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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108084
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240802BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240802BHJP
   B41J 29/377 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G03G21/00 530
H04N1/00 519
B41J29/377 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012371
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 祐介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悟
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061AS02
2C061BB02
2C061BB35
2C061CN01
2C061CN08
2C061CN13
2H270SA02
2H270SA09
2H270SB03
2H270SB12
2H270SB16
2H270SC16
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB22
5C062AC04
5C062AD06
(57)【要約】
【課題】ファンによる排気に生じる流量損失を低減することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】筐体2と、筐体2内の空気を排気方向に排気するための矩形状の第1ファン71と、トナーカートリッジ50と、トナーカートリッジ50を支持し、筐体2の内部に配置される第1位置と、少なくとも一部が筐体2の外部に配置される第2位置とを移動可能であり、第1位置から第2位置へ向かう第1方向における上流端に、上流側へ突出する突出壁591を有するドロワ59と、を備え、ドロワ59の突出壁591を第1方向と直交する排気方向に投影すると、第1ファン71の4つの角のうち第1方向における下流側に配置される1つの角と重なる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内の空気を排気方向に排気するための矩形状のファンと、
トナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジを支持し、前記筐体の内部に配置される第1位置と、少なくとも一部が前記筐体の外部に配置される第2位置とを移動可能であり、前記第1位置から前記第2位置へ向かう第1方向における上流端に、上流側へ突出する突出壁を有するドロワと、
を備え、
前記ドロワの前記突出壁を前記第1方向と直交する前記排気方向に投影すると、前記ファンの4つの角のうち前記第1方向における下流側に配置される1つの角と重なることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、
前記フレームに支持された前記ファンの前記排気方向から見たときの開口率は、70%以上、かつ90%以下である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記フレームに支持された前記ファンの前記排気方向から見たときの開口率は、75%以上、かつ85%以下である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、
前記フレームは、前記第1方向へ投影したときに前記突出壁と重なるとともに、前記第1方向の下流側から上流側に向かって下方に傾斜する傾斜壁を有している請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記傾斜壁は、上側の傾斜面が液体が流れる第1排水路を構成している請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記筐体は、前記筐体の内部と外部とを連通するルーバーを備え、
前記フレームは、前記第1排水路の下端に連続して形成され、前記ファンの下方において前記ファンと前記ルーバーとの間にわたって形成される第2排水路を有する請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記筐体に収容され、前記トナーカートリッジと前記ドロワとを有するプロセスユニットを備え、
