112と、選択UI表示部113と、オブジェクト選択部114と、オブジェクト削除変更部115と、3D活用部116とを含む。
【0022】
入力部111は、3次元データ(又は3Dモデルデータ)の入力を受け付ける。3次元データは、レーザースキャナから出力された3次元データであってもよい。この場合、レーザースキャナでは、LiDAR( Light Detection And Ranging)技術を用いて3次元データが取得される。或いは、3次元データは、ステレオカメラから出力された3次元データであってもよい。この場合、ステレオカメラでは2つのカメラによる視差により深度を含む3次元データが取得される。3次元データは、(x、y、z)により表されてもよい。或いは、3次元データは、3次元データを画像化した深度画像(又はデプス画像)の画像データであってもよい。入力部111は、入力データが3次元データのときは、当該3次元データを3D描画部112へ出力し、入力データが3次元データ以外のデータのときは3D描画部112へ出力しない。入力部111は、3次元データをシミュレーションモデル編集装置100内に取り込むインポート機能を有する。
【0023】
3D描画部112は、3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを表示部120に表示させる。3D描画部112は、例えば、以下のようにしてシミュレーションモデルを構築し、構築したシミュレーションモデルを表示部120に表示させてもよい。
【0024】
すなわち、3D描画部112は、所定の距離内にある3次元データをクラスタリングすることで、3次元データを物体毎の3次元データに分類する。次に、3D描画部112は、物体毎の3次元データを直方体に置換する置換処理を行う。置換処理は、例えば、以下となる。すなわち、3D描画部112は、物体毎の3次元データから、X軸、Y軸、及びZ軸のそれぞれにおいて最大値及び最小値をとる3次元データを抽出して、当該3次元データを含む矩形の物体を生成する。そして、3D描画部112は、生成した矩形の物体に最も近い直方体を、記憶部130に予め記憶された直方体のデータの中から抽出する。3D描画部112は、このような置換処理により置換した直方体を、表示部120に表示された画面上に一つ一つ描画することで、シミュレーションモデルを構築する。直方体は、シミュレーションモデル上では、オブジェクトとして表される。
【0025】
図2は、オブジェクトとしてシミュレーションモデル上に表示された直方体の例を表している。
図2に示すように、各オブジェクトは、3辺の長さを有している。
【0026】
また、
図3は、表示部120に表示されたシミュレーションモデルの表示例を表している。
図3では、オフィス空間を表すシミュレーションモデルの例を表している。
図3に示すように、各オブジェクトは、直方体で表されている。
【0027】
なお、上述したシミュレーションモデルの構築方法は、一例であって、それ以外の公知の方法が用いられてもよい。例えば、非特許文献1に記載した方法で、シミュレーションモデルが構築されてもよい。
【0028】
このように、3D描画部112は、現実空間上の物体を直方体に置換したオブジェクトを含むシミュレーションモデルを、3次元データに基づいて表示部120に表示させることが可能である。
【0029】
なお、3D描画部112は、表示部120に表示させるシミュレーションモデルに関するシミュレーションモデル情報を記憶部130に記憶する。シミュレーションモデル情報には、シミュレーションモデル上のオブジェクトを表すオブジェクト情報が含まれてもよい。
【0030】
図1に戻り、選択UI表示部113は、選択UI(ユーザインタフェース)(又は選択画面)を表示部120に表示させる。選択UIは、ユーザによって、オブジェクトのサイズが入力可能なユーザインタフェース(又は画面)となっている。
図4は、選択UIの表示例を表す図である。選択UIでは、ユーザにより指定された指定方法により、ユーザが選択を希望するオブジェクトのサイズが入力可能となっている。選択UIの詳細は後述する。選択UI表示部113は、ユーザにより指定されたオブジェクト(のサイズ)に関するオブジェクト指定情報をオブジェクト選択部114へ出力する。
【0031】
図1に戻り、オブジェクト選択部114は、選択UIにより入力されたサイズに対応するオブジェクトを、シミュレーションモデルの中から選択する。具体的には、例えば、オブジェクト選択部114は、オブジェクト指定情報に対応するオブジェクト情報を、記憶部130から読み出すことで、当該オブジェクトを当該シミュレーションモデルから選択してもよい。オブジェクト選択部114は、選択したオブジェクトに関するオブジェクト情報を、3D描画部112及びオブジェクト削除変更部115へ出力する。
