(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108116
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】発光表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/814 20230101AFI20240802BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20240802BHJP
H10K 50/81 20230101ALI20240802BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20240802BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20240802BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240802BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240802BHJP
H10K 50/16 20230101ALN20240802BHJP
H10K 50/15 20230101ALN20240802BHJP
H10K 50/17 20230101ALN20240802BHJP
H10K 50/19 20230101ALN20240802BHJP
【FI】
H10K50/814
H10K50/00
H10K50/81
H10K50/82
H10K59/122
H10K50/844
H10K59/10
H10K50/16
H10K50/15
H10K50/17 171
H10K50/17
H10K50/19
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203664
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0011784
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼洙元
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼晟虎
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC21
3K107CC33
3K107CC45
3K107DD21
3K107DD26
3K107DD37
3K107DD50
3K107DD52
3K107DD71
3K107DD74
3K107DD89
3K107EE46
3K107EE48
3K107GG28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】補助電極の周辺のバンク構造の露出を防止してアウトギャッシングの放出を防止することができる発光表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に互いに離隔した複数のアノードと、複数のアノードのうち隣り合うアノードとの間に位置する補助電極と、複数のアノードの発光部を露出させ、補助電極の一部を露出するバンクホールを有するバンクと、バンクホールを囲むバンク側面及びバンクホール周辺のバンク上に備えられたバンク保護パターンと、発光部及びバンク上に備えられた中間層及びバンクホール内に補助電極と接続したカソードとを含む。アクティブ領域に補助電極とカソードが接続される部分を備え、表示領域全領域にカソードで均一な電圧印加が可能で、輝度ムラを防止し、バンクホール周辺のバンク保護パターンを備え、バンク露出部分のアウトギャッシングによる中間層損傷を防止し、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に互いに離間した複数のアノード;
前記複数のアノードのうち隣接するアノード同士の間に配置される補助電極;
前記複数のアノードの発光部を露出し、前記補助電極の一部を露出するバンクホールを有するバンク;
前記バンクホールを囲むバンク側面及び前記バンクホール周辺の前記バンクに配置されるバンク保護パターン;
前記発光部および前記バンク上に配置される中間層;及び
前記バンクホール内に前記補助電極と接続されたカソード
を含む、発光表示装置。
【請求項2】
前記バンク保護パターンは、
前記バンクホール周辺の前記バンクの上面に接する第1保護パターンと、
前記バンク上の前記中間層と前記バンクホールを囲む前記バンク側面と接する第2保護パターン
を含む、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記第1保護パターンと前記第2保護パターンとは、前記バンクホールを囲む前記バンク側面と前記バンクの上面が接する領域で互いに出合う、請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記第1保護パターン及び前記第2保護パターンは、前記バンクの上面と重なって前記中間層の下部及び上部に位置する、請求項2に記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記バンク保護パターンは、無機絶縁膜である、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記バンク保護パターンは、紫外線遮蔽成分を含む、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記補助電極上の前記中間層の縁部は、前記バンクホールを囲む前記バンク上に配置される、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記バンクと重なる中間層は、前記バンク保護パターンによって囲まれる、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記複数のアノードと前記補助電極は、同一層に配置される、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記カソードと前記バンクが互いに重なる部分で、前記カソードと前記バンクの間に挟まれて前記バンク保護パターンが配置される、請求項1に記載の発光表示装置。
【請求項11】
基板上に互いに離間した複数のアノードを形成すること;
前記複数のアノードのうち隣接するアノード同士の間に補助電極を形成すること;
前記複数のアノードの発光部を露出するバンクを形成すること;
前記バンク上に第1保護パターンを形成すること;並びに
前記第1保護パターンと重なる中間層及びカソードを形成すること
を含む、発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記中間層及びカソードを形成することは、
