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  • 特開-車両用シート 図1
  • 特開-車両用シート 図2
  • 特開-車両用シート 図3
  • 特開-車両用シート 図4
  • 特開-車両用シート 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108091
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/36 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
B60N2/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012382
(22)【出願日】2023-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉井 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】戸田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 莉穂
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CB12
3B087CB17
(57)【要約】
【課題】車両内部の荷室の多目的な使い勝手や荷物の多目的な固定方法を可能とする。
【解決手段】車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を含む。シートバックは、裏面を有し、シートクッションに対して前側に傾倒可能な第1シートバック部と、裏面を有し、シートクッションに対して前側に傾倒可能な第2シートバック部と、前記裏面に載置された荷物を固定するためのベルトが取り付けられる複数のアンカー部と、を含む。第1シートバック部および第2シートバック部のおのおの裏面は、第1辺と、第1辺に対向する第2辺と、第1辺と第2辺との間に設けられた第3辺と、第3辺に対向する第4辺と、を含む。複数のアンカー部は、第1シートバック部の裏面において、第1辺から第4辺のおのおの、および、第2シートバック部の裏面において、第1辺と第2辺とのおのおの、に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
シートバックと、を含み、
前記シートバックは、
裏面を有し、前記シートクッションに対して前側に傾倒可能な第1シートバック部と、
裏面を有し、前記シートクッションに対して前側に傾倒可能な第2シートバック部と、
前記裏面に載置された荷物を固定するためのベルトが取り付けられる複数のアンカー部と、を含み、
前記第1シートバック部および第2シートバック部のおのおの裏面は、第1辺と、前記第1辺に対向する第2辺と、前記第1辺と前記第2辺との間に設けられた第3辺と、前記第3辺に対向する第4辺と、を含み、
前記複数のアンカー部は、
前記第1シートバック部の前記裏面において、前記第1辺から前記第4辺のおのおの、および、
前記第2シートバック部の前記裏面において、前記第1辺と前記第2辺とのおのおの、に設けられる、
車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートにおいて、
前記複数のアンカー部は、前記第2シートバック部の前記裏面において、さらに、前記第3辺と前記第4辺とのおのおのに設けられる、車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートにおいて、
前記複数のアンカー部は、各辺のほぼ中央部分の近傍領域に設置される、車両用シート。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用シートおいて、
前記複数のアンカー部のおのおのは、
アンカー本体と、
前記アンカー本体が設けられた開口部と、
前記開口部を覆うように設けられたカバー部と、を含み、
前記開口部は、前記裏面と、前記第1シートバック部または前記第2シートバック部の上面部、側面部または下面部との間の角部に設けられており、
前記アンカー本体は、前記開口部から突出しない様に構成されている、車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
「リアシートのバツクの背面に1個以上のフックを設け、該フックに係止される保持部材を介して荷物を固定すること」が可能な車両用シートが、実開昭62-027836号公報に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62-027836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示者は、後部座席用の車両用シートの利用方法を検討している。現状の車両では、車内の端々(はしの部分)において車両側にフック(アンカとも言う)の設定があるが、車内の端々でしか荷物の固定できないため、荷室の使い勝手や荷物の固定方法が限定的となる。
【0005】
