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特開2024-108230無線制御システム、無線機及び無線制御盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108230
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】無線制御システム、無線機及び無線制御盤
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20240805BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
G05B19/05 L
G05B19/042
G05B19/05 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012485
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】512319232
【氏名又は名称】株式会社KMC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 声喜
【テーマコード(参考)】
5H220
【Fターム(参考)】
5H220AA06
5H220BB01
5H220BB07
5H220BB17
5H220CC09
5H220CX09
5H220HH01
5H220HH04
5H220JJ12
5H220JJ22
5H220JJ26
5H220JJ29
(57)【要約】
【課題】制御盤の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減や、制御盤の小型化を図る。
【解決手段】無線機は、検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドをPLCから取得すると、特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースは、第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した第1の検出値及び特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信し、無線機は、IN相互情報を無線受信し、IN相互情報に含まれる特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースからIN相互情報を無線受信したことをPLCに通知し、IN相互情報に含まれる第1の検出値を無線機と接続された第1のディスプレイに供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、相互情報を無線送受信可能な無線機と、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースと
を具備し、
前記無線機は、前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースは、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続された第1のディスプレイに供給し、
前記第1のディスプレイは、前記第1の検出値を表示する
無線制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線制御システムであって、
前記産業用機器の複数の動力機器に接続され、相互情報を無線送受信可能であり、固有のOUT側インターフェース識別子により識別される1以上のOUT側インターフェース
をさらに具備し、
前記無線機は、前記動力機器に制御信号を出力するための特定のOUT側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のOUT側インターフェース識別子を含む動力機器制御要求相互情報を生成して無線送信し、
前記特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェースは、前記動力機器制御要求相互情報を無線受信すると、前記制御信号を前記動力機器に出力し、前記特定のOUT側インターフェース識別子を含むOUT受信応答を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記OUT受信応答を無線受信し、前記OUT受信応答に含まれる前記特定のOUT側インターフェース識別子により識別される前記特定のOUT側インターフェースから前記OUT受信応答を無線受信したことを前記PLCに通知する
無線制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線制御システムであって、
前記無線機は、第2の検出値を検出し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のアナログモジュール識別子により識別される1以上のアナログモジュール、の第2の検出値を取得するための特定のアナログモジュール識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のアナログモジュール識別子を含む第2の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のアナログモジュール識別子により識別される特定のアナログモジュールは、前記第2の検出値相互共有情報を無線受信すると、前記第2の検出値及び前記特定のアナログモジュール識別子を含むセンサ相互情報を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記センサ相互情報を受信し、前記センサ相互情報に含まれる前記特定のアナログモジュール識別子により識別される前記特定のアナログモジュールから前記センサ相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を前記第1のディスプレイに供給し、
前記第1のディスプレイは、前記第2の検出値を表示する
無線制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線制御システムであって、
前記PLCは、前記無線機から無線受信したことの通知を受けると、情報処理プログラムに記述された次のコマンドを前記無線機に出力する処理を繰り返し、出力したコマンドに関して無線受信したことの通知を前記無線機から受けない場合、前記1以上のOUT側インターフェースに接続された前記複数の動力機器の動作を停止させるためのコマンドを前記無線機に順次出力し、
前記無線機は、前記停止させるためのコマンドを前記PLCから取得すると、前記1以上のOUT側インターフェースに、前記産業用機器の動作を停止させるため動力機器停止要求相互情報を順次無線送信する
