(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108188
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】方向指示装置及び方向指示方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240805BHJP
G08G 1/0968 20060101ALI20240805BHJP
B62J 50/21 20200101ALI20240805BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20240805BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0968
B62J50/21
B62J45/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012412
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】田替藤 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】中島 彩優子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 紀行
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC07
2F129CC19
2F129DD49
2F129EE21
2F129EE35
2F129EE50
2F129EE52
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA05
5H181BB08
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】ターンすべき方向に複数の道路がある場合にどの道路を進行すべきかを適切に把握しやすくする技術を提供する。
【解決手段】本発明の方向指示装置100は、交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定する判定部104と、運転者の車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように車両の特定部分の状態を制御する状態制御部106と、を備え、判定部104は、交差点においてターンすべき方向に複数の道路があるか否かを判定し、状態制御部106は、複数の道路がある場合、交差点においてターンすべき方向に向けて車両がターンする角度又は複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に基づいて、進行すべき道路を伝達するように状態を変化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定する判定部と、
運転者の前記車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように前記車両の特定部分の状態を制御する状態制御部と、
を備え、
前記判定部は、前記交差点において前記ターンすべき方向に複数の道路があるか否かを判定し、
前記状態制御部は、前記複数の道路がある場合、前記交差点において前記ターンすべき方向に向けて前記車両がターンする角度又は前記複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に基づいて、前記進行すべき道路を伝達するように前記状態を変化させる、方向指示装置。
【請求項2】
前記特定部分の状態は、前記車両のハンドルの振動、長さ、太さ、硬さ、及び温度のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の方向指示装置。
【請求項3】
前記状態制御部は、前記ターンする角度又は前記配置順が相対的に大きい場合には、前記ターンする角度又は前記配置順が相対的に小さい場合と比べて、前記状態の変化の度合いを大きくする、請求項1に記載の方向指示装置。
【請求項4】
前記車両は、前記運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の車両である、請求項1から3のいずれか1項に記載の方向指示装置。
【請求項5】
交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定するステップと、
前記交差点において前記ターンすべき方向に複数の道路があるか否かを判定するステップと、
運転者の前記車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように前記車両の特定部分の状態を制御するステップであって、前記複数の道路がある場合、前記交差点において前記ターンすべき方向に向けて前記車両がターンする角度又は前記複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に応じて、前記進行すべき道路を伝達するように前記状態を変化させる、ステップと、
