(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108203
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】車両樹脂パネル
(51)【国際特許分類】
B60J 5/10 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B60J5/10 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012433
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003812
【氏名又は名称】弁理士法人いくみ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸 浩史
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 秀水
(72)【発明者】
【氏名】清水 正俊
(72)【発明者】
【氏名】西村 直樹
(57)【要約】
【課題】熱ひずみに由来する変形を抑制できる車両樹脂パネルを提供すること。
【解決手段】アウターパネル3は、周端部が固定される。アウターパネル3は、所定の肉厚を有する薄肉部41と、薄肉部41の肉厚よりも厚い肉厚を有する厚肉部42と、薄肉部41および厚肉部42の間において肉厚が徐々に変化する肉厚変化部43とを備える。アウターパネル3の厚み方向に沿った断面図において、アウターパネル3の端縁45が段差SのないカーブCを描くように、肉厚変化部43が形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周端部が固定される車両樹脂パネルであり、
前記車両樹脂パネルは、
所定の肉厚を有する薄肉部と、
前記薄肉部の肉厚よりも厚い肉厚を有する厚肉部と、
前記薄肉部および前記厚肉部の間において肉厚が徐々に変化する肉厚変化部と
を備え、
前記車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図において、
車両樹脂パネルの端縁が段差のないカーブを描くように、前記肉厚変化部が形成されている、車両樹脂パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両樹脂パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両樹脂パネルが、車両外板パネルおよび車両内板パネルの分野において、使用されている。樹脂パネルは、樹脂材料からなり、例えば、車両のドアパネルの一部として、使用される。
【0003】
より具体的には、以下の車両用ドアが提案されている。車両用ドアは、バックドアである。バックドアは、車両外側に位置するアウターパネル部と車両内側に位置するインナーパネル部とを備えている。アウターパネル部は、樹脂パネル部であり、ポリカーボネートを射出成形することによって、形成される。アウターパネル部は、インナーパネル部に接着され、アウターパネル部とインナーパネル部とが一体化される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、樹脂パネル部(上記アウターパネル部)には、肉厚の変化が、要求される場合がある。例えば、射出成形における樹脂材料の流動性(樹脂成形性)の観点から、樹脂パネル部の一部において、厚肉化が要求される場合がある。また、例えば、意匠性の観点から、樹脂パネル部の一部において、薄肉化が要求される場合がある。
【0006】
しかしながら、樹脂パネル部(上記アウターパネル部)の肉厚が変化する場合、熱ひずみに由来する変形が生じやすいという不具合がある。
【0007】
本発明は、熱ひずみに由来する変形を抑制できる車両樹脂パネルである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、周端部が固定される車両樹脂パネルであり、前記車両樹脂パネルは、所定の肉厚を有する薄肉部と、前記薄肉部の肉厚よりも厚い肉厚を有する厚肉部と、前記薄肉部および前記厚肉部の間において肉厚が徐々に変化する肉厚変化部とを備え、前記車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図において、車両樹脂パネルの端縁が段差のないカーブを描くように、前記肉厚変化部が形成されている、車両樹脂パネルを、含んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両樹脂パネルによれば、熱ひずみに由来する変形を抑制できる。
【0010】
すなわち、従来、車両樹脂パネルの肉厚が変化する場合、その肉厚が変化する領域(肉厚変化部)は、車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図において、車両樹脂パネルの端縁が段差を描くように、形成される(例えば、
図6参照。)。
【0011】
一方、車両において、車両樹脂パネルは、熱膨張する場合がある。しかし、車両樹脂パネルの周端部は、通常、車両に固定されている。そのため、車両樹脂パネルが熱膨張すると、熱膨張部分は、車両樹脂パネルの外側に向かうことができず、内側に向かう応力を発生させる。すなわち、熱ひずみに由来する応力が発生する。
