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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108189
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】機器操作盤
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240805BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G08B17/00 L
G08B23/00 510E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012413
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】外岡 宏
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087AA10
5C087AA16
5C087AA19
5C087DD04
5C087EE05
5C087EE06
5C087FF01
5C087GG08
5C087GG17
5C087GG66
5G405AA06
5G405AA08
5G405AD07
5G405CA22
5G405CA41
5G405CA51
5G405CA53
(57)【要約】
【課題】特定の端末機器による異常履歴の検証に適した機器操作盤を得る。
【解決手段】複数の端末機器のそれぞれから状態変化に伴って出力される作動信号を受信する受信部と、受信部により受信された各作動信号と受信時刻とを関連付けて生成した受信履歴情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、記憶部に記憶された受信履歴情報を表示部に表示させる表示制御部と、記憶部に記憶させた受信履歴情報について、所望の期間および所望の端末機器を選択表示させるための表示条件を設定する表示条件入力部とを備え、表示制御部は、所望の期間および所望の端末機器に関する情報を、表示条件入力部で設定された表示条件として受け取り、受信履歴情報を表示させる際に、所望の期間内における所望の端末機器に関する受信履歴情報を抽出して表示させる識別表示機能を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末機器のそれぞれから状態変化に伴って出力される作動信号を受信する受信部と、
前記受信部により受信された各作動信号と受信時刻とを関連付けて生成した受信履歴情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記記憶部に記憶された前記受信履歴情報を表示部に表示させる表示制御部と、
前記記憶部に記憶された前記受信履歴情報について、所望の期間および所望の端末機器を選択表示させるための表示条件を設定する表示条件入力部と
を備え、
前記表示制御部は、
前記所望の期間および前記所望の端末機器に関する情報を、前記表示条件入力部で設定された前記表示条件として受け取り、
前記受信履歴情報を表示させる際に、前記所望の期間内における前記所望の端末機器に関する受信履歴情報を抽出して表示させる識別表示機能を有する
機器操作盤。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記記憶制御部によって生成された前記受信履歴情報の実績に基づいて、前記所望の期間において所定回数以上の作動信号を出力している同一の端末機器を特定し、特定した前記同一の端末機器を色付けして前記表示部に表示させる
請求項1に記載の機器操作盤。
【請求項3】
前記表示部において1画面として表示可能な前記受信履歴情報の画面表示データ件数を超える拡張表示データ件数を1画面に表示できる表示性能を有する外付け表示部と接続可能であり、前記外付け表示部の前記表示性能に合わせて前記拡張表示データ件数からなる受信履歴情報を編集し、編集結果を前記外付け表示部に表示させる表示拡張部
をさらに備える請求項1または2に記載の機器操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の端末機器からの情報に基づいて、火災発生状況を検出し表示する機器操作盤に関し、特に、異常履歴の検証に適した機器操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災の要因となる煙の発生、温度上昇等を監視する火災報知設備に用いられる火災受信機は、防災センター、管理室などに設置されている。火災受信機は、火災監視区域ごとに設置されている1以上の端末機器から信号を受信することで、火災発生の有無等を判断している。
【0003】
このように、火災受信機は、火災報知設備に含まれる種々の端末機器に関する集中監視・制御を行う。なお、このような集中監視・制御は、総合操作盤など、その他の設備でも行うことができる。そこで、本開示では、種々の端末機器に関する集中監視・制御を行う火災受信機、総合操作盤などの設備機器のことを、機器操作盤と総称することとする。
【0004】
このような機器操作盤として、トンネル内に設置された端末機器の電流を測定することで監視し、災害発生信号を受信することで災害発生情報を表示させる従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
