(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108059
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】気泡生成装置および掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21B 21/14 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E21B21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012328
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】399089677
【氏名又は名称】ハイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190702
【弁理士】
【氏名又は名称】筧田 博章
(72)【発明者】
【氏名】小宮 国盛
(57)【要約】
【課題】
従来の技術に比べ、より一層むらなく均一である極めて良質な気泡を生成できる気泡生成装置およびこれを備える掘削装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
気泡を放出しながら地盤の掘削を行う掘削装置に前記気泡を生成して供給するための気泡生成装置であって、流体の流路となる搬送路と、液体に気泡剤を混合した気泡液を前記搬送路に送る気泡液供給部と、気泡液を起泡させ、気泡を生成する起泡部と、起泡部の下流において搬送路に設けられ、流体が透過可能なメッシュまたは複数の透過孔を含む攪拌部と、を備える気泡生成装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を放出しながら地盤の掘削を行う掘削装置に前記気泡を生成して供給するための気泡生成装置であって、
流体の流路となる搬送路と、
液体に気泡剤を混合した気泡液を前記搬送路に送る気泡液供給部と、
前記気泡液を起泡させ、気泡を生成する起泡部と、
前記起泡部の下流において前記搬送路に設けられ、流体が透過可能なメッシュまたは複数の透過孔を含む攪拌部と、
を備える気泡生成装置。
【請求項2】
前記攪拌部は、流体が透過可能であって、前記メッシュの網目または前記透過孔の横断面より横断面が大きい貫通部を備える請求項1記載の気泡生成装置。
【請求項3】
気泡を放出しながら地盤を掘削する掘削装置であって、
請求項1または2記載の気泡生成装置を備える掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気泡生成装置およびこれを備える掘削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤の掘削を行う掘削装置に用いられる気泡を生成するための装置であって、気泡液または気泡を攪拌翼により攪拌する攪拌部を搬送路に備える気泡生成装置が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、研究開発を進めた結果、上記気泡生成装置に比べ、より一層むらなく均一で極めて良質な気泡を生成できる気泡生成装置を発明するに至った。
【0005】
本発明は、従来の技術に比べ、より一層むらなく均一で極めて良質な気泡を生成できる気泡生成装置およびこれを備える掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
気泡生成装置は、気泡を放出しながら地盤の掘削を行う掘削装置に前記気泡を生成して供給するためのものであって、流体の流路となる搬送路と、液体に気泡剤を混合した気泡液を前記搬送路に送る気泡液供給部と、気泡液を起泡させ、気泡を生成する起泡部と、起泡部の下流において搬送路に設けられ、流体が透過可能なメッシュまたは複数の透過孔を含む攪拌部と、を備える。
【0007】
攪拌部は、流体が透過可能であって、メッシュの網目または透過孔の横断面より横断面が大きい貫通部を備えてもよい。
【0008】
掘削装置は、気泡を放出しながら地盤を掘削する装置であって、上記気泡生成装置を備える。
【発明の効果】
【0009】
気泡生成装置によると、従来の技術に比べ、より一層むらなく均一で極めて良質な気泡を生成できる。また、気泡生成装置を備える掘削装置は、従来の技術に比べ、極めて良好に地盤の掘削屑を地上に排出させることができる。また、気泡生成装置を備える掘削装置が、地盤のコアを採取するボーリング装置である場合には、従来の技術に比べ、極めて高品質なコアを採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の気泡生成装置およびボーリング装置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の気泡生成装置1の実施形態について図面を用いて説明する。気泡生成装置1は、
図1に示すように、搬送路40と、気泡液供給部10と、起泡部50と、攪拌部60とを備えている。
【0012】
搬送路40は、流体の流路である。本実施形態では、搬送路40は、管路となっており、その内部において流体が流れる。なお、流体には、液体や気泡が含まれる。
【0013】
