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特開2024-108210基板処理装置、および、基板処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108210
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】基板処理装置、および、基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
H01L21/304 648K
H01L21/304 643A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012453
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】岩尾 通矩
(72)【発明者】
【氏名】加門 宏章
(72)【発明者】
【氏名】岩畑 翔太
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157BE43
5F157CF32
5F157CF34
5F157CF38
5F157CF72
5F157CF74
5F157DB02
5F157DC84
5F157DC86
(57)【要約】
【課題】電解硫酸の冷却をスムーズに行う。
【解決手段】基板処理装置は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、処理液を昇温しつつ基板処理部へ供給するための供給タンクと、電気分解によって処理液を生成し、生成された処理液を供給タンクへ供給するための生成部と、基板処理部へ供給され、かつ、基板を処理するために使われなかった処理液である供給後液を回収して、電気分解によって処理液を生成するための温度である電解温度まで供給後液を冷却しつつ生成部へ供給するための回収部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、
前記処理液を昇温しつつ前記基板処理部へ供給するための供給タンクと、
電気分解によって前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給するための生成部と、
前記基板処理部へ供給され、かつ、前記基板を処理するために使われなかった前記処理液である供給後液を回収して、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度まで前記供給後液を冷却しつつ前記生成部へ供給するための回収部とを備える、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記回収部が、二重配管を含み、
前記二重配管が、
前記供給後液が流れる内管と、
前記内管との間に間隙空間を設けつつ前記内管を囲む外管とを備え、
前記間隙空間に冷媒が供給される、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
前記回収部が、
前記供給後液を貯留するための貯留部と、
前記貯留部内で前記供給後液に浸漬される冷却配管とを含み、
前記冷却配管内に冷媒が供給される、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であり、
前記貯留部が、前記基板処理部に対して前記生成部とは反対側に位置し、
前記貯留部内で冷却された前記供給後液が、前記基板処理部に隣接する経路を通って前記生成部に供給される、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板処理装置であり、
前記貯留部で冷却された前記供給後液を前記生成部へ供給するための二重配管をさらに備え、
前記二重配管が、
前記供給後液が流れる内管と、
前記内管との間に間隙空間を設けつつ前記内管を囲む外管とを備え、
前記間隙空間に、前記冷却配管内に供給された前記冷媒が供給される、
基板処理装置。
【請求項6】
電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理方法であり、
供給タンクに、前記基板を処理するための基板処理部へ供給する前記処理液を昇温しつつ貯留する工程と、
前記基板処理部へ供給され、かつ、前記基板を処理するために使われなかった前記処理液である供給後液を回収して、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度まで前記供給後液を冷却しつつ生成部へ供給する工程と、
前記生成部において電気分解によって前記供給後液を含む液から前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給する工程とを備える、
基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板処理には硫酸と過酸化水素水との混合溶液(SPM)などが処理液として用いられている(たとえば、特許文献1を参照)。SPMは、硫酸に過酸化水素水を混合させることによって酸化力を生じさせる処理液であり、主に、基板の上面に形成されたレジストの除去などの基板処理に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-163977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、多量の排液が生じるSPMを処理液として用いる代わりに、電解硫酸を基板処理の処理液として用いることができる。
【0005】
しかしながら、基板処理に用いるために一旦電解硫酸を昇温すると、電気分解に適した温度まで再び冷却するために時間を要する。冷却のための時間が長いと、電気分解の開始が遅れてしまうという問題がある。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、電解硫酸の冷却をスムーズに行うための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板処理装置は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理部と、前記処理液を昇温しつつ前記基板処理部へ供給するための供給タンクと、電気分解によって前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給するための生成部と、前記基板処理部へ供給され、かつ、前記基板を処理するために使われなかった前記処理液である供給後液を回収して、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度まで前記供給後液を冷却しつつ前記生成部へ供給するための回収部とを備える。
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板処理装置は、第1の態様である基板処理装置に関連し、前記回収部が、二重配管を含み、前記二重配管が、前記供給後液が流れる内管と、前記内管との間に間隙空間を設けつつ前記内管を囲む外管とを備え、前記間隙空間に冷媒が供給される。
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板処理装置は、第1または2の態様である基板処理装置に関連し、前記回収部が、前記供給後液を貯留するための貯留部と、前記貯留部内で前記供給後液に浸漬される冷却配管とを含み、前記冷却配管内に冷媒が供給される。
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板処理装置は、第3の態様である基板処理装置に関連し、前記貯留部が、前記基板処理部に対して前記生成部とは反対側に位置し、前記貯留部内で冷却された前記供給後液が、前記基板処理部に隣接する経路を通って前記生成部に供給される。
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板処理装置は、第3または4の態様である基板処理装置に関連し、前記貯留部で冷却された前記供給後液を前記生成部へ供給するための二重配管をさらに備え、前記二重配管が、前記供給後液が流れる内管と、前記内管との間に間隙空間を設けつつ前記内管を囲む外管とを備え、前記間隙空間に、前記冷却配管内に供給された前記冷媒が供給される。