より具体的には、特許文献1に係る設備は、測定結果と測定日時および異常の有無の情報を関連付けた異常履歴が記憶部に記憶されており、異常の発生日時が新しいものから順にタッチパネル上に異常履歴を表示させている。
【0006】
また、特許文献1に係る設備では、異常の程度が軽度、中度、重度の3段階に分けられており、異常の程度の情報に基づいてソートされ、異常の程度が重度のものから順に異常履歴を画面表示させることができる。さらに、特許文献1に係る設備では、異常履歴の背景を異常の程度によって色分けすることにより、端末機器の異常発生を直感的に把握することができ、メンテナンスの際の作業効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-79366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
例えば、端末機器は法令通りに取付けられていても、その法令の想定を超える環境になってしまうと、様々な頻度や周期で火災ではなくとも火災と判断し誤発報を起こしてしまうことがある。このような場合には、1つの画面で所望の1つあるいは複数の端末機器の検出結果を検証したいといった要望がある。
【0009】
特に、誤発報が頻繁に発生する端末機器については、誤発報の原因を突き止めることが重要となる。ここで、誤発報とは、火災ではないのに端末機器が、火災が発生したと判断してしまう状況であり、より具体的には、機器異常、あるいは設置場所に起因する事象(煙感知器に対する湯気や塵埃、熱感知器に対する急激な温度変化等)が考えられる。
【0010】
誤発報の原因を突き止めるためには、作動信号を頻繁に出力している特定の端末機器に絞り込んで、端末機器の作動信号の出力履歴を検証したい場合がある。しかしながら、特許文献1に係る従来技術は、特定の端末機器に絞り込んだ表示機能は有していない。
【0011】
設置基準の想定を超える環境に端末機器が設置されているような火災報知設備において、特許文献1に係る従来技術では、単に異常の発生順序および異常の程度に応じてソートして異常履歴が表示されるとともに、異常の程度に応じた背景色を用いて識別表示が行われるに過ぎない。
【0012】
従って、特許文献1では、複数の画面を見ながら、特定の端末機器の検証を行う必要があり、誤発報の原因を早急に突き止めるために、画面遷移を繰り返す必要があった。
【0013】
本開示は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、特定の端末機器による異常履歴の検証に適した機器操作盤を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示に係る機器操作盤は、複数の端末機器のそれぞれから状態変化に伴って出力される作動信号を受信する受信部と、受信部により受信された各作動信号と受信時刻とを関連付けて生成した受信履歴情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、記憶部に記憶された受信履歴情報を表示部に表示させる表示制御部と、記憶部に記憶された受信履歴情報について、所望の期間および所望の端末機器を選択表示させるための表示条件を設定する表示条件入力部とを備え、表示制御部は、所望の期間および所望の端末機器に関する情報を、表示条件入力部で設定された表示条件として受け取り、受信履歴情報を表示させる際に、所望の期間内における所望の端末機器に関する受信履歴情報を抽出して表示させる識別表示機能を有するものである。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、特定の端末機器による異常履歴の検証に適した機器操作盤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の実施の形態1における火災受信機および複数の端末機器を含む火災報知システムの全体構成図である。
図2】本開示の実施の形態1における機器操作盤の機能ブロック図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る表示制御部による第1の表示例を示した説明図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る表示制御部による第2の表示例を示した説明図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る表示制御部による第3の表示例を示した説明図である。
図6】本開示の実施の形態1に係る表示制御部による第4の表示例を示した説明図である。
図7】本開示の実施の形態1に係る表示制御部による第5の表示例を示した説明図である。
図8】本開示の実施の形態1における機器操作盤の図2とは異なる機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の機器操作盤の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る機器操作盤は、複数の端末機器のそれぞれから状態変化に伴って出力される作動信号に基づいて生成した受信履歴情報に関して、表示条件に応じた適切な表示を行う機能を備えることで、特定の端末機器による異常履歴の検証を容易に実施できる点を技術的特徴とするものである。
【0018】
実施の形態1.
