IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-コア採取装置およびボーリング装置 図1
  • 特開-コア採取装置およびボーリング装置 図2
  • 特開-コア採取装置およびボーリング装置 図3
  • 特開-コア採取装置およびボーリング装置 図4
  • 特開-コア採取装置およびボーリング装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108057
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】コア採取装置およびボーリング装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 25/00 20060101AFI20240802BHJP
   E02D 1/04 20060101ALI20240802BHJP
   G01N 1/08 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
E21B25/00
E02D1/04
G01N1/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012326
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】399089677
【氏名又は名称】ハイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190702
【弁理士】
【氏名又は名称】筧田 博章
(72)【発明者】
【氏名】小宮 国盛
【テーマコード(参考)】
2D043
2G052
【Fターム(参考)】
2D043BA08
2D043BB09
2G052AA19
2G052AC03
2G052AD12
2G052BA29
2G052CA16
(57)【要約】
【課題】
コアの乱れや崩壊を抑えつつ、コア接触部の回転を防止するコア採取装置およびこれを備えるボーリング装置を提供する。
【解決手段】
コア採取装置は、ボーリング装置に取り付けられ、ボーリング装置の駆動により地盤を掘削して地盤からコアを切り出し、内部にコアを採取するコアバーレルと、コアバーレル内においてコアバーレルの長手方向に延びるガイド部と、コアバーレル内に収容可能なコア接触部とを備える。コア接触部は、ガイド部により、コアバーレル内において、コアバーレルの長手方向に移動可能であるとともに、コアバーレルの長手方向回りの回転が規制される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリング装置に取り付けられ、前記ボーリング装置の駆動により地盤を掘削して地盤からコアを切り出し、内部に前記コアを採取するコアバーレルと、
前記コアバーレル内において前記コアバーレルの長手方向に延びるガイド部と、
前記コアバーレル内に収容可能なコア接触部と、
を備え、
前記コア接触部は、前記ガイド部により、前記コアバーレル内において前記コアバーレルの長手方向に移動可能であるとともに、前記コアバーレルの長手方向回りの回転が規制されるコア採取装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記コアバーレルの長手方向に延びる溝であり
前記コア接触部は、前記コア接触部から突出し、先側が前記ガイド部に入れられ、前記ガイド部の長手方向に移動可能な突出部を備える請求項1記載のコア採取装置。
【請求項3】
前記コア接触部は、側周面に、穴である穴部を備え、
前記突出部は、前記穴部の延びる方向において前記穴部内を移動可能であって、後側が前記穴部に入れられており、
前記穴部内において、前記突出部と前記穴部の底との間に、前記突出部を前記ガイド部に押し付けるように復元力が働く弾性体を備える請求項2記載のコア採取装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、溝に接続し、溝より底の深い凹部を備え、