気泡液供給部10は、搬送路40において、液体に気泡剤を混合した気泡液を送る装置である。本実施形態では、気泡液供給部10は、
図1に示すように、液体供給源11と、搬送部13と、開閉部15と、気泡剤供給部20と、添加剤供給部30とを備えている。
【0014】
液体供給源11は、本実施形態では、液体を収容可能な容器である。液体供給源11には、例えば水などの液体が収容されている。液体供給源11には、搬送路40の上流端側が接続している。搬送部13は、搬送路40を通じて液体供給源11内の液体を下流側に搬送させるためのものである。本実施形態では、搬送部13は、ポンプで構成されており、搬送路40に備えられている。開閉部15は、搬送路40を開閉して搬送路40の下流側への液体の供給または供給停止を行うためのものである。本実施形態では、開閉部15は、バルブであり、搬送路40に備えられている。
【0015】
気泡剤供給部20は、液体に気泡剤を供給(混合)するためのものである。本実施形態では、気泡剤供給部20は、気泡剤容器21と、供給路23と、開閉部25と、を備えている。気泡剤容器21は、気泡剤を収容可能な容器であり、搬送路40の上方に位置している。気泡剤容器21には、気泡の基となる材料である気泡剤が収容されている。本実施形態では、気泡剤は、界面活性剤などにより構成される。供給路23は、気泡剤を搬送路40に送るための流路である。供給路23は、上下方向に延びる管状のものであり、気泡剤容器21と搬送路40に接続している。開閉部25は、供給路23内を開閉して搬送路40への気泡剤の供給量を調節するためのものである。本実施形態では、開閉部25は、バルブ(例えば逆止弁)であり、供給路23に備えられている。
【0016】
添加剤供給部30は、液体に添加剤を供給(混合)するためのものである。本実施形態では、添加剤供給部30は、添加剤容器31と、供給路33と、開閉部35と、を備えている。添加剤容器31は、添加剤を収容可能な容器であり、搬送路40の上方に位置している。添加剤容器31には、気泡の性質を調整する添加剤が収容されている。本実施形態では、添加剤は、気泡の粘性等を上げるベントナイトまたはベントナイト泥水などにより構成されている。供給路33は、添加剤を搬送路40に送るための流路である。供給路33は、上下方向に延びる管状のものであり、添加剤容器31と搬送路40に接続している。開閉部35は、供給路33内を開閉して搬送路40への添加剤の供給量を調節するためのものである。本実施形態では、開閉部35は、バルブ(例えば逆止弁)であり、供給路33に備えられている。
【0017】
気泡液供給部10は、液体供給源11の液体を搬送路40を通じてその下流側に搬送するとともに、気泡剤供給部20から気泡剤を搬送路40の液体に供給し、添加剤供給部30から添加剤を搬送路40の液体に供給することにより、気泡液を生成する。生成された気泡液は、搬送路40の下流側に搬送される。
【0018】
なお、気泡液供給部10の各構成および搬送路40は、上記機能を奏するものであればどのようなものであってもよい。また、液体供給源11は、水道、河川または池等であってもよい。また、気泡液供給部10は、添加剤供給部30を備えないものであってもよい。また、気泡液供給部10は、液体供給源11にあらかじめ液体に気泡剤またはこれに添加剤を加えたものを貯留するものであってもよい。この場合、気泡液供給部10または添加剤供給部30は不要である。
【0019】
起泡部50は、気泡液を起泡させ、気泡を生成するためのものである。本実施形態では、起泡部50は、
図1に示すように、起泡装置51と、供給路53とを備えている。起泡装置51は、コンプレッサーで構成されており、圧縮空気を生成し、圧縮空気を供給路53に送り出す。供給路53は、圧縮空気を搬送路40に送るための流路である。供給路53は、管状のものであり、起泡装置51と搬送路40に接続している。本実施形態では、供給路53は、後述する攪拌部60の上流側において搬送路40に接続している。起泡部50は、圧縮空気を生成し、起泡路を介して搬送路40の気泡液に圧縮空気を送ることにより、搬送路40を流れる気泡液を起泡して、気泡を生成する。
【0020】
攪拌部60は、起泡部50の下流において搬送路40に設けられ、流体が透過可能なメッシュ64または複数の透過孔を含んでいる。本実施形態では、攪拌部60は、
図2および
図3に示すように、枠部62と、メッシュ64とを備えている。枠部62は、円管状であり、外径が搬送路40の内径以下になっている。枠部62は、搬送路40と軸が同軸になるように、起泡部50が搬送路40に接続する部分の下流において搬送路40内に固定されている。メッシュ64は、枠部62内において枠部62の軸方向に間隔をあけて、複数、ここでは3つ設けられている。各メッシュ64は、搬送路40の軸方向に略直交している。気泡が攪拌部60(メッシュ64)を透過すると、気泡が攪拌され、むらなく均一になる。
【0021】
なお、メッシュ64は、枠部62に1つだけ設けられていてもよい。枠部62は搬送路40内に固定されてもよいし、攪拌部60が搬送路40の軸方向(長手方向)において搬送路40内を移動可能であってもよい。攪拌部60が搬送路40内を移動可能である場合には、攪拌部60の下流において、攪拌部60の下流側への移動を規制する移動規制部が搬送路40内に設けられる。攪拌部60は、搬送路40に複数設けられてもよい。
