(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108198
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】非常用電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/00 20060101AFI20240805BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20240805BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02J9/00
G08B25/10 A
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012426
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】515037818
【氏名又は名称】パワーサプライテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 均
【テーマコード(参考)】
5C087
5G015
5G503
【Fターム(参考)】
5C087BB20
5C087DD49
5C087EE14
5C087FF14
5C087GG10
5G015GB05
5G015JA41
5G015JA52
5G015KA08
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
(57)【要約】
【課題】本発明は、災害時などに避難場所に搬送され、活用される非常用電源装置に関するもので、避難場所での盗難対策だけでなく、避難場所での非常用電源装置の設置も知らせることが出来るようにすることを目的とするものである。
【解決手段】可搬可能な非常用電源装置1の本体3に対して着脱自在とした非常用電源設置場所報知器8を設け、本体3の受信部29が、非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30から近距離通信で、充電動作許可信号を受信すると、充電部25からの充電動作を許可する構成とした。また、非常用電源設置場所報知器8の遠距離送信部32により、避難所周辺の人々に、避難所に非常用電源装置1が設置されていることを知らしめる。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬可能な本体と、この本体内に収納された電池と、この電池に接続され、前記電池への充電動作を行う被充電部と、前記電池に接続され、前記電池からの充電動作を行う充電部と、前記被充電部、充電部に接続された第1の制御手段と、この第1の制御手段に接続された操作部、およびメモリとを備え、
前記本体に、非常用電源設置場所報知器を着脱自在に配置し、
前記非常用電源設置場所報知器は、前記本体との近距離通信を行う第2の近距離通信手段と、この第2の近距離通信手段よりは通信距離が長い遠距離通信手段と、これらの第2の近距離通信手段と遠距離通信手段に接続した第2の制御手段とを有し、
前記第2の近距離通信手段は、前記本体に対して充電動作を許可する充電動作許可信号を送信する構成とし、
前記本体は、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段と近距離通信を行う第1の近距離通信手段を有し、
前記本体の第1の制御手段は、前記第1の近距離通信手段を介して、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段からの充電動作許可信号を受信すると、前記充電部からの充電動作を許可する構成とするとともに、前記第1の近距離通信手段を介し、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段に、前記本体の設置場所情報を通信し、前記非常用電源設置場所報知器の遠距離通信手段は、前記本体の設置場所情報を送信する構成とした非常用電源装置。
【請求項2】
前記本体を箱状にするとともに、この本体の上面には前記操作部を配置し、前記非常用電源設置場所報知器は板状として、前記本体の上面に、前記操作部を覆った状態で着脱自在に配置した請求項1に記載の非常用電源装置。
【請求項3】
前記本体の上面で前記操作部の両側には、前記板状の非常用電源設置場所報知器を摺動案内するガイドを設け、このガイド部分に、前記板状の非常用電源設置場所報知器を着脱することで、前記第1の制御手段に接続した第1の電源スイッチを操作する構成とした請求項2に記載の非常用電源装置。
【請求項4】
前記非常用電源設置場所報知器の第2の電源スイッチは、前記本体のガイド部分に、非常用電源設置場所報知器を着脱することで操作する構成とした請求項3に記載の非常用電源装置。
【請求項5】
前記板状の非常用電源設置場所報知器は、両側に、伸縮自在状態の設置脚部を有し、この両側の設置脚部間には、設置係合部を配置した請求項1から4のいずれか一つに記載の非常用電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時などに避難場所に搬送され、活用される非常用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、気候変動の影響等による災害が多発する状況となっている。
