(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108145
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】エアロゲル繊維
(51)【国際特許分類】
D01F 6/00 20060101AFI20240802BHJP
D01F 9/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
D01F6/00 A
D01F9/04
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024008906
(22)【出願日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】63/482,075
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/402,071
(32)【優先日】2024-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケブラー
(71)【出願人】
【識別番号】514284958
【氏名又は名称】ナノ アンド アドヴァンスト マテリアルズ インスティテュート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nano and Advanced Materials Institute Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オー ウィン ニェン ワイリー
(72)【発明者】
【氏名】ドン チェンへ
(72)【発明者】
【氏名】レン チャンバオ
(72)【発明者】
【氏名】ダン チェン
【テーマコード(参考)】
4L035
【Fターム(参考)】
4L035AA04
4L035BB03
4L035BB14
4L035BB15
4L035BB89
4L035BB91
4L035CC20
4L035DD07
4L035DD20
4L035EE20
4L035FF01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】持続可能な資源を用いて製造することができる、高い空隙率を有する改善された超軽量繊維を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸(PLA)、アルギン酸ナトリウム、セルロース、酸化セルロース、及びこれらの混合物からなる群より選択されるエアロゲルポリマーを含むエアロゲル繊維であって、エアロゲルポリマーは任意で架橋剤によって架橋されており、エアロゲル繊維は、0.20tex以下の線密度、5~20cN/texの繊維テナシティ、3~20%の破断伸び、及び5μm~200μmの平均直径を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸(PLA)、アルギン酸ナトリウム、セルロース、酸化セルロース、及びこれらの混合物からなる群より選択されるエアロゲルポリマーを含むエアロゲル繊維であって、前記エアロゲルポリマーは任意で架橋剤によって架橋されており、前記エアロゲル繊維は、0.20tex以下の線密度、5~20cN/texの繊維テナシティ、3~20%の破断伸び、及び5μm~200μmの平均直径を有する、エアロゲル繊維。
【請求項2】
前記エアロゲルポリマーは、セルロース、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)-酸化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、TEMPO-酸化ミクロフィブリル化セルロース、セルロースナノフィブリル、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項3】
前記エアロゲルポリマーは、メチルトリメトキシシラン、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、塩、及びこれらの混合物からなる群より選択される架橋剤によって架橋されている、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項4】
前記エアロゲルポリマーは、塩化カルシウムによって架橋されている、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項5】
前記エアロゲルポリマーは、アルギン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項6】
前記エアロゲル繊維は、前記エアロゲル繊維の外面にグラフトされた疎水性アルキルシラン、脂肪族エステル、又はこれらの組合せをさらに含む、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項7】
前記エアロゲル繊維は、5~30μmの平均直径を有する、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項8】
前記エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティを有する、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項9】
前記エアロゲル繊維は、0.1~0.2texの線密度を有する、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項10】
前記エアロゲルは、メソ多孔質、ナノ多孔質、又はミクロ多孔質である、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項11】