無線制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の無線制御システムであって、
前記PLCは、前記産業用機器の動作を停止させるためのコマンドを前記無線機に出力すると、前記1以上のIN側インターフェース及び前記1以上のアナログモジュールから検出値を取得するためのコマンドを前記無線機に順次出力し、
前記無線機は、前記検出値を取得するためのコマンドを前記PLCから取得すると、前記1以上のIN側インターフェース及び前記1以上のアナログモジュールに、前記検出値相互共有情報を順次無線送信する
無線制御システム。
【請求項6】
請求項3に記載の無線制御システムであって、
前記1以上のアナログモジュール
をさらに具備する無線制御システム。
【請求項7】
請求項3に記載の無線制御システムであって、
前記IN相互情報及び前記センサ相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値及び前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を第2のディスプレイに供給するデータ収集装置
をさらに具備し、
前記第2のディスプレイは、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値及び前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を表示する
無線制御システム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の無線制御システムであって、
前記第1のディスプレイ
をさらに具備する無線制御システム。
【請求項9】
請求項8に記載の無線制御システムであって、
前記無線機及び前記第1のディスプレイは、単一の筐体に収容された無線制御盤として構成される
無線制御システム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線制御システムであって、
前記PLC
をさらに具備する無線制御システム。
【請求項11】
請求項10に記載の無線制御システムであって、
前記PLCは、前記単一の筐体に収容された前記無線制御盤として構成される
無線制御システム。
【請求項12】
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースとの間で相互情報を無線送受信可能な無線機であって、
前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースが、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信した、
前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続され、前記第1の検出値を表示する第1のディスプレイに供給する
無線機。
【請求項13】
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースとの間で相互情報を無線送受信可能な無線機であって、
前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースが、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信した、
前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続され、前記第1の検出値を表示する第1のディスプレイに供給する
無線機と、
前記第1の検出値を表示する前記第1のディスプレイと、
を具備する無線制御盤。
【請求項14】
請求項13に記載の無線制御盤であって、
前記PLC
をさらに具備する無線制御盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FA(Factory Automation)機器などの産業用機器の制御に使用される無線制御システム、無線機及び無線制御盤に関する。
【背景技術】
【0002】
FA機器や専用自動機、プレス機などの工作機械などの産業用機器全般に利用されている制御装置として、PLC(Programmable Logic Controller)と言う機械制御用のコンピュータでの制御が用いられている(特許文献1)。制御盤と呼ばれるボックスの中で、PLCを中心に、FA機器の制御のためのインプット及びアウトプットするための配線が、端子台、各センサ及び制御動力機器等へ配線されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-46293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御盤においては、PLCへの入力情報のインプットのためにセンサ等配線が必要であり、また、PLCから出力機器への指令のアウトプットのために配線が必要である。PLCに対する入力点数及び出力点数が非常に多いため、それらの入出力ユニットと端子台や具体的配線等が必要となる。入力センサの点数と出力機器の点数分すべてのインプット及びアウトプットのための増設ユニットが必須である。このため、配線機材も多く、物理的な配線作業の工数が多い。この様な配線機材の増設ユニットのオプション部品は高価で、場所も取り、制御盤が大型化する。特にアナログ情報入力機器のオプションは非常に高価で、例えば、一般的なプレス機器では数十万円以上の費用が掛かることもある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、制御盤の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減や、制御盤の小型化を図ることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る無線制御システムは、
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、相互情報を無線送受信可能な無線機と、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースと
を具備し、
前記無線機は、前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースは、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続された第1のディスプレイにも供給し、
前記第1のディスプレイは、前記第1の検出値を表示する。
【0007】
本実施形態によれば、産業用機器に対するIN(第1の検出値の収集)を無線化することができる。これにより、無線制御盤内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0008】
無線制御システムは、
前記産業用機器の複数の動力機器に接続され、相互情報を無線送受信可能であり、固有のOUT側インターフェース識別子により識別される1以上のOUT側インターフェース
