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特開2024-108151クッション及びクッションの配置構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108151
(43)【公開日】2024-08-09
(54)【発明の名称】クッション及びクッションの配置構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/42 20060101AFI20240802BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20240802BHJP
   A47C 27/14 20060101ALI20240802BHJP
   B68G 7/06 20060101ALI20240802BHJP
   A61G 5/12 20060101ALN20240802BHJP
【FI】
A47C7/42
A47C27/00 N
A47C27/00 M
A47C27/14 B
B68G7/06 B
A61G5/12 707
A61G5/12 704
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010000
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2023012063
(32)【優先日】2023-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】507097800
【氏名又は名称】有限会社ビューティフルライフ
(71)【出願人】
【識別番号】519164312
【氏名又は名称】合同会社KT福祉環境研究所
(71)【出願人】
【識別番号】516106232
【氏名又は名称】傳明地 洋基
(71)【出願人】
【識別番号】522341126
【氏名又は名称】山形 茂生
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】田中 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 清美
(72)【発明者】
【氏名】傳明地 洋基
(72)【発明者】
【氏名】山形 茂生
【テーマコード(参考)】
3B084
3B096
【Fターム(参考)】
3B084EC03
3B084FA01
3B096AA04
3B096AB06
3B096AD03
3B096AD07
3B096AD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者の座位姿勢または身体の背部や頭部の姿勢を支えて保持することができ、広い用途に適用できるクッション及びクッションの配置構造を提供する。
【解決手段】本発明を適用したクッションの一例であるクッションAは、本体部1と、膨らみ部2と、膨らみ部3を備えている。本体部1は、クッション1の本体となる部分であると共に、膨らみ部2と膨らみ部3を繋ぐ帯状の部材である。また、膨らみ部2及び膨らみ部3は、クッション1の左右の端部を構成し、本体部1よりも厚みの大きな部分である。また、膨らみ部2及び膨らみ部3は、本体部1の表面側及び裏面側の両方の面で、本体部1の方に向けて折り曲げ可能に構成されている。また、膨らみ部2または膨らみ部3は、本体部1を巻き付けながら、もう一方の膨らみ部の方に向けて回転させて、厚みのより大きな形状とすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に形成された本体部と、
前記本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記本体部よりも大きな厚みを有し、前記本体部の長手方向に沿った長さが、同本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同本体部に向けて折り曲げ可能である第1の膨らみ部と、
前記本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記本体部よりも大きな厚みを有し、前記本体部の長手方向に沿った長さが、同本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同本体部に向けて折り曲げ可能である第2の膨らみ部とを備える
クッション。
【請求項2】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部は、一方の膨らみ部を芯にして、他方の膨らみ部の方向に向けて、前記本体部を巻き付け可能に構成され、かつ、前記芯に前記本体部を巻き付けた形状が維持可能である
請求項1に記載のクッション。
【請求項3】
前記本体部の長手方向の長さは、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部における、前記本体部の長手方向に沿った長さの2倍~3倍の範囲内である
請求項1または請求項2に記載のクッション。
【請求項4】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部は、前記本体部の長手方向に沿った断面での形状が楕円形に形成され、
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部の厚みは、前記本体部の厚みの5~40倍の範囲内である
請求項1または請求項2に記載のクッション。
【請求項5】
前記本体部と前記第1の膨らみ部の接続位置及び前記本体部と前記第2の膨らみ部の接続位置は、前記本体部の厚み方向における、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部の厚みの略中央の位置である
請求項1または請求項2に記載のクッション。
【請求項6】
前記本体部は、厚み方向に沿って、上部本体部と下部本体部に分離可能に形成され、
前記上部本体部及び前記下部本体部の当接面には、互いに係合可能な面ファスナーが設けられ、前記面ファスナーの接合位置を変えることで、前記本体部の長手方向に沿った長さが調整可能である
請求項1または請求項2に記載のクッション。
【請求項7】
帯状に形成された第1の本体部と、
前記第1の本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記第1の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第1の本体部の長手方向に沿った長さが、同第1の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第1の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第1の本体部に向けて折り曲げ可能である第1の膨らみ部と、
前記第1の本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記第1の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第1の本体部の長手方向に沿った長さが、同第1の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第1の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第1の本体部に向けて折り曲げ可能である第2の膨らみ部と、
帯状に形成され、前記第1の本体部の短手方向側の一方の端縁に取り付けられた上下接続部と、
前記上下接続部の端縁のうち、前記第1の本体部の短手方向側の一方の端縁とは反対側の端縁に取り付けられ、帯状に形成された第2の本体部と、
前記第2の本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記第2の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第2の本体部の長手方向に沿った長さが、同第2の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第2の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第2の本体部に向けて折り曲げ可能である第3の膨らみ部と、
前記第2の本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記第2の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第2の本体部の長手方向に沿った長さが、同第2の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第2の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第2の本体部に向けて折り曲げ可能である第4の膨らみ部とを備える
クッション。
【請求項8】
前記本体部及び前記第1の膨らみ部を接続し、同本体部と同第1の膨らみ部を隔てる第1の接続部と、
前記本体部及び前記第2の膨らみ部を接続し、同本体部と同第2の膨らみ部を隔てる第2の接続部を有し、
前記本体部、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部はそれぞれ、内部に水または空気を注入して、膨らみ具合を調整可能である
請求項1に記載のクッション。
【請求項9】
前記本体部は、同本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、同本体部の短手方向の距離より短く形成され、同本体部の長手方向に沿って、同本体部を複数の膨らみ区画に分ける複数の本体部縦仕切り部を有し、
前記第1の膨らみ部は、前記本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、同第1の膨らみ部における同本体部の短手方向の距離より短く形成され、同本体部の長手方向に沿って、同第1の膨らみ部を複数の膨らみ区画に分ける第1の仕切り部を有し、
前記第2の膨らみ部は、前記本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、同第2の膨らみ部における同本体部の短手方向の距離より短く形成され、同本体部の長手方向に沿って、同第2の膨らみ部を複数の膨らみ区画に分ける第2の仕切り部を有する
請求項8に記載のクッション。
【請求項10】
前記本体部は、同本体部の長手方向に平行な向きで、かつ、同本体部の長手方向の距離より短く形成され、同本体部の短手方向に沿って、同本体部を複数の膨らみ区画に分ける複数の本体部横仕切り部を有する
請求項8に記載のクッション。
【請求項11】
前記本体部及び前記第1の膨らみ部を接続し、同本体部と同第1の膨らみ部を隔てる第1の接続部と、
前記本体部及び前記第2の膨らみ部を接続し、同本体部と同第2の膨らみ部を隔てる第2の接続部を有し、
前記本体部は、カバー体である本体カバー体で構成され、
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部の少なくとも一方は、カバー体である膨らみ部カバー体と、該膨らみ部カバー体の内側に配置される複数のチップ状部材からなるクッション中材及び水もしくは空気を充填した拡縮クッション材の少なくとも一方で構成された
請求項1に記載のクッション。
【請求項12】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部の少なくとも一方は、前記膨らみ部カバー体の内部に、前記クッション中材が配置され、該クッション中材は、前記チップ状部材の量が異なる複数のインナー材を組み合わせて構成された
請求項11に記載のクッション。
【請求項13】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部の少なくとも一方は、前記膨らみ部カバー体の内部に、前記クッション中材及び前記拡縮クッション材が配置された
請求項11または請求項12に記載のクッション。
【請求項14】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部はそれぞれ、前記膨らみ部カバー体の内側に、前記拡縮クッション材が配置された
請求項11に記載のクッション。
【請求項15】
前記本体部は、前記本体カバー体と、該本体カバー体の内側に配置され、同本体カバー体と同等の大きさを有し、水または空気を充填した本体用拡縮クッション材で構成された
請求項11または請求項14に記載のクッション。
【請求項16】
前記本体部は、前記本体カバー体と、該本体カバー体の内側に、同本体部の短手方向に平行な向きで配置され、同本体部の長手方向に沿って、同本体部を複数の膨らみ区画に分ける、複数のチップ状部材からなるクッション中材及び水または空気を充填した複数の本体部仕切り拡縮クッション材の少なくとも一方で構成された
請求項11または請求項14に記載のクッション。
【請求項17】
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部はそれぞれ、前記膨らみ部カバー体の内側に、前記クッション中材が配置された
請求項11に記載のクッション。
【請求項18】
前記本体部は、前記本体カバー体と、該本体カバー体の内側に配置され、同本体カバー体と同等の大きさを有する板状のウレタン材で構成された
請求項11または請求項17に記載のクッション。
【請求項19】
前記本体部は、前記本体カバー体と、該本体カバー体の内側に出し入れ可能に配置され、同本体カバー体と同等の大きさを有する板状のウレタン材で構成され、
前記ウレタン材は、前記本体カバー体の内側に配置可能、かつ、同ウレタン材を内部に収容可能なインナーカバーで覆われ、
前記本体カバー体には、同本体カバー体の状態を、前記ウレタン材及び前記インナーカバーを出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切替自在とする本体カバー開閉部が形成され、
前記膨らみ部カバー体には、同膨らみ部カバー体の状態を、前記クッション中材または前記拡縮クッション材を出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切替自在とする膨らみ部カバー開閉部が形成され、
前記本体部、前記第1の膨らみ部、前記第2の膨らみ部、前記第1の接続部または前記第2の接続部の少なくともいずれか1つに、紐またはベルトを挿通可能な複数のループ部が形成された
請求項11に記載のクッション。
【請求項20】
前記本体部は、前記本体カバー体と、該本体カバー体の内側に、同本体部の短手方向に平行な向きで配置され、同本体部の長手方向に沿って、同本体部を複数の膨らみ区画に分ける、複数の短冊状のウレタン材で構成された
請求項11または請求項17に記載のクッション。
【請求項21】
座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記背もたれには、前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項22】
前記背もたれに配置した前記クッションである第1のクッションの上から、さらに2つ目の前記クッションである第2のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記背もたれの上部及び前記第1のクッションの前記本体部の上端縁に、前記第2のクッションの前記本体部が引っ掛けられると共に、前記第2のクッションにおける前記第1の膨らみ部または前記第2の膨らみ部の一方が、前記第1のクッションの前記本体部における使用者側の面に位置するように、前記第2のクッションが配置された
請求項21に記載のクッションの配置構造。
【請求項23】
座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記座面には、前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項24】
座面、背もたれ及び車内の内部側に配置された肘置きを有する自動車の座席に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記背もたれには、前記本体部の一方の面と、前記本体部における前記一方の面側に折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きにおける延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項25】
座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記背もたれの上部に前記本体部が引っ掛けられると共に、前記第1の膨らみ部または前記第2の膨らみ部の一方が、前記背もたれの使用者側の面に位置するように前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項26】
リクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部のうち、一方の膨らみ部を芯にして、他方の膨らみ部の方向に向けて、前記本体部を巻き付けた状態で、かつ、前記背もたれに沿って、他方の膨らみ部を前記一方の膨らみ部よりも下に位置させ、前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項27】
座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記背もたれには、前記本体部の一方の面が位置すると共に、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部が、前記本体部の他方の面側に折り曲げられた状態で、前記クッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項28】
座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを2つ配置するクッション配置構造であって、
1つ目の前記クッションである第1のクッションは、
前記背もたれの上部に、前記第1のクッションの前記本体部が引っ掛けられると共に、前記第1のクッションにおける前記第1の膨らみ部または前記第2の膨らみ部の一方が、前記背もたれの使用者側の面に位置するように前記第1のクッションが配置され、
2つ目の前記クッションである第2のクッションは、
前記第2のクッションの前記本体部が、前記第1のクッションの前記本体部の一部及び前記第1のクッションの前記一方の膨らみ部の上方に重ねて配置されると共に、前記第2のクッションの前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部が、前記第2のクッションの前記本体部における前記第1のクッションと対向する面と反対の面側に折り曲げられた状態で、前記第2のクッションが配置された
