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  • 特開-方向指示装置及び方向指示方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108187
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】方向指示装置及び方向指示方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240805BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALI20240805BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20240805BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240805BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968
B62J50/21
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012411
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】田替藤 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩優子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紀行
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC19
2F129DD49
2F129EE21
2F129EE35
2F129EE52
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA05
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】ハンドルの操作性の低下を抑制しつつ、表示や音声によらずに右折又は左折を適切に把握しやすくする技術を提供する。
【解決手段】本発明の方向指示装置100は、右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する判定部104と、交差点までの距離が所定距離未満である場合、運転者の車両に触れている身体部位における運転者の触覚を変化させるように、車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つを制御する状態制御部105と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する判定部と、
前記交差点までの距離が所定距離未満である場合、運転者の車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように、前記車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つを制御する状態制御部と、
を備える、方向指示装置。
【請求項2】
前記状態制御部は、前記交差点までの距離が相対的に小さい場合には、前記交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、前記長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つの変化の度合いを大きくする、請求項1に記載の方向指示装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記交差点において右折及び左折のうちターンすべき方向を判定し、
前記状態制御部は、前記車両のハンドルの長さ及び太さの少なくとも1つを制御し、
前記状態制御部は、前記ターンすべき方向とは反対側にある前記ハンドルの一部を延伸させること及び太くすることの少なくとも1つを実行する、請求項1に記載の方向指示装置。
【請求項4】
前記車両は、前記運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の車両である、請求項1に記載の方向指示装置。
【請求項5】
右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する判定ステップと、
運転者の車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように、前記車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つを制御するステップと、
を備える、方向指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向指示装置及び方向指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出発地から目的地まで自動二輪車の走行経路を案内するナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、自動車用のナビゲーションシステムでは、右左折の方向指示は音声や表示で行われるが、自動二輪車ではナビゲーションシステムの表示装置を設置する空間がなかったり、騒音や明るさなどの周囲環境によっては運転者が音声や表示による方向指示を適切に認知できないことがある。そのため、特許文献1に記載の自動二輪車では、ナビゲーション装置で算出した進行方向を、左右のハンドルに設けられたバイブレータの振動によって運転者に指示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-026075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のナビゲーションシステムでは、左右のハンドルの振動により運転者がハンドルを握りにくくなってグリップ力が低下し、ハンドルの操作性が低下する場合があった。