をさらに具備し、
前記無線機は、前記動力機器に制御信号を出力するための特定のOUT側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のOUT側インターフェース識別子を含む動力機器制御要求相互情報を生成して無線送信し、
前記特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェースは、前記動力機器制御要求相互情報を無線受信すると、前記制御信号を前記動力機器に出力し、前記特定のOUT側インターフェース識別子を含むOUT受信応答を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記OUT受信応答を無線受信し、前記OUT受信応答に含まれる前記特定のOUT側インターフェース識別子により識別される前記特定のOUT側インターフェースから前記OUT受信応答を無線受信したことを前記PLCに通知してもよい。
【0009】
本実施形態によれば、産業用機器に対するOUT(動力機器の制御)を無線化することができる。これにより、無線制御盤内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0010】
前記無線機は、第2の検出値を検出し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のアナログモジュール識別子により識別される1以上のアナログモジュール、の第2の検出値を取得するための特定のアナログモジュール識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のアナログモジュール識別子を含む第2の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のアナログモジュール識別子により識別される特定のアナログモジュールは、前記第2の検出値相互共有情報を無線受信すると、前記第2の検出値及び前記特定のアナログモジュール識別子を含むセンサ相互情報を生成して無線送信し、
前記無線機は、前記センサ相互情報を受信し、前記センサ相互情報に含まれる前記特定のアナログモジュール識別子により識別される前記特定のアナログモジュールから前記センサ相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を前記第1のディスプレイに供給し、
前記第1のディスプレイは、前記第2の検出値を表示してもよい。
【0011】
本実施形態によれば、産業用機器に対するのIN(第2の検出値の収集)を無線化することができる。これにより、無線制御盤内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0012】
前記PLCは、前記無線機から無線受信したことの通知を受けると、情報処理プログラムに記述された次のコマンドを前記無線機に出力する処理を繰り返し、出力したコマンドに関して無線受信したことの通知を前記無線機から受けない場合、前記1以上のOUT側インターフェースに接続された前記複数の動力機器の動作を停止させるためのコマンドを前記無線機に順次出力し、
前記無線機は、前記停止させるためのコマンドを前記PLCから取得すると、前記1以上のOUT側インターフェースに、前記産業用機器の動作を停止させるため動力機器停止要求相互情報を順次無線送信してもよい。
【0013】
産業用機器を停止するための情報処理プログラムは、本実施形態と異なり産業用機器と無線制御盤が有線で接続されているシステムにおいて断線が生じたときに、産業用機器を停止するのに用いられる情報処理プログラムを応用することが出来る。
【0014】
前記PLCは、前記産業用機器の動作を停止させるためのコマンドを前記無線機に出力すると、前記1以上のIN側インターフェース及び前記1以上のアナログモジュールから検出値を取得するためのコマンドを前記無線機に順次出力し、
前記無線機は、前記検出値を取得するためのコマンドを前記PLCから取得すると、前記1以上のIN側インターフェース及び前記1以上のアナログモジュールに、前記検出値相互共有情報を順次無線送信してもよい。
【0015】
これにより、作業者や管理者等は、無線機からOUT側インターフェースを介して出力された停止信号に基づき複数の動力機器が停止することに起因した値である、複数の検出器101の第1の検出値及び1以上のアナログモジュールの第2の検出値を知ることが出来る。
【0016】
無線制御システムは、
前記1以上のアナログモジュール
をさらに具備してもよい。
【0017】
アナログモジュールは、コンピュータ及び無線送受信モジュールを有し、相互情報を無線送信可能である。このため、アナログモジュールを必要に応じて事後的に適宜増設することも可能である。
【0018】
無線制御システムは、
前記IN相互情報及び前記センサ相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値及び前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を第2のディスプレイに供給するデータ収集装置
をさらに具備し、
前記第2のディスプレイは、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値及び前記センサ相互情報に含まれる前記第2の検出値を表示してもよい。
【0019】
データ収集装置は、第1の検出値又は第2の検出値を、例えば無線制御盤やクラウド経由ではなく直接、複数のIN側インターフェース及び1以上のアナログモジュールから無線受信し、表示する。これにより、作業者や管理者等は、無線機からOUT側インターフェースを介して出力された制御信号や停止信号に基づき複数の動力機器が動作や停止することに起因した値である、複数のIN側インターフェース及び1以上のアナログモジュールの第1の検出値及び第2の検出値を即座に知ることが出来る。
【0020】
無線制御システムは、
前記第1のディスプレイ
をさらに具備してもよい。
【0021】
さらに、PLCが無線機を介して相互情報を無線送受信可能であるから、PLCを無線で遠隔制御することも可能である。また、無線制御盤がセンサ検出値の相互情報を無線受信し表示することで、センサ検出値をクラウド等を介さずに直接得ることが可能である。
【0022】
前記無線機及び前記第1のディスプレイは、単一の筐体に収容された無線制御盤として構成されてもよい。
【0023】
本実施形態によれば、無線制御盤内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0024】
無線制御システムは、
前記PLC
をさらに具備してもよい。
【0025】
さらに、PLCが無線機を介して相互情報を無線送受信可能であるから、PLCを無線で遠隔制御することも可能である。また、無線制御盤及びデータ収集装置がそれぞれセンサ検出値の相互情報を無線受信し表示することで、無線制御盤及びデータ収集装置が、センサ検出値を、クラウド等を介さずに直接共有し連携することが可能である。