を備える、方向指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向指示装置及び方向指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出発地から目的地まで自動二輪車の走行経路を案内するナビゲーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、自動車用のナビゲーションシステムでは、右左折の方向指示は音声や表示で行われるが、自動二輪車ではナビゲーションシステムの表示装置を設置する空間がなかったり、騒音や明るさなどの周囲環境によっては運転者が音声や表示による方向指示を適切に認知できないことがある。そのため、特許文献1に記載の自動二輪車では、ナビゲーション装置で算出した進行方向を、左右のハンドルに設けられたバイブレータの振動によって運転者に指示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のナビゲーションシステムでは、左右のハンドルの振動により運転者が把握できるのは右折又は左折のターンすべき方向のみである。そのため、例えば、五差路などにおいて右折又は左折側に複数の道路がある場合に、その複数の経路のうちのどの道路を進行すべきであるのかを判断できない場合がある。
【0005】
上記を鑑み、本発明の目的は、ターンすべき方向に複数の道路がある場合に、その複数の道路のうちのどの道路を進行すべきかを適切に把握しやすくする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の方向指示装置は、交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定する判定部と、運転者の前記車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように前記車両の特定部分の状態を制御する状態制御部と、を備え、前記判定部は、前記交差点において前記ターンすべき方向に複数の道路があるか否かを判定し、前記状態制御部は、前記複数の道路がある場合、前記交差点において前記ターンすべき方向に向けて前記車両がターンする角度又は前記複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に基づいて、前記進行すべき道路を伝達するように前記状態を変化させる、方向指示装置である。
【0007】
本発明の他の態様の方向指示方法は、交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定するステップと、前記交差点において前記ターンすべき方向に複数の道路があるか否かを判定するステップと、運転者の前記車両に触れている身体部位における前記運転者の触覚を変化させるように前記車両の特定部分の状態を制御するステップであって、前記複数の道路がある場合、前記交差点において前記ターンすべき方向に向けて前記車両がターンする角度又は前記複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に応じて、前記進行すべき道路を伝達するように前記状態を変化させる、ステップと、を備える、方向指示方法である。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本実施形態の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本実施形態の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ターンすべき方向に複数の道路がある場合に、その複数の道路のうちのどの道路を進行すべきかを適切に把握しやすくする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電動二輪車の構成を概略的に例示する図である。
【
図2】第1実施形態に係る方向指示装置の機能ブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係る方向指示装置の処理のフローチャートである。
【
図4】運転者が交差点に到達した場合の例を示す図である。
【
図5】方向指示装置の具体的な処理を例示するフローチャートである。
【
図6】第2実施形態に係る方向指示装置の機能ブロック図である。
【
図7】第2実施形態に係る方向指示装置の処理のフローチャートである。
【
図8】
図8(a)は、ハンドルの長さを制御する場合の構成例における通常の状態を示す図であり、
図8(b)はハンドルを左方向に長くした状態を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、ハンドルの太さを制御する場合の構成例における通常の状態を示す上面図であり、
図9(b)はハンドルの左側の把持部を太くした状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る電動二輪車1の構成を概略的に例示する図である。
図1の電動二輪車1は、両端に左側把持部11A及び右側把持部11Bが設けられたハンドル10と、一端にハンドル10が設けられ、他端に前輪20Aが設けられたハンドルフレーム12と、前輪20Aから後輪20Bにかけて延在するメインフレーム13と、メインフレーム13に設けられた収容部40と、ハンドルフレーム12に設けられた方向指示装置100と、を備える。メインフレーム13の前輪側の端部には軸部14が設けられており、ハンドルフレーム12は軸部14に相対回転可能に支持される。収容部40は、走行のための駆動力を発生する電動機41と、電動機41及び方向指示装置100等に電源を供給する充電式のバッテリ42と、を収容する。収容部40の上面には、乗車した運転者が起立した状態において足を載置する乗車部43が設けられる。本実施形態の電動二輪車1は、ハンドル10の左側把持部11A及び右側把持部11Bのそれぞれに内蔵されたバイブレータ31A及び31Bを備える。以下、左側把持部11A及び右側把持部11B並びにバイブレータ31A及び31Bを特に区別する必要がない場合には、把持部11及びバイブレータ31とそれぞれ総称する場合がある。本実施形態の電動二輪車1は、電動機で発生した駆動力が後輪に伝達されることにより走行可能である。本実施形態の電動二輪車1は、運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の電動二輪車である。本実施形態のハンドル10は、特定部分の一例である。本実施形態のバイブレータ31によるハンドル10の振動は、電動二輪車1の特定部分の状態の一例である。