前記突出部は、先側が前記凹部に入れられる請求項3記載のコア採取装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のコア採取装置を備えるボーリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア採取装置およびこれを備えるボーリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には、コアバーレル内に移動可能に設けられ、コアバーレル内へのコアの進入に伴ってコアバーレル内の奥側に移動するコア接触部を備えるコア採取装置が開示されている。これらの装置は、コア接触部を備えることにより、コアの乱れや崩壊が抑えられ、良好なコアを地盤から採取することができる。また、特許文献1に開示されているコア採取装置は、コアを採取した際のコアの方位を計測する方位計測部やコアの傾斜を計測する傾斜計測部を備えている。また、特許文献2に開示されているコア採取装置は、コア接触部の変位に基づいて、コア採取装置(コアバーレル)内に進入するコアの変位を計測する変位計を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6685471号
【特許文献1】国際公開第2017/216852号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のコア採取装置によると、コアを採取する際に何らかの要因によりコア採取装置が衝撃を受けると、コア接触部がコア採取装置の長手方向を軸として回転する可能性がある。また、コア接触部が回転すると、これに伴ってコアも回転する可能性がある。特許文献1のコア採取装置では、コアが回転すると方位計測部で計測される方位は、コアの実際の方位を反映していないものとなる。また、特許文献1記載のコア採取装置の傾斜計測部および特許文献2記載のコア採取装置の変位計等のように、コア採取装置が、コア接触部に連動してコアの特性を計測する計測部を備える場合、コア接触部が回転すると、その計測部で計測されるデータに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コアの乱れや崩壊を抑えつつ、コア接触部の回転を防止するコア採取装置およびこれを備えるボーリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
コア採取装置は、ボーリング装置に取り付けられ、ボーリング装置の駆動により地盤を掘削して地盤からコアを切り出し、内部にコアを採取するコアバーレルと、コアバーレル内においてコアバーレルの長手方向に延びるガイド部と、コアバーレル内に収容可能なコア接触部とを備える。コア接触部は、ガイド部により、コアバーレル内においてコアバーレルの長手方向に移動可能であるとともに、コアバーレルの長手方向回りの回転が規制される。
【0007】
ガイド部は、コアバーレルの長手方向に延びる溝であってもよい。また、コア接触部は、コア接触部から突出し、先側がガイド部に入れられ、ガイド部の長手方向に移動可能な突出部を備えてもよい。
【0008】
コア接触部は、その側周面に、穴である穴部を備えてもよい。穴部は、コアバーレルの長手方向に略直行する方向に延びるものであってもよい。また、突出部は、穴部の延びる方向において穴部内を移動可能であって、後側が穴部に入れられていてもよい。また、穴部内において、突出部と穴部の底との間に、突出部をガイド部に押し付けるように復元力が働く弾性体を備えてもよい。
【0009】
ガイド部は、溝に接続し、溝より底の深い凹部を備えてもよい。また、突出部は、先側が凹部に入れられていてもよい。
【0010】
凹部は少なくともコアバーレルの長手方向において湾曲していてもよい。また、突出部は先端が曲面であってもよい。
【0011】
ボーリング装置は、上記コア採取装置を備えている。
【発明の効果】
【0012】
コア採取装置およびこれを備えるボーリング装置によると、コアの乱れや崩壊を抑えつつ、コア接触部の回転を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ボーリング装置の概要を示す図である。
図2】正面から見たコア採取装置の部分縦断面図である。
図3】側方から見たコア採取装置本体の部分縦断面図である。
図4図2のIV-IV線部分断面図である。
図5図2に対応する図であって、コアを採取する状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、コア採取装置およびこれを備えるボーリング装置の実施形態について図面を用いて説明する。ボーリング装置1は、図1に示すように、ボーリング装置本体10と、ロッド20と、コア採取装置30とを備えている。ボーリング装置本体10は、ロッド20をその軸を中心として回転およびその軸方向に並進(進退)させる駆動装置(図示略)を備えている。ロッド20は、管状であって、その軸周りに回転可能および軸方向に並進可能にボーリング装置本体10に支持されている。ロッド20の先端(下端)には、コア採取装置30が取り付けられている。