前記中間層を形成した後、前記補助電極の一部を露出させるように前記中間層、前記第1保護パターン及び前記バンクを除去してバンクホールを形成する工程;
前記バンクホールを囲む前記バンクの側面と前記中間層の側面上と、前記バンクと重なる前記中間層上に第2の保護パターンを形成する工程;
前記中間層上に前記カソードを形成し、前記カソードが、前記バンクホール内で前記補助電極と接続し、前記バンク上で前記第2の保護パターンと重畳する工程
を含む、請求項11に記載の発光表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、補助電極の周辺のバンク構造の露出を防止してアウトギャッシングの放出を防止することができる発光表示装置及びその製造方法を含む。
【背景技術】
【0002】
情報化社会が発展するにつれて、画像を表示するための表示装置に対する要求が様々な形で増加している。
【0003】
発光素子によって画素を構成する発光表示装置は、別途の光源ユニットを必要とせず、スリム化あるいはフレキシブルに有利であり、また色純度が良いという利点がある。
【0004】
一例として、発光素子は、異なる2つの電極と、その間の発光層とを含み、いずれかの一方の電極で発生した電子と他方の電極で発生した正孔とが、発光層の内に注入されると、注入された電子及び正孔が結合して励起子(エキシトン;exciton)が生成され、生成された励起子が励起状態(excitedstate)から基底状態(groundstate)に落ちながら発光が行われる。
【0005】
発光表示装置において、画素に備えられた発光素子は、対向する2つの電極のうちの一方の電極が全ての画素で共通の共通電極の形態で備えられているが、大面積化するほど、電源部との距離の差により共通電極の内領域別抵抗の相違によって輝度ムラが発生する可能性がある。また、共通電極が透明性のために厚さが薄くなるほど共通電極の抵抗が大きいため、電圧降下を引き起こす可能性があり、それによって発光素子の電流が変動または減少する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決できるものであり、特に、本発明は、アクティブ領域に補助電極とカソードが接続される部分を備えた発光表示装置を提供するものであり、表示領域全ての領域に、カソードで均一な電圧印加が可能であり、輝度ムラを防ぐことができる。
【0007】
また、本発明の発光表示装置は、補助電極をバンクと一部重畳する形態で形成しながら、バンクホール周辺のバンク保護パターンを備え、バンク露出部分のアウトギャッシング(outgassing)による中間層損傷を防止し、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発光表示装置は、基板上に互いに離隔した複数のアノードと、複数のアノードのうち隣り合うアノード同士の間に位置する補助電極と、複数のアノードの発光部を露出し、補助電極の一部を露出するバンクホールを有するバンクと、バンクホールを囲むバンク側面及びバンクホール周辺のバンク上に備えられたバンク保護パターンと、発光部及びバンク上に備えられた中間層及びバンクホールの内に補助電極と接続したカソードとを含むことがある。
【0009】
本発明の別の態様において、発光表示装置の製造方法は、基板上に互いに離隔した複数のアノードを形成する第1工程と、複数のアノードのうち隣り合うアノード同士の間に補助電極を形成する第2工程と、複数のアノードの発光部を露出するバンクを形成する第3工程と、バンク上に第1保護パターンを形成する第4工程と、第1保護パターンと重畳するカソードと中間層を形成する第5工程とを含む。
【0010】
本発明の発光表示装置は、次のような効果がある。
【0011】
第1に、バンクと重なる部分の補助電極を備え、補助電極上の構成をカソード形成前除去工程を通じて補助電極の一部が露出させ、カソードと補助電極とを直接接続する。したがって、アクティブ領域(表示領域)においてカソードと補助電極が接続される部分を備えることにより、カソードの電圧均一性を向上させて輝度低減を防止することができる。
【0012】
第2に、補助電極を露出させるために形成されたバンクホールにおいて、バンクホールを囲むバンクの側面およびバンク上にバンク保護パターンを形成することにより、バンク露出によるアウトギャッシングを防止することができる。
【0013】
第3に、中間層形成前のバンクの上面及び側面が、バンク保護パターンによってカバーされ、続いて形成する中間層が、バンク層と直接接続されることを防止され、露出によるバンクの劣化を防止するとともに、中間層及びバンクの接触面積を減らし、バンクアウトギャッシングによる中間層のダメージを防止することができる。
【0014】
第4に、バンク保護パターンは、表示装置分野で用いられる透明な無機絶縁膜を用いることができるので、別途物質を追加することなく信頼性を有する発光表示装置の製造が可能である。これは、親環境(Environment friendly)、低電力およびプロセスの最適化の利点から、ESG(Environment/Social/Governance)の効果を有する。
【0015】
第5に、互いに異なる色を発光する発光部の間にバンクホールを備える場合、バンクホールを形成する過程で、中間層をバンクホールから除去し、隣接する色発光部間の中間層パターン化が可能であるので、隣接する色発光部間漏れ電流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の発光表示装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態による発光表示装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る発光表示装置を示す平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る発光表示装置を示す平面図である。
【
図5A】本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程である。
【
図5B】本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程である。
【
図5C】本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程である。
【
図5D】本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程である。
【