まず始めに、本開示に係る機器操作盤を含む火災報知システムの全体像について説明する。本実施の形態1では、機器操作盤として火災受信機を用いる場合を具体例として、詳細な説明を行うこととする。また、本開示における「複数の端末機器」とは、感知器、端末設備、発信機などの防災機器であり、状態変化に基づいて作動情報を示す信号を機器操作盤に対して出力する機器の総称を意味している。
【0019】
図1は、本開示の実施の形態1における火災受信機および複数の端末機器を含む火災報知システムの全体構成図である。なお、図1では、1階における具体的な機器構成を示しており、2階~5階に関しては、1階と同等の機器構成を有するものとして、記載が省略されている。
【0020】
また、本開示に係る機器操作盤において監視対象となる建物は、1棟には限定されず、例えば、A棟、B棟のような複数の棟を監視対象とする場合も含まれる。
【0021】
機器操作盤に相当する火災受信機10は、各フロアにおいて、信号線SGを介して、アドレッサブル発信機20、火災感知器31、32、感知器用中継器40、および防排煙制御用中継器50と接続されている。
【0022】
感知器用中継器40には、火災感知器が、複数台接続されている。図1では、2台の火災感知器41、42を例示している。また、防排煙制御用中継器50には、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54が接続されている。
【0023】
ここで、火災感知器31、32、および火災感知器41、42は、法令に基づいて設置された部分の火災監視エリアにおいて火災の発生を感知する複数の火災感知器に相当する。複数の火災感知器により感知器群が構成される。
【0024】
また、防火戸51、排煙機52、シャッタ53、およびたれ壁54は、複数の火災感知器のそれぞれの作動信号と連動して作動し、火災、煙等の拡大等を防止するために機能する。これら複数の端末設備により、端末設備群が構成される。
【0025】
複数の火災感知器のそれぞれは直接または感知器用中継器を介して火災受信機10と常時、通信を行うことが可能である。なお、複数の火災感知器のそれぞれは、個々の火災感知器を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。そして、複数の火災感知器のそれぞれは、自身に割り付けられたアドレス情報を含めた信号として、作動信号を直接または感知器用中継器を介して火災受信機10に対して送信することができる。一方、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで直接または感知器用中継器を介して所望の火災感知器に対して必要な情報を送信することができる。
【0026】
また、複数の端末設備のそれぞれにも防排煙制御用中継器において二次側に接続された個々の端末設備を識別するためのアドレス情報があらかじめ割り付けられている。従って、端末設備作動時には、火災受信機10は、アドレス情報を付加して情報伝送を行うことで、所望の端末設備を作動させる指令を送信することができる。また、端末設備群に含まれているそれぞれの端末設備は防排煙制御用中継器を介し作動信号を火災受信機10に対して送信することができる。
【0027】
このような構成により、火災受信機10は、法令に基づいて設置された複数の火災感知器、およびアドレッサブル発信機20のそれぞれから、状態変化に伴って出力される、火災関連情報を示す作動信号を受信する。そして、火災受信機10は、収集した作動信号に基づいて、火災警報等を行い、端末設備群のそれぞれの端末設備を連動制御することができる。
【0028】
なお、端末設備群に含まれているそれぞれの端末設備は、どの火災感知器の作動信号と連動して動作させるかがあらかじめ設定されている。例えば、複数の火災感知器と複数の端末設備との連動動作の対応関係を連動表としてあらかじめ設定しておくことで、火災受信機10は、複数の火災感知器のそれぞれの作動信号に応じて連動表に基づいた端末設備を連動制御することができる。
【0029】
また、図示は省略しているが、火災受信機10は、受信した端末機器作動信号に基づいて、移報信号を出力し、非常放送装置を連動させることで感知器作動放送や火災放送を行ったり、ネットワークを介して上位装置に対して端末機器作動情報を伝送したりすることができる。