【0012】
このような場合、車両樹脂パネルの端縁が段差を描くように形成されていると(
図6参照。)、上記の段差が応力を集中させ、車両樹脂パネルに変形を生じさせるという不具合がある。
【0013】
これに対して、上記の車両樹脂パネルでは、車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図において、車両樹脂パネルの端縁が段差のないカーブを描くように、肉厚変化部が、形成されている。
【0014】
そのため、上記の車両樹脂パネルは、段差による応力集中の発生を抑制できる。その結果、上記の車両樹脂パネルによれば、熱ひずみに由来する変形を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の車両樹脂パネルの一実施形態を備える車両パネルの分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す車両樹脂パネルの部分拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す車両樹脂パネルの厚み方向に沿った部分断面図である。
【
図4】
図4は、射出成形における樹脂材料の流れ方向を示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図1の車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図である。
【
図6】
図6は、従来の車両樹脂パネルの厚み方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.車両樹脂パネルの全体構成
図1は、本発明の車両樹脂パネルの一実施形態を示す。また、
図1は、車両樹脂パネルを備える車両パネルの一実施形態を示す。
【0017】
図1において、車両パネル1は、例えば、車両のドアパネルである。ドアパネルとしては、例えば、サイドドアパネルおよびバックドアパネルが挙げられる。ドアパネルとして、好ましくは、バックドアパネルが挙げられる。車両パネル1がバックドアパネルである場合、車両パネル1は、例えば、図示しないヒンジを介して、図示しない車両本体に取り付けられる。これにより、車両パネル1は、車両本体に対して開閉可能に接続される。なお、
図1には、バックドアパネルを分解して示している。
【0018】
図1において、車両パネル1は、インナーパネル2と、車両樹脂パネルとしてのアウターパネル3とを備えている。
【0019】
インナーパネル2は、車両パネル1の内板である。インナーパネル2の形状は、車両パネル1の形状に応じて、適宜設定される。
【0020】
インナーパネル2は、例えば、所望の凹凸形状を有する板部材である。より具体的には、インナーパネル2は、
図1の紙面左図が参照されるように、窓部材を嵌合するための開口部20を備えている。また、インナーパネル2は、ハイマウントストップランプを接続するためのハイマウントストップランプ接続部22を備えている。
【0021】
また、
図1および
図3が参照されるように、インナーパネル2の外周端部、および、開口部20の内周端部には、接着剤4を塗布するための接着用凸部21が形成されている。接着用凸部21は、接着剤4を介して、アウターパネル3に接着される。
【0022】
インナーパネル2は、任意の材料から形成される。例えば、インナーパネル2は、金属材料および/または樹脂材料からなる。好ましくは、インナーパネル2は、樹脂材料からなる。インナーパネル2が樹脂材料からなる場合、インナーパネル2は、例えば、射出成形によって、一体成形品として得られる。樹脂材料としては、特に制限されず、公知の樹脂材料が挙げられる。
【0023】
アウターパネル3は、車両パネル1の外板である。アウターパネル3の形状は、車両パネル1の形状に応じて、適宜設定される。
【0024】
より具体的には、アウターパネル3は、アンダーパネル31、ミドルパネル32およびアッパーパネル33を備えている。アンダーパネル31、ミドルパネル32およびアッパーパネル33は、互いに組み付けられるとともに、開口部20を囲むように配置され、インナーパネル2の接着用凸部21に接着される。これにより、アウターパネル3の周端部の全周が、インナーパネル2に固定される。
【0025】
アンダーパネル31は、例えば、所望の凹凸形状を有する板部材である。より具体的には、アンダーパネル31は、
図1の紙面右図が参照されるように、ナンバープレートを取り付けるためのナンバープレート用凹部34を備えている。アンダーパネル31は、ミドルパネル32に組み付けられる。また、アンダーパネル31は、開口部20の下側に配置され、接着剤4を介して、インナーパネル2の接着用凸部21に接着される。
【0026】
ミドルパネル32は、例えば、所望の凹凸形状を有する板部材である。より具体的には、ミドルパネル32は、
図1の紙面右図が参照されるように、一対の板部材として、形成される。一対のミドルパネル32は、アンダーパネル31およびアッパーパネル33に組み付けられる。また、ミドルパネル32は、開口部20の左右に対向配置され、接着剤4を介して、インナーパネル2の接着用凸部21に接着される。
【0027】
アッパーパネル33は、例えば、所望の凹凸形状を有する板部材である。アッパーパネル33は、ルーフパネル(図示せず)と隣接し、車両の上側に配置されるスポイラーを含む。より具体的には、アッパーパネル33は、
