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特開2024-108129装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス
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  • 特開-装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス 図1
  • 特開-装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス 図2
  • 特開-装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス 図3
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  • 特開-装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108129
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】装置間のデータ接続を確立するための方法、および方法を実行するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/141 20220101AFI20240802BHJP
   H04L 67/52 20220101ALI20240802BHJP
【FI】
H04L67/141
H04L67/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002188
(22)【出願日】2024-01-10
(31)【優先権主張番号】23154018
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ザイツ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動作環境内で複数の装置を互いにネットワーク接続するための簡単な方法を提供する。
【解決手段】本発明による装置システムは、異なる動作環境(10、11)内の異なる装置(15~20)の自動ペアリングを可能にする。ペアリングは、信号強度および室内ナビゲーション(例えば、Bluetooth(登録商標)5)に基づいて実行される。通信相手、すなわち装置(15~20)が別の装置または中央装置(17、20)から所定の半径(S1)内の距離に存在するか否かが検出される。検出中、ペアリングは、ユーザによる追加の相互作用なしで、またはユーザによる簡単な確認で、(UUID)または証明書交換によって自動的に開始される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作環境(10)内の少なくとも2つの装置(15~17)間のデータ接続を確立するための方法であって、
前記装置(15~17)のそれぞれは、少なくとも1つの通信デバイス(B15~B17、E15~E17)を備え、
前記通信デバイス(B15~B17、E15~E17)は無線通信デバイス(B15~B17)であり、
この方法において、
前記装置(15~17)間の距離が、前記通信デバイス(B15~B17、E15~E17)のうちの1つによって判定され、前記装置(15~17)のそれぞれをサブネットワーク(SDC1)に統合するためのクリアランスは、前記装置(15~17)間の前記距離が第1の閾値(S1)を下回る場合に与えられる、
方法。
【請求項2】
前記装置(15~17)のうちの1つまたは装置結合器(13a)は、固定基準点を形成し、前記固定基準点に対する他の装置(15~17)の前記距離を測定するために、不動に配置されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブネットワーク(SDC1)への通信接続は、前記距離が第2の閾値(S2)を超過した場合に終了されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の閾値(S2)は、前記第1の閾値(S1)以上であることを特徴とする、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記装置結合器(13a)は、前記装置(15~17)への方向を判定することを特徴とする、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
サブネットワーク(SDC1)との前記装置(15~17)の通信接続は、前記装置(15~17)が所定の角度範囲(α)内である場合にのみ確立されることを特徴とする、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記装置のうちの1つ(17)に、他の全ての装置(15、16)が表示されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サブネットワーク(SDC1)に接続されなければならない前記装置(15~17)は、前記装置(15~17)が表示されている前記装置(17)上で、自身のクリアランスが与えられた後にのみ前記サブネットワーク(SDC1)に接続されることを特徴とする、