このような災害時には、例えば、公共機関などの屋内施設に、多くの人々が避難することになるが、この時に問題となる一つは、電源の確保である。
つまり、このような災害時には、停電状態になっていることも多く、避難場所での電源確保が重要となる。
【0003】
特開2016-220517号公報(特許文献1)には、災害時等に活躍する非常用電源装置が提案されている。
具体的には、災害時に、避難場所などに搬送し、その場所で各種電子機器への電源供給や照明などが行えるものである。
この非常用電源装置は非常に有益なものであるが、有益であれば有るほど、盗難発生の心配がある。
【0004】
盗難防止方法としては、特開平11-196920号公報(特許文献2)、特開2020-74112号公報(特許文献3)に示されたものが提案されている。
前者のものは、運搬ケースに、それ自体の位置を検出しうる位置検出手段と、この位置検出手段により検出した位置情報を発信する無線発信器とを組み込んだ構成となっている。
つまり、盗難された運搬ケースの所在場所を、運搬ケース自体が、GPSデータなどで検出し、外部に報知するものである。
【0005】
また、後者のものは、盗難にあった電池パックが、充電ステーションで充電されると、盗難にあった電池パックの充電を受け付けた充電ステーションが、盗難電池パックの持ち込み場所を、外部に報知するものである。
【0006】
一方、電気自動車に対して、適切な充電設備の場所を報知する充電設備案内システムとしては、特開2019-95196号公報(特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-220517号公報
【特許文献2】特開平11-196920号公報
【特許文献3】特開2020-74112号公報
【特許文献4】特開2019-95196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の非常用電源装置は非常に有益なものであるが、有益であれば有るほど、盗難発生の心配がある。
そこで、特許文献2、特許文献3などに示された盗難防止対策を採用することが検討されるが、前者のものでは、盗難品が屋内に置かれた場合にはGPSデータを受信できないので、その保管場所の特定が出来ず、また、後者のものでは、盗難品を、管理された充電ステーションで充電しなければ、盗難品の発見が出来ないという問題がある。
【0009】
一方、観点を変え、混乱する避難時には、何処の避難場所に非常用電源装置が存在するという情報は非常に重要な情報となるが、現状では、それが広く周知できていない。
特許文献4では、予め設置されている充電設備に対して、何処の充電ステーションに車で向かうことが適切かという事が報知されるようになっているが、非常用電源装置は、災害時に、緊急的に、避難場所に設置されるもので、事前に充電ステーションが登録されている特許文献4の技術は、適用できない。
【0010】
結論として、上記特許文献1~特許文献4のものでは、避難場所に緊急的に設置される非常用電源装置としては、多くの問題を抱えたものになる。
そこで本発明は、避難場所での盗難対策だけでなく、避難場所での非常用電源装置の設置も知らせることが出来るようにすることを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、この目的を達成するために、本発明の非常用電源装置は、可搬可能な本体と、この本体内に収納された電池と、この電池に接続され、前記電池への充電動作を行う被充電部と、前記電池に接続され、前記電池からの充電動作を行う充電部と、前記被充電部、充電部に接続された第1の制御手段と、この第1の制御手段に接続された操作部、およびメモリとを備えた構成とし、この本体に、非常用電源設置場所報知器を着脱自在に配置した。
【0012】
前記非常用電源設置場所報知器は、前記本体との近距離通信を行う第2の近距離通信手段と、この第2の近距離通信手段よりは通信距離が長い遠距離通信手段と、これらの第2の近距離通信手段と遠距離通信手段に接続した第2の制御手段とを有する。
【0013】
前記第2の近距離通信手段は、前記本体に対して充電動作を許可する充電動作許可信号を送信する構成とし、前記本体は、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段と近距離通信を行う第1の近距離通信手段を有し、前記本体の第1の制御手段は、前記第1の近距離通信手段を介して、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段からの充電動作許可信号を受信すると、前記充電部からの充電動作を許可する構成にするとともに、前記第1の近距離通信手段を介し、前記非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段に、前記本体の設置場所情報を通信し、前記非常用電源設置場所報知器の遠距離通信手段は、前記本体の設置場所情報を送信する構成とした。
【0014】
また、本発明の非常用電源装置は、前記本体を箱状にするとともに、この本体の上面には前記操作部を配置し、前記非常用電源設置場所報知器は板状として、前記本体の上面に、前記操作部を覆った状態で着脱自在に配置した。