前記エアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項12】
前記エアロゲル繊維はアルギン酸ナトリウムを含み、前記エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティ、15μm~20μmの平均直径、0.15~0.2texの線密度を有し、且つ前記エアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む、請求項1に記載のエアロゲル繊維。
【請求項13】
請求項1に記載のエアロゲル繊維を含むテキスタイル。
【請求項14】
前記エアロゲル繊維はアルギン酸ナトリウムを含み、前記エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティ、15μm~20μmの平均直径、及び0.15~0.20texの線密度を有し、且つ前記エアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項15】
ステープル繊維、糸、布、衣類、リネン、カーテン、室内装飾材料、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項16】
天然繊維、合成繊維、半合成繊維、及びこれらの組合せからなる群より選択される1種又は複数種の付加的な繊維をさらに含む、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項17】
前記エアロゲル繊維及び前記1種又は複数種の付加的な繊維は、1:9~9:1の質量比で前記テキスタイル中に存在する、請求項16に記載のテキスタイル。
【請求項18】
ウールをさらに含み、前記テキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、より高い熱抵抗及びより低い質量を有する、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項19】
ウールをさらに含み、前記エアロゲル繊維及び前記ウールはそれぞれ2:3~3:2の質量比で前記テキスタイル中に存在し、前記テキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して9~25%高い熱抵抗を有する、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項20】
請求項1に記載のエアロゲル繊維を調製する方法であって、前記エアロゲルポリマーを含む紡糸溶液を提供するステップと、前記紡糸溶液を湿式紡糸し、それにより前記エアロゲルポリマーを含むフィラメントを形成するステップと、前記フィラメントを湿式延伸し湿式延伸フィラメントを形成するステップと、前記湿式延伸フィラメントを凍結乾燥させて前記エアロゲル繊維を形成するステップとを含む方法。
【請求項21】
前記紡糸溶液を湿式紡糸するステップは、前記紡糸溶液を0.1~5メートル/分の流速でマルチフィラメント紡糸口金を通して塩化カルシウムを含む凝固浴内に流し込むことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記湿式延伸するステップは、30~60℃において前記フィラメントを100~500%の総延伸比で延伸することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記エアロゲルポリマーを湿式紡糸するステップは、前記溶液を70~90℃の温度及び2.5~3メートル/分の流速で直径50~100ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金を通し、塩化カルシウムを含む凝固浴内に流し込むことを含み、前記湿式延伸するステップは、40~50℃において前記フィラメントを300~350%の総延伸比で延伸することを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその全体が本明細書に援用される、2023年1月30日に出願された米国仮特許出願第63/482,075号からの優先権を主張する。
【0002】
技術分野
高い断熱性能を有する軽量テキスタイルを調製するために有用なエアロゲル繊維が本願によって提供される。
【背景技術】
【0003】
持続可能で超軽量、そして衣類又は他のテキスタイルに組み込まれたときに温感を提供することができる繊維に対する需要がある。
【0004】
レスポンシブルウールは、ユーザーに快適さを提供するという利益のために、アウトドアファッション衣類においてますます重要な素材となっている。ウール布は、極端な気象条件下で使用するために厚みのある構造を必要とする。加えて、ウールの含湿量は、ほとんどの合成布と比較して高い。寒冷で極端な気象条件下で用いる超軽量パフォーマンスアクティブウェアへのウールの使用は、これらの特性により制限される。
【0005】
保温特性のために空隙率の高い超軽量中空繊維が市場に存在する。しかしながら、これらの繊維の熱損失は、そのマイクロスケールの中空コアから鞘構造を通る対流によって顕著である。さらに、市販の中空繊維は、一般的に絶縁性充填剤として入手可能であり、編み布には適さない。これらは本質的に合成であり、したがって持続可能ではない。再生セルロース製の中空繊維も市場で入手可能であるが、これらは、保水能力が非常に高いため、断熱用途での使用に適さない。これらは、水分調節布及び創傷被覆材としての使用により理想的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