請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
各装置(15~17)は、第1の範囲を有する第1の通信デバイス(B15~B17)と、前記第1の通信デバイス(B15~B17)の前記第1の範囲よりも大きい第2の範囲を有する第2の通信デバイス(E15~E17)とを備え、前記装置(15~17)間の通信接続および前記装置(15~17)それぞれのサブネットワーク(SDC1)への統合は、前記第2の通信デバイス(E15~E17)のうちの1つによって実行されることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
動作環境(10)内に少なくとも2つの装置(15~17)を有する装置システムであって、
前記装置(15~17)のそれぞれは、少なくとも1つの通信デバイス(B15~B17、E15~E17)を備え、
前記通信デバイス(B15~B17、E15~E17)は無線通信デバイス(B15~B17、E15~E17)であり、
前記装置は、それぞれの通信デバイス(B15~B17、E15~E17)によって前記装置(15~17)間の距離を判定するように構成され、
前記通信デバイス(B15~B17、E15~E17)は、前記距離が第1の閾値(S1)を下回る場合にサブネットワーク(SDC1)への通信接続を確立するように構成されている、
装置システム。
【請求項11】
前記装置(15~17)のうちの1つは、前記動作環境内に不動に設置された装置結合器(13a)であることを特徴とする、
請求項10に記載の装置システム。
【請求項12】
1mから100mの一般的範囲を有する第1の通信デバイス(B15~B17)、および、より大きい範囲を有する第2の通信デバイス(E15~E17)は、各装置(15~17)の前記通信デバイス(B15~B17、E15~E17)の一部であることを特徴とする、
請求項10または11に記載の装置システム。
【請求項13】
前記装置(17)のうちの少なくとも1つは、他の装置(15、16)を表示することができる表示デバイス(23)を備え、この装置(17)または装置結合器(13a)までの前記他の装置(15、16)の前記距離は閾値(S1)を下回ることを特徴とする、
請求項10または11に記載の装置システム。
【請求項14】
前記サブネットワーク(SDC)への通信接続を確立するために前記表示デバイス(23)によって表示された前記装置(15、16)にクリアランスを与えるように構成された入力デバイス(23)が提供されることを特徴とする、
請求項13に記載の装置システム。
【請求項15】
前記サブネットワーク(SDC1)は、前記ネットワーク(21)を介してデータベース(25)に接続できることを特徴とする、
請求項10または11に記載の装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、装置間のデータ接続を確立するための方法、ならびに複数の装置からなるシステムであって、装置間にデータ接続を確立することができる、方法およびシステムである。特に、装置システムの装置は、一般的なデータ伝送ネット内にサブネットを形成することができる。
【背景技術】
【0002】
このような装置システムは、特に病院環境または他の動作環境、例えば不動の建物の手術室、または一時的な設備において使用される。
【0003】
手術室または他の動作環境で使用される装置を別の装置に、ならびに該当する場合には、装置が互いにまたは他のリソースとデータを交換することができる上位ネットワークにも接続することが望ましい場合が多い。
【0004】
この目的のために、特許文献1は、Bluetooth技術によって互いの距離を判定することができる動作環境で使用される装置を記載している。加えて、装置は、Bluetoothを介して機器と結合することができる。この文献は、さらに、相互の三角測量による装置のマッピングの作成について記載している。
【0005】
特許文献2もまた、動作環境におけるBluetoothなどの短距離での無線ネットワークの使用、ならびにより広い範囲を有するネットワークへのこのネットワークの統合も記載している。
【0006】
特許文献3は、近距離無線通信(NFC)による無線ローカルネットワークにおける登録を記載している。
【0007】
追加の従来技術は、特許文献4、特許文献5、および特許文献6から明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0200844号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/238209号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2826158号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2126854号明細書
