(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108087
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】コイル部品、回路モジュール、電子機器、及びコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240802BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240802BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20240802BHJP
H01F 27/32 20060101ALI20240802BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/29 123
H01F27/30 101A
H01F27/32 103
H01F41/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012375
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】大吉 智之
(72)【発明者】
【氏名】関口 義二
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛史
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FF01
5E062FF02
5E070AA01
5E070DA11
5E070DB02
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】 実装基板との間にモールド樹脂が流入しやすいコイル部品を提供すること。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係るコイル部品は、基体と、基体に設けられたコイル導体と、コイル導体の一端に接続された第1外部電極と、コイル導体の他端に接続された第2外部電極と、を備える。基体は、絶縁材料から構成されている。基体の第1面は、第1領域、第2領域、及び第1領域と第2領域との間に配置されており、第1領域及び第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含む。第1外部電極は、第1領域において基体に設けられている。第2外部電極は、第2領域において基体に設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含む第1面を有し、絶縁材料から構成されている基体と、
前記基体に設けられたコイル導体と、
前記コイル導体の一端に接続され、前記第1領域において前記基体に設けられた第1外部電極と、
前記コイル導体の他端に接続され、前記第2領域において前記基体に設けられた第2外部電極と、
を備えるコイル部品。
【請求項2】
前記第3領域は、第1凹部を有する、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記第1外部電極の厚さ及び第2外部電極の厚さは、前記第1凹部の深さよりも小さい、
請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記第1外部電極は、前記基体の前記第1面と面一となるように配置され、
前記第2外部電極は、前記基体の前記第1面と面一となるように配置される、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記基体は、前記第1面と対向する第2面を有しており、
前記第2面は、第4領域、第5領域、及び前記第4領域と前記第5領域との間に配置されており前記第4領域と前記第5領域よりも高い平滑性を有する第6領域を含む、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第1外部電極は、前記第1面及び前記第2面において前記基体に接しており、
前記第2外部電極は、前記第1面及び前記第2面において前記基体に接している、
請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記第6領域は、第2凹部を有する、
請求項5に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記基体は、前記第1面と対向する第2面、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面、前記第3面と対向する第4面、前記第3面と前記第4面とを接続する第5面、及び前記第5面と対向する第6面と、を有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極はいずれも、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第5面、及び前記第6面から離間している、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記第1領域は、前記第3領域の一端と接しており、前記第2領域は、前記第3領域の他端と接している、
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項10】
請求項1に記載のコイル部品と、
前記コイル部品を封止する樹脂モールドと、
を備える回路モジュール。
【請求項11】
請求項10に記載の回路モジュールを含む、電子機器。
【請求項12】
内部にコイル導体が配置されており、第1面を有する基体を作製する工程と、
前記第1面が、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に
配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域
を含むように前記基体の前記第1面の一部を平滑化する工程と、
前記第1領域の少なくとも一部を覆うように第1外部電極を形成する工程と、
前記第2領域の少なくとも一部を覆うように第2外部電極を形成する工程と、
を備えるコイル部品の製造方法。
【請求項13】
内部にコイル導体が配置されており、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と
前記第2領域との間に配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平
滑性を有する第3領域を含む第1面を有する基体を作製する工程と、
前記第1領域の少なくとも一部を覆うように第1外部電極を形成する工程と、
前記第2領域の少なくとも一部を覆うように第2外部電極を形成する工程と、
を備えるコイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1外部電極と前記第3領域との間に、前記第1領域の一部が介在し、
前記第2外部電極と前記第3領域との間に、前記第2領域の一部が介在し、
前記第1外部電極を形成する工程には、めっき処理により第1めっき層を形成する工程を含み、
前記第2外部電極を形成する工程には、めっき処理により第2めっき層を形成する工程を含む、
請求項12又は13に記載のコイル部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、コイル部品、コイル部品を備える回路モジュール、及び回路モジュールを備える電子機器に関する。本明細書の開示は、コイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル部品は、電子回路において用いられる受動素子であり、例えば、電源ラインや信号ラインにおいてノイズを除去するために用いられる。コイル部品が実装された基板の表面には、コイル部品とともに基板を覆うモールド樹脂が設けられることがある。
【0003】
電子回路の微細化に応じて、電子回路に搭載されるコイル部品の小型化が望まれている。小型化されたコイル部品は、例えば、特開2014-192487公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コイル部品の小型化は、外部電極のうち基体の表面から突出する部位を薄くしたり、外部電極が基体の表面から突出しないようにしたりすることによって実現されることがある。外部電極の厚さが薄くなると、コイル部品と実装基板との間の隙間が小さくなるため、モールド成形時に、コイル部品と実装基板との間にモールド樹脂が流入しにくくなり、電子部品の周囲、特に電子部品と基板との間の領域のモールド樹脂に空隙が生じやすくなるという問題がある。
