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特開2024-108062未収収益計上制御装置、未収収益計上制御方法、および、未収収益計上制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108062
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】未収収益計上制御装置、未収収益計上制御方法、および、未収収益計上制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20240802BHJP
【FI】
G06Q40/12 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012340
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】手塚 旬
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊文
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】収益ストップする延滞月数をマスタ設定することで、その値を参照して月末時点の未収収益を算出することができる未収収益計上制御装置、未収収益計上制御方法、および、未収収益計上制御プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】対象年月末において、債権データに基づいて、債権の延滞月数を算出し、延滞月数を設定した月末計上収益データを取得し、延滞月数が収益ストップ延滞月数を超える場合、月末未収利息計上管理マスタ、および、債権データに基づいて、前回利息精算日から収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、利息計算日数を加味した未収利息を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置であって、
前記記憶部は、
月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、
債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、
を備え、
前記制御部は、
対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得手段と、
前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出手段と、
を備えたことを特徴とする未収収益計上制御装置。
【請求項2】
前記未収利息算出手段は、
前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前記前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの前記利息計算日数を算出し、前記対象年月末の前記融資残高と前記融資利率と前記利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、前記繰越利息を加算した前記未収利息を算出することを特徴とする請求項1に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項3】
前記延滞月数は、
前記月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日を含む年月から前記対象年月までの月数に1を加算した値であることを特徴とする請求項1または2に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項4】
前記未収利息算出手段は、
更に、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数以下の場合、前記債権データに基づいて、前記前回利息精算日から前記対象年月の末日までの利息計算日数を算出し、前記対象年月末の前記融資残高と前記融資利率と前記利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、前記繰越利息を加算した前記未収利息を算出することを特徴とする請求項1に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数以下であり、且つ、利息充当額よりも少額の入金があった場合、前記債権記憶手段に記憶された前記債権取引データに設定された前記利息精算日および前記繰越利息を更新する取引更新手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項6】
前記債権取引データは、
更に、前記月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日が設定され、
前記取引更新手段は、
前記月々返済額以上の入金があった場合、前記債権記憶手段に記憶された前記債権取引データに設定された前記利息精算日、前記繰越利息および前記次回予定日を更新することを特徴とする請求項5に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記対象年月末において、前記債権取引データに設定された前記未収利息が存在する場合、借方の勘定科目が前記未収利息である利息仕訳データを作成し、前記対象年月の翌月初に、前記利息仕訳データに対する逆仕訳データを作成する仕訳作成手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項8】
前記債権契約データは、
更に、前記債権の手数料額を含む融資金額が設定され、
前記月々返済額は、
月々手数料返済額を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の未収収益計上制御装置。
【請求項9】
記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置に実行させるための未収収益計上制御方法であって、
前記記憶部は、
月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、
債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、
を備え、
前記制御部において実行される、
対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得ステップと、
前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出ステップと、
を含むことを特徴とする未収収益計上制御方法。
【請求項10】
記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置に実行させるための未収収益計上制御プログラムであって、
前記記憶部は、
月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、