【0012】
図2は、第1実施形態に係る方向指示装置100の機能ブロック図である。第1実施形態の方向指示装置100は、入力部101と、位置取得部102と、経路算出部103と、判定部104と、角度算出部105と、状態制御部106と、記憶部107と、を備える。これらの構成要素は、ハードウェア資源とソフトウェア資源の協働、又はハードウェア資源のみにより実現できる。ハードウェア資源として、CPU、ROM、RAM、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ISP(Image Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてファームウェアなどのプログラムが利用可能である。後述の
図6でも同様である。
【0013】
入力部101は、目的地などのユーザ入力をタッチパネル(不図示)などを介して入力する。入力された目的地は、例えば、記憶部107の目的地用の記憶領域に保持される。位置取得部102は、電動二輪車1に設けられたGPS(不図示)から、電動二輪車1の位置を示す位置情報を取得する。経路算出部103は、地図情報、位置情報及び目的地等に基づいて、公知の手法により現在の位置から目的地までの経路を算出する。判定部104は、交差点において右折又は左折のうち車両がターンすべき方向を判定する。また、判定部104は、本実施形態の方向指示装置100の後述する各種判定処理を実行する。角度算出部105は、後述のターン角度を算出する。状態制御部106は、運転者の電動二輪車1に触れている身体部位における運転者の触覚を変化させるように電動二輪車1の特定部分の状態を制御する。記憶部107は、地図情報、目的地、算出した経路、本実施形態の各種処理を実行するためのプログラム、各種閾値等を記憶している。
【0014】
図3は、第1実施形態に係る方向指示装置100の処理S100のフローチャートである。
【0015】
ステップS101で、位置取得部102は、位置情報を取得する。
【0016】
ステップS102で、判定部104は、目的地が設定されている状態であるか否かを判定する。例えば、判定部104は、記憶部107の目的地用の記憶領域に目的地が設定されている場合に、目的地が設定されている状態であると判断する。目的地が設定されている状態である場合(ステップS102のYes)、処理S100はステップS103に進む。目的地が設定されている状態ではない場合(ステップS102のNo)、処理S100は終了する。
【0017】
ステップS103で、経路算出部103は、現在の位置から目的地までの経路を算出する。
【0018】
ステップS104で、判定部104は、位置情報及び算出した経路に基づいて、現在の位置から右折又は左折を要する交差点までの距離が所定距離未満であるか否かを判定する。所定距離未満である場合(ステップS104のYes)、処理S100はステップS105に進む。所定距離未満ではない場合(ステップS104のNo)、処理S100はステップS111に進む。
【0019】
ステップS105で、判定部104は、算出した経路に基づいて、交差点において右折及び左折のうちターンすべき方向(以下、ターン方向という)を判定する。例えば、判定部104は、算出した経路が交差点において右折すべきであることを示す場合にはターン方向を右方向と判定し、算出した経路が交差点において左折すべきであることを示す場合にはターン方向を左方向と判定する。
【0020】
ステップS106で、判定部104は、ターン方向に複数の道路があるか否かを判定する。
図4は、運転者Dが交差点に到達した場合を例示する。
図4の例では、右方向には右側道路RR1~RR3の3つの道路が存在し、左方向には左側道路LRの1つの道路のみが存在する。
図4の例において仮にターン方向が右方向である場合、判定部104は、ターン方向に複数の道路があると判定する。一方、
図4の例において仮にターン方向が左方向である場合、判定部104は、ターン方向に複数の道路がないと判定する。複数の道路がある場合(ステップS106のYes)、処理S100はステップS108に進む。複数の道路がない場合(ステップS106のNo)、処理S100はステップS107に進む。
【0021】
ステップS107で、状態制御部106は、ターン方向側のバイブレータ31を振動させる。例えば、ターン方向が左方向である場合、左側のバイブレータ31Aを振動させ、ターン方向が右方向である場合、右側のバイブレータ31Bを振動させる。これにより、運転者はターンすべき方向を把握することができる。例えば、ステップS107でのバイブレータ31の振動強度は、予め設定した初期値を用いて実行される。バイブレータ31の振動は、電動二輪車1の方向指示器(不図示)の方向指示の終了時などのターン完了時に終了する。その後、処理S100はステップS111に進む。
【0022】