持続可能な資源を用いて製造することができる、高い空隙率を有する改善された超軽量繊維が必要とされている。これらの繊維は、従来の繊維と一緒に適切に布に編み込まれると、極端な気象に対して高い断熱性能を有する軽量の布を提供することができ、寒冷で極端な気象条件下で使用するためのアウトドアファッション衣類及びパフォーマンスアクティブウェアに使用することできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様では、ポリ乳酸(PLA)、アルギン酸ナトリウム、セルロース、酸化セルロース、及びこれらの混合物からなる群より選択されるエアロゲルポリマーを含むcであって、エアロゲルポリマーは任意で架橋剤によって架橋されており、エアロゲル繊維は、0.20tex以下の線密度、5~20cN/texの繊維テナシティ、3~20%の破断伸び、及び5μm~200μmの平均直径を有する、エアロゲル繊維が提供される。
【0008】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、セルロース、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル(TEMPO)-酸化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、TEMPO-酸化ミクロフィブリル化セルロース、セルロースナノフィブリル、又はこれらの混合物を含む。
【0009】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、メチルトリメトキシシラン、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、塩、及びこれらの混合物からなる群より選択される架橋剤によって架橋されている。
【0010】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、塩化カルシウムによって架橋されている。
【0011】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、アルギン酸ナトリウムを含む。
【0012】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、エアロゲル繊維の外面にグラフトされた疎水性アルキルシラン、脂肪族エステル、又はこれらの組合せをさらに含む。
【0013】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、5~30μmの平均直径を有する。
【0014】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティを有する。
【0015】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、0.1~0.2texの線密度を有する。
【0016】
特定の実施形態では、エアロゲルは、メソ多孔質、ナノ多孔質、又はミクロ多孔質である。
【0017】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む。
【0018】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維はアルギン酸ナトリウムを含み、エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティ、15μm~20μmの平均直径、0.15~0.2texの線密度を有し、且つエアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む。
【0019】
第2の態様では、本願に記載のエアロゲル繊維を含むテキスタイルが提供される。
【0020】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維はアルギン酸ナトリウムを含み、エアロゲル繊維は、15~20cN/texの繊維テナシティ、15μm~20μmの平均直径、及び0.15~0.20texの線密度を有し、且つエアロゲル繊維は、平均直径が100~250nmの細孔を含む。
【0021】
特定の実施形態では、テキスタイルは、ステープル繊維、糸、布、衣類、リネン、カーテン、室内装飾材料、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0022】
特定の実施形態では、テキスタイルは、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、及びこれらの組合せからなる群より選択される1種又は複数種の付加的な繊維をさらに含む。
【0023】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維及び1種又は複数種の付加的な繊維は、1:9~9:1の質量比でテキスタイル中に存在する。
【0024】
特定の実施形態では、テキスタイルはさらにウールを含み、テキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、より高い熱抵抗及びより低い質量を有する。
【0025】
第3の態様では、本願に記載のエアロゲル繊維を調製する方法が提供され、本方法は、エアロゲルポリマーを含む紡糸溶液を提供するステップと、紡糸溶液を湿式紡糸してエアロゲルポリマーを含むフィラメントを形成するステップと、フィラメントを湿式延伸して湿式延伸フィラメントを形成するステップと、湿式延伸フィラメントを凍結乾燥させてエアロゲル繊維を形成するステップとを含む。
【0026】
特定の実施形態では、紡糸溶液を湿式紡糸するステップは、紡糸溶液を0.1~5メートル/分の流速でマルチフィラメント紡糸口金を通し、塩化カルシウムを含む凝固浴内に流し込むことを含む。
【0027】
