(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108127
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】カイラル磁性ナノコイル及びその合成方法
(51)【国際特許分類】
C25D 1/04 20060101AFI20240802BHJP
C25D 1/02 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
C25D1/04
C25D1/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023219797
(22)【出願日】2023-12-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0011456
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】314000442
【氏名又は名称】高麗大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145, Anam-ro Seongbuk-gu Seoul 02841, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 永根
(72)【発明者】
【氏名】全 柔常
(72)【発明者】
【氏名】鄭 銀珍
(72)【発明者】
【氏名】劉 成鍾
(72)【発明者】
【氏名】南 沂兌
(72)【発明者】
【氏名】任 祥源
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、電気めっき法を用いてカイラル磁性ナノコイルを合成し、当該素材のコイル形状に基づいて、ナノスケールでファラデーの電磁誘導の法則のように外部磁場に強く反応して電場を発電させることができるようにする磁性ナノセンサを作製するのに利用できる技術を提供する。
【解決手段】一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルを合成する方法は、外部電場を印加して、金属イオンからなる一次粒子を生成するステップと、前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップと、前記結合されたカイラル分子によって、次の一次粒子の組立方向を調節するステップとを含むことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電場を印加して、金属イオンで生成された一次粒子と、
前記生成された一次粒子の表面に結合されたカイラル分子とを含み、
前記結合されたカイラル分子は、次の一次粒子の組立方向、及び他の形状化分子の方向性を調節することを特徴とする、カイラル磁性ナノコイル。
【請求項2】
前記外部電場の強度、金属イオン前駆体及び添加剤の濃度、または前記カイラル分子の濃度のうちの少なくとも1つを調節して前記カイラル分子の影響力を調節することを特徴とする、請求項1に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項3】
シンコニンを第1方向のカイラル誘導体として結合して、前記生成された一次粒子の表面に前記カイラル分子を結合することを特徴とする、請求項1に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項4】
選定された範囲内の濃度でC19H22N2O・1/2H2SO4を第1方向のカイラル誘導体として結合して、前記シンコニンを第1方向のカイラル誘導体として結合することを特徴とする、請求項3に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項5】
シンコニジンを前記第1方向と反対方向である第2方向のカイラル誘導体として結合して、前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合することを特徴とする、請求項3に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項6】
選定された範囲内の濃度でC19H22N2Oを第2方向のカイラル誘導体として結合して、前記シンコニジンを第2方向のカイラル誘導体として結合することを特徴とする、請求項5に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項7】
AAO(Anodic Aluminum Oxide)テンプレートの体積比率及び金属イオンの濃度を考慮して、カイラル誘導体の濃度が設計されることを特徴とする、請求項6に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項8】
前記AAOテンプレートが直径70~300nm、高さ10~100μmの範囲内であるとき、前駆体溶液中の金属イオンとカイラル誘導体の濃度を選定された比率通りに調節して合成されることを特徴とする、請求項7に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項9】
