(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108240
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】触覚検出装置、触覚検出システム、プログラム、及び触覚検出方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/165 20200101AFI20240805BHJP
【FI】
G01L5/165
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012505
(22)【出願日】2023-01-31
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「人工知能活用による革新的リモート技術開発/高度なXRにより状態を提示するAIシステムの基盤技術開発/Contact Realityの実現による遠隔触診システム開発」委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】511245488
【氏名又は名称】タッチエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】藤原 武史
(72)【発明者】
【氏名】黒木 帝聡
(72)【発明者】
【氏名】下田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】丸山 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】永野 顕法
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AB06
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】接触対象物の触覚情報を推定する精度を向上させる。
【解決手段】触覚検出装置11は、第1検出面21Aを有し、第1検出面21Aに加えられた荷重を検出する感圧センサ21と、感圧センサ21の第1検出面21Aに配置された中間部材22と、中間部材22の表面に配置され、第1検出面21Aよりも小さい面積の第2検出面23Aを有し、第2検出面23Aに加えられた外力を検出する多軸力覚センサ23と、を備える。感圧センサ21は、多軸力覚センサ23及び中間部材22を通じて第1検出面21Aに加えられた圧力を検出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1検出面を有し、前記第1検出面に加えられた荷重を検出する感圧センサと、
前記感圧センサの前記第1検出面に配置された中間部材と、
前記中間部材の表面に配置され、前記第1検出面よりも小さい面積の第2検出面を有し、前記第2検出面に加えられた外力を検出する多軸力覚センサと、を備え、
前記感圧センサは、前記多軸力覚センサ及び前記中間部材を通じて前記第1検出面に加えられた圧力を検出する触覚検出装置。
【請求項2】
前記多軸力覚センサは、3次元直交座標の各座標軸方向の圧力、及び前記3次元直交座標の各座標軸周りのモーメントを検出する請求項1に記載の触覚検出装置。
【請求項3】
前記感圧センサの前記第1検出面に対する前記第2検出面の角度が異なる複数の前記多軸力覚センサを備える請求項1に記載の触覚検出装置。
【請求項4】
前記感圧センサは、エラストマー製の静電容量式感圧センサである請求項1に記載の触覚検出装置。
【請求項5】
前記多軸力覚センサを間に挟んで前記中間部材の表面を覆う被覆体を備え、
前記被覆体は、前記中間部材よりも柔らかい弾性材料により形成されている請求項1に記載の触覚検出装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の触覚検出装置と、
前記感圧センサ及び前記多軸力覚センサの各検出結果に基づいて、前記触覚検出装置に接触した接触対象物の触覚情報を推定する情報処理装置とを備える触覚検出システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の触覚検出装置の検出結果に基づいて、前記触覚検出装置に接触した接触対象物の触覚情報を推定する処理を実行する情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記感圧センサの検出結果及び前記多軸力覚センサの検出結果に基づいて前記触覚情報を推定する処理を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
第1検出面に加えられた荷重を検出する感圧センサの前記第1検出面に中間部材を配置し、
前記第1検出面よりも小さい面積の第2検出面を有し、前記第2検出面に加えられた外力を検出する多軸力覚センサを前記中間部材の表面に配置し、