図5E】本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本開示の様々な実施形態を説明する。明細書の全体を通して同じ参照番号は実質的に同じ構成要素を意味する。以下の説明において、本開示に関連する技術または構成の具体的な説明が本開示の要旨を不必要に曖昧にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明は省略する。なお、以下の説明で使用される構成要素名は、明細書作成の容易さを考慮して選択されたものであり、実際の製品の部品名と異なる場合がある。
【0018】
本開示の様々な実施形態を説明するための図面に開示された形状、サイズ、比率、角度、数などは例示的なものであり、本開示は図面に示された事項に限定されない。本開示全体を通して同じ参照番号は同じ構成要素を指す。なお、本開示の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が本開示の要旨を不必要に曖昧にすることができると判断される場合、その詳細な説明は省略する。本開示で言及される「含む」、「有する」、「成る」などが使用される場合、「~のみ」が使用されない限り、他の部分が追加されることがある。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り複数を含む場合を含む。
【0019】
本開示の様々な実施形態に含まれる構成要素を解釈する際に、別途の明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものと解釈する。
【0020】
本開示の様々な実施形態を説明するにあたって、位置関係について説明する場合に、例えば、「~上に」、「~上部に」、「~下部に」、「~隣に」などで2つの部分の位置関係が説明される場合、「まさに」または「直接」が使用されない限り、2つの部分の間に1つ以上の他の部分が配置され得る。
【0021】
本開示の様々な実施形態を説明するにあたって、時間関係について説明する場合に、例えば、「~後に」、「~に続く」、「~次に」、「~前に」などで時間的先後関係が説明される場合、「すぐ」または「直」が使用されない限り連続的でない場合も含まれ得る。
【0022】
本開示の様々な実施形態を説明する際に、「第1~」、「第2~」などを様々な構成要素を説明するために使用することがあるが、これらの用語は、同じ類似の構成要素間で区別するために使用だけである。したがって、本開示において「第1~」として修飾される構成要素は、特に断りのない限り、本開示の技術的思想内で「第2~」と修飾される構成要素と同じであり得る。
【0023】
本開示の様々な実施形態の各々の特徴は、部分的にまたは全体的に互いに結合または組み合わせ可能であり、技術的に様々な連動および駆動が可能であり、各様々な実施形態は互いに独立して実施可能であり、関連して一緒に実施可能であり得る。
【0024】
以下、図面を参照して本開示の発光表示装置及びその製造方法について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による発光表示装置を概略的に示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、本発明の一実施形態による発光表示装置1000は、表示パネル11、映像処理部12、タイミング制御部13、データ駆動部14、スキャン駆動部15、電源部16を含むことがある。
【0027】
表示パネル11は、データ駆動部14から供給されたデータ信号DATA、スキャン駆動部15から供給されたスキャン信号、及び電源供給部16から供給された電源に対応して映像を表示することがある。
【0028】
表示パネル11は、複数のゲート線GLと複数のデータ線DLとの交差領域ごとに配置されたサブ画素SPを含むことがある。サブ画素SPの構造は、発光表示装置1000の種類に応じて多様に変更することがある。
【0029】
例えば、サブ画素SPは、構造に応じて上部発光(top emission)方式、下部発光(bottom emission)方式、または両面発光(dual emission)方式で形成することがある。サブ画素SPは、特定の種類のカラーフィルタが形成されるか、カラーフィルタが形成されずにそれ自体の色を発光する単位を意味する。例えば、サブ画素SPは、赤色サブ画素、緑色サブ画素および青色サブ画素を含むことがある。あるいは、サブ画素SPは、一例として、赤色サブ画素、青色サブ画素、白色サブ画素および緑色サブ画素を含むことがある。サブ画素SPは、発光特性に応じて1つ以上の他の発光面積を有することがある。例えば、青色サブ画素とは異なる色を発光するサブ画素は、異なる発光面積を有することがある。
【0030】
1つ以上のサブ画素SPは1つの単位画素(pixel)を形成することがある。例えば、1つの単位画素は赤、緑、青のサブ画素を含み、赤、緑、青のサブ画素を繰り返し配置することがある。あるいは、1つの単位画素は赤、緑、青および白のサブ画素を含み、赤、緑、青および白のサブ画素が繰り返し配置されるか、または赤、緑、青および白のサブ画素がクワッド(quad)タイプとして配置することがある。本開示による実施形態におけるサブ画素のカラータイプ、配置タイプ、配置順序などは、発光特性、素子の寿命、装置の仕様(spec)等に応じて様々な形態で構成されるが、それらに限定されない。
【0031】
表示パネル11は、サブ画素SPが配置されて映像を表示する表示領域(AA:点線領域の内)と表示領域AA周辺の非表示領域NAとに区分することがある。スキャン駆動部15は、表示パネル11の非表示領域NAに実装されることがある。また、非表示領域NAには、パッド電極PDを含むパッド部PADを含むことがある。
【0032】
ここで、表示領域AAはアクティブ領域と呼ばれ、非表示領域NAは非アクティブ領域とも呼ばれる。
【0033】
映像処理部12は、外部から供給されたデータ信号DATAと共にデータイネーブル信号DE等を出力することがある。映像処理部12は、データイネーブル信号DEの外にも垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号のうちの1つ以上を出力することがあるが、これらの信号は説明の便宜上その図は省略する。
【0034】
タイミング制御部13は、映像処理部12から駆動信号とともにデータ信号DATAを供給されることがある。駆動信号はデータイネーブル信号DEを含むことがある。あるいは、駆動信号は、垂直同期信号、水平同期信号およびクロック信号を含むことがある。タイミング制御部13は、駆動信号に基づいてデータ駆動部14の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DDCとスキャン駆動部15の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GDCを出力する。
【0035】
データ駆動部14は、タイミング制御部13から供給されたデータタイミング制御信号DDCに応答してタイミング制御部13から供給されるデータ信号DATAをサンプリングしてラッチしてガンマ基準電圧に変換して出力することがある。