債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、
を備え、
前記制御部において、
対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得ステップと、
前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出ステップと、
を実行させるための未収収益計上制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未収収益計上制御装置、未収収益計上制御方法、および、未収収益計上制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、月次の利息回収予定に対する入金実績に応じて、未収利息を認識する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-184393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、延滞月数に応じて経過収益の計上ストップを制御することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、収益ストップする延滞月数をマスタ設定することで、その値を参照して月末時点の未収収益を算出することができる未収収益計上制御装置、未収収益計上制御方法、および、未収収益計上制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る未収収益計上制御装置は、記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置であって、前記記憶部は、月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、を備え、前記制御部は、対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得手段と、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記未収利息算出手段は、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前記前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの前記利息計算日数を算出し、前記対象年月末の前記融資残高と前記融資利率と前記利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、前記繰越利息を加算した前記未収利息を算出することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記延滞月数は、前記月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日を含む年月から前記対象年月までの月数に1を加算した値であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記未収利息算出手段は、更に、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数以下の場合、前記債権データに基づいて、前記前回利息精算日から前記対象年月の末日までの利息計算日数を算出し、前記対象年月末の前記融資残高と前記融資利率と前記利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、前記繰越利息を加算した前記未収利息を算出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記制御部は、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数以下であり、且つ、利息充当額よりも少額の入金があった場合、前記債権記憶手段に記憶された前記債権取引データに設定された前記利息精算日および前記繰越利息を更新する取引更新手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記債権取引データは、更に、前記月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日が設定され、前記取引更新手段は、前記月々返済額以上の入金があった場合、前記債権記憶手段に記憶された前記債権取引データに設定された前記利息精算日、前記繰越利息および前記次回予定日を更新することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記制御部は、前記対象年月末において、前記債権取引データに設定された前記未収利息が存在する場合、借方の勘定科目が前記未収利息である利息仕訳データを作成し、前記対象年月の翌月初に、前記利息仕訳データに対する逆仕訳データを作成する仕訳作成手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る未収収益計上制御装置において、前記債権契約データは、更に前記債権の手数料額を含む融資金額が設定され、前記月々返済額は、月々手数料返済額を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る未収収益計上制御方法は、記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置に実行させるための未収収益計上制御方法であって、前記記憶部は、月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、を備え、前記制御部において実行される、対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得ステップと、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る未収収益計上制御プログラムは、記憶部と制御部とを備えた未収収益計上制御装置に実行させるための未収収益計上制御プログラムであって、前記記憶部は、月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定した月末未収利息計上管理マスタと、債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶する債権記憶手段と、を備え、前記制御部において、対象年月末において、前記債権データに基づいて、前記債権の延滞月数を算出し、前記延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する月末計上収益取得ステップと、前記延滞月数が前記収益ストップ延滞月数を超える場合、前記月末未収利息計上管理マスタ、および、前記債権データに基づいて、前回利息精算日から前記収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、前記利息計算日数を加味した未収利息を算出する未収利息算出ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、延滞月数に応じて経過収益の計上ストップを制御することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、各社の会計基準に沿った未収収益計上を設定のみで可能とすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、各社の会計基準に沿った延滞債権の収益計上を、マスタ設定のみで実現することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、割賦管理および融資管理等のノンバンク業界の各社に対して、各社の会計基準に沿った収益計上を可能とするという効果を奏する。