(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108194
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240805BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240805BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012420
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野口 建
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA19
2H199DA29
2H199DA33
2H199DA43
2H199DA46
3D344AA09
3D344AA19
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】反射装置及びヘッドアップディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本開示のミラーユニットは、入射した表示光Liを反射するミラーユニット30であって、表示光Liを反射する反射面31aを形成する第一ミラー31と、第一ミラー31を保持するホルダー32と、第一ミラー31の回転軸Aを規定し、ホルダー32に形成される軸33aと、第一ミラー31の上端側面部を覆うカバー34と、を備え、上端側面部は、カバー34に覆われる被覆領域31bと、カバー34に覆われない露出領域31cと、で形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した表示光を反射するミラーユニットであって、
前記表示光を反射する反射面を形成する第一ミラーと、
前記第一ミラーを保持するホルダーと、
前記第一ミラーの回転軸を規定し、前記ホルダーに形成される軸と、
前記第一ミラーの上端側面部を覆うカバーと、を備え、
前記上端側面部は、前記カバーに覆われる被覆領域と、前記カバーに覆われない露出領域と、で形成される
ミラーユニット。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記カバーの端部と前記軸とを接続する梁を形成する
請求項1に記載のミラーユニット。
【請求項3】
前記カバーは、前記上端側面部から前記反射面までをも覆う
請求項1に記載のミラーユニット。
【請求項4】
前記第一ミラーは、前記カバーと接触することで、前記第一ミラーを少なくとも一方に向かって位置決めしている
請求項1に記載のミラーユニット。
【請求項5】
前記表示光を被投射部材へ投射することで虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を出射するディスプレイと、
前記表示光を反射する請求項1に記載のミラーユニットと、
前記表示光を前記被投射部材へ反射する第二ミラーと、
前記表示光を通過させる開口を形成し、前記ミラーユニット及び前記第二ミラーを保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記開口を通過する前記表示光の通過範囲に沿って延在する遮光壁を形成し、
前記遮光壁は、前記露出領域を覆う
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項6】
車両に搭載され、
前記カバーは、前記上端側面部の内、車両の外側に対応する箇所のみを覆う
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項7】
前記ミラーユニットは、前記表示光を前記被投射部材へ到達させるディスプレイポジションと、前記表示光を前記被投射部材へ到達させないパーキングポジションと、の位置へ回転可能であり、
前記カバーは、前記パーキングポジションに前記ミラーユニットが位置する状態において、前記被覆領域を覆う