本開示は、車両内部の荷室の多目的な使い勝手や荷物の多目的な固定方法を可能とする技術を提供することにある。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0007】
車両用シートは、シートクッションと、シートバックと、を含む。シートバックは、裏面を有し、シートクッションに対して前側に傾倒可能な第1シートバック部と、裏面を有し、シートクッションに対して前側に傾倒可能な第2シートバック部と、前記裏面に載置された荷物を固定するためのベルトが取り付けられる複数のアンカー部と、を含む。第1シートバック部および第2シートバック部のおのおの裏面は、第1辺と、第1辺に対向する第2辺と、第1辺と第2辺との間に設けられた第3辺と、第3辺に対向する第4辺と、を含む。複数のアンカー部は、第1シートバック部の裏面において、第1辺から第4辺のおのおの、および、第2シートバック部の裏面において、第1辺と第2辺とのおのおの、に設けられる。
【発明の効果】
【0008】
上記車両用シートによれば、車両内部の荷室の多目的な使い勝手や荷物の多目的な固定方法が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例にかかる車両用シートの正面図である。
図2図2は、図1の車両用シートの側面図である。
図3図3は、図1の車両用シートのシートバックの裏面側の構成例およびアンカー部の構成例を説明する図である。
図4図4は、シートバックの裏面に荷物を固定した状態の第1の構成例を説明する図である。
図5図5は、シートバックの裏面に荷物を固定した状態の第2の構成例および第3の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、図面において、矢印前は車両の前方を示し、矢印後は車両の後方を示し、矢印左は車両の左側方を示し、矢印右は車両の右側方を示し、矢印上は車両の上方を示し、矢印下は車両の下方を示している。また、以下の説明においては、特別に断らない限り、前、後や上、下、左、右については、車両に対しての前、後や上、下、左、右を意味するものとする。
【実施例0011】
図1は、実施例にかかる車両用シートの正面図である。図2は、図1の車両用シートの側面図である。
【0012】
図1図2に示すように、車両用シート1は、車両の後部座席用の車両用シートであり、シートクッション2と、シートクッション2に対して前側に傾倒可能に取り付けられたシートバック3と、シートバック3の上部側(上面部)に取り付けられたヘッドレスト4と、を含む。シートクッション2は着座者の座面を構成し、シートバック3は着座者の背もたれを構成する。
【0013】
車両用シート1は、この例では、最大で3人が着座することが可能に構成されている。このため、シートクッション2は、右側着座者用のシートクッション部(右側シートクッション部)21と、左側着座者用のシートクッション部(左側シートクッション部)22と、シートクッション部21とシートクッション部22との間に設けられた中央着座者用のシートクッション部(中央シートクッション部)23と、を含む。
【0014】
一方、シートバック3は、この例では、シートクッション部21,22、23に対応して、右側着座者用のシートバック部(右側シートバック部)31と、左側着座者用のシートバック部(左側シートバック部)32と、シートバック部31とシートバック部32との間に設けられた中央着座者用のシートバック部(中央シートバック部)33と、を含む。また、シートバック3は、この例では、4対6に分割されており、4の部分に対応するシートバック部31の上側が、シートバック部31の下側を回転軸として、前側に傾倒可能とされている。また、6の部分に対応するシートバック部32とシートバック部33とは一体的に連結されており、かつ、シートバック部32とシートバック部33の上側が、シートバック部32とシートバック部33の下側を回転軸として、一体的に前側に傾倒可能とされている。
【0015】
次に、図面を用いて、複数のアンカー部(フック部とも言う)がその裏面の角部に取り付けられたシートバック部の構成例および荷室の利用例を説明する。図3は、図1の車両用シートのシートバックの裏面側の構成例およびアンカー部の構成例を説明する図である。図4は、シートバックの裏面に荷物を固定した状態の第1の構成例を説明する図である。図5は、シートバックの裏面に荷物を固定した状態の第2の構成例および第3の構成例を説明する図である。
【0016】
図3に示すように、車両用シート1のシートバック部(第1シートバック部)31の裏面(第1裏面)12Aは、平面視において4辺を有する矩形形状とされている。4辺は、右辺(第1辺)12A1と、右辺12A1に対向して設けられた左辺(第2辺)12A2と、右辺12A1と左辺12A2との間に設けられた上辺(第3辺)12A3と、上辺12A3に対向して設けられた下辺(第4辺)12A4と、を有する。この例では、アンカー部15Aが右辺12A1に設けられ、アンカー部15Bが左辺12A2に設けられ、アンカー部15Cが上辺12A3に設けられ、アンカー部15Dが下辺12A4に設けられている。なお、アンカー部15C,15Dは設けられない場合もあり得る。この場合は、固定されるべき荷物がアンカー部15A、15Bの2つで完全に固定することが可能な場合である。
