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特開2024-1081343芯から3つの単芯へのHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108134
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】3芯から3つの単芯へのHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20240802BHJP
   H02G 9/02 20060101ALI20240802BHJP
   H01B 7/14 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
H02G15/10
H02G9/02
H01B7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024005828
(22)【出願日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】23153891
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グスタヴソン, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リンド, オーラ
(72)【発明者】
【氏名】ソアレス, チアーゴ セーザー デ アルメイダ
【テーマコード(参考)】
5G311
5G369
5G375
【Fターム(参考)】
5G311FA01
5G369AA01
5G369BA02
5G369BB01
5G369CA09
5G369EA01
5G375AA02
5G375AA04
5G375AA05
5G375AA14
5G375CA02
5G375CA14
5G375DB09
5G375DB22
5G375DB31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電力容量を改善可能な高電圧(HV)または超高電圧(EHV)海底電力ケーブルシステムを提供する。
【解決手段】HVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47は、各々がそれぞれの導体と、導体の周りに配置されており内側半導体層、第1のポリマー材料を含む絶縁層および外側半導体層を備える絶縁システムと、を備える3つの撚線電力コアを備える3芯海底電力ケーブル1と、各々がそれぞれの導体と、導体の周りに配置されており内側半導体層、第1のポリマー材料を含む絶縁層および外側半導体層を備える絶縁システムと、を備える3つの単芯海底電力ケーブル25と、3芯海底電力ケーブル1の各電力コアを単芯海底電力ケーブル25のそれぞれの1つに接続する剛性ジョイント49と、を備える。剛性ジョイント49は、外側ケーシング51をさらに備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々がそれぞれの導体(5a、5b、5c)と、前記導体(5a、5b、5c)の周りに配置されており内側半導体層(9a、9b、9c)、第1のポリマー材料を含む絶縁層(11a、11b、11c)、および外側半導体層(13a、13b、13c)を備える絶縁システム(7a、7b、7c)と、を備える3つの撚線電力コア(3a、3b、3c)を備える3芯海底電力ケーブル(1)と、
各々がそれぞれの導体(27)と、前記導体(29)の周りに配置されており内側半導体層(31)、前記第1のポリマー材料を含む絶縁層(33)、および外側半導体層(35)を備える絶縁システム(29)と、を備える3つの単芯海底電力ケーブル(25)と、
前記3芯海底電力ケーブル(1)の各電力コア(3a、3b、3c)を前記単芯海底電力ケーブル(25)のそれぞれの1つに接続する剛性ジョイント(49)と、
を備える、高電圧(HV)または超高電圧(EHV)海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項2】
前記第1のポリマー材料が、架橋ポリマー、XLPE、ポリプロピレンなどの熱可塑性ポリオレフィン、またはエチレンプロピレンゴム(EPR)もしくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリオレフィンエラストマーである、請求項1に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項3】
前記3つの電力コア(3a、3b、3c)の各々が、前記絶縁システム(7a、7b、7c)の周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層(15a、15b、15c)を備えるか、または前記3つの電力コア(3a、3b、3c)の各々が、湿式もしくは半湿式設計を有し、前記3芯海底電力ケーブル(1)が、前記3つの撚線電力コア(3a、3b、3c)の周りに螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤ(21)を備える装甲層(19)を備える、請求項1または2に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項4】
各単芯海底電力ケーブル(25)が、前記絶縁システム(29)の周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層(37)を備えるか、または各単芯海底電力ケーブル(25)が、湿式もしくは半湿式設計を有し、かつ前記金属製遮水層(37)の周りに螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤ(43)を備えるそれぞれの装甲層(41)を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項5】