ナノ気孔一つの大きさが直径200nm、高さ60μmであるAAOテンプレートを基準として、金属イオンの濃度が50~200mMであるとき、[コイルモディファイア(helical modifier)]:[カイラルモディファイア(chiral modifier)]=60~80mM:5~50μM(1200~16000:1)の範囲で前記第1方向又は前記第2方向のカイラル誘導体の濃度が設計されることを特徴とする、請求項7に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項10】
第1方向のカイラル誘導体又は第2方向のカイラル誘導体を、金属前駆体及び少なくとも1つ以上の添加剤が含まれた溶液に添加した後、少量の酸(acid)を添加して溶液のpHを1.0~3.0に調節し、ナノ気孔鋳型に充填及び電着させて、前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合することを特徴とする、請求項1に記載のカイラル磁性ナノコイル。
【請求項11】
外部電場を印加して、金属イオンからなる一次粒子を生成するステップと、
前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップと、
前記結合されたカイラル分子によって、次の一次粒子の組立方向を調節するステップ、またはカイラル分子が他の形状化分子の方向性を調節するステップとを含む、カイラル磁性ナノコイルを合成する方法。
【請求項12】
請求項1に記載のカイラル磁性ナノコイルを含む、ナノ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2023年01月30日付の韓国特許出願第10-2023-0011456号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気めっき法を用いてカイラル磁性ナノコイルを合成し、当該素材のコイル形状に基づいて、ナノスケールでファラデー(Faraday)の電磁誘導の法則のように外部磁場に強く反応して電場を発電させることができるようにする磁性ナノセンサを作製するのに利用できる技術に関する。
【背景技術】
【0003】
カイラル性(chirality)とは、回転又は平行移動で重ならない鏡像対称構造を有する物質の性質をいう。
【0004】
このような性質をナノ素材に融合させると、新たな物理、化学及び光学的特性が発現され、触媒、センサ、生化学、スピントロニクスなど、様々な分野への応用が可能である。
【0005】
特に、磁気的性質を有するカイラル金属ナノ素材は、外部磁場に反応するという点でその効用価値が高い。
【0006】
しかし、現在、磁性を帯びる金属無機ナノ素材にカイラル性まで付与する技術は、製造方法の複雑性、安定性及び効率性の面で限界に突き当たってきた。
【0007】
そのため、このような問題を解決できる素材の合成方法と、さらに、当該素材が実際にナノスケールで外部磁場下にカイラル磁気効果(chiral magnetic effect)を発現させることができるかを確認する技術が必要である。
【0008】
従来は、既存のカイラルナノ素材を合成するにおいて、様々な素材への適用が、非常に難しい問題として認識されている。特に磁性特性を帯びている3d遷移金属素材をベースとしたカイラルナノ素材の合成方法は、さらに制限的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1916588号、“金属ナノスプリング及びその製造方法”
【特許文献2】韓国登録特許第10-1711888号、“金属ナノチューブ及びその製造方法”
【特許文献3】韓国登録特許第10-1967213号、“磁性を有する多孔膜の製造方法”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、合成の利便性及び安定性が高いながらも、経済的でかつ環境に優しく、大容量合成に有利な電気めっき法(electrodeposition)を用いて、様々な素材への適用が可能なカイラル磁性ナノコイルの大量製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルを合成する方法は、外部電場を印加して、金属イオンからなる一次粒子を生成するステップと、前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップと、前記結合されたカイラル分子によって、次の一次粒子の組立方向を調節するステップとを含むことができる。
【0012】
一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルを合成する方法は、前記外部電場の強度、金属イオン前駆体及び添加剤の濃度、または前記カイラル分子の濃度のうちの少なくとも1つを調節して前記カイラル分子の影響力を調節するステップをさらに含むことができる。
【0013】
一実施例に係る前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップは、前記カイラル分子として、cinchonine(C19H22N2O・1/2H2SO4、以下、シンコニン)を第1方向のカイラル誘導体として結合するステップを含むことができる。
【0014】
一実施例に係る前記シンコニンを第1方向のカイラル誘導体として結合するステップは、選定された範囲内の濃度でC19H22N2O・1/2H2SO4を第1方向のカイラル誘導体として結合するステップを含むことができる。
【0015】