前記ファンは、前記プロセスユニットを通過してきた空気を排気する請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ファンは、回転軸と前記回転軸に固定される羽とを有し、前記回転軸の軸方向に沿って空気を送り出す軸流ファンであり、
前記羽が回転する領域と、前記排気方向において前記突出壁を前記ファンに向かって投影した投影面とは重ならない請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、
前記フレームは、前記排気方向において前記ファンと前記突出壁との間に位置する壁を有し、
前記壁は、前記ドロワが前記第1位置にある状態で、前記突出壁を前記排気方向に前記壁に対して投影した投影面と重ならない位置に、前記ファンによる排気が通過可能な通風口を有する請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーカートリッジと、トナーカートリッジを支持し、筐体内に配置される第1位置と、少なくとも一部が筐体外に配置される第2位置とを移動可能なドロワと、筐体内の空気を排気するためのファンと、を備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
近年、画像形成装置においては小型化が要求されており、装置をドロワの移動方向に小型化した際に、ドロワの移動方向における端部がファンを塞ぐように、ドロワが筐体内に配置されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-71262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、筐体内に配置されるドロワがファンを塞ぐ位置にあった場合、ファンによる排気に流量損失が生じて、筐体内の空気の十分な排気ができないおそれがある。
【0006】
そこで、本発明においては、筐体内に配置されるドロワがファンを塞ぐように配置された場合でも、ファンによる排気に生じる流量損失を低減することができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0008】
即ち、画像形成装置は、筐体と、前記筐体内の空気を排気方向に排気するための矩形状のファンと、トナーカートリッジと、前記トナーカートリッジを支持し、前記筐体の内部に配置される第1位置と、少なくとも一部が前記筐体の外部に配置される第2位置とを移動可能であり、前記第1位置から前記第2位置へ向かう第1方向における上流端に、上流側へ突出する突出壁を有するドロワと、を備え、前記ドロワの前記突出壁を前記第1方向と直交する前記排気方向に投影すると、前記ファンの4つの角のうち前記第1方向における下流側に配置される1つの角と重なる。
【0009】
これにより、ファンによる排気の流量損失を低減しながら画像形成装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、前記フレームに支持された前記ファンの前記排気方向から見たときの開口率は、70%以上、かつ90%以下である。
【0011】
これにより、ファンによる排気の流量損失を低減することが可能であり、筐体内の空気を効率良く排気することができる。
【0012】
また、前記フレームに支持された前記ファンの前記排気方向から見たときの開口率は、75%以上、かつ85%以下である。
【0013】
これにより、ファンによる排気の流量損失を低減することが可能であり、筐体内の空気を効率良く排気することができる。
【0014】
また、前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、前記フレームは、前記第1方向へ投影したときに前記突出壁と重なるとともに、前記第1方向の下流側から上流側に向かって下方に傾斜する傾斜壁を有している。
【0015】
これにより、ドロワが第1位置から第1方向へ移動する際に、突出壁が、フレームと干渉することを抑制できる。
【0016】
また、前記傾斜壁は、上側の傾斜面が液体が流れる第1排水路を構成している。
【0017】
これにより、フレームに液体が掛かったときに、掛かった液体を第1排水路に沿って流通させることができる。
【0018】
また、前記筐体は、前記筐体の内部と外部とを連通するルーバーを備え、前記フレームは、前記第1排水路の下端に連続して形成され、前記ファンの下方において前記ファンと前記ルーバーとの間にわたって形成される第2排水路を有する。
【0019】
