(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010807
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】浮体
(51)【国際特許分類】
B63H 21/38 20060101AFI20240118BHJP
F17C 13/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B63H21/38 B
F17C13/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112318
(22)【出願日】2022-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】上田 伸
(72)【発明者】
【氏名】津村 健司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】奥田 恒一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】清野 龍
(72)【発明者】
【氏名】吉野 正剛
(72)【発明者】
【氏名】本田 照裕
(72)【発明者】
【氏名】高松 皆光
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA04
3E172BD01
3E172DA90
3E172EB03
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】パージすべき燃料の量が増大することを抑制可能な浮体を提供する。
【解決手段】浮体は、浮体本体と、浮体本体に設けられて、燃料としての液化ガスが貯留されたタンクと、燃料によって駆動され、浮体本体の燃焼機器室内に配置された燃焼機器と、燃焼機器とタンクとを接続する燃料ラインと、燃料ライン上に設けられた燃料装置が収容される第一燃料調整室と、燃料ライン上に設けられた主ガス燃料弁が収容されて、第一燃料調整室よりも燃焼機器室側で、燃焼機器室と区画されて設けられた第二燃料調整室と、燃料ラインにおける主ガス燃料弁と燃焼機器との間をパージ可能なパージ設備とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮体本体と、
前記浮体本体に設けられて、燃料としての液化ガスが貯留されたタンクと、
前記燃料によって駆動され、前記浮体本体の燃焼機器室内に配置された燃焼機器と、
前記燃焼機器と前記タンクとを接続する燃料ラインと、
前記燃料ライン上に設けられた燃料装置が収容される第一燃料調整室と、
前記燃料ライン上に設けられた主ガス燃料弁が収容されて、前記第一燃料調整室よりも前記燃焼機器室側で、前記燃焼機器室と区画されて設けられた第二燃料調整室と、
前記燃料ラインにおける前記主ガス燃料弁と前記燃焼機器との間をパージ可能なパージ設備と、
を備える浮体。
【請求項2】
前記燃焼機器室の外部に設けられた出入口部と、
前記燃焼機器室の外部に設けられて、前記第二燃料調整室と前記出入口部とを接続する通路部と、
を更に備える請求項1に記載の浮体。
【請求項3】
前記燃料ラインのうち、前記第一燃料調整室と前記第二燃料調整室との間に配索された前記燃料ラインを収容する配管室を更に備え、
前記配管室は、前記通路部を兼ねている請求項2に記載の浮体。
【請求項4】
前記燃焼機器室内に設けられた出入口部と、
前記第二燃料調整室と前記出入口部との間に設けられ、前記第二燃料調整室内の圧力よりも内部の圧力が高圧に維持されたエアロック室と、
を更に備える請求項1又は2に記載の浮体。
【請求項5】
前記燃料ラインに設けられた複数の遮断弁と、複数の前記遮断弁の間の前記燃料ラインから分岐するブリードラインと、前記ブリードラインに設けられたブリード弁と、を有するダブルブロックアンドブリード弁を備え、
前記主ガス燃料弁は、前記ダブルブロックアンドブリード弁の複数の前記遮断弁のうち、最も前記第一燃料調整室側に配置された前記遮断弁を兼ねている請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【請求項6】
前記パージ設備は、
前記主ガス燃料弁よりも前記燃焼機器側の前記燃料ラインに不活性ガスを流入させるパージガス供給ラインと、
前記パージガス供給ラインから前記燃料ラインに前記不活性ガスが流入した際に、前記燃料ライン内の前記燃料を流出させる流出ラインと、
を有し、
前記ブリードラインは、前記流出ラインを兼ねている請求項5に記載の浮体。
【請求項7】
前記第二燃料調整室内で漏れた燃料を検知する検知部と、
前記第二燃料調整室内を換気する換気設備と、
を更に備える請求項1から3の何れか一項に記載の浮体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浮体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、アンモニアが貯留されたタンクと、内燃機関とを接続する配管系統に存在するアンモニアを、ベント管を通じて不活性ガスでパージする船舶が開示されている。この船舶では、配管系統における供給ライン及びリターンラインの双方に開閉弁が設けられ、開閉弁よりも内燃機関側の供給ライン内及びリターンライン内のアンモニアがパージの対象とされている。
【0003】
アンモニアやLPG・LNG等の液化ガスを燃料として扱う船舶では、燃料が貯留されたタンクと、主機等の燃焼機器との間で燃料をやり取りするラインに、上記開閉弁としての主ガス燃料弁(Master gas valve)が設けられる。この主ガス燃料弁は、燃焼機器が配置される機関室等から隔離された外部の部屋に配置される。この部屋には、例えば、燃料供給用のポンプや燃料加熱用の熱交換器等の燃焼機器が主ガス燃料弁とともに収容されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、主ガス燃料弁が収容される上記部屋が燃焼機器室から遠く離間した位置に配置された場合、パージの対象となる燃料が存在する配管内の領域が大きくなる。この場合、パージすべき燃料の量が増加してしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、パージすべき燃料の量が増大することを抑制可能な浮体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る浮体は、浮体本体と、前記浮体本体に設けられて、燃料としての液化ガスが貯留されたタンクと、前記燃料によって駆動され、前記浮体本体の燃焼機器室内に配置された燃焼機器と、前記燃焼機器と前記タンクとを接続する燃料ラインと、前記燃料ライン上に設けられた燃料装置が収容される第一燃料調整室と、前記燃料ライン上に設けられた主ガス燃料弁が収容されて、前記第一燃料調整室よりも前記燃焼機器室側で、前記燃焼機器室と区画されて設けられた第二燃料調整室と、前記燃料ラインにおける前記主ガス燃料弁と前記燃焼機器との間をパージ可能なパージ設備と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、パージすべき燃料の量が増大することを抑制可能な浮体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る浮体の側面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る浮体の要部を拡大した図である。
【
図3】本開示の第二実施形態に係る浮体の要部を拡大した図である。
【
図4】本開示の第三実施形態に係る浮体の要部を拡大した図である。
【
図5】本開示の第四実施形態に係る浮体の要部を拡大した図である。
【
図6】本開示のその他の実施形態に係る浮体の要部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本開示による浮体を実施するための形態を説明する。
【0011】
<第一実施形態>
[浮体]
本実施形態における浮体は、液化ガスを燃料とする船舶である。液化ガスには、例えば、アンモニアが挙げられる。船舶の船種は、特定のものに限られることはない。船舶の船種には、例えば液化ガス運搬船、フェリー、RO-RO船、自動車運搬船、客船等が挙げられる。
【0012】
図1及び
図2に示すように、浮体1は、浮体本体10と、上部構造17と、燃料タンク20(タンク)と、ミキシングチャンバ30(タンク)と、接続ライン40と、温度調整器50と、燃焼機器60と、燃料ライン70と、燃料装置90と、第一燃料調整室100と、主ガス燃料弁110と、ダブルブロックアンドブリード弁120と、調整弁125と、第二燃料調整室130と、ノックアウトドラム140と、パージ設備150と、出入口部160と、通路部170と、エアロック室180と、第一換気設備190と、第一検知部193と、第二換気設備200(換気設備)と、第二検知部203(検知部)と、配管室210と、第一外管部220と、接続管部223と、第二外管部230と、外管換気設備240とを備えている。
【0013】
(浮体本体)
図1に示すように、浮体本体10は、舷側11a,11bと、船底12と、上甲板13と、燃焼機器室14とを有している。舷側11a,11bは、左右の舷側11a及び舷側11bをそれぞれ形成する一対の舷側外板を有している。船底12は、これら舷側11a,11bを接続する船底外板を有している。
【0014】
上甲板13は、一対の舷側外板の上下方向Dv(図中における上下方向)における上方側のそれぞれに亘って設けられている曝露甲板である。以下、上下方向Dvにおける上方側を単に「上方側Dvu」と称し、上下方向Dvにおける下方側を単に「下方側Dvd」と称する。
【0015】
これら舷側11a,11b、船底12、及び上甲板13により、浮体本体10の外殻は、船首尾方向Faに直交する断面視で、箱型形状を成している。本実施形態における船首尾方向Faとは、浮体本体10の船尾16から船首15にかけて延びる方向(図中における左右方向)を意味する。また、船首尾方向Faにおける船首側(図中における右側)を単に「船首側Fab」と称し、船首尾方向Faにおける船尾側(図中における左側)を単に「船尾側Fas」と称する。