クッション配置構造。
【請求項29】
座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを2つ配置するクッション配置構造であって、
1つ目の前記クッションである第1のクッションは、
前記座面に、前記第1のクッションの前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第1のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1のクッションの前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第1のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1のクッションの前記第2の膨らみ部が位置するように配置され、
2つ目の前記クッションである第2のクッションは、
前記第1のクッションよりも上方で、前記背もたれに、前記第2のクッションの前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記第2のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2のクッションの前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記第2のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2のクッションの前記第2の膨らみ部が位置するように配置された
クッション配置構造。
【請求項30】
座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項7に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、
前記第1の本体部の一方の面及び前記上下接続部が前記背もたれに沿って配置され、かつ、前記第2の本体部の一方の面は前記座面に配置され、
前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第3の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第4の膨らみ部が位置するように配置され、
前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように配置された
クッション配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クッション及びクッションの配置構造に関する。詳しくは、使用者の座位姿勢または身体の背部や頭部の姿勢を支えて保持することができ、使い勝手に優れ、家具椅子、車椅子、理美容椅子、洗髪用椅子、自動車の座席及びリクライニング機能を有するベッド等、広い用途に適用できるクッション及びクッションの配置構造に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家具椅子や車椅子等において、着座者の座位を安定した状態で保持するために、椅子と共にクッションが用いられている。
【0003】
例えば、デスクワークで椅子に長時間座る場合や、車の運転席に座って、長時間の運転を行う場合等には、身体への負担を減らすために、椅子の座面や背もたれにクッションが配置される。
【0004】
また、高齢者や車椅子の使用者において、上半身を支える力が低下することで、椅子や車椅子に座った際の座位姿勢が安定せず、身体が前方や横方向に倒れやすくなるため、椅子の座面や背もたれにクッションを配置し、座位姿勢を安定化させている。
【0005】
こうしたなか、車椅子の着座者の腰部への苦痛が少なく、横に倒れることを防止し、座位安定性に優れたクッションとすることを試みた、車椅子の座位保持用クッションが提案されている(例えば、特許文文献1参照)。
【0006】
この特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッション500は、車椅子または椅子カバーを取り付けた車椅子の背もたれ部及び側板部に装着して使用される。
【0007】
また、特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッション500は、図36に示すように、車椅子の背もたれ部に着脱可能に装着され、着座者の腰部に沿って当接し、着座者の腰部を保持する腰当体501と、車椅子の側板部に着脱可能に装着され、着座者の脇腹部付近に沿って当接し、着座者の脇腹部付近を保持する一対の脇腹当体502から構成される。
【0008】
また、特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッション500は、腰当体501を、被覆体503に収納し、被覆体503に設けた面ファスナー503Aを車椅子の背もたれ部に設けた面ファスナーに結合し、腰当体501を背もたれ部に装着する。また、脇腹当体502を被覆体504に収納し、被覆体504に設けた面ファスナー504Aを車椅子の側板部に設けた面ファスナーに結合し、脇腹当体502を側板部に装着する。
【0009】
この特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッション500を車椅子に取り付けると、腰当体501は着座者の腰部に沿って当接し、着座者の腰部を保持すると共に、脇腹当体502は着座者の脇腹部付近に沿って当接し、着座者の脇腹部付近を保持するため、着座者の座位が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003-153764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッションでは、クッションを取り付けるために、車椅子側または椅子カバー側に、固定用の面ファスナーを設ける必要があり、取り付け可能な対象が非常に限定的であった。また、用途が車椅子に限定され、それ以外の種類の椅子への適用することを考慮した構造となっていない。
【0012】
例えば、特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッションで、取り付け対象となる椅子の種類を増やす場合には、椅子カバーの形状と適合する形状の椅子のみが対象となるかまたは椅子の形に合わせて、都度椅子カバーを形成する必要があり、取り付け対象となる椅子の種類を拡げることが現実的に難しかった。
【0013】
さらに、特許文献1に記載された車椅子の座位保持用クッションでは、平面視でコの字型の形状に形が限定されており、クッションの全体形状を変形させることができず、クッションで支持できる使用者の姿勢や、身体の部位も限定されるものとなっていた。
【0014】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、使用者の座位姿勢または身体の背部や頭部の姿勢を支えて保持することができ、使い勝手に優れ、家具椅子、車椅子、理美容椅子、洗髪用椅子、自動車の座席及びリクライニング機能を有するベッド等、広い用途に適用できるクッション及びクッションの配置構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために本発明のクッションは、帯状に形成された本体部と、前記本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記本体部よりも大きな厚みを有し、前記本体部の長手方向に沿った長さが、同本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同本体部に向けて折り曲げ可能である第1の膨らみ部と、前記本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記本体部よりも大きな厚みを有し、前記本体部の長手方向に沿った長さが、同本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同本体部に向けて折り曲げ可能である第2の膨らみ部とを備える。
【0016】
ここで、帯状に形成された本体部によって、一定の幅と長さのある本体部として、使用者の身体の部位に当て、身体を支持することができる。即ち、例えば、本体部を椅子の背もたれや座面に配置して、使用者の座位姿勢における腰部や臀部を、本体部で支持することができる。
【0017】
また、第1の膨らみ部が、本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、本体部よりも大きな厚みを有し、本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、本体部に向けて折り曲げ可能であることによって、肘置きの付いた椅子や車椅子において、第1の膨らみ部を介して、使用者の座位姿勢における脇の下及び腰部の側面を支持することができる。即ち、例えば、椅子の背もたれまたは座面に本体部を配置し、椅子の肘置きに沿って、第1の膨らみ部を本体部側に曲げることで、使用者の脇の下及び腰部の側面と、肘置きの間に、第1の膨らみ部を配置可能となる。また、第1の膨らみ部は、本体部よりも大きな厚みに形成されたことによって、使用者の身体と、肘置きの間の空間を埋め、当接する身体の部位を充分に支持することができる。
【0018】
また、第2の膨らみ部が、本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、本体部よりも大きな厚みを有し、本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、本体部に向けて折り曲げ可能であることによって、肘置きの付いた椅子や車椅子において、第2の膨らみ部を介して、使用者の座位姿勢における脇の下及び腰部の側面を支持することができる。即ち、例えば、椅子の背もたれまたは座面に本体部を配置し、椅子の肘置きに沿って、第2の膨らみ部を本体部側に曲げることで、使用者の脇の下及び腰部の側面と、肘置きの間に、第2の膨らみ部を配置可能となる。また、第2の膨らみ部は、本体部よりも大きな厚みに形成されたことによって、使用者の身体と、肘置きの間の空間を埋め、当接する身体の部位を充分に支持することができる。
【0019】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部が、本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、本体部に向けて折り曲げ可能であることによって、クッションの全体の形状を自由度高く変形させ、使用者の姿勢や、支持したい身体の部位に合わせて、身体を支持可能となる。例えば、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を、本体部に対して、略90曲げてコの字型の形状にすることができる。また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を、表面または裏面の同じ面側で、本体部側に完全に折り曲げ、本体部の厚みと、2つの膨らみ部の厚みを有する、厚みの大きなクッションとして用いてこともできる。さらに、第1の膨らみ部は本体部の裏面側に折り曲げ、第2の膨らみ部は本体部に対して、略90曲げた形状とすることで、片側のみに肘置きを有する椅子に配置することもできる。
【0020】
また、帯状に形成された本体部と、本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられた第1の膨らみ部と、本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられた第2の膨らみ部によって、一定の長さのある本体部の両端に、第1の膨らみ部と第2の膨らみ部が接続された形状となる。このことによれば、例えば、椅子の背もたれの上部や、リクライニング機能を有するベッドの背もたれの上部に、本体部を引っ掛けて使用することができる。この際、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方を背もたれの任意の高さ位置に配置し、他方を背もたれの使用者側とは反対側の方に垂らして、背もたれ側に配置した膨らみ部で、使用者の身体を支持することができる。例えば、使用者の腰部、背中、頚椎または頭部等を第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方で支持可能となる。
【0021】
また、帯状に形成された本体部と、本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、本体部の長手方向に沿った長さが、本体部の長手方向の長さの半分以下に形成された第1の膨らみ部と、本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、本体部の長手方向に沿った長さが、本体部の長手方向の長さの半分以下に形成された第2の膨らみ部によって、本体部の表面または裏面の同じ面側で、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を本体部側に折り曲げた際に、2つの膨らみ部が互いに干渉せずに、本体部側に折り曲げ可能となる。これにより、本体部の厚みと、2つの膨らみ部の厚みを有する、より厚みが大きいクッションにした際に、2つの膨らみ部同士が重ならず、クッションを身体に当てた際の使用感を良好にすることができる。
【0022】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部は、一方の膨らみ部を芯にして、他方の膨らみ部の方向に向けて、本体部を巻き付け可能に構成され、かつ、芯に本体部を巻き付けた形状が維持可能である場合には、クッションを、1つの膨らみ部と、膨らみ部に本体部を巻き付けて大きくした部分で構成された形状にすることができる。即ち、サイズが大きく異なる2つの膨らみ部を有するクッションになる。このことによれば、例えば、リクライニング機能を有する椅子やベッドの背もたれを斜めにして、本体部を巻き付けた膨らみ部を上側、かつ、本体部を巻き付けていない膨らみ部を下側に配置して、使用者の頚椎と頭部に沿うようにクッションを配置することができる。即ち、例えば、ベッド上で、食事介助、歯科治療、口腔ケア、歯磨きまたは髭剃りなどの整容を受ける人に使用することで、使用者の顎の位置や角度を調整し、安楽な姿勢で、サービスの提供を受けることが可能となる。また、サービス提供者側にとっても、使用者の姿勢が保持され、頭部の位置が安定することから、安全にサービスを提供することができる。
【0023】
また、本体部の長手方向の長さが、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部における、本体部の長手方向に沿った長さの2倍~3倍の範囲内である場合には、椅子の背もたれや座面にクッションを配置する際に、本体部の長さを、椅子の背もたれや座面に配置しやすい適当な長さとすることができる。
【0024】
ここで、本体部の長手方向の長さが、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部における、本体部の長手方向に沿った長さの2倍未満である場合には、本体部の表面または裏面の同じ面側で、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を本体部側に折り曲げた際に、2つの膨らみ部が互いに干渉してしまい、この形状での使用感が悪くなってしまう。また、本体部の長手方向の長さが、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部における、本体部の長手方向に沿った長さの3倍を超える場合には、本体部の長さが必要以上に長くなってしまい、椅子の背もたれや座面に配置する際や、椅子等の背もたれの上部に本体部を引っ掛けて使用する際に、本体部が長すぎて配置しづらくなってしまう。
【0025】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部は、本体部の長手方向に沿った断面での形状が楕円形に形成され、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の厚みが、本体部の厚みの5~40倍の範囲内である場合には、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を、使用者の身体に当てた際の使用感を、より一層、良好にすることができる。即ち、2つの膨らみ部の厚みが充分に大きくなり、かつ、丸みを帯びた柔らかい形状にしつつ、身体に当たる膨らみ部の面積を大きくすることができる。
【0026】
また、本体部と第1の膨らみ部の接続位置及び本体部と第2の膨らみ部の接続位置が、本体部の厚み方向における、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の厚みの略中央の位置である場合には、本体部の表面または裏面側に、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を折り曲げる際に、各膨らみ部を、どちらの面に対しても均等に折り曲げやすくなる。これにより、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部を折り曲げた形状で、クッションを配置しやすくなる。
【0027】
また、本体部が、厚み方向に沿って、上部本体部と下部本体部に分離可能に形成され、上部本体部及び下部本体部の当接面には、互いに係合可能な面ファスナーが設けられ、面ファスナーの接合位置を変えることで、本体部の長手方向に沿った長さが調整可能である場合には、面ファスナーの係合位置を変更するだけで、本体部の長手方向の長さを自由に調節することができる。これにより、椅子のサイズや形状、使用者の身体に当てたい部位に合わせて、クッションのサイズをより一層自由度高く変更することができる。