【特許文献5】米国特許第8165102号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2753233号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、動作環境内で複数の装置を互いにネットワーク接続するための簡単な方法を提供することである。加えて、本方法は、可能な限り安全な方法で適用可能とすべきである。ネットワーク接続を動作環境に限定することを目的とする。
【0010】
加えて、本発明の目的は、上述の目的を達成する装置システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、請求項1に記載の方法および請求項10に記載の装置システムによって解決される。
【0012】
本発明による方法は、動作環境に配置することができ、いずれの場合も距離測定に適した少なくとも1つの通信デバイスを備える装置に基づく。少なくとも1つの通信デバイスは、第1の範囲を有する第1の無線通信デバイスと、任意選択的に、第1の範囲とは異なる、特に第1の範囲を超える第2の範囲を有する第2の有線または無線通信デバイスとを備えることができる。第1の範囲は、好ましくは限定され、さらに好ましくは短い。これによる短距離は、動作環境の寸法を有する範囲を意味し、例えば、一般的にはおよそ10mから100mとすることができる。一般的範囲は、送信干渉物体の無い環境における範囲を意味する(自由場範囲)。短距離に起因して、第1の通信デバイスは、装置間の距離を判定するように構成され、そのように使用可能である。距離判定のために、例えば、受信装置における無線送信された信号の場の強度を使用することができる。
【0013】
本発明によれば、第1の通信デバイスは、装置間の距離の判定のために使用される。判定された距離が第1の閾値を下回る場合、装置間の通信接続およびネットワーク内のその統合が有効になる。例えば、通信接続は、第1の通信デバイスによって、しかし好ましくは他の第2の通信デバイスによって確立され、すなわち、ネットワーク内への第2の通信デバイスの統合のためのクリアランスが与えられる。このネットワークは、一般的なネットワーク内のサブネットワークとすることができる。サブネットワークは動作環境の装置のみを備えるが、一般的なネットワークは、多数の追加のデバイス、装置、および参加者を備えることができる。
【0014】
クリアランスは、クリアランスが与えられた装置間の通信接続の直接確立を意味することができる。しかしながら、サブネットワーク内へのそれぞれの装置の統合を、通信接続の確立のクリアランス後の追加要件の遵守に依存させることも可能である。この目的のために、少なくとも1つの追加要件の遵守がチェックされ、これらの追加要件の遵守後にのみ通信接続が確立される。このような追加要件は、例えば、選択された装置に対して特定の角度での装置の配置、接続の確立の手動クリアランス、または他にも多くの要件とすることができる。
【0015】
第2の通信デバイスによって作成または使用される(サブ)ネットワークは、好ましくはSDC(サービス指向デバイス通信)などの製造業者に依存しない規格に従って動作し、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)またはWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)またはWi-Fiの文脈において、有線または無線で実現することができる。
【0016】
ネットワークへの通信接続の確立のクリアランスは、観察された装置の他の装置までの距離が第1の閾値を下回る場合に与えられる。この閾値は、好ましくは、短距離の第1の通信デバイスの最大範囲よりも著しく低い。その際に、閾値は、第1の通信デバイスの範囲によって定義されないが、事前設定された規定値である。この値は、好ましくは、1メートルから数メートルの範囲である。
【0017】
第1の通信デバイスのためにこの値を不変的に事前設定することが可能である。あるいは、装置のうちの少なくとも1つのユーザインターフェース上にこの閾値を表示し、入力可能性によってこれを変更することが可能である。この目的のために、装置システムの少なくとも1つの装置には、ディスプレイおよび入力デバイス、ならびに入力に従って閾値を調整するように構成された制御部が設けられている。あるいは、資格のあるサービス担当者のみが事前設定された閾値を修正することができるように構成されたサービスインターフェースを提供することができる。加えて、装置ごとに個別に接続される装置の閾値を定義することが可能である。例えば、ティーチイン方式を使用することができる。例えば、装置は、互いに特定の距離および/または角度で配置することができ、該当する場合には、関与する装置のうちの1つのユーザインターフェース上に示すことができる。その作動によって1つまたは複数の装置を選択することができ、実際の距離および/または角度が有効な閾値として設定される、設定ボタンを提供することができる。