【0030】
次に、本実施の形態1に係る機器操作盤が備える技術的特徴について、詳細に説明する。なお、図1に示した感知器群および端末設備群に含まれているそれぞれの機器は、本開示において状態変化に伴って火災関連情報を示す作動信号を出力する端末機器に相当する。さらに、各階に設置されたアドレッサブル発信機20からなる発信機群も、本開示において状態変化に伴って端末機器作動信号を出力する端末機器に相当する。
【0031】
また、図示は省略しているが、感知器群、端末設備群、発信機群以外の防災機器であっても、状態変化に伴って端末機器作動情報を示す信号を出力する機器は、本開示における端末機器に含まれる。
【0032】
図2は、本開示の実施の形態1における機器操作盤の機能ブロック図である。なお、本開示における機器操作盤は、複数の端末機器から作動信号を受信して受信履歴情報を作成し、表示条件入力部18から設定された表示条件に基づいて受信履歴情報を編集して、特定の端末機器による異常履歴の検証に適した表示を行う機能を有している。
【0033】
図2では、図1に対応して、機器操作盤が火災受信機10であるものとし、複数の端末機器100には、各階に設置された感知器群101、端末設備群102、および発信機群103が含まれるものとして示している。
【0034】
機器操作盤に相当する火災受信機10は、受信部11、記憶制御部12、記憶部13、火災判定部14、報知部15、表示制御部16、表示部17、および表示条件入力部18を備えて構成されている。本開示に係る機器操作盤は、表示制御部16、表示部17、および表示条件入力部18が有する表示機能に特徴があるが、各構成の概要を説明した後に、表示機能の特徴について詳細に説明する。
【0035】
受信部11は、複数の端末機器100のそれぞれから、状態変化に伴って出力される作動信号を受信する。複数の端末機器100に含まれる感知器群101、端末設備群102、発信機群103からは、一例として、次のような作動信号が出力される。
【0036】
感知器群101に含まれる各機器は、火災と同等の状況を検知したことを示す作動状態、あるいは作動状態から復旧したことを示す復旧状態となることで、状態変化に伴う作動信号を出力する。
【0037】
なお、実際には、火災受信機10において復旧制御が行われることで、感知器群101に含まれる全ての感知器が一旦リセットされ、復旧状態となる。ただし、リセットされた場合であっても、設置環境が作動時と同等の状態であれば、直ちにその感知器からは作動信号が火災受信機10に送信されることとなる。
【0038】
端末設備群102に含まれる各機器は、火災受信機10からの指令や設置現場にいるいずれかの者により操作されることで作動した状態となり、状態変化に伴う作動信号を出力する。
【0039】
発信機群103に含まれる各機器は、火災を発見した人が発信機に設けられた押しボタンを押すことにより火災を通報する状態となることで、状態変化に伴う作動信号を出力する。
【0040】
記憶制御部12は、受信部11で順次受信された作動信号に関して、受信時刻と関連付けたデータを生成し、受信履歴情報として記憶部13に記憶させる。この際、記憶制御部12は、あらかじめ決められた最新の一定件数分のデータが、記憶部13内に残るように、受信履歴情報の更新を行っていく。
【0041】
例えば、最新の一定件数として1000件が設定されている場合には、記憶制御部12は、作動信号と受信時刻とが関連付けられた最新の1000件のデータから構成される受信履歴情報が記憶部13内に記憶されるように、更新処理を行うこととなる。従って、順次更新処理が行われることで、記憶部13内には、直近の一定件数分の作動信号に関する受信状態が、受信履歴情報として記憶されていくこととなる。
【0042】
火災判定部14は、リアルタイムで受信した作動信号に基づいて、火災が発生したか否かを判定する。さらに、火災判定部14は、火災が発生したと判断した場合には、報知部15を介して、火災発生状態を報知することができる。なお、この火災判定部14による判定処理は、従来技術と同じであり、詳細な説明は、省略する。
【0043】