【0006】
基体が複数の金属磁性粒子から構成される場合には、基体の表面に金属磁性粒子の凹凸が現れるため、基体の表面の平滑性が低くなる。このため、基体が複数の金属磁性粒子から構成される場合には、コイル部品と実装基板との間にモールド樹脂が流入しにくい。
【0007】
コイル部品の周囲のモールド樹脂における空隙は、コイル部品の故障の原因となることが知られている。例えば、モールド樹脂の空隙に、コイル部品と基板のランド部とを接合するはんだが染みだして、回路において短絡が発生する可能性がある。
【0008】
本明細書において開示される発明の目的は、上述した問題の少なくとも一部を解決または緩和することである。本明細書において開示される発明のより具体的な目的の一つは、実装基板との間にモールド樹脂が流入しやすいコイル部品を提供することである。本明細書において開示される様々な発明は、「本発明」と総称することがある。
【0009】
本発明の前記以外の目的は、明細書全体の記載を通じて明らかにされる。本明細書に開示される発明は、「発明を解決しようとする課題」の欄の記載以外から把握される課題を解決するものであってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るコイル部品は、基体と、基体に設けられたコイル導体と、コイル導体の一端に接続された第1外部電極と、コイル導体の他端に接続された第2外部電極と、を備える。基体は、絶縁材料から構成されている。基体の第1面は、第1領域、第2領域、及び第1領域と第2領域との間に配置されており、第1領域及び第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含む。第1外部電極は、第1領域において基体に設けられている。第2外部電極は、第2領域において基体に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本明細書に開示されている発明の一実施形態によれば、実装基板との間にモールド樹脂が流入しやすいコイル部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル部品を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のコイル部品をI-I線で切断した断面を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に係るコイル部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図5】本発明の別の実施形態に係るコイル部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態に係るコイル部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図6のコイル部品の断面の一部を拡大して示す拡大断面図である。
【
図9】本発明の別の実施形態に係るコイル部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係るコイル部品の断面を模式的に示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造方法を示すフロー図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造方法を示すフロー図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係るコイル部品の製造方法を示すフロー図である。
【
図15】
図14の製造方法において作製される成形体の下面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一又は類似の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。以下で説明される実施形態は、必ずしも特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。以下の実施形態で説明されている諸要素が発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
1 第1実施形態
1-1 磁気結合型コイル部品の基本構造
図1及び
図2を参照して、第1実施形態に係るコイル部品1の基本構造について説明する。
図1は、第1実施形態に係るコイル部品1の斜視図であり、
図2は、コイル軸Axを通り、LT面に平行な平面で切断されたコイル部品1の断面図である。
【0015】
コイル部品1は、インダクタ、トランス、フィルタ、リアクトル、インダクタアレイ、及びこれら以外の様々なコイル部品であってもよい。コイル部品1は、カップルドインダクタ、チョークコイル及びこれら以外の様々な磁気結合型コイル部品であってもよい。コイル部品1は、例えば、DC/DCコンバータに用いられるインダクタであってもよい。コイル部品1の用途は、本明細書で明示されるものには限定されない。
【0016】
コイル部品1は、絶縁性の基体10と、基体10内に設けられたコイル導体25と、第1外部電極21と、第2外部電極22と、を備える。
【0017】
コイル部品1は、実装基板2aに実装され得る。実装基板2aには、ランド部3a、3bが設けられている。コイル部品1は、第1外部電極21とランド部3aとを接合し、また、第2外部電極22とランド部3bとを接続することで実装基板2aに実装される。コイル部品1は、実装面1aが実装基板2aと対向する姿勢で、実装基板2aへ実装される。実装面1aは、コイル部品1の外表面のうち第1外部電極21及び第2外部電極22が設けられている面を指す。
【0018】
実装基板2aに実装されているコイル部品1は、樹脂モールド40(
図2参照)により覆われる。
図1では、コイル部品1の形状を明瞭に示すために、樹脂モールド40の描写を省略している。
【0019】
本発明の一実施形態による回路基板2は、コイル部品1と、このコイル部品1が実装される実装基板2aと、樹脂モールド40と、を備える。回路基板2は、様々な電子機器に搭載され得る。回路基板2が搭載され得る電子機器には、スマートフォン、タブレット、ゲームコンソール、自動車の電装品、サーバ及びこれら以外の様々な電子機器が含まれる。
【0020】
1-2 基体10の基本構造
一態様において、基体10は、絶縁材料から直方体形状に構成される。例えば、コイル部品1のL軸方向における寸法(長さ寸法)は、0.2mm~2.0mmの範囲にあり、W軸方向における寸法(幅寸法)は0.2mm~2.0mmの範囲にあり、T軸方向における寸法(高さ寸法)は0.2mm~2.0mmの範囲にある。一態様において、コイル部品1の長さ寸法は、幅寸法よりも大きくてもよい。本明細書において「直方体」または「直方体形状」という場合には、数学的に厳密な意味での「直方体」のみを意味するものではない。後述するように、基体10の角及び/または辺は、湾曲していてもよい。基体10の寸法及び形状は、本明細書で明示されるものには限定されない。
【0021】
基体10は、第1主面10a、第2主面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fを有する。第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fはいずれも、第1主面10a及び第2主面10bに接続されている。また、第1端面10cは、第1側面10eと第2側面10fとを接続している。第2端面10dも、第1側面10eと第2側面10fとを接続している。第1主面10a及び第2主面10bはそれぞれ基体10の高さ方向両端の面を成し、第1端面10c及び第2端面10dはそれぞれ基体10の長さ方向両端の面を成し、第1側面10e及び第2側面10fはそれぞれ基体10の幅方向両端の面を成している。
図1に示されているように、第1主面10aは基体10の下側にあるため、第1主面10aを「下面」と呼ぶことがある。同様に、第2主面10bを「上面」と呼ぶことがある。第1主面10aは、特許請求の範囲における「第1面」の例である。よって、第1主面10aを「第1面10a」と呼ぶことがある。第2主面10bは、特許請求の範囲における「第2面」の例である。よって、第2主面10bを「第2面10b」と呼ぶことがある。