【0018】
1つおきの装置の不動の基準点までの距離が測定されるように、不動の基準点を形成するために、装置のうちの1つを不動に配置することが可能である。固定基準点は、例えば、選択された装置内などの手術部位上に直接、または手術台もしくは建物に対して不動の別の箇所に配置することができる。
【0019】
装置の第1の通信デバイスは、証明書および/またはユニバーサル装置識別子(UUID)を交換する役割を果たすことができ、これによって装置はその後、互いにおよび/または外部の他のネットワークと、第2の通信デバイスを介して通信する。装置間の証明書交換またはUUID交換は、装置間の距離が第1の閾値を下回るとき、既に本発明の方法に従って実行される(これにより、手動クリアランスなどの追加要件が達成されなければならないことを提供することができる)。言い換えると、装置が最短距離に集められた場合、これらはまず証明書交換(および/またはUUID交換)のために互いに結合し、次いで適切なプロトコル、例えばSDCによってローカルネットワークを形成する。
【0020】
第1の閾値以上の第2の閾値を定義することが可能である。装置は、第2の閾値を超過するとすぐに、動作環境固有ネットワーク内の通信接続を終了するように構成することができる。次いで、関与する装置が動作環境のサブネットワークから取り出される。このようにして、動作環境から移動された装置は、動作環境の他の装置との結合から自動的に取り出すことができる。一般的なネットワークとの装置の接続もまた終了することができ、または好ましければ維持することもできる。
【0021】
これまでのところ、本発明は、互いの最小距離を下回るとすぐに互いに完全に自動的にまたは半自動的に結合し、最大距離を超過するとすぐに自動的に分離する装置の快適な操作を提供する。
【0022】
距離情報に加えて、装置間の方向情報も評価することができる。これは、装置のうちの1つが不動である場合、例えば手術台に配置されている場合、ならびに装置結合器が装置結合の機能を集中的に引き継ぐ場合に、特に好都合である。特に、装置結合器は、他の装置への方向を判定し、最小距離を下回るのみならず、さらに結合すべき装置が装置結合器によって定義される角度範囲内でもある場合にのみ、結合を実行することを提供することができる。これにより、動作環境の一部である装置と、隣接する動作環境の装置との間でより良好に区別することができる。
【0023】
本発明による方法によって、装置だけでなく、人間も動作環境の通信(例えば、SDCを介して)に統合することができる。例えば、異なる外科医は、使用する装置の設定について異なる好みを有する可能性がある。それぞれの外科医がモバイルデバイスなどのデバイス、例えばタブレットまたはBluetooth用に構成された他のデバイスを携帯する場合、このデバイスは、第1の通信デバイス(例えば、Bluetooth)を介して装置に識別コードを送信することができ、次いで、装置は第2の通信デバイスを介して病院ネットワークに識別コードを転送する。病院ネットワークは、例えば、効果、効果強度など、異なる外科医の個別の設定データが記憶されているデータベースを含むことができる。これらの個別の設定データはその後、第2の通信デバイスを介してネットワーク内に配信される。これらの設定は、必ずしも中央データベース上に提供されなくてもよい。また、通信参加者上のローカルストレージも可能である。装置はその後、これらの好適な設定を引き継ぐことができる。このようにして、各外科医は、いずれの場合も装置を個別に設定する必要なく、システムの各動作環境における自分の好適な設定を見出すことができる。
【0024】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は、明細書、特許請求の範囲、または図面の主題である。図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の単純な実施形態における本発明による第1のシステムの図である。
図2】システムの一部である装置の基本構造の一部の図である。
図3】複数の装置の互いの、および外部ネットワークとの連携を示す図である。
図4】本発明による装置システムの追加の実施形態の図である。
図5】本発明による装置システムの追加の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1には、例えば病院または他の設備でも確立される、2つの動作環境10、11の概略的な状況が示されている。例えば、2つの動作環境10、11は、図1に破線で示されている壁12によって互いに分離された手術室とすることができる。壁は中実であり、電波を減衰させるか、または電波を透過させることもできる。
【0027】