【0016】
ここで、上部構造17は、上甲板13から上方側Dvuに向かうように設けられている構造物である。上部構造は、例えば、居住区や船橋等を有している。
【0017】
燃焼機器室14は、燃焼機器60を収容する部屋である。燃焼機器室14は、例えば、上部構造17よりも下方側Dvdにおける浮体本体10の舷側11a,11bの間に配置されている。燃焼機器室14は、浮体本体10の内部に配置されており、例えば、浮体本体10の隔壁等によって区画されている。本実施形態における燃焼機器室14には、主機を収容する機関室を例示することができる。
【0018】
(燃料タンク)
本実施形態における燃料タンク20は、例えば、上部構造17よりも船首側Fabの上甲板13上に設けられているタンクである。
図2に示すように、燃料タンク20は、タンク本体21と、低圧ポンプ22とを有している。
【0019】
タンク本体21は、燃焼機器60を駆動するための燃料である液化アンモニアを内部に貯留する。低圧ポンプ22は、タンク本体21の内部に配置されている。低圧ポンプ22は、タンク本体21内の燃料をタンク本体21の外部へ圧送可能である。
【0020】
(ミキシングチャンバ)
ミキシングチャンバ30は、燃料タンク20から圧送された燃料を内部に受け入れるタンクである。本実施形態におけるミキシングチャンバ30は、例えば、上部構造17と燃料タンク20との間における上甲板13上に設けられている。
【0021】
(接続ライン)
接続ライン40は、燃料タンク20とミキシングチャンバ30とを接続している管である。接続ライン40の一端は、タンク本体21内の低圧ポンプ22に接続されている。接続ライン40の他端は、ミキシングチャンバ30に接続されている。燃料タンク20のタンク本体21内の燃料は、低圧ポンプ22が駆動されることで、この接続ライン40を通じてミキシングチャンバ30へ送られる。
【0022】
(温度調整器)
温度調整器50は、接続ライン40を流れる燃料の温度を調整する。本実施形態における温度調整器50は、接続ライン40に設けられている熱交換器である。温度調整器50には、例えば、浮体本体10内部の燃焼機器室14に設けられている補助ボイラ等(図示省略)で発生した蒸気や液体が外部から導入される。以下、この蒸気や液体を「熱媒」と称する。この熱媒と、接続ライン40を流れる燃料とが温度調整器50内で熱交換することで、燃料タンク20からミキシングチャンバ30へ向かう燃料の温度が適切に調整される。
【0023】
(燃焼機器)
燃焼機器60は、燃料によって駆動される装置である。燃焼機器60は、燃料を燃焼させることで熱エネルギーを発生させる。燃焼機器60は、燃焼機器室14内に配置されている。燃焼機器60としては、船舶としての浮体1を推進させるための主機や、浮体本体10内に電気を供給するエンジン発電機(発動発電機)、作動流体としての蒸気を発生させるボイラ等を例示することができる。本実施形態における燃焼機器60は、燃料としてアンモニアを用いる主機である。
【0024】
燃焼機器60により燃料を燃焼させることで発生した排ガスは、例えば、選択的触媒還元脱硝装置(SCR:Selective catalytic reduction)等の脱硝装置300(
図1参照)によって浄化される。脱硝装置300によって浄化された排ガスは、この脱硝装置300に接続された状態で上甲板13を貫通して上方側Dvuに延びる煙道310を通じて大気に放出される。
【0025】
なお、煙道310における浮体本体10の外部に延びている部分は、エンジンケーシング260やファンネル270によって囲まれている。これら煙道310、エンジンケーシング260、及びファンネル270は、例えば、上部構造17よりも船尾側Fasに配置されている。
【0026】
(燃料ライン)
図2に示すように、燃料ライン70は、ミキシングチャンバ30と燃焼機器60とを接続している。燃料ライン70は、供給ライン71と、リターンライン72とを有している。
供給ライン71は、ミキシングチャンバ30から燃焼機器60に向かって液体状態の燃料を流すための管である。
【0027】
なお、供給ライン71は、液体状態の燃料を燃焼機器60に向かって流す構成に限られない。供給ライン71は、液体状態の燃料が例えば燃料タンク20内で自然気化することで生じた気体状態の燃料(ボイルオフガス)や、例えば供給ライン71に設けられた強制気化器(図示省略)で気化することで生じた気体状態の燃料を燃焼機器60に向かって流してもよい(図示省略)。
【0028】
リターンライン72は、燃焼機器60からミキシングチャンバ30に向かって燃料を流すための管である。リターンライン72には、燃焼機器60内で燃料として用いられなかった余剰の燃料が流れる。
【0029】
リターンライン72によってミキシングチャンバ30に戻された燃料は、このミキシングチャンバ30内で燃料タンク20から供給された燃料に合流する。即ち、リターンライン72からミキシングチャンバ30に戻された燃料は、燃焼機器60に向けて再度供給される。
【0030】
(燃料装置)
燃料装置90は、燃料ライン70を流れる燃料の温度及び圧力を調整する装置である。
本実施形態における燃料装置90は、高圧ポンプ92と、第一熱交換器91と、第二熱交換器93と、主弁94と、第一弁95と、キャッチタンク80と、第二弁96と、第三弁97とを有している。
【0031】
高圧ポンプ92は、供給ライン71に設けられている。高圧ポンプ92は、駆動されることによって、ミキシングチャンバ30内の燃料を燃焼機器60に向かって供給ライン71を通じて圧送する。本実施形態における高圧ポンプ92は、燃料タンク20の低圧ポンプ22よりも高い圧力で燃料を圧送する。
【0032】
第一熱交換器91は、高圧ポンプ92よりも燃焼機器60側の供給ライン71に設けられている。第一熱交換器91には、上記熱媒が外部から導入される。この熱媒と、供給ライン71を流れる燃料とが第一熱交換器91内で熱交換することで、ミキシングチャンバ30から燃焼機器60へ向かう燃料の温度が適温に調整される。
【0033】
第二熱交換器93は、リターンライン72に設けられている。第二熱交換器93には、上記熱媒が外部から導入される。この熱媒と、リターンライン72を流れる燃料とが第二熱交換器93内で熱交換することで、燃焼機器60からミキシングチャンバ30へ向かう燃料が冷却される。
【0034】
主弁94は、燃料ライン70に設けられているオンオフ弁である。
本実施形態における主弁94は、供給ライン71における第一熱交換器91よりも燃焼機器60側に設けられている第一主弁94aと、リターンライン72における第二熱交換器93よりも燃焼機器60側に設けられている第二主弁94bとを有している。
【0035】
第一主弁94aは、供給ライン71内の燃料が燃焼機器60に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。第二主弁94bは、リターンライン72内の燃料が燃焼機器60からミキシングチャンバ30に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0036】
第一弁95は、リターンライン72における第二熱交換器93よりもミキシングチャンバ30側に設けられている調整弁である。第一弁95は、主弁94が開状態の際、開度が調整されることでリターンライン72をミキシングチャンバ30に向かって流れる燃料の流量及び圧力を調整可能である。なお、第一弁95の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0037】
キャッチタンク80は、リターンライン72における第一弁95よりもミキシングチャンバ30側に設けられている。キャッチタンク80は、燃焼機器60が用いる燃料がアンモニアから他の燃料に切り替わる際、後述の主ガス燃料弁110(第一主ガス燃料弁111)から燃焼機器60内を含むようにキャッチタンク80まで繋がる領域に存在するアンモニアを回収する。
【0038】
ここでいう主ガス燃料弁110から燃焼機器60内を含むようにキャッチタンク80まで繋がる領域とは、後述の第一主ガス燃料弁111と燃焼機器60との間における供給ライン71内、燃焼機器60内、及び燃焼機器60とキャッチタンク80との間におけるリターンライン72内を意味する。
キャッチタンク80は、回収したこのアンモニアを、後述のパージガスとして用いられる不活性ガス、並びに、気化アンモニア燃料及び液化アンモニア燃料に分離する。
【0039】
以下、説明の便宜上、キャッチタンク80と燃焼機器60とを接続するリターンライン72を「第一リターンライン72a」と称し、キャッチタンク80とミキシングチャンバ30とを接続するリターンライン72を「第二リターンライン72b」と称する。
【0040】
したがって、第一リターンライン72a上には、上述した第二主弁94bと、第二熱交換器93と、第一弁95とが設けられている。
【0041】
キャッチタンク80は、第一リターンライン72aを流れる燃焼機器60からの燃料を受け入れるとともに、この燃料の気体成分を分離する。キャッチタンク80内で分離された燃料は、キャッチタンク80から第二リターンライン72bを通じてミキシングチャンバ30へ導かれる。なお、第一リターンライン72a内を流れる燃料の温度は、供給ライン71内を流れる燃料の温度よりも高い。
【0042】
第二弁96は、第二リターンライン72bに設けられているオンオフ弁である。第二弁96は、第二リターンライン72b内の燃料がキャッチタンク80からミキシングチャンバ30に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。なお、第二弁96の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0043】