【0022】
図示の実施形態において、基体10の第1面10aには、第1外部電極21及び第2外部電極22が設けられている。図示の実施形態において、第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、第1面10aのみにおいて基体10に接しており、基体10の第1面10a以外の面には接していない。言い換えると、第1外部電極21及び第2外部電極22はいずれも、第2面10b、第1端面10c、第2端面10d、第1側面10e、及び第2側面10fのいずれかも離間している。第1外部電極21及び第2外部電極22のうちの一方又は両方は、基体10の第1面10a以外の面まで延伸していてもよい。例えば、第1外部電極21は、第1面10aだけでなく第1端面10cに接するように延伸していてもよい。また、第2外部電極22は、第1面10aだけでなく第2端面10dに接するように延伸していてもよい。さらに、第1外部電極21が第1面10aだけでなく第1端面10cに接するように延伸するとともに、第2外部電極22が第1面10aだけでなく第2端面10dに接するように延伸していてもよい。第1外部電極21が基体10の第1面10a以外の面まで延伸する場合、第1外部電極21と第1面10aの接する面積は、第1外部電極21と第1面10a以外のいずれかの面と接する面積よりも大きくともよい。例えば、第1外部電極21が第1面10aだけでなく第1端面10cに接するように延伸する場合には、第1外部電極21と第1面10aの接する面積は、第1外部電極21と第1端面10cの接する面積よりも大きくともよい。同様に、第2外部電極22が基体10の第1面10a以外の面まで延伸する場合、第2外部電極22と第1面10aの接する面積は、第2外部電極22と第1面10a以外のいずれかの面と接する面積よりも大きくともよい。例えば、第1外部電極21が第1面10aだけでなく第2端面10dに接するように延伸する場合には、第2外部電極22と第1面10aの接する面積は、第2外部電極22と第2端面10dの接する面積よりも大きくともよい。
【0023】
第1面10aと第2面10bとの間は基体10の高さ寸法だけ離間しており、第1端面10cと第2端面10dとの間は基体10の長さ寸法だけ離間しており、第1側面10eと第2側面10fとの間は基体10の幅寸法だけ離間している。本明細書においては、文脈上別に解される場合を除き、コイル部品1の「長さ」方向、「幅」方向、及び「厚さ」方向はそれぞれ、
図1のL軸方向、W軸方向、及びT軸方向とする。
【0024】
基体10は、絶縁性に優れた絶縁材料から作製される。基体10は、磁性材料から作製されてもよい。基体10用の磁性材料として、軟磁性合金材料、樹脂に磁性粒子を分散させた複合磁性材料、フェライト材料、またはこれら以外の任意の公知の磁性材料を用いることができる。
【0025】
基体10は、磁性材料から作製されてもよい。基体10は、互いに結合した複数の金属磁性粒子から構成されていてもよい。基体10において、金属磁性粒子同士は、製造工程で金属磁性粒子に含有される元素が酸化して形成される酸化膜によって結合されてもよい。基体10は、金属磁性粒子に加えて結合材を含んでいてもよい。基体10が結合材を含む場合には、金属磁性粒子同士は結合材により互いに結合される。
【0026】
1-3 コイル導体の基本構造
図2を参照して、基体10の内部に設けられているコイル導体25について説明する。
【0027】
図2に示されているように、コイル導体25は、厚さ方向(T軸方向)に沿って延びるコイル軸Axの周りに巻回されている周回部25Aと、周回部25Aの一端から基体10の第1面10aまで延伸する引出部25Bと、周回部25Aの他端から基体10の第1面10aまで延伸する引出部25Cと、を有する。
図2に示されているように、コイル導体25は、引出部25Bの端面と引出部25Cの端面のみが基体10から露出する。コイル導体25の端面以外の部位は、基体10内に埋め込まれている。
【0028】
周回部25Aは、複数の導体パターンC11~C16を有している。複数の導体パターンC11~C16は、コイル軸Axに直交する平面方向に沿って延びると共に、コイル軸Axの方向において互いに離間している。導体パターンC11~C16の各々は、隣接する導体パターンと不図示のビアを介して電気的に接続されている。このように、コイル導体25の周回部25Aは、導体パターンC11~C16及びビアによって構成されている。導体パターンC11は、引出部25Cを介して外部電極22と電気的に接続され、導体パターンC16は引出部25Bを介して外部電極21と電気的に接続される。
【0029】
一実施形態において、第1外部電極21及び第2外部電極22はそれぞれ、基体10の第1面10aに、電解めっき法又は無電解めっき法により形成されるめっき層を含んでもよい。第1外部電極21及び第2外部電極22はそれぞれ、2層以上のめっき層を含んでもよい。例えば、第1外部電極21及び第2外部電極22はそれぞれ、基体10の第1面10aに形成されたNiめっき層と、Niめっき層の表面に形成されたSnめっき層と、を有してもよい。第1外部電極21に含まれるめっき層は、引出部25Bの端面に直接接続されてもよいし、第1外部電極21に含まれる下地電極層を介して接続されてもよい。同様に、第2外部電極22に含まれるめっき層は、引出部25Cの端面に直接接続されてもよいし、第2外部電極22に含まれる下地電極層を介して接続されてもよい。
【0030】
1-4 樹脂モールド40の構成
樹脂モールド40は、樹脂材料から構成される。樹脂モールド40用の樹脂材料として、絶縁性、防水性、及び耐熱性に優れた樹脂材料が用いられる。樹脂モールド40用の樹脂材料として、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化樹脂が用いられてもよい。樹脂モールド40用の樹脂材料は、例えば、エポキシやポリイミドである。樹脂モールド40の材料は、本明細書で明示的に説明されたものには限られない。樹脂モールド40は、樹脂モールド用の樹脂材料として公知の樹脂材料を適宜用いて構成される。
【0031】
樹脂モールド40は、公知の手法、例えばトランスファーモールド法により、実装基板2a上に設けられる。樹脂モールド40は、コイル部品1及び実装基板2aを覆う。樹脂モールド40は、コイル部品1と実装基板2aとの間の隙間Gにも充填される。
【0032】
1-5 基体10の第1面10aの構成
次に、
図3をさらに参照して、基体10の第1面10aの構成についてさらに説明する。
図3では、図示の明瞭化のために、樹脂モールド40の図示を省略している。
図3移行の図面においても、同様の理由により、樹脂モールドの図示を省略する。
【0033】
一態様において、基体10の第1面10aは、第1領域10a1と、第2領域10a2と、第3領域10a3と、に区画される。第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3はそれぞれ、L軸方向及びW軸方向に沿って延伸している。図示の実施形態では、第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3はそれぞれ、第1面10aのW軸方向の一端から他端まで、W軸方向に沿って延伸している。
【0034】
図示の実施形態において、第3領域10a3は、L軸方向において、第1領域10a1と第2領域10a2との間に配置されている。第1領域10a1は、L軸方向において、第3領域10a3よりもL軸方向におけるマイナス側に配置されている。第1領域10a1は、L軸方向において、第3領域10a3の一端から基体10の第1端面10cまで延伸している。第2領域10a2は、L軸方向において、第3領域10a3よりもL軸方向におけるプラス側に配置されている。第2領域10a2は、L軸方向において、第3領域10a3の他端から基体10の第2端面10dまで延伸している。
【0035】
図示の実施形態において、第1領域10a1の一部は、第1外部電極21によって覆われている。第1領域10a1の全部が第1外部電極21により覆われていてもよい。同様に、第2領域10a2の一部は、第2外部電極22によって覆われている。第2領域10a2の全部が第2外部電極22により覆われていてもよい。
【0036】