これにより、フレームに液体が掛かったときに、掛かった液体を第1排水路および第2排水路に沿って流通させた後に、ルーバーを通じて筐体の外部に排出することができる。
【0020】
また、前記筐体に収容され、前記トナーカートリッジと前記ドロワとを有するプロセスユニットを備え、前記ファンは、前記プロセスユニットを通過してきた空気を排気する。
【0021】
これにより、プロセスユニットを通過した空気をファンによって効果的に排出することができる。
【0022】
また、前記ファンは、回転軸と前記回転軸に固定される羽とを有し、前記回転軸の軸方向に沿って空気を送り出す軸流ファンであり、前記羽が回転する領域と、前記排気方向において前記突出壁を前記ファンに向かって投影した投影面とは重ならない。
【0023】
これにより、ファンによる排気の流量損失を低減することができる。
【0024】
また、前記筐体内に、前記ファンを支持するフレームを備え、前記フレームは、前記排気方向において前記ファンと前記突出壁との間に位置する壁を有し、前記壁は、前記ドロワが前記第1位置にある状態で、前記突出壁を前記排気方向に前記壁に対して投影した投影面と重ならない位置に、前記ファンによる排気が通過可能な通風口を有する。
【0025】
これにより、ファンによる排気が通風口を通過可能となるため、ファンによる排気の流量損失を低減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ファンによる排気の流量損失を低減しながら画像形成装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】画像形成装置を示す中央断面図である。
図2】画像形成装置を示す斜視図である。
図3】右フレームに嵌装されるファン、オゾンフィルタ、および右側壁に形成されるルーバーを示す分解斜視図である。
図4】第1ファンが嵌装された右フレームの第1排水路および第2排水路、ならびにドロワを示す後面断面図である。
図5】第1ファンを示す側面図である。
図6】右フレームの第1排水路および第2排水路、ならびに第1ファンとドロワの突出壁との位置関係を示す側面図である。
図7】右フレームの第1排水路および第2排水路、ならびに第1ファンとドロワの突出壁との位置関係を示す斜視図である。
図8】第1ファンの開口率を示す側面図である。
図9】第1位置から第2位置側へ移動するドロワの軌跡を示す側面図である。
図10】通風口が形成された右フレームの壁を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0029】
[画像形成装置]
図1図2に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式により、シートSに複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。
【0030】
以下の説明では、図1における左側を画像形成装置1の前側、図1における右側を画像形成装置1の後側と規定し、図1おける紙面手前側を画像形成装置1の右側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の左側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0031】
画像形成装置1は、筐体2と、シートSを支持する給紙トレイ10およびシートSを搬送するシート搬送部30を有する給紙部3と、給紙部3により搬送されてきたシートSに画像を形成する画像形成部5とを備えている。
【0032】
筐体2は略直方体形状に形成されており、給紙部3および画像形成部5を収容している。筐体2の前面には前面開口部2Aが開口しており、筐体2は前面開口部2Aを開閉可能なフロントカバー21を有している。
【0033】
フロントカバー21は、下端部の回動軸21aを中心として回動可能に構成されており、回動軸21aを中心として回動することにより、前面開口部2Aを閉鎖する閉位置と、前面開口部2Aを開放する開位置との間を移動可能である。筐体2の上面には前側から後側へ向かうにつれて下方に傾斜する排紙トレイ22が形成されている。
【0034】
給紙部3は、筐体2の下部に配置されており、給紙トレイ10に支持されるシートSをシート搬送部30によって画像形成部5に搬送するものである。給紙トレイ10は、前後方向へスライド可能に構成されており、筐体2に収容される収容位置と、収容位置から前方へ引き出された分離位置との間で移動可能に構成されている。
【0035】
シート搬送部30は、給紙ローラ32と、分離ローラ33と、分離パッド33aと、搬送ローラ対34と、レジストローラ対35とを備えている。筐体2内には、給紙トレイ10から画像形成部5を経由して排紙トレイ22へ至るシートSの搬送経路Pが構成されている。