特定の実施形態では、湿式延伸するステップは、30~60℃においてフィラメントを100~500%の総延伸比で延伸することを含む。
【0028】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーを湿式紡糸するステップは、溶液を70~90℃の温度及び2.5~3メートル/分の流速で直径50~100ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金を通し、塩化カルシウムを含む凝固浴内に流し込むことを含み、湿式延伸するステップは、40~50℃においてフィラメントを300~350%の総延伸比で延伸することを含む。
【発明の効果】
【0029】
本開示の上記及び他の目的及び特徴は、添付図面と併せて考慮すれば、本開示の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本明細書に記載される特定の実施形態に従うエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図2-1】-20℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図2-2】-20℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図2-3】-20℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図3-1】-20℃の凍結温度及び10%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図3-2】-20℃の凍結温度及び10%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図3-3】-20℃の凍結温度及び10%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図4-1】-50℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図4-2】-50℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【
図4-3】-50℃の凍結温度及び5%w/wの凝固浴で調製されたエアロゲル繊維の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
定義
本願全体にわたって、組成物が特定の成分を有する、包含する又は含むとして記載される場合、或いはプロセスが特定のプロセスステップを有する、包含する又は含むとして記載される場合、本教示の組成物は、記載された成分から本質的になる、又は記載された成分からなる可能性もあること、そして本教示のプロセスは、記載されたプロセスステップから本質的になる、又は記載されたプロセスステップからなる可能性もあることが企図される。
【0032】
本出願において、要素又は成分が記載された要素又は成分のリストに含まれる、及び/又はリストから選択されると言われる場合、その要素又は成分は、記載された要素又は成分いずれか1種であり得る、或いはその要素又は成分は、記載された要素又は成分の2種以上からなる群より選択され得ることが理解されるべきである。さらに、本明細書に記載される組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本明細書において明示的であるか暗黙的であるかにかかわらず、本教示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々は方法で組み合わせられ得ることが理解されるべきである。
【0033】
ステップの順序又は特定の行為を実施する順序は、本教示が実施可能である限り重要でないことが理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップ又は行為が同時に実行されてもよい。
【0034】
本明細書中の単数形の使用は、具体的に他に明記されない限り、複数形を含む(逆も同様)。加えて、「約」という用語が定量値の前に使用される場合、具体的に他に明記されない限り、本教示はその特定の定量値自体も含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、他に記載又は推測されない限り、公称値からの±10%、±7%、±5%、±3%、±1%、又は±0%の変動を指す。
【0036】
ポリ乳酸(PLA)、アルギン酸ナトリウム、セルロース、酸化セルロース、及びこれらの混合物からなる群より選択されるエアロゲルポリマーを含むエアロゲル繊維であって、エアロゲルポリマーは任意で架橋剤によって架橋されており、エアロゲル繊維は、0.20tex以下の線密度、5~20cN/texの繊維テナシティ、3~20%の破断伸び、及び5μm~200μmの平均直径を有する、エアロゲル繊維が提供される。
【0037】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、セルロース、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)-酸化セルロース、ミクロフィブリル化セルロース、TEMPO-酸化ミクロフィブリル化セルロース、セルロースナノフィブリル、又はこれらの混合物を含む。特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、ポリビニルアルコール又はポリピロールを含まない。
【0038】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、500~600mPa・sの粘度(水中1%)を有するアルギン酸ナトリウムを含み、架橋剤によって任意選択的に架橋することができる。
