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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108196
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】配筋支持具
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20240805BHJP
   E04C 5/20 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
E02D27/01 Z
E04C5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012424
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】志水 洸介
(72)【発明者】
【氏名】松原 由幸
【テーマコード(参考)】
2D046
2E164
【Fターム(参考)】
2D046BA11
2E164BA45
2E164BA50
(57)【要約】
【課題】載置位置に拘らず配筋の傾きを規制することができる配筋支持具を提供する。
【解決手段】配筋支持具10は、地盤に載置される本体部材30と、配筋20の縦筋22の下端部に取り付けられる取付部材70と、を備える。取付部材70は、縦筋22が嵌るグリップ72及びスライド板73を有する。本体部材30は、一対の型枠支持部61、62と、型枠支持部61、62の間に位置する本体中央部40と、を有する。本体中央部40は、横筋支持面50を有する横筋支持体42と、取付部材70のスライド板73が嵌る第2溝51と、を有する。本体部材30は、配筋20を第1横方向8に沿ってスライド可能に支持する。スライド板73の主面76、77が第2溝51の壁面52、54に当接することにより、配筋20の傾きが規制される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦筋および横筋を有しており且つ基礎に埋設される配筋を支持する配筋支持具であって、
地盤に載置される本体部材と、
上記配筋に取り付けられる取付部材と、を備えており、
上記取付部材は、
上記縦筋が嵌るグリップと、
上記グリップより下方において第1横方向に延びるスライド板と、を有しており、
上記第1横方向は、上記取付部材が上記本体部材に取り付けられた状態において水平方向に沿う方向であり、
上記本体部材は、
上記横筋を支持する支持面と、
上記スライド板を上記第1横方向に移動可能に支持するスライド受部と、を有する配筋支持具。
【請求項2】
上記スライド板の上記第1横方向に沿った長さは、上記スライド受部の上記第1横方向に沿った長さよりも長い請求項1に記載の配筋支持具。
【請求項3】
上記取付部材は、上記スライド板よりも上方に位置しており、且つ上記第1横方向と交差する第2横方向へ延びる突部を更に有しており、
上記本体部材は、上記突部と上記第2横方向において当接する受面を更に有する請求項1または2に記載の配筋支持具。
【請求項4】
上記取付部材は、上記グリップが上部に設けられ、上記スライド板が下部に設けられた支柱を有しており、
上記スライド受部は、上記スライド板の一対の主面が当接する一対の壁面で区画される溝を有しており、
上記第1横方向に交差する第2横方向に沿って上記本体部材から突出して先端が上記支柱に対向する突出体が更に設けられた、請求項1または2に記載の配筋支持具。
【請求項5】
上記本体部材は、
上記第1横方向に沿って延びており、且つ上記配筋の縦筋の下端が嵌る嵌合溝を有する、請求項1または2に記載の配筋支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎に埋設される配筋を支持する配筋支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、基礎に埋設される配筋を支持する配筋支持具を開示する。この配筋支持具は、本体と、本体の左右両端部から上向きに突出して型枠を支持する一対の支持部と、一対の支持部の間に設けられた保持体とを備える。本体は、一対の支持部の間に位置する支持面において、配筋が有する横筋を支持する。配筋が、横筋が延びる方向に沿って当該支持面上を滑らされて水平移動されると、配筋が有する縦筋が保持体に嵌まる。配筋は、縦筋が保持体に嵌ることによって、横筋の中心軸周りの回動(傾き)を規制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-10744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配筋支持具は、地面に付設された敷モルタルに載置される。この敷モルタルは、基礎を施工する部分の全てではなく、当該部分の数か所に点在して付設される。配筋支持具の載置位置の許容度は、敷モルタルの付設面積に依存する。つまり、敷モルタルの付設面積の範囲内でしか、配筋支持具を水平方向に移動させることができない。他方、特許文献1に開示された配筋支持具は、縦筋が保持体に嵌る位置に載置される必要がある。そうすると、特許文献1に開示された配筋支持具では、敷モルタルの付設位置や付設面積によっては、縦筋が保持体に嵌る位置に載置できない場合が生じる。