ステップS108で、角度算出部105は、算出した経路に基づいて、交差点で分岐している複数の道路のうち進行すべき道路へとターンする際のターン角度を算出する。例えば、ドライバDが交差点に進入する直前(ターンを開始する直前)の進行方向を直進方向とすると、ターン角度は、直進方向に対する進行すべき道路が延在する方向の角度とすることができる。例えば、道路RR1が進行すべき道路である場合、角度算出部105は、ターン角度を30°と算出する。例えば、道路RR2が進行すべき道路である場合、角度算出部105は、ターン角度を90°と算出する。例えば、道路RR3が進行すべき道路である場合、角度算出部105は、ターン角度を120°と算出する。ターン角度は、直進方向に対するものに限定されず、例えば、後退方向に対する進行すべき道路が延在する方向の角度であってもよい。
【0023】
ステップS109で、状態制御部106は、ターン角度に基づいて、振動の態様を決定する。本実施形態では、状態制御部106は、ターン角度に基づいて、振動の態様として振動強度(度合い)Cを決定する。例えば、状態制御部106は、ターン角度をθとすると、0<θ<45°未満の場合には最も小さい振動強度C1とし、45°≦θ<90°の場合に振動強度C1よりも大きい振動強度C2とし、90°≦θ<135°の場合に振動強度C2よりも大きい振動強度C3とし、135°≦θ<180°の場合には最も大きい振動強度C4とする。したがって、状態制御部106は、道路RR1が進行すべき道路である場合、ターン角度が30°であるため、振動強度C1に決定し、道路RR2が進行すべき道路である場合、ターン角度が90°であるため、振動強度C3に決定し、道路RR3が進行すべき道路である場合、ターン角度が120°であるため、振動強度C4に決定する。
【0024】
なお、状態制御部106は、ターン角度に比例して振動の強度が大きくなるように振動の強度を決定してもよい。まとめると、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、振動強度を大きくすることができる。
【0025】
ステップS110で、状態制御部106は、決定した振動の態様に基づいて、ターン方向側のバイブレータ31を振動させる。例えば、状態制御部106は、道路RR1が進行すべき道路である場合、振動強度C1により右側のバイブレータ31Bを振動させる。
【0026】
図5は、ステップS110の具体的な処理を例示するフローチャートである。ステップS121で、状態制御部106は、予め設定された初期値を実際に使用する振動強度(実振動強度)aとして用いて、ターン方向側のバイブレータ31の振動を開始する。振動強度の初期値は、0以上の値に任意に設定可能である。
【0027】
ステップS122で、状態制御部106は、更新後の実振動強度をa’とすると、更新値bを用いて実振動強度a’=a+bとして実振動強度を更新する。
【0028】
ステップS123で、状態制御部106は、更新後の実振動強度a’がステップS109で決定された振動強度C以上であるか否かを判定する。a’≧Cである場合(ステップS123のYes)、ステップS110はステップS124に進む。a’≧Cではない場合(ステップS123のNo)、ステップS110はステップS122に戻り、更新後の実振動強度a’を実振動強度aとし、a’≧Cとなるまで実振動強度aに更新値bを加算することにより、ステップS122及びS123が繰り返し実行される。
【0029】
ステップS124で、状態制御部106は、交差点において電動二輪車1のターンが完了したか否かを判定する。例えば、状態制御部106は、ターンの完了に伴う電動二輪車1の方向指示器(不図示)の方向指示の終了に応答して、電動二輪車1のターンが完了したと判定する。ターンが完了した場合(ステップS124のYes)、ステップS110はステップS125に進む。ターンが完了していない場合(ステップS124のNo)、ステップS110はステップS124の先頭に戻り、振動を継続しながらターンが完了するまでステップS124が繰り返し実行される。
【0030】
ステップS125で、状態制御部106は、バイブレータ31の振動を終了する。ステップS125の後、ステップS110は終了し、処理S100はステップS111に進む。
【0031】
ステップS111で、判定部104は、位置情報に基づいて、目的地に到着したか否かを判定する。目的地に到着した場合(ステップS111のYes)、処理S100はステップS112に進む。目的地に到着していない場合(ステップS111のNo)、今回の目的地が記憶部107に保持された状態で、処理S100は終了する。
【0032】
ステップS112で、記憶部107は、目的地を目的地用の記憶領域から削除して、目的地の設定を解除する。その結果、目的地へのナビゲーションが終了する。設定が解除された目的地は、目的地の履歴として記憶部107の履歴用の記憶領域に保持されてもよい。その後、処理S100は終了する。
【0033】
このように、本実施形態では、状態制御部106は、運転者の電動二輪車1に触れている身体部位における運転者の触覚を変化させるように電動二輪車1のハンドル10の状態を制御し、ターン方向に複数の道路がある場合、交差点におけるターン角度に基づいて、進行すべき道路を伝達するようにハンドル10の状態を変化させる。本構成によると、ターンすべき方向に複数の道路がある場合に、音声や表示によらずにその複数の道路のうちのどの道路を進行すべきかを適切に把握しやすくすることができる。
【0034】
本実施形態では、ハンドル10の状態は、ハンドル10の振動である。本構成によると、音声や表示によらずにどの道路を進行すべきかをより適切に把握しやすくなる。
【0035】