【0032】
なお、選択UI表示部113及びオブジェクト選択部114は、いずれも、選択部の一例である。選択部は、例えば、入力されたサイズに対応するオブジェクトを、表示部120に表示されたシミュレーションモデルから選択可能なブロックである。
【0033】
オブジェクト削除変更部115は、オブジェクト選択部114で選択されたオブジェクトに対して所定処理を行う。所定処理は、選択されたオブジェクトを表示部120に表示する処理でもよい。或いは、所定処理は、選択されたオブジェクトを表示部120において非表示にする処理でもよい。或いは、所定処理は、オブジェクトの材質情報がユーザにより入力される処理でもよい。この場合、オブジェクト削除変更部115は、オブジェクトの材質情報が入力可能な材質入力UI(又は材質入力画面)を表示部120に表示させるようにしてもよい。或いは、所定処理は、選択されたオブジェクトを作業対象から除外する処理であってもよい。或いは、所定処理は、選択されたオブジェクトを1つのグループにグループ化する(又は選択オブジェクト群にする)処理でもよい。オブジェクト削除変更部115は、所定処理を指示する指示情報を3D描画部112へ出力してもよい。3D描画部112では、当該指示情報と、オブジェクト選択部114から出力されたオブジェクト情報とに基づいて、選択されたオブジェクトをシミュレーションモデル上において表示部120に表示させたり、非表示にさせたりするなど、所定処理を行わせるようにしてもよい。
【0034】
3D活用部116は、例えば、シミュレーションモデルを活用する処理を行う。3D活用部116は、シミュレーションモデルに対して、電波伝搬シミュレーションなど、所定のシミュレーションを実行してもよい。この場合、3D活用部116は、例えば、3D描画部112から出力されたシミュレーションモデルに関するシミュレーションモデル情報に基づいてシミュレーションモデルを表示部120に表示させて、電波伝搬シミュレーションなど、所定のシミュレーションを実行する。3D活用部116は、シミュレーションモデルに関するシミュレーションモデル情報を外部に送信してもよい。
【0035】
表示部120は、3D描画部112の制御により、シミュレーションモデルを表示する。また、表示部120は、選択UI表示部113の制御により、選択UIを表示する。表示部120は、各種情報又は各種UIを表示してもよい。
【0036】
記憶部130は、処理部110の制御により、シミュレーションモデルを表示部120に表示させるためのシミュレーションモデルに関するシミュレーションモデル情報を記憶する。また、記憶部130は、処理部110の制御により、シミュレーションモデル上のオブジェクトに関するオブジェクト情報を記憶する。記憶部130は、処理部110の制御により、各種データ又は各種情報を記憶してもよい。
【0037】
また、記憶部130は、処理部110で実行される機能を実現するためのプログラムを記憶してもよい。この場合、処理部110は、少なくとも1つのプロセッサを含んでもよい。処理部110は、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びGPU(Graphics Processing Unit)のいずれかのプロセッサを含んでもよい。プロセッサと記憶部130とによりコンピュータが構成されてもよい。処理部110は、記憶部130に記憶されたプログラムを読みだして実行することで、入力部111、3D描画部112、選択UI表示部113、オブジェクト選択部114、オブジェクト削除変更部115、及び3D活用部116の各部を各機能として実行してもよい。
【0038】
(選択UI)
ここで、選択UIの詳細について説明する。選択UIは、
図4を利用して説明する。
【0039】
選択UIは、例えば、オブジェクトのサイズをユーザが指定することで、当該オブジェクトをシミュレーションモデルの中から一括して選択(又はフィルタリング)するためのUIである。ここでは、選択UIは、各オブジェクトが直方体で表されていることを利用している。
【0040】
図4に示すように、選択UIは、「指定方法」ボタン及び「以下」ボタンが利用可能である。「指定方法」ボタンが選択されると、複数のパターンの中から、ユーザが希望する「指定方法」を指定することができる。
図4に示す例では、「指定方法」として、「1辺長さ」、「3辺合計」、「面大きさ」、「2辺比」、「3辺比」、及び「体積」のいずれかが指定可能である。ユーザは、「指定方法」ボタンと「以下」ボタンとの組み合わせにより、オブジェクトのサイズを指定することができる。