そうすると、配筋の傾きを規制できなくなってしまう。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、載置位置に拘らず配筋の傾きを規制することができる配筋支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 請求項1に係る配筋支持具は、縦筋および横筋を有しており且つ基礎に埋設される配筋を支持する。当該配筋支持具は、地盤に載置される本体部材と、上記配筋に取り付けられる取付部材と、を備える。上記取付部材は、上記縦筋が嵌るグリップと、上記グリップより下方において第1横方向に延びるスライド板と、を有する。上記第1横方向は、上記取付部材が上記本体部材に取り付けられた状態において水平方向に沿う方向であり、上記本体部材は、上記横筋を支持する支持面と、上記スライド板を上記第1横方向に移動可能に支持するスライド受部と、を有する。
【0007】
本体部材は、地盤に形成された敷モルタルに載置される。取付部材は、縦筋をグリップに嵌め込むことによって、配筋に取り付けられる。配筋に取り付けられた取付部材のスライド板は、スライド受部に嵌り、且つ配筋の横筋は、支持面に支持される。この状態において、配筋は、設計上の配置位置まで支持面上を滑らされる。スライド板がスライド受部に嵌ることにより、横筋の中心軸周りの配筋の回動(傾き)が規制される。
【0008】
(2) 請求項2は、上記スライド板の上記第1横方向に沿った長さは、上記スライド受部の上記第1横方向に沿った長さよりも長い請求項1に記載の配筋支持具である。
【0009】
スライド板の長さをスライド受部の長さよりも長くすることにより、スライド方向である第1横方向における本体部材の長さ(厚み)が長くなることを抑えつつ、配筋の傾きを規制することができる。
【0010】
(3) 請求項3は、上記取付部材は、上記スライド板よりも上方に位置しており、且つ上記第1横方向と交差する第2横方向へ延びる突部を更に有しており、上記本体部材は、上記突部と上記第2横方向において当接する受面を更に有する請求項1または2に記載の配筋支持具である。
【0011】
突部の先端と受面とが当接することにより、配筋の傾きをさらに確実に規制することができる。
【0012】
(4) 請求項4は、上記取付部材は、上記グリップが上部に設けられ、上記スライド板が下部に設けられた支柱を有しており、上記スライド受部は、上記スライド板の一対の主面が当接する一対の壁面で区画される溝と、上記第1横方向に交差する第2横方向に沿って上記本体部材から突出して先端が上記支柱に対向する突出体と、を有する、請求項1から3のいずれかに記載の配筋支持具である。
【0013】
スライド板の一対の主面が当接する壁面を有する溝を設けることにより、配筋のスライドを阻害することなく、配筋の傾きを規制することができる。
【0014】
(5) 請求項5は、上記本体部材は、上記第1横方向に沿って延びており、且つ上記配筋の縦筋の下端が嵌る嵌合溝を有する、請求項1から4のいずれかに記載の配筋支持具である。
【0015】
縦筋の下端が、第1横方向に沿って延びる嵌合溝に嵌ることによって、スライド板に負荷をかけることなく、配筋が第1横方向に交差する方向に位置ずれすることが規制される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る配筋支持具は、載置位置に拘らず配筋の傾きを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、地盤11に載置された配筋支持具10によって配筋20及び型枠23を支持した状態の斜視図である。
図2図2は、配筋支持具10及び配筋20が埋設された基礎14の断面図である。
図3図3は、配筋支持具10の斜視図である。
図4図4は、配筋20及び取付部材70のスライド位置を示す図であり、(A)は、配筋20及び取付部材70が第1横方向8におけるスライド範囲の一方の端に位置する状態を示し、(B)は、配筋20及び取付部材70がスライド範囲の他方の端に位置する状態を示す。
図5図5は、配筋支持具10の正面図である。
図6図6は、本体部材30と取付部材70との嵌合を説明する斜視図であって、(A)は嵌合前の状態を示し、(B)は嵌合後の状態を示す。
図7図7は、本体部材30と取付部材70との嵌合を説明する正面図であって、(A)は嵌合前の状態を示し、(B)は嵌合後の状態を示す。
図8図8は、配筋支持具10が配筋20を支持した状態の斜視図である。
図9図9は、配筋支持具10が配筋20を支持した状態の側面図である。
図10図10(A)は、変形例1に係る配筋支持具80の嵌合前の斜視図であり、図10(B)は、変形例1に係る配筋支持具80の嵌合後の斜視図である。
図11図11(A)は、変形例2に係る配筋支持具90の嵌合前の斜視図であり、図11(B)は、変形例3に係る配筋支持具90の嵌合後の斜視図であり、図11(C)は、その他の変形例に係る本体部材30の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0019】