また、本発明によれば、延滞月数に応じて経過収益の計上ストップを制御するにあたっての、長期延滞の利息算出および日付設定をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態における未収収益計上制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態における債権契約データの一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態における未収収益計上制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図5図5は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図6図6は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図7図7は、従来の未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図8図8は、従来の未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図9図9は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
図10図10は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0019】
[1.概要]
まず、本発明の概要を説明する。
【0020】
貸金業・クレジット業界における利息や手数料の収益計上においては、利息や手数料の計算期間の経過に応じて収益計上することが一般的であるため、月末の都度、各契約における月末時点の未収収益を計算して、収益計上することになる。一方で、数カ月にわたり延滞している契約においては、未収利息が毎月増額していくことになるが、それを全額収益として計上するのではなく、ある一定の延滞月数を超えた場合、収益として認識しない会計基準の会社が多くある。
【0021】
従来、延滞債権については、各月末において未収期間に対する全額の収益金額が計算され、長期延滞契約分の収益金額がシステム外で別途処理されるケースが多かった。また、従来、会計基準により収益ストップをする延滞期間が異なることが多かった。
【0022】
例えば、従来は、月末締処理時に、該当月末日時点の「未収利息=月末時点残高×融資利率×[前回利息精算日の翌日~対象年月の月末までの日数]÷365(閏年の場合、366)+繰越利息」で計算される。ここで、利息精算日とは、前回入金日であり、利息精算日迄の利息金額は、利息精算日後に、充当があれば充当利息として処理され、未充当であれば繰越利息として管理される。また、遅延金(発生、繰越)については、加算されない。また、繰越利息とは、前回利息精算日のタイミングで未充当となった利息である。
【0023】
そこで、本実施形態においては、延滞月数に応じて経過収益の計上ストップを制御する仕組みを提供している。すなわち、本実施形態においては、予め収益計上をストップする延滞月数を設定しておくことで、月末の期間利息計算時に、延滞契約に設定された延滞月数を超える部分について計算対象外(収益計上対象外)とすることを可能としている。
【0024】
例えば、本実施形態においては、月末未収利息計上管理マスタを参照し、延滞債権の延滞月数が、マスタに設定された収益ストップ延滞月数の値を超えるか否かを判定し、利息計算期間を収益ストップ延滞月数分に調整する仕組みを提供している。すなわち、本実施形態においては、各契約の延滞月数≦月末未収利息計上管理マスタ.収益ストップ延滞月数の場合、月末締処理時に、該当月末日時点の「未収利息=月末時点残高×融資利率×[前回利息精算日の翌日~対象年月の月末までの日数]÷365(閏年の場合、366)+繰越利息」で計算され、各契約の延滞月数>月末未収利息計上管理マスタ.収益ストップ延滞月数の場合、月末締処理時に、該当月末日時点の「未収利息=月末時点残高×融資利率×[前回利息精算日の翌日~月末未収利息計上管理マスタ.収益ストップ延滞月数である年月の月末日までの日数]÷365(閏年の場合、366)+繰越利息」で計算される。
【0025】
[2.構成]
本実施形態に係る未収収益計上制御装置100の構成の一例について、図1および図2を参照して説明する。図1は、本実施形態における未収収益計上制御装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、未収収益計上制御装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、未収収益計上制御装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0027】
未収収益計上制御装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。未収収益計上制御装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0028】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、未収収益計上制御装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、未収収益計上制御装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0029】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0030】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、月末未収利息計上管理マスタ106aと債権データベース106bとを備えている。
【0031】
月末未収利息計上管理マスタ106aは、月次の利息の滞納による収益を止める収益ストップ延滞月数を設定したマスタである。
【0032】
債権データベース106bは、債権データを記憶する。ここで、債権データベース106bは、債務者に対する債権の融資利率、約定日および月々返済額を設定した債権契約データ、ならびに、利息精算日、融資残高および繰越利息を設定した債権取引データを含む債権データを記憶していてもよい。また、債権取引データは、月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日が設定されていてもよい。また、債権契約データは、債権の手数料額を含む融資金額が設定されていてもよい。また、月々返済額は、月々手数料返済額を含んでいてもよい。