さらに、本発明の非常用電源装置は、前記本体の上面で前記操作部の両側に、前記板状の非常用電源設置場所報知器を摺動案内するガイドを設け、このガイド部分に、前記板状の非常用電源設置場所報知器を着脱することで、前記第1の制御手段に接続した第1の電源スイッチを操作する構成とした。
【0015】
また、本発明の非常用電源装置は、前記非常用電源設置場所報知器の第2の電源スイッチを、前記本体のガイド部分に、非常用電源設置場所報知器を着脱することで操作する構成とした。
さらに、本発明の非常用電源装置における、前記板状の非常用電源設置場所報知器は、両側に、伸縮自在状態の設置脚部を有し、この両側の設置脚部間には、設置係合部を配置した構成とした。
【発明の効果】
【0016】
以上の様に本発明の非常用電源装置は、可搬可能な本体に対して着脱自在とした非常用電源設置場所報知器を設け、本体の第1の近距離通信手段が、非常用電源設置場所報知器の第2の近距離通信手段から近距離通信で、充電動作許可信号を受信すると充電部からの充電動作を許可する構成としたので、盗難の発生を抑えることが出来る。
【0017】
つまり、非常用電源設置場所報知器は、遠距離通信手段により、非常用電源装置の設置場所を送信するものであるので、遠距離通信が行いやすい高い場所や、窓際などの様に、本体とは離れた場所に設置される。このため、本体と非常用電源設置場所報知器の両方を盗むことは難しく、本体だけを盗んでも、非常用電源設置場所報知器が無ければ充電動作を行わせることが出来ず、結論として、盗難の発生を抑えることにつながるのである。
【0018】
また、非常用電源設置場所報知器の遠距離通信手段により、避難所周辺の人々に、避難所に非常用電源装置が設置されていることを知らしめることが出来、極めて有用なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る非常用電源装置の搬送状態を示す図である。
【
図2】同非常用電源装置の設置状態を示す図である。
【
図3】同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の設置例を示す図である。
【
図4】同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の設置例を示す図である。
【
図10】同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の側面図である。
【
図11】非常用電源設置場所報知器が取り付けられた同非常用電源装置の平面図である。
【
図14】同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の動作を説明する図である。
【
図15】同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の動作を説明する図である。
【
図16】
図16(a)は、同非常用電源装置が備えた板状の非常用電源設置場所報知器の平面図、
図16(b)は、同非常用電源設置場所報知器の側面図、
図16(c)は、同非常用電源設置場所報知器の使用方法を示す図、
図16(d)は、同非常用電源設置場所報知器の使用方法を示す図、
図16(e)は、同非常用電源設置場所報知器の使用方法を示す図である。
【
図17】同非常用電源装置の設置場所を受信した携帯電話の表示例を示す図である。
【
図18】同非常用電源装置の制御ブロック図である。
【
図19】同非常用電源装置の動作フロチャートである。
【
図20】同非常用電源装置の動作フロチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の一実施形態に係る非常用電源装置1を、例えば、保管場所の一例である市役所から、避難場所の一例である
図2の体育館2に搬送している状態を示し、
図2~
図4は、体育館2における設置状態を示している。
本実施形態の非常用電源装置1は、
図5~
図8に示すように、箱形状の本体3の前面側両下方に、回転自在なタイヤ4が配置され、また、本体3の前面側上方に、持手5が配置されている。
【0021】
つまり、
図1のごとく、非常用電源装置1は、持手5も持って、タイヤ4を転がしながら、体育館2まで搬送できるようになっている。
この搬送時において、照明が必要な時には、
図5に示すライトスイッチ6を操作し、本体3の前面側上部に配置したライト7を点灯させ、搬送路前方の照明を得るようにしている。
【0022】
本体3の上面には、
図7~
図11にも示すように、非常用電源設置場所報知器8が着脱自在に配置されている。
非常用電源設置場所報知器8は、
図9、
図10に示すように、本体3の上面に配置されている状態では、板状となっている。
【0023】
一方、本体3の上面には、
図9に示すように、操作パネルからなる操作部9が配置され、本体3の上面で、前記操作部9の両側で、本体1の前側半分部分には、前記板状の非常用電源設置場所報知器8の装着時に、それを、本体3の後方から前方へと、また、脱着時には、前方から後方へと摺動案内するガイド10を設けている。
【0024】
左右のガイド10は、