【0036】
データ駆動部14は、データ線DLを介してデータ信号DATAを出力することがある。データ駆動部14は、IC(Integrated Circuit)の形態で具現することがある。例えば、データ駆動部14は、表示パネル11の非表示領域NAに配置されたパッド電極PDとフレキシブル回路フィルム(図示せず)を介して電気的に接続されることがある。
【0037】
スキャン駆動部15は、タイミング制御部13から供給されたゲートタイミング制御信号GDCに応答してスキャン信号を出力することがある。スキャン駆動部15は、ゲートラインGLを介してスキャン信号を出力することがある。スキャン駆動部15は、IC(Integrated Circuit)の形態で具現され、あるいは表示パネル11にゲートインパネル(Gate In Panel;GIP)方式で具現されることがある。
【0038】
電源部16は、表示パネル11を駆動するための高電位電圧、低電位電圧などを出力することがある。電源部16は、高電位電圧を第1電源ラインEVDD(駆動電源ラインまたは画素電源ライン)を介して表示パネル11に供給することがあり、低電位電圧を第2電源ラインEVSS(補助電源線または共通電源線)を介して表示パネル11に供給することがある。
【0039】
表示パネル11は、表示領域AAと非表示領域NAとに区分され、表示領域AA内で互いに交差してマトリクス状に形成されるゲート線GLとデータ線DLにより定義される複数のサブ画素SPを含むことがある。
【0040】
サブ画素SPは、赤色(red)光、緑色(green)光、青色(blue)光、黄色(yellow)光、マゼンタ(magenta)光、シアン(cyan)光のうち少なくとも2つ以上の光を放出するサブピクセルを含むことがある。また、複数のサブ画素SPは、特定の種類のカラーフィルタが形成され、あるいはカラーフィルタが形成されずに自身の色を発光することがある。しかし、本発明は必ずしもこれに限定されるわけではなく、サブ画素SPは、カラータイプ、配置タイプ並びに配置順序等は、発光特性、素子の寿命及び装置のスペック等によって様々な形態で構成されることがある。
【0041】
サブ画素SPのそれぞれは、光が出る発光部と発光部周辺の非発光部とを含むことがある。
【0042】
以下、表示領域の発光部と非発光部の構成について図面を参照して説明する。
【0043】
図2は本発明の一実施形態による発光表示装置を示す断面図である。
【0044】
図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る発光表示装置は、基板100上に互いに離隔した複数のアノード210と、複数のアノードのうち隣接するアノードとの間に位置する補助電極205と、複数のアノードの発光部EMを露出し、補助電極の一部を露出するバンクホールLOPを有するバンク150と、バンクホールLOPを囲むバンク側面及びバンクホールLOP周辺のバンク150上に備えられたバンク保護パターンPPと、発光部EM及びバンク150上に備えられた中間層220及びバンクホールLOPの内に補助電極205と、接続されたカソード230を含む。
【0045】
各発光部EMに積層されたアノード210、中間層220及びカソード230は、発光素子EDをなす。
【0046】
アノード210は、各発光部EM毎に備えられ、下部の薄膜トランジスタTFTと接続され、駆動信号を印加されて発光部EM別に区分されて動作することがある。カソード230は、発光部EMにわたって連続的に形成される。本発明の発光表示装置のカソード230は、非表示領域NAで電源供給部(
図1の16)に接続され、非表示領域NAに備えられた共通電源線または補助電源線に接続されて電気的信号を印加するだけでなく、表示領域AAの内でもバンク150と重畳された領域に備えられた補助電極205と接続され、共通電圧または低電位電圧を印加することがある。したがって、大面積化した発光表示装置において電源部から離れるほど輝度ムラが発生する現象を防止し、表示領域AA全体で輝度を均一に調整することがある。
【0047】
バンク150とアノード210との非重畳部分は発光部EMと定義される。また、バンク150は内部にバンクホールLOPを備え、補助電極205を露出させて、カソード230はバンクホールLOPを介して入って補助電極205と接続される。ここで、バンクホールLOPを囲むバンク150の側面BLS及びバンク150の上面BTSは直接カソード230と接続されず、保護パターンPPが位置してバンク150露出によるアウトギャッシングによる影響を防ぐことがある。
【0048】
バンク150は有機絶縁材料からなり、一定の高さを有することがある。バンク150は、約1μm~5μmの高さを有し、発光部EMの間に位置してバンク150の高さの差で領域を区分することがある。
【0049】
バンク150は、例えば、ポリイミド(polyimide)、ポリアミド(polyamide)、アクリレート系樹脂(acrylate)などの有機物のうちの少なくとも1つの材料からなることがある。本発明の発光表示装置において、バンク150は有機物からなり、バンク150と重畳する補助電極205の露出がバンク150及び中間層OS形成後に行われるが、補助電極205の露出時に一緒に露出するバンク150の側面および/または上面にバンク保護パターンPPをさらに形成して、バンク露出後のエージングにより炭素系成分が放出されるアウトギャッシングが中間層OSに影響を与えることを防ぐことがある。
【0050】
発光素子EDの互いに対向するアノード210とカソード230との間に位置する中間層220は、少なくとも1つの発光層と少なくとも1つの共通層とを含むスタックの構成を有する。一例として中間層220をなすスタックは、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含むことがある。別の例では、中間層220は複数のスタックを含み、スタックとスタックとの間に電荷生成層を含むことがある。そして、個々のスタックは正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含むことがある。
【0051】
中間層220に含まれる発光層は、発光部EM別に異なる色を発光する発光層を含むことがある。あるいは、他の例として、中間層220に含まれる発光層は、異なる色を発光する発光層が重なって含まれることがある。中間層220に異なる色を発光する発光層を含む場合、発光表示装置は、出射側にカラーフィルタをさらに備えて色を表現してもよい。
【0052】
本発明の発光表示装置において、中間層220は、バンク150と重なる領域でバンク保護パターンPPによって囲まれることで、バンク150と直接接しなくなり、それにより、補助電極205とカソード230との接続のためにバンク150内にバンクホールLOPを形成するときに露出するバンクの側面からのアウトギャッシングが中間層220に影響を及ぼすことを防止することができる。