【0033】
ここで、図2を参照して、本実施形態における債権契約データの一例について説明する。図2は、本実施形態における債権契約データの一例を示す図である。
【0034】
図2に示すように、本実施形態における債権契約データには、債権番号、約定日、および、月々返済額が設定されていてもよい。
【0035】
図1に戻り、制御部102は、未収収益計上制御装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、月末計上収益取得部102aと未収利息算出部102bと取引更新部102cと仕訳作成部102dとを備えている。
【0036】
月末計上収益取得部102aは、債権の延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する。ここで、月末計上収益取得部102aは、対象年月末において、債権データに基づいて、債権の延滞月数を算出し、延滞月数を設定した月末計上収益データを取得してもよい。ここで、延滞月数は、月々返済額充当後の翌返済予定日である次回予定日を含む年月から対象年月までの月数に1を加算した値であってもよい。
【0037】
未収利息算出部102bは、未収利息を算出する。ここで、未収利息算出部102bは、延滞月数が収益ストップ延滞月数を超える場合、月末未収利息計上管理マスタ106a、および、債権データに基づいて、前回利息精算日から収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、利息計算日数を加味した未収利息を算出してもよい。また、未収利息算出部102bは、延滞月数が収益ストップ延滞月数を超える場合、月末未収利息計上管理マスタ106a、および、債権データに基づいて、前回利息精算日から収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、対象年月末の融資残高と融資利率と利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、繰越利息を加算した未収利息を算出してもよい。また、未収利息算出部102bは、延滞月数が収益ストップ延滞月数以下の場合、債権データに基づいて、前回利息精算日から対象年月の末日までの利息計算日数を算出し、対象年月末の融資残高と融資利率と利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、繰越利息を加算した未収利息を算出してもよい。
【0038】
取引更新部102cは、債権データベース106bに記憶された債権取引データを更新する。ここで、取引更新部102cは、延滞月数が収益ストップ延滞月数以下であり、且つ、利息充当額よりも少額の入金があった場合、債権データベース106bに記憶された債権取引データに設定された利息精算日および繰越利息を更新してもよい。また、取引更新部102cは、月々返済額以上の入金があった場合、債権データベース106bに記憶された債権取引データに設定された利息精算日、繰越利息および次回予定日を更新してもよい。
【0039】
仕訳作成部102dは、仕訳データを作成する。ここで、仕訳作成部102dは、対象年月末において、債権取引データに設定された未収利息が存在する場合、借方の勘定科目が未収利息である利息仕訳データを作成し、対象年月の翌月初に、利息仕訳データに対する逆仕訳データを作成してもよい。
【0040】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、図3から図10を参照して説明する。
【0041】
[未収収益計上制御処理]
ここで、図3を参照して、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例について説明する。図3は、本実施形態における未収収益計上制御装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように、月末計上収益取得部102aは、対象年月末において、債権データベース106bに記憶された債権データに基づいて、債権の延滞月数を算出し、延滞月数を設定した月末計上収益データを取得する(ステップSA-1)。ここで、本実施形態において、「延滞月数=(対象年月-債権取引データに設定された次回予定日を含む年月)+1」であり、延滞月数としてマイナス値が算出された場合、延滞月数を0としてもよい。
【0043】
そして、未収利息算出部102bは、延滞月数が、月末未収利息計上管理マスタ106aに設定された収益ストップ延滞月数を超える場合、月末未収利息計上管理マスタ106a、および、債権データベース106bに記憶された債権データに基づいて、前回利息精算日から収益ストップ延滞月数経過した月の末日までの利息計算日数を算出し、延滞月数が、月末未収利息計上管理マスタ106aに設定された収益ストップ延滞月数以下の場合、債権データベース106bに記憶された債権データに基づいて、前回利息精算日から対象年月の末日までの利息計算日数を算出する(ステップSA-2)。
【0044】
そして、未収利息算出部102bは、延滞月数が収益ストップ延滞月数を超える場合、月末未収利息計上管理マスタ106a、および、債権データベース106bに記憶された債権データに基づいて、対象年月末の融資残高と融資利率と利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、繰越利息を加算した未収利息を算出し、延滞月数が収益ストップ延滞月数以下の場合、債権データベース106bに記憶された債権データに基づいて、対象年月末の融資残高と融資利率と利息計算日数とを乗算した値を被除数とし、対象年の年間日数を除数とした場合の商に、繰越利息を加算した未収利息を算出し(ステップSA-3)、処理を終了する。
【0045】
なお、本実施形態において、「対象期間の利息金額=繰越未収利息+融資残高×融資利率×利息精算日の翌日から計算日当日までの日数÷365(閏年の場合、366)」で計算される。ここで、融資残高は、債権取引データに保持されており、債権番号をキーにデータが一意に抽出可能であるため、そのデータが計算時に抽出される。また、融資利率は、債権契約データに保持されており、債権番号をキーにデータが一意に抽出可能であるため、そのデータが計算時に抽出される。また、利息精算日は、債権取引データに保持されており、債権番号をキーにデータが一意に抽出可能であるため、そのデータが計算時に抽出される(なお、本実施形態において、日数がマイナスの場合、利息精算日は、0日となる)。
【0046】
また、本実施形態においては、入金処理時に、「債権契約データに設定された債権No」が参照され、入金額と「債権契約データに設定された月々返済額」とが比較され、入金額≧「月々返済額」の場合、債権取引データにおいて、1ヶ月後の「債権契約データに設定された約定日」の日付が「次回予定日」として更新される。ただし、本実施形態においては、1ヶ月後の「債権契約データに設定された約定日」が休日の場合、債権取引データにおいて、翌日以降の平日が「次回予定日」として更新される。また、本実施形態においては、入金処理時に、入金額<「月々返済額」の場合、債権取引データにおいて、「次回予定日」が変更されない。
