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  • 特開-ロウパスフィルタ及び半導体装置 図1
  • 特開-ロウパスフィルタ及び半導体装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108184
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ロウパスフィルタ及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03H 11/04 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H03H11/04 H
H03H11/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012407
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤井 英幸
(72)【発明者】
【氏名】黒蔵 忠
【テーマコード(参考)】
5J098
【Fターム(参考)】
5J098AA03
5J098AA14
5J098AB03
5J098AB08
5J098AB12
5J098AB13
5J098AC06
5J098AC09
5J098AC14
5J098AC30
5J098AD07
5J098CA02
5J098CB09
(57)【要約】
【課題】電源投入時に早く定常状態へ到達可能なロウパスフィルタを提供する。
【解決手段】第1の第1導電型MOSトランジスタ21と、静電容量22と、バッファ回路300と、バイアス回路200と、入力端子51と、出力端子52と、を備え、前記入力端子51は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタ21のソース端子に接続され、前記第1の第1導電型MOSトランジスタ21のドレイン端子は、前記静電容量22の第1端子と、前記出力端子52と、前記バッファ回路の入力端子301に接続され、前記バッファ回路の出力端子302は、前記バイアス回路の入力端子201に接続され、前記バイアス回路の出力端子202は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタ21のゲート端子に接続されるロウパスフィルタとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の第1導電型MOSトランジスタと、静電容量と、バッファ回路と、バイアス回路と、入力端子と、出力端子と、を備え、
前記入力端子は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタのソース端子に接続され、
前記第1の第1導電型MOSトランジスタのドレイン端子は、前記静電容量の第1端子と、前記出力端子と、前記バッファ回路の入力端子に接続され、
前記バッファ回路の出力端子は、前記バイアス回路の入力端子に接続され、
前記バイアス回路の出力端子は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタのゲート端子に接続されることを特徴とするロウパスフィルタ。
【請求項2】
前記静電容量の第2端子は、第1の電源端子に接続される請求項1記載のロウパスフィルタ。
【請求項3】
前記バイアス回路は、電流源と、第1の第2導電型MOSトランジスタと、第2の第2導電型MOSトランジスタと、第2の第1導電型MOSトランジスタと、前記バイアス回路の入力端子と、前記バイアス回路の出力端子と、を有し、
前記電流源の第1端子は、第2の電源端子に接続され、
前記電流源の第2端子は、前記第1の第2導電型MOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子と、前記第2の第2導電型MOSトランジスタのゲート端子と、に接続され、
前記第1の第2導電型MOSトランジスタのソース端子と前記第2の第2導電型MOSトランジスタのソース端子は、第1の電源端子に接続され、
前記第2の第2導電型MOSトランジスタのドレイン端子は、前記第2の第1導電型MOSトランジスタのドレイン端子とゲート端子と、前記バイアス回路の出力端子と、に接続され、
前記バイアス回路の入力端子は、前記第2の第1導電型MOSトランジスタのソース端子に接続される請求項1記載のロウパスフィルタ。
【請求項4】
前記バッファ回路は、オペアンプ回路と、前記バッファ回路の入力端子と、前記バッファ回路の出力端子と、を有し、
前記バッファ回路の入力端子は、前記オペアンプ回路の非反転入力端子に接続され、
前記オペアンプ回路の出力端子は、前記オペアンプ回路の反転入力端子と前記バッファ回路の出力端子に接続される請求項1記載のロウパスフィルタ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のロウパスフィルタが半導体基板上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロウパスフィルタ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