第三弁97は、第二リターンライン72bにおける第二弁96よりもミキシングチャンバ30側に設けられている流量調整弁である。第三弁97は、第二弁96が開状態の際、開度が調整されることで第二リターンライン72bをミキシングチャンバ30に向かって流れる燃料の流量及び圧力を調整可能である。なお、第三弁97の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0044】
(第一燃料調整室)
本実施形態における第一燃料調整室100は、燃料ライン70上に設けられた燃料装置90を収容する。第一燃料調整室100は、室内で燃料が漏れたときに気化した燃料が周囲に流出しないで適切に処理できるように管理された部屋である。
【0045】
本実施形態における第一燃料調整室100は、上甲板13上に設けられている。第一燃料調整室100は、上述した温度調整器50と、ミキシングチャンバ30と、燃料装置90とを収容する。
【0046】
また、第一燃料調整室100は、ミキシングチャンバ30に近い側の接続ライン40の一部と、ミキシングチャンバ30に近い側の燃料ライン70の一部とをそれぞれ収容している。
【0047】
(主ガス燃料弁)
主ガス燃料弁110は、燃料ライン70に設けられているオンオフ弁である。
本実施形態における主ガス燃料弁110は、第一主ガス燃料弁111と、第二主ガス燃料弁112とを有している。
【0048】
第一主ガス燃料弁111は、供給ライン71における第一主弁94aよりも燃焼機器60側に設けられている。第一主ガス燃料弁111は、供給ライン71内の燃料が燃焼機器60に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0049】
第二主ガス燃料弁112は、第一リターンライン72aにおける第二主弁94bよりも燃焼機器60側に設けられている。第二主ガス燃料弁112は、第一リターンライン72a内の燃料がキャッチタンク80に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。なお、第一主ガス燃料弁111及び第二主ガス燃料弁112の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0050】
(ダブルブロックアンドブリード弁)
ダブルブロックアンドブリード弁120は、燃料ライン70に設けられている。
本実施形態におけるダブルブロックアンドブリード弁120は、供給ライン71における第一主弁94aよりも燃焼機器60側に設けられた供給側弁121と、第一リターンライン72aにおける第二主弁94bよりも燃焼機器60側に設けられたリターン側弁122とを有している。
【0051】
供給側弁121は、第一遮断弁121a(遮断弁)と、第一ブリードライン121b(ブリードライン)と、第一ブリード弁121c(ブリード弁)とを有している。本実施形態における第一遮断弁121aは、オンオフ弁であり、二つが供給ライン71に直列に設けられている。
【0052】
第一遮断弁121aは、供給ライン71内の燃料が燃焼機器60に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。なお、第一遮断弁121aの開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0053】
ここで、上述した第一主ガス燃料弁111は、供給ライン71における二つの第一遮断弁121aのうち、第一燃料調整室100側に配置された第一遮断弁121aを兼ねている。
【0054】
第一ブリードライン121bは、二つの第一遮断弁121aの間の供給ライン71から分岐している管である。第一ブリードライン121bの一端は、二つの第一遮断弁121aの間の供給ライン71に接続されており、第一ブリードライン121bの他端は、例えば、浮体本体10の内部に設けられたノックアウトドラム140に接続されている。
【0055】
第一ブリード弁121cは、第一ブリードライン121bに設けられているオンオフ弁である。第一ブリード弁121cは、第一ブリードライン121b内の燃料がノックアウトドラム140に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0056】
第一ブリード弁121cは、例えば、第一主ガス燃料弁111が開状態になった際に閉状態とされ、第一主ガス燃料弁111が閉状態になった際に開状態とされる。なお、第一ブリード弁121cの開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0057】
リターン側弁122は、第二遮断弁122a(遮断弁)と、第二ブリードライン122b(ブリードライン)と、第二ブリード弁122c(ブリード弁)とを有している。本実施形態における第二遮断弁122aは、オンオフ弁であり、二つが第一リターンライン72aに直列に設けられている。第二遮断弁122aは、第一リターンライン72a内の燃料がキャッチタンク80に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0058】
なお、第二遮断弁122aの開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0059】
ここで、上述した第二主ガス燃料弁112は、第一リターンライン72aにおける二つの第二遮断弁122aのうち、第一燃料調整室100側に配置された第二遮断弁122aを兼ねている。
【0060】
第二ブリードライン122bは、二つの第二遮断弁122aの間の第一リターンライン72aから分岐している管である。第二ブリードライン122bの一端は、二つの第二遮断弁122aの間の第一リターンライン72aに接続されており、第二ブリードライン122bの他端は、例えば、ノックアウトドラム140に接続されている。
【0061】
第二ブリード弁122cは、第二ブリードライン122bに設けられているオンオフ弁である。第二ブリード弁122cは、第二ブリードライン122b内の燃料がノックアウトドラム140に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0062】
第二ブリード弁122cは、例えば、第二主ガス燃料弁112が開状態になった際に閉状態とされ、第二主ガス燃料弁112が閉状態になった際に開状態とされる。なお、第二ブリード弁122cの開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0063】
(調整弁)
調整弁125は、リターン側弁122における燃焼機器60側に配置された第二遮断弁122aよりも燃焼機器60側の第一リターンライン72aに設けられている。調整弁125は、第一リターンライン72aをキャッチタンク80に向かって流れる燃料の流量及び圧力を調整可能である。なお、調整弁125の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0064】
(第二燃料調整室)
第二燃料調整室130は、少なくとも主ガス燃料弁110を収容している。本実施形態における第二燃料調整室130は、主ガス燃料弁110を含むダブルブロックアンドブリード弁120と、調整弁125と、後述のパージ設備150の一部とを収容している。また、第二燃料調整室130には、ダブルブロックアンドブリード弁120の設けられている供給ライン71の一部及び第一リターンライン72aの一部が収容されている。
【0065】
第二燃料調整室130は、浮体本体10の内部に設けられ、例えば、浮体本体10の隔壁等によって区画されている。第二燃料調整室130は、室内で燃料が漏れたときに気化した燃料が周囲に流出しないで適切に処理できるように管理された部屋である。
【0066】
具体的には、第二燃料調整室130は、燃焼機器室14よりも船首側Fab、及び第一燃料調整室100よりも船尾側Fasかつ下方側Dvdに配置されている。即ち、第二燃料調整室130は、第一燃料調整室100よりも燃焼機器室14側に配置されており、この燃焼機器室14と区画されて設けられている。
【0067】
なお、ノックアウトドラム140は、例えば、第二燃料調整室130の外部に配置されている。本実施形態では、ノックアウトドラム140に回収された燃料としてのアンモニアは、例えば、ノックアウトドラム140と除害装置400(
図1参照)とを接続する除害ライン280を通じて、除害装置400へ導入してもよい。除害装置400は、例えば、上甲板13上に設けられている。なお、
図2から
図6では、紙面の都合上、除害装置400の図示を省略する。
【0068】
(パージ設備)
パージ設備150は、燃料ライン70における主ガス燃料弁110と燃焼機器60との間をパージ可能である。
パージ設備150は、パージガス供給源151と、パージガス供給ライン152と、供給パージ弁153と、第一流出ライン154(流出ライン)と、第一パージ弁157と、第二流出ライン155と、第二パージ弁156とを有している。
【0069】
パージガス供給源151は、燃料と非反応性のパージ用の不活性ガス(パージガス)を生成するとともに圧送する装置である。本実施形態における不活性ガスには、例えば窒素ガス(N2)等の気体が挙げられる。パージガス供給源151は、例えば、浮体本体10の内部に設けられている。
【0070】
パージガス供給ライン152は、主ガス燃料弁110よりも燃焼機器60側の燃料ライン70に不活性ガスを流入させる管である。本実施形態におけるパージガス供給ライン152は、パージガス供給源151と、燃料ライン70とを接続している。
【0071】
具体的には、パージガス供給ライン152は、一端がパージガス供給源151に接続され、他端が第二燃料調整室130内の供給ライン71における燃焼機器60側の第一遮断弁121aよりも燃焼機器60側の供給ライン71に接続されている。
【0072】
供給パージ弁153は、パージガス供給ライン152に設けられているオンオフ弁である。供給パージ弁153は、パージガス供給ライン152内の不活性ガスが燃料ライン70に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0073】