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板処理方法は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板を処理するための基板処理方法であり、供給タンクに、前記基板を処理するための基板処理部へ供給する前記処理液を昇温しつつ貯留する工程と、前記基板処理部へ供給され、かつ、前記基板を処理するために使われなかった前記処理液である供給後液を回収して、電気分解によって前記処理液を生成するための温度である電解温度まで前記供給後液を冷却しつつ前記生成部へ供給する工程と、前記生成部において電気分解によって前記供給後液を含む液から前記処理液を生成し、生成された前記処理液を前記供給タンクへ供給する工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、6の態様によれば、基板処理に使われなかった処理液を回収して、当該処理液を電解温度まで冷却しつつ生成部へ供給することによって、生成部へ処理液を回収するための送液時間を活用して処理液の冷却を行うことができる。
【0009】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。
図2図1に例が示された制御部の構成の例を概念的に示す図である。
図3】実施の形態に関する基板処理装置における、処理ユニットおよび関連する構成の例を概略的に示す図である。
図4】吐出ノズルの内部構造の例を示す断面図である。
図5】回収配管の構造の例を示す断面図である。
図6】実施の形態に関する基板処理装置の構成の変形例を示す図である。
図7図1に示される構成の場合の、吐出ノズルの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図8図1に示される構成の場合の、吐出ノズルの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図9図6に示される構成の場合の、吐出ノズルの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
図10図6に示される構成の場合の、吐出ノズルの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるために、それらのすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0012】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされる。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0013】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0014】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0015】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0016】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0017】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0018】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置、および、基板処理方法について説明する。
【0019】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を示す図である。図1に例が示されるように、基板処理装置1は、複数の処理ユニット600と、供給タンク10と、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bと、電解セル21Aおよび電解セル21Bと、処理液などを排液する排液タンク40と、制御部90とを備える。
【0020】
処理ユニット600は、供給された処理液を用いて基板を処理する。処理ユニット600の詳細な構成については、後述する。なお、処理ユニット600の個数は図1に示される個数に限られるものではない。
【0021】
供給タンク10は、供給配管100を介して生成タンク20Aまたは生成タンク20Bから供給される処理液を貯留する。そして、供給タンク10は、当該処理液を処理ユニット600へ供給する。また、供給タンク10には、硫酸供給源12から硫酸が供給される。硫酸供給源12から供給される硫酸の流量は、バルブ12Aを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、硫酸供給源12は備えられていなくてもよい。供給タンク10は、図1に示されるように処理ユニット600などが配置されるメインフロアに配置されてもよいが、生成タンクなどが配置されるサブフロアに設けられてもよい。
【0022】
供給タンク10から処理液を供給するための配管には、供給タンク10に接続され、かつ、処理ユニットへ処理液を供給する供給配管102と、供給配管102の下流に接続され、かつ、処理液を生成タンク20Aおよび生成タンク20Bに回収する回収配管302と、供給配管102から分岐してそれぞれの処理ユニット600へ処理液を供給する供給配管106と、それぞれの供給配管106の下流側の端部で分岐して生成タンク20A側および生成タンク20B側へ処理液を回収する回収配管108と、それぞれの回収配管108から合流する処理液を生成タンク20Aおよび生成タンク20Bに回収する回収配管304とが含まれる。
【0023】
供給配管102には、処理液の流量を計測する流量計112と、処理液を流すポンプ114と、処理液を加熱するヒーター116と、処理液の温度を計測する温度計117と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター119と、供給配管102で循環する処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ102Aとが設けられる。
【0024】
回収配管302は二重配管であり、処理液が流れる内管302Cと、内管302Cとの間に間隙空間を設けて内管302Cを囲む外管302Dとが、少なくとも一部の範囲で設けられる。また、回収配管302には、生成タンク20Aに供給される処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ302Aと、生成タンク20Bに供給される処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ302Bとが設けられる。また、回収配管302の内管302Cと外管302Dとの間の間隙空間には、後述の冷媒供給源から純水(DIW)などの冷却水が供給され、当該冷却水の流量は、制御部90で制御されるバルブ302Eで調整される。
【0025】
供給配管106には、供給配管106に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ106Aが設けられる。供給配管106には、供給配管102を流れる処理液の一部の流量が流れる。
【0026】
回収配管108には、回収配管108に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ108Aが設けられる。ここで、回収配管108に流れる処理液は、供給配管102から供給配管106の下流の処理ユニット600へ供給され、かつ、基板処理(薬液処理など)に使われなかった処理液であり、供給後液とも称する。また、供給配管106から回収配管108が分岐する箇所は、処理ユニット600における吐出ノズル106B内に設けられる。
【0027】
回収配管304は二重配管であり、供給後液が流れる内管304Cと、内管304Cとの間に間隙空間を設けて内管304Cを囲む外管304Dとが、少なくとも一部の範囲で設けられる。また、回収配管304には、生成タンク20Aに供給される供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ304Aと、生成タンク20Bに供給される供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ304Bとが設けられる。また、回収配管304の内管304Cと外管304Dとの間の間隙空間には、後述の冷媒供給源から純水(DIW)などの冷却水が供給され、当該冷却水の流量は、制御部90で制御されるバルブ304Eで調整される。