請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ミラー部(131)とホルダー部(132)とを有する反射装置が開示されている。ホルダー部(132)は、外周部(132a)を有し、外周部(132a)は、ミラー部(131)の側面を覆うことで、不要な光が運転者へ到達することを防いでいる。また、反射装置は、ヘッドアップディスプレイの一部として構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドアップディスプレイに備わる反射装置は、表示光を反射する場合がある。安定して表示光を反射するために、反射装置にはこの共振が生じにくいことが望ましい。そのためには、反射装置の固有振動が示す共振周波数を向上することが望ましい。しかしながら、従来のヘッドアップディスプレイ装置では、未だ共振周波数の向上に改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的とするところは、上述課題に着目し、共振周波数を向上しやすいヘッドアップディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るミラーユニットは、
入射した表示光を反射するミラーユニットであって、
前記表示光を反射する反射面を形成する第一ミラーと、
前記第一ミラーを保持するホルダーと、
前記第一ミラーの回転軸を規定し、前記ホルダーに形成される軸と、
前記第一ミラーの上端側面部を覆うカバーと、を備え、
前記上端側面部は、前記カバーに覆われる被覆領域と、前記カバーに覆われない露出領域と、で形成される。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置は、
前記表示光を被投射部材へ投射することで虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記表示光を出射するディスプレイと、
前記表示光を反射する上述のミラーユニットと、
前記表示光を前記被投射部材へ反射する第二ミラーと、
前記表示光を通過させる開口を形成し、前記ミラーユニット及び第二ミラーを保持する筐体と、を備え、
前記筐体は、前記開口を通過する前記表示光の通過範囲に沿って延在する遮光壁を形成し、
前記遮光壁は、前記露出領域を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係る車両Cを模式的に示す図。
【
図2】本開示の実施形態に係るHUD1の断面を示す図。
【
図3a】本開示の実施形態に係るミラーユニット30の外観を示す図。
【
図3b】本開示の実施形態に係るミラーユニット30の外観を示す図。
【
図3c】本開示の実施形態に係るミラーユニット30の外観を示す図。
【
図4】本開示の実施形態に係るミラーユニット30の組付け状態を示す図。
【
図5】本開示の実施形態に係るHUD1の外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示のミラーユニット及びヘッドアップディスプレイ装置(HUD)を実施形態として例にあげ、添付図面を用いて説明する。
1.第一実施形態
<1-1.構成について>
<1-2.ホルダー32について>
<1-3.効果例>
2.変形例
【0010】
[1.第一実施形態]
<1-1.構成について>
図1は、ヘッドアップディスプレイ装置の一例であるヘッドアップディスプレイ1(HUD1)が車両Cに搭載された状態を模式的に表した図である。
車両Cの進行方向(図面内右方向)は方向Fで表され、方向Fの反対方向は方向Bで表される。重力方向(図面内下方向)は方向Dで表され、方向Dの反対方向は方向Uで表される。進行方向に対して左側(図面内奥行方向)は方向Lで表され、方向Lの反対方向は方向Rで表される。方向F及び方向Bが沿う軸は軸Zで表される。方向D及び方向Uが沿う軸は軸Yで表される。方向L及び方向Rが沿う軸は軸Xで表される。
車両Cの外観はおおよそ左右対称の形状を為している一方、HUD1は、車両Cの中心から左側に寄って位置している。また車両Cはいわゆる左ハンドル車である。
【0011】
HUD1は車両Cの被投射部材(ウインドシールドWS)の略下方に位置する覆い部材の内部に搭載される。覆い部材は、例えば車両Cの計器やセンターインフォーメーションディスプレイなどを収容するインストルメントパネルPであったり、合成樹脂や皮革で覆われる外装ケースであったりするとよい。
【0012】
HUD1は表示光LiをウインドシールドWSへ投射する。表示光LiはHUD1の内部の照明手段、表示手段により生成される。生成された表示光Liは光学系(後述のミラーユニット30や凹面鏡40)を伝うことで、上ケース50aの開口51から投射される。乗員(利用者)は視点EPからウインドシールドWSに反射した表示光Liを視認することで、ウインドシールドWSからF方向へ数メートルから数十メートル離れた位置に矩形の虚像Vを見ることができる。この場合、運転席に乗車した利用者がHUD1による表示出力を利用できるようにしている。
【0013】