供給パージ弁153は、例えば、主ガス燃料弁110が閉状態となった際に開状態とされ、主ガス燃料弁110が開状態となった際に閉状態とされる。なお、供給パージ弁153の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0074】
第一流出ライン154は、パージガス供給ライン152から燃料ライン70に不活性ガスが流入した際に、燃料ライン70内の燃料を流出させる管である。ここで、上述した第一ブリードライン121b及び第二ブリードライン122bは、この第一流出ライン154を兼ねている。
【0075】
したがって、第一流出ライン154は、供給ライン71上に配置された隣り合う第一遮断弁121aの間における供給ライン71とノックアウトドラム140とを接続し、第一リターンライン72a上に配置された隣り合う第二遮断弁122aの間における第一リターンライン72aとノックアウトドラム140とを接続している。
【0076】
第一パージ弁157は、第一流出ライン154に設けられているオンオフ弁である。第一パージ弁157は、第一流出ライン154内の不活性ガスがノックアウトドラム140に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。ここで、上述した第一ブリード弁121c及び第二ブリード弁122cは、この第一パージ弁157を兼ねている。
【0077】
第一パージ弁157は、例えば、主ガス燃料弁110が閉状態となった際に開状態とされ、主ガス燃料弁110が開状態となった際に閉状態とされる。なお、第一パージ弁157の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0078】
第二流出ライン155は、パージガス供給ライン152から燃料ライン70に不活性ガスが流入した際に、燃料ライン70内の燃料を流出させる管である。第二流出ライン155の一端は、調整弁125よりも燃焼機器60側の第一リターンライン72aに接続されており、第二流出ライン155の他端は、例えば、ノックアウトドラム140に接続されている。
【0079】
第二パージ弁156は、第二流出ライン155に設けられているオンオフ弁である。第二パージ弁156は、第二流出ライン155内の不活性ガスがノックアウトドラム140に向かって流れる状態と流れない状態とに遷移可能である。
【0080】
第二パージ弁156は、例えば、主ガス燃料弁110が閉状態となった際に開状態とされ、主ガス燃料弁110が開状態となった際に閉状態とされる。なお、第二パージ弁156の開閉状態の変更の操作は、浮体1の乗員による手動、又は自動によってなされる。
【0081】
以下、パージ設備150による燃料ライン70内に存在する燃料のパージの一例を説明する。
主ガス燃料弁110の第一主ガス燃料弁111及び第二主ガス燃料弁112が閉状態とされた際、ダブルブロックアンドブリード弁120の供給側弁121における第一遮断弁121a、及びリターン側弁122における第二遮断弁122aは、閉状態とされる。
【0082】
これら第一主ガス燃料弁111、第二主ガス燃料弁112、第一遮断弁121a、及び第二遮断弁122aが閉状態とされた後、第一ブリード弁121c(第一パージ弁157)及び第二ブリード弁122c(第一パージ弁157)が開状態とされる。これによって、第一遮断弁121a間の供給ライン内、及び第二遮断弁122a間の第一リターンライン72a内に存在する燃料が第一ブリードライン121b(第一流出ライン154)、及び第二ブリードライン122b(第一流出ライン154)を通じてノックアウトドラム140へ排出される。
【0083】
次いで、供給側弁121における燃焼機器60側に配置された第一遮断弁121a、及びリターン側弁122における最も燃焼機器60側に配置された第二遮断弁122aが開状態とされる。
【0084】
次いで、パージ設備150の供給パージ弁153が開状態とされるとともにパージガス供給源151が駆動され、不活性ガスがこのパージガス供給源151からパージガス供給ライン152を通じて供給ライン71内に流入する。供給ライン71内に流入した不活性ガスは、第一主ガス燃料弁111よりも燃焼機器60側の供給ライン71を流れることで、供給ライン71に接続された第一流出ライン154(第一ブリードライン121b)を通じて供給ライン71内の燃料をノックアウトドラム140へ押し出す。
【0085】
また、供給ライン71内に流入した不活性ガスは、燃焼機器60内に流入する。燃焼機器60内に流入した不活性ガスは、燃焼機器60内の燃料を第一リターンライン72aへ押し出しながら第一リターンライン72a内に流入する。
【0086】
第一リターンライン72a内に流入した不活性ガスは、第一リターンライン72aに接続された第一流出ライン154(第二ブリードライン122b)、及び第二流出ライン155を通じて、燃焼機器60から第一リターンライン72aへ押し出した燃料、及び第一リターンライン72a内の燃料をノックアウトドラム140へ押し出す。
【0087】
したがって、パージガス供給源151からの不活性ガスは、第一流出ライン154及び第二流出ライン155を通じて燃料ライン70内の燃料をノックアウトドラム140へ押し出す(パージする)。
【0088】
不活性ガスが燃料ライン内に存在する燃料を押し出し終えた後、供給側弁121の第一遮断弁121a、リターン側弁122の第二遮断弁122a、及び第二パージ弁156は、閉状態とされる。つまり、二つの第一遮断弁121aのうち、第一主ガス燃料弁111ではない第一遮断弁121aは、不活性ガスが供給ライン71内の燃料をノックアウトドラム140へ押し出すまで開状態に維持される。また、二つの第二遮断弁122aのうち、第二主ガス燃料弁112ではない第二遮断弁122a、及び第二パージ弁156は、不活性ガスが第一リターンライン72a内の燃料をノックアウトドラム140へ押し出すまで開状態に維持される。
【0089】
(出入口部)
出入口部160は、浮体1の乗員が第二燃料調整室130に出入りするための出入口であって、燃焼機器室14の外部の浮体本体10に設けられている。本実施形態における出入口部160は、上部構造17の近傍の上甲板13上に設けられている。また、本実施形態における出入口部160には、開閉可能な水密扉等の扉が設けられている。
【0090】
(通路部)
通路部170は、第二燃料調整室130と出入口部160との間の通路であって、第二燃料調整室130と出入口部160とを接続している。通路部170は、燃焼機器室14の外部の浮体本体10の内部に設けられている。通路部170は、例えば、浮体本体10の隔壁等によって区画されており、外部と気密に隔離されている。
【0091】
通路部170は、例えば、浮体1の乗員を上下方向Dvに昇降可能にさせる階段等を有している。したがって、出入口部160を通過した浮体1の乗員は、この通路部170を通じて第二燃料調整室130へアクセス可能とされている。
【0092】
(エアロック室)
エアロック室180は、通路部170及び出入口部160を通じて第二燃料調整室130から空気が流出することを抑制するための部屋である。エアロック室180は、第二燃料調整室130と出入口部160との間の通路部170に設けられている。本実施形態で例示するエアロック室180は、通路部170の途中に配置されている。エアロック室180は、第二燃料調整室130内の圧力よりも内部の圧力が高圧に維持されている。
【0093】
(第一換気設備)
第一換気設備190は、第一燃料調整室100内の空気を換気可能である。また、第一換気設備190は、第一燃料調整室100内の空気の換気を停止することで、外部への燃料の漏洩を防止することができる。言い換えれば、第一換気設備190は、第一燃料調整室100内を外部に対して気密に隔離することができる。
第一換気設備190は、第一給気部191と、第一排気部192とを有している。
【0094】
第一給気部191は、第一燃料調整室100内に第一燃料調整室100外の空気(大気)を導入することができる。
第一給気部191は、第一給気口191aと、第一給気ライン191bと、第一給気ダンパ191cとを有している。
【0095】
第一給気口191aは、例えば、第一燃料調整室100の天井等の壁面に形成されている給気用の孔である。第一給気ライン191bは、一端が第一給気口191aに接続されており、他端が大気に開放されている管(ダクト)である。
【0096】
第一給気ダンパ191cは、第一給気ライン191bに設けられている。第一給気ダンパ191cは、開度が調整されることで、第一給気ライン191bを流れる空気の流量を調整可能である。また、第一給気ダンパ191cは、閉じられることによって、第一燃料調整室100内へ空気が第一給気ライン191bを通じて流入することを防止することができる。逆に言えば、第一給気ダンパ191cは、閉じられることによって、第一燃料調整室100内の空気が第一給気ライン191bを通じて外部に流出することを防止することができる。
【0097】
第一排気部192は、第一燃料調整室100内の空気を第一燃料調整室100外へ排出することができる。
第一排気部192は、第一排気口192aと、第一排気ライン192bと、第一排気ファン192cと、第一排気ダンパ192dとを有している。
【0098】
第一排気口192aは、第一燃料調整室100の天井等の壁面に形成されている排気用の孔である。第一排気ライン192bは、一端が第一排気口192aに接続されており、他端が例えば大気中に開放されている管である。第一排気ファン192cは、第一排気ライン192bに設けられている。第一排気ファン192cは、駆動されることによって、第一排気口192a及び第一排気ライン192bを通じて第一燃料調整室100内の空気を大気中へ送気する。
【0099】
第一排気ダンパ192dは、第一排気ライン192bにおける第一排気ファン192cよりも第一排気口192a側に設けられている。第一排気ダンパ192dは、開度が調整されることで、第一排気ライン192bを流れる空気の流量を調整可能である。また、第一排気ダンパ192dは、閉じられることによって、第一燃料調整室100内の空気が第一排気ライン192bを通じて外部に流出することを防止することができる。逆に言えば、第一排気ダンパ192dは、閉じられることによって、第一燃料調整室100内へ空気が第一排気ライン192bを通じて流入することを防止することができる。