前記中間部材の表面に直接又は間接的に接触対象物を接触させた際に、前記多軸力覚センサの前記第2検出面に加えられた圧力を検出するとともに、前記多軸力覚センサ及び前記中間部材を通じて前記感圧センサの前記第1検出面に加えられた圧力を検出し、
前記感圧センサの検出結果及び前記多軸力覚センサの検出結果に基づいて前記接触対象物の触覚情報を推定する触覚検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触覚検出装置、触覚検出システム、プログラム、及び触覚検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人の物体認知において、直接触れることによって得られる情報である感触(例えば、重さ、硬軟、表面粗さ)は大きな役割を果たしている。近年、ロボットや義手などの機械に触覚機能を付与する技術の開発が行われている。例えば、特許文献1には、弾性体により形成される球殻構造体と、球殻構造体の内部に配置された2個の歪みゲージとを備える触覚検出装置が開示されている。この触覚検出装置は、球殻構造体の表面が接触対象物と接触することによって該表面に生じる歪み分布を歪みゲージによって検出し、その検出結果に基づいて接触対象物の材質を認知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触覚検出装置には、触覚に基づく人の認識体系に近い物体認知ができるようにするために、接触対象物に関して、人が触覚から取得する情報である触覚情報(例えば、接触対象物の硬軟)を機械的に推定する精度を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する態様を記載する。
[態様1]
第1検出面を有し、前記第1検出面に加えられた荷重を検出する感圧センサと、前記感圧センサの前記第1検出面に配置された中間部材と、前記中間部材の表面に配置され、前記第1検出面よりも小さい面積の第2検出面を有し、前記第2検出面に加えられた外力を検出する多軸力覚センサと、を備え、前記感圧センサは、前記多軸力覚センサ及び前記中間部材を通じて前記第1検出面に加えられた圧力を検出する触覚検出装置。
【0006】
上記構成によれば、触覚検出装置に接触対象物を接触させる触動作時において、中間部材の表面に加えられる局所的な外力、及び中間部材全体に加えられた総荷重の2種類の情報を取得できる。これらの2種類の情報を組み合わせて触覚情報を推定することにより、多軸力覚センサの検出結果のみに基づいて触覚情報を推定する場合と比較して、推定の精度が向上する。
【0007】
[態様2]
前記多軸力覚センサは、3次元直交座標の各座標軸方向の圧力、及び前記3次元直交座標の各座標軸周りのモーメントを検出する態様1に記載の触覚検出装置。
【0008】
上記構成によれば、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
[態様3]
前記感圧センサの前記第1検出面に対する前記第2検出面の角度が異なる複数の前記多軸力覚センサを備える態様1又は態様2に記載の触覚検出装置。
【0009】
上記構成によれば、接触対象物が接触している部分の推定、及び接触対象物が接触している角度の推定の精度が向上する。これらの結果、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
【0010】
[態様4]
前記感圧センサは、エラストマー製の静電容量式感圧センサである態様1~3のいずれか一つに記載の触覚検出装置。
【0011】
上記構成の感圧センサは、広い面を対象とする荷重を好適に検出できる。そのため、上記構成によれば、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
[態様5]
前記多軸力覚センサを間に挟んで前記中間部材の表面を覆う被覆体を備え、前記被覆体は、前記中間部材よりも柔らかい弾性材料により形成されている態様1~4のいずれか一つに記載の触覚検出装置。
【0012】
上記構成によれば、被覆体の応力歪みに基づく触覚情報の推定が可能になる。
[態様6]
態様1~5のいずれか一つに記載の触覚検出装置と、前記感圧センサ及び前記多軸力覚センサの各検出結果に基づいて、前記触覚検出装置に接触した接触対象物の触覚情報を推定する情報処理装置とを備える触覚検出システム。
【0013】
[態様7]
態様1~5のいずれか一つに記載の触覚検出装置の検出結果に基づいて、前記触覚検出装置に接触した接触対象物の触覚情報を推定する処理を実行する情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記感圧センサの検出結果及び前記多軸力覚センサの検出結果に基づいて前記触覚情報を推定する処理を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【0014】