なお、ディスプレイ10(特に表示面)上の表示画像の中心と、虚像Vを視認可能な空間の中心であるアイボックス中心と、を結ぶ光線をガットレイGRと呼称する。
【0014】
虚像Vには、例えば車両Cの速度やエンジン回転数と言った車両情報や、ターンバイターンや地図などの経路案内表示、ブラインドスポットインジケータや制限速度超過警告などの警告表示など、乗員(利用者)へ注意喚起する必要性が高い情報が表示される。これにより視線移動及び眼の焦点距離調整の必要が低減された運転環境が提供される。虚像Vの表示には、これら情報を示す文字やアイコンの他、背景部分が含まれている。虚像Vの外形は乗員からの平面視において例えば略矩形状を為している。虚像Vは傾斜しており、虚像Vの下端は手前に結像し、虚像Vの上端が奥側に結像する。
【0015】
図2は、軸Y-軸Z平面におけるHUD1の断面を示す図である。HUD1はディスプレイ10、ミラーユニット30、凹面鏡40、制御基板(図示されない)、ケース50、カバーガラス52を備える。
【0016】
ディスプレイ10は、表示光Liをミラーユニット30へ向かって出射する。ディスプレイ10は、表示光Liを出射する構成として、例えばTFT(Thin Film Transistor)液晶などの表示デバイスが、LED(Light Emitting Diode)などの光源が発した照明光を照射されることで、表示面から表示光を出射する構成が適用できる。この場合、TFT液晶やLED光源は電気的に接続された回路基板上の制御手段や外部の制御手段から表示制御信号や発光制御信号、電力を受け表示動作を行う。
【0017】
ディスプレイ10は、他にも、有機ELなどの電子ディスプレイを用いた構成、DMD(Digital Micro mirror Device)やLCOS(Liquid Crystal on Silicon)やTFT(Thin Film Transistor)を用いたプロジェクターとスクリーンを用いた構成などが適用されうる。
【0018】
ミラーユニット30と凹面鏡40は投射光学系を構成し、入射した表示光Liを反射する。投射光学系はディスプレイ10が発した表示光LiをウインドシールドWSへ投射するべく反射を行う。投射光学系は、虚像Vの大きさを増大し、虚像Vの歪みを低減する光学面を形成する。
【0019】
ミラーユニット30は、第一ミラー31とホルダー32を有する。
第一ミラー31は反射面31aと基材で形成される、例えば自由曲面鏡である。反射面31aは、アルミ蒸着などで形成された可視光反射膜で形成される。反射面31aは、基材の表面に形成される。基材は、反射面31aを保持する。基材は、PC-PET(ポリカーボネート ポリエチレンテレフタレート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル)などの合成樹脂や無機ガラスが適用可能である。基材の素材は、反射面の面精度を良好に保てるものが選択されることが望ましい。基材の表面は、屈折力を発揮するために例えば緩やかに凹面形状を為し、反射面31aもこの形状に沿って形成される。ホルダー132は後で詳細に説明される。
第一ミラー31は、ホルダー32を介してケース50(特に軸受ステー)やモーターユニット20によって軸支される。
【0020】
第一ミラー31は、略板状であるので、側面部を有する。特に、
図3に示すように、第一ミラーは、被覆領域31bと露出領域31cで構成される上端側面部を形成する。被覆領域31bは、上端側面部の内、カバー34で覆われる箇所である。露出領域31cは、上端側面部の内、カバー34で覆われない箇所である。ミラーの側面部は、総じてカバーに覆われることが望ましいが、全ての側面部が覆われるとホルダーが肥大化し、共振周波数が低下する可能性が増大する。そこで、カバーに覆われる被覆領域を部分的にすることで、カバーのサイズを抑えることができ、共振周波数を上昇できる。
【0021】
モーターユニット20は、ミラーユニット30を回転するべく回転モーメントを与える動力装置である。モーターユニット20は、例えばモーターとリードスクリューとスライダーとを備える。モーターはリードスクリューを回転させる。リードスクリューはスライダーを直線方向に移動させる。スライダーは接触するホルダー32(特に被支持部38)を押圧することで、ミラーユニット30へ回転モーメントを与える。モーターユニット20は、ミラーユニット30を回転させる構成であれば他の形態でもよく、減速ギアを介してモーターの動力をミラーユニット30へ伝えることで回転モーメントを与えてもよい。
【0022】