【0100】
(第一検知部)
第一検知部193は、第一燃料調整室100内で漏れた燃料(アンモニア)を検知するガスセンサである。具体的には、第一検知部193は、第一燃料調整室100内の空気に気体状態の燃料が含まれているか否かを検知する。
【0101】
本実施形態における第一検知部193は、第一燃料調整室100内に配置されているアンモニアセンサである。第一検知部193は、空気に燃料が含まれていることを検知した場合に、例えば報知機等(図示省略)に検知信号を送信することで、浮体1の乗員に第一燃料調整室100内で燃料が漏れていることを知らせる。
【0102】
したがって、第一燃料調整室100内で燃料が漏れている場合、浮体1の乗員の操作等により、上述した第一給気部191、第一排気部192、及び第一検知部193で第一燃料調整室100内を換気、又は、換気を停止して外部への燃料の漏洩の防止、及び外部から第一燃料調整室100内へ空気が流入することを防止することができる。
【0103】
(第二換気設備)
第二換気設備200は、第二燃料調整室130内の空気を換気可能である。また、第二換気設備200は、第二燃料調整室130内の空気の換気を停止することで、外部への燃料の漏洩を防止することができる。言い換えれば、第二換気設備200は、第二燃料調整室130内を外部に対して気密に隔離することができる。
第二換気設備200は、第二給気部201と、第二排気部202とを有している。
【0104】
第二給気部201は、第二燃料調整室130内に第二燃料調整室130外の空気(大気)を導入することができる。
第二給気部201は、第二給気口201aと、第二給気ライン201bと、第二給気ダンパ201cとを有している。
【0105】
第二給気口201aは、例えば、第二燃料調整室130の天井等の壁面に形成されている給気用の孔である。第二給気ライン201bは、一端が第二給気口201aに接続されており、他端が大気に開放されている管(ダクト)である。
【0106】
第二給気ダンパ201cは、第二給気ライン201bに設けられている。第二給気ダンパ201cは、開度が調整されることで、第二給気ライン201bを流れる空気の流量を調整可能である。また、第二給気ダンパ201cは、閉じられることによって、第二燃料調整室130内へ空気が第二給気ライン201bを通じて流入することを防止することができる。逆に言えば、第二給気ダンパ201cは、閉じられることによって、第二燃料調整室130内の空気が第二給気ライン201bを通じて外部に流出することを防止することができる。
【0107】
第二排気部202は、第二燃料調整室130内の空気を第二燃料調整室130外へ排出することができる。
第二排気部202は、第二排気口202aと、第二排気ライン202bと、第二排気ファン202cと、第二排気ダンパ202dとを有している。
【0108】
第二排気口202aは、例えば、第二燃料調整室130の天井等の壁面に形成されている排気用の孔である。第二排気ライン202bは、一端が第二排気口202aに接続されており、他端が例えば大気中に開放されている管である。第二排気ファン202cは、第二排気ライン202bに設けられている。第二排気ファン202cは、駆動されることによって、第二排気口202a及び第二排気ライン202bを通じて第二燃料調整室130内の空気を大気中へ送気する。
【0109】
第二排気ダンパ202dは、第二排気ライン202bにおける第二排気ファン202cよりも第二排気口202a側に設けられている。第二排気ダンパ202dは、開度が調整されることで、第二排気ライン202bを流れる空気の流量を調整可能である。また、第二排気ダンパ202dは、閉じられることによって、第二燃料調整室130内の空気が第二排気ライン202bを通じて外部に流出することを防止することができる。逆に言えば、第二排気ダンパ202dは、閉じられることによって、第二燃料調整室130内へ空気が第二排気ライン202bを通じて流入することを防止することができる。
【0110】
(第二検知部)
第二検知部203は、第二燃料調整室130内で漏れた燃料(アンモニア)を検知するガスセンサである。具体的には、第二検知部203は、第二燃料調整室130内の空気に気体状態の燃料が含まれているか否かを検知する。
【0111】
本実施形態における第二検知部203は、第二燃料調整室130内に配置されているアンモニアセンサである。第二検知部203は、空気に燃料が含まれていることを検知した場合に、例えば報知機等(図示省略)に検知信号を送信することで、浮体1の乗員に第二燃料調整室130内で燃料が漏れていることを知らせる。
【0112】
したがって、第二燃料調整室130内で燃料が漏れている場合、浮体1の乗員の操作等により、上述した第二給気部201、第二排気部202、及び第二検知部203で第二燃料調整室130内を換気、又は換気を停止して外部への燃料の漏洩を防止、及び外部から第二燃料調整室130内へ空気が流入することを防止することができる。
【0113】
(配管室)
配管室210は、第一燃料調整室100と第二燃料調整室130との間に配索された燃料ライン70を収容する部屋である。具体的には、配管室210は、第一主弁94aと第一主ガス燃料弁111との間における供給ライン71の一部、及び第二主弁94bと第二主ガス燃料弁112との間における第一リターンライン72aの一部を収容している。
【0114】
配管室210は、浮体本体10の内部に配置されており、例えば、浮体本体10の隔壁等によって区画されている。配管室210は、外部と気密に隔離されている。本実施形態における配管室210は、第二燃料調整室130よりも船首側Fabでこの第二燃料調整室130に隣接して配置されている。
【0115】
(第一外管部)
第一外管部220は、第一燃料調整室100と第二燃料調整室130との間の燃料ライン70を外側から覆う管である。具体的には、第一外管部220は、第一燃料調整室100と第二燃料調整室130との間に延びる供給ライン71及び第一リターンライン72aのそれぞれを外側から覆っている。したがって、第一外管部220は、これら供給ライン71及び第一リターンライン72aとともに二重管を構成している。
【0116】
以下、説明の便宜上、供給ライン71とともに二重管を構成する第一外管部220を「供給側外管221」と称し、第一リターンライン72aとともに二重管を構成する第一外管部220を「リターン側外管222」と称する。
【0117】
供給側外管221と供給ライン71、及びリターン側外管222と第一リターンライン72aとの間には、隙間(空間)が形成されている。第一外管部220内と第二燃料調整室130内とは、接続管部223を通じて連通している。この接続管部223は、配管室210内における第二燃料調整室130側で供給側外管221とリターン側外管222とに亘って設けられている。
【0118】
(第二外管部)
第二外管部230は、第二燃料調整室130と、燃焼機器室14内の燃焼機器60との間の燃料ライン70を外側から覆う管である。具体的には、第二外管部230は、第二燃料調整室130と燃焼機器60との間に延びる供給ライン71及び第一リターンライン72aのそれぞれを外側から覆っている。したがって、第二外管部230は、これら供給ライン71及び第一リターンライン72aとともに二重管を構成している。
【0119】
第二外管部230と供給ライン71との間の空間、及び第二外管部230と第一リターンライン72aとの間の空間に存在する空気は、この第二外管部230に設けられた個別の換気設備(図示省略)で換気してもよい。
【0120】
また、第二外管部230内と第二燃料調整室130内とを互いに連通させて、この第二燃料調整室130内に第二外管部230内の空気を導くことで第二外管部230内の空気を換気しても良い。
【0121】
また、上記換気設備に替えて、ガス供給装置(図示省略)によって第二外管部230と供給ライン71との間の空間、及び第二外管部230と第一リターンライン72aとの間の空間に、供給ライン71及び第一リターンライン72aよりも高い圧力の媒体(ガス)を第二外管部230内に供給してもよい。
以下、説明の便宜上、第二外管部230と供給ライン71との間の空間を「第一供給側空間」と称し、第二外管部230と第一リターンライン72aとの間の空間を「第一リターン側空間」と称する。
【0122】
言い換えれば、第一供給側空間、及び第二リターン側空間のそれぞれへ上記媒体を加圧供給し、外部への漏洩を防止しても良い。この場合、上記媒体には、例えば窒素ガスを採用することができる。
この際、第一供給側空間、及び第一リターン側空間を、これら供給ライン71内及び第一リターンライン72a内の圧力よりも高圧にすればよい。
【0123】
(外管換気設備)
外管換気設備240は、第一外管部220内の空気を換気する。外管換気設備240は、外管給気部241と、外管排気部242とを有している。
【0124】
外管給気部241は、第一外管部220内に第一外管部220外の空気(大気)を導入する。
外管給気部241は、外管給気口241aと、外管給気ライン241bと、外管給気ダンパ241cとを有している。
【0125】
外管給気口241aは、リターン側外管222に形成されている給気用の孔である。本実施形態における外管給気口241aは、配管室210の外部におけるリターン側外管222に配置されている。外管給気ライン241bは、一端が外管給気口241aに接続されており、他端が大気に開放されている管である。
【0126】
外管給気ダンパ241cは、外管給気ライン241bに設けられているダンパである。外管給気ダンパ241cが開状態とされることで、外管給気ライン241bを流れる空気が、リターン側外管222の内部、即ちリターン側外管222と第一リターンライン72aとの間の隙間(空間)に流入可能となる。なお、外管給気ダンパ241cは、ダンパの構成に替えて、例えばオンオフ弁であってもよい。
【0127】