[態様8]
第1検出面に加えられた荷重を検出する感圧センサの前記第1検出面に中間部材を配置し、前記第1検出面よりも小さい面積の第2検出面を有し、前記第2検出面に加えられた外力を検出する多軸力覚センサを前記中間部材の表面に配置し、前記中間部材の表面に直接又は間接的に接触対象物を接触させた際に、前記多軸力覚センサの前記第2検出面に加えられた圧力を検出するとともに、前記多軸力覚センサ及び前記中間部材を通じて前記感圧センサの前記第1検出面に加えられた圧力を検出し、前記感圧センサの検出結果及び前記多軸力覚センサの検出結果に基づいて前記接触対象物の触覚情報を推定する触覚検出方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、接触対象物の触覚情報を推定する精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】
図5は、特定の触動作における感圧センサ及び多軸力覚センサの波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<触覚検出システム>
以下、触覚検出装置を備える触覚検出システムの一実施形態を説明する。
図1に示すように、触覚検出システム10は、触覚検出装置11と、情報処理装置12とを備える。触覚検出装置11は、接触対象物に接触させることにより所定の検出結果を出力する装置である。情報処理装置12は、触覚検出装置11の検出結果に基づいて接触対象物の硬軟等の接触情報を推定する装置である。
【0018】
[触覚検出装置]
図2及び
図3に示すように、触覚検出装置11は、人の指先の内側の部分、所謂、指の腹を模した形状に形成されている。なお、
図3では、理解を容易にするために、多軸力覚センサ23に関して、本来は多軸力覚センサ231のみが図示されるところ、多軸力覚センサ232,234についても同一断面上に図示している。
【0019】
触覚検出装置11は、基部20と、感圧センサ21と、中間部材22と、多軸力覚センサ23と、被覆体24とを備える。
基部20は、平面状の支持面20Aを有する。基部20の形状は、支持面20Aを有する形状であればよい。基部20の形状としては、例えば、板状、角柱状、半円柱状が挙げられる。基部20を形成する材料としては、例えば、金属、プラスチック等の硬質な材料が挙げられる。
【0020】
感圧センサ21は、基部20の支持面20Aに固定されているシート状のセンサである。感圧センサ21は、支持面20Aに固定されている一方の主面と、その反対側に位置する他方の主面である第1検出面21Aを備える。感圧センサ21の第1検出面21Aには、中間部材22が固定されている。感圧センサ21と、基部20及び中間部材22とを固定する方法は特に限定されるものでなく、接着などの公知の固定方法を適用できる。
【0021】
感圧センサ21は、中間部材22を通じて第1検出面21Aに加えられた荷重を検出する。感圧センサ21としては、圧電素子等を用いた公知の感圧センサを用いることができる。感圧センサ21の好ましい形態は、誘電エラストマーを利用したエラストマー製の静電容量式感圧センサである。
【0022】
上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。エラストマー製の静電容量式感圧センサは、誘電エラストマーからなるシート状の誘電層と、誘電層の厚さ方向の両側に配置された電極層としての正極電極及び負極電極とが複数積層されたシート状の多層構造体である。
【0023】
図示は省略しているが、感圧センサ21には、電源供給用の配線及び信号送信用の配線が接続されている。電源供給用の配線は、所定の電源から感圧センサ21に電力を供給するための配線である。信号送信用の配線は、感圧センサ21から出力された信号を情報処理装置12に送信するための配線である。
【0024】
中間部材22は、平面状の裏面22Aと、その反対側に位置する曲面状の表面22Bとを有するブロック状の部材である。中間部材22の裏面22Aは、感圧センサ21の第1検出面21Aに対向して固定されている平面である。中間部材22の表面22Bは、指の腹を模した凸曲面状に形成されている。
【0025】
したがって、中間部材22は、全体として、表面22B側から裏面22A側に向かって、横方向の長さL1及び縦方向の長さL2が徐々に長くなる形状である。換言すると、中間部材22の形状は、裏面22Aに沿った断面の断面積が表面22B側から裏面22A側に向かって徐々に大きくなり、裏面22Aにおいて最大になる形状である。
【0026】
中間部材22を形成する材料としては、例えば、金属、プラスチック等の硬質な材料が挙げられる。また、中間部材22は、基部20と同じ材料により形成されていてもよい。