図3に明瞭に示されているように、第1外部電極21と第3領域10a3との間には、第1領域10a1の一部が介在していてもよい。同様に、第2外部電極22と第3領域10a3との間には、第2領域10a2の一部が介在していてもよい。図示の実施形態においては、第1領域10a1のうちW軸方向に沿って延びる帯状の部位が、第1外部電極21と第3領域10a3との間に介在しており、第2領域10a2のうちW軸方向に沿って延びる帯状の部位が、第2外部電極22と第3領域10a3との間に介在している。
【0037】
本発明の一態様において、第3領域10a3は、第1領域10a1及び第2領域10a2のいずれよりも高い平滑性を有する。本明細書において、基体10の表面の平滑性は、基体10の表面の算術平均粗さSaにより表される。算術表面粗さSaは、ISO25178に準拠した測定器を用いることによって算出される。例えば、算術表面粗さSaは、株式会社キーエンス製の形状解析レーザー顕微鏡(VK-X250)を用いて測定することができる。第1領域10a1の算術平均粗さをSa1、第2領域10a2の算術平均粗さをSa2、第3領域10a3の算術平均粗さをSa3とすると、Sa3は、Sa1及びSa2のいずれよりも小さい。一態様において、Sa3は、Sa1及びSa2の0.5倍以下である。一態様において、Sa3は、Sa1及びSa2の0.2倍~0.5倍の範囲とすることができる。Sa1とSa2とは、同程度の大きさであってもよい。第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3の粗さはそれぞれ、算術表面粗さSaに代えて算術平均粗さRaで表されてもよい。算術平均粗さRaは、各領域をトレースして得られるラインの方向に沿って測定されてもよい。
【0038】
第3領域10a3は、基体10の製造工程において、第1面10aに平滑化処理を行うことで形成されてもよい。基体10の一様な粗さを有する面の一部の領域に平滑化処理を行うことにより、その平滑化処理が施された領域を第3領域10a3とすることができる。第1面10aの平滑化処理は、研磨法、エッチング法、又はこれら以外の公知の平滑化手法で行われ得る。
【0039】
基体10が金属磁性粒子から構成される場合、基体10の表面は、金属磁性粒子の粒径に応じた粗さを有する。比較的小径の金属磁性粒子から構成された部位の表面は、比較的大径の金属磁性粒子から構成された部位の表面よりも平滑になる。本発明の一態様においては、基体10のうち第3領域10a3を含む部位を比較的小径の第1金属磁性粒子から構成し、基体10のそれ以外の部位を第1金属磁性粒子よりも大径の第2金属磁性粒子から構成する。これにより、第3領域10a3は、第2金属磁性粒子よりも小径の第1金属磁性粒子から構成された部位の表面であるから、第3領域10a3を第1領域10a1及び第2領域10a2よりも平滑にすることができる。一態様において、第1金属磁性粒子の平均粒径は、第2金属磁性粒子の平均粒径の0.5倍以下とされる。
【0040】
図示の実施形態では、第1面10aは、第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3のみを有しているが、第1面10aは、第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3以外の領域を有していてもよい。第1面10aが、第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3以外の追加的な領域を有する場合、第3領域10a3は、当該追加的な領域よりも平滑性が高い。
【0041】
本発明の一態様によれば、コイル部品1の実装面1aを構成する第1面10aの一部である第3領域10a3が、第1面10aの他の領域(例えば、第1領域10a1及び第2領域10a2)よりも高い平滑性を有するように構成されているので、第1面10aが実装基板2aと対向するように実装基板2aに実装されたコイル部品1を樹脂モールドする際に、流動した樹脂が第3領域10a3を伝ってコイル部品1と実装基板2aとの間に流れ込みやすくなる。
【0042】
本発明の一態様によれば、第1外部電極21が、基体10の第1面10aのうち第3領域10a3よりも粗い第1領域10a1に設けられるので、第1外部電極21を基体10に強固に固定することができる。同様に、第2外部電極22が、基体10の第1面10aのうち第3領域10a3よりも粗い第2領域10a2に設けられるので、第2外部電極22を基体10に強固に固定することができる。
【0043】
2 第2実施形態(実装面1aが平坦な態様)
次に、本発明の第2実施形態について、
図4を参照して説明する。
図4に示されている実施形態は、第1外部電極21及び第2外部電極22の配置の点で、
図2に示されている第1実施形態と異なっている。以下では、
図4に示されているコイル部品1のうち、第1外部電極21及び第2外部電極22の配置について主に説明を行い、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0044】
図4は、コイル軸Axを通りLT面に平行な平面で切断された、第2実施形態に係るコイル部品1の断面を示す。
図4に示されているように、第1外部電極21は、その下面が基体10の第1面10aと面一になるように配置されている。同様に、第2外部電極22は、その下面が基体10の第1面10aと面一になるように配置されている。
【0045】
第2実施形態によれば、第1外部電極21及び第2外部電極22が、基体10の第1面10aと面一になるように配置されているため、第1外部電極21及び第2外部電極22が基体10から突出しない。このため、コイル部品1をT軸軸方向においてさらに小型化することができる。また、第2実施形態によれば、第1外部電極21及び第2外部電極22の一部が基体10に埋め込まれているため、第1外部電極21及び第2外部電極22を基体10に強固に取り付けることができる。
【0046】
第2実施形態においては、第1外部電極21及び第2外部電極22が基体10から突出していないため、コイル部品1の実装面1aが、大きな凹凸のない平坦な面として構成されている。このため、第2実施形態におけるコイル部品1を実装基板2aに実装すると、コイル部品1と実装基板2aとの間の隙間Gがより小さくなる。第2実施形態においては、コイル部品1と実装基板2aとの間の隙間Gが小さくなったとしても、第3領域10a3が第1領域10a1及び第2領域10a2よりも高い平滑性を有するように構成されているので、樹脂モールド時に流動した樹脂が第3領域10a3を伝ってコイル部品1と実装基板2aとの間の狭くなった隙間Gに流れ込みやすい。よって、第2実施形態によれば、T軸方向においてより小型化されたコイル部品1についても、コイル部品1と実装基板2aとの間に流動した樹脂を流れ込みやすくすることができる。
【0047】
3 第3実施形態(内部端子電極を有する態様)
次に、本発明の第4実施形態について、
図5を参照して説明する。
図6に示されている実施形態は、コイル導体25の端部に、外部電極21、22と接続される内部端子電極が設けられている点で、
図2に示されている第1実施形態と異なっている。以下では、
図5に示されているコイル部品1のうち、第1外部電極21及び第2外部電極22の配置について主に説明を行い、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0048】
図5は、コイル軸Axを通りLT面に平行な平面で切断された、第4実施形態に係るコイル部品1の断面を示す。
図5に示されているように、コイル導体25の一端には、第1内部端子電極25Dが設けられており、コイル導体25の他端には、第2内部端子電極25Eが設けられている。
【0049】
一態様において、第1内部端子電極25Dは、コイル導体25の引出部25Bの端面よりも大きな断面積を有する。第1内部端子電極25Dの断面積は、第1内部端子電極25DをWL面に沿って切断した断面の面積を意味する。引出部25Bの断面積は、引出部25BをWL面に沿って切断した断面の面積を意味する。コイル導体25は、第1内部端子電極25Dにおいて、第1外部電極21と接続されている。第1内部端子電極25Dは、その一部が基体10に埋め込まれている。第1内部端子電極25Dは、その下面が、基体10の第1面10aと面一になるように配置されてもよい。第1内部端子電極25Dは、その一部が基体10の第1端面10cから露出してもよい。
【0050】