雑音が除去された直流電圧が必要な場合、抵抗と、静電容量と、から構成されるロウパスフィルタが使用される。一例として、抵抗よりも面積を縮小可能なMOSトランジスタと、静電容量と、バイアス回路と、から構成されたロウパスフィルタがある(例えば、特許文献1、図2a参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0149559号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロウパスフィルタは、電源投入時にフィルタ容量を充電する時間が必要であって、定常状態へ到達するまで大幅に時間を必要としてしまうという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、電源投入時に早く定常状態へ到達可能なロウパスフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るロウパスフィルタは、第1の第1導電型MOSトランジスタと、静電容量と、バッファ回路と、バイアス回路と、入力端子と、出力端子と、を備え、前記入力端子は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタのソース端子に接続され、前記第1の第1導電型MOSトランジスタのドレイン端子は、前記静電容量の第1端子と、前記出力端子と、前記バッファ回路の入力端子に接続され、前記バッファ回路の出力端子は、前記バイアス回路の入力端子に接続され、前記バイアス回路の出力端子は、前記第1の第1導電型MOSトランジスタのゲート端子に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源投入時に早く定常状態へ到達可能なロウパスフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るロウパスフィルタの回路図である。
図2】本発明の実施形態に係る半導体装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るロウパスフィルタ及び半導体装置を、図面に基づいて説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るロウパスフィルタの構成例を示した回路図である。ロウパスフィルタ50は、RC回路100と、バイアス回路200と、バッファ回路300と、入力端子51と、出力端子52と、を備えている。接地端子6は、回路動作の基準となる電源電圧の一例として、0V(ゼロボルト)の電源電圧(以下、「接地電圧」とする)を供給する電源端子である。電源端子5は、バイアス回路200と、バッファ回路300とを動作させる電源電圧を供給するものである。
【0011】
RC回路100は、抵抗としてのエンハンスメント型のPチャネル型MOSトランジスタ(以下PMOSトランジスタと記す)21と、静電容量22と、を有している。PMOSトランジスタ21のソース端子は、入力端子51に接続されている。PMOSトランジスタ21のドレイン端子は、出力端子52に接続されている。静電容量22の第1端子は、出力端子52に接続されている。静電容量22の第2端子は、接地端子6に接続されている。
【0012】
バイアス回路200は、電流源11と、第1のエンハンスメント型のNチャネル型MOSトランジスタ(以下NMOSトランジスタと記す)12と、第2のNMOSトランジスタ13と、第2のPMOSトランジスタ14と、バイアス回路200の入力端子201と、バイアス回路200の出力端子202と、を有している。
【0013】
電流源11の第1端子は、電源端子5に接続されている。電流源11の第2端子は、第1のNMOSトランジスタ12のドレイン端子とゲート端子と第2のNMOSトランジスタ13のゲート端子に接続されている。第1のNMOSトランジスタ12のソース端子と第2のNMOSトランジスタ13のソース端子は、接地端子6に接続されている。第2のNMOSトランジスタ13のドレイン端子は、第2のPMOSトランジスタ14のドレイン端子とゲート端子と出力端子202に接続されている。入力端子201は、第2のPMOSトランジスタ14のソース端子に接続されている。
【0014】
バッファ回路300は、オペアンプ回路30と、入力端子301と、出力端子302と、を有している。入力端子301は、オペアンプ回路30の非反転入力端子31に接続されている。オペアンプ回路30の出力端子33は、オペアンプ回路30の反転入力端子32とバッファ回路300の出力端子302に接続されている。オペアンプ回路30の第1電源端子は、電源端子5に接続されている。第2電源端子は、接地端子6に接続されている。
【0015】
RC回路100の第1のPMOSトランジスタ21のゲート端子は、バイアス回路200の出力端子202に接続されている。バイアス回路200の入力端子201は、バッファ回路300の出力端子302と接続されている。バッファ回路300の入力端子301は、出力端子52と接続されている。
【0016】
次にロウパスフィルタ50の動作について説明する。
電源端子5は、所定の電源電圧を供給する。接地端子6は、接地電圧を供給する。RC回路100の第1のPMOSトランジスタ21は、ソースゲート間電圧の絶対値が大きいほど、ソースドレイン間のオン抵抗は小さくなる。逆にソースゲート間電圧の絶対値が小さいほど、ソースドレイン間のオン抵抗は、大きくなる。静電容量22に蓄えられた電荷は、電源投入時に零である。静電容量22の第2端子は、接地端子6に接続されており、出力端子52の電圧は、0Vである。
【0017】
出力端子52の電圧は、上述の接続関係により、オペアンプ回路30の非反転入力端子31に伝えられる。すなわち、非反転入力端子31は、0Vが伝えられる。オペアンプ回路30は、出力端子33と反転入力端子32とが直接接続されており、ボルテージフォロワと呼ばれている動作を行う。すなわち、オペアンプ回路30は、非反転入力端子31の電圧と等しい電圧を出力端子33に出力するように動作する。よって、出力端子33は、出力端子52の電圧である0Vを出力する。