本実施形態では、図1に示される配筋支持具10が説明される。配筋支持具10は、配筋20及び型枠23を支持する器具である。配筋支持具10が支持する型枠23間にコンクリートが流し込まれることにより、配筋20が埋設された基礎14(図2参照)が打設される。配筋支持具10は、支持する配筋20とともに基礎14に埋設される。なお、図1では、布基礎である基礎14(図2参照)の立上り部16を形成するための型枠である型枠23のみが示されており、基礎14のフーチン部15を形成するための型枠については図示が省略されている。また、配筋支持具10を用いて打設される基礎14は、布基礎に限定されず、ベタ基礎などの他の基礎であってもよい。
【0020】
以下では、図1に示されるように、配筋支持具10が地盤11に載置された状態における鉛直方向を上下方向7と記載し、一対の型枠23が対向する方向を第2横方向9と記載し、上下方向7及び第2横方向9に直交する方向を第1横方向8と記載して説明がされる。第1横方向8及び第2横方向9は、水平方向に沿う方向である。
【0021】
配筋支持具10が支持する配筋20は、複数の横筋21及び複数の縦筋22を備える。横筋21及び縦筋22は、例えば規格品であり、所定の直径の丸棒状である。縦筋22は、横筋21と直交して配置され、溶接や結合部材などによって横筋21と固着されている。すなわち、横筋21と縦筋22とは、一体である。配筋20における横筋21の個数及び縦筋22の個数は、打設する基礎14の種類や形状によって決められる。配筋20は、横筋21が第1横方向8に沿い、且つ縦筋22が上下方向7に沿う姿勢で配筋支持具10に支持される。
【0022】
基礎14が打設される地盤11には、配筋支持具10を載置するためのモルタル面12が形成されている。モルタル面12は、地盤11にモルタルを打設することによって形成される。打設されたモルタルは、いわゆる敷モルタルである。打設する基礎14の長さに応じた個数のモルタル面12が地盤11に形成される。一のモルタル面12と他の一のモルタル面12との離間距離は、配筋20の縦筋22の設計上の位置に基づいて決められていてもよいし、全て同一の間隔となるように決められていてもよい。
【0023】
モルタル面12は、概ね矩形である。モルタル面12のサイズ(面積)は、使用するモルタルの費用及び打設の手間を考慮して、配筋支持具10の底板32のサイズ(面積)と同程度、或いは底板32のサイズよりも一辺が数cmから十数cmほど大きい程度の面積とされている。すなわち、配筋支持具10は、モルタル面12に載置可能であるが、水平方向における配筋支持具10の設置位置の調整の許容度は小さい。なお、コンクリートやセメントなどのモルタル以外の建材を用いて、配筋支持具10が載置される載置面が、モルタル面12に代えて形成(打設)されてもよい。
【0024】
図3に示されるように、配筋支持具10は、本体部材30及び取付部材70を備える。本体部材30及び取付部材70は、合成樹脂成型品である。ただし、本体部材30及び取付部材70は、金属製であってもよい。配筋支持具10が合成樹脂成型品である場合、配筋支持具10を安価に製造することができる。配筋支持具10が金属製である場合、打設する基礎14の強度を合成樹脂成型品の場合よりも高めることができる。図3に示される配筋支持具10は、合成樹脂成型品である。
【0025】
本体部材30は、本体31及び底板32を備える。
【0026】
底板32は、矩形板状であり、互いに平行な下面33及び上面34を有する。本体部材30は、底板32の下面33をモルタル面12(図1参照)に当接させてモルタル面12に載置される。底板32は、本体部材30に配筋20及び型枠23(図1参照)を乗せる際や、基礎14(図2参照)の打設時において、本体部材30を立った状態に安定して維持する。
【0027】
本体31は、底板32の上面34から上向きに突出している。本体31は、第2横方向9における底板32の中央に位置する本体中央部40と、第2横方向9における本体中央部40の両側に位置する第1型枠支持部61及び第2型枠支持部62と、を備える。
【0028】
第1型枠支持部61は、一対の型枠23(図1参照)の一方を支持する部分であり、第2型枠支持部62は、一対の型枠23の他方を支持する部分である。第1型枠支持部61と第2型枠支持部62とは、間に位置する本体中央部40によって第2横方向9において離間している。すなわち、第1型枠支持部61及び第2型枠支持部62は、一対の型枠23を離間して支持することができる。
【0029】
第1型枠支持部61及び第2型枠支持部62は、概ね同形状である。以下では、第1型枠支持部61及び第2型枠支持部62は、型枠支持部61、62とも記載されて説明される。
【0030】
型枠支持部61、62は、直方体状である。第1横方向8における型枠支持部61、62の長さは、本体部材30に必要な強度を確保可能な長さ以上の長さである。また、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さは、基礎14の強度を低下させない長さ以下の長さである。図3に示す例では、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さは、第1横方向8における底板32の長さの約半分程度である。
【0031】
上下方向7における第1型枠支持部61の長さ(高さ)と第2型枠支持部62の長さ(高さ)とは同じである。すなわち、第1型枠支持部61の上面と第2型枠支持部62の上面とは、同じ高さ位置に位置している。当該上面は、型枠23が載置される型枠支持面63である。型枠支持面63は、第1横方向8及び第2横方向9に沿い、且つ上下方向7に直交する面である。すなわち、型枠23は、水平面に沿う型枠支持面63に載置される。