【0039】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、170kg/molの平均分子量を有するPLAを含む。特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、TotalEnergies Corbion社により商品名Luminy(登録商標)L130で販売されているPLAを含む。
【0040】
エアロゲルポリマーは、任意の原料から得ることができる。特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、使用済のトウモロコシの皮、紙パルプ、ウッドパルプ、もみ殻、及び果実の皮のうちの1種又は複数種から得られるセルロースから調製される。
【0041】
特定の実施形態では、エアロゲルポリマーは、架橋剤によって架橋される。架橋剤は、エアロゲルポリマー中に存在する求核剤と反応することができる2個、3個、4個、5個、又はそれ以上の求電子種を含む任意の架橋剤であり得る。特定の実施形態では、架橋剤は、メチルトリメトキシシラン、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、及びこれらの混合物からなる群より選択される。特定の実施形態では、架橋剤はBDDEである。
【0042】
特定の実施形態では、架橋剤は、少なくとも1つのカチオン及び少なくとも1つのアニオンを含む塩であり、カチオンは+1、+2、+3、+4、又は+5の電荷を有し、そして塩は、イオン結合及び/又は水素結合相互作用によって、エアロゲルポリマー中に存在する1種又は複数種の置換基と結合することができる。特定の実施形態では、架橋剤は、Li+、Ca2+、Mg2+、Cu1+、Cu2+、Zn2+、又はAl3+を含む塩である。塩は、任意のアニオンを含むことができる。適切なアニオンには、ハロゲン化物アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、炭酸アニオン、硫酸アニオン、酢酸アニオン、アルコキシドアニオンなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、架橋剤は、塩化カルシウム、塩化リチウム、塩化銅、塩化亜鉛、及び塩化アルミニウムからなる群より選択される。特定の実施形態では、架橋剤は塩化カルシウムである。
【0043】
エアロゲル繊維は、ミクロ多孔質(<2nm)、メソ多孔質、ナノ多孔質(2~50nm)、マクロ多孔質(>50nm)、又はこれらの組合せであり得る。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、ナノ多孔質(1~100nm)である。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、1~20nm、20~100nm、100~500nm、500~1,000nm、若しくは1,000~3,000nm、又はこれらの組合せの平均サイズを有する細孔を含む。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、100~250nmの平均サイズを有する細孔を含む。
【0044】
エアロゲル繊維の耐水性は、アルキルシラン、脂肪族エステル、及びこれらの混合物から選択される疎水性剤を用いた表面修飾によって改善することができる。疎水性剤は、エアロゲル繊維の外面と反応することができ、それにより、エアロゲル繊維の表面エネルギーが低下し、水接触角が増大する。エアロゲル繊維の表面に存在する求核剤と反応して、表面エネルギーの低下をもたらすことができる任意の疎水性剤を使用することができる。例示的な疎水性剤には、C8~C20アルキルアシルハロゲン化物、C8~C20アルキル無水物、(C8~C20トリアルキル)(ハロ)シラン、及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維はさらに、ビタミン、保湿剤、界面活性剤、香料、日焼け止め剤、色安定剤、顔料、又はこれらの混合物を含む。
【0046】
有利なことに、本明細書に記載されるエアロゲル繊維は、5~200μmの平均直径を有することができ、これにより手触りが改善され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載されるエアロゲル繊維は、5~200μm、5~150μm、5~100μm、5~75μm、5~50μm、5~40μm、5~30μm、10~30μm、10~25μm、10~20μm、15~20μm、16~20μm、17~20μm、又は18~19μmの平均直径を有することができる。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、約18.81μmの平均直径を有する。
【0047】
エアロゲル繊維は、5~20cN/tex、6~20cN/tex、7~20cN/tex、8~20cN/tex、9~20cN/tex、10~20cN/tex、11~20cN/tex、12~20cN/tex、13~20cN/tex、14~20cN/tex、15~20cN/tex、16~20cN/tex、17~20cN/tex、17~19cN/tex、17~18cN/texの繊維テナシティを有することができる。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、約17.1cN/texの繊維テナシティを有する。