凹面鏡40は、第二ミラーの一例であり、ケース50の開口51(カバーガラス52)へ向けて表示光Liを反射する。凹面鏡40は、基材としてPC-PET(ポリカーボネート ポリエチレンテレフタレート)やPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル)などの合成樹脂や無機ガラスが適用可能である。これらの鏡は、鏡面にアルミ蒸着などを施すことで形成可能である。凹面鏡40は、ケース50に両面テープで固定される。
【0023】
光学系を構成する鏡は、他の態様であってもよい。
例えば、板状のガラス基材の片面に膜厚が異なる多層の干渉膜を蒸着などの方法で形成し、赤外光は透過し、少なくとも可視光は反射するコールドミラーであったり、偏光特性を有する鏡であったり、通常の平面鏡などでも良い。
【0024】
透光性カバーの一例であるカバーガラス52は板状である透明な部材が適用できる。カバーガラス52はケース50の開口51を塞ぐように湾曲しながら貼付面50dへ貼付される。カバーガラス52は、基材、ハードコート層、遮光印刷層などを有する。
【0025】
基材は、板状の透明な基材である。基材53は、例えばポリカーボネートやPMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂、アクリル)などの透光性合成樹脂を主成分とする素材をおよそ一様な厚さ(例えば0.5mm程度)の板状となるように成形されたものである。基材53は、素材に応じて圧延や射出成形、型抜きなどの手法のもと、成形される。基材53は、例えば成形時に一様な平板状に成形されてから、後述の構成を付与される。なお、基材53は、成形時にケース50の貼付面に沿う形状となるように成形されても良い。
【0026】
ハードコート層は、基材より硬度が高い素材で形成され、基材に生じ得る擦過傷を防止している。ハードコート層は、片面に施されても良いし、両面に施されても良い。
【0027】
遮光印刷層は、カバーガラス52を平面視したときに、表示光Liの通過が不要な領域であって、ハードコート層の裏面(方向D側の面)に施される。遮光印刷層は、例えばスクリーン印刷でインキを印刷することで形成される。遮光印刷層は、上ケース50aに設けられるカバーガラス52を貼付するための貼付面50dといった、装置の外側から見える必要が無い部材を隠す。
【0028】
制御基板は所定プログラムや各種データの格納、演算時の記憶領域などに用いる図示しないROMやRAM等の記憶部と、前記所定プログラムに従って演算処理するためのCPUと、入出力インターフェース等を設けたマイクロコンピュータを適用できる。制御基板は、外部の車載機器から受信した車両情報に基づき、表示手段に表示する画像を生成したり、表示手段の表示を制御したり、照明手段の照度を制御したりする。
【0029】
上ケース50aと下ケース50bは、筐体を形成し、合成樹脂や金属の剛体を適用され得る。上ケース50aは、表示光Liを装置外へ射出するための開口51を有し、この開口51を覆う様にカバーガラス52が貼付されている。筐体の内部にはディスプレイ10、ミラーユニット30、凹面鏡40、制御基板が嵌合、係止、接着部材による接着、ビスによる螺合といった公知の手段で固定される。上ケース50aは、表示光Liの通過範囲(進行範囲、進行方向)に沿って延在する遮光壁50cを形成する。遮光壁50cは、視点EPから特に視認されやすい箇所であるので、バッフルフォームや塗装によって特に光の反射が抑えられることが望ましい。
【0030】
<1-2.ホルダー32について>
図3a~
図5を参照しつつ、ホルダー32の詳細な構成を説明する。
ホルダー32は、軸33a、連結部33b、貼付面33c、カバー34、補強部35、軸カバー36、連結部36a、第2軸カバー37を有する。
軸33aは、第一ミラー31の回転中心を規定する軸である。軸33aは、ホルダー32を長手方向に挟むような二箇所に形成される。一方の軸33aはケース50に軸支される。他方の軸33aは、ミラーユニット30に軸支される。この軸支により、ミラーユニット30は回転軸Aを中心に回転できる。
【0031】
連結部33bは、両方の軸33aの間を直線状に連結する、ホルダー32の主要部分を形成する部材である。連結部33bの強度は、ミラーユニット30が示す共振周波数に大きな影響を与える。具体的には、連結部33bはリブなどを形成することで強度が向上するほど、ミラーユニット30の共振周波数が向上する。
【0032】
貼付面33cは、連結部33bの途中に形成される、第一ミラー31が貼り付けられる面である。貼付面33cの形状は、平面であっても曲面であってもよい。貼付面33cは、連結部33bの途中に2箇所形成され、第一ミラーの重心を挟むような位置に形成されるとよい。