【0053】
一方、バンク保護パターンPPは、バンク150の上面BTS上に位置する第1保護パターン215と、バンクホールLOPを囲むバンク側面BLS及びバンク上の中間層220の上面および側面にわたって形成された第2の保護パターン225を含むことがある。
【0054】
第1保護パターン215および第2保護パターン225は、バンク150の上面BTSと重なり、中間層220の下部および上部に位置することがある。
【0055】
バンク保護パターンPPは、第1保護パターン215と第2保護パターン225の両方を備えるか、あるいは一部のみを備えてよい。一方のみを備える場合でも、バンクホールLOPの形成時に発生するバンク150の変形による中間層220及びカソード230を保護することができる。バンク保護パターンPPのうち少なくともバンクホールLOPの側面に備えられた第2保護パターン225を含むことは、バンク150変形による中間層220の保護により効果的であり得る。
【0056】
バンク保護パターンPPは、例えば、バンク150の上面BTS及び側面BLSに位置して中間層220及びカソード230を保護するものであり、炭素化合物からなるアウトギャッシングに対する保護特性を有する無機絶縁材料からなることがある。例えば、バンク保護パターンPPは、シリコン窒化膜(SiNx)、シリコン酸化膜(SiOx)、シリコン酸化窒化膜(SiOxNy)、アルミニウム酸化膜(Al2O3)などの材料で形成することがある。バンク保護パターンPPの第1保護パターン215および第2保護パターン225は、無機絶縁物質の群で同種であっても異なる物質であってもよい。また、バンク保護パターンPPは、カソード230と接触部分での電気的影響を防止するために無機絶縁材料で形成することが好ましい。
【0057】
一方、発光表示装置は近年、極寒または極暑の屋外環境で利用される用途に適用があるため、屋外環境における紫外線に対する発光表示装置の内部保護のためにバンク保護パターンPPに紫外線遮蔽物質を含むことがある。例えば、バンク保護パターンPPは、亜鉛(zinc)、シリコン(silicone)、チタン(titanium)およびタンタル(tantalum)のうちの少なくとも1つを含む酸化膜または窒化膜であり得る。このような紫外線遮蔽成分を含むバンク保護パターンPPは、バンク150と重なる領域で内部中間層220を囲んでおり、紫外線に対するバンク150の変形を防止し、バンクのアウトギャッシングを防止することによって中間層220を安定化することがある。
【0058】
互いに異なる工程で形成された第1保護パターン215と第2保護パターン225とが、バンクホールLOPを囲むバンク側面BLSとバンクの上面BTSとが接する部分で互いに合うことがある。
【0059】
一方、本発明の発光表示装置では、補助電極205はアノード210と同一層に位置することがある。また、補助電極205は、アノード210と同一物質で形成することがある。したがって、補助電極205とアノード210を同一工程で形成することができ、カソード230の表示領域AA内の接続構造に別途金属をさらに用いる必要がなく、補助電極205を材料の追加やマスクは追加されない。したがって、本発明の発光表示装置は、補助電極205が非発光部に位置することで、補助電極205を備えるために発光部が占める領域を調整する必要がなく、開口率を維持し、発光表示装置全体の輝度を改善することができる。
【0060】
発光素子EDのカソード230上には、発光素子EDの保護および出光効果を高めるためにキャッピング層をさらに含むことがある。また、発光素子EDの上部には封止層300がさらに備えられ、外部からの外気及び水分に対して発光素子EDを保護することができる。
【0061】
アノード210と接続された薄膜トランジスタ(TFT)について説明する。
【0062】
薄膜トランジスタ(TFT)は、半導体層103、半導体層103のチャネルとゲート絶縁膜107を介して重畳したゲート電極104、半導体層103の両側とそれぞれ接続したソース電極105およびドレイン電極106を含むことがある。薄膜トランジスタTFTのドレイン電極106は、発光素子EDのアノード210と平坦化膜108及び保護膜109を貫通する第1コンタクトホールCT1を介して接続することがある。
【0063】
場合によっては、薄膜トランジスタ(TFT)のソース電極105がアノード210と接続されていることがある。
【0064】
そして、半導体層103の下側には、基板100の下部から基板100に入射した光によって半導体層103が影響を受けることを防止するために遮光層101がさらに設けられることがある。
【0065】
遮光層101と半導体層103との間にはバッファ層102が設けられ、バッファ層102は遮光層101を覆って基板100上の全ての領域に設けられることがある。
【0066】
半導体層103は、酸化物半導体、非晶質シリコン、結晶質シリコンのうち少なくとも1つを含むことがある。
【0067】
図示の薄膜トランジスタ(TFT)の一例は、一例として、ゲート電極104と、ソース電極105とドレイン電極106とが同一平面にあるコプラナー(coplanar)構造を示したものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、薄膜トランジスタは、ゲート電極が半導体層の下部に位置するボトムゲートであってもよく、ゲート電極が半導体層の上部にあるトップゲートであってもよい。また、薄膜トランジスタのゲート電極とソース電極とドレイン電極とは異なる平面、すなわち異なる層に位置することがある。
【0068】
場合によっては、半導体層103は、ソース電極105およびドレイン電極106と接続する部分に導電層をさらに含むことがある。
【0069】
平坦化膜108は、平坦性のために設けられるものであり、例えば、フォトアクリル(photo acryl)、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブチン系樹脂(Benzo cyclobuteneresin)及びアクリレート系樹脂(acrylate)等の有機物少なくとも1つの材料からなることがある。
【0070】
平坦化膜108の平坦な上面にアノード210及び補助電極205をそれぞれ接して形成することがある。
【0071】
