(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108063
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ねじ打ち込み補助具
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B25B21/00 530Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012341
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】堀 一夫
(72)【発明者】
【氏名】神田 陽悦
(72)【発明者】
【氏名】高野 里奈
(72)【発明者】
【氏名】山部 恵里華
(72)【発明者】
【氏名】上田 祐史
(57)【要約】
【課題】ねじの打ち込みにより発生する粉塵によってねじの案内が阻害されるのを抑制すること。
【解決手段】ねじ打ち込み補助具1は、被取付部2と、突出位置P1と退避位置P2との間で軸方向に移動可能となるように被取付部2に取り付けられた可動部3と、被取付部2に対して可動部3を付勢する付勢部材と、ねじ連結体Saから打込用工具32の先端位置へ次の打ち込み対象となるねじを案内するための案内機構5と、を備えている。案内機構5は、退避位置P2から突出位置P1へ向けた被取付部2に対する可動部3の移動に応じて連結帯Sbに形成された被係合部Sb1に係合された状態で移動するように被取付部2及び可動部3の一方に設けられた係合部5B212を有する。ねじ打ち込み補助具1は、被取付部2に対する可動部3の移動のための動力を利用して、係合部5B212及び被係合部Sb1に付着された粉塵を除去するための除去機構6を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部とねじを打ち込むために前記本体部に対して所定の回転軸を中心として回転可能に取り付けられた打込用工具とを有する電動工具における前記本体部に取り付けられ、前記ねじの連続打ち込みを補助するためのねじ打ち込み補助具であって、
前記本体部に取り付けられる被取付部と、
前記回転軸に沿った軸方向において前記被取付部よりも前記打込用工具の先端側に突出する突出位置と、前記軸方向において前記突出位置よりも前記打込用工具の基端側に退避する退避位置と、の間で前記軸方向に移動可能となるように前記被取付部に取り付けられた可動部と、
前記可動部が前記被取付部に対して前記突出位置に向かう方向の付勢力を前記可動部に与える付勢部材と、
複数のねじと複数のねじを連結する連結帯とを有するねじ連結体から前記打込用工具の先端位置へ次の打ち込み対象となるねじを案内するための案内機構であって、前記退避位置から前記突出位置へ向けた前記被取付部に対する前記可動部の移動に応じて前記連結帯に形成された被係合部に係合された状態で移動するように前記被取付部及び前記可動部の一方に設けられた係合部を有する案内機構と、
前記被取付部に対する前記可動部の移動のための動力を利用して、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に付着された粉塵を除去するための除去機構と、を備えている、ねじ打ち込み補助具。
【請求項2】
前記案内機構は、前記突出位置から前記退避位置へ向けた前記被取付部に対する前記可動部の移動の過程においては前記係合部を停止するように構成され、
前記除去機構は、前記突出位置から前記退避位置へ向けた前記可動部の移動のための動力を利用して粉塵を除去するように構成されている、請求項1に記載のねじ打ち込み補助具。
【請求項3】
前記除去機構は、前記粉塵を除去するための除去手段を収容するための収容部と、前記被取付部に対する前記可動部の移動のための動力により前記収容部に対して移動することにより前記収容部内に収容された除去手段を前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に押し出す押出部と、を有する、請求項1に記載のねじ打ち込み補助具。
【請求項4】
前記収容部は、前記除去手段である気体を蓄えるための収容容器と、前記収容容器から前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に向けて延びるとともに前記収容容器から前記気体を案内するための案内通路と、を有する、請求項3に記載のねじ打ち込み補助具。
【請求項5】
前記収容容器は、前記気体を前記案内通路に導出するための導出口と前記気体を外部から取り入れるための取入口とを有する容器本体と、前記導出口を通じた前記案内通路への気体の導出を許容する一方、前記導出口を通じた気体の導入を規制するとともに前記導出口と案内通路との間に設けられた第1逆止弁と、前記取入口を通じた気体の取り入れを許容する一方、前記取入口を通じた気体の導出を規制するとともに前記取入口に接続された第2逆止弁と、を有し、
前記押出部は、前記導出口及び前記取入口に面する前記容器本体内の空間を拡縮可能となるように前記容器本体に取り付けられている、請求項4に記載のねじ打ち込み補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじの連続打ち込みを補助するためのねじ打ち込み補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、本体部とねじを打ち込むために本体部に対して回転可能に取り付けられた打込用工具とを有する電動工具における本体部に取り付けられ、ねじの連続打ち込みを補助するためのねじ打ち込み補助具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の電動式ねじ打込機は、本体フレーム(本体部)と、本体フレームに対して回転可能に取り付けられたドライバビット(打込用工具)と、本体フレームに取り付けられ、ねじの連続打ち込みを補助するための補助部分と、を有している。