【0033】
カバー34は、ホルダー32が保持するミラーの可視不要範囲を覆うカバーでる。例えば、カバー34は、第一ミラー31の上端側面部のうち被覆領域31bのみを覆う。このように、カバー34が上端側面部のうち一部分(被覆領域31b)のみを覆うことにより、ホルダー32のサイズを最小限に抑えることができ、ホルダー32の共振周波数を容易に上昇できる。
【0034】
カバー34は、被覆領域31bと接触して、第一ミラー31の位置決めを行っても良い。この場合、カバー34は上端側面部のみではなく、左右端側面部のいずれかにも形成され、第一ミラー31を複数の方向に対して位置決めできることが望ましい。
【0035】
梁34bは、カバー34の内、被覆領域31bと露出領域31cとの境界側の端部34aから軸33aに向かって延在する補強部である。
【0036】
補強部35は、ホルダー32の剛性を上昇するための補強用梁である。特に、カバー34の端部34aから連結部33bへ下ろした垂線に沿うように形成され、カバー34より太く形成される。
【0037】
軸カバー36は、連結部33bに形成され、第2軸カバー37と共に軸33aを覆うカバーである。軸カバー36及び第2軸カバー37は、軸33aだけでなく、モーターユニット20などが位置する空間を視認不可とするように覆う。連結部36aは、軸カバー36と第2軸カバー37との間を繋ぐ連結部である。
【0038】
軸カバー36は、
図5に示されるように、ミラーユニット30がどのような姿勢であっても視点EPから視認できる。その一方、第2軸カバー37は、軸カバー36と遮光壁50cとの間に生じる隙間から、視認不要領域が見えてしまうことを防ぐように、遮光壁50cの隙間とラップするように形成される。
【0039】
被支持部38は、モーターユニット20が発した動力をミラーユニット30に伝達するために接触する箇所である。
【0040】
図5は、HUD1の外観を示す。特に、
図5に示されるHUD1は、ミラーユニット30がパーキングポジションに位置する状態にある。
【0041】
ミラーユニット30は前述の通り回転可能に保持されるが、この回転によりウインドシールドWS上の投射範囲を調整できる。この調整によって、虚像Vの視認可能領域をより広くできる。このような虚像Vを視点EPから視認できるミラーユニット30のポジションは、ディスプレイポジションと呼称される。
【0042】
その一方、ミラーユニット30は、ウインドシールドWSへ表示光を到達させないポジションに位置することもできる。このポジションはパーキングポジションと呼称される。
このパーキングポジションでは、回転可能なミラー(第一ミラー31)の反射面(反射面31a)が下方(方向D)を向き、表示光LiがウインドシールドWS方向に反射されないようなポジションであることが多い。パーキングポジションにミラーが位置する場合では、ウインドシールドWSを通過して入射する太陽光がミラーの反射を介してディスプレイ10に到達してディスプレイ10を加熱することを防いでいる。
【0043】
本開示では、ミラーユニット30がパーキングポジションに位置する状態(
図5)を基準にして、カバー34が第一ミラー31の上端側面部を覆う範囲が設定されている。すなわち、ミラーが下方を向くことで上端側面部の露出が最も大きくなるパーキングポジションを基準に、カバー34の形成範囲が設定される。これにより、もっとも効果的なカバー34の形成範囲を容易に設定できる。
【0044】
また、
図5に示されるように、第一ミラー31の露出領域31cは、上ケース50aに形成される遮光壁50cによって覆われている。これにより、カバー34で覆いきれない露出領域31cも覆われることで、迷光の発生を抑制している。
【0045】
特に、カバー34は、上端側面部の内、特に車両Cの外側を覆う。本開示のHUD1は左ハンドル車であり、
図5は車両Cの方向F側からの視点であるので、車両Cの外側は図面内右側の方向Lである。
このように構成すると、カバー34の小型化と、装置全体の小型化を達成しやすくなる。
【0046】
<1-3.効果例>
第一に、本開示のミラーユニットは、
入射した表示光Liを反射するミラーユニット30であって、
表示光Liを反射する反射面31aを形成する第一ミラー31と、
第一ミラー31を保持するホルダー32と、
第一ミラー31の回転軸Aを規定し、ホルダー32に形成される軸33aと、
第一ミラー31の上端側面部を覆うカバー34と、を備え、