【0026】
前記PLCは、前記単一の筐体に収容された前記無線制御盤として構成されてもよい。
【0027】
本実施形態によれば、無線制御盤内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0028】
本発明の一形態に係る無線機は、
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースとの間で相互情報を無線送受信可能な無線機であって、
前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースが、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信した、
前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続され、前記第1の検出値を表示する第1のディスプレイに供給する。
【0029】
本発明の一形態に係る無線制御盤は、
1以上の産業用機器を制御するPLCと通信可能に接続され、
前記産業用機器の複数の検出器に接続されて前記検出器が検出する第1の検出値を収集し、相互情報を無線送受信可能であり、固有のIN側インターフェース識別子により識別される1以上のIN側インターフェースとの間で相互情報を無線送受信可能な無線機であって、
前記検出器の第1の検出値を取得するための特定のIN側インターフェース識別子を含むコマンドを前記PLCから取得すると、前記特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報を生成して無線送信し、
前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェースが、前記第1の検出値相互共有情報を無線受信すると、収集した前記第1の検出値及び前記特定のIN側インターフェース識別子を含むIN相互情報を生成して無線送信した、
前記IN相互情報を無線受信し、前記IN相互情報に含まれる前記特定のIN側インターフェース識別子により識別される前記特定のIN側インターフェースから前記IN相互情報を無線受信したことを前記PLCに通知し、前記IN相互情報に含まれる前記第1の検出値を前記無線機と接続され、前記第1の検出値を表示する第1のディスプレイに供給する
無線機と、
前記第1の検出値を表示する前記第1のディスプレイと、
を具備する。
【0030】
無線制御盤では、
前記PLC
をさらに具備してもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、制御盤の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減や、制御盤の小型化を図ることが可能となる。
【0032】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る無線制御システムの構成を示す。
図2】無線制御盤の動作フローを示す。
図3】OUT側インターフェースの動作フローを示す。
図4】IN側インターフェース及びアナログモジュールの動作フローを示す。
図5】データ収集装置の動作フローを示す。
図6】本発明の一変形例に係る無線制御盤の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0035】
1.無線制御システムの構成
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線制御システムの構成を示す。
【0037】
1以上の産業用機器100は、工場等に設置された各種製造機器等であり、例えば、プレス機等の工作機器や、加工食品製造機等のFA機器等である。産業用機器100は、複数の様々な検出器101と、複数の動力機器102とを有する。以下、特記しない限り、単数の産業用機器100を図示及び説明する。
【0038】
複数の様々な検出器101は、第1の検出値を検出する。第1の検出値は、ON/OFFの2値(バイナリ値)、テキストデータ、アナログデータ等でよい。複数の検出器101は、例えば、マイクロスイッチ、シリンダセンサ、近接センサ、押し釦スイッチ、圧力センサ、他のセンサ等を含む。
【0039】
動力機器102は、PLC201(後述)からの制御信号に従って駆動する。複数の動力機器102は、例えば、電磁弁、モータ、表示器、ブザー、ランプ、リニアアクチュエータ等を含む。
【0040】
無線制御システム1は、1以上の産業用機器100を無線制御する。無線制御システム1は、無線制御盤200、1以上(典型的には複数)のIN側インターフェース300及び1以上(典型的には複数)のOUT側インターフェース400を含む。無線制御システム1は、さらに、1以上(典型的には複数)のアナログモジュール600、1以上のデータ収集装置500及び1以上のアクセスポイント700を含んでもよい。
【0041】
無線制御盤200は、PLC201、無線機202及びディスプレイ203(第1のディスプレイ)を含む。逆に言えば、PLC201、無線機202及びディスプレイ203は、単一の筐体に収容された無線制御盤200として構成される。無線機202及びPLC201はLANケーブルを介して有線で接続され、無線機202及びディスプレイ203はUSB及びHDMI(登録商標)を介して有線で接続される。PLC201は、1以上の産業用機器100を制御するための情報処理プログラムを実行する。言い換えれば、1個のPLC201で、複数の産業用機器100を制御してもよい。無線機202は、PLC201及びディスプレイ203に接続されるシングルボードコンピュータ及び無線送受信モジュールを有する。ディスプレイ203は、例えば、液晶やOELD等のディスプレイであり、タッチパネル機能を有してもよい。無線機202は、ネットワークNを介して相互情報を双方向に無線送受信可能である。無線制御盤200は、さらに、1以上のスイッチや1以上の表示灯を有してもよい。
【0042】
複数のIN側インターフェース300は、それぞれ、固有のIN側インターフェース識別子により識別される。複数のIN側インターフェース300は、それぞれ、産業用機器100の複数の検出器101に典型的には有線で接続されて検出器101が検出する第1の検出値を収集する。複数のIN側インターフェース300は、コンピュータ及び無線送受信モジュールを有し、ネットワークNを介して相互情報を双方向に無線送受信可能である。以下、特記しない限り、単数のIN側インターフェース300を図示及び説明する。
【0043】
複数のOUT側インターフェース400は、それぞれ、固有のOUT側インターフェース識別子により識別される。複数のOUT側インターフェース400は、それぞれ、産業用機器100の複数の動力機器102に典型的には有線で接続される。複数のOUT側インターフェース400は、コンピュータ及び無線送受信モジュールを有し、ネットワークNを介して相互情報を双方向に無線送受信可能である。以下、特記しない限り、単数のOUT側インターフェース400を図示及び説明する。