【0028】
処理ユニット600から処理液を回収するための配管には、それぞれの処理ユニット600に接続され、処理ユニット600で基板処理に使われた処理液(処理後液とも称する)を排液する排液配管122と、それぞれの排液配管122から合流する処理後液を生成タンク20Aおよび生成タンク20Bに回収する回収配管306と、生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で処理液を循環させる循環配管128と、生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で処理液を循環させる循環配管130と、生成タンク20Aから供給配管100へ処理液を合流させる供給配管132と、生成タンク20Bから供給配管100へ処理液を合流させる供給配管134とが含まれる。排液配管122には、処理ユニット600からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ122Aが設けられる。
【0029】
回収配管306は二重配管であり、処理後液が流れる内管306Cと、内管306Cとの間に間隙空間を設けて内管306Cを囲む外管306Dとが、少なくとも一部の範囲で設けられる。また、回収配管306には、生成タンク20Aに供給される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ306Aと、生成タンク20Bに供給される処理後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ306Bとが設けられる。また、回収配管306の内管306Cと外管306Dとの間の間隙空間には、後述の冷媒供給源から純水(DIW)などの冷却水が供給され、当該冷却水の流量は、制御部90で制御されるバルブ306Eで調整される。
【0030】
ここで、回収配管302、回収配管304および回収配管306の間隙空間に供給される冷却水は、低温の不活性ガスなどの他の冷媒であってもよい。また、それぞれで供給される冷媒の流量は、処理液(硫酸)の粘性の温度依存性を考慮して、基板処理のレシピを参照しつつ調整される。また、回収配管302、回収配管304および回収配管306の間隙空間に供給される冷媒は、回収配管302、回収配管304および回収配管306で共通の冷媒であってもよいし、それぞれで独立して供給される冷媒であってもよい。
【0031】
回収配管302、回収配管304および回収配管306の間隙空間に供給される冷媒によって内管を流れる処理液は冷却されつつ、生成タンクへ供給されることとなる。ここで、処理ユニット600が設けられるメインフロアと、生成タンクが設けられるサブフロアとが10m程度の距離(高低差)があるとすると、処理液を生成タンクまで送液するそれぞれの回収配管は処理液を冷却するために十分な長さを有する。処理液が、電気分解で処理液を生成するための温度である電解温度まで当該間隙空間で冷却されるように、間隙空間に供給される冷媒の温度が適宜設定される。
【0032】
ここで、回収配管302、回収配管304および回収配管306は、いずれか1つのみが設けられていてもよい。すなわち、対応する3つの配管のうち1つのみが二重配管であってもよい。この場合、流れる処理液の流量が大きい回収配管302が優先的に設けられることが望ましい。
【0033】
循環配管128には、循環配管128に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ128Aと、循環配管128に流れる処理液の濃度を計測するための濃度計138と、循環配管128に流れる処理液を送液するためのポンプ140と、処理液を加熱するヒーター142と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター144とが設けられる。
【0034】
循環配管130には、循環配管130に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ130Aと、循環配管130に流れる処理液の濃度を計測するための濃度計146と、循環配管130に流れる処理液を送液するためのポンプ148と、処理液を加熱するヒーター150と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター152とが設けられる。
【0035】
供給配管132には、供給配管132に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ132Aが設けられる。
【0036】
供給配管134には、供給配管134に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ134Aが設けられる。
【0037】
供給配管100には、供給配管100に流れる処理液を送液するためのポンプ154と、処理液を加熱するヒーター156と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター158と、処理液をさらに加熱する複数のヒーター159と、供給配管100に流れる処理液の流量を調整するためのバルブ100Aとが設けられる。なお、供給配管100に設けられるヒーターの数は図1に示された数に限定されるものではなく、たとえば、1つのみが設けられていてもよい。
【0038】
供給配管100に設けられるヒーター156およびヒーター159、さらには、供給配管102に設けられるヒーター116によって、生成タンクから供給タンク10へ供給される処理液は加熱され、昇温しつつ処理ユニット600へ供給されることとなる。
【0039】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、純水供給源14から純水(DIW)、過酸化水素水またはオゾン水が供給される。純水供給源14から生成タンク20Aに供給される純水などの流量は、バルブ14Aを制御部90で制御することによって調整可能である。また、純水供給源14から生成タンク20Bに供給される純水などの流量は、バルブ14Bを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、純水供給源14は備えられていなくてもよい。
【0040】
また、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bには、硫酸供給源16から硫酸(HSO)が供給される。硫酸供給源16から生成タンク20Aに供給される硫酸の流量は、バルブ16Aを制御部90で制御することによって調整可能である。また、硫酸供給源16から生成タンク20Bに供給される硫酸の流量は、バルブ16Bを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、硫酸供給源16は備えられていなくてもよい。
【0041】
処理液および処理後液を排液するための配管には、それぞれの処理ユニット600から排液タンク40へ処理後液を排液するための排液配管160と、供給タンク10から排液タンク40へ処理液を排液するための排液配管162と、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bから排液タンク40へ処理液または処理後液を排液するための排液配管164とが含まれる。排液配管160には、処理ユニット600からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ160Aが設けられる。排液配管162には、供給タンク10からの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ162Aが設けられる。排液配管164には、生成タンク20Aからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Aと、生成タンク20Bからの排液の流量を制御部90の制御で調整するバルブ164Bとが設けられる。
【0042】