【0032】
第2横方向9における第1型枠支持部61の長さと第2型枠支持部62の長さとは、同じであってもよいし相違していてもよい。第2横方向9における型枠支持部61、62の長さは、第2横方向9における型枠23の底面の長さよりも長い長さである。また、第2横方向9における型枠支持部61、62の長さは、一対の型枠間の離間距離を調整可能なように、型枠23を第2横方向9に沿って数cmから十数cm程度移動可能(調整可能)な長さであってもよい。
【0033】
型枠支持部61、62は、貫通孔64をそれぞれ有している。貫通孔64は、第1横方向8において型枠支持部61、62を貫通している。貫通孔64は、基礎14の打設時において、コンクリートが通過する孔である。一対の型枠23間に流し込まれたコンクリートは、貫通孔64を通過することにより、配筋支持具10に堰き止められることなく水平方向に流れる。すなわち、配筋支持具10は、コンクリートの流れを阻害しない。図3に示す例では、2つの貫通孔64が 型枠支持部61、62にそれぞれ設けられている。但し、1つ或いは3つ以上の貫通孔64が型枠支持部61、62にそれぞれ設けられていてもよい。
【0034】
本体中央部40は、配筋20(図8参照)を支持する部分である。本体中央部40は、配筋20の縦筋22が嵌る嵌合支持体41と、横筋21を支持する横筋支持体42と、取付部材70のスライド板73を支持するスライド支持体43と、配筋20の回動を規制する規制体44と、を備える。
【0035】
嵌合支持体41は、底板32の上面34から上向きに突出している。嵌合支持体41は、直方体である。
【0036】
嵌合支持体41は、上面45から上向きに突出する凸部46を有している。凸部46は、上面45における第1型枠支持部61側の端部に位置している。凸部46は、第1横方向8における嵌合支持体41の両端に亘って設けられている。
【0037】
凸部46は、第2型枠支持部62側に位置する壁面47を有している。壁面47は、上下方向7及び第1横方向8に沿って延びる平面である。壁面47及び上面45により、第1溝48が区画されている。図7(A)に示されるように、第2横方向9における上面45の長さL1は、縦筋22の直径D1と同じ、或いは直径D1よりも僅かに長い。図7(B)に示されるように、縦筋22の下端部が第1溝48に嵌る。第1溝48に嵌った縦筋22の下端部が凸部46の壁面47に当接することにより、第2横方向9に沿った配筋20の位置ずれが防止される。また、第1溝48に嵌った縦筋22の下端部が凸部46の壁面47に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動(傾き)が規制される。すなわち、第1溝48の壁面47は、配筋20の傾きを規制する規制面の1つである。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。第1溝48は、嵌合溝の一例である。
【0038】
図7(A)に示されるように、上下方向7における凸部46の長さL2(高さ)、すなわち第1溝48の深さは、横筋21の下端と縦筋22の下端との差である長さL3よりも僅かに長い。図7(B)に示されるように、配筋20の横筋21が後述の横筋支持面50に支持された状態において、第1溝48の底面である上面45は、縦筋22の下端と当接しない。すなわち、配筋20は、横筋21の周面が横筋支持面50上を滑ることにより第1横方向8に沿ってスライドし、その際、縦筋22の下端は第1溝48の底面である上面45に当接しない。
【0039】
図3に示されるように、第1横方向8における嵌合支持体41及び凸部46の長さは、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さよりも長い。図4に示されるように、配筋20は、縦筋22が第1溝48に嵌る範囲内であるスライドWの範囲内で第1横方向8に沿ってスライドされる。第1横方向8における嵌合支持体41及び凸部46の長さが、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さよりも長くされることにより、嵌合支持体41及び凸部46の長さが型枠支持部61、62の長さと同じである場合よりも、配筋20のスライド幅Wが広くなる。なお、図3に示す例では、第1横方向8における嵌合支持体41及び凸部46の長さは、第1横方向8における底板32の長さよりも短い。しかしながら、第1横方向8における嵌合支持体41及び凸部46の長さは、第1横方向8における底板32の長さと同じとされていてもよい。その場合、第1横方向8における配筋20のスライド幅W(図4参照)がさらに広がる。
【0040】
第1溝48は、第2横方向9における本体部材30の中央であって、且つ第1型枠支持部61と第2型枠支持部62との中間となる位置に位置している。すなわち、配筋20は、第2横方向9において相互に対向する一対の型枠23(図1参照)の中間となる位置で配筋支持具10に支持される。
【0041】
横筋支持体42は、嵌合支持体41の上端部と、第1型枠支持部61との間に架設されている。横筋支持体42が架設されることにより、横筋支持体42の下に貫通孔49が形成されている。貫通孔49は、第1横方向8において本体31を貫通する。貫通孔49は、型枠支持部61、62の貫通孔64と同様に、コンクリートを流通させる機能を有する。