図2および
図3が参照されるように、車両後側に向かって突出するスポイラー凸部35を有している。
【0028】
スポイラー凸部35は、上面部36と、下面部37と、ハイマウントストップランプ実装部39とを備えている。つまり、アウターパネル3は、上面部36と下面部37とハイマウントストップランプ実装部39とを、備えている。
【0029】
上面部36は、所定の肉厚を有し、車両前後方向に沿って延びる板部である。上面部36は、車両上側から下側に向かって傾斜するように配置されている。下面部37は、所定の肉厚を有する平面部であり、上面部36から折り返される板部である。下面部37は、上面部36から連続して形成されている。つまり、下面部37は、上面部36と一体的に形成されている。また、下面部37は、車両前後方向(例えば、水平方向)と平行となるように、配置されている。ハイマウントストップランプ実装部39は、下面部37から連続して形成されている。つまり、ハイマウントストップランプ実装部39は、下面部37と一体的に形成されている。ハイマウントストップランプ実装部39は、下面部37の厚み方向に沿って、車両外側に向けて膨出する形状を有している。より具体的には、ハイマウントストップランプ実装部39は、下面部37から車両外側に向けて折れ曲がる板部材からなり、後方および下方に開放する箱枠形状を有している。また、ハイマウントストップランプ実装部39には、ハイマウントストップランプの配線を通過させるための配線孔38が形成されている。スポイラー凸部35(上面部36、下面部37およびハイマウントストップランプ実装部39)は、例えば、射出成形により、一体成形品として形成されている。
【0030】
アッパーパネル33(スポイラー凸部35を含む。)は、ミドルパネル32に組み付けられる。また、アッパーパネル33は、開口部20の上側に配置され、接着剤4を介して、インナーパネル2の接着用凸部21に接着される。
【0031】
アウターパネル3(アンダーパネル31、ミドルパネル32およびアッパーパネル33)は、樹脂材料から形成される。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリエステルおよびポリアクリルが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。樹脂材料は、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、充填材(強化繊維など)、着色剤、耐熱安定剤、耐光安定性、酸化防止剤および離型剤が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。添加剤の含有割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。アウターパネル3を樹脂材料から形成する方法は、特に制限されず、公知の樹脂成形法が採用される。成形方法としては、例えば、射出成形、圧縮成形およびインフレーション成形が挙げられ、好ましくは、射出成形が挙げられる。
【0032】
2.アウターパネルの肉厚
アウターパネル3の肉厚は、目的および用途に応じて、適宜設定されるが、アウターパネル3の肉厚は、一定ではなく、目的および用途に応じて、増減されている。
【0033】
例えば、アウターパネル3が射出成形される場合、樹脂材料は、一定方向に沿って流動する。例えば、アッパーパネル33が射出成形される場合、
図4の矢印Fが参照されるように、樹脂材料は、ハイマウントストップランプ実装部39および下面部37に沿って充填された後、上面部36に沿って充填される。
【0034】
このような場合、アッパーパネル33の形状が複雑であるため、アッパーパネル33の肉厚が一定であると、樹脂材料を十分に流動できず、成形不良を生じる場合がある。
【0035】
そこで、射出成形における樹脂材料の流動性(樹脂成形性)を向上させるために、例えば、アウターパネル3(アッパーパネル33)を、部分的に厚肉化する。アウターパネル3(アッパーパネル33)を、部分的に厚肉化することにより、その部分における樹脂材料の流動可能量を増加させることができ、樹脂材料の流動性(樹脂成形性)を向上できる。
【0036】
このような場合、アウターパネル3(アッパーパネル33)は、
図5が参照されるように、比較的薄い所定の肉厚を有する薄肉部41と、薄肉部41の肉厚よりも厚い肉厚を有する厚肉部42と、薄肉部41および厚肉部42の間において肉厚が徐々に変化する肉厚変化部43とを備えている。
【0037】
薄肉部41、厚肉部42および肉厚変化部43は、アウターパネル3(アッパーパネル33)の任意の位置に配置される。例えば、薄肉部41、厚肉部42および肉厚変化部43の配置は、アウターパネル3(アッパーパネル33)において樹脂材料の流動性(樹脂成形性)を向上するために、アウターパネル3(アッパーパネル33)の形状に応じて、適宜設定される。
【0038】
薄肉部41の厚みT1は、例えば、一定である。薄肉部41の厚みT1は、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.0mm以上である。また、薄肉部41の厚みT1は、例えば、10mm以下、好ましくは、5.0mm以下である。
【0039】