【0044】
1以上のアナログモジュール600は、典型的には産業用機器100に外付けされ、バイナリ値ではないアナログ検出値である第2の検出値を検出する。1以上のアナログモジュール600の少なくとも一部は、産業用機器100に内蔵されてもよい。1以上のアナログモジュール600は、温度センサ、圧力センサ、振動センサ、距離センサ、電流センサ、回転センサ等を含む。1以上のアナログモジュール600は、それぞれ、固有のアナログモジュール識別子により識別される。1以上のアナログモジュール600は、コンピュータ及び無線送受信モジュールを有し、ネットワークNを介して相互情報を無線送信可能である。このため、アナログモジュール600を必要に応じて事後的に適宜増設することも可能である。以下、特記しない限り、単数のアナログモジュール600を図示及び説明する。
【0045】
データ収集装置500は、コンピュータ501及び無線機502を少なくとも有し、ディスプレイ503(第2のディスプレイ)をさらに有する又は接続される。コンピュータ501は、無線機502を介して、複数のIN側インターフェース300及び1以上のアナログモジュール600が無線送信する相互情報を無線受信し、相互情報に含まれる検出値をディスプレイ503に表示する。データ収集装置500は、コンピュータ501、無線機502及びディスプレイ503が一体化した情報処理装置(パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ等)でもよい。あるいは、データ収集装置500は、ディスプレイ503を有する情報処理装置(パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ等)に例えばUSB接続された、コンピュータ501(マイコン)及び無線機502を有する小型の通信デバイス(タグ)でもよい。これらの情報処理装置(パーソナルコンピュータやタブレットコンピュータ等)は、例えば、産業用機器100が設置された現場で、作業者や管理者等が使用するデバイスでよい。
【0046】
アクセスポイント700は、無線制御盤200、1以上のIN側インターフェース300、1以上のOUT側インターフェース400、1以上のアナログモジュール600及び1以上のデータ収集装置500の間でネットワークNを介して無線送受信される相互情報を中継する。
【0047】
2.無線制御システムの動作
【0048】
図2は、無線制御盤の動作フローを示す。
【0049】
動作の前提として、無線制御盤200のPLC201は、ROM等に記録された情報処理プログラムをCPUがRAMにロードして実行することにより、産業用機器100を制御する。情報処理プログラムは、典型的には、ラダープログラムである。PLC201は、ラダープログラムに記述された複数のコマンドを例えば数ミリ秒毎に順次シーケンシャルに無限ループで実行し続けることにより、産業用機器100を制御し続ける。ラダープログラムに記述された複数のコマンドは、各OUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に制御信号を出力するためのコマンドと、各IN側インターフェース300に接続された複数の検出器101の第1の検出値を取得するためのコマンドと、各アナログモジュール600の第2の検出値を取得するためのコマンドと、を含む。
【0050】
無線制御盤200のPLC201は、ラダープログラムに記述されたコマンド、例えば、特定の(即ち、1個の)OUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に制御信号を出力するためのコマンドを読み出す(ステップS201)。PLC201は、特定のOUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に制御信号を出力するためのコマンドを、無線機202に出力する(ステップS202)。PLC201が無線機202に出力するコマンドは、特定のOUT側インターフェース400を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含む。無線機202は、特定のOUT側インターフェース識別子と、複数の動力機器102に対する制御信号とを含む動力機器制御要求相互情報データを生成して無線送信する(ステップS203)。
【0051】
図3は、OUT側インターフェースの動作フローを示す。
【0052】
OUT側インターフェース400は、無線制御盤200の無線機202から無線送信された動力機器制御要求相互情報データを無線受信する(ステップS401)。OUT側インターフェース400は、動力機器制御要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含むか否かを判断する(ステップS402)。OUT側インターフェース400は、動力機器制御要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含む場合(ステップS402、YES)、OUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に、無線受信した動力機器制御要求相互情報に含まれる制御信号を出力し、複数の動力機器102を制御する(ステップS403)。OUT側インターフェース400は、特定の(OUT側インターフェース400自身の)OUT側インターフェース識別子を含み無線制御盤200の無線機202を宛先とするOUT受信応答(ACK)を生成して無線送信する(ステップS404)。一方、OUT側インターフェース400は、動力機器制御要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含まない場合(ステップS402、NO)、無線受信した動力機器制御要求相互情報を受け付けない。情報を受け付けないとは、例えば、先ず識別子をチェックして自身の識別子を含まれなければそれ以降を読まない、情報を破棄する、等でよい。
【0053】
図2を再び参照する。無線制御盤200の無線機202は、OUT側インターフェース400が無線送信したOUT受信応答(ACK)を無線受信し、OUT受信応答に含まれる特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェース400からOUT受信応答を無線受信したことをPLC201に通知する(ステップS204、YES)。PLC201は、OUT受信応答に含まれる特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に対して制御信号の出力が成功したことや制御の内容をディスプレイ203に供給し、ディスプレイ203はそれを表示してもよい(ステップS205)。
【0054】