図2は、図1に例が示された制御部90の構成の例を概念的に示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記憶装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0043】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記憶装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、オペレータから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0044】
記憶装置94には、図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0045】
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置における、処理ユニット600および関連する構成の例を概略的に示す図である。なお、図3では、図1におけるある1つの供給配管106の下流に配置される処理ユニット600の構成の例が示されているが、他の供給配管106の下流に配置される処理ユニット600の構成も、図3に例が示される場合と同様である。
【0046】
図3に例が示されるように、処理ユニット600は、内部空間を有する箱形のチャンバ80と、チャンバ80内で1枚の基板Wを水平姿勢で保持しつつ基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック251と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック251を取り囲む筒状の処理カップ511とを備える。
【0047】
チャンバ80は、箱状の壁250Aによって囲まれている。壁250Aには、チャンバ80内に基板Wを搬出入するための開口部250Bが形成されている。
【0048】
開口部250Bは、シャッタ250Cによって開閉される。シャッタ250Cは、シャッタ昇降機構(ここでは、図示しない)によって、開口部250Bを覆う閉位置(図3において二点鎖線で示される)と、開口部250Bを開放する開位置(図3において実線で示される)との間で昇降させられる。
【0049】
図3に例が示されるように、スピンチャック251は、水平姿勢の基板Wに対向して設けられる円板状のスピンベース251Aと、スピンベース251Aの上面外周部から上方に突出し、かつ、基板Wの周縁部を挟持する複数のチャックピン251Bと、スピンベース251Aの中央部から下方に延びる回転軸251Cと、回転軸251Cを回転させることによって、スピンベース251Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ251Dとを備える。
【0050】
なお、スピンチャック251は、図3に例が示された挟持式のチャックである場合に限られず、たとえば、基板Wの下面を真空吸着するスピンベースを備える、真空吸着式のチャックであってもよい。
【0051】
処理ユニット600には、他の用途の液を吐出するためのノズル(たとえば、他の薬液を吐出するノズル、または、リンス液を吐出するノズルなど)が接続されていてもよい。
【0052】
また、図3に例が示されるように、処理ユニット600に接続されている供給配管106の先端には、処理液を吐出する吐出ノズル106Bが接続されている。吐出ノズル106Bは、チャンバ80の内側の所定部位(たとえば、スピンベース251A)に向けて処理液を吐出する。
【0053】
処理カップ511は、スピンチャック251の周囲を取り囲むように設けられており、図示しない昇降機構(モータまたはシリンダーなど)によって、鉛直方向に昇降する。処理カップ511の上部は、その上端がスピンベース251Aに保持された基板Wよりも上側となる上位置と、当該基板Wよりも下側になる下位置との間で昇降する。
【0054】
基板Wの上面から外側に飛散した処理液(処理後液)は、処理カップ511の内側面に受け止められる。そして、処理カップ511に受け止められた処理液(処理後液)は、チャンバ80の底部で、かつ、処理カップ511の内側に設けられた排液配管122、排液配管160を介して、チャンバ80の外部に適宜排液される。また、図示しないカップ排気機構によって処理カップ511内の雰囲気が排気される。
【0055】
また、チャンバ80の側部には、排気口515が設けられている。排気口515を通じて、チャンバ80内の雰囲気がチャンバ80外に適宜排出される。
【0056】
図4は、吐出ノズル106Bの内部構造の例を示す断面図である。
【0057】
吐出ノズル106Bは、処理液を導く流路35が形成された本体36と、流路35を開閉する弁体37と、弁体37を軸方向X1に進退させて流路35を開閉させる空圧アクチュエータ38と、吐出口31とを備える。
【0058】
本体36は、空圧アクチュエータ38を構成するシリンダ39と、弁体37を進退させる弁室40Aと、供給配管106とジョイント48を介して連通して弁室40Aに至る流路35aと、流路35aの弁室40Aよりも上流の位置で流路35aに接続された、回収配管108とジョイント48を介して連通する流路35bと、弁室40Aから吐出口31に至る流路35cとを備える。
【0059】
シリンダ39と弁室40Aとは、軸方向X1に並んでいる。シリンダ39と弁室40Aとの間は、隔壁41によって隔てられている。流路35aおよび流路35cは、供給タンク10から供給される処理液を、吐出口31に向けて案内する供給配管106の一部に該当する。また、流路35bは、処理液を生成タンク20A側および生成タンク20B側に回収する回収配管108の一部に該当する。
【0060】
空圧アクチュエータ38は、シリンダ39、ピストン42、バネ43およびロッド44を備える。シリンダ39は、ピストン42によって、隔壁41側の前室と、当該ピストン42を挟んで軸方向X1の反対側の後室とに隔てられている。本体36には、シリンダ39の前室および後室にそれぞれ別個に空気圧を伝達するチューブを接続するためのジョイント47が、それぞれ接続されている。ピストン42は、チューブおよびジョイント47を介して、シリンダ39の前室または後室のいずれ一方に空気圧を伝達することによって、シリンダ39内を、軸方向X1に沿って進退される。
【0061】
バネ43は、シリンダ39の後室側において、ピストン42と本体36との間に介挿されて、ピストン42を、隔壁41の方向に押圧している。
【0062】
ロッド44は、基部がピストン42に連結され、先端部が、隔壁41を貫通して弁室40Aに突出されている。弁室40Aに突出されたロッド44の先端部には、弁体37が連結されている。弁体37は円板状に形成され、ロッド44の先端部に、径方向を軸方向X1と直交させて連結されている。弁体37は、シリンダ39内で、ピストン42が軸方向X1に沿って進退されると、ロッド44を介して、弁室40A内で、軸方向X1に沿って進退される。
【0063】
弁室40Aは、隔壁41と対向し、軸方向X1と直交する円環状の弁座面46を含み、弁座面46の中心位置に、流路35aが同心状に開口されている。流路35cは、弁室40Aの、弁体37の進退方向(軸方向X1)の側方に開口されている。
【0064】
本体36は、先端に吐出口31が形成され、ノズルヘッド26の下面から下方へ突出される筒部49を含む。
【0065】
シリンダ39の前室および後室のいずれにも空気圧を作用させず、空圧アクチュエータ38を作動させない状態では、ピストン42が、バネ43によって、シリンダ39内で前進位置、つまり、図4に例が示されるように、隔壁41側に近接した位置に押圧され、それによって弁室40A内で、弁体37が弁座面46に接触されて、流路35aの開口が閉鎖される。
【0066】
そのため、流路35aと流路35cとの間が閉じられて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液は、流路35bと回収配管108とを通して生成タンク20A側および生成タンク20B側に回収される(回収状態)。
【0067】
この回収状態において、シリンダ39の前室に空気圧を伝達して、ピストン42を、バネ43の押圧力に抗して、シリンダ39の後室方向に後退させると、弁室40A内で、弁体37が弁座面46から離れて、流路35aの開口が弁室40Aに解放される。そのため、流路35aと流路35cとが、弁室40Aを介して繋がれて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液が、流路35cを通して、吐出口31から吐出される(吐出状態)。
【0068】