図7からも理解されるように、その鉛直方向の断面(上下方向の断面)が、内方側(操作部9)側に開口が存在するコの字状となっており、このコの字内で、板状の非常用電源設置場所報知器8を摺動案内する構成となっている。
【0025】
また、
図5からも理解されるように、左右のガイド10の本体1前方側で、左右のガイド10間には、非常用電源設置場所報知器8の押し込み時のストッパ板11が設けられている。
【0026】
図16は、非常用電源設置場所報知器8を、本体1の上面から、後方に抜き出し、その後、
図2に示す体育館2の二階部分に設置する手順を説明するものである。
【0027】
図16(a)の状態は、非常用電源設置場所報知器8を、本体1の上面から、後方に抜き出した状態を示す平面図である。
この非常用電源設置場所報知器8の左右方向両側には、
図16(c)から
図16(e)に示す様に、上下方向に引き伸ばす(伸縮自在となる)設置脚部12が設けられている。
【0028】
また、この両側の設置脚部12間には、
図16(a)~
図16(b)から
図16(c)~
図16(d)の様に引き起こす設置係合部13を配置している。この設置係合部13の先端側は、
図16(b)~
図16(c)の様に、板状の本体3の厚さ方向、つまり、本体3設置時における下方に折れ曲がった形状となっている。
【0029】
図3、
図4は、非常用電源設置場所報知器8を体育館2の二階部分に設置する状態を示している。
【0030】
図3は、体育館2の二階部分の手摺14に、非常用電源設置場所報知器8の設置係合部13、特に先端の折れ曲がった部分を係合させ、非常用電源設置場所報知器8を立て掛けた状態としている。
この時、非常用電源設置場所報知器8の設置脚部12は、二階フロアーに当接した状態となっている。
【0031】
図4は、体育館2の二階部分の窓枠15に設置係合部13を当接状態で係合させ、非常用電源設置場所報知器8を窓枠15部分に立て掛けた状態となっている。
【0032】
本実施形態では、
図2に示すように、非常用電源装置1の本体3から非常用電源設置場所報知器8が分離され、本体3と非常用電源設置場所報知器8が、体育館2などの避難所内において、それぞれ離れた遠方に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は本体3よりも高い場所に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は窓際などに近い場所に設置されること等が特徴となっており、この点は、下方で、詳細に説明する。
【0033】
次に、
図11、
図12に示すように、一つのガイド10のコ字状内底面部には、いわゆるシーソー構造となった本体3の電源スイッチ16が設けられている。
一方、非常用電源設置場所報知器8の側面には、
図9に示すように、摺動動作をスムーズにするための回転自在なボール17が配置されており、そのボール17で電源スイッチ16を操作するようになっている。
このため、非常用電源設置場所報知器8を本体3上から引き出すと、電源スイッチ16はオン状態となり、
図9に示す操作部9には、操作するためのキー、説明文などが表示された状態となる。
【0034】
なお、
図9において18は携帯電話などの置き場所であり、
図7に示す充電端子19に差し込んだケーブル(図示せず)を介して、携帯電話などの充電が行える構成となっている。
一方、非常用電源設置場所報知器8の押し込み先端側には、非常用電源設置場所報知器8を起動するためのプッシュ構造の電源スイッチ20が配置されている。
【0035】
図14は、非常用電源設置場所報知器8を本体3上に配置した状態で、この状態では、ストッパ板11に電源スイッチ20が押され、非常用電源設置場所報知器8はオフ状態となっている。
図15は、非常用電源設置場所報知器8を本体3上から抜き出している状態で、この状態では、ストッパ板11による電源スイッチ20の押圧は解除され、非常用電源設置場所報知器8はオン状態となる。
非常用電源設置場所報知器8のオン状態は、
図9に示す動作ランプ21の点灯により報知される。
【0036】
図18は非常用電源装置1の制御ブロック図である。
先ずは、本体3側から説明すると、本体3内には電池22が収納されている。
この電池22は、平常時において、被充電端子23、被充電部24を介して、商用電源により充電され。この充電状態で、非常用電源装置1は、例えば市役所に保管されている。
電池22には、充電部25を介して上記充電端子19が接続されている。
前記被充電部24、充電部25には、制御部(制御手段の一例)26が接続されている。
【0037】
制御部26には、上記ライトスイッチ6、ライト7、操作部9、電源スイッチ16以外に、メモリ27、送信部28、受信部29が接続されている。送信部28、受信部29で、非常用電源設置場所報知器8の近距離通信を行う近距離通信手段が構成されている。
【0038】
次に、前記非常用電源設置場所報知器8は、前記本体3との近距離通信を行う近距離送信部30、前記本体3との近距離通信を行う受信部31を備えている。
これらの近距離送信部30、受信部31で、非常用電源設置場所報知器8における近距離通信手段が構成されている。
【0039】
また、非常用電源設置場所報知器8には、近距離送信部30、受信部31よりなる近距離通信手段よりは通信距離が長い遠距離通信手段としての遠距離送信部32も設けられている。