外管排気部242は、第一外管部220内の空気を第一外管部220外へ排出する。
外管排気部242は、外管排気口242aと、外管排気ライン242bと、外管排気ファン242cと、外管排気ダンパ242dとを有している。
【0128】
外管排気口242aは、供給側外管221に形成されている排気用の孔である。本実施形態における外管排気口242aは、配管室210の外部における供給側外管221に配置されている。外管排気ライン242bは、一端が外管排気口242aに接続されており、他端が例えば大気中に開放されている管である。外管排気ファン242cは、外管排気ライン242bに設けられている。外管排気ファン242cは、駆動されることによって、外管排気口242a及び外管排気ライン242bを通じて第一外管部220内の雰囲気を大気中へ送気する。
【0129】
外管排気ダンパ242dは、外管排気ライン242bにおける外管排気ファン242cよりも外管排気口242a側に設けられているダンパである。外管排気ダンパ242dは、例えば、外管給気ダンパ241cと同一の開閉状態に維持される。なお、外管排気ダンパ242dは、ダンパの構成に替えて、例えばオンオフ弁であってもよい。
【0130】
したがって、外管排気ファン242cが駆動された際、リターン側外管222内に外管給気部241を通じて導入された空気は、このリターン側外管222内を第二燃料調整室130側に流れ、接続管部223内に流入した後、供給側外管221内に流入する。
【0131】
接続管部223を通じて供給側外管221に流入した空気は、供給側外管221内におけるこの供給側外管221と供給ライン71との間の隙間(空間)を第一燃料調整室100側に流れた後、外管排気部242を通じて外部へ流出する。その結果、第一外管部220内を換気することができる。
【0132】
なお、上述した外管換気設備240に替えて、ガス供給装置(図示省略)によってリターン側外管222と第一リターンライン72aとの間の空間、接続管部223内、及び供給側外管221と供給ライン71との間の空間のそれぞれよりも高い圧力の媒体(ガス)を第一外管部220内に供給してもよい。
以下、説明の便宜上、リターン側外管222と第一リターンライン72aとの間の空間を「第二リターン側空間」と称し、供給側外管221と供給ライン71との間の空間を「第二供給側空間」と称する。
【0133】
言い換えれば、第二リターン側空間、接続管部223内の空間、及び第二供給側空間のそれぞれへ上記媒体を加圧供給し、外部への漏洩を防止しても良い。この場合、上記媒体には、例えば窒素ガスを採用することができる。
この際、第二リターン側空間、接続管部223内の空間、及び供給側空間を、これら第一リターンライン72a内及び供給ライン71内の圧力よりも高圧にすればよい。
【0134】
(作用効果)
浮体1の運航を長期に亘って停止させる場合や、浮体1の運航中に燃料を液化ガスから重油へ切り替える場合には、主ガス燃料弁110よりも燃焼機器60側の燃料ライン70内に存在する液化ガスをパージすることがある。
【0135】
上記構成では、第一燃料調整室100よりも燃焼機器室14側に配置されて燃焼機器室14と区画されて設けられた第二燃料調整室130に主ガス燃料弁110が収容されている。これにより、燃焼機器室14外に配置する必要のある主ガス燃料弁110を、燃焼機器室14のより近くに配置することができるため、例えば、第一燃料調整室100内に主ガス燃料弁110が収容される構成と比較して、パージの対象となる燃料ライン70内の領域を小さくすることができる。したがって、パージすべき燃料の量が増大することを抑制することができ、その結果、エネルギーの損失を抑制することができる。また、パージ設備150、及び除害装置400の大型化を抑制することができる。
【0136】
また、上記構成では、出入口部160と通路部170とが、燃焼機器室14の外部に設けられている。これにより、第二燃料調整室130内の空気が通路部170及び出入口部160を通じて燃焼機器室14に流出することがない。また、上記構成によれば、通路部170にエアロック室180が設けられているため、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、出入口部160を通じて燃料を含む空気が出入口部160から流出することを抑制することができる。したがって、第二燃料調整室130内で漏れて気化した燃料を、エアロック室180よりも第二燃料調整室130側に留めることができる。
【0137】
また、上記構成では、ダブルブロックアンドブリード弁120が燃料ライン70上に配置されている。これにより、ダブルブロックアンドブリード弁120の遮断弁(第一遮断弁121a,第二遮断弁122a)よりも第一燃料調整室100側の燃料ライン70内の燃料が燃焼機器60側に流れることを抑制することができる。更に、主ガス燃料弁110が、ダブルブロックアンドブリード弁120の遮断弁のうち最も第一燃料調整室100側に配置された遮断弁を兼ねているため、浮体1の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0138】
また、上記構成では、ダブルブロックアンドブリード弁120のブリードライン(第一ブリードライン121b,第二ブリードライン122b)が、パージ設備150の第一流出ライン154を兼ねている。これにより、浮体1の部品点数が増加することを更に抑制することができる。
【0139】
また、上記構成によれば、ダブルブロックアンドブリード弁120が第二燃料調整室130内に配置されているため、主ガス燃料弁110及びダブルブロックアンドブリード弁120のメンテナンス性を高めることができる。
【0140】
また、上記浮体1は、第二燃料調整室130内で漏れた燃料を検知する第二検知部203と、第二燃料調整室130内を換気する第二換気設備200とを備えている。これにより、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、第二燃料調整室130内を換気することができるため、第二燃料調整室130内に漏れて気化した燃料を適切に処置することができる。
【0141】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第二実施形態について
図3を参照して説明する。なお、以下に説明する第二実施形態では、上記の第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第二実施形態では、第二換気設備200の構成が、第一実施形態で説明した第二換気設備200の構成と異なっている。また、第二実施形態における浮体1は、エアロック室換気設備250を更に備えている。
【0142】
(第二換気設備)
第二換気設備200は、第二給気部201と、第二排気部202とを有している。ここで、第二燃料調整室130には、この第二燃料調整室130内と配管室210内とを連通させる連通孔204が形成されている。
【0143】
第二排気部202は、第二排気口202aと、第二排気ライン202bと、第二排気ファン202cと、第二排気ダンパ202dとを有している。
【0144】
第二排気口202aは、配管室210に形成されている排気用の孔である。第二排気ライン202bは、一端が第二排気口202aに接続されており、他端が例えば大気中に開放されている管である。
【0145】
第二排気ファン202cは、第二排気ライン202bに設けられている。第二排気ファン202cは、駆動されることによって、配管室210に設けられた第二排気口202a、及び第二排気ライン202bを通じて配管室210内の空気を大気中へ送気する。即ち、第二排気ファン202cが駆動されることによって、第二燃料調整室130内の空気が上記連通孔204を通じて配管室210内に移動するとともに、第二排気口202aを通じて第二排気ライン202bに導かれる。
【0146】
第二排気ダンパ202dは、第二排気ライン202bにおける第二排気ファン202cよりも第二排気口202a側に設けられている。第二排気ダンパ202dは、開度が調整されることで、第二排気ライン202bを流れる空気の流量を調整可能である。
【0147】
(エアロック室換気設備)
エアロック室換気設備250は、エアロック室180内の空気を換気可能である。
エアロック室換気設備250は、エアロック室給気部251と、エアロック室排気部252とを有している。
【0148】
エアロック室給気部251は、エアロック室180内にエアロック室180外の空気(大気)を導入することができる。
エアロック室給気部251は、エアロック室給気口251aと、エアロック室給気ライン251bと、エアロック室給気ダンパ251cとを有している。
【0149】
エアロック室給気口251aは、エアロック室180に形成されている給気用の孔である。エアロック室給気ライン251bは、一端がエアロック室給気口251aに接続されており、他端が大気に開放されている管(ダクト)である。エアロック室給気ダンパ251cは、エアロック室給気ライン251bに設けられている。エアロック室給気ダンパ251cは、開度が調整されることで、エアロック室給気ライン251bを流れる空気の流量を調整可能である。
【0150】
エアロック室排気部252は、エアロック室180内の空気をエアロック室180外へ排出することができる。
エアロック室排気部252は、エアロック室排気口252aと、エアロック室排気ライン252bと、エアロック室排気ファン252cと、エアロック室排気ダンパ252dとを有している。
【0151】
エアロック室排気口252aは、エアロック室180に形成されている排気用の孔である。エアロック室排気ライン252bは、一端がエアロック室排気口252aに接続されており、他端が例えば大気中に開放されている管である。
【0152】
エアロック室排気ファン252cは、エアロック室排気ライン252bに設けられている。エアロック室排気ファン252cは、駆動されることによって、エアロック室排気口252a及びエアロック室排気ライン252bを通じてエアロック室180内の空気を大気中へ送気する。
【0153】