【0004】
具体的に、補助部分は、本体フレームから前方に延びるノーズ部と、ノーズ部に対してドライバビットの軸方向に移動可能に取り付けられたノーズピースと、ノーズピースがノーズ部よりも先端に延びるようにノーズ部に対してノーズピースを付勢するコイルばねと、ねじ保持帯により連結された複数のねじを1本ずつドライバビット先端に案内するための案内手段と、を有している。案内手段は、ノーズ部に設けられているとともにねじ保持帯に形成された送り凹部に係合する突起を有するスプロケットホイールと、ノーズ部に設けられているとともにスプロケットホイールを回転させるためにスプロケットホイールの突起に係合可能な爪部材と、ノーズピースに設けられているとともに爪部材を旋回させるように爪部材に係合する溝と、を有する。
【0005】
特許文献1に記載の電動式ねじ打込機においては、ねじを打ち込むためにノーズピースを打込対象物に押し付けてノーズピースがノーズ部に対して押し込まれる過程において爪部材とスプロケットホイールの突起とが非係合の状態である。一方、ノーズピースの打込対象物に対する押し付けが終了し、コイルばねによってノーズピースがノーズ部から突出する方向に移動する過程においては爪部材とスプロケットの突起とが係合した状態で爪部材が旋回することによりスプロケットホイールが回転し、次のねじがドライバビット先端に案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の電動式ねじ打込機においては、ねじの打ち込みにより打込対象物から飛散する粉塵がスプロケットホイール及び爪部材の少なくとも一方に付着することにより両者の係合が阻害され、これにより、ねじの案内を適切に行うことができないおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、ねじの打ち込みにより発生する粉塵によってねじの案内が阻害されるのを抑制することができる、ねじ打ち込み補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、第一の発明は、本体部とねじを打ち込むために前記本体部に対して所定の回転軸を中心として回転可能に取り付けられた打込用工具とを有する電動工具における前記本体部に取り付けられ、前記ねじの連続打ち込みを補助するためのねじ打ち込み補助具であって、前記本体部に取り付けられる被取付部と、前記回転軸に沿った軸方向において前記被取付部よりも前記打込用工具の先端側に突出する突出位置と、前記軸方向において前記突出位置よりも前記打込用工具の基端側に退避する退避位置と、の間で前記軸方向に移動可能となるように前記被取付部に取り付けられた可動部と、前記可動部が前記被取付部に対して前記突出位置に向かう方向の付勢力を前記可動部に与える付勢部材と、複数のねじと複数のねじを連結する連結帯とを有するねじ連結体から前記打込用工具の先端位置へ次の打ち込み対象となるねじを案内するための案内機構であって、前記退避位置から前記突出位置へ向けた前記被取付部に対する前記可動部の移動に応じて前記連結帯に形成された被係合部に係合された状態で移動するように前記被取付部及び前記可動部の一方に設けられた係合部を有する案内機構と、前記被取付部に対する前記可動部の移動のための動力を利用して、前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に付着された粉塵を除去するための除去機構と、を備えている、ねじ打ち込み補助具を提供する。
【0010】
第一の発明によれば、電動工具に取り付けられた状態において、当該電動工具を打込対象物に向けて軸方向の先端側に移動させることにより、打込対象物に押し付けられた可動部を突出位置から退避位置へ移動させるとともに、案内機構により案内されたねじを打込用工具によって打込対象物に打ち込むことができる。一方、ねじの打ち込みが終了し、電動工具を打込対象物から軸方向の基端側へ移動させると、可動部の退避位置から突出位置への移動に応じて案内機構の係合部が被係合部に係合された状態で移動することにより、次の打ち込み対象となるねじを打込用工具の先端部に案内することができる。
【0011】
さらに、本発明は、除去機構を有しているため、被取付部に対する可動部の移動のための動力を利用して係合部及び被係合部の少なくとも一方に付着された粉塵を除去することができる。
【0012】
したがって、本発明によれば、ねじの打ち込みにより発生する粉塵によってねじの案内が阻害されるのを抑制することができる。
【0013】
第二の発明は、第一の発明において、前記案内機構は、前記突出位置から前記退避位置へ向けた前記被取付部に対する前記可動部の移動の過程においては前記係合部を停止するように構成され、前記除去機構は、前記突出位置から前記退避位置へ向けた前記可動部の移動のための動力を利用して粉塵を除去するように構成されていることが好ましい。
【0014】
第二の発明によれば、突出位置から退避位置へ向けた可動部の移動の過程においては係合部が停止するように案内機構が構成されている。そのため、このように停止状態にある係合部及び被係合部の少なくとも一方から除去機構によって粉塵を確実に除去することができる。
【0015】
第三の発明は、第一の発明又は第二の発明において、前記除去機構は、前記粉塵を除去するための除去手段を収容するための収容部と、前記被取付部に対する前記可動部の移動のための動力により前記収容部に対して移動することにより前記収容部内に収容された除去手段を前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に押し出す押出部と、を有することが好ましい。
【0016】
第三の発明によれば、押出部によって収容部内に収容された除去手段を係合部及び被係合部の少なくとも一方に押し出すことができるため、除去手段によって粉塵を除去することができる。