そして、これらの近距離送信部30、受信部31、遠距離送信部32は制御部(制御手段の一例)33に接続されている。
制御部33には、上記電源スイッチ20、動作ランプ21以外に、電池34、メモリ35が接続されている。
【0040】
以上の構成で、非常用電源設置場所報知器8のメモリ35には、この非常用電源設置場所報知器8とペアになっている本体3に対して充電動作を許可するための充電許可ID情報が収納されており、この充電許可ID情報は、例えば、10秒ごとに1秒間、近距離送信部30から送信される。
【0041】
本体3の受信部29が、上記近距離送信部30からの充電許可ID情報を受信し、メモリ27に格納した自らの比較IDと照合、合致すると、制御部26は、充電部25を介して充電端子19への充電を許可する構成となっている。
【0042】
制御部26は、例えば、1分を超えて、非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30からの充電許可ID情報を受信できないときには、充電部25を介しての充電端子19からの充電許可を取り消す。
【0043】
非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30と、本体3の受信部29は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの通信方式による無線通信を行うことが可能な通信モジュールにより実現される。
【0044】
つまり、本体3を盗み出すために、この本体3を体育館2外に持ち出した場合には、非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30からの充電許可ID情報を受信できないので、充電端子19を介しての充電動作が遮断される。
このように本体3を盗みだしても、充電動作が出来ないものは、盗難にあうことが少なくなる。
【0045】
本体3には、体育館2外に持ち出すと充電動作が行えなくなる旨の張り紙をしておくことも、無用な盗難を避けることにつながる。
【0046】
非常用電源装置1は、例えば市役所に一括保管されており、災害状況に応じて、各避難所に搬送される。
何処の避難所に行けば非常用電源装置1が準備されているかの報知は、非常用電源設置場所報知器8の遠距離送信部32を介して行われる。
【0047】
具体的には、本体3の操作部9にて、近隣住民への各種情報が作成され、送信部28を介して送信される。
この情報は、非常用電源設置場所報知器8の受信部31で受信され、次に、非常用電源設置場所報知器8の遠距離送信部32を介して、体育館2周辺の広い範囲に送信される。
その中の一つの情報として、体育館2には、非常用電源装置1が準備されているという情報があるのである。
【0048】
送信部28、受信部31は、例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などの通信方式による無線通信を行うことが可能な通信モジュールにより実現される。
また、遠距離送信部32は、例えばデジタル簡易無線通信モジュールにより実現され、送信距離は、例えば、半径1~2キロ程度に設定する。
遠距離送信部32からの情報は、例えば、デジタル簡易無線通信モジュールを搭載した携帯電話で受信するようにすることもできる。
【0049】
図17は、携帯電話の表示部36における表示例を示している。
この表示部36には、充電可能の文字情報と、避難所の地図が表示された例を示している。
【0050】
以上の構成における動作説明を行う。
災害が発生すると、
図1の様に、避難所の一例である体育館2に、非常用電源装置1が搬送される。
【0051】
この搬送時が夜間であった場合には、ライトスイッチ6がオンし、ライト7を点灯させ、搬送作業を行う(
図19のS1、S2)。
体育館2に到着後、体育館2に別の照明手段が存在する場合には、ライトスイッチ6をオフし、ライト7を消灯させる(
図19のS3、S4)。
体育館2では、
図2に示すように、本体3は、例えば、一階の演台上に設置される。
【0052】
次に、本体3から非常用電源設置場所報知器8を取り外し、非常用電源設置場所報知器8は上述のように二階の窓際近傍に、設置する。
図3は、体育館2の二階部分の手摺14に、非常用電源設置場所報知器8の設置係合部13を係合させ、非常用電源設置場所報知器8を立て掛けた状態としている。
この時、非常用電源設置場所報知器8の設置脚部12は、二階フロアーに当接した状態となっている。
【0053】
図4は、体育館2の二階部分の窓枠15に設置係合部13を当接状態で係合させ、非常用電源設置場所報知器8を窓枠15部分に立て掛けた状態となっている。
本実施形態では、
図2に示すように、非常用電源装置1の本体3から非常用電源設置場所報知器8が分離され、本体3と非常用電源設置場所報知器8が体育館2などの避難所内において、それぞれ別に遠方に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は本体3よりも高い場所に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は窓際などに近い場所に設置されること等が特徴となっている。