【0042】
横筋支持体42は、水平方向に沿って延びる板状である。横筋支持体42の上面は、配筋20の横筋21を支持する横筋支持面50である。横筋支持面50は、第1横方向8及び第2横方向9に沿い、且つ上下方向7に直交する面である。横筋支持面50は、支持面の一例である。
【0043】
第2横方向9における横筋支持体42の一端部は、嵌合支持体41の上端部と繋がっている。横筋支持体42の上面である横筋支持面50と、凸部46の上面とは面一であって、同一の高さ位置にある。図7(B)に示されるように、横筋支持面50、すなわち凸部46の上面の高さ位置が、横筋21の下端の高さ位置となる。配筋20は、横筋21が横筋支持面50上を滑ることにより、第1横方向8に沿ってスライドする。
【0044】
図3に示されるように、横筋支持体42の他端部は、上下方向7における第1型枠支持部61の中央部と繋がっている。すなわち、型枠支持部61、62の上面である型枠支持面63は、横筋支持面50よりも上に位置している。図1に示されるように、型枠23は、縦筋22の下端よりも上となる位置で配筋支持具10に支持される。
【0045】
図4に示されるように、配筋20の横筋21は、第1横方向8に沿う棒状であるから、横筋支持体42(図3参照)は、第1横方向8における長さに拘らず、且つ縦筋22のスライド位置に拘らず、横筋21を支持することができる。図3に示す例では、第1横方向8における横筋支持体42の長さは、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さと同じである。但し、第1横方向8における横筋支持体42の長さは、第1横方向8における型枠支持部61、62の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0046】
スライド支持体43は、嵌合支持体41と第2型枠支持部62との間に位置している。第2横方向9におけるスライド支持体43の一端部は嵌合支持体41に繋がっており、スライド支持体43の他端部は、第2型枠支持部62に繋がっている。
【0047】
スライド支持体43は、概ね直方体状である。スライド支持体43は、第2溝51を有している。図7(B)に示されるように、第2溝51は、取付部材70のスライド板73の下端部が嵌る溝である。第2溝51を有するスライド支持体43は、スライド受部の一例である。第2溝51は、溝の一例である。
【0048】
図3に示されるように、第2溝51は、スライド支持体43の上面から凹んでおり、上方に開口している。第2溝51は、スライド支持体43の上面における嵌合支持体41側の端部に位置している。嵌合支持体41の側面である壁面52は、第2溝51を区画する壁面の1つである。第2溝51は、嵌合支持体41の壁面52と、底面53と、壁面54とで区画されている。壁面52及び壁面54は、上下方向7及び第1横方向8に沿い、且つ第2横方向9に直交する面であって、互いに平行である。底面53は、第1横方向8及び第2横方向9に沿い、且つ上下方向7に直交する面である。
【0049】
図5に示されるように、第2横方向9における第2溝51の壁面52と壁面54との間の離間距離D2は、第2横方向9におけるスライド板73の厚みT1と同じ或いは当該厚みT1よりも僅かに長い。すなわち、図7(B)に示されるように、スライド板73は、第2溝51に嵌ることができる。
【0050】
図3に示されるように、第2溝51は、第1横方向8におけるスライド支持体43の両端に亘っている。第1横方向8におけるスライド支持体43の長さは、第1横方向8における取付部材70のスライド板73の長さの半分の長さよりも長い。図4に示されるように、配筋20及び取付部材70がスライド幅Wの一方の端から他方の端までのいずれのスライド位置に位置していても、取付部材70のスライド板の少なくとも半分が第2溝51に嵌っている。すなわち、スライド支持体43は、配筋20及び取付部材70のスライド位置に拘らず、取付部材70のスライド板73と確実に嵌合する。
【0051】
図7(B)に示されるように、取付部材70のスライド板73が第2溝51を区画する壁面52、54に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動(傾き)が規制される。すなわち、第2溝51の壁面52、54は、配筋20の傾きを規制する規制面の1つである。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0052】
図5に示されるように、上下方向7における第2溝51の長さである深さD4は、上下方向7におけるスライド板73の長さL4よりも短い。すなわち、図7(B)に示されるように、スライド板73の下端部のみが、第2溝51に嵌る。したがって、スライド板73の全部が第2溝51に嵌る場合よりも、スライド板73を第2溝51に容易に挿入可能であり、且つ配筋20及び取付部材70を第1横方向8に沿ってスライドさせる際の摺動抵抗を抑えることができる。
【0053】
図3に示されるように、規制体44は、第2型枠支持部62の壁面65から第1型枠支持部61に向かって突出しており、上下方向7において嵌合支持体41から離間している。図7(B)に示されるように、取付部材70を本体部材30に嵌合させた状態において、規制体44と嵌合支持体41との間に、第1横方向8において配筋支持具10を貫通する貫通孔56が形成される。貫通孔56は、貫通孔64、49と同様に、基礎14の打設の際にコンクリートを流通させる機能を有する。