アノード210(ピクセル電極または第1電極)および補助電極205は、金属、その合金、金属と酸化物金属の組み合わせで形成することがある。例えば、アノード210及び補助電極205は、上部発光方式の場合、透明導電膜及び反射効率の高い不透明導電膜を含む多層構造で形成することがある。アノード210及び補助電極205の透明導電膜としては、インジウム-チン-オキシド(Indium Tin Oxide;ITO)やインジウム-ジンク-オキシド(Indium Zinc Oxide;IZO)のようなの仕事関数値が比較的に大きい材質からなり、不透明導電膜としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)又はタングステン(W)のうちの一種か、またはそれらの合金の単層または多層からなることがある。例えば、アノード210は、透明導電膜、不透明導電膜および透明導電膜が順次積層された構造で形成されてもよいし、透明導電膜および不透明導電膜が順次積層された構造で形成されることがある。場合によっては、アノード210が多層膜である場合、補助電極205は多層膜のうち一部の膜のみで形成されることがある。補助電極205はカソード230と直接接続される構成であり、補助電極205は導電率の高い不透明導電膜または反射電極のみからなることがある。
【0072】
カソード230は、インジウム-チン-オキシド(Indium Tin Oxide;ITO)又はインジウム-ジンク-オキシド(Indio-Zinc Oxide(IZO)のような透明導電材料から構成されることがあり、又は光が透過あるほど薄い厚さ有する銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)またはそれらの少なくともいずれかを含む合金からなることがある。
【0073】
図2に示すように、補助電極205は、薄膜トランジスタTFTの少なくとも1つの電極と同一層に形成される共通電源線VSSLと平坦化膜108及び保護膜109を貫通した第2コンタクトホールCT2を介して接続することがある。
【0074】
共通電源線VSSLは、基板100の非表示領域NAまで延びて電源部に接続され、低電位電圧の供給を受けることがある。
【0075】
基板100から発光素子EDの全ての平坦化膜108までの構成は、薄膜トランジスタを含む点で薄膜トランジスタアレイ基板800と呼ばれることもある。
図2は発光部EDごとに単一の薄膜トランジスタTFTのみを示しているが、本発明の発光表示装置はこれに限らず、回路駆動のためにサブ画素毎に複数の薄膜トランジスタと少なくとも一つのキャパシタとを含むことがある。薄膜トランジスタアレイ基板800は、サブ画素ごとに備えられた複数の薄膜トランジスタ及びキャパシタを含む。
【0076】
薄膜トランジスタアレイ基板800内の遮光層101と半導体層103との間のバッファ層102、ゲート絶縁膜107、保護膜109は無機絶縁層で形成することがある。無機絶縁層の例としては、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、金属酸化膜などを含むことがある。
【0077】
平坦化膜108は有機絶縁物質からなり、一例としてフォトアクリル(photo acryl)、ポリイミド(polyimide)、ベンゾシクロブチン系樹脂(benzo cyclobutene resin)、アクリレート系樹脂(acrylate)などの有機物のうち少なくとも1つの材料からなることがある。
【0078】
発光素子EDは、薄膜トランジスタアレイ基板800上に備えられることがある。
【0079】
本発明の発光表示装置において、アノード210の発光部EMの定義のためのバンク150の形成と、バンク150と重なった補助電極205の一部を露出するためのバンクホールLOPの形成は、同時に行ってもよいし、他の工程で形成してもよい。バンク150の形成とバンクホールLOPの形成とが異なる工程で形成する構造については、方法と共に後述する。
【0080】
バンク保護パターンPPの第1保護パターン215は、バンクホールLOP形成前のバンクの上面BTSに沿って設けられ、バンクの上面BTSと接する。そして、バンク保護パターンPPの第2保護パターン225は、中間層220の形成後、バンクホールLOPに対応するバンク150の高さを除去した後に形成される。第2保護パターン225は、中間層220の上面及び側面と共にバンクホールLOPを囲むバンク150の側面BLSに接して形成される。
【0081】
図3は本発明の第1実施形態に係る発光表示装置を示す平面図である。
【0082】
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る発光表示装置1000は、互いに異なる色を発光する第1~第3発光部EM1、EM2、EM3を含み、互いに隣接する同一色を発光する発光部EM1の間にバンク保護パターンPPを備えることがある。
【0083】
発光部EM1、EM2、EM3は、例えば、青、緑、赤を発光する発光部であってもよい。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1~第3の発光部EM1、EM2、EM3が組み合わせて白色を発光することができれば、他の色の発光部の組み合わせでもよい。他の例として、第1~第3発光部EM1、EM2、EM3は、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー発光部であることがある。
【0084】
一方、発光部EM1、EM2、EM3は、互いに同じサイズであっても異なるサイズであってもよい。
図3に示す例は、第1の発光部EM1が最も大きく、第2、第3の発光部EM2、EM3が第1の発光部EM1よりも小さいサイズで、1つの第1の発光部EM1と第2、第3発光部EM2、EM3とが隣接した形態を示す。同一面積で発光効率の低い色発光部を第1発光部EM1とし、発光表示装置1000で大きな面積を占め、第1発光部EM1と第2、第3発光部EM2、EM3との間の相対効率差を補償することがある。
【0085】
第1~第3発光部EM1、EM2、EM3には、それぞれ第1~第3アノード210a、210b、210cが備えられることがある。第1~第3のアノード210a、210b、210cは、各発光部EM1、EM2、EM3の全体と発光部の一番端とから延びて非発光部のバンク150と一部重なる。このとき、第1~第3アノード210a、210b、210cは互いに離隔しており、
図2で説明した下側の薄膜トランジスタ(TFT)と接続され、それぞれ独立に駆動される。
【0086】
一方、
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る発光表示装置1000は、補助電極205とカソード230との接続部分CTAを、同一色を有する発光部EM1間に備えた例を示したものである。これは一例であり、本発明の発光表示装置はこれに限らず、異なる色を有する発光部の間にも設けることがある。また、第1発光部EM1の間に加えて、第2発光部EM2間または/および第3発光部EM3の間にも補助電極205とカソード230との接続を有することがある。
【0087】
バンクホールLOPは補助電極205の一部を露出しており、バンクホールLOP周辺のバンク150の側面及び上面にはバンク保護パターンPPが位置してバンクホールLOP形成時バンク露出によるアウトギャッシングが中間層220およびカソード230に伝達されるのを防止する。