【0048】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、0.1~10%、0.5~10、1~10%、1~9%、1~8%、1~7%、1~6%、1~5%、1~4%、2~4%、3~4%、3~3.5%、0.1~9%、0.1~8%、0.1~7%、0.1~6%、0.1~5%、0.5~5%、0.5~4.5%、0.5~4%、0.5~3.5%、1~3.5%、1.5~3.5%、2~3.5%、又は2.5~3.5%の破断伸びを有する。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、約3.3%の破断伸びを有する。
【0049】
特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、0.01~0.2tex、0.05~0.2tex、0.1~0.2tex、0.11~0.2tex、0.12~0.2tex、0.13~0.2tex、0.14~0.2tex、0.15~0.2tex、0.16~0.2tex、0.17~0.2tex、0.17~0.19tex、又は0.17~0.18texの線密度を有する。特定の実施形態では、エアロゲル繊維は、約0.174texの線密度を有する。
【0050】
本開示は、本明細書に記載されるエアロゲル繊維を含むテキスタイルも提供する。テキスタイルは、特に限定されない。特定の実施形態では、テキスタイルは、ステープル繊維、糸、布、衣類、リネン、カーテン、室内装飾材料、又はこれらの組合せからなる群より選択される。
【0051】
糸には、例えば、撚り合わされた複数のステープル繊維、撚りを伴わずに並置されたフィラメント、ある程度の撚りを伴って並置されたフィラメント、及び撚りの有無に関わらない単一のフィラメントが含まれ得る。糸は、テクスチャー加工がなされていてもいなくてもよい。適切な布には、同様に、例えば、織布、編み布、及び不織布が含まれ得る。衣類は、衣装及び工業用衣類であり得る。布及びテキスタイルには、リネン、カーテン、及び室内装飾材料(自動車、船、エアラアインが含まれる)などの家庭用品が含まれ得る。
【0052】
特定の実施形態では、テキスタイルはさらに、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、及びこれらの組合せからなる群より選択される1種又は複数種の付加的な繊維を含む。
【0053】
天然有機繊維は、任意の植物又は動物由来のものであり得るが、例えば、木材、竹、綿、バナナ、ピニャ、ヘンプ ラミー、リネン、ココヤシ、大豆、ミルク、ホヤ、バガス、ケナフ、レッティング(retting)、ムドラー(mudrar)、絹、ウール、カシミヤ、アルパカ、アンゴラウール、モヘア、シアリング、ビクーニャ、シャトゥーシュなどのいずれか1つ又は組合せなどの、セルロースを含有する天然産物から得られる繊維材料が含まれる。
【0054】
半合成繊維には、例えば、ビスコース、銅アンモニウム、レーヨン、ポリノジック、リヨセル、酢酸セルロースなどのいずれか1つ又は組合せが含まれ得る。
【0055】
合成繊維には、例えば、アクリル、ケブラー、モダクリル、ノーメックス、スパンデックス、ナイロン、ポリエステル、アクリル、レーヨン、アセテートなどが含まれ得る。
【0056】
特定の実施形態では、テキスタイルは、本明細書に記載されるエアロゲル繊維及び1種又は複数種の付加的な繊維をそれぞれ1:9~9:1;1:9~4:1;1:9~7:3;1:9~3:2;1:9~1:1;1:4~1:1;3:7~1:1;3:7~2:3;1:4~4:1;3:7~7:3;2:3~3:2;又は9:11~11:9の質量比で含む。特定の実施形態では、テキスタイルは、本明細書に記載されるエアロゲル繊維及び1種又は複数種の付加的な繊維をそれぞれ約1:1の質量比で含む。特定の実施形態では、テキスタイルは、本明細書に記載されるエアロゲル繊維及びウール繊維をそれぞれ1:9~9:1;1:9~4:1;1:9~7:3;1:9~3:2;1:9~1:1;1:4~1:1;3:7~1:1;3:7~2:3;1:4~4:1;3:7~7:3;2:3~3:2;又は9:11~11:9の質量比で含む。特定の実施形態では、テキスタイルは、本明細書に記載されるエアロゲル繊維及びウール繊維をそれぞれ約1:1の質量比で含む。
【0057】
特定の実施形態では、テキスタイルは、本明細書に記載されるエアロゲル繊維及びウールを含む。有利なことに、ウール及び本明細書に記載されるエアロゲル繊維を含むテキスタイルは、ウールのみを含む同等のテキスタイルと比べて、より高い熱抵抗及び重量の低下を示す(例えば、特定の実施形態では、同等のテキスタイルは、ウールからなり、同じか又は実質的に同じ(例えば、参照値の±4%、±3%、±2%、±1%、又は±0.5%)糸直径、空隙率、糸番手を有し、同じ編み方を用いて構成される、などである)。本明細書に記載されるテキスタイルの熱抵抗は、GB11048-89、方法Aなどの当該技術分野で知られている任意の方法を用いて測定することができる。
【0058】
例えば、エアロゲル繊維及びウールを含むテキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、1~50%、5~50%、5~45%、5~40%、5~35%、5~30%、5~25%、5~20%、5~15%、5~10%、10~50%、15~50%、20~50%、25~50%、30~50%、40~50%、45~50%、10~25%、15~25%、20~25%、10~45%、15~40%、20~35%、又は25~30%高い熱抵抗を有することができる。特定の実施形態では、エアロゲル繊維及びウールをそれぞれ2:3~3:2の質量比で含むテキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、9~25%、10~24%、11~23%、12~22%、13~21%、14~20%、15~20%、15~19%、15~18%、15~17%、15~16%、16~18%、又は16~17%高い熱抵抗を有することができる。特定の実施形態では、エアロゲル繊維及びウールをそれぞれ約1対約1の質量比で含むテキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、約16.7%高い熱抵抗を有することができる。