前記単芯海底電力ケーブル(25)の前記装甲ワイヤ(43)が、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、およびポリマー材料のうちの1つを含む、請求項4に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項6】
前記剛性ジョイント(49)が、各々がそれぞれの電力コア(3a,3b,3c)の前記絶縁システム(7a、7b、7c)を前記単芯海底電力ケーブル(25)のうちの1つの前記絶縁システム(29)に接続する3つの予め成形されたジョイントスリーブを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項7】
前記3芯海底電力ケーブル(1)および前記3つの単芯海底電力ケーブル(25)が、AC電力ケーブルである、請求項1から6のいずれか一項に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項8】
前記3つの単芯海底電力ケーブル(25)の各々の前記導体(27)が、Milliken型である、請求項1から7のいずれか一項に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)を備え、
前記3芯海底電力ケーブル(1)が、沖合に敷設されており、
前記剛性ジョイント(49)が、前記3つの単芯海底電力ケーブル(25)が陸地に着く前の沖合に設置されており、各3つの単芯海底電力ケーブルの第1のセクション(63)が、水中に延在し、
各3つの単芯海底電力ケーブル(25)の第2のセクション(65)が、陸上に延在する、
海底電力ケーブル設備(53)。
【請求項10】
前記単芯海底電力ケーブル(25)が、少なくとも距離dだけ互いに離間して配置されている、請求項9に記載の海底電力ケーブル設備(53)。
【請求項11】
前記距離dが、1mである、請求項10に記載の海底電力ケーブル設備(53)。
【請求項12】
前記3つの単芯電力ケーブル(25)が、地中に設置されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル設備(53)。
【請求項13】
前記第1のセクション(63)に沿った少なくとも1つの場所で、前記3つの単芯海底電力ケーブル(25)が、前記剛性ジョイント(49)よりも深い場所に位置する、請求項9から12のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル設備(53)。
【請求項14】
前記3つの単芯海底電力ケーブル(25)における熱損失の低減に基づいて前記HVまたはEHV海底電力ケーブルシステム(47)の電流定格を増加させることを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の海底電力ケーブル設備(53)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、海底電力ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電力ケーブルは、絶縁システムの完全性を保証するために、所定の最大許容温度までのみ動作させられる。これは、最大許容温度が電力ケーブルの電力容量の上限を定義することを意味する。
【0003】
海底電力ケーブルの熱的ボトルネックは、通常、陸地に位置しており、そこではより深い埋設深さに起因して、周囲の土壌への熱伝達は、電力ケーブルの水中セクションよりも効率が低い。陸地セクションにおける海底AC3芯電力ケーブルの電力容量を改善するための解決策は、導体サイズを増大させること、アルミニウムの代わりに銅導体材料を使用すること、および/またはケーブル損失を低減するために非磁性装甲材料を使用することを含む。
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、上述のパラメータに任意の制限をすることなく海底AC3芯電力ケーブルの電力容量を改善すること、または電力容量をよりさらに改善することが望ましい。上記を鑑みて、本開示の目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する高電圧または超高電圧海底電力ケーブルシステムを提供することである。
【0005】
したがって、第1の態様によれば、各々がそれぞれの導体と、導体の周りに配置されており内側半導体層、第1のポリマー材料を含む絶縁層、および外側半導体層を備える絶縁システムと、を備える3つの撚線電力コアを備える3芯海底電力ケーブルと、各々がそれぞれの導体と、導体の周りに配置されており内側半導体層、第1のポリマー材料を含む絶縁層、および外側半導体層を備える絶縁システムと、を備える3つの単芯海底電力ケーブルと、3芯海底電力ケーブルの各電力コアを単芯海底電力ケーブルのそれぞれの1つに接続する剛性ジョイントと、を備える高電圧(HV)または超高電圧(EHV)海底電力ケーブルシステムが提供される。
【0006】
3芯海底電力ケーブルを3つの単芯海底電力ケーブルに接合することにより、3つの単芯海底電力ケーブルの周囲による冷却が、陸地にて改善される。したがって、3芯海底電力ケーブルの最大電力容量が増加する。あるいは、3つの単芯海底電力ケーブルの導体サイズまたは断面が、必要な元の電力定格を維持しながら、使用されるケーブル材料の量を減らすために最小化され得る。