以下の説明において、便宜上、コアバーレル40の長手方向を上下方向とする。また、以下の説明において、上下方向、前後方向および左右方向の記載は、ボーリング装置1およびコア採取装置30の構成の方向を限定するものではない。
【0015】
コア採取装置30は、コアバーレル40と、ガイド部70と、コア接触部80とを備えている。コアバーレル40は、本実施形態ではダブルコアバーレル40であり、図2図4に示すように、外管50と、内管60と、を備えている。
【0016】
外管50は、円筒状のものであり、上側の開口が塞がれている。外管50の先端には、ビット52が設けられている。ビット52は、地盤Gを掘削しつつ地盤GからコアCを切り出すためのものである。ビット52は、筒状(環状)のものであって、外管50に着脱可能となっている。外管50内において上端には、下方に延びる連結ロッド54が外管50と同軸で設けられている。外管50は、図示しない第1着脱部を備えており、コア採取装置30は、第1着脱部を介して、ロッド20と同軸でロッド20の先端(下端)に着脱される。
【0017】
内管60は、外管50より外径が小さい円筒状のものであり、上側の開口が塞がれている。内管60は、その上端に図示しない第2着脱部を備えており、第2着脱部を介して着脱可能に外管50内において外管50と同軸で連結ロッド54に取付られている。また、内管60は、第2着脱部により、連結ロッド54に対して、内管60の軸回りに回転可能であるとともに、外管50の軸回りの回転に対して、供回り不能となっている。
【0018】
ガイド部70は、後述するコア接触部80の移動をガイドするとともに、コア接触部80のその軸回り(コアバーレル40の長手方向(上下方向)回り)の回転を規制するためのものである。ガイド部70は、コアバーレル40内において、コアバーレル40の長手方向に延びている。本実施形態では、ガイド部70は、図2図4に示すように、内管60内において上下方向に延びる一対の溝であり、コアバーレル40の内周面において左右に対向して設けられている。
【0019】
ガイド部70は、溝に接続し、溝より底の深い凹部72を備えている。本実施形態では、凹部72は、図2図4に示すように、溝の長手方向(上下方向)における下側の端部に接続しており、溝より底が深くなっている。また、凹部72は、溝の長手方向(上下方向)において、底が湾曲して窪んでいる。
【0020】
コア接触部80は、コアバーレル40内に進入するコアCの乱れや崩壊を抑えるためのものである。コア接触部80は、コアバーレル40内に収容可能なものである。本実施形態では、コア接触部80は、図2図4に示すように、円柱状のものである。コア接触部80の径は、内管60の内径以下となっている。コア接触部80は、樹脂または金属等により形成されている。
【0021】
コア接触部80は、図2図4に示すように、穴部82と、突出部86と、弾性体88とを備えている。穴部82は、コア接触部80の側周面に設けられる穴である。本実施形態では、穴部82は、コア接触部80に一対備えられ、コア接触部80の側周面の両側、ここではコア接触部80の側周面の左右に設けられている。各穴部82は、横断面が円形であって、水平方向のうちコア接触部80の軸と交差する方向において、コア接触部80の側周面からその軸側に延びている。ここでは、穴部82は、左右方向に延びている。コア接触部80の底面には、コア接触部80に対するコアCの回転を防止するために、回転防止部84が設けられている。回転防止部84は、コアCに接触する面に、コアCに対して十分に摩擦が働く摩擦面またはコアCに食い込む歯等を備えている。
【0022】
突出部86は、コア接触部80から突出し、先側がガイド部70に入れられ、ガイド部70の長手方向に移動可能なものである。本実施形態では、突出部86は、コア接触部80に2つ備えられている。各突出部86は、横断面が円形の柱状のものであって、先端が湾曲面となっている。各突出部86の径は、ガイド部70の幅(溝幅)より小さく、ガイド部70に挿入可能なものとなっている。また、各突出部86の径は、穴部82の径より小さく、穴部82に挿入可能なものとなっている。各突出部86は、穴部82に対して、穴部82の深さ方向において移動可能であり、後側が各穴部82に入れられている。突出部86は、コア接触部80に対して水平方向、ここでは左右方向に突出しており、初期状態において、先側が各ガイド部70の凹部72に入れられている。
【0023】