【0022】
攪拌部60の別の態様は、
図4および
図5に示すように、流体が透過可能であって、メッシュ64の網目または透過孔の横断面より横断面が大きい孔である貫通部66を備える。ここでは、貫通部66は、上記攪拌部60のメッシュ64に複数設けられているものとする。各貫通部66は、枠部62の軸方向においてメッシュ64を貫通している。各貫通部66は、横断面が円形であり、横断面がメッシュ64の網目より大きいものとなっている。
【0023】
なお、貫通部66の数は、特に限定されるものではなく、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0024】
攪拌部60は、メッシュ64の代わりに複数の透過孔を含む場合、枠部62は円柱状であって、搬送路40と軸が同軸になるように、起泡部50が搬送路40に接続する部分の下流において搬送路40内に設けられる。各透過孔は枠部62の軸(搬送路40の軸)と平行に枠部62を貫通している。複数の透過孔は、枠部62の軸方向から見てメッシュ状に配される。また、この場合において、枠部62の軸方向において枠部62を貫通する貫通部66を1または複数備えてもよい。貫通部66の横断面は、透過孔の横断面より大きいものとする。
【0025】
気泡生成装置1において、液体として、川や池の水を用いる場合、水に不純物が含まれるため、不純物によりメッシュ64や透過孔が詰まり、気泡を下流に送れなくなってしまう可能性がある。これに対し、攪拌部60に貫通部66を備えることにより、不純物が貫通部66を通過するので、メッシュ64や透過孔を詰まり難くすることができる。
【0026】
上記気泡生成装置1は、気泡を放出しながら地盤Gを掘削する掘削装置100に接続して用いられる。気泡生成装置1の使用方法を説明するにあたり、ここでは掘削装置100は、気泡を放出しながら地盤Gを掘削し、地盤Gからコアサンプルを採取するボーリング装置100であるものとする。
【0027】
ボーリング装置100は、
図1に示すように、ボーリング装置本体101と、ロッド103と、コアバーレル107とを備えている。ボーリング装置本体101は、ロッド103を支持してその軸方向に進退駆動させるとともに、その軸を中心として回転駆動させる。ロッド103は、直管状のものであり、その内部は気泡を含む流体の流路となっている。ロッド103の後端(上端)には、スイベル105が備えられている。ロッド103の先端(下端)にはコアバーレル107が連結している。コアバーレル107は、その先端に地盤Gを掘削するためのビット109を備えており、ビット109により地盤Gからくり抜かれたコアをその内部に採取する。また、コアバーレル107は、その内部がロッド103の内部と接続しており、ロッド103側から供給される気泡をその先端から掘削孔D内に放出する。
【0028】
気泡生成装置1は、ホース110等の流路の一端を搬送路40の下流端に接続し、ホース110の他端をロッド103のスイベル105に接続することにより、ボーリング装置100に接続される。
【0029】
ボーリング装置100による地盤Gの掘削およびコアの採取の際、気泡生成装置1の気泡液供給部10は、液体供給源11の液体を、搬送路40を通じて下流側に搬送し、気泡剤供給部20および添加剤供給部30により搬送路40の液体に気泡剤と添加剤を混入させて気泡液を生成する。また、起泡部50は、気泡液を起泡し、気泡を生成する。生成された気泡は、攪拌部60に送られ、攪拌部60により攪拌される。攪拌部60で攪拌された気泡は、ホース110を介してロッド103およびコアバーレル107に供給され、コアバーレル107の先端から掘削孔D内に放出される。コアバーレル107から放出される気泡は、掘削された土砂とともに掘削孔D内を上昇し、地上に排出される。
【0030】
気泡生成装置1によると、流体が透過可能なメッシュ64または複数の透過孔を含む攪拌部60を備えることにより、従来の気泡生成装置に比べ、気泡をむらなく均一にし、極めて良質な気泡を生成することができる。また、気泡生成装置1を備える掘削装置100は、従来の掘削装置に比べ、より良好に地盤Gの掘削屑を地上に排出させることができる。また、気泡生成装置1を備える掘削装置100が、地盤Gのコアを採取するボーリング装置100である場合には、従来のボーリング装置に比べ、高品質なコアを採取することができる。
【0031】
また、気泡生成装置1によると、流体が透過可能であって、メッシュ64の網目または透過孔の横断面より横断面が大きい貫通部66を攪拌部60に備えることにより、液体に含まれる不純物によるメッシュ64や透過孔の詰まりを軽減または防止することができる。
【0032】
本発明は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 気泡生成装置
10 気泡液供給部
11 液体供給源
13 搬送部
15 開閉部
20 気泡剤供給部
21 気泡剤容器
23 供給路
25 開閉部
30 添加剤供給部
31 添加剤容器
33 供給路
35 開閉部
40 搬送路
50 起泡部
51 起泡装置
53 供給路
60 攪拌部
62 枠部
64 メッシュ
66 貫通部
100 ボーリング装置(掘削装置)
101 ボーリング装置本体
103 ロッド
105 スイベル
107 コアバーレル
109 ビット
110 ホース
D 掘削孔
G 地盤