この吐出状態において、シリンダ39の前室への空気圧の伝達を停止し、代わって、シリンダ39の後室に空気圧を伝達して、ピストン42を、バネ43の押圧力とともに、シリンダ39の前室方向、すなわち、隔壁41に近接する方向に前進させると、弁室40A内で、弁体37が弁座面46に接触されて、流路35aの開口が閉鎖される。そのため、流路35aと流路35cとの間が閉じられて、供給タンク10から供給配管106と流路35aとを通して供給される処理液が、流路35bと回収配管108とを通して生成タンク20A側および生成タンク20B側に回収される回収状態に復帰する。
【0069】
図5は、回収配管302の構造の例を示す断面図である。なお、図5においては回収配管302の構造の例が示されているが、回収配管304の構造、回収配管306の構造、さらには後述の回収配管308も同様である。
【0070】
図5に例が示されるように、回収配管302は二重配管であり、処理液が流れる内管302Cと、内管302Cとの間に間隙空間312を設けて内管302Cを囲む外管302Dとが設けられる。また、回収配管302の内管302Cと外管302Dとの間の間隙空間には、冷媒供給源322から純水(DIW)などの冷却水が供給され、当該冷却水の流量は、制御部90で制御されるバルブ302Eで調整される。間隙空間312における冷却水が内管302Cに接触することによって、内管302Cおよび内管302C内を流れる処理液が冷却される。なお、当該冷却水を供給するために必要な場合には、適宜ポンプが設けられてもよい。
【0071】
図6は、本実施の形態に関する基板処理装置の構成の変形例を示す図である。図6に例が示されるように、基板処理装置1Aは、複数の処理ユニット600と、供給タンク10と、生成タンク20Aおよび生成タンク20Bと、電解セル21Aおよび電解セル21Bと、処理液などを排液する排液タンク40と、冷却タンク400と、制御部90とを備える。
【0072】
供給タンク10は、供給配管100を介して生成タンク20Aまたは生成タンク20Bから供給される処理液を貯留する。そして、供給タンク10は、当該処理液を処理ユニット600へ供給する。また、供給タンク10には、硫酸供給源12から硫酸が供給される。硫酸供給源12から供給される硫酸の流量は、バルブ12Aを制御部90で制御することによって調整可能である。なお、硫酸供給源12は備えられていなくてもよい。
【0073】
供給タンク10から処理液を供給するための配管には、供給タンク10に接続され、かつ、処理ユニット600および冷却タンク400へ処理液を供給する供給配管202と、供給配管202から分岐してそれぞれの処理ユニット600へ処理液を供給する供給配管106と、それぞれの供給配管106の下流側の端部で分岐して冷却タンク400へ処理液を回収する回収配管108と、それぞれの回収配管108から合流する処理液を、さらに供給配管202に合流させて冷却タンク400に回収する回収配管310とが含まれる。
【0074】
供給配管202には、処理液の流量を計測する流量計112と、処理液を流すポンプ114と、処理液を加熱するヒーター116と、処理液の温度を計測する温度計117と、処理液内のパーティクルなどを除去するフィルター119と、供給配管202で循環する処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ102Aとが設けられる。
【0075】
冷却タンク400は、供給配管202から供給される処理液を貯留する貯留室400Aと、貯留室400Aからあふれた処理液を回収配管308へ流す供給室400Bとを備える。冷却タンク400は、鉛直方向に重なって配置される処理ユニット600の上方に配置される(図6においては最も高く位置する処理ユニット600の側方に位置しているが、当該処理ユニット600のさらに上方に位置していてもよい)。また、冷却タンク400は、貯留室400Aにおいて、貯留されている処理液中に浸漬するように配設される冷却配管401を備える。冷却配管401内には冷媒供給源402から供給される純水(DIW)などの冷却水が供給されており、貯留室400Aにおいて、冷却配管401に接触する処理液が冷却される。冷却配管401内の冷却水は、さらに、後述の回収配管308の間隙空間に供給される。
【0076】
ここで、冷媒供給源402から供給される冷却水は、低温の不活性ガスなどの他の冷媒であってもよい。また、後述の回収配管308および回収配管306の間隙空間に供給される冷媒は、回収配管308および回収配管306で共通の冷媒であってもよいし、それぞれで独立して供給される冷媒であってもよい。また、図6において、冷却タンク400のみが設けられ、回収配管308および回収配管306は設けられない(すなわち、対応する配管が二重配管ではない)場合であってもよい。
【0077】
回収配管308は二重配管であり、処理液が流れる内管308Cと、内管308Cとの間に間隙空間を設けて内管308Cを囲む外管308Dとが、少なくとも一部の範囲で設けられる。また、回収配管308には、生成タンク20Aに供給される処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ308Aと、生成タンク20Bに供給される処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ308Bとが設けられる。また、回収配管308の内管308Cと外管308Dとの間の間隙空間には、冷媒供給源402から純水(DIW)などの冷却水が供給され、当該冷却水の流量は、制御部90で制御されるバルブ308Eで調整される。
【0078】
回収配管308は、処理ユニット600および後述の回収配管306と隣接して配設されており、鉛直方向に重なって配置される処理ユニット600の下方に位置する生成タンクと、冷却タンク400とを結ぶように設けられる。回収配管308の間隙空間には、冷却タンク400の冷却配管401内に供給された冷却水がさらに供給される。
【0079】
供給配管106には、供給配管106に流れる処理液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ106Aが設けられる。供給配管106には、供給配管202を流れる処理液の一部の流量が流れる。
【0080】
回収配管108には、回収配管108に流れる供給後液の流量を制御部90の制御で調整可能なバルブ108Aが設けられる。また、供給配管106から回収配管108が分岐する箇所は、処理ユニット600における吐出ノズル106B内に設けられる。
【0081】
処理ユニット600から処理液を回収するための配管には、排液配管122と、回収配管306と、循環配管128と、循環配管130と、供給配管132と、供給配管134とが含まれる。排液配管122には、バルブ122Aが設けられる。
【0082】
回収配管306は二重配管であり、処理後液が流れる内管306Cと、内管306Cとの間に間隙空間を設けて内管306Cを囲む外管306Dとが、少なくとも一部の範囲で設けられる。また、回収配管306には、バルブ306Aと、バルブ306Bとが設けられる。
【0083】
冷却タンク400の貯留室400Aに浸漬する冷却配管401、回収配管308の間隙空間および回収配管306の間隙空間に供給される冷媒によって処理液は冷却されつつ、生成タンクへ供給されることとなる。ここで、処理液が、電気分解で処理液を生成するための温度である電解温度まで当該間隙空間で冷却されるように、冷媒の温度設定を選択することができる。
【0084】
循環配管128には、バルブ128Aと、濃度計138と、ポンプ140と、ヒーター142と、フィルター144とが設けられる。
【0085】
循環配管130には、バルブ130Aと、濃度計146と、ポンプ148と、ヒーター150と、フィルター152とが設けられる。
【0086】
供給配管132には、バルブ132Aが設けられる。供給配管134には、バルブ134Aが設けられる。
【0087】
供給配管100には、ポンプ154と、処理液を加熱するヒーター156と、フィルター158と、複数のヒーター159と、バルブ100Aとが設けられる。
【0088】
供給配管100に設けられるヒーター156およびヒーター159、さらには、供給配管202に設けられるヒーター116によって、生成タンクから供給タンク10へ供給される処理液は加熱され、昇温しつつ処理ユニット600へ供給されることとなる。
【0089】
処理液および処理後液を排液するための配管には、排液配管160と、排液配管162と、排液配管164とが含まれる。排液配管160には、バルブ160Aが設けられる。排液配管162には、バルブ162Aが設けられる。排液配管164には、バルブ164Aと、バルブ164Bとが設けられる。