【0005】
上記を鑑み、本発明の目的は、ハンドルの操作性の低下を抑制しつつ、表示や音声によらずに右折又は左折を適切に把握しやすくする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の方向指示装置は、右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する判定部と、前記交差点までの距離が所定距離未満である場合、運転者の前記車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように、前記車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つを制御する状態制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様の方向指示方法は、右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する判定部と、運転者の車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように、前記車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つを制御するステップと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本実施形態の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンドルの操作性の低下を抑制しつつ、表示や音声によらずに右折又は左折を適切に把握しやすくする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動二輪車の構成を概略的に例示する図である。
図2図2(a)は、第1実施形態のハンドルの構成例においてハンドルが伸縮してない通常の状態を示す図であり、図2(b)は第1実施形態のハンドルの構成例においてハンドルを左方向に長くした状態を示す図である。
図3】第1実施形態に係る方向指示装置の機能ブロック図である。
図4】第1実施形態に係る方向指示装置の処理のフローチャートである。
図5】方向指示装置の具体的な処理を例示するフローチャートである。
図6図6(a)は、ハンドルの太さを制御する場合の構成例においてハンドルを太くしていない通常の状態を示す図であり、図6(b)はハンドルの左側の把持部を太くした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る電動二輪車1の構成を概略的に例示する図である。図1の電動二輪車1は、両端に左側把持部11A及び右側把持部11Bが設けられたハンドル10と、一端にハンドル10が設けられ、他端に前輪20Aが設けられたハンドルフレーム12と、前輪20Aから後輪20Bにかけて延在するメインフレーム13と、メインフレーム13に設けられた収容部40と、ハンドルフレーム12に設けられた方向指示装置100と、を備える。メインフレーム13の前輪20A側の端部には軸部14が設けられており、ハンドルフレーム12は軸部14に対して回動可能に支持される。収容部40は、走行のための駆動力を発生する電動機41と、電動機41及び方向指示装置100等に電源を供給する充電式のバッテリ42と、を収容する。収容部40の上面には、乗車した運転者が起立した状態において足を載置する乗車部43が設けられる。本実施形態の電動二輪車1は、電動機41で発生した駆動力が後輪20Bに伝達されることにより走行可能である。本実施形態の電動二輪車1は、運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の電動二輪車である。本実施形態のハンドル10は、特定部分の一例である。
【0012】
図2は、本実施形態のハンドルの構成例である。図2(a)はハンドル10を伸縮していない通常の状態を示し、図2(b)はハンドル10を左方向に延伸した状態を示す。本実施形態のハンドル10は、その左右の端部にそれぞれに内蔵された伸縮部材15A及び15Bを備える。以下、左側把持部11A及び右側把持部11B並びに伸縮部材15A及び15Bを特に区別する必要がない場合には、把持部11及び伸縮部材15とそれぞれ総称する場合がある。伸縮部材15は、ハンドル10を左右方向に伸縮することにより、ハンドル10の長さを変更可能に構成される。把持部11は、伸縮部材15の端部に固定されている。本実施形態のハンドル10の長さは、電動二輪車1の特定部分の状態の一例である。
【0013】
図3は、第1実施形態に係る方向指示装置100の機能ブロック図である。第1実施形態の方向指示装置100は、入力部101と、位置取得部102と、経路算出部103と、判定部104と、状態制御部105と、記憶部106と、を備える。これらの構成要素は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、ROM、RAM、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェアなどのプログラムが利用可能である。
【0014】