一態様において、第2内部端子電極25Eは、コイル導体25の引出部25Cの端面よりも大きな断面積を有する。第2内部端子電極25Eの断面積は、第2内部端子電極25EをWL面に沿って切断した断面の面積を意味する。引出部25Cの断面積は、引出部25CをWL面に沿って切断した断面の面積を意味する。コイル導体25は、第2内部端子電極25Eにおいて、第2外部電極22と接続されている。第2内部端子電極25Eは、その一部が基体10に埋め込まれている。第2内部端子電極25Eは、その下面が、基体10の第1面10aと面一になるように配置されてもよい。第2内部端子電極25Eは、その一部が基体10の第1端面10cから露出してもよい。
【0051】
第1外部電極21は、その上面の全体が第1内部端子電極25Dに接続されてもよい。第2外部電極22は、その上面の全体が第2内部端子電極25Eに接続されてもよい。
【0052】
第1内部端子電極25D及び第2内部端子電極25Eは、コイル導体25の別の部位と同様に、導電ペーストを加熱することで形成されてもよい。
【0053】
第3実施形態においては、第1外部電極21が引出部25Bよりも大きな面積を有する第1内部端子電極25Dと接続されるので、第1外部電極21の取り付けをより強固にすることができる。同様に、第2外部電極22が引出部25Cよりも大きな面積を有する第2内部端子電極25Eと接続されるので、第2外部電極22の取り付けをより強固にすることができる。
【0054】
4 第4実施形態(第1凹部を有する態様)
次に、本発明の第4実施形態について、
図6ないし
図8を参照して説明する。
図6ないし
図8に示されている実施形態は、基体10の第1面10aに凹部(第1凹部11)が形成されている点で、第1実施形態と異なっている。以下では、
図6ないし
図8に示されている第4実施形態に係るコイル部品1のうち、第1凹部11について主に説明を行い、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0055】
図6は、コイル軸Axを通りLT面に平行な平面で切断された、第4実施形態に係るコイル部品1の断面を示す。
図7は、
図6に示されているコイル部品1の底面図を示し、
図8は、
図6の第1凹部11の一部を含む領域を拡大して示す拡大断面図である。これらの図に示されているように、第4実施形態においては、基体10の第1面10aに基体10の内側に向かって凹む第1凹部11が形成されている。
【0056】
本発明の一態様において、第1凹部11は、第1面10aのうち第3領域10a3に形成されている。より具体的には、
図7に明瞭に示されているように、第3領域10a3は、第1領域10a1に接続されている平坦な第1基準面12aと、第2領域10a2に接続されている平坦な第2基準面12bとを有しており、第1凹部11は、L軸方向において第1基準面12aと第2基準面12bとの間に配置されている。第1凹部11は、第1基準面12a及び第2基準面12bから基体10の内部に向かって(T軸のプラス側に向かって)凹んでいる。
【0057】
第1基準面12aは、T軸方向において第1領域10a1と同じ位置にあり、第1領域10a1と同じくWL面に沿って延伸している。つまり、第1面10aの第1領域10a1と第1基準面12aとは、連続する平坦面を構成する。第2基準面12bは、T軸方向において第2領域10a2と同じ位置にあり、第2領域10a2と同じくWL面に沿って延伸している。つまり、第1面10aの第2領域10a2と第2基準面12bとは、連続する平坦面を構成する。
図7では、説明の便宜上、第1基準面12aと第1領域10a1との間及び第2基準面12bと第2領域10a2との間に、両者を区画する線分が記載されているが、実際のコイル部品においては、第1基準面12aと第1領域10a1との間及び第2基準面12bと第2領域10a2との間には両者を区画する線分は観察されない。
【0058】
図8に示されているように、第1凹部11は、第1基準面12aからT軸方向に向かって深さd1だけ凹んでいる。第1凹部11の深さd1は、第1凹部11のうち最も基体の内側にある部位と第1基準面12aを通る平面との間の距離を意味する。
【0059】
第4実施形態によれば、第3領域10a3が第1面10aの他の領域よりも高い平滑性を有することに加えて、第3領域10a3に第1凹部11が設けられているため、樹脂モールド時に流動した樹脂が第3領域10a3を伝ってコイル部品1と実装基板2aとの間の隙間Gにより流れ込みやすくすることができる。
【0060】
図8に示されているように、第1外部電極21は、厚さt1を有する。第1外部電極21の厚さは、第1基準面12aと第1外部電極21の下面との距離を意味する。一態様において、第1外部電極21の厚さt1は、第1凹部の深さd1よりも小さい。第1外部電極21の厚さt1は、ゼロであってもよい。すなわち、第1外部電極21は、第2実施形態で説明したように、第1面10aと面一となるように配置されていてもよい。図示は省略されているが、一態様において、第2外部電極22の厚さも、第1凹部の深さd1よりも小さい。第1外部電極21の厚さt1に関する説明は、第2外部電極22の厚さについても当てはまる。
【0061】
以上のように、第1外部電極21の厚さt1及び第2外部電極22の厚さを小さくすることにより、コイル部品1のT軸方向における寸法を小さくすることができる。また、第1外部電極21の厚さt1及び第2外部電極22の厚さが小さくなり、コイル部品1の実装面1aが平坦になっても、第3領域10a3が第1面10aの他の領域よりも高い平滑性を有し、また、第3領域10a3に第1凹部11が形成されているので、樹脂モールド時に流動した樹脂が第3領域10a3を伝ってコイル部品1と実装基板2aとの間の隙間Gにより流れ込みやすくすることができる。
【0062】
5 第5実施形態(外部電極が第1面10a及び第2面10bを覆う態様)
次に、本発明の第5実施形態に係るコイル部品101ついて、
図9及び
図10を参照して説明する。コイル部品101は、第1外部電極21に代えて、基体10の5つの面に接している第1外部電極121を備え、また、第2外部電極22に代えて、基体10の5つの面に接している第2外部電極122を備えている点で、コイル部品1と異なっている。また、コイル部品101は、基体10の第1面10aだけでなく第2面10bの一部も平滑化されている点でコイル部品1と異なっている。以下では、
図9及び
図10を参照し、第5実施形態に係るコイル部品101のうち、第1外部電極121及び第2外部電極122について主に説明を行い、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0063】
図9は、コイル軸Axを通りLT面に平行な平面で切断された、コイル部品101の断面を示す。
図10は、
図9に示されているコイル部品101の上面図を示す。
【0064】
コイル部品101において、第1外部電極121は、第1面10aの一部、第1端面10c、及び第2面10bの一部を覆うように構成されている。第1外部電極121は、第1側面10eの一部及び/又は第2側面10fの一部を覆うように構成されてもよい。第2外部電極122は、第1面10aの一部、第2端面10d、及び第2面10bの一部を覆うように構成されている。第2外部電極122は、第1側面10eの一部及び/又は第2側面10fの一部を覆うように構成されてもよい。
【0065】
第1外部電極121及び第2外部電極122が第1面10a及び第2面10bを覆うように構成されているので、コイル部品101は、第1面10aを含む実装面101a又は第2面10bを含む実装面101bが実装基板2aと対向する姿勢で、実装基板2aへ実装される。
【0066】
コイル部品101の実装面101aは、
図3に示されているコイル部品1の実装面1aと同様に構成される。つまり、コイル部品101の実装面101aは、その一部が第1外部電極121及び第2外部電極122により画定され、残部が基体10の第1面10aで画定される。そして、第1面10aは、第1領域10a1と、第2領域10a2と、第3領域10a3と、を含む。
【0067】
コイル部品101の実装面101bは、その一部が第1外部電極121及び第2外部電極122により画定され、残部が基体10の第2面10bで画定される。一態様において、基体10の第2面10bは、第4領域10b1と、第5領域10b2と、第6領域10b3と、に区画される。第4領域10b1、第5領域10b2、及び第6領域10b3はそれぞれ、L軸方向及びW軸方向に沿って延伸している。図示の実施形態では、第4領域10b1、第5領域10b2、及び第6領域10b3はそれぞれ、第2面10bのW軸方向の一端から他端まで、W軸方向に沿って延伸している。