【0036】
給紙トレイ10に支持されるシートSは、給紙ローラ32、分離ローラ33および分離パッド33aにより1枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。給紙ローラ32は、給紙トレイ10から画像形成部5に向けてシートSを搬送するローラである。分離ローラ33および分離パッド33aは、給紙トレイ10に支持されるシートSを一枚ずつ分離する分離手段を構成している。
【0037】
搬送経路Pに送り出されたシートSは、搬送ローラ対34と、レジストローラ対35とにより画像形成部5に向けて搬送される。レジストローラ対35は、搬送されるシートSの先端の移動を規制して一旦停止させた後、シートSを所定のタイミングにて画像形成部5に向けて搬送する。
【0038】
画像形成部5は給紙部3の上方に配置されており、前後方向に並設される4つのトナーカートリッジ50と、各トナーカートリッジ50に対応する感光ドラム51とを備えている。各トナーカートリッジ50は、ブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色に対応して設けられている。トナーカートリッジ50は、現像ローラ52を備えている。
【0039】
トナーカートリッジ50は、ドロワ59に着脱可能に支持されている。ドロワ59は、フロントカバー21を開くことで、筐体2における前面開口部2Aを通じて、筐体2に対して着脱可能である。ドロワ59は、筐体2の内部に配置される第1位置と、少なくとも一部が筐体2の外部に配置される第2位置とを移動可能である。ドロワ59は、前後方向における後端に、後側に突出する突出壁591を有している。突出壁591は、左右方向において、ドロワ59の右端部に位置している。
【0040】
前後方向における前方は、第1位置から第2位置へ向かう第1方向の一例であり、後端は、第1方向における上流端の一例であり、後側は第1方向における上流側の一例である。
【0041】
感光ドラム51は、左右方向を軸線方向とする略円筒形状に形成されており、ドロワ59に回転可能に支持されている。現像ローラ52は、左右方向に延出しており、トナーカートリッジ50に回転可能に支持されている。トナーは、現像剤の一例である。現像ローラ52は、感光ドラム51にトナーを供給する。
【0042】
筐体2は、感光ドラム51の表面を露光する露光装置56を有している。露光装置56は、図示しないレーザダイオード、偏光器、レンズ、およびミラーを備えている。露光装置56は、各感光ドラム51に対して光ビームを発して、各感光ドラム51の表面を露光するように構成されている。
【0043】
感光ドラム51の搬送経路Pを挟んだ下方には、転写ベルト41が対向配置されている。転写ベルト41は、感光ドラム51と接触している。転写ベルト41は、駆動ローラ42と駆動ローラ42の前方に配置される従動ローラ43との間に掛け渡されている。転写ベルト41を挟んだ各感光ドラム51に対向する位置には、それぞれ転写ローラ44が配置されている。画像形成部5においては、転写ベルト41、駆動ローラ42、従動ローラ43、および転写ローラ44等によりベルト装置40が構成されている。
【0044】
画像形成部5は、各感光ドラム51を帯電させるための帯電器54を備えている。帯電器54は、ドロワ59に支持されている。帯電器54によって一様に帯電された感光ドラム51は、それぞれ露光装置56によって選択的に露光される。この露光により、感光ドラム51の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム51の表面に静電潜像が形成される。
【0045】
トナーカートリッジ50に収容されるトナーは正極性に帯電され、現像ローラ52の表面に担持される。現像ローラ52には現像バイアスが印加されており、感光ドラム51に形成された静電潜像が現像ローラ52に対向すると、静電潜像と現像ローラ52との間の電位差により、現像ローラ52から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム51の表面にトナー像が形成される。
【0046】
画像形成部5へ向けて搬送されたシートSが転写ベルト41上に到達すると、転写ベルト41により搬送されて、転写ベルト41と各感光ドラム51との間を順次通過する。そして、感光ドラム51の表面に担持されたトナー像は、シートSと対向したときに、転写ローラ44に印加された転写バイアスによってシートSに転写される。
【0047】
なお、本実施形態における転写ベルト41は、トナー像が転写されるシートSを搬送する搬送ベルトに構成されているが、トナー像がベルト自身に転写され、ベルトに転写されたトナー像がさらにシートSに転写される中間転写ベルトに構成することも可能である。