一実施例に係る前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップは、前記カイラル分子として、cinchonidine(C19H22N2O、以下、シンコニジン)を第2方向のカイラル誘導体として結合するステップを含むことができる。
【0016】
一実施例に係る前記シンコニジンを第2方向のカイラル誘導体として結合するステップは、選定された範囲内の濃度でC19H22N2Oを第2方向のカイラル誘導体として結合するステップを含むことができる。
【0017】
一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルを合成する方法は、ナノ気孔一つの大きさが直径200nm、高さ60μmであるAAOテンプレートを基準として、金属イオンの濃度が50~200mMであるとき、[helical modifier]:[chiral modifier]=60~80mM:5~50μM(1200~16000:1)の範囲で前記第1方向又は前記第2方向のカイラル誘導体の濃度が設計され得る。
【0018】
一実施例に係る前記生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するステップは、第1方向のカイラル誘導体又は第2方向のカイラル誘導体を、金属前駆体及び少なくとも1つ以上の添加剤が含まれた溶液に添加した後、少量の酸(acid)を添加して溶液のpHを1.0~3.0に調節し、ナノ気孔鋳型に充填して電着させるステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
一実施例によれば、合成の利便性及び安定性が高いながらも、経済的でかつ環境に優しく、大容量合成に有利な電気めっき法(electrodeposition)を用いて、様々な素材への適用が可能なカイラル磁性ナノコイルの大量製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法を説明する図である。
【
図2A】シンコニン、シンコニジンを添加して、それぞれ第1方向、第2方向のカイラル性を帯びるようになった磁性ナノコイルが、外部磁場の変化の下で互いに反対の電位を帯びて電磁誘導がなされていることを示す図である。
【
図2B】シンコニン、シンコニジンを添加して、それぞれ第1方向、第2方向のカイラル性を帯びるようになった磁性ナノコイルが、外部磁場の変化の下で互いに反対の電位を帯びて電磁誘導がなされていることを示す図である。
【
図2C】シンコニン、シンコニジンを添加して、それぞれ第1方向、第2方向のカイラル性を帯びるようになった磁性ナノコイルが、外部磁場の変化の下で互いに反対の電位を帯びて電磁誘導がなされていることを示す図である。
【
図2D】それぞれのカイラル分子を添加したときのナノコイルの走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【
図2E】電流密度及び添加剤の濃度の比率を調節した各条件でのカイラル偏向性を示す3軸マップ(map)を示す図である。
【
図2F】線形走査電流法(linear sweep amperometry、LSA)グラフの逆関数を1次微分した結果を示す図である。
【
図2G】それぞれのカイラル分子を添加したときのナノコイルの走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【
図2H】電流密度及び添加剤の濃度の比率を調節した各条件でのカイラル偏向性を示す3軸マップ(map)を示す図である。
【
図2I】線形走査電流法(linear sweep amperometry、LSA)グラフの逆関数を1次微分した結果を示す図である。
【
図3A】カイラル磁性ナノコイルの透過電子顕微鏡写真である。
【
図3B】カイラル磁性ナノコイルのX線回折分析スペクトルである。
【
図3C】カイラル磁性ナノコイルの一次粒子の高解像度透過電子顕微鏡写真である。
【
図3D】カイラル磁性ナノコイルの一次粒子の走査透過電子顕微鏡写真である。
【
図3E】カイラル磁性ナノコイルの電子回折パターンである。
【
図3F】カイラル磁性ナノコイルのカイラル分子を添加することによって一次粒子の大きさが減少することを示すグラフを含む。
【
図4】フーリエ変換赤外(Fourier transform infrared、FTIR)分光法、吸収端近傍X線吸収微細構造(near edge X-ray absorption fine structure、NEXAFS)分光法、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、XPS)の結果である。
【
図5】上述したシンコニン、シンコニジンが過剰添加されることによる走査電子顕微鏡写真及び高解像度透過電子顕微鏡写真、ヒートマップ及びヒートマップの色の比率、イオン還元抵抗のグラフ、及び外部磁場の変化下の電位差のグラフを示す図である。
【
図6】シンコニン/シンコニジンが素材に添加されたときにカイラルナノコイルが形成されるメカニズムを示す図である。
【
図7】第1方向及び第2方向のカイラル性を有するナノコイルが、様々な実験条件下で互いに反対方向の起電力信号を示すことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に開示されている本発明の概念による実施例についての特定の構造的又は機能的な説明は、単に本発明の概念による実施例を説明するための目的で例示されたものであって、本発明の概念による実施例は、様々な形態で実施可能であり、本明細書に説明された実施例に限定されない。