各動作環境10、11は、手術台13、14、ならびに複数の装置15、16、17、18、19、20を備える。装置15から17は、第1の動作環境10の一部であり、装置18から20は、第2の動作環境11の一部である。例えば、手術台13および/または14上に横たわる患者に対する手術が実行される前、最中、または後に、機器への供給に役立つ。装置15から20は、例えば、接続された機器に適切な流体(すなわち、気体、液体、エアロゾルなど)を供給し、例えば適切な機器、またはその種の任意の手段によって組織を切断、凝固、アブレーション、癒合させるために接続された機器に電流または電圧を供給するように構成することができる。また、装置のうちの1つまたは複数は、例えば発光分光法、インピーダンス分光法、流体検査などによって組織検査を実行するように構成することができる。また、装置のうちの1つ以上は、他の装置を制御するために、中央演算装置として確立することができる。本実施形態では、装置7および20は中央演算装置VIO3として示されている。
【0028】
全ての装置15から20は、ネットワーク、例えば病院全体のネットワーク、または完全にもしくは部分的に有線であり得る、および/または完全にもしくは部分的に無線ネットワーク(LAN、Wi-Fi、WLAN、WAN)として構成することができるさらなる範囲を有するネットワークにも、接続することができる。
【0029】
装置15から20の各々は、短い一般的範囲を有する第1の通信デバイスB15からB20を備える。第1の通信デバイスB15からB20は、好ましくは、電波または光、ならびに好ましくは最小の一般的範囲によって動作する無線通信デバイスであり、その一般的範囲は、好ましくは動作環境の寸法の順に最小である。一般的範囲は、範囲を減少または増加させる外部の影響のない範囲を意味する。第1の通信デバイスのこの一般的範囲は、好ましくはおよそ10mから100mである。第1の通信デバイスB15からB20は、例えば、およそ100mの一般的範囲を有するクラス1、およそ10mの一般的範囲を有するクラス2、またはわずかおよそ1mの一般的範囲を有するクラス3のBluetooth通信デバイスとすることができる。図1に示される例には、10mから100mの一般的範囲を有する第1の通信デバイスB15からB20の状態が示されている。Bluetoothインターフェースは、Bluetooth規格3.0以上に従って構成することができる。
【0030】
ネットワーク21への接続を確立するために、各装置15から20は第2の通信デバイスE15からE20を備え、これらは例えば有線通信デバイスまたは無線通信デバイス、例えばWi-FiまたはWLANなどの共通規格に従う有線通信デバイスまたは無線通信デバイスとすることができる。通信デバイスE15からE20は、ネットワーク21に接続される。
【0031】
装置15、16、17(ならびに本明細書には示されておらず、この動作環境の一部である潜在的な追加の装置Gn)は、互いに通信するが、隣接する動作環境11の装置18、19、20とは通信しないものとする(逆もまた同様である)。この目的のために、装置15、16、17ならびに装置18、19、20は、SDCなどの製造業者に依存しない規格に基づいて、それぞれのネットワーク21においてサービス指向の装置通信を実行するように構成されている。これまでのところ、これらはサブネットワークに接続されている。この目的のために、装置15、16、17は、互いに証明書を交換し、同様に装置18、19、20は、互いに証明書を交換し、こうして残りのネットワーク21に対して閉じたサブネットワークを形成するように構成されている。装置15から17は1つのクラスタを形成し、装置18から20は別のクラスタを形成する。装置15から20の間の証明書交換は、好ましくは第1の通信デバイスB15からB20を介して実行される。
【0032】
装置15から20は、図1に示されるように、互いの距離、ならびに中央装置(ここでは装置VIO3 17およびVIO3 20)までの距離が閾値S1を下回る場合にのみクラスタに接続するように構成されている。したがって、閾値S1は、第1の通信デバイスB15からB20の一般的範囲未満の距離限界値である。
【0033】
第1の通信デバイスB15からB20は、最小距離S1内にあるこれらの装置B15からB20と、鍵および/または証明書および/またはUUIDを交換するのに役立つ。この証明書の交換後に、装置B15からB17は、ネットワーク21を使用して互いに通信することができ、同様に装置B18からB20は、ネットワーク21を使用して互いに通信することができ、こうして動作環境10のための第1のサブネットワークまたは部分ネットワークおよび第2の動作環境11のための第2のサブネットワークまたは部分ネットワークを形成することができる。
【0034】
各装置15から20は、制御部22を備える。装置7および20の少なくとも一方において、該当する場合には他の装置でも、制御部22は、例えば動作要素が周辺に配置された画面の形態の、またはタッチスクリーンなどの形態の、表示デバイス23に接続される。制御部22はさらに、装置の通信デバイスに、図2の例では第1の通信デバイス17および第2の通信デバイスE17に接続される。