無線制御盤200のPLC201は、ラダープログラムに記述された次のコマンド、例えば、特定の(即ち、1個の)IN側インターフェース300に接続された複数の検出器101の第1の検出値を取得するためのコマンドを読み出す(ステップS201)。PLC201は、特定のIN側インターフェース300に接続された複数の検出器101の第1の検出値を取得するためのコマンドを、無線機202に出力する(ステップS202)。PLC201が無線機202に出力するコマンドは、特定のIN側インターフェース300を識別する特定のIN側インターフェース識別子を含む。無線機202は、特定のIN側インターフェース識別子を含む第1の検出値相互共有情報データを生成して無線送信する(ステップS203)。
【0055】
図4は、IN側インターフェース及びアナログモジュールの動作フローを示す。
【0056】
IN側インターフェース300は、無線制御盤200の無線機202から無線送信された第1の検出値相互共有情報データを無線受信する(ステップS301)。IN側インターフェース300は、第1の検出値相互共有情報が、このIN側インターフェース300自身を識別する特定のIN側インターフェース識別子を含むか否かを判断する(ステップS302)。IN側インターフェース300は、第1の検出値相互共有情報が、このIN側インターフェース300自身を識別する特定のIN側インターフェース識別子を含む場合(ステップS302、YES)、IN側インターフェース300に接続された複数の検出器101から収集した第1の検出値及び特定の(IN側インターフェース300自身の)IN側インターフェース識別子を含み無線制御盤200の無線機202を宛先とするIN相互情報データを生成して無線送信する(ステップS303)。一方、IN側インターフェース300は、第1の検出値相互共有情報が、このIN側インターフェース300自身を識別する特定のIN側インターフェース識別子を含まない場合(ステップS302、NO)、無線受信した第1の検出値相互共有情報を受け付けない。
【0057】
図2を再び参照する。無線制御盤200の無線機202は、IN側インターフェース300が無線送信したIN相互情報データを無線受信し、IN相互情報に含まれる特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェース300からIN相互情報データを無線受信したことをPLC201に通知する(ステップS204、YES)。PLC201は、IN相互情報に含まれる特定のIN側インターフェース識別子により識別される特定のIN側インターフェース300に接続された複数の検出器101の第1の検出値をディスプレイ203に供給する。ディスプレイ203は、第1の検出値を表示(デジタル、アナログ、グラフ表示等)する(ステップS205)。これにより、作業者や管理者等は、無線機202からOUT側インターフェース400を介して出力された制御信号に基づき複数の動力機器102が動作することに起因した値である、複数の検出器101の第1の検出値を知ることが出来る。
【0058】
無線制御盤200のPLC201は、ラダープログラムに記述された次のコマンド、例えば、特定の(即ち、1個の)アナログモジュール600の第2の検出値を取得するためのコマンドを読み出す(ステップS201)。PLC201は、特定のアナログモジュール600の第2の検出値を取得するためのコマンドを、無線機202に出力する(ステップS202)。PLC201が無線機202に出力するコマンドは、特定のアナログモジュール600を識別する特定のアナログモジュール識別子を含む。無線機202は、特定のアナログモジュール識別子を含む第2の検出値相互共有情報データを生成して無線送信する(ステップS203)。
【0059】
図4を再び参照する。アナログモジュール600は、無線制御盤200の無線機202から無線送信された第2の検出値相互共有情報データを無線受信する(ステップS301)。アナログモジュール600は、第2の検出値相互共有情報が、このアナログモジュール600自身を識別する特定のアナログモジュール識別子を含むか否かを判断する(ステップS302)。アナログモジュール600は、第2の検出値相互共有情報が、このアナログモジュール600自身を識別する特定のアナログモジュール識別子を含む場合(ステップS302、YES)、アナログモジュール600が検出する第2の検出値及び特定の(アナログモジュール600自身の)アナログモジュール識別子を含み無線制御盤200の無線機202を宛先とするセンサ相互情報データを生成して無線送信する(ステップS303)。一方、アナログモジュール600は、第2の検出値相互共有情報が、このアナログモジュール600自身を識別する特定のアナログモジュール識別子を含まない場合(ステップS302、NO)、無線受信した第2の検出値相互共有情報を受け付けない。
【0060】
図2を再び参照する。無線制御盤200の無線機202は、アナログモジュール600が無線送信したセンサ相互情報データを無線受信し、センサ相互情報に含まれる特定のアナログモジュール識別子により識別される特定のアナログモジュール600からセンサ相互情報データを無線受信したことをPLC201に通知する(ステップS204、YES)。PLC201は、センサ相互情報に含まれる特定のアナログモジュール識別子により識別される特定のアナログモジュール600の第2の検出値をディスプレイ203に供給する。ディスプレイ203は、第2の検出値を表示する(ステップS205)。これにより、作業者や管理者等は、無線機202からOUT側インターフェース400を介して出力された制御信号に基づき複数の動力機器102が動作することに起因した値である、特定のアナログモジュール600の第2の検出値を知ることが出来る。
【0061】
この様に、無線制御盤200のPLC201は、無線機202から無線受信したことの通知を受けると(ステップS204、YES)、情報処理プログラムに記述された次のコマンドを無線機202に出力する処理(ステップS201)を繰り返す。一方、無線制御盤200のPLC201は、出力した何れかのコマンドに関して無線受信したことの通知を無線機202から受けない(例えば、受けずに一定時間が経過した)場合(ステップS204、NO)、産業用機器100を停止又は状況に応じた適切な情報処理プログラムを実行するなどする(ステップS206)。この情報処理プログラムもラダープログラムでよい。例えば、産業用機器100を停止するための情報処理プログラムは、本実施形態と異なり産業用機器と無線制御盤が有線で接続されているシステムにおいて断線が生じたときに、産業用機器を停止又は状況に応じた適切な処理を実行するのに用いられる情報処理プログラムを応用することが出来る。一例として、PLC201は、子機(インターフェース)の情報の中に電圧監視情報を含めており、バッテリー等である一定の電圧以下になっていた場合、警告を発砲し、電池交換を促し、動作を一時停止するなどのプログラムを実行してもよい。その振る舞いは方法の内容で変更してもよい。別の例として、PLC201は、電波強度情報を確認し、一定レベル以下になっていた場合は、アンテナ破損やアンテナの向きが変わった、アンテナが故障などの報告を発砲し、改善を促すと同時に、完全停止状態プログラムを実行してもよい。