厚肉部42の厚みT2は、例えば、一定である。厚肉部42の厚みT2は、例えば、1.0mm以上、好ましくは、2.0mm以上である。また、厚肉部42の厚みT2は、例えば、15mm以下、好ましくは、10.0mm以下である。
【0040】
薄肉部41の厚みT1と厚肉部42の厚みT2との差(T2-T1)は、例えば、0.5mm以上、好ましくは、1.0mm以上である。また、薄肉部41の厚みT1と厚肉部42の厚みT2との差(T2-T1)は、例えば、15mm以下、好ましくは、10.0mm以下である。
【0041】
肉厚変化部43の厚みは、長さ方向(樹脂材料の流動方向)に沿って、変化する。樹脂材料の流動方向に沿った肉厚変化部43の長さLは、例えば、5mm以上、好ましくは、1mm以上である。また、樹脂材料の流動方向に沿った肉厚変化部43の長さLは、例えば、250mm以下、好ましくは、200mm以下である。
【0042】
また、樹脂材料の流動方向に沿った肉厚変化部43の長さLは、薄肉部41の厚みT1と厚肉部42の厚みT2との差(T2-T1)に対して、例えば、3倍以上、好ましくは、5倍以上である。また、樹脂材料の流動方向に沿った肉厚変化部43の長さLは、薄肉部41の厚みT1と厚肉部42の厚みT2との差(T2-T1)に対して、例えば、50倍以下、好ましくは、20倍以下である。
【0043】
そして、アウターパネル3(アッパーパネル33)の厚み方向に沿った断面図(すなわち、
図5)において、アウターパネル3(アッパーパネル33)の端縁45が段差のないカーブCを描くように、肉厚変化部43が、形成されている。
【0044】
つまり、アウターパネル3(アッパーパネル33)の厚み方向に沿った断面図(すなわち、
図5)において、アウターパネル3(アッパーパネル33)の端縁45は、段差Sを描くことなく、段差SのないカーブCを描いている。
【0045】
なお、アウターパネル3(アッパーパネル33)の端縁45は、パネル内側の端縁45aと、パネル外側の端縁45bとを有する。そして、パネル内側の端縁45aと、パネル外側の端縁45bとの両方が、段差Sを描くことなく、段差SのないカーブCを描いている。
【0046】
3.作用効果
上記のアウターパネル3によれば、熱ひずみに由来する変形を抑制できる。
【0047】
すなわち、従来、アウターパネル3の肉厚が変化する場合、その肉厚が変化する領域(肉厚変化部)は、厚み方向における端縁が段差Sを描くように、形成される(例えば、
図6参照。)。
【0048】
一方、車両において、アウターパネル3は、熱膨張する場合がある。しかし、アウターパネル3の周端部は、通常、車両のインナーパネル2に対して、接着剤4を介して固定されている(
図3参照)。
【0049】
そのため、アウターパネル3が熱膨張すると、熱膨張部分は、アウターパネル3の外側に向かうことができず、内側に向かう応力を発生させる。すなわち、熱ひずみに由来する応力が発生する。このような場合、アウターパネル3が、厚み方向における端縁が段差Sを描くように形成されていると(
図6参照。)、上記の段差が応力を集中させアウターパネル3に変形を生じさせるという不具合がある。
【0050】
これに対して、上記のアウターパネル3(アッパーパネル33)では、アウターパネル3(アッパーパネル33)の厚み方向に沿った断面図(
図5)において、厚み方向における端縁45が段差のないカーブCを描くように、肉厚変化部43が、形成されている。
【0051】
そのため、上記のアウターパネル3(アッパーパネル33)は、段差Sによる応力集中の発生を抑制できる。その結果、上記のアウターパネル3(アッパーパネル33)によれば、熱ひずみに由来する変形を抑制できる。
【0052】
4.変形例
上記の説明では、車両樹脂パネルとしてアッパーパネル33を例示して説明したが、車両樹脂パネルは、周端部が固定され、樹脂材料からなるパネルであれば、特に制限されない。例えば、車両樹脂パネルとして、アンダーパネル31を採用することができる。また、車両樹脂パネルとして、ミドルパネル32を採用することができる。また、車両樹脂パネルとして、インナーパネル2を採用することもできる。
【0053】
また、上記の説明では、射出成形における樹脂材料の流動性(樹脂成形性)の観点から、車両樹脂パネル(アウターパネル3)の厚みを変化させているが、本発明は、上記に限定されない。例えば、意匠性の観点から、車両樹脂パネルの厚みを変化させてもよい。また、例えば、電気部品および/または電子部品の実装の観点から、車両樹脂パネルの厚みを変化させてもよい。
【0054】
このような場合にも、車両樹脂パネルには、薄肉部41、厚肉部42および肉厚変化部43が形成される。そして、車両樹脂パネルが、厚み方向における端縁が段差Sを描くように形成されていると(
図6参照。)、上記の段差が応力を集中させ、アウターパネル3に変形を生じさせるという不具合がある。
【0055】
これに対して、車両樹脂パネルの厚み方向における端縁45が段差のないカーブを描くように、肉厚変化部43が、形成されていれば、車両樹脂パネルは、段差Sによる応力集中の発生を抑制できる。その結果、このような車両樹脂パネルによれば、熱ひずみに由来する変形を抑制できる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両パネル
2 インナーパネル
3 アウターパネル
4 接着剤
41 薄肉部
42 厚肉部
43 肉厚変化部
45 端縁