【0048】
トナー像が転写されたシートSは定着器60に搬送される。定着器60は加熱ローラ61と加熱ローラ61に圧接する加圧ローラ62とを備えており、定着器60に搬送されたシートSは、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する間にトナー像が熱定着される。つまり、定着器60は、シートSにトナー像を定着させる。
【0049】
トナー像が熱定着されたシートSは、定着器60から搬送方向下流側に搬送され、さらに中間排紙ローラ対63、および中間排紙ローラ対63の搬送方向下流側に配置される排紙ローラ対64により搬送されて、排紙トレイ22に排出される。
【0050】
画像形成装置1においては、ドロワ59、ドロワ59に支持されるトナーカートリッジ50、感光ドラム51、および帯電器54等によって、シートSにトナー像を形成するプロセスユニットPUが構成されている。プロセスユニットPUにおいては、本実施形態のようにドロワ59が感光ドラム51を支持していてもよいし、トナーカートリッジ50が感光ドラム51を支持する構成であってもよい。また、プロセスユニットPUは、定着器60を含んでいてもよい。
【0051】
画像形成装置1は、電源回路が形成される電源基板11と、電源基板11を覆う基板カバー12とを備えている。基板カバー12は、筐体2内の後部における給紙トレイ10とベルト装置40との間に配置されている。筐体2は、プロセスユニットPUおよび基板カバー12を収容している。
【0052】
画像形成装置1は、筐体2の内部の空気を筐体2の外部へ排気する第1ファン71および第2ファン72を備えている。第1ファン71は、筐体2内におけるプロセスユニットPUの右方かつ後方に配置されており、筐体2の内部におけるプロセスユニットPUを通過してきた空気を筐体2の外部へ排気するように構成されている。これにより、プロセスユニットPUを通過した空気を第1ファン71によって効果的に排出することが可能となっている。
【0053】
第2ファン72は、筐体2内における基板カバー12の右方、かつ左右方向において第2ファン72を基板カバー12へ向けて投影した投影面が基板カバー12の後部と重なる位置に配置されており、筐体2の内部における基板カバー12内の空気を筐体2の外部へ排気するように構成されている。第2ファン72は、第1ファン71の下方に位置している。
【0054】
図2に示すように、筐体2内の右端部には右フレーム26が収容されており、筐体2は右フレーム26の右方を覆う右側壁23を有している。右側壁23は、右側壁23を左右方向に貫通する第1開口23aおよび第2開口23bを有している。第1開口23aおよび第2開口23bは右側壁23の後部に位置しており、第1開口23aは第2開口23bの上方に位置している。
【0055】
第1ファン71は右フレーム26に支持されており、左右方向において第1ファン71を右側壁23に向けて投影した投影面が第1開口23aと重なる位置に配置されている。第1ファン71が駆動することにより、左方から右方へ向かう方向の気流が生じ、第1ファン71が作る気流によって、プロセスユニットPU内の空気が第1開口23aを通じて筐体2の外部へ排気される。
【0056】
第1ファン71は、筐体内の空気を排気方向に排気するためのファンの一例であり、第1ファン71により排気される空気の排気方向は第1排気方向である。第1ファン71の排気方向は、前後方向と直交する方向である。本実施形態においては、第1ファン71の排気方向である第1排気方向は左右方向である。右フレーム26は、ファンを支持するフレームの一例である。
【0057】
第2ファン72は右フレーム26に支持されており、左右方向において第2ファン72を右側壁23に向けて投影した投影面が第2開口23bと重なる位置に配置されている。第2ファン72が駆動することにより、左方から右方へ向かう方向の気流が生じ、第2ファン72が作る気流によって、基板カバー12内の空気が第2開口23bを通じて筐体2の外部へ排気される。第2ファン72により排気される空気の排気方向は第2排気方向であり、本実施形態においては、第2排気方向は左右方向である。
【0058】
[第1ファン、第1オゾンフィルタ、および第1ルーバー]
図3図4に示すように、右フレーム26は、左右方向に貫通する第1ダクト27を有している。第1ファン71は第1ダクト27に嵌装されている。第1ダクト27は左右方向に沿って延びており、第1排気方向に空気が流通可能に構成されている。第1ダクト27は第1ファン71を収容している。
【0059】