入力部101は、目的地などのユーザ入力をタッチパネル(不図示)などを介して入力する。入力された目的地は、例えば、記憶部106の目的地用の記憶領域に保持される。位置取得部102は、電動二輪車1に設けられたGPS(不図示)から、電動二輪車1の位置を示す位置情報を取得する。経路算出部103は、地図情報、位置情報及び目的地等に基づいて、公知の手法により現在の位置から目的地までの経路を算出する。判定部104は、交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定する。また、判定部104は、本実施形態の方向指示装置100の後述する各種判定処理を実行する。状態制御部105は、運転者の電動二輪車1に触れている身体部位における運転者の触覚を変化させるように電動二輪車1の特定部分の状態を制御する。本実施形態の状態制御部105は、不図示のアクチュエータを制御して伸縮部材15を伸縮させることにより、ハンドル10の長さを調整する。また、例えば、状態制御部105は、不図示のアクチュエータを制御して伸縮部材15を左右に移動させることによりハンドル10の長さを調整してもよい。記憶部106は、地図情報、目的地、算出した経路、本実施形態の各種処理を実行するためのプログラム、各種閾値等を記憶している。
【0015】
図4は、第1実施形態に係る方向指示装置100の処理S100のフローチャートである。
【0016】
ステップS101で、位置取得部102は、位置情報を取得する。
【0017】
ステップS102で、判定部104は、目的地が設定されている状態であるか否かを判定する。例えば、判定部104は、記憶部106の目的地用の記憶領域に目的地が設定されている場合に、目的地が設定されている状態であると判断する。目的地が設定されている状態である場合(ステップS102のYes)、処理S100はステップS103に進む。目的地が設定されている状態ではない場合(ステップS102のNo)、処理S100は終了する。
【0018】
ステップS103で、経路算出部103は、現在の位置から目的地までの経路を算出する。
【0019】
ステップS104で、判定部104は、位置情報及び算出した経路に基づいて、現在の位置から右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する。所定距離未満である場合(ステップS104のYes)、処理S100はステップS105に進む。所定距離未満ではない場合(ステップS104のNo)、処理S100はステップS108に進む。
【0020】
ステップS105で、判定部104は、算出した経路に基づいて、交差点において右折及び左折のうちターンすべき方向(以下、ターン方向という)を判定する。例えば、判定部104は、算出した経路が交差点において右折すべきであることを示す場合にはターン方向を右方向と判定し、算出した経路が交差点において左折すべきであることを示す場合にはターン方向を左方向と判定する。
【0021】
ステップS106で、状態制御部105は、ターンを要する交差点までの距離に基づいて、伸縮部材15の延伸の長さの目標値Cを決定する。例えば、状態制御部105は、交差点までの距離が100メートルよりも大きい場合、目標値Cを2センチメートルとし、交差点までの距離が100メートル未満であって30メートルよりも大きい場合、目標値Cを4センチメートルとし、交差点までの距離が30メートル未満である場合、目標値Cを6センチメートルとする。なお、状態制御部105は、ターンを要する交差点までの距離に比例して目標値Cを大きくしてもよい。まとめると、状態制御部105は、ターンを要する交差点までの距離が相対的に小さい場合には、ターンを要する交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、目標値Cを大きくすることができる。
【0022】
ステップS107で、状態制御部105は、決定した伸縮部材15の延伸の長さに基づいて、ターン方向側とは反対側の伸縮部材15を延伸させる。例えば、状態制御部105は、ターン方向が右折である場合、左側の伸縮部材15Aを延伸させる。これにより、左側把持部11A及び右側把持部11Bの位置が変わるため、運転者は、手の触覚によりハンドル10が左方向に延伸していることを認識できるため、ターンすべき方向を把握することができる。
【0023】
図5は、ステップS107の具体的な処理を例示するフローチャートである。ステップS121で、状態制御部105は、予め設定された延伸の長さの初期値を実際に延伸させる長さa(実延伸値)として用いて、ターン方向側とは反対側の伸縮部材15の延伸を開始する。延伸の長さの初期値は、0以上の値に任意に設定可能である。
【0024】
ステップS122で、状態制御部105は、更新後の実延伸値をa’とすると、更新値bを用いて更新後の実延伸値a’=a+bとして実延伸値aを更新する。
【0025】
ステップS123で、状態制御部105は、更新後の実延伸値a’がステップS106で決定された目標値C以上であるか否かを判定する。a’≧Cである場合(ステップS123のYes)、ステップS107はステップS124に進む。a’≧Cではない場合(ステップS123のNo)、ステップS107はステップS122に戻り、更新後の実延伸値a’を実延伸値aとし、a’≧Cとなるまで実延伸値aに更新値bを加算することにより、ステップS122及びS123が繰り返し実行される。
【0026】