【0017】
第四の発明は、第三の発明において、前記収容部は、前記除去手段である気体を蓄えるための収容容器と、前記収容容器から前記係合部及び前記被係合部の少なくとも一方に向けて延びるとともに前記収容容器から前記気体を案内するための案内通路と、を有することが好ましい。
【0018】
第四の発明によれば、被取付部に対する可動部の移動のための動力により収容容器内の気体を押出部によって案内通路を介して係合部及び被係合部の少なくとも一方に導出、つまり、吹き出すことができる。この気体の吹き出しによって係合部及び被係合部の少なくとも一方に付着した粉塵を除去することができる。
【0019】
第五の発明は、第四の発明において、前記収容容器は、前記気体を前記案内通路に導出するための導出口と前記気体を外部から取り入れるための取入口とを有する容器本体と、前記導出口を通じた前記案内通路への気体の導出を許容する一方、前記導出口を通じた気体の導入を規制するとともに前記導出口と案内通路との間に設けられた第1逆止弁と、前記取入口を通じた気体の取り入れを許容する一方、前記取入口を通じた気体の導出を規制するとともに前記取入口に接続された第2逆止弁と、を有し、前記押出部は、前記導出口及び前記取入口に面する前記容器本体内の空間を拡縮可能となるように前記容器本体に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
第五の発明によれば、押出部により容器本体内の空間を縮小させることにより導出口を通じた気体の押し出しを行うことができる一方、押出部により容器本体内の空間を拡大させることにより取入口を通じた気体の導入を行うことができる。ここで、気体の導入を導出口(案内通路)ではなく取入口を通じて行うことができるため、収容容器内への粉塵の吸引を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ねじの打ち込みにより発生する粉塵によってねじの案内が阻害されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るねじ打ち込み補助具を有する電動工具を示す側面図である。
【
図2】
図1のねじ打ち込み補助具の一部を拡大して示す側面断面図である。
【
図6】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、電動工具を打込対象物に押し付け始めた状態を示す。
【
図7】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、作動軸が回転下状態を示す。
【
図8】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、
図7の状態におけるねじと打込用工具との位置関係を示す。
【
図9】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、ねじが打ち込まれた状態を示す。
【
図10】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、
図9の状態におけるねじと打込用工具との位置関係を示す。
【
図11】ねじの打ち込み作業の手順を示す側面断面図であり、電動工具を打込対象物から引き上げた状態を示す。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係るねじ打ち込み補助具の一部を拡大して示す側面断面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態に係るねじ打ち込み補助具の一部を拡大して示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態に係るねじ打ち込み補助具1を有する電動工具30を示す側面図である。
【0025】
図1を参照して、電動工具30は、本体部31と、ねじScを打ち込むために本体部31に対して所定の回転軸Shを中心として回転可能に取り付けられた打込用工具32(例えば、ドライバー:
図4参照)と、ねじ打ち込み補助具1と、を有する。
【0026】
本体部31は、打込用工具32が取り付けられた回転駆動部(図示せず)を収容する収容部31aと、収容部31aから回転軸Shと直交する方向に延びるグリップ部31bと、回転駆動部の回転と停止との切換操作を行うための操作部31cと、を有する。
【0027】
図2は、
図1のねじ打ち込み補助具の一部を拡大して示す側面断面図である。
【0028】
図1及び
図2を参照して、ねじ打ち込み補助具1は、本体部31に取り付けられ、ねじScの連続打ち込みを補助するためのものである。具体的に、ねじ打ち込み補助具1は、収容部31aに取り付けられた被取付部2と、回転軸Shに沿った軸方向(以下、単に軸方向という)に移動可能となるように被取付部2に取り付けられた可動部3と、可動部3を付勢する付勢部材4と、複数のねじScとねじScを連結する連結帯Sbとを有するねじ連結体Saから打込用工具32の先端位置へ次の打ち込み対象となるねじScを案内するための案内機構5と、を有する。
図3に示すように、連結帯Sbは、所定の長手方向に延びる帯状の部材であり、長手方向に沿って一列に並べられた状態で複数のねじScを保持している。また、連結帯Sbにおける長手方向と直交する幅方向の両縁部には、幅方向の一方に開くとともに連結帯Sbを厚み方向に貫通する複数の被係合部Sb1(本実施形態では溝)が長手方向に並んで設けられている。
【0029】
図1及び
図2を参照して、被取付部2は、打込用工具32を回転可能に挿通させた状態で収容部31aに取り付けられている。具体的に、被取付部2は、収容部31aに対して着脱可能に取り付けられた着脱部2aと、着脱部2aの先端部から軸方向に延びる延長部2bと、延長部2bの先端部から軸方向に延びるとともに可動部3を移動可能に保持する保持部2cと、を有する。