表示制御部16、表示部17、および表示条件入力部18は、本開示に係る機器操作盤の主要な構成要素であり、以下に詳細に説明する。表示制御部16は、記憶部13に記憶されている受信履歴情報に基づいて、特定の端末機器による異常履歴の検証に適した表示を行うために、以下のような機能を有している。
【0044】
機能1:受信履歴情報を抽出する所望の期間および所望の端末機器を選択表示させるための表示条件を、表示条件入力部18を介して受け取る機能。
【0045】
なお、所望の期間および所望の端末機器に関する設定値は、例えば、火災受信機10の操作者が、表示条件入力部18を介して設定することができる。所望の期間に関しては、直近の時間帯を設定するか、あるいは開始日時と終了日時により所望の時間帯を設定することができる。例えば、期間としては、直近の1週間、あるいは日付を設定した1日といった形で設定することができる。
【0046】
機能2:受信履歴情報を表示させる際に、機能1で設定された表示条件を用いて、所望の期間が設定された場合には、所望の期間内に限定して受信履歴情報を表示し、所望の端末機器が設定された場合には、所望の端末機器に限定して表示させる機能。
【0047】
例えば、所望の端末機器として「5階の火災感知器42」が表示条件として設定されていた場合には、表示制御部16は、記憶部13内に記憶された受信履歴情報の中から「5階の火災感知器42」に関する履歴情報を抽出する。そして、表示制御部16は、抽出した履歴情報を表示部17に表示させる。
【0048】
なお、表示制御部16は、抽出した履歴情報を1画面として表示できない場合には、複数の画面に渡って表示させることとなる。ただし、直近の履歴情報が1画面目に表示される。また、表示制御部16は、表示条件ごとに表示する文字あるいは背景の濃淡、彩度、明度などに変化をつけて、表示条件に応じて識別表示させることができる。
【0049】
表示制御部16は、抽出した受信履歴情報を表示させる際に、文字色を変える、背景色を変える、特定のマークを表示する、などの表示手法により、文字あるいは背景の濃淡、彩度、明度などに変化をつけて、時間経過に応じて色分け表示させることができる。
【0050】
なお、選択する所望の端末機器は、1台には限定されず、操作者は、複数の端末機器を選択することも可能である。例えば、操作者は、「5階の火災感知器42」とともに、近傍に配置されている「5階の火災感知器41」の2台を選択することで、選択した2台分の受信履歴情報を表示部17に表示させることができ、両者の履歴を容易に比較することができる。
【0051】
また、表示制御部16は、所望の端末機器として複数の端末機器が表示条件入力部18を介して選択された場合には、それぞれの端末機器に応じて色分け表示させることができるほか、時系列での色分けも選択できる。
【0052】
次に、表示制御部16による具体的な表示例について、図3図7を用いて説明する。なお、以下では、本開示による表示機能をよりわかりやすく説明するために、監視対象となる建物がA棟、B棟の2棟であり、それぞれの棟がともに1階~5階で構成されている場合を具体例として、詳細に説明する。
【0053】
図3は、本開示の実施の形態1に係る表示制御部16による第1の表示例を示した説明図である。なお、図3では、記憶部13に記憶されている最新の受信履歴情報が例示されている。図3に示した受信履歴情報は、端末機器、受信・制御内容、受信日時の各項目が、最新のデータをNO1として順次更新処理されて、記憶部13に記憶されている。
【0054】
そして、表示条件として、所望の期間および所望の端末機器が設定されていない場合には、記憶部13に記憶されている受信履歴情報のうちの直近の10データが第1の表示例として表示部17に1画面のデータとして表示されることとなる。また、NO11以降のデータは、2画面目以降の表示に切り替える操作が行われることで、スクロール表示されることとなる。
【0055】
一方、図4は、本開示の実施の形態1に係る表示制御部16による第2の表示例を示した説明図である。図4では、表示条件として、表示部17に表示させるために選択された所望の端末機器が「A棟5階の火災感知器42」と設定され、所望の期間は設定されていない状態において、この表示条件に従って抽出された受信履歴情報が例示されている。
【0056】