上端側面部は、カバー34に覆われる被覆領域31bと、カバー34に覆われない露出領域31cと、で形成される。
【0047】
この構成に依れば、ミラーの側面部を覆うカバーが形成される範囲を最小限にでき、共振周波数を向上しやすいミラーユニットとなる。
【0048】
第二に、本開示のミラーユニットは、第一の構成において、
ホルダー32は、カバー34の端部34aと軸と33aを接続する梁34bを形成する。
【0049】
この構成に依れば、より効果的に共振周波数を向上しやすいミラーユニットとなる。
【0050】
第三に、本開示のミラーユニットは、第一の構成において、
カバー34は、上端側面から反射面31aまでをも覆う。
【0051】
この構成に依れば、共振周波数を向上しやすいながらも、さらに反射面31aのエッジで生じる迷光をより効果的に防止できるミラーユニットとなる。
【0052】
第四に、本開示のミラーユニットは、
第一ミラー31は、カバー34と接触することで、第一ミラー31を少なくとも一方に向かって位置決めしている
請求項1に記載のミラーユニット
【0053】
この構成に依れば、共振周波数を向上しながらも、ミラーの位置決めすらも容易に行えるミラーユニットとなる。
【0054】
第五に、本開示のヘッドアップディスプレイ装置は、
表示光LiをウインドシールドWSへ投射することで虚像Vを表示するヘッドアップディスプレイ装置1であって、
表示光Liを出射するディスプレイ10と、
表示光Liを反射する第一から第四の構成のいずれかのミラーユニットと、
表示光LiをウインドシールドWSへ反射する凹面鏡40と、
表示光Liを通過させる開口51を形成し、ミラーユニット30及び凹面鏡40を保持するケース50と、を備え、
ケース50は、開口51を通過する表示光Liの進行方向に沿って延在する遮光壁50cを形成し、
遮光壁50cは、第一ミラーの上端側面部が形成する露出領域を覆う。
【0055】
この構成に依れば、共振周波数を向上しながらも、迷光の発生を効果的に抑制できるヘッドアップディスプレイ装置となる。
【0056】
第六に、本開示のヘッドアップディスプレイ装置は、第五の構成において
車両Cに搭載され、
カバーは、第一ミラー31の上端側面部の内、車両Cの中心に対して外側に対応する箇所のみを覆う。
【0057】
この構成に依れば、共振周波数を向上しながらも、小型化も達成したヘッドアップディスプレイ装置となる。
【0058】
第七に、本開示のヘッドアップディスプレイ装置は、第五の構成において、
ミラーユニット30は、表示光LiをウインドシールドWSへ到達させるディスプレイポジションと、表示光LiをウインドシールドWSへ到達させないパーキングポジションと、の位置へ回転可能であり、
カバー34は、パーキングポジションにミラーユニット30が位置する状態において、被覆領域31bを覆う。
【0059】
この構成に依れば、共振周波数を向上しながらも、カバーをより最小限にすることにより小型化も達成したヘッドアップディスプレイ装置となる。
【0060】
[2.変形例]
なお、本発明のヘッドアップディスプレイ装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。
【0061】
例えば、
図3aでは、第一ミラー31の上端側面部の図面内左側のみを露出領域31cとする例が示された。しかし、第一ミラーは図面内右側のみを露出領域としてもよいし、左右方向両側を露出領域としても良い。この場合、カバーに形成される右側端部と、対応する軸との間には梁が形成されることが望ましい。
【0062】
光学系を構成する鏡としてミラーユニット30と凹面鏡40が適用される態様が示された。しかし、これらは他の鏡部材であってもよく、例えば平面鏡やコールドミラーであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
C 車両
V 虚像
EP 視点
WS ウインドシールド
P インストルメントパネル(覆い部材)
E 第一の辺
PL 投影光
Li 表示光
SL 太陽光
GR ガットレイ
1 HUD(ヘッドアップディスプレイ装置)
10 ディスプレイ
20 モーターユニット
30 ミラーユニット
31 第一ミラー
31a 反射面
31b 被覆領域
31c 露出領域
32 ホルダー
33a 軸
33b 連結部
33c 貼付面
34 カバー
34a カバー端部
34b 梁
35 補強部
36 軸カバー
36a 連結部
37 第2軸カバー
38 被支持部
40 凹面鏡
50 ケース
50a 上ケース
50b 下ケース
50c 遮光壁
50d 貼付面
51 開口
52 カバーガラス(透光性カバー)