【0030】
着脱部2a及び延長部2bは、それぞれ打込用工具32が回転可能に挿通された円筒状の部分である。
【0031】
図3は、
図2のIII-III線断面図である。
図2及び
図3を参照して、保持部2cは、可動部3を軸方向に移動可能に収納するとともに下方に開口する収納室Arを有する。具体的に、保持部2cは、天板部2c1と、天板部2c1の周縁部から軸方向の先端側に延びる側壁部2c2と、を有し、天板部2c1における軸方向の先端側で側壁部2c2の内側に収納室Arが形成されている。天板部2c1は、打込用工具32を回転可能に挿通させるための図外の挿通孔を有する。側壁部2c2は、可動部3の外周面と摺動可能な断面形状を有する内周面を有する。本実施形態における可動部3の外周面は、
図3に示すように長方形の断面形状を有し、この可動部3の外周面に対応して、側壁部2c2の内周面も長方形の断面形状を有する。また、側壁部2c2の4つの側壁のうち
図1において正面を向くの一つ側壁には、収納室Arを正面に向けて開放するとともに後述の案内機構5の一部を構成する変換溝5bが形成されている。また、側壁部2c2には、可動部3の軸方向への移動時に後述する除去機構6の第2固定部6a4の軸方向の移動を許容するように当該第2固定部6a4を受け入れるスリット2c21が形成されている。
【0032】
図1~
図3を参照して、可動部3は、打込用工具32を回転可能に挿通させた状態で保持部2cに保持されている。また、可動部3は、軸方向において被取付部2よりも打込用工具の先端側(
図2の下側)に突出する突出位置P1(
図1に示す位置)と、軸方向において突出位置P1よりも打込用工具の基端側(
図2の上側)に退避する退避位置P2(
図9に示す位置)と、の間で軸方向に移動可能となるように保持部2cにより保持されている。
【0033】
具体的に、可動部3は、保持部2cによって保持される被保持部3aと、被保持部3aから軸方向の先端側に延びるとともにねじScの打ち込み位置を矯正するための矯正部3bと、を有する。
【0034】
被保持部3aは、軸方向に打込用工具32を挿通させる筒状の側壁部3a1と、側壁部3a1の上部開口を閉じるように側壁部3a1の上端に設けられているとともに打込用工具32を回転可能に挿通させる図外の孔を有する天板部3a2と、側壁部3a1の下部開口を閉じるように側壁部3a1の下端に設けられているとともに打込用工具32を回転可能に挿通させる孔3a31(
図10参照)を有する底板部3a3と、を有する。側壁部3a1は、保持部2cの側壁部2c2の内周面と摺動可能な外周面を有する長方形の断面形状を有する。具体的に、側壁部3a1は、
図1~
図3において手前を向く正面壁3a11と、後ろを向く背面壁3a12と、右方を向く右側壁3a13と、左方を向く左側壁3a14と、を有する。正面壁3a11は、側壁部3a1内の空間(案内機構5の一部)を正面に向けて開放する開放溝(符号省略)を有する。右側壁3a13は、底板部3c上に連結帯Sbが載置されるようにねじ連結体Saを導入するための導入穴3a131を有する。左側壁3a14は、導入穴3a131と対向するとともに側壁部3a1内の連結帯Sbを外部に導出するための導出穴3a141を有する。
【0035】
矯正部3bは、被保持部3aの底板部3a3から軸方向の先端側に延びる延出部3b1と、延出部3b1の軸方向の先端部に設けられ、ねじScの先端部を回転軸Shの延長線Sh1(
図5参照)に近づけるように案内するための案内筒3b2と、を有する。延出部3b1は、後述の案内機構5によるねじScの移動軌跡から軸方向と直交する方向に外れた位置で軸方向に沿って延びている。案内筒3b2は、ねじScの移動軌跡から軸方向の先端側に離れた位置に設けられ、軸方向の先端側に向けて回転軸Shの延長線Sh1に近づくように先細りに形成された内周面3b21を有する。
【0036】
付勢部材4は、可動部3が被取付部2に対して突出位置P1に向かう方向の付勢力を可動部に与えるためのものである。具体的に、付勢部材4は、突出位置P1から退避位置P2に向かう可動部3の移動に応じて付勢力を蓄えるように収納室Ar内において保持部2cの天板部2c1と可動部3の天板部3a2との間に設けられている。本実施形態において、付勢部材4は、コイルばねであるが、ゴムや空気ばね等によって代用することもできる。
【0037】
図2及び
図3を参照して、案内機構5は、退避位置P2から突出位置P1へ向けた被取付部2に対する可動部3の移動に応じて連結帯Sbに形成された被係合部Sb1(
図3参照)に係合された状態で移動するように可動部3に設けられた係合部5B212(
図4参照)を有する。
【0038】
以下、
図2~
図5を参照して、案内機構5の構成を説明する。
図4は、
図3のIV-IV線断面図である。
図5は、
図3のV-V線断面図である。
【0039】
具体的に、案内機構5は、可動部3に設けられているとともに連結帯Sbを送るための送り機構5aと、被取付部2に対する可動部3の移動の力を連結帯Sbを送るための動力に変換する変換溝5bと、を有する。
【0040】
送り機構5aは、変換溝5bから受ける動力により軸方向に沿った軸を中心として回転する駆動ギヤ機構5Aと、駆動ギヤ機構5Aと噛合することにより軸方向と直交する軸(
図3の上下方向に沿った軸)を中心として回転する従動ギヤ機構5Bと、を有する。駆動ギヤ機構5Aは、軸方向に沿って延びるとともに可動部3の天板部3a2及び底板部3a3にそれぞれ回転可能に支持された両端部を有する駆動軸5A1と、駆動軸5A1の下部に固定された駆動ギヤ5A2と、駆動軸5A1の上部から駆動軸5A1と直交する方向(正面側)に延びる係止レバー5A3と、を有する。従動ギヤ機構5Bは、軸方向と直交する方向(