【0018】
バッファ回路300の出力端子302は、オペアンプ回路30の出力端子33が持つ電流供給能力を有する。この瞬間では出力端子33の出力する電圧が0Vであるから、バッファ回路300の出力端子302は、電流を供給しない。上述の接続関係により、バイアス回路200の入力端子201は、0Vが入力される。
【0019】
一方、電流源11は、既に電源電圧が加わっているから、所定の電流を出力する。第1のNMOSトランジスタ12のドレイン端子とゲート端子は、直接接続されている。第1のNMOSトランジスタ12のドレイン電流が、電流源11の電流と等しい値となるように、第1のNMOSトランジスタ12のゲート電圧が生成される。第2のNMOSトランジスタ13のゲート端子は、第1のNMOSトランジスタ12のゲート端子の電圧が加えられている。第2のNMOSトランジスタ13は、オンしている。上述の接続関係により、第2のPMOSトランジスタ14のソース端子の電圧は、0Vとなっている。よって、この瞬間では、第2のPMOSトランジスタ14は、電流が流れない。バイアス回路の出力端子202は、0Vを出力する。上述の接続関係により、RC回路100の第1のPMOSトランジスタ21のゲート端子の電圧が0Vなので、第1のPMOSトランジスタ21は、フルオン状態(小さいオン抵抗のオン状態)となる。このようにして、電源投入時に、RC回路100の静電容量22は、直ちに充電される。
【0020】
静電容量22が充電されると、出力端子52の電圧は、入力端子51の電圧とほぼ等しくなる。そうすると、バッファ回路300の入力端子301及び出力端子302は、出力端子52の電圧と等しくなる。バッファ回路300の出力端子302の電圧は、バイアス回路200の入力端子201に入力される。この時、第1のNMOSトランジスタ12と第2のNMOSトランジスタ13とは、カレントミラーを構成している。電流源11の出力する電流と同じ大きさの電流が、第2のNMOSトランジスタ13のドレイン端子に流れようとする。入力端子201と第2のNMOSトランジスタ13の間に接続されている第2のPMOSトランジスタ14のドレイン端子にも、電流源11の電流と同じ大きさの電流が流れようとする。そうすると、第2のPMOSトランジスタ14のソースゲート間電圧は、電流源11の電流の大きさと、第1のNMOSトランジスタ12と第2のNMOSトランジスタ13のサイズ比に応じた値となる。
【0021】
この時に第2のPMOSトランジスタ14のドレイン電圧は、出力端子202を介して第1のPMOSトランジスタ21のゲートに与えられる。第1のPMOSトランジスタ21は、第2のPMOSトランジスタ14のソースゲート間電圧と等しいソースゲート間電圧で動作する。このようにして、第1のPMOSトランジスタ21は、等価的に大きな抵抗値の抵抗として動作する。
【0022】
第1のPMOSトランジスタ21と静電容量22とは、入力端子51に入力された電圧の雑音を減衰させるロウパスフィルタとして動作する。本実施形態のロウパスフィルタ50は、出力端子52から、雑音の取り除かれた直流電圧を得ることができる。
【0023】
本実施形態のロウパスフィルタ50は、接地端子6に対して、電源端子5に正電圧を印加する正電圧系の回路で説明した。本実施形態のロウパスフィルタ50は、接地端子6に対して、電源端子5に負電圧を印加し、NMOSトランジスタをPMOSトランジスタに置換し、PMOSトランジスタをNMOSトランジスタに置換した負電圧系の回路としてもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態のロウパスフィルタ50は、第1のPMOSトランジスタ21の起動時の制御回路などを増設することなしに、電源投入時に早く定常状態へ到達可能なロウパスフィルタを提供することができる。また、ロウパスフィルタ50は、第1のPMOSトランジスタ21の起動時の制御回路などを増設する必要が無いので、消費電流の増加を生じないで済ませることができる。
【0025】
[第2の実施形態]
図2は、第2の実施形態に係る半導体装置1の構成例を示した模式図である。半導体装置1は、ロウパスフィルタ50を形成した半導体基板2を内蔵している。本実施形態の半導体装置1は、電源回路にロウパスフィルタ50を適用することで、雑音が除去された直流電圧で動作することができる。また、本実施形態の半導体装置1は、電源投入時に早く定常状態へ到達できる。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階では、上述した実施例以外にも様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、追加、置き換え又は変更することができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 半導体装置
2 半導体基板
5 電源端子
6 接地端子
11 電流源
12、13 NMOSトランジスタ
14、21 PMOSトランジスタ
22 静電容量
30 オペアンプ
50 ロウパスフィルタ
51 入力端子
52 出力端子
100 RC回路
200 バイアス回路
201 バイアス回路の入力端子
202 バイアス回路の出力端子
300 バッファ回路
301 バッファ回路の入力端子
302 バッファ回路の出力端子
図1
図2