【0028】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッションは、帯状に形成された第1の本体部と、前記第1の本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記第1の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第1の本体部の長手方向に沿った長さが、同第1の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第1の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第1の本体部に向けて折り曲げ可能である第1の膨らみ部と、前記第1の本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記第1の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第1の本体部の長手方向に沿った長さが、同第1の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第1の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第1の本体部に向けて折り曲げ可能である第2の膨らみ部と、帯状に形成され、前記第1の本体部の短手方向側の一方の端縁に取り付けられた上下接続部と、前記上下接続部の端縁のうち、前記第1の本体部の短手方向側の一方の端縁とは反対側の端縁に取り付けられ、帯状に形成された第2の本体部と、前記第2の本体部の長手方向側の一方の端縁側に設けられ、前記第2の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第2の本体部の長手方向に沿った長さが、同第2の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第2の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第2の本体部に向けて折り曲げ可能である第3の膨らみ部と、前記第2の本体部の長手方向側の他方の端縁側に設けられ、前記第2の本体部よりも大きな厚みを有し、前記第2の本体部の長手方向に沿った長さが、同第2の本体部の長手方向の長さの半分以下に形成されると共に、前記第2の本体部の表面及び裏面のいずれの面側でも、同第2の本体部に向けて折り曲げ可能である第4の膨らみ部とを備える。
【0029】
ここで、帯状に形成された第1の本体部と、帯状に形成され、第1の本体部の短手方向側の一方の端縁に取り付けられた上下接続部と、上下接続部の端縁のうち、第1の本体部の短手方向側の一方の端縁とは反対側の端縁に取り付けられ、帯状に形成された第2の本体部によって、第1の本体部の短手方向に沿った方向においても、一定の長さのあるクッションにすることができる。このことによれば、例えば、背もたれと座面を有する椅子にクッションを配置する際に、背もたれ側には第1の本体部及び上下接続部を配置し、かつ、座面側に第2の本体部を配置することで、使用者の臀部、腰部及び背中にかけて、広範囲に身体の部位を支えることが可能となる。
【0030】
また、肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第3の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第4の膨らみ部が位置するように配置され、肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2の膨らみ部が位置するように配置されたことによって、使用者の腰部の左右両側面、背中の左右両側、両腕や両肩の外側を、各膨らみ部で安定して支持することができる。即ち、座面側に位置する第3の膨らみ部及び第4の膨らみ部により、使用者の腰部の左右両側面を支持することができる。また、背もたれ側に位置する第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部により、使用者の背中の左右両側、両腕や両肩の外側を支持することができる。このように、4つの膨らみ部で、使用者の身体の左右両側を包み込むように、安定して支持可能となる。
【0031】
また、本体部及び第1の膨らみ部を接続し、本体部と第1の膨らみ部を隔てる第1の接続部と、本体部及び第2の膨らみ部を接続し、本体部と第2の膨らみ部を隔てる第2の接続部を有し、本体部、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部はそれぞれ、内部に水または空気を注入して、膨らみ具合を調整可能である場合には、本体部に対して、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部を曲げて、全体の形状を変形させやすくなると共に、本体部、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部のそれぞれの部材について、水または空気の注入する量を変えるだけで、形状や膨らみ具合を容易に調整することが可能となる。また、未使用時に、水または空気を抜くことで、クッション全体をコンパクトなサイズにでき、携帯性を向上させることができる。また、例えば、注入する水を冷水にし、水枕として使用したり、温水を利用することで、体の当接させた部分を温め、腰痛等の痛みを緩和したりすることが可能となる。また、第1の膨らみ部と、第2の膨らみ部のそれぞれの膨らみ具合を、容易に異ならせることができる。さらに、本体部も膨らむことで、本体部の部分でのクッション性を高めることができる。
【0032】
また、本体部が、本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、本体部の短手方向の距離より短く形成され、本体部の長手方向に沿って、本体部を複数の膨らみ区画に分ける複数の本体部縦仕切り部を有する場合には、水または空気を注入して本体部に膨らみを持たせた際に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、本体部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。また、本体部縦仕切り部が、本体部の短手方向の距離より短く形成されたことで、本体部の内部を完全に仕切った構造とならず、本体部に対して、1つの注入口を設けるだけで、水または空気を本体部の内部に行き渡らせることができる。
【0033】
また、第1の膨らみ部が、本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、第1の膨らみ部における本体部の短手方向の距離より短く形成され、本体部の長手方向に沿って、第1の膨らみ部を複数の膨らみ区画に分ける第1の仕切り部を有する場合には、水または空気を注入して第1の膨らみ部に膨らみを持たせた際に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、第1の膨らみ部を、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、第1の膨らみ部を、本体部の長手方向に沿って、幅広く膨らむ形状とすることができ、第1の膨らみ部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、第1の膨らみ部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。また、第1の仕切り部が、第1の膨らみ部における本体部の短手方向の距離より短く形成されたことで、第1の膨らみ部の内部を完全に仕切った構造とならず、第1の膨らみ部に対して、1つの注入口を設けるだけで、水または空気を第1の膨らみ部の内部に行き渡らせることができる。
【0034】
また、第2の膨らみ部が、本体部の短手方向に平行な向きで、かつ、第2の膨らみ部における本体部の短手方向の距離より短く形成され、本体部の長手方向に沿って、第2の膨らみ部を複数の膨らみ区画に分ける第2の仕切り部を有する場合には、水または空気を注入して第2の膨らみ部に膨らみを持たせた際に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、第2の膨らみ部を、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、第2の膨らみ部を、本体部の長手方向に沿って、幅広く膨らむ形状とすることができ、第2の膨らみ部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、第2の膨らみ部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。また、第2の仕切り部が、第2の膨らみ部における本体部の短手方向の距離より短く形成されたことで、第2の膨らみ部の内部を完全に仕切った構造とならず、第2の膨らみ部に対して、1つの注入口を設けるだけで、水または空気を第2の膨らみ部の内部に行き渡らせることができる。
【0035】
また、本体部が、本体部の長手方向に平行な向きで、かつ、本体部の長手方向の距離より短く形成され、本体部の短手方向に沿って、本体部を複数の膨らみ区画に分ける複数の本体部横仕切り部を有する場合には、水または空気を注入して本体部に膨らみを持たせた際に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の短手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、本体部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。また、本体部横仕切り部が、本体部の長手方向の距離より短く形成されたことで、本体部の内部を完全に仕切った構造とならず、本体部に対して、1つの注入口を設けるだけで、水または空気を本体部の内部に行き渡らせることができる。
【0036】
また、本体部及び第1の膨らみ部を接続し、本体部と第1の膨らみ部を隔てる第1の接続部と、本体部及び第2の膨らみ部を接続し、本体部と第2の膨らみ部を隔てる第2の接続部を有する場合には、本体部に対して、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部を曲げて、全体の形状を変形させやすくなる。
【0037】
また、本体部が、カバー体である本体カバー体で構成され、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方が、カバー体である膨らみ部カバー体と、膨らみ部カバー体の内側に配置される複数のチップ状部材からなるクッション中材及び水もしくは空気を充填した拡縮クッション材の少なくとも一方で構成された場合には、本体部と、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方について、その外側部分をカバー体で構成しつつ、そのカバー体のうち、膨らませたい部分の内側に、クッション中材及び拡縮クッション材の少なくとも一方を入れて、簡易な構造で、かつ、充分な膨らみを有するクッションを形成することができる。また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方において、使用するチップ状部材の充填量または水(空気)の注入量を変えるだけで、その膨らみ具合を容易に調整することが可能となる。
【0038】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方が、膨らみ部カバー体の内部に、クッション中材が配置され、クッション中材が、チップ状部材の量が異なる複数のインナー材を組み合わせて構成された場合には、大きさが異なるインナー材の組み合わせを変えて、膨らみ部カバー体の内部に配置するだけで、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方の膨らみ具合を、容易に調整することが可能となる。即ち、例えば、チップ状部材の量を変えて、大、中、小のサイズのインナー材を準備して、膨らみ部カバー体に各インナー材を出し入れするだけで、簡単に所定の膨らみ具合に調整することができる。
【0039】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方が、膨らみ部カバー体の内部に、クッション中材及び拡縮クッション材が配置された場合には、クッション中材と、拡縮クッション材の両方を使って、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方の膨らみ具合を、容易に調整することが可能となる。即ち、例えば、クッション中材で大まかな膨らみを持たせ、拡縮クッション材の膨らみ具合を微調整して、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の少なくとも一方における、全体の膨らみ具合の細やかな調整を容易に行うことができる。
【0040】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部がそれぞれ、膨らみ部カバー体の内側に、拡縮クッション材が配置された場合には、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の両方を、拡縮クッション材を介して膨らませることができる。
【0041】
また、本体部が、本体カバー体と、本体カバー体の内側に配置され、本体カバー体と同等の大きさを有し、水または空気を充填した本体用拡縮クッション材で構成された場合には、本体部のクッション性を高めると共に、本体部の膨らみ具合を自由度高く調整することが可能となる。即ち、本体部は、その長手方向において、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部よりも長く形成され、クッション全体の大部分を占めるため、クッション全体としてのクッション性が良好になると共に、本体部の膨らみ具合を自由度高く調整できることで、クッションの形状を、より一層、使用者の体形や好みに合わせやすくなる。
【0042】
また、本体部が、本体カバー体と、本体カバー体の内側に、本体部の短手方向に平行な向きで配置され、本体部の長手方向に沿って、本体部を複数の膨らみ区画に分ける、複数のチップ状部材からなるクッション中材及び水または空気を充填した複数の本体部仕切り拡縮クッション材の少なくとも一方で構成された場合には、本体カバー体の内側に、複数のクッション中材及び複数の本体部仕切り拡縮クッション材の少なくとも一方を出し入れして、本体部に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、本体部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。本体部仕切り拡縮クッション材は、水または空気の注入する量を変えるだけで、形状や膨らみ具合を容易に調整することができる。
【0043】
また、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部がそれぞれ、膨らみ部カバー体の内側に、クッション中材が配置された場合には、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部の両方を、クッション中材を介して膨らませることができる。
【0044】
また、本体部が、本体カバー体と、本体カバー体の内側に配置され、本体カバー体と同等の大きさを有する板状のウレタン材で構成された場合には、本体部のクッション性を高めることができる。即ち、本体部は、その長手方向において、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部よりも長く形成され、クッション全体の大部分を占めるため、クッション全体としてのクッション性を良好にすることができる。
【0045】
また、本体部が、本体カバー体と、本体カバー体の内側に出し入れ可能に配置され、本体カバー体と同等の大きさを有する板状のウレタン材で構成された場合には、本体部のクッション性を高めることができると共に、使用者が、本体カバーの内側に、ウレタン材を配置した構造と、配置しない構造を選択することができ、使用者の好みに応じて、本体部のクッション性を異ならせることができる。即ち、例えば、クッションを枕として使用するケースや、クッション全体の形状を凹状に変形させて使用するケースでは、本体カバー体の内側にウレタン材を入れずに使用した方が使い勝手が良い場合があり、このような使用態様にも適用しやすくなる。
【0046】
また、ウレタン材が、本体カバー体の内側に配置可能、かつ、ウレタン材を内部に収容可能なインナーカバーで覆われた場合には、本体カバー体の内側にウレタン材を入れる際に、挿入の作業が行いやすくなる。即ち、ウレタン材をインナーカバーで覆わない構造では、ウレタン材の性質上、本体カバー体の内周にウレタン材の表面が引っ掛かりやすく、挿入の作業に手間を要する。ここで、ウレタン材をインナーカバーで覆うことで、ウレタン材由来の引っ掛かりを減らし、本体カバー体の内側にウレタン材を入れやすくなる。
【0047】
また、本体カバー体に、本体カバー体の状態を、ウレタン材及びインナーカバーを出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切替自在とする本体カバー開閉部が形成された場合には、本体カバー体の内側にウレタン材及びインナーカバーを入れて、本体カバー開閉部で開口が閉じた状態にして、挿入した位置をずれにくくすると共に、本体カバー体から外側に、ウレタン材及びインナーカバーが飛び出すことを抑止できる。
【0048】
また、膨らみ部カバー体に、膨らみ部カバー体の状態を、クッション中材または拡縮クッション材を出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切替自在とする膨らみ部カバー開閉部が形成された場合には、本体カバー体の内側にクッション中材または拡縮クッション材を入れて、本体カバー開閉部で開口が閉じた状態にして、挿入した位置をずれにくくすると共に、本体カバー体から外側に、クッション中材または拡縮クッション材が飛び出すことを抑止できる。
【0049】
また、本体部、第1の膨らみ部、第2の膨らみ部、第1の接続部または第2の接続部の少なくともいずれか1つに、紐またはベルトを挿通可能な複数のループ部が形成された場合には、複数のループ部に紐またはベルトを通して、椅子等の背もたれまたは座面に対して、紐またはベルトを介してクッションを固定しやすくなる。これにより、クッションを椅子や車のシートに設置した際の安定性を向上させることができる。また、クッションを、例えば、病院や介護施設で導入した場合も、クッションの取付位置を固定でき、利便性を向上させることができる。
【0050】
また、本体部が、本体カバー体と、本体カバー体の内側に、本体部の短手方向に平行な向きで配置され、本体部の長手方向に沿って、本体部を複数の膨らみ区画に分ける、複数の短冊状のウレタン材で構成された場合には、本体カバー体の内側に、複数の短冊状のウレタン材を出し入れして、本体部に、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。このことによれば、本体部を使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部の身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。
【0051】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記背もたれには、前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置されている。
【0052】
ここで、背もたれには、本体部の一方の面が位置するようにクッションを配置することによって、本体部の他方の面を、使用者の座位姿勢における腰部に当てて、座位姿勢を保持することができる。