【0041】
(1)「1辺長さ」
「1辺長さ」と、選択UIの「以下」ボタンとを組み合わせて選択することで、オブジェクト(直方体)の1辺の長さを指定することができる。1辺の長さは、オブジェクトの辺A、辺B、及び辺C(
図2参照)に対応する。
【0042】
選択UIでは、「1辺長さ」を数値として入力可能である。選択UIでは、「1辺長さ」の対象となる辺(辺A、辺B、又は辺C)が選択可能であってもよい。
【0043】
また、選択UIでは、「以下」ボタンが選択されると、例えば、「以下」、「以上」、「より短い」、及び「より長い」のいずれかが表示される。ユーザはこれらの項目からいずれかを指定することができる。
【0044】
例えば、「30cm」「以下」が指定されると、辺A、辺B、及び辺Cの全てが30cm以下のオブジェクトが指定される。「1辺長さ」は、複数の条件を指定することも可能である。例えば、「60cm」「以下」かつ「30cm」「以上」も指定可能である。この場合、辺A、辺B、及び辺Cの全てが60cm以下で、かつ、辺A、辺B、及び辺Cの全てが30cm以上のオブジェクトが指定される。
【0045】
(2)「3辺合計」
「3辺合計」と、選択UIの「以下」ボタンとを組み合わせて、オブジェクト(直方体)の3辺を合計した長さを指定することができる。
【0046】
選択UIでは、「3辺合計」を数値として入力可能である。選択UIでは、
図4に示すように、各辺(辺A、辺B、及び辺C)の長さが入力可能となっており、これにより、「3辺合計」が指定されてもよい。
【0047】
また、選択UIでは、「以下」ボタンが選択されると、例えば、「以下」、「以上」、「未満」、及び「より大きい」のいずれかが表示され、ユーザはこれらの項目からいずれかを指定することができる。
【0048】
例えば、「80cm」「以下」が指定されると、辺A+辺B+辺Cが80cm以下であるオブジェクトが指定される。「3辺の長さ」も、複数の条件を指定することが可能である。例えば、「80cm」「以下」かつ「60cm」「以上」が指定されると、辺A+辺B+辺Cが80cm以下で、かつ、辺A+辺B+辺Cが60cm以上のオブジェクトが指定される。
【0049】
(3)「面大きさ」
「面大きさ」と、選択UIの「以下」ボタンとを組み合わせて、オブジェクト(直方体)の面積を指定することができる。
【0050】
選択UIでは、「面大きさ」として、面積が入力可能となっている。また、選択UIでは、オブジェクトの各面(面AB、面BC、及び面CA)を指定するため、当該各面が入力可能であってもよい。
【0051】
また、選択UIでは、「以下」ボタンが選択されると、例えば、「以下」、「以上」、「より小さい」、及び「より大きい」のいずれかが表示され、ユーザはこれらの項目からいずれかを指定することができる。
【0052】
例えば、「200平方センチメートル」「以下」が指定されると、面AB、面BC、及び面CAの全ての面が200平方センチメートル以下であるオブジェクトを指定することができる。「面大きさ」も複数の条件を指定することができる。例えば、「200平方センチメートル」「以下」かつ「180平方センチメートル」「以上」が指定されると、面AB、面BC、及び面CAの全ての面が200平方センチメートル以下かつ面AB、面BC、及び面CAの全ての面が180平方センチメートル以上であるオブジェクトが指定される。
【0053】
(4)「2辺比」
「2辺比」により、オブジェクト(直方体)の2辺の比を指定することができる。具体的には、例えば、選択UIにおいて、2つの辺の数値が入力可能となっており、数値を入力することで、「2辺比」が指定可能である。
【0054】
例えば、「16:9」が指定されると、辺の比が16:9となっているオブジェクトが指定される。この場合、2辺比が16:9と同一ではなくても、2辺比が閾値範囲((16±α):(9±α)、αが閾値)内にあるオブジェクトも指定対象範囲となってもよい。閾値も入力可能なように選択UIに表示されてもよい。
【0055】
また、「2辺比」においては、対象となる面(面AB、面BC、又は面CA)を指定し、指定した面における「2辺比」が指定されてもよい。選択UIでは、指定対象となる面が入力可能となるような表示が行われてもよい。
【0056】
更に、「2辺比」においては、表示部120に表示されたオブジェクトを画面上で指定することで、「2辺比」が指定されてもよい。例えば、
図2が表示部120に表示されている場合、奥のオブジェクトの面ACが指定されると、面ACの2辺比が「16:9」であれば、「16:9」の2辺比を有するオブジェクトが指定される。
【0057】