【0022】
本発明の概念による実施例は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、実施例を図面に例示し、本明細書で詳しく説明する。しかし、これは、本発明の概念による実施例を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる変更、均等物、または代替物を含む。
【0023】
「第1」又は「第2」などの用語は様々な構成要素を説明するのに 用いられるが用いられるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ、例えば、本発明の概念による権利範囲から逸脱しないまま、第1構成要素は第2構成要素と命名することができ、同様に、第2構成要素は第1構成要素と命名することができる。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか、「接続されて」いると言及された際には、その他の構成要素に直接的に連結又は接続されていることもあるが、その構成要素間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか、「直接接続されて」いると言及された際には、その構成要素間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならない。構成要素間の関係を説明する表現、例えば、「~間に」と「すぐ~間に」又は「~に直接隣接する」なども同様に解釈されなければならない。
【0025】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を示すものでない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないものと理解されなければならない。
【0026】
別に定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含めてここで用いられる全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されなければならず、本明細書で明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0027】
以下、実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、特許出願の範囲がこのような実施例によって制限又は限定されるものではない。各図面に提示された同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0028】
図1は、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法を説明する図である。
【0029】
本発明は、合成の利便性及び安定性が高いながらも、経済的でかつ環境に優しく、大容量合成に有利な電気めっき法(electrodeposition)を用いて、様々な素材への適用が可能なカイラル磁性ナノコイルの大量製造方法を提供する。
【0030】
そのために、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、外部電場を印加して、金属イオンからなる一次粒子を生成することができる(ステップ101)。
【0031】
最近、先行研究によれば、添加剤及び合成時に加えた電流密度を調節する方式で、ナノ気孔鋳型内でもナノチューブ、ナノコイルのように素材の形状の多様化が可能となり、このような素材は、メカニズム上、一次粒子(primary particle)が集まる方式で製造され得る。
【0032】
金属イオンが含まれている金属前駆体溶液において、金属イオンであれば、いずれのものでも制限がないが、電気、磁気及び熱伝導性を考慮すると、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、クロム(Cr)のような遷移金属を含有する遷移金属酸化物に由来するものをさらに好ましく使用することができる。金属前駆体溶液において、金属イオンは、遷移金属、貴金属、及び希土類金属に由来することができる。遷移金属は、Fe、Co、またはNiであってもよい。貴金属は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)または銀(Ag)であってもよい。希土類金属は、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、またはガドリニウム(Gd)であってもよく、またはこれらのうちの2種類以上の金属からなる様々な合金素材であってもよい。
【0033】
一方、代表的な磁性素材である3d遷移金属だけでなく、様々な金属前駆体は水によく溶けるため、電気めっき方法をベースとしたナノ素材の製造時に使用するのに非常に有利である。
【0034】
次に、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法では、生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合することができる(ステップ102)。