【0054】
図3に示されるように、規制体44は、直方体状であって、先端面55を先端に有している。先端面55は、上下方向7及び第1横方向8に沿い、且つ第2横方向9に直交する面である。なお、規制体44は、先端面55を有する形状であれば、円柱状や円錐台状などの他の形状であってもよい。規制体44は、突出体の一例である。
【0055】
図5に示されるように、第2横方向9における規制体44の先端面55と壁面52との距離D3は、第2横方向9における取付部材70の支柱71の厚みT2と同一或いはT2よりも僅かに短い。スライド板73が第2溝51に嵌った状態において、規制体44の先端面55は、支柱71の壁面74に当接或いは僅かな隙間を空けて対向する。支柱71の壁面74と先端面55とが当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動(傾き)が規制される。すなわち、先端面55は、配筋20の傾きを規制する規制面の1つである。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0056】
図3に示されるように、取付部材70は、支柱71と、グリップ72と、スライド板73と、を備える。以下では、取付部材70が配筋20の縦筋22に取り付けられた姿勢(図6参照)であるとして説明がされる。
【0057】
支柱71は、上下方向7に沿って延びる直方体状である。支柱71は、規制体44の先端面55が当接する壁面74を有する。壁面74は、上下方向7及び第1横方向8に沿い、且つ第2横方向9に直交する壁面である。なお、支柱71は、壁面74を有する形状であれば、他の形状であってもよい。
【0058】
グリップ72は、上下方向7における支柱71の上端部から第1型枠支持部61に向かって突出している。グリップ72は、中心軸が上下方向7に沿い、且つ一部が切り欠かれた円筒状或いはC字の柱状であって、縦筋22が押し込まれる挿入口75を有している。挿入口75の幅L5は、縦筋22の直径D1(図7参照)よりも僅かに短い。図6に示されるように、グリップ72は、挿入口75から押し込まれる縦筋22によって弾性変形し、縦筋22を嵌め込まれる。すなわち、グリップ72は、いわゆるスナップフィットによって縦筋22と係合する。
【0059】
なお、図示例では、グリップ72の挿入口75は、第2横方向9に沿う向きで設けられているが、挿入口75は、第1横方向8に沿う向きなど、他の向きで設けられていてもよい。
【0060】
図3に示されるように、スライド板73は、上下方向7における支柱71の下端部と繋がっており、グリップ72よりも下に位置している。スライド板73は、第1横方向8に沿って延びる矩形板状である。スライド板73の一対の主面76、77は、互いに平行である。すなわち、スライド板73の厚みである板厚は均一である。スライド板73の一対の主面76、77は、上下方向7及び第1横方向8に沿い、且つ第2横方向9に直交する面である。
【0061】
図4に示されるように、第1横方向8におけるスライド板73の長さL6は、配筋20及び取付部材70のスライド位置に拘らずスライド板73が第2溝51(図3参照)に嵌る十分な長さとされている。具体的には、長さL6は、第1横方向8におけるスライド支持体43の長さL7よりも長い。なお、第1横方向8におけるスライド支持体43の長さL7を十分に長くし、第1横方向8におけるスライド板73の長さL6を長さL7よりも短くしても、配筋20及び取付部材70のスライド位置に拘らずスライド板73が第2溝51に嵌る。しかしながら、その場合、第1横方向8における本体31の長さ(厚み)が長くなってしまう。第1横方向8における本体31の長さが長くなると、基礎14(図2参照)の強度が低下する。スライド支持体43の長さL7ではなくスライド板73の長さL6を長くすることにより、本体31の厚みを抑えつつ、配筋20のスライド幅Wを広げることができる。
【0062】
図1図2、及び図6から図9を参照して、基礎14の打設について説明する。
【0063】
作業者は、モルタルを地盤11に打設し、図8に示される複数のモルタル面12を地盤11に形成する。モルタル面12の形成位置は、配筋20の縦筋22の設計上の適正位置の下方とされる。
【0064】
作業者は、配筋支持具10を各モルタル面12にそれぞれ載置する。作業者は、配筋支持具10の第1横方向8が打設予定の基礎14(図2参照)が延びる方向に一致するように配筋支持具10の向きを調整する。
【0065】
図6(A)及び図7(A)に示されるように、作業者は、各配筋支持具10の取付部材70を配筋20の縦筋22の下端部にそれぞれ取り付ける。取付部材70を取り付ける縦筋22は、設計によって予め決められている。図6(B)及び図7(B)に示されるように、作業者は、取付部材70を取り付けた配筋20を下方に下げ、取付部材70のスライド板73の下端部を本体部材30の第2溝51に挿入し、配筋20の横筋21を本体部材30の横筋支持面50に乗せる。その際、スライド板73の下端が第2溝51の底面53に当接する。スライド板73の下端が第2溝51の底面53に当接すると、取付部材70が縦筋22に対して僅かに上に移動する。縦筋22に対する取付部材70の取付位置がばらついたとしても、スライド板73の下端が第2溝51の底面53に当接して取付部材70が上に移動することにより、当該ばらつきが解消される。