筐体2の右側壁23は第1開口23aを覆う第1ルーバー24を有している。第1ルーバー24は、筐体2の内部と外部とを連通している。第1ルーバー24は、筐体の内部と外部とを連通するルーバーの一例である。
【0060】
第1ルーバー24は、第1ファン71の右方に位置している。つまり、第1ルーバー24は、第1排気方向において、第1ファン71の下流側に配置されている。第1ルーバー24は、右側壁23から右方へ突出している。本実施形態においては、第1ルーバー24は、右側壁23と一体成型されることにより形成されているが、第1ルーバー24が右側壁23に対して着脱可能に取り付けられる構成であってもよい。
【0061】
画像形成装置1は、左右方向において第1ファン71と第1ルーバー24との間に位置する第1オゾンフィルタ73を備えている。第1オゾンフィルタ73は、例えばフィルタ素材をハニカム状に形成したハニカムフィルタにより構成されている。第1オゾンフィルタ73を構成するハニカムフィルタは、第1排気方向に沿って延びる隔壁で仕切られた多数のセルを有している。
【0062】
第1オゾンフィルタ73を構成するフィルタ素材としては、例えば二酸化マンガン等のオゾン分解触媒もしくは活性炭を担持した紙、アルミニウム等の金属、またはセラミックスを用いることができる。第1オゾンフィルタ73は矩形のシート状に形成されている。
【0063】
筐体2内においては、プロセスユニットPUが備える帯電器54等の大気中に放電を発生させる部材によりオゾンが生成される。プロセスユニットPU内の空気は、第1ファン71によってプロセスユニットPUの後方へ吸引された後に右方へ向かって流通し、第1オゾンフィルタ73を通過してオゾンおよび粉塵等が除去された後に、第1ルーバー24を通じて筐体2の外部に排気される。
【0064】
右側壁23に形成される第1ルーバー24は、第1開口23aの周縁部に沿って四角形状に形成され、右側壁23の外側面から右方へ向かって突出する枠体240と、枠体240に囲まれた範囲内において前後方向に延びる第1桟241とを有している。第1桟241は、上下方向に間隔を空けて複数配置されている。
【0065】
第1桟241は、左方から右方へいくに従って上方に傾斜しており、左方から右方へ向けて流通する空気は、第1ルーバー24を通過することで流通方向が斜め上方へ変換される。
【0066】
右側壁23は、第1開口23aの周縁部に沿って四角形状に形成され、右側壁23の内側面から左方へ向かって突出する周壁231を有している。第1オゾンフィルタ73は周壁231の内部に嵌装されており、周壁231の内周面と第1オゾンフィルタ73の外周面とが接触するように配置されている。
【0067】
周壁231は、第1オゾンフィルタ73の外周を覆っている。第1オゾンフィルタ73は、左右方向において第1ファン71に対して隙間を有して配置されている。第1ダクト27は、第1ファン71よりも右方に突出しており、第1ダクト27の右端は第1オゾンフィルタ73に接触している。第1ダクト27の右端部と周壁231とは、上下方向および前後方向から見て重なっている。
【0068】
また、第1オゾンフィルタ73の外形は第1ファン71の外形よりも大きく形成されており、左右方向と直交する方向において、第1オゾンフィルタ73の外周は、全周にわたって第1ファン71の外周よりも外径側に位置している。
【0069】
図4図5に示すように、第1ファン71は、左右方向に沿って延びる回転軸711と、回転軸711に固定される羽712と、回転軸711を回転可能に支持するケース713とを有し、回転軸711の軸方向に沿って空気を送り出す軸流ファンである。第1ファン71におけるケース713の外形は、矩形状に形成されている。ケース713の外形は、第1ファン71の外形を形成している。ケース713は、円形の内周面713aを有しており、内周面713aで囲まれた範囲内に羽712が位置している。第1ファン71は、筐体内の空気を排気方向に排気するための矩形状のファンの一例である。
【0070】
[第1ファンの開口率]
図4図6図7に示すように、右フレーム26は、第1ダクト27の左端部に開口27aを有している。第1ファン71により排気される筐体2内の空気は、開口27aを通じて第1ダクト27内に導入される。
【0071】
図8に示すように、第1ファン71の排気方向である左右方向から見た第1ファン71のケース713における、内周面713aで囲まれた範囲の面積に対する、内周面713aで囲まれた範囲のうちの右フレーム26により覆われていない部分(図8において薄墨を付した部分)の面積の割合が、第1ファン71の排気方向から見たときの開口率である。右フレーム26の第1ダクト27に支持された第1ファン71の排気方向から見たときの開口率は、70%以上、かつ90%以下である。
【0072】