【0053】
また、肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2の膨らみ部が位置することによって、使用者の脇の下及び腰部の側面と、椅子の2つの肘置きの、それぞれの間に、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部を配置し、使用者の座位姿勢における脇の下及び腰部の側面を支持することができる。
【0054】
また、背もたれに配置したクッションである第1のクッションの上から、さらに2つ目のクッションである第2のクッションを配置するクッション配置構造であって、背もたれの上部及び第1のクッションの本体部の上端縁に、第2のクッションの本体部が引っ掛けられると共に、第2のクッションにおける第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方が、第1のクッションの本体部における使用者側の面に位置するように、第2のクッションが配置された場合には、2つのクッションで、使用者の座位姿勢における脇の下及び腰部の側面と背中を、充分に支持可能となる。また、第2のクッションにおける第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方は、第1のクッションの本体部の上に位置することから、腰部を第1のクッションの本体部で支持した状態で、第2のクッションの一方の膨らみ部が使用者の背中を更に支え、猫背や円背の使用者の背中を支えやすい構造となる。
【0055】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記座面には、前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置されている。
【0056】
ここで、座面には、本体部の一方の面が位置するようにクッションを配置することによって、本体部の他方の面を、使用者の座位姿勢における臀部に当てて、座位姿勢を保持することができる。
【0057】
また、肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2の膨らみ部が位置することによって、使用者の脇の下及び腰部の側面と、椅子の2つの肘置きの、それぞれの間に、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部を配置し、使用者の座位姿勢における脇の下及び腰部の側面を支持することができる。
【0058】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面、背もたれ及び車内の内部側に配置された肘置きを有する自動車の座席に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記背もたれには、前記本体部の一方の面と、前記本体部における前記一方の面側に折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きにおける延出した方向に沿って、かつ、前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように前記クッションが配置されている。
【0059】
ここで、本体部の一方の面と、本体部における一方の面側に折り曲げた第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きにおける延出した方向に沿って、かつ、本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2の膨らみ部が位置することによって、車内の内部側に肘置きを有する自動車の座席において、使用者の脇の下及び腰部の側面を、充分に支持可能となる。即ち、肘置きに沿って第2の膨らみ部を配置し、座席の肘置きの無い反対側に、背もたれ側に折り曲げた第1の膨らみ部を配置して、肘置きの有無に合わせた形状として、2つの膨らみ部を配置可能となる。
【0060】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記背もたれの上部に前記本体部が引っ掛けられると共に、前記第1の膨らみ部または前記第2の膨らみ部の一方が、前記背もたれの使用者側の面に位置するように前記クッションが配置されている。
【0061】
ここで、背もたれの上部に本体部が引っ掛けられると共に、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方が、背もたれの使用者側の面に位置するようにクッションが配置されていることによって、第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方を背もたれの任意の高さ位置に配置し、他方を背もたれの使用者側とは反対側の方に垂らして、背もたれ側に配置した膨らみ部で、使用者の身体を支持することができる。例えば、使用者の腰部、背中、頚椎または頭部等を第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方で支持可能となる。
【0062】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、リクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部のうち、一方の膨らみ部を芯にして、他方の膨らみ部の方向に向けて、前記本体部を巻き付けた状態で、かつ、前記背もたれに沿って、他方の膨らみ部を前記一方の膨らみ部よりも下に位置させ、前記クッションが配置されている。
【0063】
ここで、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部のうち、一方の膨らみ部を芯にして、他方の膨らみ部の方向に向けて、本体部を巻き付けた状態で、かつ、背もたれに沿って、他方の膨らみ部を一方の膨らみ部よりも下に位置させ、クッションが配置されていることによって、1つの膨らみ部と、膨らみ部に本体部を巻き付けて大きくした部分で構成された形状にしたクッションとして配置可能となる。即ち、サイズが大きく異なる2つの膨らみ部を有するクッションを配置することができる。このことによれば、例えば、リクライニング機能を有するベッドの背もたれを斜めにして、本体部を巻き付けた膨らみ部を上側、かつ、本体部を巻き付けていない膨らみ部を下側に配置して、使用者の頚椎と頭部に沿うようにクッションを配置することができる。即ち、例えば、ベッド上で、食事介助、歯科治療、口腔ケア、歯磨きまたは髭剃りなどの整容を受ける人に使用することで、使用者の顎の位置や角度を調整し、安楽な姿勢で、サービスの提供を受けることが可能となる。また、サービス提供者側にとっても、使用者の姿勢が保持され、頭部の位置が安定することから、安全にサービスを提供することができる。
【0064】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記背もたれには、前記本体部の一方の面が位置すると共に、前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部が、前記本体部の他方の面側に折り曲げられた状態で、前記クッションが配置されている。
【0065】
ここで、背もたれには、本体部の一方の面が位置すると共に、第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部が、本体部の他方の面側に折り曲げられた状態で、クッションが配置されていることによって、本体部の厚みと、2つの膨らみ部の厚みを有する、より厚みが大きいクッションにして、背もたれにクッションを配置し、厚みの大きな部分で、使用者の背中を、しっかりと支持することが可能となる。また、2つの膨らみ部で、使用者の背中を支えるため、身体が左右への横揺れを抑止できる。
【0066】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング可能な背もたれを有するベッドに、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを2つ配置するクッション配置構造であって、1つ目の前記クッションである第1のクッションは、前記背もたれの上部に、前記第1のクッションの前記本体部が引っ掛けられると共に、前記第1のクッションにおける前記第1の膨らみ部または前記第2の膨らみ部の一方が、前記背もたれの使用者側の面に位置するように前記第1のクッションが配置され、2つ目の前記クッションである第2のクッションは、前記第2のクッションの前記本体部が、前記第1のクッションの前記本体部の一部及び前記第1のクッションの前記一方の膨らみ部の上方に重ねて配置されると共に、前記第2のクッションの前記第1の膨らみ部及び前記第2の膨らみ部が、前記第2のクッションの前記本体部における前記第1のクッションと対向する面と反対の面側に折り曲げられた状態で、前記第2のクッションが配置されている。
【0067】
ここで、背もたれの上部に、第1のクッションの本体部が引っ掛けられると共に、第1のクッションにおける第1の膨らみ部または第2の膨らみ部の一方が、背もたれの使用者側の面に位置するように前記第1のクッションが配置されたことによって、第1のクッションの膨らみ部の1つを背もたれに配置し、使用者の肩や頚椎を支持可能となる。
【0068】
また、第2のクッションの本体部が、第1のクッションの本体部の一部及び第1のクッションの一方の膨らみ部の上方に重ねて配置されると共に、第2のクッションの第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部が、第2のクッションの本体部における第1のクッションと対向する面と反対の面側に折り曲げられた状態で、第2のクッションが配置されたことによって、第1のクッションの上に、より厚みが大きいクッションの形状にした第2のクッションを重ねて、使用者の身体をしっかりと支持することが可能となる。特に、第1のクッションで使用者の肩や頚椎を支持しつつ、第2のクッションの2つの膨らみ部で、使用者の肩から後頭部にかけての広い範囲を安定して支持することができる。また、2つの膨らみ部で、使用者の背中を支えるため、身体が左右への横揺れを抑止できる。さらに、第1のクッションと、第2のクッションを重ねているため、使用者の頭部等、2つのクッションで支えられた身体の部位において、使用感をより一層良好なものにできる。
【0069】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項1、請求項8または請求項11のいずれか1項に記載のクッションを2つ配置するクッション配置構造であって、1つ目の前記クッションである第1のクッションは、前記座面に、前記第1のクッションの前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第1のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1のクッションの前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第1のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1のクッションの前記第2の膨らみ部が位置するように配置され、2つ目の前記クッションである第2のクッションは、前記第1のクッションよりも上方で、前記背もたれに、前記第2のクッションの前記本体部の一方の面が位置し、前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記第2のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2のクッションの前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記第2のクッションの前記本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2のクッションの前記第2の膨らみ部が位置するように配置されている。
【0070】
ここで、座面に、第1のクッションの本体部の一方の面が位置し、第1のクッションよりも上方で、背もたれに、第2のクッションの本体部の一方の面が位置することによって、第1のクッションの本体部の短手方向に沿った方向においても、一定の長さのあるクッションにすることができる。このことによれば、例えば、背もたれと座面を有する椅子にクッションを配置する際に、背もたれ側には第1のクッションの本体部を配置し、かつ、座面側に第2のクッションの本体部を配置することで、使用者の臀部、腰部及び背中にかけて、広範囲に身体の部位を支えることが可能となる。
【0071】
また、肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、第1のクッションの本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1のクッションの第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、第1のクッションの本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1のクッションの第2の膨らみ部が位置するように配置され、肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、第2のクッションの本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2のクッションの第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、第2のクッションの本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2のクッションの第2の膨らみ部が位置するように配置されたことによって、使用者の腰部の左右両側面、背中の左右両側、両腕や両肩の外側を、各膨らみ部で安定して支持することができる。即ち、座面側に位置する、第1のクッションの第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部により、使用者の腰部の左右両側面を支持することができる。また、背もたれ側に位置する、第2のクッションの第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部により、使用者の背中の左右両側、両腕や両肩の外側を支持することができる。このように、4つの膨らみ部で、使用者の身体の左右両側を包み込むように、安定して支持可能となる。
【0072】
また、上記の目的を達成するために、本発明のクッション配置構造は、座面、背もたれ及び前記座面の両端部の外側に肘置きを有する椅子に、請求項7に記載のクッションを配置するクッション配置構造であって、前記第1の本体部の一方の面及び前記上下接続部が前記背もたれに沿って配置され、かつ、前記第2の本体部の一方の面は前記座面に配置され、前記肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第3の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、前記第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第4の膨らみ部が位置するように配置され、前記肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、前記第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第1の膨らみ部が位置すると共に、前記肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、前記第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた前記第2の膨らみ部が位置するように配置されている。
【0073】
ここで、第1の本体部の一方の面及び上下接続部が背もたれに沿って配置され、かつ、第2の本体部の一方の面は座面に配置されたことによって、第1の本体部の短手方向に沿った方向においても、一定の長さのあるクッションにすることができる。このことによれば、例えば、背もたれと座面を有する椅子にクッションを配置する際に、背もたれ側には第1の本体部及び上下接続部を配置し、かつ、座面側に第2の本体部を配置することで、使用者の臀部、腰部及び背中にかけて、広範囲に身体の部位を支えることが可能となる。
【0074】
また、肘置きの一方における鉛直方向に沿って、かつ、第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第3の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における鉛直方向に沿って、かつ、第2の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第4の膨らみ部が位置するように配置され、肘置きの一方における延出した方向に沿って、かつ、第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第1の膨らみ部が位置すると共に、肘置きの他方における延出した方向に沿って、かつ、第1の本体部における他方の面側に向けて折り曲げた第2の膨らみ部が位置するように配置されたことによって、使用者の腰部の左右両側面、背中の左右両側、両腕や両肩の外側を、各膨らみ部で安定して支持することができる。即ち、座面側に位置する第3の膨らみ部及び第4の膨らみ部により、使用者の腰部の左右両側面を支持することができる。また、背もたれ側に位置する第1の膨らみ部及び第2の膨らみ部により、使用者の背中の左右両側、両腕や両肩の外側を支持することができる。このように、4つの膨らみ部で、使用者の身体の左右両側を包み込むように、安定して支持可能となる。
【発明の効果】
【0075】
本発明に係るクッション及びクッションの配置構造は、使用者の座位姿勢または身体の背部や頭部の姿勢を支えて保持することができ、使い勝手に優れ、家具椅子、車椅子、理美容椅子、洗髪用椅子、自動車の座席及びリクライニング機能を有するベッド等、広い用途に適用できるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1】(a)は、本発明の実施の形態であるクッションの概略平面図であり、(b)は、図1(a)に示すクッションの概略正面図である。
図2】(a)は、図1(a)に示すクッションの概略底面図であり、(b)は、図1(a)に示すクッションの概略側面図である。
図3】(a)は、図1(a)に示すクッションを斜め上方から見た概略斜視図であり、(b)は、図1(a)に示すクッションにおいて、一方の膨らみ部に本体部を巻き付けた形状を示す概略斜視図である。