【0090】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置の動作について説明する。本実施の形態に関する基板処理装置による基板処理方法は、処理ユニット600へ搬送された基板Wに対し処理液を吐出して基板処理を行う工程と、基板処理が行われた基板Wを洗浄する工程と、洗浄された基板Wを回転させて乾燥させる工程と、乾燥された基板Wを処理ユニット600から搬出する工程とを備える。
【0091】
以下では、図1に示される構成の場合の基板処理装置の動作に含まれる基板処理について、まず図7および図8を参照しつつ説明する。ここで、図7は、図1に示される構成の場合の、吐出ノズル106Bの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。また、図8は、図1に示される構成の場合の、吐出ノズル106Bの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。図7および図8においては、開状態であるバルブが黒色で示されている。なお、以下に示される動作は、制御部90によって基板処理装置におけるそれぞれの構成(ポンプ、ヒーター、バルブ、または、スピンモータなど)の動作が制御されることによって行われる。
【0092】
まず、循環配管128を介して生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。ここで、電解硫酸とは、硫酸を電気分解することで生成される過硫酸(ペルオキソ二硫酸。すなわち、H)を指す。過硫酸は、同温度でのカロ酸(HSO)よりも強い酸化力を有する。
【0093】
生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ16Aの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Aの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、後述のように、生成タンク20Aには、制御部90によるバルブの制御で、回収配管302を介して処理液が、回収配管304を介して供給後液が、回収配管306を介して処理後液が、それぞれ供給される。
【0094】
生成タンク20Aに貯留されている処理液は、バルブ128Aが開状態で、循環配管128におけるヒーター142でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター144で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ140で電解セル21Aへ送液される。処理液を60℃以下(電解温度)に温度調整することで、硫酸を電気分解した場合の電解硫酸の生成率が増加する。また、処理液を60℃以下に温度調整することで、電解硫酸がカロ酸(HSO)とOHラジカルとに自己分解することが抑制される。
【0095】
そして、電解セル21Aで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。ここで、硫酸が電気分解される際、処理液中の水分子も電気分解されるため、電気分解するほどに処理液の濃度は上昇する。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計138で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Aに送液する処理液の流量を制御する(すなわち、バルブ128Aの開閉を制御することで、計測された濃度が低い場合には処理液の流量を増加させ、計測された濃度が高い場合には処理液の流量を低下させる)。なお、電解硫酸の濃度を低くすると、過硫酸の生成効率が上昇する。
【0096】
上記の生成タンク20Aは生成タンク20Bと冗長構成となっている。よって、生成タンク20Aの場合と同様に、循環配管130を介して生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0097】
生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ16Bの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Bの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、後述のように、生成タンク20Bには、制御部90によるバルブの制御で、回収配管302を介して処理液が、回収配管304を介して供給後液が、回収配管306を介して処理後液が、それぞれ供給される。
【0098】
生成タンク20Bに貯留されている処理液は、バルブ130Aが開状態で、循環配管130におけるヒーター150で電解温度(たとえば60℃以下)に温度調整され、フィルター152で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ148で電解セル21Bへ送液される。
【0099】
そして、電解セル21Bで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計146で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Bに送液する処理液の流量をバルブ130Aの開閉を制御することで調整する。
【0100】
生成タンク20Aと生成タンク20Bとは、切り替え可能に供給タンク10へ処理液を供給可能である。たとえば、図7に例が示されるように、バルブ128Aを開いて循環配管128で処理液を循環させつつ、バルブ132Aを開いて生成タンク20Aから供給タンク10へ処理液を供給し、その間に、バルブ130Aおよびバルブ134Aを閉じて、回収配管302または回収配管304から処理液を生成タンク20Bに貯めておくこともできる。または、生成タンク20Aに貯留されている電解硫酸の濃度が所望の濃度に達していない場合、バルブ128Aを開きつつバルブ132Aを閉じて循環配管128で処理液の循環を継続して硫酸の電気分解によって処理液の濃度を上昇させながら、バルブ130Aおよびバルブ134Aを開いて、循環配管130で循環する所望の濃度に達している処理液を生成タンク20Bから供給タンク10へ供給することができる。すなわち、一方の生成タンク(電解セル)において処理液を生成中であっても、他方の生成タンクから連続的に処理液を供給することができる。
【0101】
いずれかの(または双方の)生成タンクから供給される処理液は、供給配管100におけるヒーター156でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター158で適宜パーティクルなどが除去されて、開状態のバルブ100Aを介してポンプ154で供給タンク10へ送液される。
【0102】
供給タンク10には、供給配管100を介して生成タンクから供給された処理液が貯留される。ここで、供給タンク10の上流の供給配管100に設けられる複数のヒーター159によって、それまで60℃以下で温度制御されていた処理液の温度は、たとえば120℃まで昇温される。また、供給タンク10には、硫酸供給源12から硫酸が適宜供給され、処理液の濃度が調整される。
【0103】
供給タンク10から供給配管102を介して送液される処理液は、供給配管102における温度計117で計測される温度が処理温度(たとえば120℃)になるようにヒーター116で温度調整され、フィルター119で適宜パーティクルなどが除去されて、処理ユニット600および生成タンクへポンプ114で送液される。回収配管302を介して生成タンクへ送液される処理液は、回収配管302の内管302Cと外管302Dとの間の間隙空間に流れる冷媒によって、電解温度まで冷却されながら生成タンクへ送液される。制御部90は、処理レシピを参照して処理ユニット600で行われる基板処理を把握し、流量計112で計測される処理液の流量が当該基板処理に十分な流量となるように、供給配管102で循環する処理液の流量をバルブ102Aの開閉などによって調整する。
【0104】
供給配管102の下流側では、それぞれの処理ユニット600に分岐する供給配管106が設けられる。そして、制御部90の制御によって対応するバルブ106Aを開くことによって、処理ユニット600へ適宜処理液を供給することができる。
【0105】