【0007】
高電圧とは、本明細書では、定格電圧72kV以上などの定格電圧30kV以上を意味する。超高電圧とは、150kVよりも高い定格電圧を意味する。
【0008】
一実施形態によれば、第1のポリマー材料は、架橋ポリマー、XLPE、ポリプロピレンなどの熱可塑性ポリオレフィン、またはエチレンプロピレンゴム(EPR)もしくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリオレフィンエラストマーである。
【0009】
一実施形態によれば、3つの電力コアの各々は、絶縁システムの周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層を備えるか、または3つの電力コアの各々は、湿式もしくは半湿式設計を有し、3芯海底電力ケーブルは、3つの撚線電力コアの周りに螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤを備える装甲層を備える。
【0010】
「湿式設計」とは、本明細書では、絶縁システムの外側に金属製の水バリアが存在しないことを意味する。本明細書で定義される湿式設計では、絶縁システムと同心円状かつ半径方向外側に配置されたポリマーシースがあってもよく、絶縁システムとポリマーシースとの間にスクリーン層が任意選択的にあってもよい。
【0011】
本明細書で定義される半湿式設計はまた、絶縁システムの外側に金属製の水バリアが存在しないことを意味する。しかしながら、絶縁システムの半径方向外側であり、絶縁システムと同心円状に配置されたポリマーシースの半径方向内側に配置された、水膨潤テープの層がある。
【0012】
一実施形態によれば、各単芯海底電力ケーブルは、絶縁システムの周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層を備えるか、または各単芯海底電力ケーブルは、湿式もしくは半湿式設計を有し、かつ金属製遮水層の周りに螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤを備えるそれぞれの装甲層を有する。
【0013】
一実施形態によれば、単芯海底電力ケーブルの装甲ワイヤは、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、およびポリマー材料のうちの少なくとも1つを含む。銅、アルミニウム、ステンレス鋼、およびポリマー材料は非磁性である。したがって、陸地セクションにおけるHVまたはEHV海底電力ケーブルシステムのAC損失がさらに低減され得、HVまたはEHV海底電力ケーブルシステムの最大電力容量をさらに改善することができる。
【0014】
一実施形態によれば、剛性ジョイントは、各々がそれぞれの電力コアの絶縁システムを単芯海底電力ケーブルのうちの1つの絶縁システムに接続する3つの予め成形されたジョイントスリーブを備える。
【0015】
予め成形されたジョイントスリーブは、第1のポリマー材料を含み得る。
【0016】
一実施形態によれば、3芯海底電力ケーブルおよび3つの単芯海底電力ケーブルは、AC電力ケーブルである。
【0017】
一実施形態によれば、3つの単芯海底電力ケーブルの各々の導体は、Milliken型である。HVまたはEHV海底電力ケーブルシステムのAC損失は、Milliken型導体を使用する場合、他の導体タイプを使用する場合と比較して、陸地セクションにおいてさらに低減され得、HVまたはEHV海底電力ケーブルシステムの最大電力容量をさらに改善することができる。
【0018】
第2の態様によれば、第1の態様のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステムを備え、3芯海底電力ケーブルが、沖合に敷設されており、剛性ジョイントが、3つの単芯海底電力ケーブルが陸地に着く前の沖合に設置されており、各3つの単芯海底電力ケーブルの第1のセクションが、水中に延在し、各3つの単芯海底電力ケーブルの第2のセクションが、陸上に延在する、海底電力ケーブル設備が提供される。
【0019】
一実施形態によれば、単芯海底電力ケーブルは、少なくとも距離dだけ互いに離間して配置されている。単芯海底電力ケーブルを互いに距離を置いて配置することにより、各単芯海底電力ケーブルからの熱放出が3つの単芯海底電力ケーブルの他の単芯海底電力ケーブルに及ぼす影響がより小さくなることとなるため、単芯海底電力ケーブルの冷却がより効率的になることとなる。したがって、HVまたはEHV海底電力ケーブルシステムの最大電力容量がさらに改善され得る。
【0020】
一実施形態によれば、距離dは1mである。
【0021】
一実施形態によれば、3つの単芯電力ケーブルは地中に設置されている。
【0022】
一実施形態によれば、第1のセクションに沿った少なくとも1つの場所で、3つの単芯海底電力ケーブルは、剛性ジョイントよりも深い場所に位置する。
【0023】
第3の態様によれば、3つの単芯海底電力ケーブルにおける熱損失の低減に基づいてHVまたはEHV海底電力ケーブルシステムの電流定格を増加させることを含む、第2の態様の海底電力ケーブル設備を動作させる方法が提供される。
【0024】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で別途明示的に定義されていない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the要素、装置、構成要素、手段」などへのすべての言及は、別途明示的な指定のない限り、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの実例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0025】