【0035】
本発明において、カイラルナノコイルの形状が形成される過程は、一般のめっき方式とは異なって、外部電場が印加されるとき、金属イオンからなる一次粒子がまず生成され、これに、カイラル分子が金属の表面に結合することによって、次の一次粒子の組立方向、またはカイラル分子が他の形状化分子の方向性を調節する方式で行われ得る。
【0036】
このとき、カイラル分子毎に金属イオン、金属表面、コイル形状化分子などとの結合力が異なるため、適切なカイラル分子を選択することが、カイラル磁性ナノコイルの合成の主要戦略として作用することができる。
【0037】
また、一次粒子間の組立過程において、カイラル分子の影響力は、外部電場の強度、金属イオン前駆体及び添加剤の濃度、またはカイラル分子の濃度で調節することができる。
【0038】
カイラル分子の影響力のために、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、外部電場の強度、金属イオン前駆体及び添加剤の濃度、またはカイラル分子の濃度のうちの少なくとも1つを調節することで、カイラル分子の影響力を調節することができる。
【0039】
また、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するために、カイラル分子として、シンコニンを第1方向のカイラル誘導体として結合することができる。
【0040】
一例として、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、シンコニンを第1方向のカイラル誘導体として結合するために、C19H22N2O・1/2H2SO4、0.01mMを第1方向のカイラル誘導体として結合することができる。
【0041】
一方、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するために、カイラル分子として、シンコニジンを第2方向のカイラル誘導体として結合することができる。特に、シンコニジンを第2方向のカイラル誘導体として結合するために、C19H22N2O、0.01mMを第2方向のカイラル誘導体として結合することができる。
【0042】
カイラル分子としては、シンコニン、シンコニジン以外にも、様々なモディファイア(modifier)が使用されてもよい。例えば、キニン(quinine)/キニジン(quinidine)、L-/D-ヒスチジン(Histidine)などのモディファイアが使用されてもよい。
【0043】
例えば、AAO(Anodic Aluminum Oxide)テンプレートの体積比率及び金属イオンの濃度を考慮して、カイラル誘導体の濃度が設計され得る。
【0044】
現在使用している、ナノ気孔一つの大きさが直径200nm、高さ60μmであるAAOテンプレートを基準として、金属イオンの濃度が50~200mMであるとき、[helical modifier]:[chiral modifier]=60~80mM:5~50μM(1200~16000:1)の範囲でカイラル磁性ナノコイルが設計され得る。
【0045】
特に、AAOテンプレートの直径及び高さが変わっても、当該円柱の体積比率に応じて金属イオン、添加剤(コイル形状化分子)、カイラル分子の濃度を共に調節すれば、カイラル磁性ナノコイルを合成することができる。
【0046】
すなわち、直径200nm、高さ60μmのテンプレートでなくても、[helical modifier]:[chiral modifier]に該当する比率を適切に調節する場合、カイラルナノコイルが合成可能である。
【0047】
例えば、テンプレートの高さが60μmから30μmに減少すると、気孔鋳型の体積の減少によって、気孔の内部に前駆体溶液が充填される比率が1/2に減少するため、金属イオン、添加剤(コイル形状化分子)、カイラル分子の濃度も、上述した濃度範囲の半分程度の比率に減少させて合成すれば、カイラル磁性ナノコイルを合成することができる。
【0048】
一方、AAOテンプレートの直径が200nm、高さが60μmであるとき、(一般にナノコイルの合成時に使用するAAOのスペック)ナノコイルが合成される標準条件(standard condition)は、[Co、Fe、VO2+、LAA]=80、80、60、60mMであり、AAOテンプレートの直径が200nm、高さが15μmであるとき、(AAO気孔(pore)の壁面の面積が1/4になったとき)[Co、Fe、VO2+、LAA]=20、20、15、15mMの条件でナノコイルが合成され得る。
【0049】
また、前記のように電着時に電流が流れ得るAAOテンプレートの壁面の面積の比率に応じて、必要な前駆体及び添加剤の濃度を調節すれば、AAOのスペックが変わっても、面積当たりの濃度の比率を計算して磁性ナノコイルを合成することができる。
【0050】
したがって、1つのAAO気孔鋳型のスペックが直径70~300nm、高さ10~100μmの範囲内であるとき、前駆体溶液中の金属イオンと添加剤の濃度を比率通りに調節すれば、カイラル磁性ナノコイルを合成することができる。
【0051】
一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、生成された一次粒子の表面にカイラル分子を結合するために、第1方向のカイラル誘導体又は第2方向のカイラル誘導体を、金属前駆体及び少なくとも1つ以上の添加剤が含まれた溶液に添加した後、少量の酸(acid)を添加して溶液のpHを1.0~3.0に調節し、ナノ気孔鋳型に充填して電着させることができる。