弾性体88は、突出部86をガイド部70に押し付けるためのものである。本実施形態では、弾性体88は、穴部82内に入れることが可能なコイルバネである。突出部86の先端(先側)が凹部72を含めガイド部70に接した状態で、弾性体88は、突出部86の後端と穴部82の底との間で縮んだ状態で穴部82内に配されている。弾性体88は、一端が突出部86の後端に連結し、他端が穴部82の底に連結している。弾性体88を備えることにより、突出部86は、コア接触部80が静止した状態および移動する際に、その先端が、凹部72を含むガイド部70に押し付けられて接する。
【0024】
コア接触部80は、初期状態において、上側(後端側)がコアバーレル40内に配され、回転防止部84を含む下側(先端側)がコアバーレル40より外側(下方)に突出している。
【0025】
コア採取装置30は、コアCを採取する際のコアCの方位、コアCの傾きおよびコアバーレル40内に進入するコアCの変位を計測するなどのコアCの特性を計測する計測部を備えるものであってもよい。
【0026】
次に、上記コア採取装置30を備えるボーリング装置1を用いたコアの採取方法について説明する。
図1に示すボーリング装置1により、ロッド20をその軸回りに回転させるとともに、地盤Gの奥側に並進させると、上記コア採取装置30のビット52により地盤Gが掘削されて地盤GからコアCが切り出され、コアCがコアバーレル40内に進入してコアバーレル40内に取り込まれていく。図5に示すように、コアバーレル40内にコアCが進入すると、コア接触部80がコアCに押され、突出部86が穴部82側に後退して凹部72から外れ、コア接触部80および突出部86が、ガイド部(溝)70に沿ってコアバーレル40内の奥側に移動する。この際、コア接触部80は、ガイド部70および突出部86により、その軸回り(コアバーレル40の長手方向回り)の回転が規制される。
【0027】
コア採取装置30およびこれを備えるボーリング装置1によると、コア接触部80およびガイド部70を備えることにより、コアCの乱れや崩壊を抑えつつ、コア接触部80の回転を防止することができる。その結果、コアCの特性を計測する計測部により、コアCの方位等のコアCの特性を精度よく計測することが可能となる。
【0028】
コア採取装置30およびこれを備えるボーリング装置1によると、ガイド部70をコアバーレル40の長手方向に延びる溝とし、コア接触部80に突出部86を備えることにより、簡易かつ低コストで上記効果を奏することができる。
【0029】
コア採取装置30およびこれを備えるボーリング装置1によると、コア接触部80が、側周面に穴部82を備え、突出部86が、穴部82の延びる方向において穴部82内を移動可能であり、先端側がガイド部70に入れられ、後端側が穴部82に入れられており、穴部82内において、突出部86の後端と穴部82の底との間に、突出部86をガイド部70に押し付けるように復元力が働く弾性体88を備えることにより、突出部86がガイド部に挿入された状態を保つとともに、コア接触部80のコアCによる押し上げ以外の要因での移動を防止することができる。その結果、コア接触部80の変位によりコアバーレル40内に進入するコアCの変位を計測する計測部などのコア接触部80の動作に関連するまたは影響を受ける計測部を備える場合には、より精度よくコアCの特性を計測することができる。
【0030】
コア採取装置30およびこれを備えるボーリング装置1によると、ガイド部70に、凹部72を備え、突出部86の先端側が凹部72に入れられていることにより、コア採取装置30に衝撃が働く場合であっても、コア接触部80を初期位置にとどめておくことができるので、コアCの乱れや崩壊をより一層抑えることができ、コアCの変位等のコアCの特性を計測する計測部を備える場合には、より精度よくコアCの特性を計測することができる。
【0031】
コア採取装置30およびこれを備えるボーリング装置1によると、凹部72が湾曲していることにより、コアバーレル40内へのコアの進入に伴って、コア接触部80(突出部86)を初期位置からコアバーレル40内の奥側へとスムーズに移動させることができる。
【0032】
コア採取装置およびこれを備えるボーリング装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明およびこれに均等な発明の範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ボーリング装置
10 ボーリング装置本体
20 ロッド
30 コア採取装置
40 コアバーレル
50 外管
52 ビット
54 連結ロッド
60 内管
70 ガイド部
72 凹部
80 コア接触部
82 穴部
84 回転防止部
86 突出部
88 弾性体
C コア
G 地盤
図1
図2
図3
図4
図5