吐出ノズル106Bの回収状態(図4の弁体37が弁座面46に接触している状態)では、バルブ106Aおよびバルブ108Aが開かれ、供給配管102から供給配管106、さらには回収配管108に供給された供給後液が回収配管304に合流して、生成タンク20Aまたは生成タンク20Bに回収される。また、供給配管102から回収配管302に供給された処理液が、生成タンク20Aまたは生成タンク20Bに回収される。このように、供給後液が供給配管106における吐出ノズル106B内まで流れて回収されることによって、処理液を吐出して基板処理を行う際に、配管と処理液との温度差に起因する処理液の温度変化を抑制することができる。なお、回収状態において回収配管108を介して供給される処理液は、配管の温度維持のための最低限の流量に抑えられることが望ましい。
【0106】
吐出ノズル106Bの吐出状態(図4の弁体37が弁座面46から離れている状態)では、バルブ106Aが開かれる一方でバルブ108Aが閉じられ、吐出ノズル106Bの吐出口31から処理液が基板Wの上面に向けて吐出される。そして、基板処理が行われる。
【0107】
基板Wに吐出され、基板処理に使われた処理液は処理後液として、開状態のバルブ122Aを介して排液配管122へ流れ込む。処理後液は、硫酸イオン(SO 2-)を含む。そして処理後液は、回収配管306に合流して、電解温度まで冷却されながら生成タンクに回収される。
【0108】
電解硫酸は、回収して再度電気分解することによって再び基板処理に用いることができる。そのため、電解硫酸を含む処理液を用いて基板処理を行うことによって、基板処理に伴う排液を減少させることができる。
【0109】
次に、図6に示される構成の場合の基板処理装置の動作に含まれる基板処理について、図9および図10を参照しつつ説明する。ここで、図9は、図6に示される構成の場合の、吐出ノズル106Bの回収状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。また、図10は、図6に示される構成の場合の、吐出ノズル106Bの吐出状態における基板処理装置の構成の例を示す図である。図9および図10においては、開状態であるバルブが黒色で示されている。なお、以下に示される動作は、制御部90によって基板処理装置におけるそれぞれの構成(ポンプ、ヒーター、バルブ、または、スピンモータなど)の動作が制御されることによって行われる。
【0110】
まず、循環配管128を介して生成タンク20Aと電解セル21Aとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0111】
生成タンク20Aには、制御部90によるバルブ16Aの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Aの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、生成タンク20Aには、制御部90によるバルブの制御で、回収配管308を介して処理液または供給後液が、回収配管306を介して処理後液が、それぞれ供給される。
【0112】
生成タンク20Aに貯留されている処理液は、バルブ128Aが開状態で、循環配管128におけるヒーター142でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター144で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ140で電解セル21Aへ送液される。
【0113】
そして、電解セル21Aで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。ここで、硫酸が電気分解される際、処理液中の水分子も電気分解されるため、電気分解するほどに処理液の濃度は上昇する。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計138で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Aに送液する処理液の流量を制御する(すなわち、バルブ128Aの開閉を制御することで、計測された濃度が低い場合には処理液の流量を増加させ、計測された濃度が高い場合には処理液の流量を低下させる)。なお、電解硫酸の濃度を低くすると、過硫酸の生成効率が上昇する。
【0114】
上記の生成タンク20Aは生成タンク20Bと冗長構成となっている。よって、生成タンク20Aの場合と同様に、循環配管130を介して生成タンク20Bと電解セル21Bとの間で硫酸(HSO)を循環させて、電解硫酸を含む処理液を生成する。
【0115】
生成タンク20Bには、制御部90によるバルブ16Bの制御で硫酸供給源16から硫酸が適宜供給される。また、制御部90によるバルブ14Bの制御で純水供給源14から純水(DIW)などが適宜供給される。また、生成タンク20Bには、制御部90によるバルブの制御で、回収配管308を介して処理液または供給後液が、回収配管306を介して処理後液が、それぞれ供給される。
【0116】
生成タンク20Bに貯留されている処理液は、バルブ130Aが開状態で、循環配管130におけるヒーター150で電解温度(たとえば60℃以下)に温度調整され、フィルター152で適宜パーティクルなどが除去されて、ポンプ148で電解セル21Bへ送液される。
【0117】
そして、電解セル21Bで温度調整された硫酸が電気分解されることによって、電解硫酸と硫酸とを含む処理液が生成される。電解硫酸を含む処理液の濃度は濃度計146で計測され、制御部90が、計測された当該濃度に基づいて電解セル21Bに送液する処理液の流量をバルブ130Aの開閉を制御することで調整する。
【0118】
生成タンク20Aと生成タンク20Bとは、切り替え可能に供給タンク10へ処理液を供給可能である。たとえば、図9に例が示されるように、バルブ128Aを開いて循環配管128で処理液を循環させつつ、バルブ132Aを開いて生成タンク20Aから供給タンク10へ処理液を供給し、その間に、バルブ130Aおよびバルブ134Aを閉じて、回収配管308から処理液を生成タンク20Bに貯めておくこともできる。または、生成タンク20Aに貯留されている電解硫酸の濃度が所望の濃度に達していない場合、バルブ128Aを開きつつバルブ132Aを閉じて循環配管128で処理液の循環を継続して硫酸の電気分解によって処理液の濃度を上昇させながら、バルブ130Aおよびバルブ134Aを開いて、循環配管130で循環する所望の濃度に達している処理液を生成タンク20Bから供給タンク10へ供給することができる。すなわち、一方の生成タンク(電解セル)において処理液を生成中であっても、他方の生成タンクから連続的に処理液を供給することができる。
【0119】
いずれかの(または双方の)生成タンクから供給される処理液は、供給配管100におけるヒーター156でたとえば60℃以下に温度調整され、フィルター158で適宜パーティクルなどが除去されて、開状態のバルブ100Aを介してポンプ154で供給タンク10へ送液される。
【0120】
供給タンク10には、供給配管100を介して生成タンクから供給された処理液が貯留される。ここで、供給タンク10の上流の供給配管100に設けられる複数のヒーター159によって、それまで60℃以下で温度制御されていた処理液の温度は、たとえば120℃まで昇温される。また、供給タンク10には、硫酸供給源12から硫酸が適宜供給され、処理液の濃度が調整される。
【0121】
供給タンク10から供給配管202を介して送液される処理液は、供給配管202における温度計117で計測される温度が処理温度(たとえば120℃)になるようにヒーター116で温度調整され、フィルター119で適宜パーティクルなどが除去されて、処理ユニット600および冷却タンク400へポンプ114で送液される。冷却タンク400へ送液された処理液は、冷却タンク400における貯留室400Aにおいて貯留され、貯留されている処理液内に浸漬している冷却配管401に流れる冷却水によって冷却される。そして、冷却された処理液は順次供給室400Bへあふれ出て、回収配管308へ流れる。さらに、回収配管308においても、回収配管308の内管308Cと外管308Dとの間の間隙空間に流れる冷媒によって、電解温度まで冷却されながら生成タンクへ送液される。なお、内管308Cと外管308Dとの間の間隙空間に流れる冷媒は、冷却配管401内に供給された冷媒を再利用することができる。制御部90は、処理レシピを参照して処理ユニット600で行われる基板処理を把握し、流量計112で計測される処理液の流量が当該基板処理に十分な流量となるように、供給配管202に供給される処理液の流量をバルブ102Aの開閉などによって調整する。