【0052】
本発明は、前記の内容に基づいて、電気めっき法を用いたカイラルナノ素材の合成の初の例示であるだけでなく、カイラル磁性ナノ素材の大量合成に対する主要方法として価値が大きいと予想する。
【0053】
また、一実施例に係るカイラル磁性ナノコイルの製造方法は、結合されたカイラル分子によって、次の一次粒子の組立方向を調節することができる(ステップ103)。
【0054】
図2A乃至
図2Iは、カイラル磁性ナノコイルの合成のための実施例を示す。
【0055】
特に、
図2A乃至
図2Cは、シンコニン、シンコニジンを添加して、それぞれ第1方向、第2方向のカイラル性を帯びるようになった磁性ナノコイルが、外部磁場の変化の下で互いに反対の電位を帯びて電磁誘導がなされていることを示す実施例である。
【0056】
図2D及び
図2Gは、それぞれのカイラル分子を添加したときのナノコイルの走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【0057】
図2E及び
図2Hは、電流密度及び添加剤の濃度の比率を調節した各条件でのカイラル偏向性を示す3軸マップ(map)を示す図である。
【0058】
図2F及び2Iは、線形走査電流法(linear sweep amperometry、LSA)グラフの逆関数を1次微分した結果を示す図である。
【0059】
カイラル磁性ナノコイルは、陽極酸化アルミニウムナノ気孔鋳型を用いた電気めっき法で合成され得る。
【0060】
各気孔は、直径200nm、高さ60μmの円柱状であり、均一な六角形マトリックスで配列されている。
【0061】
電気化学的な方法で素材を合成するために、当該ナノ気孔鋳型の片面に、陰極の役割をする300nmの厚さの銀(Ag)を電子ビーム蒸着器(e-beam evaporator)でコーティングし、陽極物質としては白金(Pt)板を使用する。
【0062】
金属前駆体としては、硫酸コバルト(II)七水和物(cobalt(II) sulfate heptahydrate(Co(SO4)2・7H2O、80mM))、硫酸鉄(II)七水和物(iron(II) sulfate heptahydrate(Fe(SO4)2・7H2O、80mM))を使用し、添加剤としては、オキシ硫酸バナジウム(IV)水和物(vanadium(IV) oxide sulfate hydrate(VOSO4・xH2O、60mM))、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid(C6H8O6、80mM))を使用し、カイラル分子としては、シンコニンヘミ硫酸塩(hemisulfate salt)(C19H22N2O・1/2H2SO4、0.01mM)、シンコニジン(C19H22N2O、0.01mM)を、それぞれ第1方向、第2方向へのカイラル誘導体として使用する。
【0063】
前記の物質を混合した後、少量の酸(acid)を添加して、溶液のpHを1.0~3.0に調節した後、ナノ気孔鋳型に充填して電着させることができる。
【0064】
素材が合成された後には、ヨウ素(I)系列の銀腐食液で陰極を除去し、水酸化ナトリウム(NaOH)でナノ気孔鋳型を溶解した後、複数回洗浄したナノコイルをエタノール(C2H6O)に分散させる。
【0065】
図2A乃至2Cは、シンコニン、シンコニジンを添加して、それぞれ第1方向、第2方向のカイラル性を帯びるようになった磁性ナノコイルが、外部磁場の変化の下で互いに反対の電位を帯びて電磁誘導がなされていることを示し、
図2D及び
図2Gは、それぞれのカイラル分子を添加したときのナノコイルの走査電子顕微鏡写真を示す。
【0066】
また、
図2E及び
図2Hは、電流密度及び添加剤の濃度の比率を調節した各条件でのカイラル偏向性を示す3軸マップ(map)を示し、
図2F及び
図2Iは、線形走査電流法(linear sweep amperometry、LSA)グラフの逆関数を1次微分した結果を含む。
【0067】
LSAの1次微分データの1番目のピークは、表面伝導(surface conduction)モードが発生したか否かを示し、当該ピークが現れないと、コイル形状への合成が不可能である。
【0068】
一方、50mA以上の電流密度で発生する2番目のピークは、一次粒子間の組立が発生する際に、互いに同じ結晶方向への合成可能性を確認する指標として作用し、当該ピークは、対照群サンプルとは異なって、シンコニン/シンコニジンを添加しながら全て消えるようになる。
【0069】
このようなカイラル形状化分子(0.01mM)は、溶液中でコイル形状化分子(80mM)に対して約1/10000レベルに存在するが、これは、非常に少ない量のシンコニン/シンコニジンのみでも、一次粒子の組立方向を乱方向(random orientation)化することができることを意味する。
【0070】
すなわち、LSAの1次微分グラフの2番目のピークの消滅を通じて、カイラル分子が一次粒子の表面で組立方向の調節に対する特定の役割を行っていることを推論することができる。
【0071】
図3A乃至
図3Fは、カイラル磁性ナノコイルの微細構造を分析する実施例に対する図である。
【0072】
特に、
図3A乃至
図3Fは、カイラル磁性ナノコイルの透過電子顕微鏡写真、X線回折分析スペクトル、一次粒子の高解像度透過電子顕微鏡写真及び走査透過電子顕微鏡写真、電子回折パターン、及びカイラル分子を添加することによって一次粒子の大きさが減少することを示すグラフを含む。