【0088】
バンク保護パターンPPの端部は、
図2および
図3に示すように、バンクホールLOPの周りのバンク150を完全に保護するために、発光部EM1、EM2、EM3の縁部に位置するアノード210:210a、210b、210cと接触することがある。
【0089】
図3の隣接する同一色を発光する第1発光部EM1の一部とその間を通るI~I’線上の領域は、
図2に示す領域に対応することがある。
【0090】
しかし、本発明の発光表示装置はこれに限定されない。以下に説明する他の色を発光する発光部間にも、バンクホールおよびバンクホール周辺のバンク保護パターンを形成することがある。
【0091】
図4は、本発明の第2実施形態に係る発光表示装置を示す平面図である。
【0092】
図4に示すように、本発明の第2実施形態に係る発光表示装置2000は、隣り合う第1発光部EM1と第2発光部EM2との間及び第1発光部EM1と、第3発光部EM3の間にバンクホールLOP及びバンクホールLOPの周辺バンク350の上面及び側面にバンク保護パターンPPを備える。
【0093】
図2のように、バンクホールLOPから中間層220が除去されるので、本発明の第2実施形態に係る発光表示装置2000は、第1発光部EM1と第2発光部EM2との間及び第1発光部EM1と第3発光部EM3との間に中間層220の不連続が発生する。したがって、共通層を備えることにより中間層220の不連続が生成され、隣接する第1発光部EM1と第2発光部EM2との間及び第1発光部EM1と第3発光部EM3との間共通層は互いに区別され、共通層に起因する漏れ電流を防止することができる。
【0094】
例えば、第1発光部EM1が青色発光部、第2発光部EM2が緑色発光部、第3発光部EM3が赤色発光部である場合、第1発光部EM1が高いターンオン電圧を有し、第2、第3発光部EM2、EM3が低いターンオン電圧を有する時に、第1発光部EM1の選択的なターンオン状態において、オフ状態の第2、第3発光部EM2、EM3が弱く漏れ発光する色漏れが発生する可能性がある。このような色漏れは、第1~第3発光部EM1、EM2、EM3で、移動度が大きい共通層によって顕著となる可能性がある。本発明の第2実施形態に係る発光表示装置2000は、バンク350のうちバンクホールLOPを、異なる色を発光する第1発光部EM1と第2発光部EM2との間及び第1発光部EM1と第3発光部EM3との間に位置させ、バンクホールLOP形成時にバンク150の除去とともにバンクホールLOPに対応した中間層220を一緒に除去して、水平に流れる漏れ電流の原因を取り除く。したがって、本発明の第2実施形態に係る発光表示装置2000は補助電極205とカソード230との接続による表示領域AAにおける輝度ムラを解決するだけでなく、隣接する発光部の間の側部リーク電流も防ぐことができる。
【0095】
本発明の第2実施形態に係る発光表示装置2000は、隣接する色発光部間の中間層パターン化が可能であり、隣接する色発光部間のリーク電流を防止することがある。
【0096】
以下、本発明の発光表示装置の製造方法について説明する。
【0097】
図5A~
図5Eは、本発明の発光表示装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0098】
まず、
図2で説明した基板100上に薄膜トランジスタTFTを含む薄膜トランジスタアレイ基板800を形成する。
【0099】
薄膜トランジスタアレイ基板800上の最上面は平坦化膜(
図2の108参照)であることがある。
【0100】
図5Aに示すように、薄膜トランジスタアレイ基板800上に互いに離隔した複数のアノード210と、複数のアノードのうち隣り合うアノードとの間に補助電極205を形成する。アノード210と補助電極205は、反射効率の高い不透明導電膜をパターニングして形成することがある。あるいは、アノード210と補助電極205を多層構造に形成する場合、透明導電膜および反射効率の高い不透明導電膜を含む多層構造に形成することがある。アノード210及び補助電極205の透明導電膜としては、インジウム-チン-オキシド(IndiumTinOxide;ITO)やインジウム-ジンク-オキシド(IndiumZincOxide;IZO)等の仕事関数値が比較的大きい材質からなり、不透明導電膜としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、又はタングステン(W)からなる群から選択されるいずれか、またはそれらの合金の単層または多層からなることがある。例えば、アノード210は、透明導電膜、不透明導電膜および透明導電膜が順次積層された構造で形成されるか、透明導電膜および不透明導電膜が順次積層された構造で形成されることがある。
【0101】
場合によっては、アノード210が多層膜である場合、補助電極205は多層膜のうち一部の膜のみで形成されることがある。補助電極205はカソード230と直接接続される構成であり、補助電極205は導電率の高い不透明導電膜または反射電極のみからなることがある。
【0102】
続いて、補助電極205全体を覆い、縁部分が隣接するアノード210の一番端と重なり、アノード210の発光部EMを露出するバンク膜150Aを形成する。
【0103】
バンク膜150Aを露出する第1開口部OP1を有し、アノード210の発光部に対応して遮光部SH1を有するマスク400を薄膜トランジスタアレイ基板800上に対応させて、バンク膜150Aの上面BTSに保護パターン材料を蒸着して、第1保護パターン膜215Aを形成する。この場合、第1保護パターン膜215Aはバンク膜150Aの表面を覆うものであり、その後形成される中間層220がバンク膜150Aと直接接することを防止して、バンク膜150Aの選択的な除去過程におけるバンク膜150Aの露出によるアウトギャッシング発生の影響を防止する。
【0104】
続いて、
図5bのように、発光部EMと非発光部NEMに連続した中間物質層220Aを形成する。中間物質層220Aはアノード210の発光部EMと接し、バンク膜150Aと重なる領域には第1保護パターン膜215Aと接する。
【0105】
中間物質層220Aは少なくとも1つのスタックを含み、スタックは少なくとも1つの発光層および少なくとも1つの共通層を含む。共通層はオープンマスクで形成され、中間物質層220Aの少なくとも共通層は発光部EMだけでなく非発光部NEMにも設けられる。中間物質層220Aに含まれる発光層も、場合によっては、発光部EMと非発光部NEMの両方に設けられる。
【0106】
続いて、
図5cのように、補助電極205の一部を露出するように中間層220A、第1保護パターン膜215A及びバンク膜150Aを除去してバンクホールLOPを有するバンク150を形成する。このような除去過程は、例えば、レーザ照射により行うことがある。
【0107】
