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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108179
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 83/02 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H01H83/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012388
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 高峰
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 一輝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼安 直樹
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030BA02
5G030BA05
5G030FA02
5G030XX07
5G030YY01
5G030YY12
(57)【要約】
【課題】漏電遮断器及び配線用遮断器の本体ケースの一部に共通部材を使用することで、製造コストの低減化を図ることができる。
【解決手段】第1ケース3,4には、消弧装置14及び主回路接触子が配置されている第1内部空間S1と、他の部品9,23,24、25が配置されている第2内部空間S2とを仕切る仕切り壁17が設けられており、仕切り壁の一部に、第1内部空間及び第2内部空間を連通するアクセス穴18が形成されている。そして、第2内部空間側の仕切り壁にトリップコイルユニット24を搭載し、アクセス穴を閉塞手段29で閉塞する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースからなる本体ケースの内部に、主回路接触子、開閉機構、消弧装置、過電流引外し装置、零相変流器、トリップコイルユニット及び漏電検出回路のプリント基板が搭載されている回路遮断器において、
前記第1ケースには、前記消弧装置及び前記主回路接触子が配置されている第1内部空間と、他の部品が配置されている第2内部空間とを仕切る仕切り壁が設けられており、前記仕切り壁の一部に、前記第1内部空間及び前記第2内部空間を連通するアクセス穴が形成されており、
前記トリップコイルユニットに閉塞手段を設け、前記第2内部空間側の前記仕切り壁に前記トリップコイルユニットを搭載し、前記アクセス穴を閉塞手段で閉塞することを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記閉塞手段として、前記トリップコイルユニットのトリップコイルケースの一部に突起形状のアクセス穴閉塞部が設けられており、前記仕切り壁に前記トリップコイルユニットを搭載したときに、前記アクセス穴閉塞部が前記アクセス穴に嵌まり込んで閉塞することを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記トリップコイルケースにはねじ貫通部が一体に形成されており、
前記第1ケース及び前記第2ケースを供締めねじで固定する際に、前記供締めねじが貫通した前記ねじ貫通部が、前記第1ケース及び前記第2ケースに挟持されていることを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線用遮断器或いは漏電遮断器として適用可能な回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
低電圧配電系統の回路遮断器として、過電流保護機能を備えた配線用遮断器と、過電流保護機能及び地絡保護機能を備えた漏電遮断器とが知られている。これら配線用遮断器及び漏電遮断器に、主回路接触子(固定接触子及び可動接触子)が遮断操作を行う際に、発生したアークを消弧する消弧装置を搭載した装置が知られている(例えば、従来の漏電用遮断器として特許文献1、従来の配線用遮断器として特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5866993号公報
【特許文献2】特開2004-273339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の漏電遮断器は、本体ケースに搭載した漏電検出回路部のプリント基板に、消弧装置で発生したアークガスに含まれる煤が流れないように、本体ケースの内部に、消弧装置と漏電検出回路部とを遮蔽してアークガスの流入を防ぐ遮蔽部を設けた構造としている。一方、特許文献2の配線用遮断器は、アークガスとの接触を避ける部品が無いので、特許文献1の漏電遮断器の本体ケースとは異なり、遮蔽部が存在しない構造としている。このように、漏電遮断器及び配線用遮断器は、本体ケースの共通化を図ることができないので製造コストの面で問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、漏電遮断器及び配線用遮断器の本体ケースの一部に共通部材を使用することで、製造コストの低減化を図ることができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る回路遮断器は、第1ケースと第2ケースからなる本体ケースの内部に、主回路接触子、開閉機構、消弧装置、過電流引外し装置、零相変流器、トリップコイルユニット及び漏電検出回路のプリント基板が搭載されている回路遮断器において、第1ケースには、消弧装置及び主回路接触子が配置されている第1内部空間と、他の部品が配置されている第2内部空間とを仕切る仕切り壁が設けられ、仕切り壁の一部に、第1内部空間及び第2内部空間を連通するアクセス穴が形成されており、トリップコイルユニットに閉塞手段を設け、第2内部空間側の仕切り壁にトリップコイルユニットを搭載し、アクセス穴を閉塞手段で閉塞する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る回路遮断器によると、本体ケースの第1ケースを漏電遮断器及び配線用遮断器の共通部材として使用することができるので、製造コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る配線用遮断器を、本体ケースの一部を外した状態で示した斜視図である。