【0073】
透過電子顕微鏡の場合、2D投影結果が測定されてナノコイルの回転方向を認知するのが難しいため、これを30°まで傾けてコイルのカイラル方向を確認することができる。
【0074】
これは、走査電子顕微鏡写真から分かるように、シンコニンが添加される場合に第1方向に、シンコニジンが添加される場合に第2方向に回転することを示す。
【0075】
前記のサンプルのX線回折パターンを得ると、コバルト鉄水酸化物相が存在することを観測できる。これは、相対的に金属イオンが還元されない状況で、液体の内部に存在する硝酸イオンの還元により発生するヒドロキシ基が影響を与えているもので、これもまた、シンコニン/シンコニジンが一次粒子の表面で追加の金属イオンの還元を妨げているという間接証拠と見ることができる。
【0076】
これは、実際に高解像度透過電子顕微鏡写真において一次粒子の大きさが全ての印加電流範囲で減少することを通じても確認できる。
【0077】
図4は、フーリエ変換赤外(Fourier transform infrared、FTIR)分光法、吸収端近傍X線吸収微細構造(near edge X-ray absorption fine structure、NEXAFS)分光法、X線光電子分光法(X-ray photoelectron spectroscopy、XPS)の結果である。
【0078】
図4から分かるように、カイラル磁性ナノコイルの製造過程で用いられる化学物質のうちの窒素(N)が含まれた分子は、カイラル誘導体として用いられたシンコニンとシンコニジンだけである。これらを様々な分析方法により素材から検知することによって、ナノコイルの合成時にカイラル分子が実際に作用し、素材の表面にこれらが吸着されていることを確認することができる。
【0079】
まず、FTIR分析のために、コイル形状化分子さえ添加されていないナノワイヤー、コイル形状化分子のみが添加されたナノコイル、カイラル形状化分子まで添加されたカイラルナノコイルをそれぞれ測定した。特異な点は、カイラル形状化分子が添加されることによって、コイル形状化分子によるピークが大幅に減少しながら、他のピーク間の急激な揺動及び不安定化が確認されたという点である。
【0080】
これは、約1/10000レベルのシンコニン/シンコニジンも、微細構造に大きな影響を与えるほどに、一次粒子の表面にコイル形状化分子よりも優先的に選好されて吸着されることを暗示している。
【0081】
XPS分析のためには、ワイヤ、コイル、カイラルコイル、過剰のカイラル形状化分子が含まれたナノ素材のC 1sとN 1s付近を測定した。コイル形状化分子は、C=C結合が存在し、カイラル形状化分子にはないC=O結合が明確に存在するという特徴がある。
【0082】
ナノワイヤーでは、前記の2つの結合が発見されず、コイル形状では、当該結合によるピークが発現し始める。
【0083】
ここで、追加でカイラル形状化分子が添加されると、コイル形状化分子との相違点であるC=O結合の比率が減少することを確認することができる。
【0084】
これを通じて、カイラルナノコイルの形成時に、カイラル形状化分子が素材の内部で作用していることが分かる。
【0085】
併せて、全ての合成反応において、カイラル形状化分子のみが唯一にNを保有しているという点に着目して、NEXAFS及びXPS分析においてNを観測することを通じて、シンコニン/シンコニジンがナノコイルへのカイラル性の付与に寄与していることが分かる。
【0086】
まず、NEXAFS分析を通じて、少量のNが存在していることを観測することに成功し、XPS分析上でも、シンコニンが添加されてからNピークが生成されることを確認できる。
【0087】
このとき、N 1sは、シンコニンのキヌクリジン(quinuclidine、N-C sp3結合)あるいはキノリン(quinoline ring、-N=)による2つのピークに分解することができる。
【0088】
対照群サンプルと比較して、金属素材上にシンコニンが吸着されることによって、キノリンによるピークが、さらに高い結合エネルギーを有する側に移動することが確認できた。
【0089】
これは、キノリンの窒素の電子が金属イオンと配位結合することによって、窒素の立場で電子雲が薄くなることによって現れた結果である。
【0090】
図6は、シンコニン/シンコニジンが素材に添加されたときにカイラルナノコイルが形成されるメカニズムを示す図である。
【0091】
図4に該当する結果を総合すると、
図6のようにシンコニン/シンコニジンが素材に添加されたときにカイラルナノコイルが形成されるメカニズムは、次の通りである。
【0092】
まず、表面伝導現象が発生できる必須条件が満たされたとき、金属イオンの還元を適切に妨げながら、コイル形状化分子であるバナジルアスコルベートが一次粒子を生成する役割をする。
【0093】
その後、金属の表面は、カイラル形状化分子内に存在するキノリンの窒素と優先的に配位結合するようになる。カイラル形状化分子は、カイラルセンターを起点として左右に大きな分子構造を有するが、これは、バナジルアスコルベートの片方の長いメチル基と弱い結合であるファンデルワールス(van der Waals)力による結合ができる条件がなされる。
【0094】