そして、表示条件に従って抽出されて受信履歴情報のうちの直近の10データが、表示部17に1画面のデータとして表示されることとなる。また、NO11以降のデータがある場合には、2画面目以降の表示に切り替える操作が行われることで、スクロール表示されることとなる。
【0057】
先の図3に示した第1の表示例では、直近の10データとして表示された受信履歴情報の中で、NO6のデータが、所望の端末機器である「A棟5階の火災感知器42」に相当するが、NO11以降の状態に関しては、履歴上は存在するが、1画面目では視認できない状態となっている。
【0058】
これに対して、図4に示した第2の表示例では、表示条件として、所望の端末機器が「A棟5階の火災感知器42」に設定されているため、「A棟5階の火災感知器42」に関する直近の10データが表示され、1画面目の受信履歴情報として識別表示されている。
【0059】
従って、表示条件として所望の端末機器を設定した操作者は、図4に示した第2の表示例を視認することで、「A棟5階の火災感知器42」に限定して、直近の10データによる遷移状態を1画面として比較し、誤発報が頻繁に発生する原因がないかを検証することができる。
【0060】
さらに、図4に示した第2の表示例では、時間経過に伴う遷移状態を視認しやすくするために、発報と復旧のペアごとにグループ化して色分けされた状態が示されている。このように、表示制御部16は、抽出した受信履歴情報を表示させる際に、文字色を変える、背景色を変える、特定のマークを表示する、などの表示手法により、文字あるいは背景の濃淡、彩度、明度などに変化をつけて、時間経過に応じて色分け表示させることができる。
【0061】
図5は、本開示の実施の形態1に係る表示制御部16による第3の表示例を示した説明図である。先の図4では、発報と復旧のペアごとにグループ化して色分け表示を行った場合を例示したが、図5では、日付ごとにグループ化して色分け表示を行った場合を例示している。
【0062】
図5に示した第3の表示例を視認した操作者は、2022年10月7日および2022年7月3日に「A棟5階の火災感知器42」が連続して作動している傾向があるため、それらの日時や設置場所などの関連性に起因する事象がないかを検証すべきことを容易に推測することができる。
【0063】
火災受信機10に所定回数以上、同じ端末機器から作動信号の入力があったことを、記憶部13に記憶された受信履歴情報に基づいて表示制御部16で判断した場合には、その端末機器について、表示部17で認識しやすいように自動的に色付けした表示を行うようにしてもよい。このようにすると、火災受信機10の操作員は、時系列で作動信号を発した端末機器の一覧を表示部17で確認するより、どの端末機器が、定常状態になく異常状態となっているかを認識しやすい。
【0064】
このような表示機能を実現するためには、表示制御部16は、記憶制御部によって生成された受信履歴情報の実績に基づいて、所望の期間において所定回数以上の作動信号を出力している同一の端末機器を特定する。そして、表示制御部16は、特定した同一の端末機器について、表示部17で認識しやすいように自動的に色付けした表示を行うこととなる。
【0065】
図6は、本開示の実施の形態1に係る表示制御部16による第4の表示例を示した説明図である。図6に示した第4の表示例では、表示条件として、表示部17に表示させるために選択された所望の期間が「2022年7月3日の1日」と設定され、所望の端末機器は設定されていない状態における、受信履歴情報の直近の10データが表示されている状態を例示している。
【0066】
先の図3に示した第1の表示例では、直近の10データとして表示された受信履歴情報の中でには、所望の期間である「2022年7月3日の1日」のデータが表示されておらず、「2022年7月3日」における状態は、1画面目では視認できない状態となっている。
【0067】
また、先の図4に示した第2の表示例および先の図5で示した第3の表示例では、所望の端末機器として「A棟5階の火災感知器42」を設定したため、2022年7月3日に「A棟5階の火災感知器42」に関する履歴が2件表示されているものの、その他の端末機器、および3件目以降に関してまでは、1画面目で視認できない状態となっている。
【0068】
これに対して、図6に示した第4の表示例では、表示条件として、所望の期間が「2022年7月3日の1日」に設定されているため、「2022年7月3日の1日」における全ての端末機器に関する直近の10データが抽出され、1画面目の受信履歴情報として識別表示されている。