更に、「2辺比」においては、対象となる面を「垂直面」又は「水平面」により指定されてもよい。例えば、「16:9」「垂直面」が指定されると、垂直な面のうち一つでも16:9(又は16:9から閾値範囲内)の2辺比を有するオブジェクトが指定される。この場合、例えば、パーソナルコンピュータのティスプレイに対応するオブジェクトが指定対象となり得る。選択UIでは、「垂直面」又は「水平面」が選択可能となるような表示が行われてもよい。
【0058】
(5)「3辺比」
「3辺比」により、オブジェクト(直方体)の3辺の比を指定することができる。具体的には、例えば、選択UIにおいて、3つの辺の数値が入力可能となっており、数値を入力することで、「3辺比」が指定可能である。
【0059】
例えば、「16:9:2」が指定されると、辺A、辺B、及び辺Cの比が「16:9:2」のオブジェクト(又は「16:9:2」から閾値範囲内のオブジェクト)が指定される。
【0060】
また、「3辺比」においても、表示部120に表示されたオブジェクトを画面上で指定することで、「3辺比」が指定されてもよい。例えば、
図2が表示部120に表示されている場合、奥のオブジェクトが指定されると、当該オブジェクトが「16:9:2」であれば、「16:9:2」の3辺比を有するオブジェクト(又は「16:9:2」から閾値範囲内のオブジェクト)が指定される。
【0061】
なお、3辺の比の指定順序は任意でよい。従って、「16:9:2」が指定されると、辺B、辺C、及び辺Aの順でその比率が「16:9:2」のオブジェクト(又は「16:9:2」から閾値範囲内のオブジェクト)が指定対象となってもよいし、辺C、辺A、及び辺Bの順でその比率が「16:9:2」のオブジェクト(又は「16:9:2」から閾値範囲内のオブジェクト)が指定対象となってもよい。
【0062】
(6)「体積」
「体積」と選択UIの「以下」ボタンとを組み合わせて、オブジェクト(直方体)の体積を指定することができる。選択UIでは、「体積」を数値として入力可能となっている。また、選択UIには、「以下」ボタンが選択されると、例えば、「以下」、「以上」、「未満」、及び「より大きい」のいずれかが表示され、ユーザはこれらの項目からいずれかを指定することができる。
【0063】
例えば、「16リットル」「以下」が指定されると、体積が16リットル以下のオブジェクトが選択される。「体積」も複数の条件を指定することができる。例えば、「16リットル」「以下」かつ「10リットル」「以上」が指定されると、体積が16リットル以下かつ10リットル以上のオブジェクトが指定される。
【0064】
また、「体積」も、表示部120に表示されたオブジェクトを画面上で指定することで、「体積」が指定されてもよい。例えば、
図2が表示部120に表示されている場合、奥のオブジェクトが指定されて、「以下」が指定されると、当該オブジェクトの体積以下のオブジェクトが指定される。
【0065】
以上、選択UIについて説明した。
【0066】
上述したように、選択UI表示部113では、例えば、選択UIにおいて指定されたオブジェクトの情報をオブジェクト指定情報としてオブジェクト選択部114へ出力する。オブジェクト選択部114では、オブジェクト指定情報に基づいて、指定されたオブジェクトをシミュレーションモデルから選択することになる。
【0067】
(第1実施形態に係る動作例)
次に、第1実施形態に係る動作例について説明する。
【0068】
【0069】
図5に示すように、ステップS10において、シミュレーションモデル編集装置100の処理部110は、処理を開始する。
【0070】
ステップS11において、処理部110(又は入力部111)は、3次元データの入力を受け付ける。
【0071】
ステップS12において、処理部110(又は3D描画部112)は、3次元データに基づいてシミュレーションモデルを表示部120に表示された画面上に描画する。表示部120は、例えば、
図3に示すシミュレーションモデルを表示する。
【0072】
ステップS13において、処理部110(又は選択UI表示部113)は、表示部120に選択UIを表示させる。表示部120は、例えば、
図4に示す選択UIを表示する。
【0073】
ステップS14において、選択UIによりオブジェクトが指定されると、処理部110(又はオブジェクト選択部114)は、シミュレーションモデルから指定されたオブジェクトを選択する。オブジェクト選択部114は、オブジェクト指定情報に対応するオブジェクトを、記憶部130に記憶されたオブジェクト情報から読み出すことで、オブジェクトを選択してもよい。このような処理により、オブジェクト選択部114は、シミュレーションモデルからオブジェクトを選択してもよい。