【0066】
第1横方向8において隣り合う2つの縦筋22間の離間距離は、製造誤差を含む。また、地盤11におけるモルタル面12の形成位置も誤差を含む。図8及び図9に示されるように、作業者は、配筋20を第1横方向8に沿ってスライドさせ、設計上の適正位置に配筋20の位置を調整する。その際、本体部材30は、モルタル面12において動かされない。配筋20及び取付部材70のスライドにおいて、縦筋22の下端が凸部46の壁面47に当接し、スライド板73の主面76、77が第2溝51の壁面52、54に当接し、規制体44の先端面55が取付部材70の支柱71の壁面74に当接することにより、第2横方向9に沿った配筋20の移動、及び横筋21の中心軸周りの配筋20の回動(傾き)が規制される。すなわち、作業者が配筋20をスライドさせて位置調整する際に、配筋20が位置ずれしたり傾いたりすることが防止される。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0067】
次に、作業者は、図1に示されるように、型枠支持部61、62に型枠23をそれぞれ乗せる。作業者は、アンカーボルト(不図示)等を配設した後、コンクリートを一対の型枠23間に流し込み、基礎14(図2参照)を打設する。
【0068】
なお、作業者は、配筋20の複数の縦筋22の間隔や縦筋22の位置に関係なく一定間隔でモルタル面12を地盤11に形成してもよい。その場合、配筋20の製造誤差に関係なく、縦筋22の位置と本体部材30の設置位置とが一致しなくなる。作業者は、配筋20を取付部材70ごと本体部材30に対してスライドさせ、本体部材30を動かくことなく、配筋20を適切な設計上の位置に配置する。
【0069】
[実施形態の作用効果]
本実施形態では、配筋20の横筋21は、第1横方向8に沿って延びる横筋支持面50によって支持されるから、配筋支持具10は、配筋20を第1横方向8に沿ってスライド可能に支持することができる。また、第2溝51の壁面52、54が取付部材70のスライド板73の一対の主面76、77に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動が規制される。すなわち、本実施形態に係る配筋支持具10は、本体部材30を動かさずに配筋20の位置調整を行うことができ、且つ配筋20が傾くことを防止することができる。本体部材30の位置調整が不要であるから、敷モルタルの打設に要するモルタルの量を低減し、且つ当該敷モルタルの打設を容易にすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、モルタル面12の形成位置を等間隔としても、配筋20を本体部材30に対してスライドさせることにより、配筋20を設計上の適正位置に配置することができ、且つ配筋20が傾くことを防止することができる。
【0071】
本実施形態では、第1横方向8におけるスライド板73の長さL6(図4参照)は、第1横方向8におけるスライド支持体43の長さL7よりも長くされている。したがって、本体31の厚み(L7)を抑えつつ、配筋20のスライド幅Wを広げることができる。
【0072】
本実施形態では、規制体44の先端面55が取付部材70の支柱71の壁面74に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動が規制される。すなわち、本実施形態に係る配筋支持具10は、規制体44により、配筋20の傾きを更に有効に防止することができる。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0073】
本実施形態では、縦筋22の下端部が第1溝48の壁面47に当接することにより、第2横方向9に沿った配筋20の位置ずれが防止される。すなわち、本実施形態に係る配筋支持具10は、第1溝48により、スライド板73に負荷をかけることなく、第2横方向9への配筋20の位置ずれを防止することができる。
【0074】
[変形例1]
本変形例では、図10(A)に示される配筋支持具80が説明される。以下では、実施形態と同一の構成は、同一の符号が付されて説明が省略される。以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同一である。
【0075】
配筋支持具80は、本体部材30と、取付部材81とを備える。取付部材81は、支柱71、グリップ72、及びスライド板73に加え、突部82を有する。突部82は、支柱71の壁面74の上端部から第2型枠支持部62に向かって突出しており、スライド板73よりも上に位置している。突部82は、先端面83を有する。先端面83は、上下方向7及び第1横方向8に沿い、且つ第2横方向9に直交する面である。図10(B)に示されるように、先端面83が第2型枠支持部62の壁面65に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動が規制される。第2型枠支持部62の壁面65は、受け面の一例である。
【0076】
[変形例1の作用効果]
本変形例に係る配筋支持具80は、突部82により、配筋20の傾きを更に有効に防止することができる。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0077】