図3の上下方向)に延びるとともに可動部の正面壁3a11及び背面壁3a12にそれぞれ回転可能に支持された両端部を有する従動軸5B1と、従動軸5B1に取り付けられているとともに駆動ギヤ5A2と噛合する従動ギヤ5B2と、背面壁3a12と従動ギヤ5B2との間に設けられているとともに従動軸5B1の軸方向において駆動ギヤ5A2に向かう方向の付勢力を従動ギヤ5B2に与える付勢部材5B3と、を有する。従動ギヤ5B2は、従動軸5B1の軸を中心として従動軸5B1とともに回転するとともに従動軸5B1に対して従動軸5B1の軸方向に移動可能となるように従動軸5B1に対して結合(例えば、スプライス結合:図示省略)されている。従動ギヤ5B2は、従動軸5B1の軸方向に対向する一対の送りプレート5B21、5B22と、送りプレート5B21、5B22をその中央位置で連結する連結部5B23と、を有する。なお、打込用工具32は、送りプレート5B21、5B22の間でかつ連結部5B23の側方(
図3の左方)に設けられている。また、両送りプレート5B21、5B22は、従動軸5B1を中心とする円形の本体部5B211、5B221と、本体部5B211、5B221からその径方向の外側に突出するとともに連結帯SbのSb1に係合される複数の係合部5B212(
図4に背面側の係合部のみを示す)と、をそれぞれ有する。また、正面側の送りプレート5B22の周縁には、駆動ギヤ5A2と噛合するために本体部5B221において正面に向けて形成された側面ギヤ5B222が形成されている。ここで、側面ギヤ5B222と駆動ギヤ5A2とは、駆動軸5A1が回転方向の一方(
図3の反時計回り)に回転したときに互いに噛合し、駆動軸5A1が逆向き(
図3の時計回り)に回転したときに噛合せずに従動ギヤ5B2が付勢部材5B3の付勢力に抗して駆動ギヤ5A2から離れる方向(
図3の上)に退避するように設定された歯車形状をそれぞれ有している。
【0041】
変換溝5bは、駆動ギヤ機構5Aの係止レバー5A3と係合することにより、可動部3が突出位置P1から退避位置P2へ移動するときに駆動軸5A1を
図3の時計回りに回転させる一方、可動部3が退避位置P2から突出位置P1へ移動するときに駆動軸5A1を
図3の反時計回りに回転させるための形状を有する。具体的に、
図6及び
図7に示すように、変換溝5bは、可動部3が突出位置P1から退避位置P2に移動する過程において係止レバー5A3を軸方向と直交する一方の方向(
図6の左)へ誘導するように傾斜する第1傾斜面5b1を有する。一方、
図11及び
図2に示すように、可動部3が退避位置P2から突出位置P1に移動する過程において係止レバー5A3を軸方向と直交する他方の方向(
図11の右)へ誘導するように傾斜する第2傾斜面5b2と、を有する。また、変換溝5bは、第1傾斜面5b1に沿って係止レバー5A3を誘導した状態で駆動軸5A1の回転を規制しながら可動部3の退避位置P2への移動を許容する許容部5b3を有する。さらに、変換溝5bは、第2傾斜面5b2に沿って係止レバー5A3を誘導した後に、突出位置P1において駆動軸5A1の回転を停止させるとともに突出位置P1において被取付部2に対する可動部3の軸方向の移動を規制する(抜け止めする)ように第1傾斜面5b1と第2傾斜面5b2とを軸方向に接続する規制面5b4を有する。
【0042】
以下、案内機構5によるねじScの案内動作について説明する。
【0043】
まず、
図2に示すように、突出位置P1にある可動部3の先端面を打込対象物Tgに当接させた状態で電動工具30を打込対象物Tgに押し付ける。これにより、付勢部材4の付勢力に抗して可動部3が被取付部2に対して移動し、
図6に示すように係止レバー5A3が第1傾斜面5b1に当接する。この状態からさらに電動工具30を打込対象物Tgに押し付けると、
図7に示すように係止レバー5A3が第1傾斜面5b1に沿って移動し、駆動軸5A1が
図3における時計回りに回転する。この場合、従動ギヤ5B2が付勢部材5B3の付勢力に抗して駆動ギヤ5A2から離れる方向に移動するため、従動ギヤ5B2は回転しない。さらに、電動工具30を打込対象物Tgに押し付けると、
図9に示すように、可動部3は、退避位置P2まで移動する。この移動の過程においては、
図8に示すように、打込用工具32の先端部が、ねじScの頭に到達し、
図10に示すように、ねじScが打込対象物Tgに打ち込まれる。ここで、可動部3は、
図8に示すように、案内筒3b2を有しているため、ねじScの先端部が二点鎖線で示すように回転軸Shの延長線Sh1から離れている場合であっても、案内筒3b2の内周面3b21に沿ってねじScの先端部を延長線Sh1に近づけることができる。
【0044】
なお、本実施形態では、打込対象物Tgとして押出成形セメント材が想定され、下穴形成用の先端ねじ部Sc1と、先端ねじ部Sc1よりもピッチの細かい螺合用ねじ部Sc2と、を有するねじScが用いられている。先端ねじ部Sc1のピッチが比較的大きく、打込対象物Tgの硬度が高いため、ねじScの打ち込み時に比較的多くの粉塵が舞い上がる。特に、本実施形態では、軸方向に延びる内周面3b21を有する案内筒3b2が設けられているため、案内筒3b2を通じて多くの粉塵が案内機構5に向けて舞い上がる。
【0045】
上記のようにねじScの打ち込みが完了し、電動工具30の打込対象物Tgに対する押し付け力を弱めると付勢部材4による付勢力により可動部3に対して被取付部2が相対的に押し上げられ、
図11に示すように、係止レバー5A3が第2傾斜面5b2に当接する。この状態からさらに付勢部材4の付勢力により可動部3に対して被取付部2が相対的に押し上げられると、
図2に示すように、係止レバー5A3が第2傾斜面5b2に沿って軸方向と直交する方向(
図11の右)に誘導される。このとき、駆動ギヤ5A2は、
図3における反時計回りに回転し、これと噛合する従動ギヤ5B2の送りプレート5B21、5B22は、
図4における時計回りに回動し、打込用工具32の先端位置に次の打ち込み対象となるねじScが案内される。なお、この案内時においては、