エアロック室排気ダンパ252dは、エアロック室排気ライン252bにおけるエアロック室排気ファン252cよりもエアロック室排気口252a側に設けられている。エアロック室排気ダンパ252dは、開度が調整されることで、エアロック室排気ライン252bを流れる空気の流量を調整可能である。
【0154】
(作用効果)
上記構成によれば、第二排気ファン202cを駆動することによって第二燃料調整室130内の空気を配管室210内に導くとともに、第二排気ライン202bを通じてこの配管室210内から導いた空気を排気することができる。したがって、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、第二燃料調整室130内の空気を配管室210内に導くことで第二燃料調整室130内の空気に含まれる燃料の濃度を低下させながら第二燃料調整室130内及び配管室210内を換気することができる。つまり、第二燃料調整室130内で漏れて気化した燃料を適切に処置することができる。
【0155】
また、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた際、通路部170を通じてエアロック室180内へ第二燃料調整室130内の空気が移動する場合がある。上記構成によれば、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、エアロック室180内を換気することができる。つまり、第二燃料調整室130内からエアロック室180に流入した燃料を適切に処置することができる。
【0156】
<第三実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第三実施形態について
図4を参照して説明する。なお、以下に説明する第三実施形態では、上記の第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第三実施形態では、出入口部160及び通路部170の構成が、第一実施形態で説明した出入口部160及び通路部170の構成と異なっている。
【0157】
(出入口部)
本実施形態における出入口部160は、配管室210の上方側Dvuの上甲板13上に設けられている。
【0158】
(通路部)
本実施形態における通路部170は、配管室210内に配置されている。通路部170は、第二燃料調整室130と出入口部160とを接続している。通路部170は、例えば、浮体1の乗員を上下方向Dvに昇降可能にさせる階段等を有している。
【0159】
本実施形態における通路部170は、浮体本体10の隔壁等によって区画されておらず、配管室210内に露出されている。言い換えれば、配管室210は、通路部170を兼ねている。
【0160】
(作用効果)
上記構成によれば、配管室210が通路部170を兼ねているため、出入口部160から第二燃料調整室130に到る通路部170を配管室210の外部に別途設ける必要がない。したがって、浮体本体10内のスペースを有効活用することができ、その結果、浮体本体10が大型化することを抑制することができる。
【0161】
<第四実施形態>
次に、本開示に係る浮体1の第四実施形態について
図5を参照して説明する。なお、以下に説明する第四実施形態では、上記の第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第三実施形態では、出入口部160及びエアロック室180の構成が、第一実施形態で説明した出入口部160及びエアロック室180の構成と異なっている。また、第四実施形態における浮体1は、通路部170を備えていない。
【0162】
(出入口部)
本実施形態における出入口部160は、燃焼機器室14内に設けられている第二燃料調整室130の出入口である。
【0163】
(エアロック室)
エアロック室180は、出入口部160を通じて第二燃料調整室130から空気が流出することを抑制するための部屋である。エアロック室180は、第二燃料調整室130と出入口部160との間に設けられている。本実施形態における出入口部160と第二燃料調整室130とは、エアロック室180によって接続されている。
【0164】
(作用効果)
上記構成によれば、燃焼機器室14内に設けられた出入口部160と、第二燃料調整室130との間にエアロック室180が設けられているため、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、出入口部160を通じて燃料を含む空気が燃焼機器室14へ流出することを抑制することができる。
【0165】
したがって、燃焼機器室14から第二燃料調整室130へ浮体1の乗員がアクセスすることを容易にしつつ、第二燃料調整室130内で漏れて気化した燃料を、エアロック室180よりも第二燃料調整室130側に留めることができる。
【0166】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0167】
図6に示すように、浮体1は、第二燃料調整室130内で、ダブルブロックアンドブリード弁120、調整弁125、パージ設備150の第二流出ライン155と第二パージ弁156、及び燃料ライン70を収容し、第二燃料調整室130内で外部と気密に隔離するエンクロージャ290を更に備えていてもよい。即ち、エンクロージャ290は、第二燃料調整室130内でこのエンクロージャ290の内側と外側とを気密に隔離する。以下、エンクロージャ290の構成について説明する。
【0168】
エンクロージャ290は、例えば、第二燃料調整室130の内壁と二重管にて接続されている。この場合、第二検知部203は、このエンクロージャ290の外部で第二燃料調整室130内に配置されればよい。
【0169】
エンクロージャ290は、第二燃料調整室130内で、供給側弁121と、供給ライン71とを収容する第一エンクロージャ291と、第二燃料調整室130内で、リターン側弁122と、調整弁125と、第二流出ライン155と、第二パージ弁156と、第一リターンライン72aを収容する第二エンクロージャ292とを有している。
【0170】
供給側外管221と供給ライン71との間の空間(上記第二供給側空間)と、第二燃料調整室130内における第一エンクロージャ291内とは、第二燃料調整室130の側壁等に形成された供給ライン71が挿通する連通孔等を通じて連通している。また、第二外管部230と供給ライン71との間の空間(上記第一供給側空間)と、第二燃料調整室130内における第一エンクロージャ291内とは、第二燃料調整室130の側壁等に形成された供給ライン71が挿通する連通孔等を通じて連通している。また、第二外管部230と供給ライン71との間の空間と燃焼機器60内とは、連通している。
【0171】
リターン側外管222と第一リターンライン72aとの間の空間(上記第二リターン側空間)と、第二燃料調整室130内における第二エンクロージャ292内とは、第二燃料調整室130の側壁等に形成された第一リターンライン72aが挿通する連通孔等を通じて連通している。また、第二外管部230と第一リターンライン72aとの間の空間(上記第一リターン側空間)と、第二燃料調整室130内における第二エンクロージャ292内とは、第二燃料調整室130の側壁等に形成された第一リターンライン72aが挿通する連通孔等を通じて連通している。また、第二外管部230と第一リターンライン72aとの間の空間と燃焼機器60内とは、連通している。
【0172】
ここで、浮体1は、第一外管部220の供給側外管221とリターン側外管222とを接続する接続管部223を備えていない。即ち、供給側外管221とリターン側外管222とは、配管室210内で連通されていない。以下、この外管換気設備240による第一外管部220内、エンクロージャ290内、及び第二外管部230内の換気の態様について説明する。
【0173】
外管換気設備240における外管排気部242の外管排気ファン242cが駆動された際、リターン側外管222内に外管給気部241の外管給気口241aを通じて空気が導入される。リターン側外管222内に導入された空気は、このリターン側外管222内を第二燃料調整室130側に流れ、第二燃料調整室130内における第二エンクロージャ292内に流入した後、第一リターンライン72aと二重管を成す第二外管部230内に流入する。
【0174】
第一リターンライン72aとともに二重管を成す第二外管部230内に流入した空気は、燃焼機器60内に流入した後、この燃焼機器60内を流れ、供給ライン71とともに二重管を成す第二外管部230内に流入する。供給ライン71とともに二重管を成す第二外管部230内に流入した空気は、第二燃料調整室130内における第一エンクロージャ291内に流入した後、供給側外管221内に流入する。供給側外管221内に流入した空気は、この供給側外管221内を第一燃料調整室100側に向かって流れ、外管排気部242の外管排気口242a及び外管排気ライン242bを通じて大気へ排出される。
【0175】
なお、浮体1は、エンクロージャ290に替えて、第二燃料調整室130内の燃料ライン70とともに二重管を構成する第三外管部(図示省略)を備えていてもよい。
以上が、
図6で示した構成の説明である。
【0176】
また、第一実施形態及び第二実施形態で説明した浮体1では、出入口部160が上甲板13上に設けられていれば、エアロック室180を備えていなくてもよい。
【0177】
また、上記実施形態で説明したパージガス供給ライン152と燃料ライン70との接続箇所は、上記に限定されることはない。上述したパージガス供給ライン152の他端は、主ガス燃料弁110よりも燃焼機器60側の燃料ライン70であれば、適宜の箇所に接続されてよい。また、パージ設備150は、複数のパージガス供給ライン152と、この複数のパージガス供給ライン152のそれぞれに設けられた供給パージ弁153を備えていてもよい。
【0178】
また、上記実施形態で説明したダブルブロックアンドブリード弁120における供給側弁121の第一遮断弁121aの個数、及びリターン側弁122の第二遮断弁122aの個数は、上記の数に限定されることはなく、適宜の数が燃料ライン70上に設けられてよい。