【0074】
ステップS15において、処理部110(又はオブジェクト削除変更部115)は、選択したオブジェクトに対して所定処理を行う。
【0075】
ステップS16において、処理部110は一連の処理を終了する。
【0076】
以上説明したように、第1実施形態では、第1に、3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを表示部120に表示させる。第2に、入力されたサイズに対応するオブジェクトを表示部120に表示されたシミュレーションモデルから選択する。
【0077】
このように、第1実施形態では、シミュレーションモデル編集装置100により、ユーザが入力したサイズに対応するオブジェクトをシミュレーションモデルから選択することができるため、例えば、選択された全てのオブジェクト(例えば
図3の枠内にあるオブジェクト)に対して、材質情報などのパラメータを一括入力することも可能となる。例えば現実空間上に同じ物体が複数存在する場合、シミュレーションモデルには当該物体に対応するオブジェクトが複数含まれることとなる。この時、ユーザが当該物体のサイズを入力し、当該サイズに対応する対応する複数のオブジェクトをまとめて選択し、材質情報などのパラメータを一括入力することが可能である。そのため、シミュレーションモデルに表示されたオブジェクトを一つ一つパラメータ入力する場合と比較して、作業効率を向上させることが可能となる。
【0078】
また、上述したように、サイズの入力には、選択UIが用いられているため、ユーザの直感に合致したオブジェクトを選択対象とすることも可能となる。また、サイズの入力についても、辺の長さ又は辺の比率など、様々な種別のサイズを入力することができるため、ユーザの希望に合致したオブジェクトを選択することも可能となる。
【0079】
(第1実施形態に係る他の例1)
第1実施形態では、選択UIにおいて、辺の長さ(「1辺長さ」と「3辺合計」)と辺の比率(「2辺比」と「3辺比」)について、数値が直接入力される例について説明したが、これに限定されない。例えば、辺の長さと辺の比率とは、選択UIにおいて、規格又はデファクトスタンダードとして選択可能であってもよい。規格としては、例えば、ISO又はJISなどで採用されている用紙のサイズ(A4サイズなど)、縦及び横の比率(1:√2など)などがある。デファクトスタンダードとしては、例えば、運送で用いられる3辺の合計サイズ(60サイズ(縦、横、及び高さの3辺の合計が60cm以内)、80サイズ(3辺合計が80cm以内))などがある。例えば、選択UIにおいて、規格(例えば用紙サイズ)又はデファクトスタンダード(運送用のサイズ)が表示され、更に、いずれかのサイズ(A4サイズ、60サイズ、縦横の比率)なども表示され、ユーザが選択可能となるように表示されてもよい。
【0080】
(第1実施形態に係る他の例2)
第1実施形態では、選択UIにおいて、辺の長さ(「1辺長さ」と「3辺合計」)について、数値が直接入力される例について説明した。この場合、長さについて、特定周波数fにおける特定波長を基準にした数値(特定波長何個分)により表されてもよい。電波伝搬シミュレーションでは、特定周波数fを基準にしてシミュレーションが行われる場合があり、当該特定周波数から特定波長が算出可能であり、当該特定波長を基準にした長さが、辺の長さとして指定されてもよい。
【0081】
(第1実施形態に係る他の例3)
第1実施形態では、選択UIにおいて、オブジェクトとして直方体を前提にして、オブジェクトのサイズが指定される例について説明した。例えば、直方体に代えて、直方体のオブジェクトを十分に包み込む球体をオブジェクトとしてもよい。この場合、選択UIでは、オブジェクトのサイズとして、球体の半径が指定可能な表示が行われてもよい。
【0082】
(第1実施形態に係る他の例4)
第1実施形態では、選択UIにおいて、指定対象として、直方体のサイズを例にして説明した。選択UIにおいて、例えば、直方体のサイズに代えて、又は直方体のサイズとともに、特定画像が指定可能な表示が行われてもよい。特定画像は、例えば、机、椅子、ディスプレイモニタなどの画像である。ユーザが選択UIにおいて特定画像を指定すると、特定画像に対応するオブジェクトがシミュレーションモデルから選択され、更に、選択UIにおいてサイズを指定することで、特定サイズの特定画像に対応するオブジェクトも選択可能となる。例えば、オブジェクト選択部114は、特定画像の特徴点とマッチングする特徴点を有するオブジェクトを、記憶部130から読み出すなど、公知の特徴点マッチング手法を用いることで、当該特定画像に対応するオブジェクトをシミュレーションモデルから選択してもよい。このような指定方法により、例えば、特定サイズの椅子をオブジェクトモデルから選択することが可能となる。