図5に示すように、打込用工具32は、ねじScから上方に離れている。
【0046】
上記のようにねじScの打ち込み時に生じた粉塵が案内機構5における係合部5B212又は連結帯Sbの被係合部Sb1に付着することにより、係合部5B212及び被係合部Sb1の係合が阻害され、ねじScの案内を適切に行うことができないおそれがある。そこで、ねじ打ち込み補助具1は、被取付部2に対する可動部3の移動のための動力を利用して、係合部5B212及び被係合部Sb1に付着された粉塵を除去するための除去機構6をさらに備えている。
【0047】
図1及び
図2を参照して、除去機構6は、突出位置P1から退避位置P2へ向けた可動部3の移動のための動力を利用して粉塵を除去するように構成されている。また、除去機構6は、粉塵を除去するための気体(除去手段の一例:空気)を収容するための収容部6aと、被取付部2に対する可動部3の移動のための動力により収容部6aに対して移動することにより収容部6a内に収容された空気を係合部5B212及び被係合部Sb1に押し出す押出部6bと、収容部6aに対して押出部6bを軸方向の先端側に向けて付勢する付勢部材6cと、を有する。
【0048】
収容部6aは、空気を蓄えるための収容容器6a1と、収容容器6a1から係合部5B212及び被係合部Sb1に向けて延びるとともに収容容器6a1から空気を案内するための案内通路6a2と、収容容器6a1を被取付部2(保持部2c)に固定するための第1固定部6a3と、案内通路6a2の先端部6a22を可動部3(被保持部3a)に固定するための第2固定部6a4と、を有する。
【0049】
収容容器6a1は、空気を案内通路6a2に導出するための導出口6a111と空気を外部から取り入れるための取入口6a112とを有する容器本体6a11と、導出口6a111と案内通路6a2との間に設けられた第1逆止弁6a12と、取入口6a112に接続された第2逆止弁6a13と、を有する。第1逆止弁6a12は、導出口6a111を通じた案内通路6a2への空気の導入を許容する一方、導出口6a111を通じた空気の導入を規制する。第2逆止弁6a13は、取入口6a112を通じた空気の取り入れを許容する一方、取入口6a112を通じた空気の導出を規制する。容器本体6a11は、底部6a113と、底部6a113の周縁部から軸方向の先端側に延びる側壁部6a114と、を有する有底円筒状の部材である。容器本体6a11は、底部6a113が軸方向の基端側に配置され、かつ、底部6a113と反対に開く開口部が軸方向の先端側に配置された状態で、第1固定部6a3によって被取付部2(保持部2c)に固定されている。側壁部6a114における底部6a113の近接位置に導出口6a111及び取入口6a112が設けられている。
【0050】
案内通路6a2は、第1逆止弁6a12に接続された基端部6a21と、
図3及び
図4に示すように、係合部5B212及び被係合部Sb1に空気を吹き付け可能となる位置に第2固定部6a4により可動部3(被保持部3a)に固定された先端部6a22と、を有する。また、案内通路6a2は、被取付部2に対する可動部3の追従できるように比較的に柔軟性の高い材質(例えば、塩化ビニル樹脂等)により形成されている。本実施形態において、案内通路6a2の先端部6a22は、被取付部2における導入穴3a131を通じて係合部5B212及び被係合部Sb1に空気を吹き付け可能となる位置に配置されている。
【0051】
図1及び
図2を参照して、押出部6bは、導出口6a111及び取入口6a112に面する容器本体6a11内の空間を拡縮可能となるように容器本体6a11に取り付けられている。具体的に、押出部6bは、開口を通じて容器本体6a11の内部に軸方向の先端側から挿入された押出部本体6b1と、押出部本体6b1の周囲を取り囲むように押出部本体6b1に取り付けられたパッキン6b2と、を有する。押出部本体6b1は、フランジ部6b11と、フランジ部6b11から軸方向の基端側に延びるロッド6b12と、を有する。パッキン6b2は、ロッド6b12の軸方向の基端部と容器本体6a11の側壁部6a114との間で挟持され、容器本体6a11内の空気の漏出を防止する。したがって、
図2に示すように、押出部本体6b1が容器本体6a11に対して軸方向の先端側に移動することにより、容器本体6a11内の空間が拡張する。一方、
図9に示すように、押出部本体6b1が容器本体6a11に対して軸方向の基端側に移動することにより、容器本体6a11内の空間が縮小する。なお、押出部本体6b1は、容器本体6a11における図外の係合部と係合することにより
図1に示す突出位置P3において容器本体6a11から抜け止めされている。なお、突出位置P3においてフランジ部6b11の軸方向の先端面と可動部3の案内筒3b2の先端面とは同一平面上に位置するように押出部本体6b1は、容器本体6a11から抜け止めされている。
【0052】
付勢部材6cは、容器本体6a11の側壁部6a114と押出部本体6b1のフランジ部6b11との間に設けられ、押出部本体6b1が突出位置P3となるように押出部本体6b1を付勢している。
【0053】
以下、除去機構6の動作について説明する。
【0054】
図2に示すように、フランジ部6b11の先端面を打込対象物Tgに当接させた状態で電動工具30を打込対象物Tgに押し付ける。これにより、
図6、
図7及び
図9に示すように、付勢部材6cの付勢力に抗して押出部本体6b1が容器本体6a11内に挿入され、容器本体6a11から案内通路6a2の先端部6a22を通じた係合部5B212及び被係合部Sb1に対する吹き出しが行われる。なお、
図2に示す突出位置P1から
図9に示す退避位置P2へ向けた被取付部2に対する可動部3の移動の過程においては、係合部5B212(
図4参照)の移動が停止されている。つまり、停止された係合部5B212及び被係合部Sb1に対して空気を吹き付けることにより、確実に粉塵を除去することができる。
【0055】
そして、