【0062】
無線制御盤200のPLC201は、産業用機器100を停止するためのラダープログラムに記述されたコマンド、即ち、特定の(即ち、1個の)OUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102の動作を停止させるためのコマンドを読み出す(ステップS201)。PLC201は、特定のOUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102の動作を停止させるためのコマンドを、無線機202に出力する(ステップS202)。PLC201が無線機202に出力するコマンドは、特定のOUT側インターフェース400を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含む。無線機202は、特定のOUT側インターフェース識別子と、複数の動力機器102に対する停止信号とを含む動力機器停止要求相互情報データを生成して無線送信する(ステップS203)。
【0063】
図3を再び参照する。OUT側インターフェース400は、無線制御盤200の無線機202から無線送信された動力機器停止要求相互情報データを無線受信する(ステップS401)。OUT側インターフェース400は、動力機器停止要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含むか否かを判断する(ステップS402)。OUT側インターフェース400は、動力機器停止要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含む場合(ステップS402、YES)、OUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に停止信号を出力し、複数の動力機器102を停止させる(ステップS403)。OUT側インターフェース400は、特定の(OUT側インターフェース400自身の)OUT側インターフェース識別子を含み無線制御盤200の無線機202を宛先とするOUT受信応答(ACK)を生成して無線送信する(ステップS404)。一方、OUT側インターフェース400は、動力機器停止要求相互情報が、このOUT側インターフェース400自身を識別する特定のOUT側インターフェース識別子を含まない場合(ステップS402、NO)、無線受信した動力機器停止要求相互情報を受け付けない。
【0064】
図2を再び参照する。無線制御盤200の無線機202は、OUT側インターフェース400が無線送信したOUT受信応答(ACK)を無線受信し、OUT受信応答に含まれる特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェース400からOUT受信応答を無線受信したことをPLC201に通知する(ステップS204、YES)。PLC201は、OUT受信応答に含まれる特定のOUT側インターフェース識別子により識別される特定のOUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102に対して停止信号の出力が成功したことをディスプレイ203に供給し、ディスプレイ203はそれを表示してもよい(ステップS205)。
【0065】
無線制御盤200のPLC201は、産業用機器100を停止するためのラダープログラムを実行することで、1以上のOUT側インターフェース400に接続された複数の動力機器102の動作を停止させるためのコマンドを無線機202に順次シーケンシャルに出力する(ステップS202)。無線機202は、停止させるためのコマンドをPLC201から取得すると、1以上のOUT側インターフェース400に、産業用機器100の動作を停止させるため動力機器停止要求相互情報を順次無線送信する(ステップS203)。なお、PLC201が実行するラダープログラムの設計によるが、1以上のOUT側インターフェース400を宛先とする共通の動力機器停止要求相互情報を無線機202が無線送信してもよい。
【0066】
無線制御盤200のPLC201は、産業用機器100を停止するためのラダープログラムを実行することで、産業用機器100の複数の動力機器102の動作を停止させるためのコマンドを無線機202に出力し終えると、1以上のIN側インターフェース300及び1以上のアナログモジュール600から検出値を取得するためのコマンドを無線機202にシーケンシャルに順次出力する(ステップS202)。無線機202は、検出値を取得するためのコマンドをPLC201から取得すると、1以上のIN側インターフェース300及び1以上のアナログモジュール600に、検出値相互共有情報を順次無線送信する(ステップS203)。
【0067】
無線制御盤200の無線機202は、IN側インターフェース300が無線送信したIN相互情報及びアナログモジュール600が無線送信したセンサ相互情報を、順次無線受信し、相互情報データを無線受信したことをPLC201に通知する(ステップS204、YES)。PLC201は、IN相互情報に含まれる第1の検出値及びセンサ相互情報に含まれる第2の検出値を、順次ディスプレイ203に供給する。ディスプレイ203は、第1の検出値及び第2の検出値を、順次表示する(ステップS205)。これにより、作業者や管理者等は、無線機202からOUT側インターフェース400を介して出力された停止信号に基づき複数の動力機器102が停止することに起因した値である、複数の検出器101の第1の検出値及び1以上のアナログモジュール600の第2の検出値を知ることが出来る。
【0068】
図5は、データ収集装置の動作フローを示す。
【0069】
一方、データ収集装置500のコンピュータ501は、ROMに記録された情報処理プログラムをCPUがRAMにロードして実行することにより、無線機502を介して、無線送信される相互情報データを無線受信する(ステップS501)。ROMには、データ収集装置500が受信し処理すべき相互情報の送信元である複数のIN側インターフェース300を識別するIN側インターフェース識別子及び1以上のアナログモジュール600を識別するアナログモジュール識別子が予め記録されている。
【0070】
コンピュータ501は、無線受信した相互情報が、ROMに記録された何れかのIN側インターフェース識別子及びアナログモジュール識別子が送信元として記述されたIN相互情報又はセンサ相互情報であるか否かを判断する(ステップS502)。コンピュータ501は、無線受信した相互情報が、ROMに記録された何れかのIN側インターフェース識別子及びアナログモジュール識別子が送信元として記述されたIN相互情報又はセンサ相互情報である場合(ステップS502、YES)、受信したIN相互情報又はセンサ相互情報に含まれる第1の検出値又は第2の検出値をディスプレイ503に供給する。ディスプレイ503は、第1の検出値又は第2の検出値を表示する(ステップS503)。
【0071】