【0179】
また、上記実施形態で説明した第一主ガス燃料弁111が第一遮断弁121aを兼ねず、第二主ガス燃料弁112が第二遮断弁122aを兼ねなくてもよい。この際、第一主ガス燃料弁111は、供給側弁121の最も第一燃料調整室100側に配置された第一遮断弁121aよりも第一燃料調整室100側の供給ライン71上に配置され、第二主ガス燃料弁112は、リターン側弁122の最も第一燃料調整室100側に配置された第二遮断弁122aよりも第一燃料調整室100側の第一リターンライン72a上に配置されればよい。
【0180】
また、上記実施形態で説明したダブルブロックアンドブリード弁120は、第二燃料調整室130に収容されなくてもよい。この際、少なくとも主ガス燃料弁110が第二燃料調整室130に収容されていればよい。
【0181】
また、上記実施形態で説明したミキシングチャンバ30は、タンクに限定されることはない。ミキシングチャンバ30は、タンクに替えて、例えば燃料タンク20からの燃料が多方向に分岐する管の取り合い部分等であってもよい。また、上記実施形態で説明した浮体1は、ミキシングチャンバ30、及び接続ライン40を備えなくてもよい。この場合、供給ライン71及び第二リターンライン72bの双方が、燃料タンク20に直接接続され、温度調整器50が供給ライン71上に配置されていればよい。
【0182】
また、上記実施形態で説明した不活性ガスは、窒素ガスに限定されることはない。不活性ガスは、例えば、液化ガスと非反応性を有するアルゴンガス(Ar)等であってもよい。
【0183】
また、上記実施形態で説明した浮体1は、第一外管部220を備えていなくてもよい。
【0184】
また、上記実施形態では、燃料を貯留するタンクとして燃料タンク20を一例にして説明した。しかし、燃料を貯留するタンクは、燃料専用の燃料タンク20に限られない。例えば、燃料を貯留するタンクとしては、浮体本体10内のカーゴホールド等に配置される貨物としての液化ガスを貯留するタンク(カーゴタンク)であってもよい。
【0185】
また、上記実施形態で説明した浮体1は、アンモニアを燃料とする船舶であるが、アンモニアに限定されることはない。浮体1は、LNGやLPG等の液化ガスを燃料としてもよい。また、浮体1は、船舶に限定されることはなく、船舶に替えて、FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)やFSU(浮体式LNG貯蔵設備)等であってもよい。
【0186】
<付記>
各実施形態に記載の浮体は、例えば以下のように把握される。
【0187】
(1)第1の態様に係る浮体1は、浮体本体10と、前記浮体本体10に設けられて、燃料としての液化ガスが貯留されたタンクと、前記燃料によって駆動され、前記浮体本体10の燃焼機器室14内に配置された燃焼機器60と、前記燃焼機器60と前記タンクとを接続する燃料ライン70と、前記燃料ライン70上に設けられた燃料装置90が収容される第一燃料調整室100と、前記燃料ライン70上に設けられた主ガス燃料弁110が収容されて、前記第一燃料調整室100よりも前記燃焼機器室14側で、前記燃焼機器室14と区画されて設けられた第二燃料調整室130と、前記燃料ライン70における前記主ガス燃料弁110と前記燃焼機器60との間をパージ可能なパージ設備150と、を備える。
【0188】
これにより、第一燃料調整室100内に主ガス燃料弁110が収容される構成と比較して、パージの対象となる燃料ライン70内の領域を小さくすることができる。
【0189】
(2)第2の態様に係る浮体1は、(1)の浮体1であって、前記燃焼機器室14の外部に設けられた出入口部160と、前記燃焼機器室14の外部に設けられて、前記第二燃料調整室130と前記出入口部160とを接続する通路部170と、を更に備えてもよい。
【0190】
これにより、第二燃料調整室130内の空気が通路部170及び出入口部160を通じて燃焼機器室14に流出することがない。
【0191】
(3)第3の態様に係る浮体1は、(2)の浮体1であって、前記燃料ライン70のうち、前記第一燃料調整室100と前記第二燃料調整室130との間に配索された前記燃料ライン70を収容する配管室210を更に備え、前記配管室210は、前記通路部170を兼ねてもよい。
【0192】
これにより、出入口部160から第二燃料調整室130に到る通路部170を配管室210の外部に別途設ける必要がない。
【0193】
(4)第4の態様に係る浮体1は、(1)から(3)の何れかの浮体1であって、前記燃焼機器室14内に設けられた出入口部160と、前記第二燃料調整室130と前記出入口部160との間に設けられ、前記第二燃料調整室130内の圧力よりも内部の圧力が高圧に維持されたエアロック室180と、を更に備えてもよい。
【0194】
これにより、出入口部160を通じて第二燃料調整室130内の空気が燃焼機器室14へ流出することを抑制することができる。
【0195】
(5)第5の態様に係る浮体1は、(1)から(4)の何れかの浮体1であって、前記燃料ライン70に設けられた複数の遮断弁(第一遮断弁121a,第二遮断弁122a)と、複数の前記遮断弁の間の前記燃料ライン70から分岐するブリードライン(第一ブリードライン121b,第二ブリードライン122b)と、前記ブリードラインに設けられたブリード弁と、を有するダブルブロックアンドブリード弁120を備え、前記主ガス燃料弁110は、前記ダブルブロックアンドブリード弁120の複数の前記遮断弁のうち、最も前記第一燃料調整室100側に配置された前記遮断弁を兼ねてもよい。
【0196】
これにより、遮断弁よりも第一燃料調整室100側の燃料ライン70内の燃料が燃焼機器60側に流れることを抑制しつつ、浮体1の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0197】
(6)第6の態様に係る浮体1は、(5)の浮体1であって、前記パージ設備150は、前記主ガス燃料弁110よりも前記燃焼機器60側の前記燃料ライン70に不活性ガスを流入させるパージガス供給ライン152と、前記パージガス供給ライン152から前記燃料ライン70に前記不活性ガスが流入した際に、前記燃料ライン70内の前記燃料を流出させる流出ラインと、を有し、前記ブリードラインは、前記流出ラインを兼ねてもよい。
【0198】
これにより、浮体1の部品点数が増加することを更に抑制することができる。
【0199】
(7)第7の態様に係る浮体1は、(1)から(6)の何れかの浮体1であって、前記第二燃料調整室130内で漏れた燃料を検知する検知部(第二検知部203)と、前記第二燃料調整室130内を換気する換気設備(第二換気設備200)と、を更に備えてもよい。
【0200】
これにより、第二燃料調整室130内で燃料が漏れた場合であっても、第二燃料調整室130内を換気することができる。つまり、第二燃料調整室130内に漏れて気化した燃料を適切に処置することができる。
【符号の説明】
【0201】
1…浮体 10…浮体本体 11a,11b…舷側 12…船底 13…上甲板 14…燃焼機器室 15…船首 16…船尾 17…上部構造 20…燃料タンク 21…タンク本体 22…低圧ポンプ 30…ミキシングチャンバ 40…接続ライン 50…温度調整器 60…燃焼機器 70…燃料ライン 71…供給ライン 72…リターンライン 72a…第一リターンライン 72b…第二リターンライン 80…キャッチタンク 90…燃料装置 91…第一熱交換器 92…高圧ポンプ 93…第二熱交換器 94…主弁 94a…第一主弁 94b…第二主弁 95…第一弁 96…第二弁 97…第三弁 100…第一燃料調整室 110…主ガス燃料弁 111…第一主ガス燃料弁 112…第二主ガス燃料弁 120…ダブルブロックアンドブリード弁 121…供給側弁 121a…第一遮断弁 121b…第一ブリードライン 121c…第一ブリード弁 122…リターン側弁 122a…第二遮断弁 122b…第二ブリードライン 122c…第二ブリード弁 125…調整弁 130…第二燃料調整室 140…ノックアウトドラム 150…パージ設備 151…パージガス供給源 152…パージガス供給ライン 153…供給パージ弁 154…第一流出ライン 155…第二流出ライン 156…第二パージ弁 157…第一パージ弁 160…出入口部 170…通路部 180…エアロック室 190…第一換気設備 191…第一給気部 191a…第一給気口 191b…第一給気ライン 191c…第一給気ダンパ 192…第一排気部 192a…第一排気口 192b…第一排気ライン 192c…第一排気ファン 192d…第一排気ダンパ 193…第一検知部 200…第二換気設備 201…第二給気部 201a…第二給気口 201b…第二給気ライン 201c…第二給気ダンパ 202…第二排気部 202a…第二排気口 202b…第二排気ライン 202c…第二排気ファン 202d…第二排気ダンパ 203…第二検知部 204…連通孔 210…配管室 220…第一外管部 221…供給側外管 222…リターン側外管 223…接続管部 230…第二外管部 240…外管換気設備 241…外管給気部 241a…外管給気口 241b…外管給気ライン 241c…外管給気ダンパ 242…外管排気部 242a…外管排気口 242b…外管排気ライン 242c…外管排気ファン 242d…外管排気ダンパ 250…エアロック室換気設備 251…エアロック室給気部 251a…エアロック室給気口 251b…エアロック室給気ライン 251c…エアロック室給気ダンパ 252…エアロック室排気部 252a…エアロック室排気口 252b…エアロック室排気ライン 252c…エアロック室排気ファン 252d…エアロック室排気ダンパ 260…エンジンケーシング 270…ファンネル 280…除害ライン 290…エンクロージャ 291…第一エンクロージャ 292…第二エンクロージャ 300…脱硝装置 310…煙道 400…除害装置 Dv…上下方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 Fa…船首尾方向 Fab…船首側 Fas…船尾側