【0068】
図示の実施形態において、第6領域10b3は、L軸方向において、第4領域10b1と第5領域10b2との間に配置されている。第4領域10b1は、L軸方向において、第6領域10b3よりもL軸方向におけるマイナス側に配置されている。第4領域10b1は、L軸方向において、第6領域10b3の一端から基体10の第1端面10cまで延伸している。第5領域10b2は、L軸方向において、第6領域10b3よりもL軸方向におけるプラス側に配置されている。第5領域10b2は、L軸方向において、第6領域10b3の他端から基体10の第2端面10dまで延伸している。
【0069】
図示の実施形態において、第4領域10b1の一部は、第1外部電極121によって覆われている。第4領域10b1の全部が第1外部電極121により覆われていてもよい。同様に、第5領域10b2の一部は、第2外部電極122によって覆われている。第5領域10b2の全部が第2外部電極122により覆われていてもよい。
【0070】
図10に明瞭に示されているように、第1外部電極121と第6領域10b3との間には、第4領域10b1の一部が介在していてもよい。
図3から理解されるように、第4領域10b1のうちW軸方向に沿って延びる帯状の部位が、第1外部電極21と第6領域10b3との間に介在している。また、第5領域10b2のうちW軸方向に沿って延びる帯状の部位が、第2外部電極22と第6領域10b3との間に介在している。
【0071】
本発明の一態様において、第6領域10b3は、第4領域10b1及び第5領域10b2のいずれよりも平滑性が高くなるように構成されている。本明細書において、基体10の表面の平滑性は、基体10の表面の算術平均粗さSaにより表される。上述したとおり、算術表面粗さSaは、ISO25178に準拠した測定器を用いることによって算出される。第4領域10b1の算術平均粗さをSa4、第5領域10b2の算術平均粗さをSa5、第6領域10b3の算術平均粗さをSa6とすると、Sa6は、Sa4及びSa5のいずれよりも小さい。一態様において、Sa6は、Sa4及びSa5の0.5倍以下である。一態様において、Sa6は、Sa4及びSa5の0.2倍~0.5倍の範囲とすることができる。Sa4とSa5とは、同程度の大きさであってもよい。第4領域10b1、第5領域10b2、及び第6領域10b3の粗さはそれぞれ、算術表面粗さSaに代えて算術平均粗さRaで表されてもよい。算術平均粗さRaは、各領域をトレースして得られるラインの方向に沿って測定されてもよい。
【0072】
第6領域10b3は、基体10の製造工程において、第2面10bに平滑化処理を行うことで形成されてもよい。基体10の一様な粗さを有する面の一部の領域に平滑化処理を行うことにより、その平滑化処理が施された領域を第6領域10b3とすることができる。
【0073】
上記の実施形態によれば、コイル部品101の実装面101aの一部を占める第1面10aのうちの第3領域10a3及び実装面101bの一部を占める第2面10bのうちの第6領域10b3を基体10の他の領域よりも高い平滑性を有するように構成することにより、コイル部品101の実装時に実装面101a及び実装面101bのうちのいずれの面が実装基板2aと対向するように配置されても、樹脂モールド時に、流動した樹脂が第3領域10a3又は第6領域10b3を伝ってコイル部品101と実装基板2aとの間に流れ込みやすくなる。
【0074】
6 第6実施形態(第2凹部を有する態様)
次に、本発明の第6実施形態について、
図11を参照して説明する。
図11に示されている実施形態は、基体10の第2面10bに凹部(第2凹部13)が形成されている点で、第5実施形態と異なっている。以下では、
図11に示されている第6実施形態に係るコイル部品101のうち、第2凹部13について主に説明を行い、第6実施形態において第5実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0075】
図11は、コイル軸Axを通りLT面に平行な平面で切断された、第6実施形態に係るコイル部品101の断面を示す。図示されているように、第6実施形態に係るコイル部品101においては、基体10の第1面10aに基体10の内側に向かって凹む第1凹部11が形成され、また、基体10の第2面10bに基体10の内側に向かって凹む第2凹部13が形成されている。
【0076】
本発明の一態様において、第2凹部13は、基体10の第2面10bのうち第6領域10b3に形成されている。第2凹部13は、コイル部品1のT軸方向における中心を通りLW面に並行に延びる平面に対して、第1凹部11と対称な形状及び位置に設けられてもよい。第2凹部13の深さは、第1凹部11の深さと同様に定められてもよい。
【0077】
第6実施形態によれば、第6領域10b3が第2面10bの他の領域よりも高い平滑性を有するように構成されていることに加えて、第6領域10b3に第2凹部13が設けられているため、実装面101bが実装基板2aと対向するようにコイル部品101が実装された場合であっても、樹脂モールド時に流動した樹脂が第6領域10b3を伝ってコイル部品101と実装基板2aとの間の隙間Gにより流れ込みやすくすることができる。
【0078】
7 実施形態同士の組み合わせ
本明細書に記載されている実施形態を組み合わせることで得られる態様も、本願明細書により開示される実施形態に含まれる。第1実施形態から第6実施形態は、本願明細書の記載に基づいて当業者が理解可能な様々な組で組み合わせられ得る。例えば、第2実施形態と第5実施形態とを組み合わせた実施形態において、第1外部電極121は、その下面が基体10の第1面10aと面一になるとともにその上面が基体10の第2面10bと面一になるように配置され、第2外部電極122は、その下面が基体10の第1面10aと面一になるとともにその上面が基体10の第2面10bと面一になるように配置されてもよい。
【0079】
本明細書の記載から当業者には容易に理解されるように、3つ以上の実施形態を組み合わせることも可能である。例えば、第2実施形態と、第4実施形態と、第6実施形態とを組み合わせることができる。
【0080】
実施形態同士の可能な組み合わせは、本明細書で明記されたものには限られない。
【0081】
8 製造方法1
次に、
図12を参照して、コイル部品1の製造方法の一例を説明する。まず、ステップS11において、コイル導体25が埋め込まれた基体10を作製する。基体10は、例えば、シート積層法により作製することができる。以下の例では、シート積層法による基体10の製造について説明する。
【0082】
まず、絶縁材料から構成されたシート形状のシート部材を準備する。絶縁材料は、磁性材料であってもよい。シート部材は、例えば、プラスチック製のベースフィルムの表面に金属磁性体ペーストを塗布して乾燥させ、乾燥後の金属磁性体ペーストを所定のサイズに切断することで得られる。金属磁性体ペーストは、例えば金属磁性粉を含む樹脂材料に適量の溶剤を加えることで調製される。金属磁性粉は、Feを含有する軟磁性金属材料から構成される粉体である。金属磁性粉の材料として、例えば、Fe、Ni等の金属材料、並びに、Fe-Ni、Fe-Co、Fe-Si、Fe-Si-Al、及びFe-Si-Cr-B等の合金材料を用いることができる。金属磁性粉として、異なる種類の金属磁性粉が混合された混合粉が用いられてもよい。金属磁性粉の表面には予め絶縁膜が形成されていてもよい。金属磁性体ペースト用の樹脂材料としては、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の公知の樹脂材料が用いられ得る。磁性材料から構成されたシート部材を磁性体シートと呼ぶ。
【0083】
次に、複数の磁性体シートの所定の位置に、ビアを形成するための貫通孔を形成する。次に、貫通孔が形成された複数の磁性体シートの各々の表面に、スクリーン印刷等により導電ペーストを塗布することで、各磁性体シートに導体パターンの前駆体を形成する。この導電ペーストは、Ag、Pd、Cu、Ni、Al又はこれらの合金等の導電性に優れた導電性材料を含む。導電ペーストは、Ni-Cu合金及び/又はNi-Cr合金を含んでもよい。磁性体シートに形成される導体パターンの前駆体は、導体パターンC11~C16のいずれかに対応する形状を有する。導電ペーストを磁性体シートに塗布する際に、導電ペーストが磁性体シートの貫通孔に埋め込まれ、この貫通孔に埋め込まれた導電ペーストがビアの前駆体となる。ビアの前駆体の一部は、加熱処理後に引出部25B、25Cとなる。