【0047】
ここで、図4から図10を参照して、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例について説明する。図4から図6図9および図10は、本実施形態における未収収益計上制御処理の一例を示す図である。図7および図8は、従来の未収収益計上制御処理の一例を示す図である。
【0048】
図4に示すように、本実施形態においては、融資実行処理として、顧客からの¥700,000の借入希望に応じて、¥700,000の融資残高を設定した債権取引データが設定される。
【0049】
そして、図5に示すように、本実施形態においては、入金処理として、顧客からの¥100,000の返済に応じて、債権取引データに設定された次回予定日が、10,000円以上の入金があったため翌月に更新され、充当利息が、融資残高に対する5日分の利息として「¥0+¥700,000×5%×5日(1/21~1/25)÷365日」の式により更新される。そして、図5に示すように、本実施形態においては、月末締処理として、「¥600,479×5%×6日(1/26~1/31)÷365日+¥0」の式による融資残高に対する6日分の未収利息、および、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式による延滞月数(0)を設定した月末計上収益データが作成される。
【0050】
そして、図6に示すように、本実施形態においては、入金処理として、顧客からの¥2,000の返済に応じて、債権取引データに設定された次回予定日が、10,000円以上の入金がなかったため更新されず、「¥0+¥600,479×5%×31日(1/26~2/25)÷365日=¥2,549」の式により融資残高に対する31日分の利息が算出されるため、充当利息が¥2,000円に更新され、繰越利息が不足分¥549に更新される。そして、図6に示すように、本実施形態においては、月末締処理として、月末計上収益データにおいて、「¥600,479×5%×3日(2/26~2/28)÷365日+¥549」の式により算出される融資残高に対する3日分の利息で未収利息が更新され、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式により算出される月数(1)で延滞月数が更新される。
【0051】
ここで、図7に示すように、従来においては、入金なしのため、債権取引データが更新されず、月末締処理として、月末計上収益データにおいて、「¥600,479×5%×34日(2/26~3/31)÷365日+¥549」の式により算出される融資残高に対する34日分の利息で未収利息が更新され、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式により算出される月数(2)で延滞月数が更新される。
【0052】
そして、図8に示すように、従来においては、入金なしのため、債権取引データが更新されず、月末締処理として、月末計上収益データにおいて、「¥600,479×5%×64日(2/26~4/30)÷365日+¥549」の式により算出される融資残高に対する64日分の利息で未収利息が更新され、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式により算出される月数(3)で延滞月数が更新される。このように、従来は、延滞契約の未収利息の計上が継続してしまう。
【0053】
一方、図9に示すように、本実施形態においては、入金なしのため、債権取引データが更新されず、月末締処理として、月末計上収益データにおいて、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式により算出される月数(2)で延滞月数が更新され、「延滞月数≦月末未収利息計上管理マスタ106aに設定された収益ストップ延滞月数」であるため、「¥600,479×5%×34日(2/26~3/31)÷365日+¥549」の式により算出される融資残高に対する34日分の利息で未収利息が更新される。
【0054】
そして、図10に示すように、本実施形態においては、入金なしのため、債権取引データが更新されず、月末締処理として、月末計上収益データにおいて、「(対象年月-次回予定日の年月)+1」の式により算出される月数(3)で延滞月数が更新され、「延滞月数>月末未収利息計上管理マスタ106aに設定された収益ストップ延滞月数」であるため、「¥600,479×5%×34日(2/26~3/31)÷365日+¥549」の式により算出される融資残高に対する34日分の利息で未収利息が更新される。
【0055】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0058】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0059】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0060】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0061】
また、未収収益計上制御装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0062】
例えば、未収収益計上制御装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて未収収益計上制御装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0063】
また、このコンピュータプログラムは、未収収益計上制御装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0064】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0065】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0066】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0067】
また、未収収益計上制御装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、未収収益計上制御装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0068】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、ノンバンク業界を含む金融業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0070】
100 未収収益計上制御装置
102 制御部
102a 月末計上収益取得部
102b 未収利息算出部
102c 取引更新部
102d 仕訳作成部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 月末未収利息計上管理マスタ
106b 債権データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10