図2】本発明に係る配線用遮断器の1相の回路構造を示す断面図である。
図3】配線用遮断器に搭載される付属装置としての補助スイッチの外観を示す斜視図である。
図4】本発明に係る漏電遮断器を、本体ケースの一部を外した状態で示した斜視図である。
図5】本発明に係る漏電遮断器の1相の回路構造を示す断面図である
図6】漏電遮断器に搭載されるトリップコイルユニットの外観を示す斜視図である。
図7】漏電遮断器に搭載されているトリップコイルユニットが第1ケース及び第2ケースに挟持されている状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0010】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
図1に示す回路遮断器は、主回路の電源側及び負荷側の間に接続した3相(R,S,T相)交流用の配線用遮断器1であり、本体ケース2の一部を外した状態で示している。
【0012】
本体ケース2は、下部ケース3と、電源側中間ケース4と、負荷側中間ケース5と、負荷側中間ケース5に回動自在に連結する上部カバー6との分割構造とされている。
【0013】
下部ケース3には、主回路接触子(図示していない固定接触子及び可動接触子)を開閉する開閉機構7と、開閉機構7を操作する操作ハンドル8と、主回路に過電流が流れたときに開閉機構7にトリップ動作をさせる過電流引外し装置9と、R,S,T相の各相に対応する主回路導体13と、主回路接触子が遮断操作を行う際に発生するアークを消弧する消弧装置14と、R相及びT相の主回路接触子のオンオフ状態を検出する付属装置としての補助スイッチユニット15と、が搭載されている。
【0014】
ここで、図1においては、補助スイッチユニット15が下部ケース3に搭載されているように示しているが、実際には、図2に示すように、補助スイッチユニット15は、後述する電源側中間ケース4に設けた付属装置収納部12に収納されている。
【0015】
図2は、R相に沿う配線用遮断器1の断面図であり、本体ケース2は、下部ケース3に電源側中間ケース4及び負荷側中間ケース5が重なった状態でねじの供締めで組付けられている。また、上部カバー6が、電源側中間ケース4及び負荷側中間ケース5に重なり、負荷側中間ケース5にヒンジ結合されている。下部ケース3には、主回路導体13を構成する電源側主回路端子13a及び負荷側主回路端子13bが固定されている。図2の符号16は接触子ホルダであり、主回路接触子の可動接触子を支持しており、この接触子ホルダ16が回動することで可動接触子を固定接触子に対して開閉する。
【0016】
図3は、補助スイッチユニット15の形状を示すものであり、スイッチ本体部15aと、スイッチ本体部15aの一方側に設けた被固定部15bと、スイッチ本体部15aの被固定部15bに対して逆側から突出している検出レバー15cとを備えている。
【0017】
ここで、図2に示すように、電源側中間ケース4には、消弧装置14及び接触子ホルダ16が配置されている第1内部空間S1と、開閉機構7及び過電流引外し装置9が配置されている第2内部空間S2を仕切る仕切り壁17が形成されており、仕切り壁17の開閉機構7に近接する面が付属装置収納部12の付属装置設置部17aとされ、付属装置設置部17aの近くに接触子ホルダ16側に貫通する円形状のアクセス穴18が形成されている。
【0018】
補助スイッチユニット15は、付属装置設置部17aにスイッチ本体部15aを載せ、アクセス穴18を通過させた検出レバー15cを接触子ホルダ16に接触させて配置する。そして、上部カバー6が被固定部15bを付属装置設置部17a側に押し付けることで、補助スイッチユニット15が電源側中間ケース4の付属装置収納部12に固定されている。そして、接触子ホルダ16の回動により検出レバー15cが動作すると、スイッチ本体部15aが主回路接触子のオンオフ状態を検出する。
【0019】
上記構成の配線用遮断器1において、主回路に過負荷電流が流れると、過電流引外し装置9が引外し動作を行い、これにより開閉機構7がトリップして主回路接触子の可動接触子を固定接触子から開離させる。この際に可動接触子の可動接点と固定接触子の固定接点との間にアークが発生するが、アークは消弧装置14のグリッド14aに接触して分断、冷却されて消弧される。
【0020】
なお、本実施形態の配線用遮断器1は、付属装置収納部12の付属装置設置部17aに補助スイッチユニット15を搭載したが、警報スイッチが搭載される場合もある。
【0021】
次に、図4に示す回路遮断器は、主回路の電源側及び負荷側の間に接続した3相(R,S,T相)交流用の漏電遮断器20であり、本体ケース2の一部を外した状態で示している。
【0022】
漏電遮断器20の本体ケース2は、第1実施形態の配線用遮断器1で使用した下部ケース3及び電源側中間ケース4が共用されているとともに、漏電遮断器20専用の負荷側中間ケース21及び上部カバー22とを備えている。
【0023】
本体ケース2には、図4に示すように、開閉機構7と、操作ハンドル8と、過電流引外し装置9と、主回路導体13と、消弧装置14と、T相の主回路に配置した補助スイッチユニット15と、R,S,T各相の主回路を一次導体として主回路の不平衡電流を検出する零相変流器23と、R相の主回路に配置したトリップコイルユニット24と、が搭載されている。また、トリップコイルユニット24には、図5に示すように、零相変流器23の二次出力レベルから地絡電流の発生を検知する漏電検出回路の回路部品を実装したプリント基板25が搭載されている。