【0017】
同様に、車両用シート1のシートバック部(第2シートバック部)32,33の裏面(第2裏面)12Bは、平面視において4辺を有する矩形形状とされている。4辺は、右辺(第1辺)12B1と、右辺12B1に対向して設けられた左辺(第2辺)12B2と、右辺12B1と左辺12B2との間に設けられた上辺(第3辺)12B3と、上辺12B3に対向して設けられた下辺(第4辺)12B4と、を有する。この例では、アンカー部15Eが右辺12B1に設けられ、アンカー部15Fが左辺12B2に設けられ、アンカー部15Gが上辺12B3に設けられ、アンカー部15Hが下辺12B4に設けられている。
【0018】
この例で示すように、各アンカー部15A-15Hの設置位置は、理想的には、上記の各辺(12A1-12A4,12B1-12B4)のほぼ中央部分の近傍領域に設けられているのが好ましい。しかし、各アンカー部15A-15Hの設置位置は、これに限定されるわけではない。たとえば、上辺(12A3、12B3)には、ヘッドレスト4が設けられるので、荷物の固定を十分考慮したうえで、アンカー部15C,15Gはヘッドレスト4の機構に影響を与えない様な位置へ変更して設けることができる。他のアンカー部(15A、15B,15D,15E、15F,15H)も、荷物の固定を十分考慮したうえで、同様に、中央部分の近傍領域から変更して設けることもできる。
【0019】
各アンカー部15A-15Hは、拡大して示すように、アンカー(フック)本体15と、アンカー本体15が設けられる開口部16と、開口部16を覆う樹脂カバー部17によって構成されている。アンカー(フック)本体15は、開口部16から突出しない様に構成されている。開口部16は、シートバック部31、32,33の裏面12A、12Bの表面SUFと、シートバック部31、32,33の側面部、上面部または下面部13とによって構成される角部の領域に設けられる。つまり、各アンカー部15A-15Hは、シートバック部31、32,33の裏面12A、12Bの各辺(12A1-12A4,12B1-12B4)のほぼ中央部分の近傍領域の角部に設けられている。このように各アンカー部15A-15Hを構成することにより、裏面12A、12Bの矩形形状から突出する部分をなくすることができるので、裏面12A、12Bの矩形の外観形状を維持できる。
【0020】
図4には、シートバック部32,33を前側に傾倒させて、ベルト18A,18Bで、裏面12Bに載置された荷物20Aを固定した第1の固定状態(ST1)を示している。ベルト18Aは、アンカー部15G、15Hの間に取り付けられており、ベルト18Bは、アンカー部15E、15Fの間に取り付けられている。ベルト18A,18Bのおのおのの端部には、アンカー本体15に固定される固定部(フック)が設けられている。
【0021】
荷物20Aは、例えば、アウトドア用品、ペットなどの生き物を入れて運搬するためのかご、クレート、ゲージなどとすることができる。図4に示す第1の固定状態では、シートバック部31は、傾倒させていないので、乗員が着座できるので、ペットなどの生き物の世話を行いながら、車両での移動が行えるので、荷室の使い勝手を向上させることができる。
【0022】
図5に示す第2の固定状態ST2は、シートバック部31を前側に傾倒させて、ベルト18C,18Dで、裏面12Aに載置された荷物20Bを固定した状態を示している。ベルト18Cは、アンカー部15C、15Dの間に取り付けられており、ベルト18Dは、アンカー部15A、15Bの間に取り付けられている。ベルト18C,18Dのおのおのの端部には、アンカー15に固定される固定部(フック)が設けられている。
【0023】
シートバック部32,33は傾倒させていない構成にもできる。この場合、シートクッション部22、23とシートバック部32,33を利用して、例えば2人が着座することができる。また、図4に示したように、シートバック部32,33は傾倒させて、シートバック部32,33の裏面12Bに荷物20Aを載せて固定した状態とする構成にもできる(第1の固定状態ST1と第2の固定状態ST2の両方)。
【0024】
また、図5の第3の固定状態ST3に示すように、シートバック部31,32,33を前側に傾倒させて、ベルト18A,18Eで、裏面12A、12Bに載置された比較的大きな荷物20Cを固定してもよい。ベルト18Aはアンカー部15G、15Hの間に取り付けられており、ベルト18Eはアンカー部15A、15Fの間に取り付けられている。ベルト18Eのおのおのの端部には、アンカー15に固定される固定部(フック)が設けられている。
【0025】
実施例によれば、固定状態ST1,ST2、ST3に示す様に、荷室の使い勝手や荷物の多目的な固定方法を可能にすることができる。
【符号の説明】
【0026】
1:車両用シート、2:シートクッション、3:シートバック、裏面:12A,12B、裏面12Aの辺:12A1,12A2,12A3,12A4、裏面12Bの辺:12B1,12B2,12B3,12B4、アンカー部:15A,15B,15C,15D,15E,15F,15G,15H、15:アンカー本体、16:開口部、17:樹脂カバー部。
図1
図2
図3
図4
図5