図9の状態において、電動工具30の打込対象物Tgに対する押し付け力を弱めると付勢部材6cによる付勢力により押出部本体6b1が容器本体6a11から軸方向の先端側への移動を開始し、最終的には、
図2に示す突出位置P3まで移動する。この押出部本体6b1の移動の過程においては、容器本体6a11内の空間が拡張されることに応じて第2逆止弁6a13を通じて容器本体6a11内に空気が取り入れられる。
【0056】
以上説明したように、ねじ打ち込み補助具1によれば、電動工具30に取り付けられた状態において、当該電動工具30を打込対象物Tgに向けて軸方向の先端側に移動させることにより、打込対象物Tgに押し付けられた可動部3を突出位置P1から退避位置P2へ移動させるとともに、案内機構5により案内されたねじを打込用工具32によって打込対象物Tgに打ち込むことができる。一方、ねじの打ち込みが終了し、電動工具30を打込対象物Tgから軸方向の基端側へ移動させると、可動部3の退避位置P2から突出位置P1への移動に応じて案内機構5の係合部5B212が被係合部Sb1に係合された状態で移動することにより、次の打ち込み対象となるねじを打込用工具32の先端部に案内することができる。
【0057】
さらに、ねじ打ち込み補助具1は、除去機構6を有しているため、被取付部2に対する可動部3の移動のための動力を利用して係合部5B212及び被係合部Sb1に付着された粉塵を除去することができる。
【0058】
したがって、ねじ打ち込み補助具1によれば、ねじの打ち込みにより発生する粉塵によってねじScの案内が阻害されるのを抑制することができる。
【0059】
第1実施形態によれば、突出位置P1から退避位置P2へ向けた可動部3の移動の過程においては係合部5B212が停止するように案内機構5が構成されている。そのため、このように停止状態にある係合部5B212及び被係合部Sb1から除去機構によって粉塵を確実に除去することができる。
【0060】
第1実施形態によれば、押出部6bによって収容部6a内に収容された気体を係合部5B212及び被係合部Sb1に押し出すことができるため、気体によって粉塵を除去することができる。
【0061】
第1実施形態によれば、被取付部2に対する可動部3の移動のための動力により収容容器6a1内の気体を押出部6bによって案内通路6a2を介して係合部5B212及び被係合部Sb1に導出、つまり、吹き出すことができる。この気体の吹き出しによって係合部5b212及び被係合部Sb1に付着した粉塵を除去することができる。
【0062】
第1実施形態によれば、押出部6bにより容器本体6a11内の空間を縮小させることにより導出口6a111を通じた気体の押し出しを行うことができる一方、押出部6bにより容器本体6a11内の空間を拡大させることにより取入口6a112を通じた気体の導入を行うことができる。ここで、気体の導入を導出口6a111(案内通路6a2)ではなく取入口6a112を通じて行うことができるため、収容容器6a1内への粉塵の吸引を抑制することができる。
【0063】
以下、
図12を参照して本発明の第2の実施形態に係るねじ打ち込み保持具の構成について説明する。なお、第2の実施形態に係るねじ打ち込み補助具11において、第1の実施形態に対して異なる構成について主に説明する。
【0064】
ねじ打ち込み補助具11は、第1実施形態と異なり、係合部5B212及び被係合部Sb1の周囲の空気を吸引することにより係合部5B212及び被係合部Sb1における粉塵を除去する除去機構16を備えている。具体的に、除去機構16は、内部に空気を吸引するための吸引部16aと、吸引部16aに対して吸引力を生じさせるために吸引部16aに対して移動可能に取り付けられた吸引移動部16bと、吸引部16aに対して吸引移動部16bを軸方向の先端側に向けて付勢する付勢部材16cと、を有する。
【0065】
吸引部16aは、吸引移動部16bとの間で吸引室BRを形成するための吸引容器16a1と、吸引容器16a1から係合部5B212及び被係合部Sb1に向けて延びるとともに空気を吸引するための吸引通路16a2と、吸引容器16a1を被取付部2(保持部2c)に固定するための第1固定部16a3と、吸引通路16a2の先端部を可動部3に固定するための第2固定部(図示省略)と、を有する。
【0066】
吸引容器16a1は、吸引通路16a2を通じて空気を吸引するための吸引口16a111と吸引容器16a1内の空気を導出するための導出口16a112とを有する容器本体16a11と、吸引口16a111と吸引通路16a2との間に設けられた第1逆止弁16a12と、導出口16a112に接続された第2逆止弁16a13と、容器本体16a11と吸引移動部16bとの間に設けられて吸引室BRを区画するためのパッキン16a14と、を有する。第1逆止弁16a12は、吸引口16a111を通じた吸引容器16a1内への空気の導入を許容する一方、吸引口16a111を通じた空気の導出を規制する。第2逆止弁16a13は、導出口16a112を通じた容器本体16a11内の空気の導出を許容する一方、導出口16a112を通じた容器本体16a11内への空気の導入を規制する。容器本体16a11は、軸方向に延びるとともに軸方向の先端側及び基端側に開口する筒状の部材である。容器本体16a11における軸方向の先端側の開口部の近接位置に吸引口16a111及び導出口16a112が設けられている。パッキン16a14は、容器本体16a11における吸引口16a111の軸方向の先端側に設けられ、吸引移動部16bのパッキン16b2及び容器本体16a11との間で吸引室BRを形成する。
【0067】