【0069】
従って、表示条件として所望の期間を設定した操作者は、図6に示した第4の表示例を視認することで、「2022年7月3日の1日」に限定して、直近の10データによる遷移状態を1画面として比較し、誤発報が頻繁に発生する原因がないかを検証することができる。
【0070】
さらに、図6に示した第4の表示例では、それぞれの端末機器に関する時間経過に伴う遷移状態を視認しやすくするために、同一の端末機器ごとにグループ化して色分けされた状態が示されている。このように、表示制御部16は、抽出した受信履歴情報を表示させる際に、文字色を変える、背景色を変える、特定のマークを表示する、などの表示手法により、文字あるいは背景の濃淡、彩度、明度などに変化をつけて、端末機器に応じて色分け表示させることができる。
【0071】
図6に示した第4の表示例を視認した操作者は、2022年7月3日に「A棟5階の火災感知器42」が連続して作動している傾向があるとともに、「A棟5階の火災感知器41」も同じ日に作動しているため、これらの設置場所に起因する事象がないかを検証すべきことを容易に推測することができる。
【0072】
ある端末機器(感知器)と、その近傍に設置された端末機器(感知器)とにより、複数回の作動信号を受信した場合には、自動的に受信履歴情報の中からそれら端末機器だけを抽出した表示を、表示部17に行うようにしてもよい。このような表示は、火災発生時にも有効であるが、その監視領域に誤報源がある場合にも、そのことを認識しやすくなる。
【0073】
図7は、本開示の実施の形態1に係る表示制御部16による第5の表示例を示した説明図である。図7に示した第5の表示例では、表示条件として、表示部17に表示させるために選択された所望の期間が「2022年7月3日の1日」と設定され、所望の端末機器が「A棟5階の火災感知器42」と設定された状態における、受信履歴情報の直近の10データが表示されている状態を例示している。
【0074】
先の図4に示した第2の表示例、および先の図5に示した第3の表示例では、所望の端末機器として「A棟5階の火災感知器42」が設定されているものの、所望の期間が設定されていないため、「A棟5階の火災感知器42」に関する全ての履歴が表示された状態となっている。
【0075】
また、先の図6に示した第4の表示例では、所望の期間として「2022年7月3日の1日」が設定されているものの、所望の端末機器が設定されていないため、「2022年7月3日の1日」に関する全ての履歴が表示された状態となっている。
【0076】
これに対して、図7に示した第5の表示例では、表示条件として、所望の期間が「2022年7月3日の1日」に設定され、所望の端末機器が「A棟5階の火災感知器42」に設定されているため、「2022年7月3日の1日」における「A棟5階の火災感知器42」に関する直近の10データが抽出され、1画面目の受信履歴情報として識別表示されている。
【0077】
従って、表示条件として所望の期間および所望の端末機器を設定した操作者は、図7に示した第5の表示例を視認することで、「2022年7月3日の1日」および「A棟5階の火災感知器42」に限定して、直近の10データによる遷移状態を1画面として比較し、誤発報が頻繁に発生する原因がないかを検証することができる。
【0078】
さらに、図7に示した第5の表示例では、時間経過に伴う遷移状態を視認しやすくするために、発報と復旧のペアごとにグループ化して色分け表示された状態が示されている。このように、表示制御部16は、抽出した受信履歴情報を表示させる際に、文字色を変える、背景色を変える、特定のマークを表示する、などの表示手法により、文字あるいは背景の濃淡、彩度、明度などに変化をつけて、時間経過に応じて色分け表示させることができる。
【0079】
図7に示した第5の表示例を視認した操作者は、2022年7月3日に「A棟5階の火災感知器42」が作動した遷移状態を把握できるため、「A棟5階の火災感知器42」の設置場所に起因する事象がないかを検証すべきことを容易に推測することができる。
【0080】