このように、右フレーム26に支持された第1ファン71は、70%以上、かつ90%以下といった大きな開口率を有しているため、第1ファン71による排気の流量損失を低減することが可能であり、筐体2内の空気を効率良く排気することができる。
【0073】
また、右フレーム26の第1ダクト27に支持された第1ファン71の排気方向から見たときの開口率は、75%以上、かつ85%以下であることが好ましい。このように、右フレーム26に支持された第1ファン71の開口率を、75%以上、かつ85%以下とした場合においても、第1ファン71による排気の流量損失を低減することが可能であり、筐体2内の空気を効率良く排気することができる。
【0074】
[ドロワの突出壁]
図6図7に示すように、第1位置にあるドロワ59の突出壁591は、第1ファン71の排気方向である左右方向に投影すると、第1ファン71の外形の一つの角と重なっている。本実施形態においては、突出壁591は、第1ファン71の前下部に位置する角と重なっている。つまり、第1ファン71の4つの角のうち前側に配置される1つの角と、左右方向において突出壁591を第1ファン71に向かって投影した投影面とが重なっている。
【0075】
この場合、第1ファン71の外形は矩形状に形成されており、羽712が回転する領域は円形状であり、第1ファン71の角には羽712が回転する領域が存在していない部分あるため、羽712が回転する領域と突出壁591とが重なる面積を小さくすることができ、突出壁591が第1ファン71により排気される空気の流れに対する抵抗になりにくい。
【0076】
従って、突出壁591を第1ファン71の前側の1つの角と重ならせることで、第1ファン71による排気の流量損失を低減しながら画像形成装置1の小型化を図ることが可能となっている。
【0077】
特に、本実施形態においては、第1位置にあるドロワ59の突出壁591は、突出壁591を左右方向において第1ファン71に向かって投影した投影面と、羽722が回転する領域とが重ならない位置に配置されているため、第1ファン71による排気の流量損失をより低減することが可能である。
【0078】
[第1排水路および第2排水路]
図4図6図7に示すように、右フレーム26は、開口27aの周縁部における前下部に傾斜壁261を有している。傾斜壁261は前後方向に沿って延びており、前側から後側へ向かって下方に傾斜している。
【0079】
傾斜壁261においては、上側の傾斜面が第1排水路261aを構成している。第1排水路261aは、前側から後側へ向かって下方に傾斜している。前側は第1方向の下流側の一例であり、後側は第1方向の上流側の一例である。第1排水路261aは、液体が流通可能である。
【0080】
第1排水路261aは、ドロワ59の突出壁591を前後方向において投影したときの投影面と重なる位置に配置されている。第1排水路261aは、突出壁591の上方および後方に位置している。つまり、右フレーム26は、前側から後側へ向かって下方に傾斜する傾斜壁261を有しており、傾斜壁261における上側の傾斜面が、液体が流れる第1排水路261aを構成している。
【0081】
このように、右フレーム26が第1排水路261aを有することで、右フレーム26に水等の液体が掛かったときに、掛かった液体を第1排水路261aに沿って流通させることが可能である。
【0082】
また、右フレーム26は、第1排水路261aの下端に連続して形成され、左右方向に延びる第2排水路262を有している。第2排水路262は第1ファン71の下方に位置しており、左右方向において第1ファン71と第1ルーバー24との間にわたって形成されている。第2排水路262は、液体が流通可能である。
【0083】
このように、右フレーム26は第1排水路261aと第2排水路262とを有しているため、右フレーム26に水等の液体が掛かったときに、掛かった液体を第1排水路261aおよび第2排水路262に沿って流通させた後に、第1オゾンフィルタ73および第1ルーバー24を通じて筐体2の外部に排出することが可能である。
【0084】
また、ドロワ59は、右フレーム26に第1位置と第2位置との間で移動可能に支持されており、第1位置から第2位置側へ移動するときには、右フレーム26が有するガイドに沿って案内されて、図9に示すように、第1位置から前斜め上方へ移動した後に、前方へ移動する。傾斜壁261は、このドロワ59の移動軌跡に沿って後方から前方へ向かって上昇するように傾斜しているため、この傾斜を利用して、傾斜壁261の上側の傾斜面を第1排水路261aとして用いている。
【0085】
この場合、右フレーム26の第1排水路261aは、後側から前側へ向かって上方に傾斜しているため、第1位置から前方へ移動するドロワ59の突出壁591が、第1排水路261aを有する右フレーム26と干渉することを抑制可能となっている。