ここで、感圧センサ21の平面視形状は、中間部材22の裏面22Aの形状に基づいて設定される。感圧センサ21は、中間部材22の裏面22Aの大部分を覆うように設けられている。感圧センサ21の好ましい平面視形状としては、例えば、中間部材22の裏面22Aの50%以上の範囲を部分的に覆う形状、及び中間部材22の裏面22Aの全体を覆う形状が挙げられる。中間部材22の裏面22Aを部分的に覆う形状である場合、中間部材22の表面22B側から裏面22A側に向かって触覚検出装置11を視た平面視において、中間部材22の重心に重なる位置が含まれる範囲、当該位置を囲む範囲に感圧センサ21が位置していることが好ましい。
【0027】
多軸力覚センサ23は、中間部材22の表面22Bに配置されている。多軸力覚センサ23は、第2検出面23Aを有し、第1検出面21Aに加えられた外力を検出する。多軸力覚センサ23の第2検出面23Aの面積は、感圧センサ21の第1検出面21Aよりも小さい。
【0028】
ここで、感圧センサ21の第1検出面21Aの面積S1は、例えば、200mm2以上600mm2以下である。多軸力覚センサ23の第2検出面23Aの面積S2は、例えば、7mm2以上80mm2以下である。感圧センサ21の第1検出面21Aの面積S1に対する多軸力覚センサ23の第2検出面23Aの面積S2の比率(S2/S1)は、例えば、0.01以上0.4以下である。
【0029】
多軸力覚センサ23の一例は、第2検出面23Aに直交する座標を含む3次元直交座標の各座標軸方向の圧力を検出する3軸力覚センサである。また、多軸力覚センサ23は、第2検出面23Aに直交する座標を含む3次元直交座標の各座標軸方向の圧力、及び3次元直交座標の各座標軸周りのモーメントを検出する6軸力覚センサであってもよい。多軸力覚センサ23は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の技術を利用して構成されるMEMSセンサである。
【0030】
多軸力覚センサ23は、中間部材22の表面22Bに複数、配置されている。多軸力覚センサ23の各々は、第2検出面23Aが中間部材22の表面22Bにおける当該多軸力覚センサ23が配置されている部分と略平行になるように中間部材22に固定されている。多軸力覚センサ23と中間部材22とを固定する方法は特に限定されるものでなく、接着などの公知の固定方法を適用できる。
【0031】
図2及び
図3に示す一例では、中間部材22の表面22Bに対して、多軸力覚センサ23として、6個の多軸力覚センサ231~236が配置されている。多軸力覚センサ231~236は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対する第2検出面23Aの角度がそれぞれ異なるように配置されている。
【0032】
具体的には、多軸力覚センサ231は、第2検出面23Aが感圧センサ21の第1検出面21Aと平行になるように配置されている。多軸力覚センサ231は、中間部材22の横方向の中央位置且つ縦方向の中央位置に配置されている。
【0033】
多軸力覚センサ232,233は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対して、第2検出面23Aが横方向の一方側に下降傾斜するように配置されている。多軸力覚センサ232,233は、中間部材22の横方向の一方側の端部寄りの位置に配置されている。
【0034】
多軸力覚センサ234,235は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対して、第2検出面23Aが横方向の他方側に下降傾斜するように配置されている。多軸力覚センサ234,235は、中間部材22の横方向の他方側の端部寄りの位置に配置されている。
【0035】
多軸力覚センサ236は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対して、第2検出面23Aが縦方向の一方側に下降傾斜するように配置されている。多軸力覚センサ236は、縦方向の一方側の端部寄りの位置に配置されている。
【0036】
多軸力覚センサ23の数及び配置は、特に限定されるものでない。例えば、多軸力覚センサ23の数は、1~5個であってもよいし、7個以上であってもよい。また、第2検出面23Aが感圧センサ21の第1検出面21Aと平行である多軸力覚センサ23、及び第2検出面23Aが感圧センサ21の第1検出面21Aに対して傾斜している多軸力覚センサ23のいずれか一方のみを有していてもよい。
【0037】