【0035】
図2に示されるように、装置17は、他の装置15、16までの、およびもしあれば追加の装置Gnまでの距離を第1の通信デバイスB17によって測定し、動作環境のローカルネットワークに組み込まれる前にこれらの装置を表示デバイス23上に示すように構成することができる。距離表示を表示情報に含めることができる。距離表示は、メートルまたはセンチメートル単位で数値的に、あるいはアナログ寸法図によって実現することができ、これにより、近い装置はより大きく示され、遠い装置はより小さく示される。図は記号であってもよく、または図2に示されるように、適切にマークされたボックスに縮小されてもよい。また、距離の減少に伴う背景に対する装置記号化の色対比の増加など、他の直感的に理解可能な寸法図を使用することもできる。装置の図では、装置の結合、ひいては証明書交換を承認または拒否するために、さらに示されるように、入力フィールドj/n(はい/いいえ)を提供することができる。
【0036】
これまでに記載された最も単純な実施形態の図1による提示された装置システムは、以下のように動作する。
【0037】
説明の開始点は、図1による、装置G15からG17が動作環境10に持ち込まれ、装置G18からG20が動作環境11に持ち込まれた状況である。装置15から17の起動後に、これらの制御部は、まず、第1の通信デバイスB15からB17によって制御中央装置17までの距離を判定するように構成される。装置17までの距離が閾値S1を下回る全ての装置は、ここで、第1の通信デバイスB15からB17を介して互いに証明書または鍵を交換し、その後、ネットワーク21を介して形をなし、証明書または鍵によってサブネットワーク内で暗号化された方法で通信する。これは、もっぱら距離に応じて自動的に実行することができる。
【0038】
しかしながら、これが手動で確認された場合にのみ、装置15から17がそれらの鍵を交換することも可能である。この目的のために、装置15および16は、まず、装置17の画面23上に少なくとも記号で表示され、そこで手入力によって承認(受付)または拒否される。その際に、動作環境が互いに近接しているので、隣り合う動作環境の装置が意図せずに結合されることが回避される。しかしながら、図1による実施形態の壁12が大きい場合、誤った結合の危険性は大きく排除される。装置15から17が結合するために最大数デシメートルまで互いに隣接しなければならないように、低い閾値S1を定義することもまた可能である。このような実施形態は、図2に示される手動確認の労力を回避する。
【0039】
図3は、装置16および17に基づいてこれまでに記載されたシステムの補足、ならびにネットワーク21、例えば病院または別の動作環境への包含を示す。ネットワーク21は、例えば、1つ以上のデータベース25または別の適切なデータストレージを備える病院ネットワークとすることができる。データストレージまたはデータベース25は、患者データ、手術データ、手術計画、特定の手術および/または特定の外科医のための装置設定を含むことができる。第1の通信デバイスB16、B17は、装置16、17間の距離測定の役割を順次果たす。
【0040】
加えて、第1の通信デバイスのうちの少なくとも1つ、ここでは通信デバイスB17は、例えば外科医に割り当てられた携帯電話の形態のモバイルデバイス26と通信する役割を果たすことができる。これにより、他のデバイス、例えばタブレット、ポケットベル、キーカード、Bluetoothドングルなども使用することができる。モバイルデバイス26によって、外科医は、その動作環境10の装置15から17にログインすることができる。そして、装置17、ならびに他の装置15、16は、例えば、装置15、16、17の外科医固有の設定データをロードし、これに応じて装置15、16、17を調整するために、病院ネットワーク21を介して動作環境10の一部であるローカルサブネットを超えてデータベース25にアクセスするように構成することができる。これにより、各外科医は、例えばモードおよび効果強度に関して、自分の望む方法で全ての装置を手動でそれぞれ調整する必要なく、ある意味で自分の好ましい設定を見出す。
【0041】
モバイルデバイス26はまた、患者に割り当てられ、したがって患者を識別するデバイスとすることもでき、これは選択された動作環境において第1の通信デバイスB17を介して患者を識別する。ここで、装置15、16、17によって形成された装置サブシステムは、ネットワーク21を介してデータベース25に順次アクセスすることができ、例えば、診断、手術計画などの患者に割り当てられたデータを受信し、例えば表示デバイス23上にこれらを表示することができる。また、装置15から17は、このようにして、手術計画に従って事前設定することができる。
【0042】