また、突部82とすることにより、突部82と規制体44との間の空間を、基礎14を打設する際にコンクリートが流通する空間とすることができる。
【0078】
なお、突部82を設けた場合、規制体44は設けられなくてもよい。
【0079】
[変形例2]
本変形例では、図11(A)に示される配筋支持具90が説明される。以下では、実施形態と同一の構成は、同一の符号が付されて説明が省略される。以下で説明される構成以外の構成は、実施形態で説明された構成と同一である。
【0080】
配筋支持具90は、本体部材91と、取付部材70とを備える。本体部材91は、突出体92を備える他は、本体部材30と同一形状である。突出体92は、第2型枠支持部62の壁面65から第1型枠支持部61に向かって突出している。突出体92は、規制体44の上に位置している以外は、規制体44と同一の形状であり、先端面93を有している。
【0081】
図11(B)に示されるように、先端面93が取付部材70の支柱71の壁面74に当接することにより、横筋21の中心軸周りの配筋20の回動が規制される。
【0082】
[変形例2の作用効果]
本変形例に係る配筋支持具90は、突出体92により、配筋20の傾きを更に有効に防止することができる。配筋20の傾きとは、上下方向7に並ぶ複数の横筋21の内、一番下の横筋21の中心軸を通る鉛直面(垂直面)に対する配筋20を含む面の傾きである。配筋20を含む面とは、全ての横筋21及び縦筋22を含む面である。
【0083】
また、突出体92とすることにより、突出体92と規制体44との間の空間を、基礎14を打設する際にコンクリートが流通する空間とすることができる。
【0084】
[その他の変形例]
上述の実施形態では、スライド板73の下端部が嵌る第2溝51が、壁面52、54及び底面53で区画された溝である例が説明された。しかしながら、第2溝51は、図11(C)に示されるように、底面53を有していなくてもよい。すなわち、スライド板73が嵌る第2溝51は、スライド板73の一対の主面76、77が当接或いは近接する2つの壁面を有する溝であれば、どのような溝であってもよい。図11(C)に示す例では、第2溝51を区画する嵌合支持体41の下に、貫通孔57が設けられている。貫通孔57は、基礎14の打設時において、コンクリートが流通する。
【0085】
上述の実施形態では、スライド板73が、第1横方向8に沿って延びる矩形状である例が説明された。しかしながら、スライド板73は、第1横方向に沿って延びており、板厚が均一であれば、矩形状に限られない。
【0086】
上述の実施形態では、本体部材30が底板32を有する例が説明された。しかしながら、本体部材30が安定して立った姿勢を維持可能であれば、底板32は設けられていなくてもよい。或いは、底板32に代えて、本体部材30を立った姿勢で維持する脚が本体31の下端部に設けられていてもよい。
【0087】
[付記1]
縦筋および横筋を有しており且つ基礎に埋設される配筋を支持する配筋支持具であって、
地盤に載置される本体部材と、
上記配筋に取り付けられる取付部材と、を備えており、
上記取付部材は、
上記縦筋が嵌るグリップと、
上記グリップより下方において第1横方向に延びるスライド板と、を有しており、
上記第1横方向は、上記取付部材が上記本体部材に取り付けられた状態において水平方向に沿う方向であり、
上記本体部材は、
上記横筋を支持する支持面と、
上記スライド板を上記第1横方向に移動可能に支持するスライド受部と、を有する配筋支持具。
【0088】
[付記2]
上記スライド板の上記第1横方向に沿った長さは、上記スライド受部の上記第1横方向に沿った長さよりも長い付記1に記載の配筋支持具。
【0089】
[付記3]
上記取付部材は、上記スライド板よりも上方に位置しており、且つ上記第1横方向と交差する第2横方向へ延びる突部を更に有しており、
上記本体部材は、上記突部と上記第2横方向において当接する受面を更に有する付記1または2に記載の配筋支持具。
【0090】
[付記4]
上記取付部材は、上記グリップが上部に設けられ、上記スライド板が下部に設けられた支柱を有しており、
上記スライド受部は、上記スライド板の一対の主面が当接する一対の壁面で区画される溝を有しており、
上記第1横方向に交差する第2横方向に沿って上記本体部材から突出して先端が上記支柱に対向する突出体が更に設けられた、付記1または2に記載の配筋支持具。
【0091】
[付記5]
上記本体部材は、
上記第1横方向に沿って延びており、且つ上記配筋の縦筋の下端が嵌る嵌合溝を有する、付記1または2に記載の配筋支持具。
【符号の説明】
【0092】
7・・・上下方向
8・・・第1横方向
9・・・第2横方向
10、80、90・・・配筋支持具
11・・・地盤
12・・・モルタル面
14・・・基礎
20・・・配筋
21・・・横筋
22・・・縦筋
30・・・本体部材
42・・・横筋支持体
43・・・スライド支持体
44・・・規制体
48・・・第1溝
49、56、57、64・・・貫通孔
50・・・横筋支持面
51・・・第2溝
61・・・第1型枠支持部
62・・・第2型枠支持部
63・・・型枠支持面
70、81・・・取付部材
71・・・支柱
72・・・グリップ
73・・・スライド板
76、77・・・主面
82・・・突部
92・・・突出体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11