吸引通路16a2は、第1逆止弁16a12に接続された基端部16a21と、係合部5B212及び被係合部Sb1の付近から空気を吸引可能となる位置に第2固定部(図示省略)により可動部3(被保持部3a)に固定された先端部16a22と、基端部16a21と先端部16a22との間で粉塵を落下させるためのトラップ16a23と、トラップ16a23と基端部16a21との間に設けられたフィルタ16a24と、を備えている。トラップ16a23は、基端部16a21から先端部16a22までの通路から下に分岐する通路を構成し、先端部16a22から基端部16a21へ導かれる粉塵を重力により落下させることにより容器本体16a11への粉塵の量を低減させる。フィルタ16a24は、トラップ16a23を超えて吸引される粉塵を捕捉するものである。これらトラップ16a23及びフィルタ16a24は、容器本体16a11へ導入される粉塵の量を低減させるための低減機構を構成する。
【0068】
吸引移動部16bは、容器本体16a11内の吸引室BRを拡縮可能となるように容器本体16a11に取り付けられている。具体的に、吸引移動部16bは、軸方向の先端側の開口を通じて容器本体16a11の内部に軸方向の先端側から挿入された吸引部本体16b1と、吸引部本体16b1の周囲を取り囲むように吸引部本体16b1に取り付けられたパッキン16b2と、を有する。吸引部本体16b1は、フランジ部16b11と、フランジ部16b11から軸方向の基端側に延びるロッド16b12と、を有する。パッキン16b2は、ロッド16b12の軸方向の基端部と容器本体16a11の側壁部16a114との間で挟持され、吸引室BR内の空気の漏出を防止する。したがって、ロッド16b12が軸方向の基端側に移動することにより容器本体16a11内に挿入されると、吸引室BRが拡張される。一方、ロッド16b12が軸方向の先端側に移動することにより吸引室BRが縮小される。
【0069】
第2実施形態で、可動部3が突出位置P1から退避位置P2に向けて移動することによりロッド16b12が軸方向の基端側に移動することにより吸引室BRが拡張され、係合部5B212及び被係合部Sb1から粉塵を吸引することができる。吸引された粉塵は、トラップ16a23又はフィルタ16a24により捕捉される。一方、可動部3が退避位置P2から突出位置P1へ向けて移動することによりロッド16b12が軸方向の先端側に移動することにより吸引室BRが縮小され吸引室BR内の空気が導出口16a112を介して導出される。
【0070】
第2実施形態によれば、除去機構16によって係合部5B212及び被係合部Sb1に付着した粉塵を除去することができる。
【0071】
以下、
図13を参照して、本発明の第3実施形態に係る除去機構26の構成について、第1実施形態と異なる構成を主に説明する。
【0072】
第3実施形態に係る除去機構26は、第1実施形態の除去機構6における取入口6a112、第1逆止弁6a12及び第2逆止弁6a13が省略されたものである。そのため、押出部6bを容器本体6a11に対して軸方向の基端側に移動させることにより、容器本体6a11内の空気を案内通路6a2を通じて係合部5B212及び被係合部Sb1に対して吹き付けることができる。一方、押出部6bを容器本体6a11に対して軸方向の先端側に移動させることにより、案内通路6a2の先端部6a22から係合部5B212及び被係合部Sb1の付近の粉塵を吸引することができる。
【0073】
第3実施形態において、
図13の二点鎖線で示すように、案内通路6a2に対して第2実施形態における低減機構(トラップ16a23及びフィルタ16a24)を追加することもできる。このようにすれば、吸引された粉塵が容器本体6a11に導入されるのを抑制することができる。
【0074】
また、第2実施形態及び第3実施形態のように除去手段として気体(空気)に代えて又は加えて、除去手段として粉塵を除去するための部材を設けることもできる。具体的に、除去機構26は、
図13の二点鎖線で示すように、押出部6bの移動に応じて案内通路6a2に対して出没可能となるように、押出部6bから案内通路6a2を通じて延びる線状部材26a(例えば、ワイヤ)と、線状部材26aの先端に設けられたブラシ26bと、を有していてもよい。この場合、空気の吸引及び押出が不要であれば、パッキン6b2を省略することができる。このようにすれば、押出部6bの押込操作によってブラシ26bを案内通路6a2の先端部6a22から突出させて、係合部5B212及び被係合部Sb1に付着した粉塵を除去することができる。一方、押出部6bが付勢部材6cにより突出位置P3に移動することによりブラシ26bを案内通路6a2内に引き込まれる。
【0075】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の態様を採用することもできる。
【0076】
特開平10-296652号公報に記載の電動式ねじ打込機のように、ドライバビット(打込用工具)が本体フレーム(本体部)に対して回転軸に沿って移動可能な構成においては、同文献のスプロケットホイールのように、本体部に係合部を設けることもできる。
【0077】
係合部5B212及び被係合部Sb1に対して除去手段を押し出す除去機構6について説明したが、除去機構6は、係合部5B212及び被係合部Sb1の少なくとも一方に除去手段を押し出すように構成されていればよい。
【0078】
上述した実施形態では、可動部3が突出位置P1から退避位置P2へ移動する過程において除去機構6、16、26による粉塵の除去が行われるものであるが、可動部3が退避位置P2から突出位置P1へ移動する過程において粉塵を除去する除去機構を構成することもできる。
【符号の説明】
【0079】
1、11 ねじ打ち込み補助具
2 被取付部
3 可動部
4 付勢部材
5 案内機構
5b212 係合部
6 除去機構
6a 収容部
6b 押出部
6a1 収容容器
6a2 案内通路
6a11 容器本体
6a111 導出口
6a112 取入口
6a12 第1逆止弁
6a13 第2逆止弁
6c 付勢部材
30 電動工具
31 本体部
32 打込用工具
P1 突出位置
P2 退避位置
Sa ねじ連結体
Sc ねじ
Sb 連結帯
Sb1 被係合部
Sh 回転軸