本実施形態では、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、振動の変化の度合いを大きくする。本構成によると、音声や表示によらずにどの道路を進行すべきかをより適切に把握しやすくなる。
【0036】
本実施形態では、電動二輪車1は、運転者が起立した状態で走行する立ち乗り式の車両である。ここで、例えば、スマートフォンなどのナビゲーション機能を利用する場合、交差点での右左折の方向指示は、音声や表示で行われるため、騒音や明るさなどの周囲環境の影響を受け易い立ち乗り式のマイクロモビリティ(電動キックボード、電動アシスト自転車など)では方向指示を適切に認知できないことがある。本実施形態によると、立ち乗り式の車両であっても、運転者の触覚の変化により進行すべき道路を伝達できるため、運転者に適切に方向指示を認知させることが可能となる。
【0037】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0038】
図6は、第2実施形態に係る方向指示装置100の機能ブロック図である。第1実施形態の方向指示装置100は、第1実施形態の角度算出部105の代わりに、配置順特定部108を備える。配置順特定部108は、交差点においてターンすべき方向にある複数の道路のうち進行すべき道路の配置順を特定する。
【0039】
図7は、第2実施形態に係る方向指示装置100の処理S200を示すフローチャートである。処理S200のステップS201~S207、S210~S212は、処理S100のステップS101~S107、S110~S112と同様であるため、その説明を省略する。
【0040】
ステップS208で、配置順特定部108は、複数の道路のうち進行すべき道路の配置順を特定する。例えば、配置順特定部108は、位置情報及び地図情報に基づいて、進行すべき道路が道なりに進んだ場合の道路から何番目に隣接している道路であるかの配置順を特定する。
図4の例において、進むべき道路が道路RR2である場合、道路RR2は道なりに進んだ場合の道路SRから右方向の2番目に隣接している道路であるため、配置順は2と特定される。
【0041】
ステップS209で、状態制御部106は、特定された配置順に基づいて、振動の態様を決定する。本実施形態では、状態制御部106は、特定された配置順に基づいて、振動の態様として振動パターンを決定する。例えば、状態制御部106は、特定された配置順に対応する回数の振動を含む振動パターンを振動の態様として決定する。例えば、特定された配置順が2の場合、本実施形態の状態制御部106は、2回の振動を含む振動パターンを所定間隔で実行する。例えば、特定された配置順が3の場合、本実施形態の状態制御部106は、3回の振動を含む振動パターンを所定間隔で実行する。
【0042】
第2実施形態のように、状態制御部106は、ターン方向に複数の道路がある場合、複数の道路のうち進行すべき道路の配置順に基づいて、進行すべき道路を伝達するように電動二輪車1の状態を変化させてもよい。本構成によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。まとめると、状態制御部106は、ターン方向に複数の道路がある場合、ターン角度又は進行すべき道路の配置順に基づいて、進行すべき道路を伝達するように電動二輪車1の状態を変化させることができる。
【0043】
以下、変形例を説明する。
【0044】
実施形態では、車両として電動二輪車1が例示されたが、これに限定されない。例えば、車両は、電動式ではなくガソリンや水素などの特定の燃料を用いて駆動するものであってもよいし、一輪車、自動車などであってもよい。また、実施形態では、電動二輪車1として立ち乗り式のものを挙げたが、立ち乗り式のものでなくてもよい。さらに、立ち乗り式の車両において、例えば信号待ちなどで一時的に着座できるような着座部が設けられていてもよい。この場合、状態制御部106は、この着座部の状態を変化させることにより進行すべき道路を伝達してもよい。
【0045】
実施形態では、方向指示装置100がハンドルフレーム12に取り付けられた例を示しているが、これに限定されず、ハンドル10に設けられてもよいし、電動二輪車1の他の箇所に設けられてよい。
【0046】
実施形態では、把持部11にバイブレータ31を設けて、運転者が把持部11に触れている部位である手の触覚を変化させたが、これに限定されない。例えば、運転者の足を載置する乗車部43の右足側及び左足側にそれぞれバイブレータ31を設け、運転者の足の触覚を変化させてもよいし、電動二輪車1において運転者が接触するその他の箇所にバイブレータ31を設けてもよい。
【0047】
実施形態では、状態制御部106は、振動強度や振動のパターンを制御したが、これに限定されず、振動の周波数、振動時間等を制御することにより、進行すべき道路を伝達してもよい。
【0048】
特定部分の状態は、振動に限定されず、例えば、ハンドル10の長さ、太さ、硬さ及び温度のうちの少なくとも1つであってもよい。まとめると、特定部分の状態は、ハンドル10の振動、長さ、太さ、硬さ及び温度のうちの少なくとも1つとすることができる。
【0049】
図8は、状態制御部106がハンドル10の長さを制御する場合の構成例である。
図8(a)はハンドル10を伸縮していない通常の状態を示し、