次に、添付の図面を参照して、本発明の概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】3芯海底電力ケーブルの一例の断面を概略的に示す。
図2】単芯海底電力ケーブルの一例の断面を概略的に示す。
図3】3芯海底電力ケーブルと3つの単芯海底電力ケーブルとの間のジョイントを概略的に描写する。
図4】海底電力ケーブル設備の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の概念を、例示的な実施形態を示す添付の図面を参照して以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0028】
図1は、3芯海底電力ケーブル1の一例の断面図を示している。
【0029】
3芯海底電力ケーブル1は、HVまたはEHV3芯海底電力ケーブルである。
【0030】
3芯海底電力ケーブル1は、AC電力ケーブルである。
【0031】
HVまたはEHV3芯海底電力ケーブル1は、3つの電力コア3a~3cを備える。電力コア3a~3cは撚り合わされている。
【0032】
各電力コア3a~3cは、それぞれの導体5a~5cを備える。
【0033】
各電力コア3a~3cは、それぞれの導体5a~5cの周りに配置された絶縁システム7a~7cを備える。
【0034】
各絶縁システム7a~7cは、導体5a~5cの周りに配置された内側半導体層9a~9cと、内側半導体層9a~9cの周りに配置された絶縁層11a~11cと、絶縁層11a~11cの周りに配置された外側半導体層13a~13cと、を備える。
【0035】
絶縁層11a~11cは、第1のポリマー材料を含む。第1のポリマー材料は、例えば、架橋ポリオレフィン、例えば架橋ポリエチレン(XLPE)などのポリオレフィン、またはポリプロピレンなどの熱可塑性ポリオレフィン、またはエチレンプロピレンゴム(EPR)もしくはエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどのポリオレフィンエラストマーを含み得る。
【0036】
内側半導体層9a~9cおよび外側半導体層13a~13cは、カーボンブラックなどの導電性粒子と混合されたポリマー材料を含み得る。
【0037】
絶縁システム7a~7cは、押出絶縁システム、例えば三重押出絶縁システムであり得る。
【0038】
各電力コア3a~3cは、絶縁システム7a~7cの周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層15a~15cをさらに備え得る。金属製遮水層15a~15cは、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、または鉛を含み得る。
【0039】
各電力コア3a~3cは、絶縁システム7a~7cの周りに配置されたそれぞれのポリマーシース17a~17cを備え得る。電力コア3a~3cが金属製遮水層15a~15cを備える場合、ポリマーシース17a~17cは、金属製遮水層15a~15cの周りに配置される。
【0040】
3芯海底電力ケーブル1は、3つの撚線電力コア3a~3cの周りに螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤ21を備える装甲層19を備え得る。
【0041】
3芯海底電力ケーブル1は、3芯海底電力ケーブル1の最外層を形成する外層23を備える。外層23は、ポリマー材料を含む外側シース、または螺旋状に巻かれたポリマーヤーンで構成された外側サービングであり得る。
【0042】
図2は、単芯海底電力ケーブル25の断面図を示している。
【0043】
単芯海底電力ケーブル25は、HVまたはEHV単芯海底電力ケーブルである。
【0044】
単芯海底電力ケーブル25は、AC電力ケーブルである。
【0045】
単芯海底電力ケーブル25は、個々の電力コア3a~3cのうちのいずれか1つの電力容量と同じ電力容量を有するように設計され得る。
【0046】
3つの単芯海底電力ケーブル25は、図3を参照してより詳細に説明するように、3芯海底電力ケーブル1と一緒にHVまたはEHV海底電力ケーブルシステムの一部を形成する。
【0047】
各単芯海底電力ケーブル25は、電力コア3a~3cのそれぞれの1つと接合されている。
【0048】
各単芯海底電力ケーブル25は、導体27と、導体27の周りに配置された絶縁システム29と、を備える。
【0049】
導体27は、例えば、丸撚り導体、中実導体、キーストーンもしくはプロファイル導体、またはMilliken導体であり得る。
【0050】
絶縁システム29は、導体27の周りに配置された内側半導体層31と、内側半導体層31の周りに配置された絶縁層33と、絶縁層33の周りに配置された外側半導体層35と、を備える。
【0051】
絶縁層29は、第1のポリマー材料、すなわち、電力コア3a~3cの絶縁層7a~7cと同じポリマー材料を含む。
【0052】
内側半導体層31および外側半導体層35は、カーボンブラックなどの導電性粒子と混合されたポリマー材料を含み得る。
【0053】
絶縁システム29は、押出絶縁システム、例えば三重押出絶縁システムであり得る。
【0054】
各単芯海底電力ケーブル25は、絶縁システム29の周りに配置されたそれぞれの金属製遮水層37を備え得る。金属製遮水層37は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、または鉛を含み得る。
【0055】