【0083】
(第1実施形態に係る他の例5)
選択UIにおいては、物体の特徴が指定可能となるように表示されてもよい。例えば、サイズに代えて、又はサイズとともに、「枠ぶちがある」、「4:3又は16:9の面を持つ」、「基調色(黒又は白)」、又は「特定の模様(又は特定のマーク)」などが、選択UIにおいて、ユーザがプリセット可能なように表示されてもよい。このように、物体の特徴が指定されることで、例えば、シミュレーションモデルがオフィス空間のとき、「ディスプレイモニタ」を効率的に選択することができる。選択UIでは、特定のシチュエーションを想定して物体の特徴が指定可能なように表示されてもよい。
【0084】
[その他の実施形態]
第1実施形態では、シミュレーションの対象として、電波伝搬シミュレーションを説明したがこれに限定されない。シミュレーションの例として、スタジオ又は音響ホールなどの施設における音響設計、遮音及び防音設計、及び空調設計のいずれかに用いられてもよい。このような対象であっても、シミュレーションモデル編集装置100は、第1実施形態と同様に、シミュレーションモデルの対象となっている物体の材質を修正することが可能である。
【0085】
また、第1実施形態で説明した処理部110が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、処理部110が行う各処理を実行する回路を集積化し、シミュレーションモデル編集装置100の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0086】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態、各動作、各処理、及び各ステップの全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【0087】
(付記)
(付記1)
表示部と、
3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを前記表示部に表示させる3次元描画部と、
入力されたサイズに対応するオブジェクトを前記表示部に表示された前記シミュレーションモデルから選択可能な選択部と、を有する
シミュレーションモデル編集装置。
【0088】
(付記2)
前記選択部は、
前記オブジェクトの前記サイズが入力可能な選択画面を前記表示部に表示させる選択画面表示部と、
前記選択画面により入力された前記サイズに対応する前記オブジェクトを前記シミュレーションモデルから選択するオブジェクト選択部と、を含む
付記1記載のシミュレーションモデル編集装置。
【0089】
(付記3)
前記サイズは、前記オブジェクトの辺の長さ、前記オブジェクトの3辺の合計、前記オブジェクトの面の面積、前記オブジェクトの2辺の比率、前記オブジェクトの3辺の比率、及び前記オブジェクトの体積のいずれかである
付記1又は付記2に記載のシミュレーションモデル編集装置。
【0090】
(付記4)
前記3次元描画部は、現実空間上の物体を直方体に置換した前記オブジェクトを含む前記シミュレーションモデルを、前記3次元データに基づいて前記表示部に表示させる
付記1乃至付記3のいずれかに記載のシミュレーションモデル編集装置。
【0091】
(付記5)
前記選択されたオブジェクトに対して所定処理を行うオブジェクト削除変更部を更に有し、
前記所定処理は、前記選択されたオブジェクトを前記表示部に表示する、前記選択されたオブジェクトを前記表示部において非表示にする、前記選択されたオブジェクトの材質情報が入力される、前記選択されたオブジェクトを作業対象から除外する、及び前記選択されたオブジェクトをグループ化するのいずれかである
付記1乃至付記4のいずれかに記載のシミュレーションモデル編集装置。
【0092】
(付記6)
表示部を有するシミュレーションモデル編集装置におけるオブジェクト選択方法であって、
3次元データに基づいて、仮想空間上のシミュレーションモデルを前記表示部に表示させるステップと、
入力されたサイズに対応するオブジェクトを前記表示部に表示された前記シミュレーションモデルから選択可能なステップと、を有する
オブジェクト選択方法。
【符号の説明】
【0093】
100 :シミュレーションモデル編集装置
110 :処理部 111 :入力部
112 :3D描画部 113 :選択UI表示部
114 :オブジェクト選択部 115 :オブジェクト削除変更部
116 :3D活用部 120 :表示部
130 :記憶部