なお、図7では、表示条件として、所望の期間が「2022年7月3日の1日」に設定され、所望の端末機器が「A棟5階の火災感知器42」に設定された場合を例示したが、本開示における表示条件の設定は、このような場合に限定されない。例えば、所望の期間として複数の時間帯を設定する、あるいは所望の機器として複数の端末機器を設定することも可能である。
【0081】
具体的には、10時から12時に限定して、かつ3日間にわたる時間帯を所望の期間として設定したり、A棟の1階から5階で同じ位置に設置された5台の「火災感知器42」を所望の端末機器として設定したりすることが考えられる。このような設定を行うことによって、誤発報の原因を、時間帯の傾向、設置場所の傾向などの観点から推測することが可能となる。
【0082】
以上のように、実施の形態1によれば、表示条件に基づく識別表示機能により、作動信号を頻繁に出力している端末機器を容易に特定することができる。この結果、視覚的に作動信号を繰り返しているおそれのある端末機器を認知しやすくし、画面遷移を繰り返すことなしに誤発報に起因する異常履歴を容易に特定することができる。
【0083】
特に、本実施の形態1に係る機器操作盤は、複数の端末機器のそれぞれから状態変化に伴って出力される作動信号に基づいて生成した受信履歴情報に関して、表示条件に応じた適切な表示を行う表示制御部を備える点に技術的特徴があり、以下のような効果1、効果2が得られる。
【0084】
効果1:表示条件として、所望の期間および所望の端末機器を設定することで、所望の期間における所望の端末機器に関する受信履歴情報を抽出して表示させることができる。所望の期間としては、直近の時間帯に限らず、過去の時間帯も設定でき、識別表示結果に基づいて繰り返し作動している端末機器の検証を容易に実施することが可能となる。
【0085】
効果2:表示条件に応じた履歴情報を表示する際に、時間経過に応じた色分け表示、あるいは端末機器の種別に応じた色分け表示を行うことができる。この結果、繰り返し作動している端末機器による作動信号の遷移状態を容易に把握した上で、作動信号が出力される傾向、頻度等を容易に検証することが可能となる。
【0086】
なお、10件を超える履歴がある場合に、次画面に切り替えて確認する以外の方法について補足説明する。図8は、本開示の実施の形態1における機器操作盤の図2とは異なる機能ブロック図である。図8に示した機能ブロック図は、先の図2に示した機能ブロック図と比較すると、外付け表示部17aを接続可能な表示拡張部19をさらに備えている。
【0087】
表示拡張部19は、10件を超える、より多くのデータを1画面として視認できるようにするために、外付け表示部17aの表示性能に合わせて、10件を超えるデータ数からなる直近の履歴情報を編集し、編集結果を外付け表示部17aに表示させる機能を備えている。
【0088】
例えば、外付け表示部17aが、20件を1画面で表示できる表示性能を備えている場合には、表示拡張部19は、先の図4および図5で示した14件のデータを、1画面として外付け表示部17aに表示させることができる。
【0089】
すなわち、表示拡張部19は、表示部17において1画面として表示可能な受信履歴情報の画面表示データ件数を超える拡張表示データ件数を1画面に表示できる表示性能を有する外付け表示部17aと接続可能であり、外付け表示部17aの表示性能に合わせて拡張表示データ件数からなる受信履歴情報を編集し、編集結果を外付け表示部17aに表示させる機能を備えている。
【0090】
この結果、操作者は、外付け表示部17aの表示内容を視認することで、1画面内に表示された10件を超える拡張表示データ件数からなる直近データの遷移状態を比較し、誤発報が頻繁に発生する原因がないかを、より効率的に検証することができる。
【符号の説明】
【0091】
10 火災受信機、11 受信部、12 記憶制御部、13 記憶部、14 火災判定部、15 報知部、16 表示制御部、17 表示部、17a 外付け表示部、18 表示条件入力部、19 表示拡張部、20 アドレッサブル発信機、31、32、41、42 火災感知器、40 感知器用中継器、50 防排煙制御用中継器、51 防火戸、52 排煙機、53 シャッタ、54 たれ壁、100 端末機器、101 感知器群、102 端末設備群、103 発信機群。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8