本体3から非常用電源設置場所報知器8を取り外すと、本体3側では電源スイッチ16がオン状態となり、操作部9、送信部28、受信部29が起動される(
図19のS5、S6)。
【0054】
一方、非常用電源設置場所報知器8は、電源スイッチ20がオン状態となり、近距離通信部30、受信部31、遠距離送信部32が起動され、また動作状態は動作ランプ21の点灯により知らされる(
図20のS21、S22)。
つまり、非常用電源設置場所報知器8は本体3から分離され、二階に搬送され、設置されるので、動作状態を動作ランプ21知らせることは、作業者に対する心理的負荷を小さくすることにつながる。
【0055】
非常用電源設置場所報知器8が起動されると、近距離送信部30から充電許可IDが近距離通信で送信される(
図20のS23)。
近距離とは、例えば数十メートルの範囲であって、例えば体育館2内程度の通信距離となる。
【0056】
非常用電源設置場所報知器8のメモリ35内に格納された充電許可IDは、この非常用電源設置場所報知器8とペアになっている本体3だけで有効なものとなっている。
具体的には、本体3のメモリ27には、それにペアになっている非常用電源設置場所報知器8が保有する充電許可IDと比較する比較IDが格納されているので、本体3の制御部26は、有効な充電許可IDを受信部29で受信した場合にだけ、充電部25の充電許可を行う。
【0057】
本体3側において、操作部9により、体育館2外に知らせる通信文が作成され、遠距離送信操作が行われると、送信部28、受信部31、遠距離送信部32を介して、体育館2の外側、半径1~2キロ程度に、非常用電源装置1の設置場所連絡などが行われる(
図19のS7)。
【0058】
この時、非常用電源設置場所報知器8は体育館2の二階窓際に配置されているので、体育館2の外側、半径1~2キロ程度に、非常用電源装置1の設置場所連絡などを効果的に知らしめることが出来る。
【0059】
一方、本体3側では、この本体3とペアになっている非常用電源設置場所報知器8の近距離通信部30から送信された充電許可IDを、受信部29で受信し、上記メモリ27に格納した比較IDと照合、合致すると、充電部25に対して充電許可を行う(
図19のS8、S9)。
つまり、本体3の充電端子19を充電が可能となるのである。
【0060】
このような充電許可状態であるにもかかわらず、受信部29で、非常用電源設置場所報知器8からの充電許可IDを受信できないときには、充電部25の充電動作を停止する(
図19のS10)。
【0061】
すなわち、非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30は、10秒ごとに1秒間、近距離送信部30から充電許可IDを送信している。
また、本体3の制御部26は、例えば、1分を超えて、非常用電源設置場所報知器8の近距離送信部30からの充電許可D情報を受信できないときには、充電部25を介しての充電端子19からの充電許可を取り消す構成となっているのである。
なお、操作部9により、充電許可停止操作を行った場合にも充電部25の充電動作を停止する(
図19のS11、S10)。
【0062】
また、非常用電源設置場所報知器8を本体3の上面のガイド10に差し込んだ場合にも、電源スイッチ20がオフとなるので、充電許可ID情報の送信を含め、非常用電源設置場所報知器8のすべての動作が停止される(
図20のS24、S25)。
つまり、この場合にも、充電部25の充電動作を停止される(
図19のS8、S10)。
【0063】
以上のごとく、本実施形態では、
図2に示すように、非常用電源装置1の本体3から非常用電源設置場所報知器8が分離され、本体3と非常用電源設置場所報知器8が体育館2などの避難所内において遠方に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は本体3よりも高い場所に配置されること、非常用電源設置場所報知器8は窓際などに近い場所に設置されること等が特徴となっており、本体3の盗難防止だけでなく、非常用電源装置1の設置場所報知も行える、極めて有用なものとなる。
【0064】
なお、非常用電源設置場所報知器8における近距離送信部30、受信部31、遠距離送信部32は、非常用電源設置場所報知器8を設置した時に一番高くなる部分、例えば動作ランプ21の背面側に設置されている。
また、本体3の送信部28、受信部29も本体3で一番上方、例えば、持手5内に配置されている。
なお、電池22を市役所で充電する場合には、被充電端子23に電源コード(図示せず)を繋げば、被充電部24を介して、電池22を充電することが出来る。
【符号の説明】
【0065】
1 非常用電源装置
2 体育館
3 本体
4 タイヤ
5 持手
6 ライトスイッチ
7 ライト
8 非常用電源設置場所報知器
9 操作部
10 ガイド
11 ストッパ板
12 設置脚部
13 設置係合部
14 手摺
15 窓枠
16 電源スイッチ
17 ボール
18 置き場所
19 充電端子
20 電源スイッチ
21 動作ランプ
22 電池
23 被充電端子
24 被充電部
25 充電部
26 制御部
27 メモリ
28 送信部
29 受信部
30 近距離送信部
31 受信部
32 遠距離送信部
33 制御部
34 電池
35 メモリ
36 表示部