図4】第1の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図5】第1の実施の形態における車椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図6】第1の実施の形態における洗髪用椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図7】第2の実施の形態における理美容椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図8】第3の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造の一例を示す概略図である。
図9】第3の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造の他の例を示す概略図である。
図10】第3の実施の形態におけるベッドでのクッションの配置構造の一例を示す概略図である。
図11】第3の実施の形態におけるベッドでのクッションの配置構造の他の例を示す概略図である。
図12】第4の実施の形態におけるベッドでのクッションの配置構造を示す概略図である。
図13】第5の実施の形態におけるベッドでのクッションの配置構造を示す概略図である。
図14】第6の実施の形態における自動車の座席でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図15図14のクッションの配置構造に対して、着座者が座席に座った状態を示す概略図である。
図16】第7の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図17】第8の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図18】第9の実施の形態におけるベッドでのクッションの配置構造を示す概略図である。
図19】第10の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、概略裏面図であり、(b)は、概略背面図である。
図20】第11の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、上部本体部と下部本体部を分離した状態を示す概略斜視図であり、(b)は、上部本体部と下部本体部を接続した状態を示す概略斜視図である。
図21】第12の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図である。
図22】第12の実施の形態における家具椅子でのクッションの配置構造を示す概略図である。
図23】第13の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、概略平面図であり、(b)は、椅子に配置する際の折り曲げた形状を示す概略斜視図である。
図24】第13の実施の形態におけるクッションの変形例の構造を示す概略図である。
図25】第14の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、概略斜視図であり、(b)は、概略裏面図であり、(c)は、概略正面図である。
図26】(a)~(d)は、図25(a)に示すクッションを様々な形に変形させた形状を示す概略図である。
図27】(a)及び(b)は、第14の実施の形態におけるクッションの変形例の構造を示す概略図である。
図28】第15の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体とウレタンチップ材から構成されたクッション中材及び拡縮クッション材を示す概略図であり、(b)は、ウレタンチップ材から構成されたクッション中材及び拡縮クッション材を示す概略拡大図である。
図29】第15の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体に拡縮クッション材を入れる前の状態を示す概略図であり、(b)は、カバー体に拡縮クッション材を入れた状態を示す概略図である。
図30】第15の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体とウレタンチップ材の量が異なる複数のクッション中材を示す概略図であり、(b)は、カバー体とウレタンチップ材の量が異なる複数のクッション中材及びサイズの小さい拡縮クッション材を示す概略図である。
図31】第15の実施の形態におけるクッションの変形例の構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体に本体拡縮クッション材を入れる前の状態を示す概略図であり、(b)は、カバー体に本体拡縮クッション材を入れた状態を示す概略図であり、(c)は、カバー体に板状ウレタン材を入れる前の状態を示す概略図である。
図32】第16の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図である。
図33】第17の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体を示す概略図であり、(b)は、カバー体における仕切り縫い目と筒状空間を示す概略図である。
図34】第17の実施の形態におけるクッションの構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体に細長いウレタンチップ材から構成されたクッション中材を入れる前の状態を示す概略図であり、(b)は、カバー体に細長いウレタンチップ材から構成されたクッション中材を入れた状態を示す概略図である。
図35】第17の実施の形態におけるクッションの変形例の構造を示す概略図であり、(a)は、カバー体に細長い拡縮クッション材を入れる前の状態を示す概略図であり、(b)は、カバー体に短冊状のウレタン材を入れる前の状態を示す概略図である。
図36】従前の車椅子の座位保持用クッションの構造を示す概略分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。
【0078】
本発明を適用したクッションの一例であるクッションAは、本体部1と、膨らみ部2と、膨らみ部3を備えている(図1(a)、図1(b)、図2(a)及び図3(a)参照)。
【0079】
なお、以下の説明においては、図1(a)を基準に、膨らみ部2から見た膨らみ部3の方向を、右または右方とし、膨らみ部3から見た膨らみ部2の方向を、左または左方と称する。また、図1(b)を基準に、図中の紙面上側を、上または上方と称し、図中の紙面下側を下又は下方と称する。また、左右を結ぶ方向を、左右方向または水平方向と称する。また、上下を結ぶ方向を、上下方向または厚み方向と称する。
【0080】
また、図1(b)を基準に、クッションAの紙面上側の面を、表面または表面側と称し、紙面下側の面を裏面または裏面側と称するものとする。
【0081】
ここで、本体部1は、クッション1の本体となる部分であると共に、膨らみ部2と膨らみ部3を繋ぐ帯状の部材である。
【0082】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3は、クッション1の左右の端部を構成し、本体部1よりも厚みの大きな部分である。
【0083】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3は、図1(b)に示すように、クッションAの長手方向に沿った断面の形状が略楕円形に形成されている。
【0084】
また、図1(b)に示すように、本体部1は、上下方向における、膨らみ部2及び膨らみ部3の略中央の位置に接続されている。
【0085】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3は、本体部1の表面側及び裏面側の両方の面で、本体部1の方に向けて折り曲げ可能に構成されている。
【0086】
また、膨らみ部2または膨らみ部3は、本体部1を巻き付けながら、もう一方の膨らみ部の方に向けて回転させて、厚みのより大きな形状とすることができる。
【0087】
例えば、図3(b)に、膨らみ部3に本体部1を巻き付けながら、膨らみ部3を、膨らみ部2の方に向けて回転させた形状を示している。
【0088】
この図3(b)に示す形状では、膨らみ部2の厚みに比べて、膨らみ部3に本体部1を巻き付けた部分の厚みが、より大きな厚みとなっている。このように、クッションAは、一方の膨らみ部に本体部1を巻き付け、より大きな厚みを有する部分を有し、かつ、二段階の厚みを有する形状とすることもできる。
【0089】
ここで、必ずしも、膨らみ部2及び膨らみ部3は、クッションAの長手方向に沿った断面の形状が略楕円形に形成される必要はなく、本体部1よりも厚みが大きく形成されていれば、その形状は特に限定されるものではない。但し、2つの膨らみ部が丸みを帯びた柔らかい形状になり、かつ、身体に当たる膨らみ部の面積を大きくすることができ、使用感が良好になることから、膨らみ部2及び膨らみ部3は、クッションAの長手方向に沿った断面の形状が略楕円形に形成されることが好ましい。
【0090】
また、必ずしも、本体部1は、上下方向における、膨らみ部2及び膨らみ部3の略中央の位置に接続される必要はない。但し、後述するように、膨らみ部2及び膨らみ部3を、表面側または裏面側に折り曲げる際に、各膨らみ部を表面または裏面の、どちらの面に対しても均等に折り曲げやすくなり、形状を変化させてクッションAを配置しやすくなることから、本体部1は、上下方向における、膨らみ部2及び膨らみ部3の略中央の位置に接続されることが好ましい。
【0091】
また、クッションAは、カバー体にクッション中材を入れて構成されている。より詳しくは、カバー体の左右の端部側の膨らみ部2及び膨らみ部3に対応する部分にクッション中材を入れて、クッションAが構成されている。
【0092】
即ち、本体部1は、クッション中材を内包しないカバー体のみで構成され、膨らみ部2及び膨らみ部3は、カバー体の中にクッション中材を内包して構成されている。
【0093】
また、カバー体は、例えば、布製のカバーや合成皮革製のカバーを採用することができる。また、クッション中材は、例えば、硬質ウレタンや軟質ウレタン等を採用することができる。
【0094】
ここで、クッションAは、必ずしもカバー体にクッション中材を入れて構成される必要はない。例えば、本体部1、膨らみ部2及び膨らみ部3を、クッションに適した、適度な柔らかさを有する素材で一体的に形成することもできる。また、一方で、膨らみ部2及び膨らみ部3だけでなく、カバー体における本体部1に対応する部分にもクッション中材を内包した構造とすることもできる。
【0095】
また、クッションAを構成するカバー体の素材は、クッションに適した素材であれば特に限定されるものではない。例えば、コットン、ポリエステル、リネン、合成皮革等、天然素材や人工素材に関わらず、適宜採用することができる。
【0096】
また、クッションAを構成するクッション中材の素材は、クッション中材に適した素材であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリウレタン、ポリエステル綿、ビーズ素材、フェザー等、適宜採用することができる。
【0097】
図2(a)に示すように、本体部1の裏面側には、複数の滑り止め部10が設けられている。滑り止め部10は、ゴムで形成された半球状の部材であり、本体部1の裏面側に複数形成され、椅子の座面等にクッションAを置いた際に、滑り止めとなる部分である。
【0098】
また、図2(b)に示すように、クッションAを側面側から見た形状は、膨らみ部3(または膨らみ部2)を側面視した形状に対応しており、幅方向に横長な楕円形の形状となっている。
【0099】
次に、クッションAのサイズについて説明する。なお、ここで示すクッションAのサイズはあくまで一例であり、本発明を適用したクッションでは、各部位のサイズを適宜設定することができる。
【0100】
まず、クッションAの長手方向、即ち、左右方向に沿った長さに関して、本体部1の長さ(符号X)は390mm、膨らみ部2及び膨らみ部3の長さ(符号X)は、それぞれ140mmとなっている(図1(a)参照)。また、クッションAの短手方向、即ち、幅方向の長さ(符号Y)は300mmになっている。
【0101】
また、クッションAの上下方向、即ち、厚み方向の大きさに関して、本体部1の厚み(符号Z)は10mm、膨らみ部2及び膨らみ部3の厚み(符号Z)は80mmとなっている(図1(b)参照)。
【0102】
ここで、クッションAの左右方向に沿った長さは、必ずしも、上記の長さに限定されるものではない。但し、後述するように、膨らみ部2及び膨らみ部3を、本体部1の表面側または裏面側に折り畳んで、厚みの大きなクッションの形状にしやすくする観点から、左右方向において、本体部1の長さが、膨らみ部2及び膨らみ部3の長さの2倍以上になることが好ましい。また、本体部1と、膨らみ部2及び膨らみ部3との長さのバランスが良く、椅子の背もたれや座面にクッションAを配置しやすくなる点から、本体部1の長さが、膨らみ部2及び膨らみ部3の長さの3倍以下になることが好ましい。
【0103】
また、本体部1の、左右方向における長さと、上下方向における厚みの大きさは、必ずしも、上記のサイズに限定されるものではない。但し、座面の両側に肘置きのある椅子や車椅子の座面や背面にクッションAを配置しやすくなることから、左右方向において、本体部1の長さは、一例として、280mm~900mm程になることが好ましく、280mm~500mm程になることが更に好ましい。また、上下方向において、本体部1の厚みの大きさは、一例として、4mm~12mm程になることが好ましい。
【0104】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3の、左右方向における長さと、上下方向における厚みの大きさは、必ずしも、上記のサイズに限定されるものではない。但し、座面の両側に肘置きのある椅子及び車椅子の、座面や背面にクッションAを配置した際に、使用者の身体(腰)と肘置きの間に、膨らみ部2及び膨らみ部3を配置し、身体を支持しやすくなる点から、左右方向において、膨らみ部2及び膨らみ部3の長さは、一例として、120mm~300mm程になることが好ましく、120mm~160mm程になることが更に好ましい。また、上下方向において、膨らみ部2及び膨らみ部3の厚みの大きさは、一例として、60mm~160mm程になることが好ましい。
【0105】
さらに、上下方向において、膨らみ部2及び膨らみ部3の厚みの大きさは、本体部1の厚みの大きさの5~40倍の範囲内となることが好ましい。
【0106】
また、必ずしも、幅方向において、クッションAの長さは、上記のサイズに限定されるものではない。但し、椅子または車椅子の座面に、クッションAの本体部1を配置する点からは、幅方向において、クッションAの長さは、300mm~420mm程になることが好ましい。
【0107】
続けて、本発明を適用したクッションの配置構造の一例について、以下説明する。
【0108】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態は、椅子の背面及び肘置きに沿ってクッションAを配置する態様である。図4に示すように、背もたれ40と、2つの肘置き41及び肘置き42を有する椅子4に、クッションAを配置している。また、椅子4は家具椅子である。なお、本発明の第1の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0109】
また、クッションAの本体部1の裏面が、椅子4の背もたれ40の表面に当接している。また、クッションAの膨らみ部2は、肘置き41に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。また、クッションAの膨らみ部3は、肘置き42に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。
【0110】
即ち、膨らみ部2及び膨らみ部3は、本体部1に対して略90度曲げられ、椅子4の2つの肘置き41及び肘置き42のそれぞれに、膨らみ部2及び膨らみ部3が沿って配置されている。また、膨らみ部2及び膨らみ部3は簡単に曲げることができ、クッションAの全体の形状を容易に変化させることができる。
【0111】
ここで、必ずしも、膨らみ部2及び膨らみ部3は、本体部1に対して略90度曲げられて配置される必要はなく、2つの肘置きを有する椅子の形状に合わせて、即ち、肘置きの角度に合わせて、膨らみ部2及び膨らみ部3を折り曲げ、クッションAを配置することができる。
【0112】
また、椅子4の背もたれ40の表面には、本体部1の裏面の滑り止め部10が当接して、背もたれ40に対して、本体部1の位置がずれにくくなっている。
【0113】
この図4に示すクッションAの配置構造では、椅子4に座った着座者の腰部における左右側面から後面(背中側の面)の範囲に渡ってクッションAが当接し、着座者の座位姿勢を支えて、保持することができる。
【0114】
より詳細には、腰部と肘置き肘置き41または肘置き42の間に配置された、膨らみ部2または膨らみ部3によって、腰部の左右側面がしっかりと支持される。膨らみ部2及び膨らみ部3は、厚みが大きく形成されているため、腰部と肘置き41または肘置き42の間の空間を埋めると共に、着座者の姿勢が左または右に傾き、体重がかかる際にも、膨らみ部2または膨らみ部3で、着座者の腰部の側面を、充分に支持することができる。
【0115】
また、第1の実施の形態における配置構造は、椅子4のような家具椅子だけでなく、その他の種類の椅子にも採用しうる。
【0116】
例えば、図5に示すように、クッションAは車椅子5にも適用できる。車椅子5は、背もたれ50と、2つの肘置き51及び肘置き52を有しており、椅子4と同様にクッションAを配置することができる。
【0117】
また、例えば、図6に示すように、洗髪用椅子6にクッションAを配置することができる。洗髪用椅子6は、背もたれ60と、2つの肘置き61及び肘置き62を有している。また洗髪用椅子6の背もたれ60はリクライニング機能を有している。
【0118】
図6に示すように、洗髪用椅子6で、背もたれ60を洗髪台側に傾けて、背もたれ60を傾斜させた状態で、クッションAを配置することができる。
【0119】
洗髪用椅子6では、背もたれ60の傾斜に合わせて、着座者も後傾した姿勢となるが、このような姿勢に対しても、着座者の腰部における左右側面から後面の範囲に渡ってクッションAが当接し、着座者の座位姿勢を支えて、保持することができる。
【0120】
以上のように、本発明の第1の実施の形態では、椅子の背面及び肘置きに沿ってクッションAを配置し、着座者の腰部における左右側面から後面の範囲に渡ってクッションAが当接し、着座者の座位姿勢を支えて、保持することができる。また、クッションAを変形させた形状とすることで、安定性に優れた配置構造とすることができる。
【0121】
[第2の実施の形態]