ステップS124で、状態制御部105は、交差点において電動二輪車1のターンが完了したか否かを判定する。例えば、状態制御部105は、ターンの完了に伴う電動二輪車1の方向指示器(不図示)の方向指示の終了に応答して、電動二輪車1のターンが完了したと判定する。ターンが完了した場合(ステップS124のYes)、ステップS107はステップS125に進む。ターンが完了していない場合(ステップS124のNo)、ステップS107はステップS124の先頭に戻り、伸縮部材15の延伸の長さを維持しながらターンが完了するまでステップS124が繰り返し実行される。
【0027】
ステップS125で、状態制御部105は、伸縮部材15の延伸を終了する。例えば、状態制御部は、伸縮部材15の長さを短くするように制御し、延伸前の元の状態に戻す。ステップS125の後、ステップS107は終了し、処理S100はステップS108に進む。
【0028】
ステップS108で、判定部104は、位置情報に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合(ステップS108のYes)、処理S100はステップS109に進む。目的地に到着していない場合(ステップS108のNo)、処理S100はステップS101に戻り、ステップS101~S108が目的地に到着するまで繰り返し実行される。
【0029】
ステップS109で、記憶部106は、目的地を目的地用の記憶領域から削除して、目的地の設定を解除する。その結果、目的地へのナビゲーションが終了する。設定が解除された目的地は、目的地の履歴として記憶部106の履歴用の記憶領域に保持されてもよい。その後、処理S100は終了する。
【0030】
ここで、仮に左右のハンドル10に設けられたバイブレータの振動によって運転者にターン方向を指示する場合、左右のハンドル10の振動により運転者がハンドルを握りにくくなってグリップ力が低下し、ハンドル10の操作性が低下する場合がある。また、凹凸が多い道を通過する場合、凹凸が多い道を通過する際に生じる電動二輪車1の振動によって運転者がハンドル10の振動を感じにくくなり、右折又は左折を適切に把握できない場合がある。
【0031】
これに対し、本実施形態では、状態制御部105は、運転者のハンドル10に触れている身体部位である手における運転者の触覚を変化させるように、ハンドル10の長さを制御する。本構成によると、ハンドル10の操作性の低下を抑制しつつ、表示や音声によらずに右折又は左折を適切に把握しやすくすることが可能となる。また、凹凸が多い道を通過する場合であっても、右折又は左折を適切に把握しやすくなる。さらに、運転者が手袋を着用している場合など手のひらの振動が伝わりづらい環境であっても、運転者が触覚の変化を認識しやすくなる。
【0032】
本実施形態では、状態制御部105は、ターンを要する交差点までの距離が相対的に小さい場合には、ターンを要する交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、ハンドルの長さの変化の度合いを大きくする。本構成によると、ターンすべき交差点に近づいていることを適切に把握しやすくなる。
【0033】
本実施形態では、状態制御部105は、ターン方向とは反対側にあるハンドル10の一部を延伸させる。本構成によると、ターンする際のハンドル10の操作性をより向上させることができる。
【0034】
本実施形態では、電動二輪車1は、運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の車両である。ここで、例えば、スマートフォンなどのナビゲーション機能を利用する場合、交差点での右左折の方向指示は、音声や表示で行われるため、騒音や明るさなどの周囲環境の影響を受け易い立ち乗り式のマイクロモビリティ(電動キックボード、電動アシスト自転車など)では方向指示を適切に認知できないことがある。本実施形態によると、立ち乗り式の車両であっても、運転者の触覚の変化により右折又は左折を適切に把握でき進行すべき道路を伝達できるため、運転者に適切に方向指示を認知させることが可能となる。
【0035】
以下、変形例を説明する。
【0036】
実施形態では、車両として電動二輪車1が例示されたが、これに限定されない。例えば、車両は、電動式ではなくガソリンや水素などの特定の燃料を用いて駆動するものであってもよいし、一輪車、自動車などであってもよい。また、実施形態では、電動二輪車1として立ち乗り式のものを挙げたが、立ち乗り式のものでなくてもよい。さらに、立ち乗り式の車両において、例えば信号待ちなどで一時的に着座できるような着座部が設けられていてもよい。この場合、状態制御部105は、この着座部の状態を変化させることにより進行すべき道路を伝達してもよい。
【0037】
実施形態では、方向指示装置100がハンドルフレーム12に取り付けられた例を示しているが、これに限定されず、ハンドル10に設けられてもよいし、電動二輪車1の他の箇所に設けられてよい。
【0038】
実施形態では、ハンドル10に伸縮部材15を設けて、ハンドル10の長さの変化により運転者が把持部11に触れている身体部位である手の触覚を変化させたが、これに限定されない。例えば、運転者の足を載置する乗車部43の右足側及び左足側にそれぞれ伸縮部材15を設け、ターン方向に伸縮部材15の長さを変化させることにより運転者の足の触覚を変化させてもよいし、電動二輪車1において運転者が接触するその他の箇所に伸縮部材15を設けてもよい。
【0039】
実施形態では、交差点までの距離に応じて、ハンドル10の長さの変化量が決定されたが、これに限定されず、交差点までの距離にかかわらず常に一定の長さに変化させてもよい。また、ハンドル10の全体の長さは変えずに、ハンドル10の中心の位置をハンドルフレーム12の取付部に対して左右にずらすことにより左右の長さ比を調整して、ハンドル10の長さを変更可能に構成してもよい。
【0040】