図8(b)はハンドル10を左方向に延伸した状態を示す。本変形例のハンドル10は、ハンドル10を左右方向に伸縮可能に構成された伸縮部材15A及び15Bをそれぞれ内蔵する。以下、伸縮部材15A及び15Bを特に区別する必要がない場合には、伸縮部材15という。本変形例では、把持部11は伸縮部材15の端部に固定されている。例えば、状態制御部106は、不図示のアクチュエータを制御して伸縮部材15を伸縮させることにより、ハンドル10の長さを調整する。また、例えば、状態制御部106は、伸縮部材15を左右に移動させることによりハンドル10の長さを調整してもよい。例えば、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、ハンドル10の長さを大きくする。例えば、ターン方向が右方向である場合においてターン角度が30°である場合、状態制御部106は、左側の伸縮部材15Aを左方向に5センチメートル延伸させる。また、例えば、ターン方向が右方向である場合においてターン角度が60°である場合、状態制御部106は、左側の伸縮部材15Aを左方向に10センチメートル延伸させる。ターンする際のハンドル10の操作性を向上させることができることから、ターン方向と反対側の伸縮部材15を用いてハンドル10を延伸させることが好ましい。このようにハンドル10の長さを変化させる場合、運転者が手袋を着用している場合などの手のひらの感覚が伝わりづらい環境であっても、運転者が触覚の変化を認識しやすくなる。
【0050】
図9は、状態制御部106がハンドル10の太さを制御する場合の構成例の上面図である。
図9(a)はハンドル10の太さを変えていない通常の状態を示し、
図9(b)はハンドル10の左側把持部11Aを太くした状態を示す。本変形例の把持部11は、伸縮可能な材料で構成される。本変形例の左側把持部11A及び右側把持部11Bの前側には、その内圧を制御することにより前方向に膨張又は後方向に収縮可能に構成された膨縮部材16A及び16Bがそれぞれ内蔵されている。以下、膨縮部材16A及び16Bを特に区別する必要がない場合には、膨縮部材16という。状態制御部106は、不図示のポンプを制御して膨縮部材16内に空気を充填又は排出して膨縮部材16を膨縮させることにより、ハンドル10の把持部11の太さを前後方向に調整可能に構成される。例えば、膨縮部材16内に空気が充填された場合、把持部11は前方向に突出する。把持部11が前方向に突出するように把持部11の太さを変化させることにより、太さを変化させた際に運転者が把持部11を握っているときの起点の親指とブレーキレバーとの間の距離が変わりにくくなる。そのため、指がブレーキレバーに届きにくくなるのを抑制し、ブレーキの操作性を維持することができる。例えば、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、把持部11の太さを大きくする。例えば、ターン方向が右方向である場合においてターン角度が30°である場合、状態制御部106は、左側把持部11Aの太さを1センチメートル大きくするように膨縮部材16内の空気圧を制御する。また、例えば、ターン方向が右方向である場合においてターン角度が60°である場合、状態制御部106は、左側把持部11Aの太さを3センチメートル大きくするように膨縮部材16内の空気圧を制御する。ターンする際のハンドル10の操作性を向上させることができることから、ターン方向と反対側の膨縮部材16を膨張させることが好ましい。このようにハンドル10の把持部11の太さを変化させる場合、運転者が手袋を着用している場合などの手のひらの感覚が伝わりづらい環境であっても、運転者が触覚の変化を認識しやすくなる。
【0051】
状態制御部106がハンドル10の硬さを制御する場合、把持部11をエアーパッドなどにより構成する。状態制御部106は、把持部11の内圧を調整することにより、ハンドル10の把持部11の硬さを制御する。例えば、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、把持部11の内圧を大きくして把持部11を硬くする。このようにターンの際にハンドル10の把持部11を硬くする場合、通常の直進時には把持部11を柔らかくすることでリラックスした運転を促すことが可能となり、ターン時には把持部11を硬くすることで運転者に把持部11をしっかり握ることを意識付けること及びターンの安定性及び操作性を向上させることができる。
【0052】
状態制御部106がハンドル10の温度を制御する場合、ハンドル10の把持部11に温調素子を内蔵する。状態制御部106は、温調素子の温度を調整することにより、ハンドル10の把持部11の温度を制御する。例えば、状態制御部106は、ターン角度が相対的に大きい場合には、ターン角度が相対的に小さい場合と比べて、把持部11の温度を高く又は低くする。例えば、状態制御部106は、4月~9月のような比較的気温が高い時期や昼間などの比較的気温が高い時間帯には、把持部11の温度を低くするようにし、10月~3月のような比較的気温が低い時期や早朝及び夜間などの比較的気温が低い時間帯には、把持部11の温度を高くするようにしてもよい。このようにターンの際にハンドル10の把持部11の温度を調整する場合、ターン時において運転者がより心地よくハンドル10を操作することが可能となる。
【0053】
上記実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0054】
1 電動二輪車、 10 ハンドル、 11 把持部、 12 ハンドルフレーム、 13 メインフレーム、 20A 前輪、 20B 後輪、 31 バイブレータ、 40 収容部、 41 電動機、 42 バッテリ、 43 乗車部、 100 方向指示装置、 101 入力部、 102 位置取得部、 103 経路算出部、104 判定部、 105 角度算出部、 106 状態制御部、 107 記憶部、 108 配置順特定部。