一方、コンピュータ501は、無線受信した相互情報が、ROMに記録された何れかのIN側インターフェース識別子及びアナログモジュール識別子が送信元として記述されたIN相互情報又はセンサ相互情報でない場合(ステップS502、NO)、無線受信した相互情報を受け付けない。この様に、データ収集装置500は、第1の検出値又は第2の検出値を、例えば無線制御盤200やクラウド経由ではなく直接、複数のIN側インターフェース300及び1以上のアナログモジュール600から無線受信し、表示する。これにより、作業者や管理者等は、無線機202からOUT側インターフェース400を介して出力された制御信号や停止信号に基づき複数の動力機器102が動作や停止することに起因した値である、複数のIN側インターフェース300及び1以上のアナログモジュール600の第1の検出値及び第2の検出値を即座に知ることが出来る。
【0072】
3.変形例
【0073】
図6は、本発明の一変形例に係る無線制御盤の構成を示す。
【0074】
上記実施形態(図1)では、PLC201、無線機202及びディスプレイ203は、単一の筐体に収容された無線制御盤200として構成される。これに代えて、変形例に係る無線制御システムでは、無線機202及びディスプレイ203は、単一の筐体に収容された無線制御盤200として構成される。一方、PLC201は、無線制御盤200には含まれず、典型的には、産業用機器100を制御するための専用制御盤210に含まれる。逆に言えば、無線制御盤200の導入対象となる産業用機器100が専用制御盤210に含まれる既存のPLC201を有する場合には、無線制御盤200に別途のPLCを導入するのではなく、既存のPLC201を利用することが可能である。この場合も、無線制御盤200内の無線機202と、産業用機器100の専用制御盤210のPLC201とは、LAN、EtherCAT、CCリンク、その他の通信規格等のケーブルを介して有線で接続されればよい。本変形例に係る無線制御システムのその他の構成及び動作は、第1の実施形態に係る変形例に係る無線制御システム1のその他の構成及び動作と同様である。
【0075】
4.結語
【0076】
典型的に、制御盤においては、PLCへの入力情報のインプットのためにセンサ等配線が必要であり、また、PLCから出力機器への指令のアウトプットのために配線が必要である。PLCに対する入力点数及び出力点数が非常に多いため、それらの入出力ユニットと端子台や具体的配線等が必要となる。入力センサの点数と出力機器の点数分すべてのインプット及びアウトプットのための増設ユニットが必須である。このため、配線機材も多く、物理的な配線作業の工数が多い。この様な配線機材の増設ユニットのオプション部品は高価で、場所も取り、制御盤が大型化する。特にアナログ情報入力機器のオプションは非常に高価で、例えば、一般的なプレス機器では数十万円以上の費用が掛かることもある。また、制御盤と制御される機器とは、運搬や移設、管理面で通常切り離せるようにする。端子台に各配線端子に一つずつ番号を付けたチューブ等を敷設しながら施工を行う。これらの作業が、毎回大きな手作業工数として発生する。
【0077】
これに対して、本実施形態によれば、1以上のIN側インターフェース300、1以上のOUT側インターフェース400及び1以上のアナログモジュール600、そしてそれらの情報データを無線送受信する親機として機能する無線制御盤200により無線制御システム1を構成することで、産業用機器100に対するOUT(動力機器102の制御)及びIN(センサデータ収集)を無線化することができる。無線制御盤200は、PLC201、無線機202及びディスプレイ203が単一の筐体に収容されたコンパクトな無線制御盤である。これにより、無線制御盤200内の配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤200と他の機器類との配線機材の大幅削減及び配線作業工数の削減、無線制御盤200の小型化などによる大きな効果として、炭酸ガスの排出量の削減も図れる。
【0078】
さらに、PLC201が無線機202を介して情報を無線送受信可能であるから、PLC201を無線で遠隔制御することも可能である。また、無線制御盤200及びデータ収集装置500がそれぞれセンサ検出値の相互情報データを無線受信し表示することで、無線制御盤200及びデータ収集装置500が、センサ検出値をクラウド等に介さずに直接共有し連携することが可能である。
【0079】
さらに、典型的には、PLCが産業用機器を制御するための専用制御盤に含まれており、産業用機器と専用制御盤を有線で接続するため、各産業用機器の近傍に各専用制御盤が1対1で設置されるケースがある。これに対して、本実施形態では、無線制御盤200は、1以上の産業用機器100を1個の無線制御盤200で無線制御することが出来る。このため、例えば現場内に点在する複数の産業用機器100を、1個の無線制御盤200によりワンストップで無線制御することが出来る。無線通信範囲内であれば、複数の産業用機器100を室内、無線制御盤200を室外、と異なる区画に設置することが出来る。工場の現場では、高温、高湿度、塵埃等、電子機器に不適な環境となるケースもある。この場合に、無線制御盤200を室外に設置することで、無線制御盤200に高温、高湿度、塵埃等の悪影響が及ばず無線制御盤200の正確な動作や故障の回避に寄与する。
【0080】
例えば、加工食品製造工場の衛生管理ルーム内に点在する複数の産業用機器100を、衛生管理ルーム外に設置された無線制御盤200によりワンストップで遠隔的に無線制御することが出来る。仮に、衛生管理ルーム内に産業用機器の専用制御盤が設置されている場合、産業用機器や専用制御盤に不具合が生じ、専用制御盤を作業者や管理者等が確認するためには、数日間の体調管理や身体衛生管理が必要となるなど、工期に膨大な遅延が発生する。これに対して、本実施形態によれば、衛生管理ルーム内の産業用機器100を、衛生管理ルーム外の無線制御盤200で遠隔的に無線制御することで、工期の遅延を防ぐことが出来る。また、特に無線制御盤200内にPLC201及び無線機202を一体的に内蔵することで、PLC201及び無線機202の間の配線(具体的には、衛生管理ルーム内のPLCと衛生管理ルーム外の無線機とを、衛生管理ルーム内外で接続する配線)が不要となり、衛生面でのメリットも大きい。
【0081】
本技術の各実施形態及び各変形例について上に説明したが、本技術は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0082】
1 無線制御システム
100 産業用機器
101 検出器
102 動力機器
200 無線制御盤
201 PLC
202 無線機
203 ディスプレイ
210 専用制御盤
300 IN側インターフェース
400 OUT側インターフェース
500 データ収集装置
501 コンピュータ
502 無線機
503 ディスプレイ
600 アナログモジュール
700 アクセスポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6