【0059】
エアロゲル繊維及びウールをそれぞれ2:3~3:2の質量比で含むテキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、24~36%低い重量を有することができる。特定の実施形態では、エアロゲル繊維及びウールをそれぞれ約1対約1の質量比で含むテキスタイルは、ウールからなる同等のテキスタイルと比較して、約29%低い重量を有することができる。
【0060】
本明細書に記載されるテキスタイルの断熱特性は、テキスタイルを洗濯することによって大きな影響を受けない。例えば、本明細書に記載されるテキスタイルの断熱特性は、10回洗濯した後に、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下しか変化し得ない。
【0061】
また、本明細書に記載されるエアロゲル繊維を調製する方法も提供されており、本方法は、エアロゲルポリマーを含む紡糸溶液を提供するステップと、紡糸溶液を湿式紡糸してエアロゲルポリマーを含むフィラメントを形成するステップと、フィラメントを湿式延伸して湿式延伸フィラメントを形成するステップと、湿式延伸フィラメントを凍結乾燥させてエアロゲル繊維を形成するステップとを含む。
【0062】
紡糸溶液は、エアロゲルポリマーが溶解する任意の溶媒を含むことができる。適切な溶媒には、水、有機溶媒、又はこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。有機溶媒は、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2-ピロリドン、アセトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はこれらの組合せを含むことができる。特定の実施形態では、紡糸溶液は水を含む。特定の実施形態では、紡糸溶液は、塩化ナトリウム、エチレングリコール及びジメチルスルホキシドのうちの1種又は複数種などの凍結調節剤(ice regulator)を含まない。
【0063】
紡糸溶液を湿式紡糸するステップでは、紡糸溶液を紡糸口金(例えば、マルチフィラメント紡糸口金)に通して、凝固浴内に流し込むことを含み得る。
【0064】
凝固浴は、エアロゲルポリマーの溶解度が低い任意の溶媒を含むことができる。特定の実施形態では、凝固浴は、Li+、Ca2+、Mg2+、Cu1+、Cu2+、Zn2+、及びAl3+からなる群より選択される1種又は複数種のカチオンと、ハロゲン化物アニオン、硝酸アニオン、リン酸アニオン、炭酸アニオン、硫酸アニオン、酢酸アニオン、アルコキシドアニオンなどからなる群より選択される1種又は複数種のアニオンとを含む塩を含む水性溶媒を含む。特定の実施形態では、凝固浴は塩化カルシウムを含む。
【0065】
塩及びエアロゲルポリマーは、湿式紡糸条件下でエアロゲルポリマーを少なくとも部分的に凝固させるのに十分な任意の質量比で混ぜ合わせることができる。特定の実施形態では、塩及びエアロゲルポリマーはそれぞれ、1:100~100:1、1:9~9:1、1:5~5:1、1:4~4:1、1:3~3:1、2:3~3:2、1:1~9:1、3:2~9:1、7:3~9:1、又は4:1~9:1の質量比で存在する。特定の実施形態では、塩及びエアロゲルポリマーは、約8:1の質量比で存在する。
【0066】
エアロゲルポリマーがアルギン酸ナトリウム、酸化セルロース、又はこれらの混合物を含む場合、エアロゲルポリマー中に存在するアニオン部分は、凝固浴内に存在する塩によってその場で架橋され、それによりエアロゲルポリマーを架橋させることができる。
【0067】
紡糸溶液は、0.1~5、0.5~5、0.5~4.5、1.0~4.0、1.5~3.5、2.0~3.5、2.5~3.5、又は2.5~3.0メートル/分の流速で紡糸口金を通され得る。特定の実施形態では、紡糸溶液は、約2.8メートル/分の速度で紡糸口金を通される。
【0068】
湿式延伸するステップは、100~500%、150~500%、200~500%、200~450%、200~400%、250~400%、250~350%、又は300~350%の総延伸比でフィラメントを延伸することを含むことができる。特定の実施形態では、湿式延伸ステップは、約320%の総延伸比でフィラメントを延伸することを含む。
【0069】
湿式延伸するステップは、フィラメントを延伸することを含むことができ、30~60℃、40~60℃、又は40~50℃の温度で実行され得る。特定の実施形態では、湿式延伸するステップは、フィラメントを延伸することができ、約45℃の温度で実行され得る。
【0070】
湿式延伸フィラメントは凍結乾燥処理を受けて、エアロゲル繊維が形成される。凍結乾燥は、湿式延伸フィラメントの温度を(例えば、-100℃~-20℃まで)低下させ、次に圧力を低下させることによって達成することができ、これにより、湿式延伸フィラメント中に存在する液体が除去され、それによりエアロゲル繊維が形成される。
【実施例0071】
実施例1