【0084】
次に、上記のようにして準備した導体パターン及びビアの前駆体が形成されている磁性体シート及び導体パターンの前駆体が形成されておらず上下のカバー層となる磁性体シートを積層し、この積層された各シートを熱圧着することによりマザー積層体を得る。導体パターンの前駆体が形成されている磁性体シートは、当該各磁性体シートに形成されている導体パターンの前駆体の各々が隣接する導体パターンの前駆体とビアの前駆体を介して接続されるように積層される。次に、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いてマザー積層体を個片化することでチップ状の成形体が得られる。コイル部品1をシート積層法で作製する場合には、チップ状の成形体は、複数のシートが積層された積層体である。コイル部品1をシート積層法以外の手法、例えば、圧縮成形法で形成されたチップ状の成形体は、積層構造を有していない。
【0085】
次に、チップ状の成形体を脱脂し、脱脂された成形体を加熱処理する。このチップ状の成形体への加熱処理は、例えば400℃~950℃で20分間~120分間行われる。加熱処理は、大気中で行われてもよい。加熱処理は、低酸素雰囲気で行われてもよい。
【0086】
この加熱処理により、導体パターンの前駆体及びビアの前駆体が焼結して、コイル導体25が形成される。また、加熱処理により、磁性体シートから樹脂及び溶剤が消失するとともに、磁性体シートに含まれる金属磁性粉が焼結することで、内部にコイル導体が埋め込まれた基体10が形成される。
【0087】
次に、ステップS12において、ステップS11で作製された基体10の第1面10aの一部を平滑化することで、第3領域10a3を形成する。基体10の第1面10aのうち、ステップS12で平滑化された領域が第3領域10a3となる。第1面10aのうち第3領域10a3以外の領域は平滑化されないので、第3領域10a3よりも粗い。第1面10aにおいて第3領域10a3と第1端面10cとの間の領域が第1領域10a1であり、第3領域10a3と第2端面10dとの間の領域が第2領域10a2である。第1面10aの平滑化処理は、研磨法、エッチング法、又はこれら以外の公知の平滑化処理を用いて行われ得る。
【0088】
次に、ステップS13において、基体10の第1面10aの第1領域10a1に第1外部電極21を形成し、第2領域10a2に第2外部電極22を形成する。第1外部電極21は、例えば、第1面10aの第1領域10a1の一部に導電性ペーストを塗布することで下地電極層を形成し、この下地電極の表面にめっき層を形成することにより作製される。第2外部電極22は、例えば、第1面10aの第2領域10a2の一部に導電性ペーストを塗布することで下地電極層を形成し、この下地電極の表面にめっき層を形成することにより作製される。めっき層は、電解めっき法又は無電解めっき法により形成される。
【0089】
被めっき表面にめっき層を形成する場合、被めっき層が平滑であるほどめっき伸びが生じやすい。逆に、被めっき表面の平滑性が低い(粗い)場合には、被めっき表面における凹凸が大きくなるため、めっき処理時に凹部を挟んで隣接する凸部間に電流が流れにくくなり、その凸部間にはめっきが形成されにくくなる。本発明の一態様によれば、第1外部電極21と第3領域10a3との間に、第3領域10a3よりも粗い第1領域10a1が介在しているため、第1外部電極21を形成するために第1領域10a1に形成される第1めっき層が第3領域10a3まで伸びることを抑制できる。同様に、第2外部電極22と第3領域10a3との間に、第3領域10a3よりも粗い第2領域10a2が介在しているため、第2外部電極22を形成するために第2領域10a2に形成される第2めっき層が第3領域10a3まで伸びることを抑制できる。
【0090】
コイル部品1が第1凹部11を有する場合には、第1凹部11は、第1面10aに、成形体の形成段階(例えば、
図13のステップS11)で、個片化前又は個片化後の成形体の表面(基体10の第1面10aに相当する面)を研削することにより形成されてもよい。また、第1凹部11は、個片化前又は個片化後の成形体の表面(基体10の第1面10aに相当する面)に凹みが生じるまで粗面化処理を施すことにより形成されてもよい。第1凹部11の形成は、ステップS12において第3領域10a3が形成された後に行われてもよいし、ステップS13において第1外部電極21及び第2外部電極22が設けられた後に行われてもよい。
【0091】
以上のようにして、
図12のフローに従って、コイル部品1が作製される。
【0092】
9 製造方法2
次に、
図13を参照して、コイル部品1の製造方法の別の例を説明する。
図13に示されている製造方法では、基体10の作製と並行して平滑化処理が行われている点で、
図12に示されている製造方法と異なっている。
【0093】
図13に示されている製造方法においては、まず、ステップS21において基体10の前駆体となるチップ状の成形体を形成する。この成形体は、上記のステップS11において説明した方法と同様の方法で形成され得る。具体的には、基体10の前駆体となる成形体は、複数の磁性体シートを積層することで形成されてもよい。この成形体は、積層法以外の方法、例えば、圧縮成形法で形成されてもよい。
【0094】
次に、ステップS22において、ステップS21において成形された基体10の前駆体となる成形体の第1面10aに相当する面を平滑化する。
【0095】
このステップS22で生成された成形体に、ステップS23において加熱処理を施す。具体的には、ステップS23においては、一部が平滑化された成形体を脱脂し、脱脂されたチップ状の成形体を加熱処理する。このチップ状の成形体への加熱処理は、例えば400℃~950℃で20分間~120分間行われる。加熱処理は、大気中で行われてもよい。加熱処理は、低酸素雰囲気で行われてもよい。
【0096】
次に、ステップS24において、基体10の第1面10aの第1領域10a1に第1外部電極21を形成し、第2領域10a2に第2外部電極22を形成する。ステップS22において、第1外部電極21及び第2外部電極22は、上記のステップS13で説明したのと同様の方法で第1領域10a1及び第2領域10a2にそれぞれ形成され得る。
【0097】
以上のようにして、
図13のフローに従って、コイル部品1が作製される。
【0098】
10 製造方法3
次に、
図14を参照して、コイル部品1の製造方法の別の例を説明する。
図14に示されている製造方法では、基体10の作成後に平滑化処理を行って第3領域10a3を形成するのではなく、予め第3領域10a3に対応する平滑化された表面を有する磁性体シートを基体の前駆体である成形体の最下層に設けておくことで第3領域10a3を形成する点で、
図12に示されている製造方法と異なっている。
【0099】
図14に示されている製造方法においては、まず、ステップS31において、コイル導体25が埋め込まれ、第1面10aに第3領域10a3が形成された基体10を作製する。具体的には、
図12の製造方法と同様に、複数の磁性体シートを用意する。各磁性体シートは、複数の金属磁性粒子を含む。複数の磁性体シートのうち少なくとも一枚は、混成磁性体シートとされる。混成磁性体シートは、比較的小径の第1金属磁性粒子から構成されている第1部位と、第1金属磁性粒子よりも大径の第2金属磁性粒子から構成されている部位と、に区画される。
【0100】
次に、上記のようにして準備した導体パターン及びビアの前駆体が形成されている磁性体シート及び導体パターンの前駆体が形成されておらず上下のカバー層となる磁性体シートを積層し、この積層された各シートを熱圧着することによりマザー積層体を得る。マザー積層体の形成時には、第1金属磁性粒子から構成される部位と第2金属磁性粒子から構成される部位とに区画されている混成磁性体シートが最下層に配置される。次に、ダイシング機やレーザ加工機などの切断機を用いてマザー積層体を個片化することでチップ状の成形体を得る。
【0101】
このチップ状の成形体について、
図15を参照して説明する。
図15は、チップ状の成形体100の底面図を模式的に示す図である。上述したように、マザー積層体においては、混成磁性体シートが最下層に配置されているので、チップ状の成形体100においても、その底面には混成磁性体シートの切断片が配置されている。