図4は、相応に既に導入された参照符号に基づいて上記の説明が適用される、本発明の修正された実施形態を示す。上記の説明に加えて、装置15、16、17を結合するための最小距離を定義する第1の閾値S1が、装置15、16、17が互いに結合されたままである最大距離を定義する第2の閾値S2によって補完されることが適用される。ここでも、第1の通信デバイスB15、B16、B17は、装置17と他の装置15、16との間の距離の測定に役立つ。装置15、16、17の制御デバイスは、距離が第1の閾値S1を下回る場合にのみ、通信を開始し、こうして第1の通信デバイスB15、B16、B17を介して証明書を交換するように構成されている。このため、装置15、16、17は、第1の閾値S1を下回る、例えば1~2メートルの距離で結合のために集められなければならない。この第1の閾値S1が十分に小さい場合、図2の例による手動確認を省略することができる。装置15、17は、さらに、距離が第2の閾値S2以下である限り、結合およびそれらによって作成されたサブネットを維持するように構成されている。
【0043】
したがって、第2の動作環境11についても同様である。図4に示されるように、装置15、16、17は、第1の閾値S1によって定義された半径内に配置されてしまえば、再び結合を失うことなく、第2の閾値S2によって定義された半径内で自由に移動することができる。しかしながら、実際には第2の閾値S2によって定義された半径は重複するが、第1の閾値S1によって定義された半径は重複しないので、第1の動作環境10の装置と第2の動作環境11の装置との意図しない結合は除外される。
【0044】
上記の対策に加えて、またはその代わりに、距離情報だけではなく方向情報も交換することが可能である。この目的のための実施形態が、図5に概略的に示されている。この装置システムの特徴は、装置結合器13a、14aが手術台13、14に割り当てられ、装置結合器13a、14aまでの距離が閾値S1未満である場合、加えて装置15から20が装置結合器13aまたは14aによって定義される角度α以内である場合、装置結合器13a、14aは第1の通信デバイスB15からB20と通信するように構成されていることである。図5は装置Gnを示し、装置結合器13a、14aまでのその距離は実際には閾値S1未満であるが、角度αの外側にあり、したがって装置結合器13a、14aによって定義される結合セクタの外側にある。この位置で、これはサブネットSDC1にもサブネットSDC2にも統合されておらず、これらはそれぞれ結合された装置16、17;18、19、20の間の接続線によって図5に示されている。また、動作環境10内の装置15も相応に結合されない。
【0045】
本発明によるシステムは、メッセージの優先順位付けにも使用することができる。これにより、装置の制御は、装置間の距離が小さいほどメッセージの優先度が高くなるように構成することができる。優先度に基づいて、例えば、内視鏡システム上の視認性を向上させることができる。
【0046】
装置15から20の優先順位付けに適したシステムは、システム構成にも使用することができる。例えば、医師が予め定義されている位置、例えば手術台にいる場合、例えばモードまたは効果の設定に関して、予め記憶された構成を自動的に起動することができる。すると、医師の位置は、例えば医師が携帯しているBluetoothドングルまたはスマートフォンによって検出することができる。
【0047】
加えて、システムの装置15から20は、互換性のある装置が検出されると、定義されたシステムの状態を取るように構成することができる。例えば、発光分光法(OES)のための装置および装置VIO3が近傍でBluetooth、すなわち第1の通信デバイスを介して検出され、両方の装置が同じネットワークSDC1またはSDC2内にある場合、発光分光法による組織道程のための最良のモードおよび効果は、機器の電気供給のための装置において自動的に設定することができる。
【0048】
本発明による装置システムは、異なる動作環境10、11内の異なる装置15~20の自動ペアリングを可能にする。ペアリングは、信号強度および室内ナビゲーション(例えば、Bluetooth5)に基づいて実行される。通信相手、すなわち装置15~20が別の装置または中央装置17、20から所定の半径S1内の距離に存在するか否かが検出される。検出中、ペアリングは、ユーザによる追加の相互作用なしで、またはユーザによる簡単な確認で、UUIDまたは証明書交換によって自動的に開始される。
【符号の説明】
【0049】
10,11 動作環境
12 壁
13,14 手術台
13a,14a 装置結合器
15-20 装置
Gn 装置
21 ネットワーク(LAN、WIFI、WLAN、WAN)
SDC1 サービス指向の装置通信のための第1のサブネットワーク
SDC2 サービス指向の装置通信のための第2のサブネットワーク
22 制御部
23 表示デバイス/入力デバイス
24 DHCPサーバ
25 データベース
26 モバイルデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
図1
図2
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