【0024】
ここで、図4においては、補助スイッチユニット15、トリップコイルユニット24は下部ケース3に搭載されているように示しているが、実際には、図5に示すように、トリップコイルユニット24は、電源側中間ケース4に設けた付属装置収納部12に収納されている。また、図示しないが、補助スイッチユニット15も電源側中間ケース4に設けた付属装置収納部12に収納されている。
【0025】
図5に示すように、電源側中間ケース4の仕切り壁17が、消弧装置14及び接触子ホルダ16が配置されている第1内部空間S1と、開閉機構7、過電流引外し装置9、零相変流器23及び漏電検出回路のプリント基板25が配置されている第2内部空間S2とを仕切っている。
【0026】
トリップコイルユニット24は、漏電検出回路の出力信号を受けて開閉機構7をトリップ動作させる装置である。図6において、左側がトリップコイルユニット24の底面側を示しているが、トリップコイルケース26には、一側面から突出する腕部27の先端に円環状のねじ貫通部28が形成されている。また、トリップコイルケース26の底面には、円筒形状で突出するアクセス穴閉塞部29が形成されている。
【0027】
トリップコイルユニット24は、図5に示すように、電源側中間ケース4に設けた電源側中間ケース4の付属装置設置部17aにトリップコイルケース26の底面を載せ、底面に形成したアクセス穴閉塞部29が付属装置設置部17aの近くに設けたアクセス穴18に嵌め込まれている。また、図7に示すように、トリップコイルユニット24のねじ貫通部28は、負荷側中間ケース21、電源側中間ケース4及び下部ケース3を供締めする供締めねじ30が貫通しているとともに、負荷側中間ケース21及び電源側中間ケース4の間に挟まれた状態で固定されている。
【0028】
上記構成の漏電遮断器20において、主回路に地絡電流が流れると、零相変流器23から地絡電流の発生を検知した漏電検出回路がトリップコイルユニット24に出力信号を送り、トリップコイルユニット24が開閉機構7をトリップさせて主回路接触子の可動接触子を固定接触子から開離させる。この際に可動接触子の可動接点と固定接触子の固定接点との間にアークが発生するが、アークは消弧装置14のグリッド14aに接触して分断、冷却されて消弧される。
【0029】
ここで、電源側中間ケース4の付属装置設置部17aの近くに設けられているアクセス穴18は、トリップコイルユニット24に設けたアクセス穴閉塞部29が嵌め込まれることで閉塞されており、消弧装置14及び接触子ホルダ16が配置されている第1内部空間S1と漏電検出回路のプリント基板25が配置されている第2内部空間S2とが仕切り壁17で仕切られているので、消弧装置14で発生したアークガスはプリント基板25には流れない。
【0030】
また、アークガスの発生により第1内部空間S1の内圧が増大し、アクセス穴18に嵌め込まれているアクセス穴閉塞部29に対して、アクセス穴18から抜け出る方向にアークガスの内圧が作用するが、トリップコイルユニット24のねじ貫通部28が、供締めねじ30を介して負荷側中間ケース21及び電源側中間ケース4の間に挟まれた状態で固定されているので、アクセス穴閉塞部29がアクセス穴18から抜け出るのを確実に防止することができる。
【0031】
したがって、本実施形態の漏電遮断器20は、電源側中間ケース4に設けた電源側中間ケース4の付属装置設置部17aに設けられているアクセス穴18が、トリップコイルユニット24のアクセス穴閉塞部29が嵌め込まれることで閉塞されており、消弧装置14及び接触子ホルダ16が配置されている第1内部空間S1と漏電検出回路のプリント基板25が配置されている第2内部空間S2とは仕切り壁17で遮蔽されており、消弧装置14で発生したアークガスはプリント基板25には流れない。したがって、本実施形態の漏電遮断器20は、アークガスに含まれる煤がプリント基板25の回路に付着しないので、プリント基板25の絶縁性能を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態の漏電遮断器20は、トリップコイルユニット24のねじ貫通部28が、供締めねじ30を介して負荷側中間ケース21及び電源側中間ケース4の間に挟まれた状態で固定されているので、アークガスの発生により第1内部空間S1の内圧が増大しても、アクセス穴閉塞部29がアクセス穴18から抜け出るのを確実に防止することができる。
【0033】
さらに、本体ケース2を構成している下部ケース3及び電源側中間ケース4が、配線用遮断器1及び漏電遮断器20の共通部材として使用されているので、製造コストの低減化を図ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 配線用遮断器
2 本体ケース
3 下部ケース(第1ケース)
4 電源側中間ケース(第1ケース)
5 負荷側中間ケース(第2ケース)
6 上部カバー(第2ケース)
7 開閉機構
8 操作ハンドル
9 過電流引外し装置
12 付属装置収納部
13 主回路導体
13a 電源側主回路端子
13b 負荷側主回路端子
14 消弧装置
14a グリッド
15 補助スイッチユニット(付属装置)
15a スイッチ本体部
15b 被固定部
15c 検出レバー(付属部品)
16 接触子ホルダ
17 仕切り壁
17a 付属装置設置部
18 アクセス穴
20 漏電遮断器
21 負荷側中間ケース(第2ケース)
22 上部カバー(第2ケース)
23 零相変流器
24 トリップコイルユニット
25 プリント基板
26 トリップコイルケース
27 腕部
28 ねじ貫通部
29 アクセス穴閉塞部
30 供締めねじ
S1 第1内部空間
S2 第2内部空間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7