状態制御部105は、ハンドル10の長さに限定されず、例えば、太さ、硬さ及び温度のうちの少なくとも1つを制御してもよい。まとめると、状態制御部105は、ハンドル10の長さ、太さ、硬さ及び温度のうちの少なくとも1つを制御することができる。
【0041】
図6は、状態制御部105がハンドル10の太さを制御する場合の構成例である。図6(a)はハンドル10の太さを変えていない通常の状態を示し、図6(b)はハンドル10の左側把持部11Aを太くした状態を示す。本変形例の把持部11は、膨縮可能な材料で構成される。本変形例の左側把持部11A及び右側把持部11Bの前側には、その内圧を制御することにより前方向に膨張又は後方向に収縮可能に構成された膨縮部材16A及び16Bがそれぞれ内蔵されている。以下、膨縮部材16A及び16Bを特に区別する必要がない場合には、膨縮部材16という。状態制御部105は、不図示のポンプを制御して膨縮部材16内に空気を充填又は排出して膨縮部材16を膨縮させることにより、ハンドル10の把持部11の太さを前後方向に調整可能に構成される。例えば、膨縮部材16内に空気が充填された場合、把持部11は前方向に突出する。また、空気を充填して把持部11は前方向に突出した状態で膨縮部材16から空気を排出することにより、把持部11が後方向に収縮する。把持部11が前方向に突出するように把持部11の太さを変化させることにより、太さを変化させた際に運転者が把持部11を握っているときの起点の親指とブレーキレバーとの間の距離が変わりにくくなる。そのため、指がブレーキレバーに届きにくくなるのを抑制し、ブレーキの操作性を維持することができる。例えば、状態制御部105は、交差点までの距離が相対的に小さい場合には、交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、把持部11の太さを大きくする。例えば、ターン方向が右方向である場合において交差点までの距離が100メートル未満であって30メートルよりも大きい場合、状態制御部105は、左側把持部11Aの太さを1センチメートル大きくするように膨縮部材16内の空気圧を制御する。また、例えば、交差点までの距離が30メートル未満である場合、状態制御部105は、左側把持部11Aの太さを3センチメートル大きくするように膨縮部材16内の空気圧を制御する。ターンする際のハンドル10の操作性を向上させることができることから、ターン方向と反対側にある膨縮部材16を用いてハンドル10の一部を膨張させることが好ましい。このようにハンドル10の太さを変化させる場合、ハンドル10の長さを変化させる場合と同様の効果を奏することができる。
【0042】
状態制御部105がハンドル10の硬さを制御する場合、把持部11をエアーパッドなどにより構成する。状態制御部105は、把持部11の内圧を調整することにより、ハンドル10の把持部11の硬さを制御する。例えば、状態制御部105は、交差点までの距離が相対的に小さい場合には、交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、把持部11の内圧を大きくして把持部11を硬くする。このようにターンの際にハンドル10の把持部11を硬くする場合、通常の直進時には把持部11を柔らかくすることでリラックスした運転を促すことが可能となり、ターン時には把持部11を硬くすることで運転者に把持部11をしっかり握ることを意識付けること及びターンの安定性及び操作性を向上させることができる。
【0043】
状態制御部105がハンドル10の温度を制御する場合、ハンドル10の把持部11に温調素子を内蔵する。状態制御部105は、温調素子の温度を調整することにより、ハンドル10の把持部11の温度を制御する。例えば、状態制御部105は、交差点までの距離が相対的に小さい場合には、交差点までの距離が相対的に大きい場合と比べて、把持部11の温度を高く又は低くする。例えば、状態制御部105は、4月~9月のような比較的気温が高い時期や昼間などの比較的気温が高い時間帯には、把持部11の温度を低くするようにし、10月~3月のような比較的気温が低い時期や早朝及び夜間などの比較的気温が低い時間帯には、把持部11の温度を高くするようにしてもよい。このようにターンの際にハンドル10の把持部11の温度を調整する場合、ターン時において運転者がより心地よくハンドル10を操作することが可能となる。
【0044】
また、上記実施形態では、ターンを要する交差点までの距離が相対的に小さい場合に、車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つの変化の度合いを大きくするようにしたが、変化の特性を逆にしてもよい。すなわち、ターンを要する交差点までの距離が相対的に小さい場合に、車両の特定部分の長さ、太さ、硬さ、及び温度の内の少なくとも1つの変化の度合いを小さくするようにしてもよい。例えば、交差点までの距離が短くなるほど、ハンドルの長さを短く(変化を小さく)する場合は、交差点までの距離が所定距離範囲内になったら、ハンドルの長さを最大にし、交差点までの距離に応じて短くなるように制御してもよい。
【0045】
上記実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0046】
1 電動二輪車、 10 ハンドル、 11 把持部、 12 ハンドルフレーム、 13 メインフレーム、 15 伸縮部材、 16 膨縮部材、 20A 前輪、 20B 後輪、 40 収容部、 41 電動機、 42 バッテリ、 43 乗車部、 100 方向指示装置、 101 入力部、 102 位置取得部、 103 経路算出部、104 判定部、 105 状態制御部、 106 記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6