また、本発明の第2の実施の形態は、椅子の座面及び肘置きに沿ってクッションAを配置する態様であり、本体部1を椅子の座面に配置する点で、上記の第1の実施の形態と異なっている。なお、本発明の第2の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0122】
図7に示すように、背もたれ70、座面71、2つの肘置き72及び肘置き73を有する理美容椅子7に、クッションAを配置している。また理美容椅子7の背もたれ70はリクライニング機能を有している。
【0123】
図7に示すように、クッションAの本体部1の裏面が、椅子7の座面71の表面に当接している。また、クッションAの膨らみ部2は、肘置き72に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。また、クッションAの膨らみ部3は、肘置き73に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。
【0124】
即ち、膨らみ部2及び膨らみ部3は、座面71に配置された本体部1に対して略90度曲げられ、椅子4の2つの肘置き72及び肘置き73のそれぞれに、膨らみ部2及び膨らみ部3が沿って配置されている。また、膨らみ部2及び膨らみ部3は簡単に曲げることができ、クッションAの全体の形状を容易に変化させることができる。
【0125】
ここで、必ずしも、膨らみ部2及び膨らみ部3は、本体部1に対して略90度曲げられて配置される必要はなく、2つの肘置きを有する椅子の形状に合わせて、即ち、肘置きの角度に合わせて、膨らみ部2及び膨らみ部3を折り曲げ、クッションAを配置することができる。
【0126】
また、椅子7の座面71の表面には、本体部1の裏面の滑り止め部10が当接して、座面71に対して、本体部1の位置がずれにくくなっている。
【0127】
この図7に示すクッションAの配置構造では、椅子7に座った着座者の臀部及び腰部における左右側面にクッションAが当接し、着座者の座位姿勢を支えて、保持することができる。
【0128】
より詳細には、椅子7の座面71上で、クッションAの本体部1が着座者の臀部を支持し、座り心地の良い座面とすることができる。
【0129】
また、腰部と肘置き肘置き72または肘置き72の間に配置された、膨らみ部2または膨らみ部3によって、腰部の左右側面がしっかりと支持される。膨らみ部2及び膨らみ部3は、厚みが大きく形成されているため、腰部と肘置き72または肘置き73の間の空間を埋めると共に、着座者の姿勢が左または右に傾き、体重がかかる際にも、膨らみ部2または膨らみ部3で、着座者の腰部の側面を、充分に支持することができる。
【0130】
また、第2の実施の形態における配置構造は、椅子7のような理美容椅子だけでなく家具椅子、車椅子、洗髪用椅子、自動車の座席等、幅広く、その他の種類の椅子にも採用しうる。
【0131】
以上のように、本発明の第2の実施の形態では、椅子の座面及び肘置きに沿ってクッションAを配置し、着座者の臀部及び腰部における左右側面にクッションAが当接し、着座者の座位姿勢を支えて、保持することができる。また、クッションAを変形させた形状とすることで、安定性に優れた配置構造とすることができる。
【0132】
[第3の実施の形態]
本発明の第3の実施の形態は、座面及び背もたれを有する椅子において、その背もたれにクッションAを引っ掛けて配置する態様である。なお、本発明の第3の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0133】
例えば、椅子の背もたれにクッションAを配置する配置構造として、図8及び図9を示す。
【0134】
図8及び図9に示す椅子8は、背もたれ80及び座面81を有している。また、椅子家8は家具椅子である。
【0135】
また、図8に示すように、クッションAの本体部1が、椅子8の背もたれ80の上端に引っ掛けられている。また、本体部1を介して、膨らみ部2が背もたれ80の表面側に位置し、膨らみ部3が背もたれ80の裏面側に位置している。
【0136】
また、本体部1の裏面が、椅子8の背もたれ80の表面に当接している。また、膨らみ部2は、背もたれ80の上部側に配置されている。
【0137】
また、膨らみ部3が背もたれ80の裏面側に位置することで、背もたれ80の表面側に位置した膨らみ部2とのバランスを取って、本体部1を背もたれ10の上端に引っ掛けた状態を維持することができる。
【0138】
図8に示すクッションAの配置構造では、着座者が椅子8に座った際に、膨らみ部2が、着座者の背中、特に、背中の上部、肩甲骨や脊柱等に当接しやすい構造となっている。本配置構造では、例えば、円背や猫背の人が、椅子8に着座した際に、丸まった背中の上部に膨らみ部2が当たり、背中を支持して、座位姿勢の安楽性を高めることができる。
【0139】
また、図9では、図8と同様に、クッションAの本体部1が、椅子8の背もたれ80の上端に引っ掛けられている。また、本体部1を介して、膨らみ部2が背もたれ80の表面側に位置し、膨らみ部3が背もたれ80の裏面側に位置している。
【0140】
また、図9では、本体部1の裏面が、椅子8の背もたれ80の表面に当接している。また、図8と異なり図9では、膨らみ部2は、背もたれ80の下部側に配置されている。
【0141】
また、膨らみ部3が背もたれ80の裏面側に位置することで、背もたれ80の表面側に位置した膨らみ部2とのバランスを取って、本体部1を背もたれ80の上端に引っ掛けた状態を維持することができる。
【0142】
図9に示すクッションAの配置構造では、着座者が椅子8に座った際に、膨らみ部2が、着座者の背中または腰部、特に、背中の下部から腰部の後面に渡って当接しやすい構造となっている。本配置構造では、例えば、腰痛のある人が椅子8に着座した際に、背中の下部から腰部の後面に渡って膨らみ部2が当たり、腰部を支持して、座位姿勢の安楽性を高めることができる。
【0143】
なお、図8及び図9で示したクッションAの配置構造では、着座者の体格や姿勢に合わせて、背もたれ80の表面側における膨らみ部2の高さ位置を適宜変えることができる。
【0144】
また、本発明の第3の実施の形態として、リクライニング可能な背もたれを有するベッドにおいて、その背もたれにクッションAを引っ掛けて配置する態様を説明する。
【0145】
図10及び図11に示すベッド9は、背もたれ90を有している。また、背もたれ90はリクライニング機能を有している。
【0146】
また、図10に示すように、クッションAの本体部1が、ベッド9の背もたれ90の上端に引っ掛けられている。また、背もたれ90は、使用者の視線が斜め上方を向く程度に傾けられている。
【0147】
また、本体部1を介して、膨らみ部2が背もたれ90の表面側に位置している。また、図示しないが、膨らみ部3は背もたれ90の裏面側に位置している。
【0148】
また、本体部1の裏面が、ベッド9の背もたれ90の表面に当接している。また、膨らみ部2は、背もたれ90における、使用者の頚椎P1に対応する位置に配置されている。
【0149】
また、膨らみ部3が背もたれ90の裏面側に位置することで、背もたれ90の表面側に位置した膨らみ部2とのバランスを取って、本体部1を背もたれ90の上端に引っ掛けた状態を維持することができる。
【0150】
図10に示すクッションAの配置構造では、使用者がベッド9の背もたれ90に背中を付けて寝た姿勢となった際に、膨らみ部2が、使用者の頚椎P1に当接しやすい構造となっている。本配置構造では、膨らみ部2が使用者の頚椎P1を支持し、例えば、使用者の顎P2が斜め上方に向けて上がった姿勢としやすくなる。
【0151】
この図10に示すクッションAの配置構造では、使用者の顎P2が上がることで、例えば、ベッド9上での、食事介助、歯科、口腔ケア、髭剃り等の整容、理美容サービス等の各種サービスを提供しやすくなる。即ち、クッションAに支持された使用者は、顎P2を上げた状態でも姿勢が安定し、安楽な姿勢で食事介助等のサービスを受けることができる。
【0152】
より詳細には、例えば、ベッドで寝たきりの人や起き上がれない患者等が、食事介助、歯科治療、口腔ケア、歯磨き、髭剃り等の整容等のサービスを受ける際に、顎の位置や角度を調整しやすくなる。
【0153】
これにより、クッションAの使用者は、安楽な姿勢で各種サービスを享受することができる。また、各種サービスの提供者は、クッションAの使用者の頭部が安定することから、安全に各種サービスを提供することが可能となる。
【0154】
図11では、図10と同様に、クッションAの本体部1が、ベッド9の背もたれ90の上端に引っ掛けられている。また、図11でも、背もたれ90が傾けられている。
【0155】
また、本体部1を介して、膨らみ部2が背もたれ90の表面側に位置し、膨らみ部3が背もたれ80の上端から裏面側あたりの位置に配置されている。また、本体部1の裏面が、ベッド9の背もたれ90の表面に当接している。
【0156】
図11に示すクッションAの配置構造では、使用者がベッド9に対して上半身を起こして座った姿勢となっているが、膨らみ部2が、使用者の背中の上部P3に当接しやすい構造となっている。本配置構造では、膨らみ部2が使用者の背中の上部P3を支持し、使用者の視線が前方を真っすぐ向いた姿勢としやすくなる。
【0157】
この図11に示すクッションAの配置構造では、ベッド9上に使用者が座って、視線が前方を真っすぐ向いた姿勢となることで、例えば、ベッド9上での、食事介助、歯科、口腔ケア、髭剃り等の整容、理美容サービス等の各種サービスを提供しやすくなる。即ち、クッションAに支持された使用者は、膨らみ部2で使用者の背中の上部P3が支持され、視線が前方を真っすぐ向いた姿勢が安定し、安楽な姿勢で食事介助等のサービスを受けることができる。
【0158】
より詳細には、例えば、ベッドで寝たきりの人や起き上がれない患者等が、食事介助、歯科治療、口腔ケア、歯磨き、髭剃り等の整容、カット等の理美容サービス等を受ける際には、ベッドの背もたれを起こし上げて、着座者の背がベッドから少し離れた座位姿勢の状態を保ち、着座者の目線と、介助者等のサービス提供者の目線とを同程度にすることが必要とされる。
【0159】
ここで、一般的には、サービス提供者は2人がかりで作業を行うことになる。例えば、理容師や美容師が、寝たきりの人をベッド上でカットをする場合には、1人が寝たきりの人の背部や頭部を支える役割となり、もう1人がカットをする役割を担う場合が多い。仮に、サービス提供者が1人のみの場合、安全性を確保する点から、後頭部のカットを行うことが困難となる。
【0160】
こうした際に、図11に示すクッションAの配置構造とすることで、膨らみ部2で、クッションAの使用者の背中の上部P3が支持され、視線が前方を真っすぐ向いた姿勢が安定し、サービス提供者が1人であっても、各種サービスをクッションAの使用者に提供可能となる。
【0161】
図11に示すクッションAの配置構造とすることで、例えば、ベッドと、クッションAの使用者の頭部との間を広げて、空間を保つてることから、理容師や美容師等が後頭部のカットをし易い状態を確保することができる。
【0162】
また、図11に示すクッションAの配置構造とすることで、クッションAの使用者において、上半身が起き上がった座位姿勢の状態を保ちやすく、目線が上がることから、食事介助や口腔ケア、歯磨き等の整容の提供がし易くなり、誤嚥の予防にもつながるものとなる。
【0163】
以上のように、本発明の第3の実施の形態では、座面及び背もたれを有する椅子またはリクライニング機能を有するベッドにおいて、その背もたれにクッションAを引っ掛けて配置し、着座者の座位姿勢を安定させたり、ベッド上での使用者の姿勢を安定させたりすることができる。また、使用者を支持する膨らみ部の位置を変えることで、安定性に優れた配置構造とすることができる。
【0164】
[第4の実施の形態]
本発明の第4の実施の形態は、リクライニング可能な背もたれを有するベッドにおいて、膨らみ部の一方に本体部を巻き付けた形状のクッションAを配置する態様を説明する。なお、本発明の第4の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0165】
図12には、上述したベッド9の背もたれ90に背中を付けた使用者が、頭部の後ろ側にクッションAを配置した状態を示している。
【0166】
図12に示すクッションAは、図3(b)に示す形状のクッションAを配置している。即ち、クッションAは、膨らみ部3に本体部1を巻き付けながら、膨らみ部3を、膨らみ部2の方に向けて回転させた形状となっている。
【0167】
このクッションAでは、膨らみ部2の厚みに比べて、膨らみ部3に本体部1を巻き付けた部分の厚みが、より大きな厚みとなり、クッションAの全体としては、二段階の厚みを有する形状となる。
【0168】
図12に示すように、膨らみ部2は、使用者の頚椎P1に対応する位置に、膨らみ部3に本体部1を巻き付けた部分は、使用者の後頭部P4に対応する位置に、それぞれ配置されている。
【0169】
このように、二段階の厚みを有するクッションAを、枕のように使用者の後頭部P4に配置することで、頚椎P1から後頭部P4に渡る範囲をクッションAで充分に支持することが可能となる。また、膨らみ部3に本体部1を巻き付けた部分は、大きな厚みを有するため、比較的重量のある頭部を、下部後方からしっかりと支え、頭部の位置を安定化させることができる。
【0170】
さらに、膨らみ部3に本体部1を巻き付けた部分で後頭部P4を支えた状態で、膨らみ部2で使用者の頚椎P1を支える構造となるため、使用者の首にかかる負担を軽減しながら、使用者の姿勢を保持し、安定化させることができる。
【0171】
また、図12に示すクッションAの配置構造では、図10の状態と同様に、クッションAに支持された使用者は、姿勢が安定し、安楽な姿勢で食事介助等のサービスを受けることができる。また、使用者の顎の位置や角度を調整しやすくなり、使用者は、安楽な姿勢で各種サービスを享受することができる。また、各種サービスの提供者は、クッションAの使用者の頭部が安定することから、安全に各種サービスを提供することが可能となる。
【0172】
なお、ここではリクライニング可能な背もたれを有するベッドでの使用を一例に挙げたが、使用場面はこれに限らず、例えば、リクライニング可能な背もたれを有する椅子において、同様のクッションAの配置構造とすることもできる。
【0173】
[第5の実施の形態]
本発明の第5の実施の形態は、リクライニング可能な背もたれを有するベッドにおいて、膨らみ部の両方を本体部に向けた折り曲げた形状のクッションAを配置する態様を説明する。なお、本発明の第5の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0174】
図13には、上述したベッド9の背もたれ90に背中を付けた使用者が、背中の上部及び肩の後ろ側にクッションAを配置した状態を示している。
【0175】
図13に示すクッションAは、膨らみ部2及び膨らみ部3の両方が、本体部1の表面側に折り曲げられた形状となっている。また、本体部1の裏面側が、背もたれ90の表面に当接している。
【0176】
図13に示すように、膨らみ部2及び膨らみ部3は、使用者の背中の上部P3に対応する位置に配置されている。また、膨らみ部2及び膨らみ部3の部分には、本体部1の厚みが加わり、膨らみ部2及び膨らみ部3のみの厚みより、大きな厚みを有している。
【0177】
このように、膨らみ部2及び膨らみ部3の両方が、本体部1の表面側に折り曲げられた形状のクッションAを、使用者の背中の上部P3の位置に配置することで、使用者がベッド9に対して上半身を起こして座った姿勢を、より一層安定して支持可能となる。また、個の際、使用者の視線が前方を真っすぐ向いた姿勢となる。
【0178】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3の両方が、使用者の背中の上部P3の左右をそれぞれ支持するため、使用者の身体の横方向への揺れをより一層抑止できる。
【0179】
この結果、上述した図11に示すクッションAの配置構造と同様に、ベッド9上での、食事介助、歯科、口腔ケア、髭剃り等の整容、理美容サービス等の各種サービスを提供しやすくなる。即ち、クッションAに支持された使用者は、膨らみ部2及び膨らみ部3で使用者の背中の上部P3が支持され、視線が前方を真っすぐ向いた姿勢が安定し、安楽な姿勢で食事介助等のサービスを受けることができる。
【0180】
また、膨らみ部2及び膨らみ部3に、本体部1の厚みが加わっているため、使用時の安定感が向上するだけでなく、使用時の感触をより一層良好なものにできる。また、ベッド9の背もたれ90と、使用者の背中の間を埋めるクッションAの体積が、図11に示すクッションAの体積よりも大きくなり、より一層、ベッド9に対して、使用者の上半身を起こし易くなる。
【0181】
なお、ここではリクライニング可能な背もたれを有するベッドでの使用を一例に挙げたが、使用場面はこれに限らず、例えば、リクライニング可能な背もたれを有する椅子において、同様のクッションAの配置構造とすることもできる。
【0182】
[第6の実施の形態]
本発明の第6の実施の形態は、1つの肘置きを有する自動車の座席において、一方の膨らみ部を本体部の裏面側に折り曲げ、他方の膨らみ部を本体部の表面側かつ肘置きに沿って折り曲げた形状のクッションAを配置する態様を説明する。なお、本発明の第6の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0183】
図14及び図15には、自動車の座席100を示している。座席100は、背もたれ101と、車内の内側に設けられた1つの肘置き102を有している。また、座席100のドア側(図示省略)には、肘置きが設けられていない。また、座席100は運転席である。
【0184】
図14に示すクッションAは、膨らみ部2が、本体部1の裏面側に折り曲げられ、背もたれ101に当接して配置されている。また、膨らみ部3は、肘置き102に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。
【0185】
即ち、膨らみ部3は、本体部1に対して略90度曲げられ、座席100の肘置き102沿って配置されている。また、膨らみ部2及び膨らみ部3は簡単に曲げることができ、クッションAの全体の形状を容易に変化させることができる。
【0186】
また、図14に示すように、膨らみ部2の部分には、本体部1の厚みが加わり、膨らみ部2及び膨らみ部3のみの厚みより、大きな厚みを有している。
【0187】
このように、膨らみ部2が、本体部1の裏面側に折り曲げられ、膨らみ部3が肘置き102に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げられた形状のクッションAを、自動車の運転席100に配置することで、着座者の脇の下及び腰部の側面を、充分に支持することができる。
【0188】
即ち、例えば、自動車の運転席に、図14に示す形状のクッションAを配置することで、着座者の腰部の両側面と、腰部の両側面から後面側に渡る範囲を、しっかりと支持し、長時間の運転を行うドライバーの姿勢を保持することができる(図15参照)。
【0189】
この結果、膨らみ部2及び膨らみ部3で、ドライバーの腰部を両側から支え、腰にかかる負荷を大きく軽減することができる。運転中のドライバーは身体を大きく動かす等して、姿勢を大きく変えることが難しいため、クッションAで姿勢を保持し、支えることで、使用者の負担軽減に大きな効果を生じるものとなる。