【0086】
[右フレームの壁]
図4図6図7に示すように、右フレーム26は、左右方向において、第1ファン71とドロワ59の突出壁591との間に位置する壁263を有している。壁263を左右方向において投影したときの投影面は、第1ファン71と重なっている。
【0087】
壁263は、第1排水路261aの下方および前方に位置しており、第1位置に位置するドロワ59の突出壁591を、左右方向において壁263へ向かって投影したときの投影面と重なる第1部分263aを有している。壁263は、第1部分263aの上方に第2部分263bを有している。第2部分263bは、第1位置に位置するドロワ59の突出壁591を、左右方向において壁263へ向かって投影したときの投影面と重ならない第2部分263bを有している。
【0088】
このように、右フレーム26が第1ファン71と突出壁591との間に位置する壁263を有することで、第1ファン71と突出壁591とが壁263によって仕切られるため、ドロワ59を第2位置から第1位置へ移動させたときに、突出壁591が第1ダクト27の開口27aおよび第1ファン71と干渉することを抑制可能である。
【0089】
図10に示すように、右フレーム26の壁263における第2部分263bには、左右方向に貫通する通風口264を形成することができる。通風口264は、第1ファン71による排気が通過可能である。つまり、壁263は、ドロワ59が第1位置にある状態で、突出壁591を左右方向に壁263に対して投影した投影面と重ならない位置にある第2部分263bに、第1ファン71による排気が通過可能な通風口264を有する構成とすることができる。
【0090】
右フレーム26の壁263は、左右方向に投影した投影面が第1ファン71と重なっているが、壁263が通風口264を有することで、第1ファン71による排気が通風口264を通過可能となるため、ファンによる排気の流量損失を低減することが可能である。
【0091】
[第2ファン、第2オゾンフィルタ、および第2ルーバー]
図3に示すように、右フレーム26は、左右方向に貫通する第2ダクト28を有している。第2ダクト28は、第1ダクト27の下方に位置している。第2ファン72は第2ダクト28に嵌装されている。第2ダクト28は左右方向に沿って延びており、第2排気方向に空気が流通可能に構成されている。第2ダクト28は第2ファン72を収容している。
【0092】
筐体2の右側壁23は第2開口23bを覆う第2ルーバー25を有している。第2ルーバー25は、第2ファン72の右方に位置している。つまり、第2ルーバー25は、第2排気方向において、第2ファン72の下流側に配置されている。第2ルーバー25は、右側壁23から右方へ突出している。
【0093】
画像形成装置1は、左右方向において第2ファン72と第2ルーバー25との間に位置する第2オゾンフィルタ74を備えている。第2オゾンフィルタ74は、例えばフィルタ素材をハニカム状に形成したハニカムフィルタにより構成されている。第2オゾンフィルタ74を構成するハニカムフィルタは、第2排気方向に沿って延びる隔壁で仕切られた多数のセルを有している。
【0094】
第2オゾンフィルタ74を構成するフィルタ素材としては、例えば二酸化マンガン等のオゾン分解触媒もしくは活性炭を担持した紙、アルミニウム等の金属、またはセラミックスを用いることができる。
【0095】
第2ファン72は、第1ファン71と同様に構成される軸流ファンである。第2ファン72の外形は、矩形状に形成されている。第2ファン72は、第2排気方向において第2ルーバー25の上流側に配置されている。
【0096】
筐体2に収容される基板カバー12内の空気は、電源基板11に実装される電子部品により加熱されて昇温され易くなっている。基板カバー12内の空気は第2ファン72によって左方から右方へ向かって流通し、第2オゾンフィルタ74を通過してオゾンおよび粉塵等が除去された後に、第2ルーバー25を通じて筐体2の外部に排気される。基板カバー12内の空気を第2ファン72によって筐体2の外部に排気することで、基板カバー12内の空気の温度を低下させることが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
2 筐体
24 第1ルーバー
26 右フレーム
50 トナーカートリッジ
59 ドロワ
71 第1ファン
261a 第1排水路
262 第2排水路
263 壁
263a 第1部分
263b 第2部分
264 通風口
591 突出壁
711 回転軸
712 羽
PU プロセスユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10