このような方式でコイル形状化分子の方向性を誘導することができ、このように誘導されたコイル形状化分子は、次の一次粒子の組立方向を設定するのに役立ち、結果的に、ナノコイルはカイラル性を有するようになる。
【0095】
図5は、カイラル形状化分子の濃度の効果を示し、シンコニン/シンコニジンがカイラル磁性ナノコイルの製造のための最適の濃度(0.01mM)よりも過剰添加されたときの素材の形状の変化を走査電子顕微鏡で観察したことを示す。
【0096】
還元時の電気抵抗が、カイラル形状化分子が2mMを超える時点から10倍増加した。電解液の内部での電気抵抗は、電極の表面に溶けている金属イオンをはじめとするイオンの酸化還元反応の速度と関連しているため、このような変化は、金属イオンの還元過程での他のメカニズムが作動し得ることを暗示している。これを代弁するように、この時点から同一に、素材の合成は全て失敗する結果が観測された。
【0097】
また、カイラル分子が過剰添加されることによって、ナノコイルをなしている一次粒子の間の間隔が広くなることを高解像度透過電子顕微鏡を用いて観察した。
【0098】
ヒートマップ(heat map)分析を見ると、カイラルナノコイルに対比して過剰のシンコニンは、一次粒子の表面に過度に付着し、このような空き空間が測定されたものと考えられる。
【0099】
すなわち、一次粒子の表面に過度に多い量のシンコニンは、次の金属イオンの還元を妨げ、このような部分は、前述の還元時に電気抵抗が急激に増加することと同じ脈絡で考えられる。
【0100】
併せて、合成時にカイラル分子を0、0.01、0.1、0.2mM添加したナノ素材に対して、外部磁場の変化下で電位差を観測することができる。
【0101】
カイラル形状化分子を入れなかった場合は、
図2でのカイラルナノコイル(0.01mM)に比べて非常に低いレベルの起電力が発電し得る。これは、素材の方向性が定められていないため、起電力が互いに相殺し得る。反面、過度に多い量の分子は素材の形状を崩壊させ始めながら、その起電力が減少し得る。
【0102】
図5は、上述したシンコニン、シンコニジンが過剰添加されることによる走査電子顕微鏡写真及び高解像度透過電子顕微鏡写真、ヒートマップ及びヒートマップの色の比率、イオン還元抵抗のグラフ、及び外部磁場の変化下の電位差のグラフを示す図である。
【0103】
すなわち、
図7は、回転する磁場の内部での起電力発電に該当する実施例を示す。
【0104】
ファラデーの電磁誘導の法則は、コイルが時間の経過に伴って変化する外部磁束に反応して起電力(electromotive force、emf)を発生させる現象を説明する。
【0105】
図7では、カイラル磁性ナノコイルの形状的固有性によって、ナノスケールでファラデーの電磁誘導の法則を観察することができる。
【0106】
同じカイラル性を有するナノコイルと共に、電気伝導性が良いバルカンカーボン(vulcan carbon)をイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol;IPA)と混合した後、回転リングディスク電極(rotating ring disk electrode、RRDE)上に整列することができる。
【0107】
図7は、第1方向及び第2方向のカイラル性を有するナノコイルが、様々な実験条件下で互いに反対方向の起電力信号を示すことを示す図である。
【0108】
図7から分かるように、第1方向及び第2方向のカイラル性を有するナノコイルは、互いに反対方向の起電力信号を示すことができる。
【0109】
これは、ナノコイルの濃度、回転リングディスク電極の回転率(revolutions per minute、rpm)、印加された外部磁場の強度に応じて異なって得られるemf信号を定量化することによって、実際にナノスケールでカイラル磁性ナノコイルが外部磁場の変化に反応して電磁誘導されていることが確認できた。この結果は、外部磁場という刺激に反応してカイラルナノコイルがその役割を行うことができるという直接的な証拠であり、今後、スピントロニクス素子に応用される可能性が非常に高いといえる。
【0110】
結局、本発明を利用すれば、合成の利便性及び安定性が高いながらも、経済的でかつ環境に優しく、大容量合成に有利な電気めっき法(electrodeposition)を用いて、様々な素材への適用が可能なカイラル磁性ナノコイルの大量製造が可能である。
【0111】
カイラル磁性ナノコイルのように金属ナノコイルを含む場合、外部磁場を用いて片方向に整列させた後、伝導性物質と混合してインク化させ、その後、インクに変化する磁場を印加して微細起電力を測定することができる。
【0112】
また、微細起電力を発電させるために、コイル状の金属ナノコイルなどを活用することができる。
【0113】
以上のように、実施例を限定された図面によって説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記の記載から様々な修正及び変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順序で行われたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられたり、他の構成要素又は均等物によって代替又は置換されても、適切な結果が達成され得る。
【0114】
したがって、他の具現、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも、添付の特許請求の範囲の範囲に属する。