【0190】
なお、ここでは自動車の座席での使用を一例に挙げたが、使用場面はこれに限らず、例えば、1つの肘置きが設けられた椅子において、同様のクッションAの配置構造とすることもできる。
【0191】
[第7の実施の形態]
本発明の第7の実施の形態は、一般的な形状のクッションと組み合わせて、椅子の背面及び肘置きに沿ってクッションAを配置する態様である。第7の実施の形態は、上述した図4に示す第1の実施の形態とは、一般的な形状のクッションと組み合わせた点で異なっている。なお、本発明の第7の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0192】
図16には、上述した背もたれ40と、2つの肘置き41及び肘置き42を有する椅子4を示している。また、椅子4には、クッションAを配置し、さらに、クッションAの本体部1の表面側に、一般的な形状のクッションBを重ねて配置している。また、クッションBは、外形が略矩形の一般的な形状の背あてクッションである。
【0193】
図16に示すように、クッションAの本体部1の表面側にクッションBを重ねて配置したことで、着座者の腰部の後面に当接する部分の厚みが、本体部1のみの厚みに比べて、より大きな厚みとなっている。これにより、着座者の腰部の後面における使用感が、より一層良好なものとなる。
【0194】
この第7の実施の形態に示すように、クッションAは、一般的な形状のクッションと組み合わせて配置することも可能である。
【0195】
[第8の実施の形態]
本発明の第8の実施の形態は、2つのクッションAを組み合わせて、椅子の背面及び肘置きに沿ってクッションAを配置する態様である。第8の実施の形態は、上述した図4に示す第1の実施の形態において、椅子に配置したクッションAの上から、更にクッションAを重ねて配置する態様である。なお、本発明の第8の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0196】
図17には、上述した背もたれ40と、2つの肘置き41及び肘置き42を有する椅子4を示している。また、椅子4には、第1の実施の形態と同様に、1つ目のクッションA1を配置し、さらに、背もたれ40の上部及びクッションA1の本体部1の上端縁に、2つ目のクッションA2の本体部1を引っ掛けて、クッションA2を配置している。
【0197】
また、図17に示すように、クッションA2の膨らみ部2は、クッションA1の本体部1の表面の上部側に配置されている。なお、図17では、クッションA1とクッションA2を区別しやすいように、クッションA2のみにドット状の模様を付して示している。
【0198】
図17に示すように、クッションA1の本体部1の表面側にクッションA2を重ねて配置したことで、着座者の腰部の両側面をクッションA1の膨らみ部2及び膨らみ部3で支持すると共に、着座者の背中の上部を、クッションA2の膨らみ部2で、しっかりと支持することができる。
【0199】
このクッションA2の膨らみ部2により、円背や猫背の人が、椅子4に着座した際に、丸まった背中の上部に膨らみ部2が当たり、背中を支持して、座位姿勢の安楽性を高めることができる。
【0200】
この第8の実施の形態に示すように、椅子に対して、2つのクッションA1及びクッションA2を組み合わせて配置することも可能である。
【0201】
[第9の実施の形態]
本発明の第9の実施の形態は、2つのクッションAを組み合わせて、リクライニング可能な背もたれを有するベッドに配置する態様である。第9の実施の形態は、上述した図10に示す第3の実施の形態における、ベッドに配置したクッションAの上から、上述した図13に示す第5の実施の形態における形状で、更にクッションAを重ねて配置する態様である。なお、本発明の第9の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0202】
図18には、上述した背もたれ90を有するベッド9を示している。また、ベッド9には、第3の実施の形態と同様に、1つ目のクッションA1を配置し、さらに、クッションA1の本体部1及び膨らみ部2の上方に、2つ目のクッションA2を配置している。
【0203】
また、図18に示すように、クッションA2の膨らみ部2及び膨らみ部3は、その本体部1の表面側に向けて折り曲げられた形状となっている。
【0204】
図18に示すように、クッションA1の本体部1の本体部1及び膨らみ部2の上方に、膨らみ部2及び膨らみ部3が本体部1の表面側に向けて折り曲げられた形状のクッションA2を重ねて配置したことで、使用者の頚椎P1と後頭部P4を、クッションA1の膨らみ部2と、クッションA2の膨らみ部2及び膨らみ部3とで、しっかりと支持することができる。
【0205】
この図18に示す2つのクッションA1及びクッションA2の配置構造では、使用者の肩から上の部分、特に頚椎P1と後頭部P4をより一層安定させて、使用者の姿勢を保持することができる。
【0206】
また、頚椎P1と後頭部P4の位置では、クッションA1の膨らみ部2、クッションA2の本体部1及びクッションA2の膨らみ部2または膨らみ部3が重なった大きな厚みを有する部分となるため、使用者の身体に当てた際の使用感を、さらに一層良好なものにすることができる。
【0207】
また、使用者の後頭部P4の位置が高くなり、使用者の目線の位置を高くしやすくなると共に、クッションA2の膨らみ部2及び膨らみ部3を介して、後頭部P4の横方向への揺れを抑止できる。
【0208】
この第9の実施の形態に示すように、リクライニング可能な背もたれを有するベッドに対して、2つのクッションA1及びクッションA2を組み合わせて配置することも可能である。
【0209】
また、本発明を適用したクッションまたはクッションの配置構造の一例について、続けて説明する。
[第10の実施の形態]
本発明の第10の実施の形態では、上述したクッションAの形態と異なり、クッション固定用に紐やベルト等を通せるループが形成されている。なお、本発明の第10の実施の形態のクッションの構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの構造としても適用しうる。
【0210】
本発明の第10の実施の形態であるクッションCでは、本体部1の上端縁及び下端縁に、2つずつループ部11が設けられている。また、本体部1の裏面にも、4つのループ部12が設けられている(図19(a)及び図19(b)参照)。
【0211】
このループ部11またはループ部12に、紐やベルトを通して、椅子やベッドの背もたれ、または、椅子の座面等に紐やベルトを結び付けることで、本体部1を椅子やベッドに強固に固定することが可能となる。これにより、クッションが、配置した位置からずれにくくすることができる。また、クッションの配置位置の自由度をより一層高めることができる。
【0212】
[第11の実施の形態]
本発明の第11の実施の形態は、本体部を分離して、クッションの長手方向の長さを調整可能な形態となっている。なお、本発明の第11の実施の形態のクッションの構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの構造としても適用しうる。
【0213】
本発明の第11の実施の形態であるクッションDでは、本体部13が、分離可能な上部本体部130と、下部本体部131の2つで構成されている(図20(a)参照)。また、上部本体部130の裏面と、下部本体部131の表面には、面ファスナー132が設けられている。なお、上部本体部130の裏面の面ファスナーは図示を省略している。
【0214】
また、クッションDでは、上部本体部130の左側端縁に連設して、膨らみ部20が形成されている。また、下部本体部131の右側端縁に連設して、膨らみ部30が形成されている。
【0215】
このクッションDでは、上部本体部130の裏面及び下部本体部131の表面に形成された面ファスナー132の係合位置を変えて、本体部13の長手方向の長さを所望の長さに調整することができる。これにより、椅子のサイズや形状、使用者の身体に当てたい部位に合わせて、クッションのサイズをより一層自由度高く変更することができる。
【0216】
[第12の実施の形態]
本発明の第12の実施の形態は、2つのクッションAを組み合わせて、座面、背もたれ及び2つの肘置きを有する椅子に配置する態様である。なお、本発明の第12の実施の形態のクッションの配置構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの配置構造としても適用しうる。
【0217】
図21及び図22に示すように、本実施の形態では、2つのクッションA1及びクッションA2を用いている。クッションA1及びクッションA2は、上述したクッションAと同じ構造である。
【0218】
本実施の形態では、クッションA1の本体部1が、背もたれ43に沿って配置され、クッションA2の本体部1が、座面44に沿って配置されている(図22参照)。
【0219】
また、クッションA2の膨らみ部2は、肘置き45に沿って上方に、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。また、クッションA2の膨らみ部3は、肘置き46に沿って上方に、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。
【0220】
また、クッションA1の膨らみ部2は、肘置き41に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。また、クッションA1の膨らみ部3は、肘置き42に沿って、かつ、本体部1の表面側に向けて折り曲げて配置されている。
【0221】
この配置構造によれば、クッションA1及びクッションA2のそれぞれの本体部1で、使用者の臀部、腰部及び背中にかけて、広範囲に身体の部位を支えることが可能となる。また、クッションA2の膨らみ部2及び膨らみ部3を介して、使用者の腰部の左右両側面を支持することができる。クッションA1の膨らみ部2及び膨らみ部3を介して、使用者の背中の左右両側、両腕や両肩の外側を支持することができる。
【0222】
本実施の形態は、背もたれや座面の幅が大きな椅子で採用しやすく、2つのクッションA1及びクッションA2で、使用者の身体を広範囲に支えるため、使用者は安楽に椅子に座ることが可能となる。
【0223】
[第13の実施の形態]
本発明の第13の実施の形態は、図23(a)及び図23(b)に示す形状のクッションEである。クッションEは、上述したクッションAの2つを、本体部の上下方向で接続した構造である。なお、本発明の第13の実施の形態のクッションの構造は、後述するクッションL、G、H、I、J、K、M及びこれらの変形例のクッションの構造としても適用しうる。
【0224】
図23(a)に示すように、クッションEは本体部14を有している。また、本体部14は、上側本体部140と、上下接続部141と、下側本体部142で構成されている。また、上側本体部140、上下接続部141及び下側本体部142は、一体化したカバー部材のみで形成されている。
【0225】
また、上側本体部140の左右両端縁に連設して、膨らみ部21及び膨らみ部31が形成されている。また、下側本体部131の左右両端縁に連設して、膨らみ部22及び膨らみ部32が形成されている。また、4つの膨らみ部は、本体部14を構成するカバー体の内側にクッション中材を入れて構成されている。
【0226】
このような形状のクッションEは、上述した第12の実施の形態と同様に、座面、背もたれ及び2つの肘置きを有する椅子に配置することが可能である。この際、図23(b)に示すように、下側本体部142が座面側に、上側本体部が背もたれ側にそれぞれ配置されるように、上下接続部141を境界に折り曲げた形状として、椅子に配置することができる。
【0227】
また、本実施の形態の別の態様として、図24に示すようなクッションFの形態にすることもできる。クッションFでは、クッションEと異なり、本体部15を構成する上側本体部150と、下側本体部152が、カバー体の内側にクッション中材が入れて構成され、より厚みが大きな形状となっている。
【0228】
また、クッションFでは、上側本体部150と下側本体部152の間を、上下接続部151が繋いでおり、この上下接続部151はカバー体のみで形成されている。このクッションFのように、上側本体部150及び下側本体部152の厚みを大きくした形状とすることもできる。
【0229】
[第14の実施の形態]
本発明の第14の実施の形態は、空気を利用して膨らみを持たせたクッションLである。図25(a)~図25(c)に示すように、クッションLは、本体部1aと、膨らみ部2aと、膨らみ部3aを有している。
【0230】
また、クッションLの本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aは、図25(b)に示すように、裏面側にそれぞれ、注入口100a、注入口20a及び注入口30aが形成され、それぞれ内部に空気を注入して、膨らみ具合を調整し、所望の膨らみ具合の形状にすることができる。
【0231】
また、図25(a)~図25(c)に示すように、本体部1aと膨らみ部2aの間と、本体部1aと膨らみ部3aの間は、それぞれ接続部10aで接続されている。この接続部10aは、本体部1aと、膨らみ部2aまたは膨らみ部3aとの間を接続すると共に、各部材を隔てる部分である。
【0232】
即ち、各接続部10aと、注入口100a、注入口20a及び注入口30aが形成されたことで、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aは、それぞれを個別に膨らませることができる。また、各部材の膨らみ具合を異ならせることができる。
【0233】
また、本体部1a、膨らみ部2a、膨らみ部3a及び各接続部10aは、塩化ビニル樹脂で形成されている。また、図25(c)に示すように、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aの各部材を大きく膨らませた場合、膨らみ部2a及び膨らみ部3aの膨らみが、本体部1aの膨らみより大きくなるように形成されている。
【0234】
また、本体部1aには、4本の内部仕切り部11aが形成されている(図25(a)~図25(c)参照)。この内部仕切り部11aは、本体部1aの内部で、本体部の短手方向(縦方向)に沿って、塩化ビニル樹脂製のシート状の仕切り材(図示省略)を、本体部1aの内側の上下面に溶着して形成している。この際、シート状の仕切り材の幅方向が、本体部1aの厚み方向と一致する向きで、シート状の仕切り材を配置する。このシート状の仕切り材を設けたことで、後述するように、本体部1aに空気を注入して複数の膨らみ区画に分けた際に、内部仕切り部11aの位置でも一定の厚みを持たせることができる。
【0235】
また、より詳細には、内部仕切り部11aは、本体部1aの内部で、図25(a)における上下方向で、本体部1aの上端または下端との間に隙間を有している。そのため、同隙間部分は、空気が通過することができ、内部仕切り部11aが設けられていても、本体部1aの内部全体に空気を行き渡らせることが可能となる。
【0236】
この4本の内部仕切り部11aを設けることで、本体部1aは、空気を注入して膨らませた際に、1つの大きな膨らみではなく、左右方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。この形状により、本体部1aを使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部1aの身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。
【0237】
また、上述したように、内部仕切り部11aは、本体部aの内部を完全に仕切った構造とならず、本体部1aに対して、1つの注入口100aを設けるだけで、空気を本体部1aの内部に行き渡らせることが可能となる。
【0238】
ここで、必ずしも、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aは、それぞれ内部に空気を注入して、膨らみ具合を調整できるものである必要はない。例えば、空気に換えて、水を内部に注入して、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aが膨らみ具合を調整できる態様も採用しうる。但し、空気を採用した場合、空気を出し入れする簡単な作業で容易に膨らみ具合が調整することが可能となるため、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aは、それぞれ内部に空気を注入して、膨らみ具合を調整できることが好ましい。
【0239】
また、水で膨らみ具合を調整できる態様の場合には、水の温度を変えて、使用感を異ならせることができる。例えば、本体部1a、膨らみ部2a及び膨らみ部3aの内部に冷水を入れて、使用者が涼感を得られる、水枕のような使い方をすることができる。また、例えば、本体部1a、膨らみ部2a、及び膨らみ部3aの内部に温水を入れて、使用者が痛みのある腰等にクッションLを充てることで、痛みを和らげる使い方をすることもできる。
【0240】
また、必ずしも、本体部1a、膨らみ部2a、膨らみ部3a及び各接続部10aは、塩化ビニル樹脂で形成される必要はなく、膨らませた際の肌当たり性が良く、内部に空気を入れて膨らませることが可能な素材であれば適宜採用しうる。例えば、塩化ビニル樹脂の代わりに、空気を注入して膨らませることが可能なポリエステル繊維を採用することもできる。また、内部に水または温水等を注入して膨らませる態様であれば、クロロプレンゴムやナイロン等の素材を用いて、本体部1a、膨らみ部2a、膨らみ部3a及び各接続部10aを形成することもできる。
【0241】
また、クッションLは、クッションAと同様に、その形状を様々な形に変形させて使用することができる。例えば、本体部1aの表面側で、膨らみ部2a及び膨らみ部3aを本体部1aの方に折り曲げた形状(図26(a)参照)や、膨らみ部2aは、本体部1aの裏面側に折り曲げ、かつ、膨らみ部3aは、本体部1aの表面側に折り曲げた形状(図26(b)参照)にできる。
【0242】
また、例えば、本体部1aの表面側で、膨らみ部2a及び膨らみ部3aを本体部1aの方に大きく折り曲げた形状(図26(c)参照)や、膨らみ部3aに本体部1を巻き付けながら、膨らみ部3aを、膨らみ部2aの方に向けて回転させた形状(図26(d)参照)とすることもできる。また、これらの各種形状は、上述したクッションAの各種の配置の態様と同様に配置することができる。
【0243】
また、本発明の第14の実施の形態の変形例を、図27(a)及び図27(b)を用いて説明する。なお、ここでは上述したクッションLと同じ部材については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0244】