そして、バンク150において、バンクホールLOPを形成した後、バンクホールLOPを囲むバンクの側面BLSを露出されることがある。そして、中間物質層は、バンクホールLOP対応部分が除去され、隣接発光部間に不連続を有する中間層220で形成される。
【0108】
続いて、
図5Dに示すように、発光部EMに対応して第1遮光部SH2を有し、バンクホールLOPに対応した第2遮光部SH3を有し、露出したバンク150に対応して第2開口部OP2を有する第2マスク410を薄膜トランジスタアレイ基板800上に対応させた後、第2開口部OP2を介して保護パターン物質を蒸着して第2保護パターン225を形成する。
【0109】
ここで、第2保護パターン225は、バンク150と重なる中間層220の上面およびバンクホールLOPを囲む中間層220の側面およびバンク側面BLSに形成される。
【0110】
次に、
図5Eと同様に、中間層220上にカソード230(第2電極または共通電極)を形成する。
【0111】
カソード230はオープンマスクで形成され、発光部EM上には中間層220と接して位置し、バンクホールLOPでは補助電極205と直接接する。
【0112】
そして、バンクホールLOP周辺バンク側面BLS及びバンク上面BTSとは第2保護パターン225により直接バンク150と接することなく離隔され、バンクが
図5Cの過程でレーザ照射で変形が発生してアウトギャッシングが発生しても、第2の保護パターン225がそれを遮断して中間層220および保護パターン225を保護する。
【0113】
発光部EMで積層されたアノード210、中間層22及びカソード230は発光素子EDをなす。
【0114】
そして、発光素子EM上には保護のために封止層300が備えられる。
【0115】
封止層300は、例えば、無機封止膜と有機封止膜とが交番に形成することがある。
【0116】
本発明の発光表示装置は、バンクと重なる補助電極を備え、補助電極上の構成をカソード形成前に除去する工程を通じて補助電極の一部を露出させ、カソードと補助電極とを直接接続させる。したがって、アクティブ領域(表示領域)にカソードと補助電極が接続される部分を備えることにより、カソードの電圧均一性を向上させて輝度低減を防止することができる。
【0117】
また、本発明の発光表示装置は、補助電極を露出させるために形成されたバンクホール内のバンクホールを囲むバンク側面およびバンク上にバンク保護パターンを形成し、バンク露出によるアウトギャップを防止することがある。
【0118】
そして、本発明の発光表示装置は、中間層形成前のバンクの上面及び側面をバンク保護パターンで覆い、その後形成する中間層がバンク層と直接接続されることを防止し、露出によるバンクの劣化を防止するとともに、中間層とバンクの非接触状態を維持し、バンクアウトギャッシングによる中間層ダメージを防止することができる。これにより、アウトギャッシングによる影響によってサブ画素の発光部が縮小することを防止し、発光表示装置の信頼性を向上させることができる。
【0119】
本発明の発光表示装置において、バンク保護パターンは、表示装置分野で用いられる透明無機絶縁膜を用いることができ、別途物質を追加することなく信頼性を有する発光表示装置の製造が可能である。これは環境にやさしい、低電力およびプロセス最適化の利点でESG(Environment/Social/Governance)効果を有する。
【0120】
また、本発明の発光表示装置は、異なる色を発光する発光部間にバンクホールを備えた場合、バンクホールを形成する過程で、中間層をバンクホールから除去し、隣接する色発光部間の中間層パターン化が可能であって、隣接する色発光部間のリーク電流を防止することができる。
【0121】
本発明の一実施形態に係る発光表示装置は、基板上に互いに離隔した複数のアノードと、複数のアノードのうち隣り合うアノード同士の間に位置する補助電極と、複数のアノードの発光部とを露出するバンクホールを有するバンクと、バンクホールを囲むバンク側面及びバンクホール周辺のバンク上に備えられたバンク保護パターンと、発光部及びバンク上に備えられた中間層及びバンクホール内に補助電極と接続したカソードを含むことがある。
【0122】
バンク保護パターンは、バンクホール周辺のバンクの上面に接する第1保護パターンと、バンク上の中間層とバンクホールを囲むバンク側面と接する第2保護パターンとを含むことがある。
【0123】
第1保護パターンと第2保護パターンは、バンクホールを囲むバンク側面とバンクの上面が接する部分で互いに合うことがある。
【0124】
第1保護パターンおよび第2保護パターンは、バンクの上面と重なって中間層の下部および上部に位置することがある。
【0125】
バンク保護パターンは無機絶縁膜であることがある。
【0126】
バンク保護パターンは紫外線遮蔽成分を含むことがある。
【0127】
補助電極上の中間層の縁部は、バンクホールを囲むバンク上に配置することがある。
【0128】
バンクと重なった中間層は、バンク保護パターンによって囲まれてもよい。
【0129】
複数のアノードと補助電極は同じ層に配置することがある。
【0130】
カソードとバンクが互いに重畳する部分で、カソードとバンクの間にバンク保護パターンを挟んで配置することがある。
【0131】
本発明の一実施形態に係る発光表示装置の製造方法は、基板上に互いに離隔した複数の陽極を形成する第1工程と、複数の陽極のうち隣接する陽極との間に補助電極を形成する第2工程と、複数のアノードの発光部を露出するバンクを形成する第3工程と、バンク上に第1保護パターンを形成する第4工程と、第1保護パターンと重なる中間層及びカソードを形成する第5工程を含むことがある。
【0132】
第5工程は、中間層形成後、補助電極の一部を露出するように中間層、第1保護パターン及びバンクを除去してバンクホールを形成する工程と、バンクホールを囲むバンクの側面及び中間層の側面とバンクと重畳する中間層上に第2保護パターンを形成する工程と、バンクホール内で補助電極と接続し、バンク上で第2保護パターンと重畳し、中間層上にカソードを形成する工程を含むことがある。
【0133】
一方、以上で説明した本発明は上述した実施例及び添付図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で種々の置換、変形及び変更が可能であることは、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者にとって明らかであろう。
【符号の説明】
【0134】
100基板
101遮光層
102バッファ層
103半導体層
104ゲート電極
105ソース電極
106ドレイン電極
107ゲート絶縁膜
108平坦化膜
109保護膜
150バンク
205補助電極
210アノード
215第1保護パターン
220中間層
225第2の保護パターン
230カソード
PP保護パターン
EM発光部
LOPバンクホール
300封止層
ED発光素子
800薄膜トランジスタアレイ基板
1000、2000発光表示装置