各単芯海底電力ケーブル25は、絶縁システム29の周りに配置されたポリマーシース39を備え得る。単芯海底電力ケーブル25が金属製遮水層37を備える場合、ポリマーシース39は、金属製遮水層37の周りに配置される。
【0056】
各単芯海底電力ケーブル25は、絶縁システム29および存在する場合には金属製遮水層37の周りに、螺旋状に配置された複数の装甲ワイヤ43を備えるそれぞれの装甲層41を備え得る。
【0057】
装甲ワイヤ43は、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、および/またはポリマー材料を含み得る。
【0058】
各単芯海底電力ケーブル25は、単芯海底電力ケーブル25の最外層を形成する外層45を備える。外層45は、ポリマー材料を含む外側シース、または螺旋状に巻かれたポリマーヤーンで構成された外側サービングであり得る。
【0059】
図3は、3芯海底電力ケーブル1などの3芯海底電力ケーブルと、単芯海底電力ケーブル25などの3つの単芯海底電力ケーブルと、を備えるHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47の一例を概略的に示している。HVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47はまた、3芯海底電力ケーブル1の電力コア3a~3cを単芯海底電力ケーブル25のそれぞれの1つと接続する剛性ジョイント49を備える。
【0060】
剛性ジョイント49は、それぞれの導体ジョイント、すなわち、3芯海底電力ケーブル1の導体5a~5cと単芯海底電力ケーブル25のうちの1つの導体27との間のジョイントの上に各々配置された3つの予め成形されたジョイントスリーブを備え得る。予め成形されたジョイントスリーブは、導体ジョイントの上の絶縁システムを復元し、フィールドグレーディング特性を有し得る。剛性ジョイント49は、3つの内側ケーシングを備え得る。内側ケーシングは、金属製であり得る。各導体ジョイントおよび予め成形されたスリーブは、それぞれの内側ケーシング内に配置されており、金属製遮水層15a~15cおよび37は、それらの全周に沿って、それぞれの内側ケーシングに例えばはんだ付けまたは溶接によって熱的に取り付けられ得る。剛性ジョイント49は、外側ケーシング51をさらに備え、その内側に3つの内側ケーシングが配置されている。外側ケーシング51は、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属製であり得る。3芯海底電力ケーブル1の装甲ワイヤ21は、外側ケーシング51に取り付けられ得る。3つの単芯海底電力ケーブル25の装甲ワイヤ43は、外側ケーシング51に取り付けられ得る。装甲ワイヤ21および43の取付けは、例えば、外側ケーシング51のそれぞれの溶接スリーブへの溶接によって、および/またはクランプによって行われ得る。
【0061】
設置状態では、単芯海底電力ケーブル25は、少なくとも1mとされ得る少なくとも距離dだけ互いに離間して配置される。したがって、各単芯海底電力ケーブル25は、他の2つの単芯海底電力ケーブル25のうちのいずれかから少なくとも1mの距離に配置され得る。距離dは、典型的には、3つの単芯海底電力ケーブル25が外側ケーシング51から出る剛性ジョイント49では達成されないが、単芯海底電力ケーブル25のうちの少なくとも2つが他の単芯海底電力ケーブル25の各々から屈曲させられるため、外側ケーシング51から1メートル以上など、ある程度離れた距離で達成される。
【0062】
図4は、設置状態のHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47を備える海底電力ケーブル設備53の一例を示している。
【0063】
例示を目的として、HVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47は、風力タービン55などの洋上風力タービンと、風力タービン55に接続され、水上54に配置された洋上変電所57と、を含む洋上風力発電所の文脈で示されている。
【0064】
アレイケーブル59が、風力タービン55と洋上変電所57との間に接続されている。エクスポートケーブルであり得る3芯海底電力ケーブル1は、洋上変電所57に接続されており、岸に向かって導かれている。したがって、3芯海底電力ケーブル1は、沖合、水中に配置されている。
【0065】
剛性ジョイント49は、3つの単芯海底電力ケーブル25が陸地に着く前の沖合に設置されている。陸地は、海岸と同じ高さで始まり、右を向いた矢印によって示すように、垂直破線61の右側に位置する。各3つの単芯海底電力ケーブル25の第1のセクション63は水中に延在する。典型的には、第1のセクション63は、地中沖合に延在する。3つの単芯海底電力ケーブル25の各々の第2のセクション65は、陸上に延在する。典型的には、第2のセクション65は、沿岸地中に位置する。
【0066】
第1のセクション63に沿った少なくとも1つの場所において、3つの単芯海底電力ケーブル25は、剛性ジョイント49よりも深い場所に位置する。
【0067】
海底電力ケーブル設備53を動作させる方法は、3つの単芯海底電力ケーブル25が第1のセクション63および第2のセクション65に沿って3芯海底電力ケーブルで置き換えられることとなる場合と比較して、例えば、3芯海底電力ケーブル1の接合が剛性ジョイント49によって行われなかった場合と比較して、3つの単芯海底電力ケーブル25における熱損失の低減に基づいてHVまたはEHV海底電力ケーブルシステム47の電流定格を増加させることを含む。
【0068】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】