図27(a)に示すクッションGでは、本体部1aの両側に、膨らみ部2bと、膨らみ部3bが設けられている。また、膨らみ部2b及び膨らみ部3bには、それぞれ、1本ずつの内部仕切り部11bが形成されている。この内部仕切り部11bは、膨らみ部2b及び膨らみ部3bの内部で、本体部の短手方向(縦方向)に沿って、塩化ビニル樹脂製のシート状の仕切り材(図示省略)を、膨らみ部2b及び膨らみ部3bの内側の上下面に溶着して形成している。この際、シート状の仕切り材の幅方向が、膨らみ部2b及び膨らみ部3bの厚み方向と一致する向きで、シート状の仕切り材を配置する。このシート状の仕切り材を設けたことで、後述するように、膨らみ部2b及び膨らみ部3bに空気を注入して複数の膨らみ区画に分けた際に、内部仕切り部11bの位置でも一定の厚みを持たせることができる。
【0245】
また、より詳細には、内部仕切り部11bは、膨らみ部2b及び膨らみ部3bの内部で、図27(a)における上下方向で、膨らみ部2b(膨らみ部3b)の上端または下端との間に隙間を有している。そのため、同隙間部分は、空気が通過することができ、内部仕切り部11bが設けられていても、膨らみ部2bまたは膨らみ部3bの内部全体に空気を行き渡らせることが可能となる。
【0246】
この内部仕切り部11bを設けることで、膨らみ部2b及び膨らみ部3bは、空気を注入して膨らませた際に、1つの大きな膨らみではなく、左右方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。この形状により、膨らみ部2b及び膨らみ部3bを使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、膨らみ部2b及び膨らみ部3bの身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。
【0247】
また、上述したように、内部仕切り部11bは、膨らみ部2bまたは膨らみ部3bの内部を完全に仕切った構造とならず、膨らみ部2bまたは膨らみ部3bに対して、1つの注入口(図示省略)を設けるだけで、空気を膨らみ部2bまたは膨らみ部3bの内部に行き渡らせることが可能となる。
【0248】
図27(b)に示すクッションHでは、本体部1bの両側に、膨らみ部2aと、膨らみ部3aが設けられている。また、本体部1bには、2本の内部仕切り部11cが形成されている(図27(b)参照)。この内部仕切り部11cは、本体部1bの内部で、本体部の長手方向(左右方向)に沿って、塩化ビニル樹脂製のシート状の仕切り材(図示省略)を、本体部1bの内側の上下面に溶着して形成している。この際、シート状の仕切り材の幅方向が、本体部1bの厚み方向と一致する向きで、シート状の仕切り材を配置する。このシート状の仕切り材を設けたことで、後述するように、本体部1bに空気を注入して複数の膨らみ区画に分けた際に、内部仕切り部11cの位置でも一定の厚みを持たせることができる。
【0249】
また、本体部1bと膨らみ部2aの間と、本体部1bと膨らみ部3aの間は、それぞれ接続部10bで接続されている。
【0250】
また、より詳細には、内部仕切り部11cは、本体部1bの内部で、図27(b)における左右方向で、本体部1bの左端または右端との間に隙間を有している。そのため、同隙間部分は、空気が通過することができ、内部仕切り部11cが設けられていても、本体部1bの内部全体に空気を行き渡らせることが可能となる。
【0251】
この2本の内部仕切り部11cを設けることで、本体部1bは、空気を注入して膨らませた際に、1つの大きな膨らみではなく、本体部1cの短手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる。この形状により、本体部1bを使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部1bの身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。
【0252】
また、上述したように、内部仕切り部11cは、本体部1bの内部を完全に仕切った構造とならず、本体部1bに対して、1つの注入口(図示省略)を設けるだけで、空気を本体部1bの内部に行き渡らせることが可能となる。
【0253】
[第15の実施の形態]
本発明の第15の実施の形態では、クッションに膨らみを持たせる構造の更なる例を説明する。ここで示すクッションIでは、クッション全体の外形をカバー体16で形成している(図28(a)参照)。
【0254】
このクッションIのカバー体16は、布または合成皮革で形成され、本体部161と、本体部161の両側に設けられた、膨らみ部162及び膨らみ部163を有している。また、本体部161と、膨らみ部162または膨らみ部163との間は接続部(符号省略)で接続されている。
【0255】
また、カバー体16は、膨らみ部162及び膨らみ部163がポケット状に形成されており、ウレタンチップ材から構成されたクッション中材17や、拡縮クッション材18を内部に配置可能に構成されている。
【0256】
また、クッション中材17は、袋状のインナーカバーの内部にウレタンチップ材を充填して形成されている。また、クッション中材17は、インナーカバーの内部に入れる、ウレタンチップ材の量を調整することで、クッション中材17の大きさを変えることができる。なお、以下、クッション中材17とは、ウレタンチップ材から構成されたクッション中材を意味する。
【0257】
また、拡縮クッション材18は、塩化ビニル樹脂で形成され、注入口から空気を注入して膨らませることができる(図28(a)及び図28(b)参照)。拡縮クッション材18は、注入する空気の量を調整することで、その大きさを変えることができる。
【0258】
即ち、クッションIでは、カバー体16の膨らみ部162及び膨らみ部163の内側に、クッション中材17や拡縮クッション材18を配置して、膨らみ部162及び膨らみ部163を大きく膨らませることができる。
【0259】
例えば、図29(a)及び図29(b)に示すように、2つの拡縮クッション材18を用意して、これに空気を注入して膨らませて、カバー体16の膨らみ部162及び膨らみ部163のポケット状構造の内部に配置することで、膨らみ部162及び膨らみ部163を大きく膨らませることができる。
【0260】
また、図示しないが、膨らみ部162及び膨らみ部163の両方に、クッション中材17を入れる構造や、一方にクッション中材17を入れ、他方に拡縮クッション材18を入れる構造とすることもできる。
【0261】
また、クッションIでは、膨らみ部162(または膨らみ部163)の1つに対して、複数のクッション中材を配置する構造も採用しうる。
【0262】
例えば、クッション中材17のウレタンチップ材の量が100gとして、これを、膨らみ部162(または膨らみ部163)に対して1つ用いる構造に代えて、ウレタンチップ材の量がより少ない、3種類のクッション中材17a(80g)、クッション中材17b(20g)及びクッション中材17c(10g)の組み合わせを用いることもできる(図30(a)参照)。
【0263】
ここで、ウレタンチップ材の量が異なる複数のクッション中材17a等を組み合わせることで、クッション中材17a等の出し入れをする作業だけで、容易に膨らみ部162(または膨らみ部163)の大きさや膨らみ具合を変えることができる。また、膨らみ部162と、膨らみ部163で、2つの膨らみ具合を異ならせることもできる。
【0264】
このように、クッション中材17a、クッション中材17b及びクッション中材17cの組み合わせを変えて、膨らみ部162または膨らみ部163に入れることで、使用者の身体や姿勢に合わせて、簡単にクッションIの形状を変えることができる。
【0265】
また、拡縮クッション材18の代わりに、よりサイズの小さい拡縮クッション材18aを設けて、これをクッション中材17a等と組み合わせて用いることも可能である(図30(b)参照)。
【0266】
さらに、クッションIの変形例を説明する。図31(a)及び図31(b)に示すクッションJでは、カバー体が、本体部161aと、本体部161aの両側に設けられた膨らみ部162及び膨らみ部163を有している。また、本体部161aと、膨らみ部162または膨らみ部163との間は接続部(符号省略)で接続されている。
【0267】
このクッションJの本体部161aはポケット状に形成されている。また、クッションJは、本体部161aの内部に配置可能で、本体部161aとほぼ同等の大きさの本体拡縮クッション材19を有している(図31(a)参照)。
【0268】
また、本体拡縮クッション材19は、塩化ビニル樹脂で形成され、注入口(図示省略)から空気を注入して膨らませることができる(図31(a)参照)。本体拡縮クッション材19は、注入する空気の量を調整することで、その大きさを変えることができる。
【0269】
このクッションJでは、膨らみ部162及び膨らみ部163だけでなく、本体部161aの部分の内部にも、膨らませた本体拡縮クッション材19を配置することで、本体部161aの部分のクッション性を高めた構造となっている。また、本体拡縮クッション材19における空気の注入量を変えることで、膨み具合を調整して、本体部161aの大きさや膨らみを容易に調整することができる。
【0270】
ここで、本体拡縮クッション材19では、空気を注入して膨らませるものだけでなく、空気に代えて、水を内部に注入して、膨らみ具合を調整できる態様も採用しうる。
【0271】
また、クッションJの変形例として、本体部161aの内部に、本体部161aとほぼ同等の大きさの板状ウレタン材19aを配置する態様もありうる(図31(c)参照)。
【0272】
[第16の実施の形態]
続いて、本発明の第16の実施の形態を説明する。本発明の第16の実施の形態であるクッションMでは、図32に示すように、カバー体が、本体部161cと、本体部161cの両側に設けられた膨らみ部162a及び膨らみ部163aを有している。また、本体部161cと、膨らみ部162aまたは膨らみ部163aとの間は、それぞれ接続部10dで接続されている。
【0273】
このクッションMの本体部161cはポケット状に形成され、その内部空間に、本体部161cとほぼ同等の大きさの板状ウレタン材(図示省略)を出し入れ可能に構成されている。また、板状ウレタン材は、インナーカバー(図示省略)で覆ったものを、本体部161cの内部に配置することができる。
【0274】
クッションMでは、本体部161cに、板状ウレタン材を出し入れ可能にしたことで、使用者が、本体部161cの内側に、板状ウレタン材を配置した構造と、配置しない構造を選択することができ、使用者の好みに応じて、本体部161cのクッション性を異ならせることができる。クッションを枕として使用する場合や、クッションM全体の形状を凹状に変形させて使用する場合には、板状ウレタン材を用いずに使用した方が使い勝手が良い場合があり、このような使用態様にも適用しやすくなる。
【0275】
また、本体部161cには、ファスナー1610が形成され、このファスナー1610を開閉することで、本体部161cを、板状ウレタン材及びインナーカバーを出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切り替えることができる。
【0276】
ここで、板状ウレタン材をインナーカバーで覆うことで、本体部161cの内側に板状ウレタン材を入れる際に、挿入の作業が行いやすくなる。例えば、板状ウレタン材をインナーカバーで覆わない構造では、ウレタン材の性質上、本体部161cの内周に板状ウレタン材の表面が引っ掛かり、挿入の作業に手間を要する。そのため、板状ウレタン材をインナーカバーで覆うことで、ウレタン材由来の引っ掛かりを減らし、本体部161cの内側に板状ウレタン材を入れやすくなる。
【0277】
また、このファスナー1610が形成されたことで、本体部161cの内側に板状ウレタン材及びインナーカバーを入れて、ファスナー1610を閉じることで、板状ウレタン材を挿入した位置をずれにくくすると共に、本体部161cから外側に、板状ウレタン材及びインナーカバーが飛び出すことを抑止できる。
【0278】
ここで、必ずしも、本体部161cに、ファスナー1610が形成される必要はなく、ファスナー1610に代えて、面ファスナーを採用することも可能である。例えば、ファスナーでの開閉作業が難しい高齢者等が使用する場合に、面ファスナーを採用することで、本体部161cの開状態と閉状態との切替えの作業を容易に行うことが可能となる。
【0279】
また、膨らみ部162a及び膨らみ部163aは、膨らみ部162及び膨らみ部163と同様に、上述したクッション中材17や拡縮クッション材18を配置して、大きく膨らませることができる。
【0280】
また、膨らみ部162a及び膨らみ部163aは、ポケット状に形成され、その内部空間に、クッション中材17や拡縮クッション材18を出し入れ可能に構成されている。
【0281】
また、膨らみ部162aには、ファスナー1620が形成され、膨らみ部163aには、ファスナー1630が形成されている。このファスナー1620を開閉することで、膨らみ部162aを、クッション中材17や拡縮クッション材18を出し入れ可能とする開口が形成された開状態と、当該開口が閉じられた閉状態との間で切り替えることができる。膨らみ部163aのファスナー1630も同様である。
【0282】
このファスナー1620が形成されたことで、膨らみ部162aの内側にクッション中材17や拡縮クッション材18を入れて、ファスナー1620を閉じることで、クッション中材17や拡縮クッション材18を挿入した位置をずれにくくすると共に、膨らみ部162aから外側に、クッション中材17や拡縮クッション材18が飛び出すことを抑止できる。膨らみ部163aのファスナー1630も同様である。
【0283】
ここで、必ずしも、膨らみ部162a及び膨らみ部163aに、ファスナー1620及びファスナー1630が形成される必要がなく、これらに代えて、面ファスナーを採用することも可能である。例えば、ファスナーでの開閉作業が難しい高齢者等が使用する場合に、面ファスナーを採用することで、膨らみ部162a及び膨らみ部163aの開状態と閉状態との切替えの作業を容易に行うことが可能となる。
【0284】
また、2つの接続部10dには、それぞれ上下に2つのループ部12aが形成されている。即ち、クッションM全体で、4つのループ部12aが形成されている。このループ部12aには、紐や固定ベルトを挿通させて、この紐や固定ベルトを介して、クッションMを配置する椅子等の背もたれや座面に、クッションMを固定することができる。
【0285】
[第17の実施の形態]
本発明の第17の実施の形態では、クッションの本体部に複数の膨らみ区画を設けた構造の更なる例を説明する。ここで示すクッションKでは、クッション全体の外形をカバー体160で形成している(図33(a)参照)。
【0286】
このカバー体160は、本体部161bと、本体部161bの両側に設けられた、膨らみ部162及び膨らみ部163を有している。また、本体部161bと、膨らみ部162または膨らみ部163との間は接続部10cで接続されている(図33(b)参照)。
【0287】
また、本体部161bは二重に形成されると共に、2本の仕切り縫い目11dが形成されている。この構造により、本体部161bには、3つの筒状空間1600が形成される。
【0288】
この本体部161bの3つの筒状空間1600には、細長いクッション中材17dをそれぞれ配置することができる(図34(a)及び図34(b)参照)。また、細長いクッション中材17dは、袋状のインナーカバーの内部にウレタンチップ材を充填して形成されている。
【0289】
このクッションKでは、3つの筒状空間1600のそれぞれの内部に、細長いクッション中材17dを入れることで、本体部161bに、1つの大きな膨らみではなく、本体部の長手方向にかけて、複数の膨らみ区画に分かれて膨らんだ形状とすることができる(図34(b)参照)。この結果、本体部161bを、使用者の腰や首に沿わせやすくなると共に、本体部161bの身体に当接する箇所が増え、より一層安定して、身体の部位を支えることが可能となる。
【0290】
また、クッションKの変形例として、細長いクッション中材17dの代わりに、細長い拡縮クッション材18bを本体部161bの内部に配置する態様(図3435(a)参照)や、短冊状のウレタン材18cを本体部161bの内部に配置する態様も採用しうる(図35(b)参照)。細長い拡縮クッション材18bは、その内部に水または空気を注入して膨らみ具合を調整できる部材である。
【0291】
以上のように本発明を適用したクッション及びクッションの配置構造は、使用者の座位姿勢または身体の背部や頭部の姿勢を支えて保持することができ、使い勝手に優れ、家具椅子、車椅子、理美容椅子、洗髪用椅子、自動車の座席及びリクライニング機能を有するベッド等、広い用途に適用できるものとなっている。
【0292】
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0293】
A クッション
1 本体部
10 滑り止め部
2 膨らみ部
3 膨らみ部
4 椅子
40 背もたれ
41 肘置き
42 肘置き
5 車椅子
50 背もたれ
51 肘置き
52 肘置き
6 洗髪用椅子
60 背もたれ
61 肘置き
62 肘置き
7 理美容椅子
70 背もたれ
71 座面
72 肘置き
73 肘置き
8 椅子
80 背もたれ
81 座面
9 ベッド
90 背もたれ
100 座席
101 背もたれ
102 肘置き
A1 クッション
A2 クッション
B クッション
P1 頚椎
P2 顎
P3 背中の上部
P4 後頭部
C クッション
11 ループ部
12 ループ部
D クッション
13 本体部
130 上部本体部
131 下部本体部
132 面ファスナー
20 膨らみ部
30 膨らみ部
43 背もたれ
44 座面
45 肘置き
46 肘置き
E クッション
14 本体部
140 上側本体部
141 上下接続部
142 下側本体部
21 膨らみ部
31 膨らみ部
22 膨らみ部
32 膨らみ部
F クッション
150 上側本体部
151 上下接続部
152 下側本体部

L クッション
1a 本体部
2a 膨らみ部
3a 膨らみ部
100a 注入口
20a 注入口
30a 注入口
10a 接続部
11a 内部仕切り部

G クッション
2b 膨らみ部
3b 膨らみ部
11b 内部仕切り部

H クッション
11c 内部仕切り部
10b 接続部

I クッション
16 カバー体
161 本体部
162 膨らみ部
163 膨らみ部
17 クッション中材
18 拡縮クッション材
17a クッション中材
17b クッション中材
17c クッション中材
18a 拡縮クッション材

J クッション
19 本体拡縮クッション材
19a 板状ウレタン材

M クッション
161a 本体部
162a 膨らみ部
163a 膨らみ部
10d 接続部
1610 ファスナー
1620 ファスナー
1630 ファスナー
12a ループ部

K クッション
160 カバー体
161b 本体部
10c 接続部
11d 仕切り縫い目
1600 筒状空間
17d 細長いクッション中材
18b 細長い拡縮クッション材
18c 短冊状のウレタン材
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