アルギン酸ナトリウムを含むエアロゲル繊維を以下のように調製した。塩化カルシウム水溶液(10%w/w)を室温で凝固浴として使用し、直径70ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金(500F)を介して、2.8m/分の流速、80℃で5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液を湿式紡糸した。塩化カルシウムは、アルギン酸ナトリウムの架橋剤として使用した。得られた繊維を45℃の水中において320%の総延伸比で湿式延伸した。その後、この繊維を-80℃で3時間凍結させ、48時間凍結乾燥させて、17.1cN/texの繊維テナシティ及び3.3%の破断伸び(GB/T4711-84に従って決定)、18.81ミクロンの繊維直径(ASTM D2130-13に従って決定)、1.57デニールの線密度(0.17tex、ASTM D1577-07に従って決定)を有するエアロゲル繊維を提供した。
図1は、繊維の断面図を提供する。これらのSEM画像では、細孔サイズが100~250nmの範囲のナノ多孔質構造が観察された。
【0072】
比較として、マーセライズ加工ウール繊維は、18ミクロンの直径、3デニール(0.33tex)の線密度、1.99cN/texの繊維テナシティ、及び37.7%の破断伸びを有する。
【0073】
実施例2
カーディングプロセスによりマーセライズ加工ウール繊維及びエアロゲル繊維を混合することによって、実施例1で調製したエアロゲル繊維を50%w/wで含む複合糸を作製した。これを折り機によって細長片として補強した。これらの細長片をロービングとして1メートル当たり30~40回で撚り合わせ、次にこれを1メートル当たり610回で撚り合わせて26Nmの糸番手の糸にした。2本の糸を折り重ねて撚り合わせ、2/26Nmの糸番手の1本にし、圧力下で蒸気に当てた。この糸は、316±10ミクロンの平均直径を有すると確認された。
【0074】
実施例3
実施例2で得た複合糸を含むシングルジャージ編み布は、0.035m2K/Wの熱抵抗(GB11048-89、方法Aに従って決定)、0.23のクロー値、及び343g/m2の坪量を有した。比較として、比較例2のウール糸を含むシングルジャージ編み布は、0.03m2K/Wの熱抵抗、0.2のクロー値、及び485.9g/m2の坪量を有した。
【0075】
比較例1
塩化カルシウム水溶液(10%w/wの塩化カルシウムを含む4kgの水)を室温で凝固浴として使用し、直径70ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金(500F)を介して、2.8m/分の流速、80℃で5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液(5%w/wのアルギン酸ナトリウムを含む1kgのドープ溶液)を湿式紡糸した。得られた繊維を45℃の水中において320%の総延伸比で湿式延伸した。これを60℃で乾燥させて、19.5cN/texの繊維テナシティ、3.3%の破断伸び、23.06ミクロンの繊維直径、及び0.31texの線密度を有する繊維が提供された。
【0076】
比較例2
カーディングプロセスにより、マーセライズ加工ウール繊維を100%w/wで含むウール糸を作製した。これを折り機によって細長片として補強した。これらの細長片をロービングとして1メートル当たり30~40回で撚り合わせ、次にこれを1メートル当たり650回で撚り合わせて20Nmの糸番手の糸にした。2本の糸を折り重ねて撚り合わせ、2/20Nmの糸番手の1本にし、圧力下で蒸気に当てた。この糸の測定された平均直径は、281±16ミクロンであった。
【0077】
比較例3
塩化カルシウム水溶液(5%w/w)を室温で凝固浴として使用し、直径70ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金(500F)を介して、2.8m/分の流速、80℃で5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液を湿式紡糸紡糸した。塩化カルシウムは、アルギン酸ナトリウムの架橋剤として使用した。得られた繊維を45℃の水中において320%の総延伸比で湿式延伸した。その後、この繊維を-20℃で3時間凍結させ、48時間凍結乾燥させて、20cN/texの繊維テナシティ、3.22%の破断伸び、20.18ミクロンの繊維直径、及び0.25texの線密度を有するエアロゲル繊維を提供した。
図2-1~
図2-3はそれぞれ、このようにして形成された繊維の断面図を提供する。
【0078】
比較例4
塩化カルシウム水溶液(10%w/w)を室温で凝固浴として使用し、直径70ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金(500F)を介して、2.8m/分の流速、80℃で5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液を湿式紡糸した。塩化カルシウムは、アルギン酸ナトリウムの架橋剤として使用した。得られた繊維を45℃の水中において320%の総延伸比で湿式延伸した。その後、これらの繊維を-20℃で3時間凍結させ、48時間凍結乾燥させて、18cN/texの繊維テナシティ、3.38%の破断伸び、19.37ミクロンの繊維直径、及び0.24texの線密度を有するエアロゲル繊維を提供した。
図3-1~
図3-3はそれぞれ、このようにして形成された繊維の断面図を提供する。
【0079】
比較例5
塩化カルシウム水溶液(5%w/w)を室温で凝固浴として使用し、直径70ミクロンのマルチフィラメント紡糸口金(500F)を介して、2.8m/分の流速、80℃で5%w/wのアルギン酸ナトリウム水溶液を湿式紡糸した。塩化カルシウムは、アルギン酸ナトリウムの架橋剤として使用した。得られた繊維を45℃の水中において320%の総延伸比で湿式延伸した。その後、これらの繊維を-50℃で3時間凍結させ、48時間凍結乾燥させて、20cN/texの繊維テナシティ、3.15%の破断伸び、17.92ミクロンの繊維直径、及び0.25texの線密度を有するエアロゲル繊維を提供した。
図4-1~
図4-3はそれぞれ、このようにして形成された繊維の断面図を提供する。
【0080】