【0122】
供給配管202の下流側では、それぞれの処理ユニット600に分岐する供給配管106が設けられる。そして、制御部90の制御によって対応するバルブ106Aを開くことによって、処理ユニット600へ適宜処理液を供給することができる。
【0123】
吐出ノズル106Bの回収状態(図4の弁体37が弁座面46に接触している状態)では、バルブ106Aおよびバルブ108Aが開かれ、供給配管202から供給配管106、さらには回収配管108に供給された供給後液が回収配管310に合流する。そして、供給配管202を流れる処理液に合流しつつ冷却タンク400で冷却された後、供給後液は、回収配管308で冷却されつつ生成タンクへ回収される。
【0124】
このように、供給後液が供給配管106における吐出ノズル106B内まで流れて回収されることによって、処理液を吐出して基板処理を行う際に、配管と処理液との温度差に起因する処理液の温度変化を抑制することができる。なお、回収状態において回収配管108を介して供給される処理液は、配管の温度維持のための最低限の流量に抑えられることが望ましい。
【0125】
吐出ノズル106Bの吐出状態(図4の弁体37が弁座面46から離れている状態)では、バルブ106Aが開かれる一方でバルブ108Aが閉じられ、吐出ノズル106Bの吐出口31から処理液が基板Wの上面に向けて吐出される。そして、基板処理が行われる。
【0126】
基板Wに吐出され、基板処理に使われた処理液は処理後液として、開状態のバルブ122Aを介して排液配管122へ流れ込む。処理後液は、硫酸イオン(SO 2-)を含む。そして処理後液は、回収配管306に合流して、電解温度まで冷却されながら生成タンクに回収される。
【0127】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0128】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、基板処理部と、供給タンク10と、生成部と、回収部〕とを備える。ここで、基板処理部は、たとえば、吐出ノズル106Bを含む処理ユニット600などに対応するものである。また、生成部は、たとえば、電解セルと接続される生成タンク20A(または生成タンク20B)に対応するものである。また、回収部は、たとえば、生成タンクへ接続される回収配管304、(冷却タンク400および)回収配管308などに対応するものである。処理ユニット600は、電解硫酸を含む処理液を用いて基板Wを処理する。供給タンク10は、処理液を昇温しつつ処理ユニット600へ供給する。生成部は、電気分解によって処理液を生成する。また、生成部は、生成された処理液を供給タンク10へ供給する。回収部は、処理ユニット600へ供給され、かつ、基板Wを処理するために使われなかった処理液である供給後液を回収する。そして、回収部は、電気分解によって処理液を生成するための温度である電解温度まで供給後液を冷却しつつ生成部へ供給する。ここで、電解温度とは、電気分解に適した温度である。
【0129】
このような構成によれば、基板処理に使われなかった処理液を回収して、当該処理液を電解温度まで冷却しつつ生成タンクへ供給することによって、生成タンクへ処理液を回収するための送液時間を効果的に活用して処理液の冷却を行うことができる。そのため、電解硫酸が高温状態である時間を減らして電解硫酸の失活を抑制し、また、生成タンクにおけるスムーズな処理液の電気分解を促すことができる。
【0130】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0131】
また、以上に記載された実施の形態によれば、回収配管304、回収配管308が、二重配管を含む。そして、当該二重配管が、供給後液が流れる内管304C(または、内管308C)と、内管304C(または、内管308C)との間に間隙空間を設けつつ内管304C(または、内管308C)を囲む外管304D(または、外管308D)とを備える。そして、間隙空間に冷媒が供給される。このような構成によれば、間隙空間における冷却水が内管302Cに接触することによって、内管302C内を流れる処理液が冷却される。
【0132】
また、以上に記載された実施の形態によれば、回収部が、供給後液を貯留するための貯留部と、貯留部内で供給後液に浸漬される冷却配管401とを含む。ここで、貯留部は、たとえば、貯留室400Aなどに対応するものである。そして、冷却配管401内に冷媒が供給される。このような構成によれば、冷却タンク400の貯留室400Aに貯留されている処理液を、処理液内に浸漬している冷却配管401に接触させることで、冷却配管401内の冷却水によって処理液を冷却することができる。
【0133】
また、以上に記載された実施の形態によれば、貯留室400Aが、処理ユニット600に対して生成部とは反対側に位置する。そして、貯留室400A内で冷却された供給後液が、処理ユニット600に隣接する経路を通って生成部に供給される。このような構成によれば、生成タンクに回収される処理液が、冷却タンク400で冷却された後に処理ユニット600に隣接する回収配管308内を流れることとなる。そのため、十分に温度が下がった状態で処理ユニット600に隣接する領域を通過することとなり、たとえば、処理ユニット600に供給される他の処理液の液温に与え得る影響(他の処理液を昇温させることなど)を抑制することができる。
【0134】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、貯留室400Aで冷却された供給後液を生成部へ供給するための二重配管(たとえば、回収配管308)を備える。回収配管308は、供給後液が流れる内管308Cと、内管308Cとの間に間隙空間を設けつつ内管308Cを囲む外管308Dとを備える。そして、間隙空間に、冷却配管401内に供給された冷媒が供給される。このような構成によれば、冷却配管401内に圧送された冷却水を回収配管308の間隙空間の冷媒としても再利用することができるため、冷却効率を高めることができる。この場合、冷却配管401内に圧送される際に冷却水に付与されている圧力が、間隙空間に冷却水が付与される際にも残存しており、間隙空間内においても冷却水をスムーズに行き渡らせることができる。
【0135】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理方法において、供給タンク10に、基板Wを処理するための処理ユニット600へ供給する処理液を昇温しつつ貯留する。そして、処理ユニット600へ供給され、かつ、基板Wを処理するために使われなかった処理液である供給後液を回収して、電解温度まで供給後液を冷却しつつ生成部へ供給する。そして、生成部において電気分解によって供給後液を含む液から処理液を生成し、生成された処理液を供給タンク10へ供給する。
【0136】
このような構成によれば、基板処理に使われなかった処理液を回収して、当該処理液を電解温度まで冷却しつつ生成タンクへ供給することによって、生成タンクへ処理液を回収するための送液時間を効果的に活用して処理液の冷却を行うことができる。そのため、電解硫酸が高温状態である時間を減らして電解硫酸の失活を抑制し、また、生成タンクにおけるスムーズな処理液の電気分解を促すことができる。
【0137】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0138】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0139】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではない。
【0140】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0141】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0142】
1 基板処理装置
1A 基板処理装置
10 供給タンク
302C 内管
302D 外管
304C 内管
304D 外管
306C 内管
306D 外管
308C 内管
308D 外管
312 間隙空間
401 冷却配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10