図15に示されているように、チップ状の成形体100における混成磁性体シートは、第1領域111と、第2領域112と、第3領域113と、に区画されている。混成磁性体シート110の第3領域113は、比較的小径の第1金属磁性粒子から構成され、混成磁性体シート110の第1領域111及び第2領域112はそれぞれ、第1金属磁性粒子よりも大径の第2金属磁性粒子から構成される。
【0102】
次に、チップ積層体を脱脂し、脱脂されたチップ状の成形体を加熱処理する。この加熱処理により、導体パターンの前駆体及びビアの前駆体が焼結して、コイル導体25が形成される。また、加熱処理により、磁性体シートから樹脂及び溶剤が消失するとともに、磁性体シートに含まれる金属磁性粉が焼結することで、内部にコイル導体が埋め込まれた基体10が形成される。上記の成形体100においては、混成磁性体シート110が最下層に配置されていたので、混成磁性体シート110の第1領域111、第2領域112、及び第3領域113がそれぞれ、加熱処理後に基体10の第1領域10a1、第2領域10a2、及び第3領域10a3になる。
【0103】
このようにして作製された基体10においては、第1面10aの第3領域10a3が小径の第1金属磁性粒子から構成されており、第1領域10a1及び第2領域10a2が大径の第2金属粒子から構成されているので、第3領域10a3の凹凸は第1領域10a1及び第2領域10a2の凹凸よりも小さくなる。よって、第1領域10a1及び第2領域10a2よりも平滑性の高い第3領域10a3が得られる。
【0104】
次に、ステップS32において、基体10の第1面10aの第1領域10a1に第1外部電極21を形成し、第2領域10a2に第2外部電極22を形成する。ステップS32において、第1外部電極21及び第2外部電極22は、上記のステップS13で説明したのと同様の方法で第1領域10a1及び第2領域10a2にそれぞれ形成され得る。
【0105】
以上のようにして、
図14のフローに従って、コイル部品1が作製される。
【0106】
以上では、シート積層法によるコイル部品1の製造方法の一例について説明した。コイル部品1は、当業者に明らかなように、圧縮成型法、薄膜プロセス法、スラリービルド法、またはこれら以外の公知の方法で作製されてもよい。
【0107】
上記の各製造方法に含まれる工程の一部は、適宜省略可能である。コイル部品1の製造方法においては、本明細書において明示的に説明されていない工程が必要に応じて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、本発明の趣旨から逸脱しない限り、随時順番を入れ替えて実行され得る。上記のコイル部品1の製造方法に含まれる各工程の一部は、可能であれば、同時にまたは並行して実行され得る。
【0108】
当業者に明らかなように、コイル部品101は、コイル部品1と同様の製造方法により製造され得る。
【0109】
9 注記
前述の様々な実施形態で説明された各構成要素の寸法、材料及び配置は、それぞれ、各実施形態で明示的に説明されたものに限定されず、当該各構成要素は、本発明の範囲に含まれ得る任意の寸法、材料及び配置を有するように変形することができる。
【0110】
本明細書において明示的に説明していない構成要素を、上述の各実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0111】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数、順序、もしくはその内容を限定するものではない。また、構成要素の識別のための番号は文脈毎に用いられ、一つの文脈で用いた番号が、他の文脈で必ずしも同一の構成を示すとは限らない。また、ある番号で識別された構成要素が、他の番号で識別された構成要素の機能を兼ねることを妨げるものではない。
【0112】
10 付記
本明細書において開示される実施形態には、以下の事項も含まれる。
【0113】
[付記1]
第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含む第1面を有し、絶縁材料から構成されている基体と、
前記基体に設けられたコイル導体と、
前記コイル導体の一端に接続され、前記第1領域において前記基体に設けられた第1外部電極と、
前記コイル導体の他端に接続され、前記第2領域において前記基体に設けられた第2外部電極と、
を備えるコイル部品。
[付記2]
前記第3領域は、第1凹部を有する、
[付記1]に記載のコイル部品。
[付記3]
前記第1外部電極の厚さ及び第2外部電極の厚さは、前記第1凹部の深さよりも小さい、
[付記1]又は[付記2]に記載のコイル部品。
[付記4]
前記第1外部電極は、前記基体の前記第1面と面一となるように配置され、
前記第2外部電極は、前記基体の前記第1面と面一となるように配置される、
[付記1]から[付記3]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記5]
前記基体は、前記第1面と対向する第2面を有しており、
前記第2面は、第4領域、第5領域、及び前記第4領域と前記第5領域との間に配置されており前記第4領域と前記第5領域よりも高い平滑性を有する第6領域を含む、
[付記1]から[付記4]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記6]
前記第1外部電極は、前記第1面及び前記第2面において前記基体に接しており、
前記第2外部電極は、前記第1面及び前記第2面において前記基体に接している、
[付記5]に記載のコイル部品。
[付記7]
前記第6領域は、第2凹部を有する、
[付記5]又は[付記6]に記載のコイル部品。
[付記8]
前記基体は、前記第1面と対向する第2面、前記第1面と前記第2面とを接続する第3面、前記第3面と対向する第4面、前記第3面と前記第4面とを接続する第5面、及び前記第5面と対向する第6面と、を有し、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極はいずれも、前記第2面、前記第3面、前記第4面、前記第5面、及び前記第6面から離間している
[付記1]から[付記7]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記9]
前記第1領域は、前記第3領域の一端と接しており、前記第2領域は、前記第3領域の他端と接している、
[付記1]から[付記8]のいずれか1項に記載のコイル部品。
[付記10]
[付記1]から[付記9]のいずれか1項に記載のコイル部品と、
前記コイル部品を封止する樹脂モールドと、
を備える回路モジュール。
[付記11]
[付記10]に記載の回路モジュールを含む、電子部品。
[付記12]
内部にコイル導体が配置されており、第1面を有する基体を作製する工程と、
前記第1面が、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含むように前記基体の前記第1面の一部を平滑化する工程と、
前記第1領域の少なくとも一部を覆うように第1外部電極を形成する工程と、
前記第2領域の少なくとも一部を覆うように第2外部電極を形成する工程と、
を備えるコイル部品の製造方法。
[付記13]
内部にコイル導体が配置されており、第1領域、第2領域、及び前記第1領域と前記第2領域との間に配置されており前記第1領域及び前記第2領域よりも高い平滑性を有する第3領域を含む第1面を有する基体を作製する工程と、
前記第1領域の少なくとも一部を覆うように第1外部電極を形成する工程と、
前記第2領域の少なくとも一部を覆うように第2外部電極を形成する工程と、
を備えるコイル部品の製造方法。
[付記14]
前記第1外部電極と前記第3領域との間に、前記第1領域の一部が介在し、
前記第2外部電極と前記第3領域との間に、前記第2領域の一部が介在し、
前記第1外部電極を形成する工程には、めっき処理により第1めっき層を形成する工程を含み、
前記第2外部電極を形成する工程には、めっき処理により第2めっき層を形成する工程を含む、
[付記12]又は[付記13]に記載のコイル部品の製造方法。
【符号の説明】
【0114】
1、101 コイル部品
10 基体
10a 第1面
10a1 第1領域
10a2 第2領域
10a3 第3領域
10b 第2面
10b1 第4領域
10b2 第5領域
10b3 第6領域
11 第1凹部
13 第2凹部
21、121 第1外部電極
22、122 第2外部電極
25 コイル導体
40 樹脂モールド