なお、多軸力覚センサ23は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対する第2検出面23Aの角度が異なる2以上の多軸力覚センサ23を含むことが好ましい。この場合、第2検出面23Aが感圧センサ21の第1検出面21Aと平行である多軸力覚センサ23が含まれることがより好ましい。また、感圧センサ21の第1検出面21Aに対して第2検出面23Aが傾斜している多軸力覚センサ23であって、傾斜角度及び傾斜方向の一方又は両方が異なる2個以上の多軸力覚センサ23が含まれることがより好ましい。
【0038】
被覆体24は、多軸力覚センサ23を間に挟んで中間部材22の表面22Bの全体を覆う膜状の部材である。被覆体24は、中間部材22よりも柔らかい弾性材料により形成されている。被覆体24を形成する材料としては、例えば、シリコーン、ウレタンが挙げられる。被覆体24は、人の指先に近い弾性を有することが好ましい。被覆体24の弾性率は、例えば、ショアA硬度が10以上50以下である。
【0039】
被覆体24の裏面24Aは、多軸力覚センサ23の各々の第2検出面23Aに接している。また、
図3に示す一例では、被覆体24の裏面24Aは、多軸力覚センサ23が位置する部分が部分的に凹んだ形状であり、中間部材22の表面22Bにおける多軸力覚センサ23同士の間の部分が被覆体24によって埋められている。被覆体24の表面24Bは、中間部材22の表面22Bに沿った形状、即ち、指の腹を模した凸曲面状に形成されている。
【0040】
なお、被覆体24の形状は、上記形状に限定されるものでなく、多軸力覚センサ23の各々の第2検出面23Aに接する形状であればよい。例えば、裏面24Aが中間部材22の表面22Bに沿った形状である被覆体24であってもよい。この場合、中間部材22の表面22Bにおける多軸力覚センサ23同士の間に隙間が形成されていてもよい。
【0041】
被覆体24の厚さは、例えば、0.5mm以上20mm以下である。被覆体24の厚さは、多軸力覚センサ23の第2検出面23Aに接している部分の厚さ、即ち、当該部分における裏面24Aと表面24Bとの間の距離である。
【0042】
図4に示すように、触覚検出装置11は、被覆体24の表面24Bに対して接触対象物TOを接触させるようにして使用される。
多軸力覚センサ23の各々は、被覆体24の表面24Bに接触対象物TOを接触させる動作時において、被覆体24を通じて第2検出面23Aに加えられた外力をそれぞれ独立して検出する。つまり、多軸力覚センサ23の各々は、中間部材22の表面22B上の特定部分に伝えられた外力を局所的に検出する。そして、多軸力覚センサ23の各々は、その検出結果を情報処理装置12に出力する。
【0043】
感圧センサ21は、被覆体24の表面24Bに接触対象物TOを接触させる動作時において、被覆体24、多軸力覚センサ23、及び中間部材22を通じて第1検出面21Aに加えられた圧力を検出する。つまり、感圧センサ21は、中間部材22に伝えられた総荷重を検出する。そして、感圧センサ21は、その検出結果を情報処理装置12に出力する。
【0044】
なお、以下では、被覆体24の表面24Bに接触対象物TOを接触させる動作を触動作と記載する場合がある。また、触動作のうち、被覆体24の表面24B上に対して、接触対象物TOを相対的にスライド移動させる動作をスライド触動作と記載する場合がある。
【0045】
[情報処理装置]
情報処理装置12は、触覚検出装置11の検出結果に基づいて、触覚検出装置11に接触した接触対象物TOを認識する処理を実行する。接触対象物TOを認識する処理は、接触対象物TOとの接触に基づく触覚情報を推定する処理を含む。触覚情報は、人が接触対象物TOに接した際に触覚から取得する情報に相当する。触覚情報としては、例えば、接触対象物TOの表面粗さ(マクロ粗さ及びミクロ粗さの一方又は両方を含む)、接触対象物TOの硬軟、接触対象物TOとの間の摩擦が挙げられる。また、接触対象物TOを認識する処理は、必要に応じて、その他の処理、例えば、接触位置を推定する処理、接触対象物TOの形状を推定する処理を含んでもよい。
【0046】
図1に示すように、情報処理装置12の一例は、位置推定部30、形状推定部31、触覚情報推定部32、及び記憶部33を含むコンピュータとして構成される。
位置推定部30、形状推定部31、及び触覚情報推定部32は、(1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、例えば、CPUを含む。
【0047】
記憶部33は、例えば、不揮発性メモリである。記憶部33には、制御プログラム33aが記憶されている。制御プログラム33aは、位置推定部30による各処理をコンピュータに実行させるプログラム、形状推定部31による各処理をコンピュータに実行させるプログラム、及び触覚情報推定部32による各処理をコンピュータに実行させるプログラムを含む。
【0048】
位置推定部30は、複数の多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて、接触位置を推定する。位置推定部30は、例えば、複数の多軸力覚センサ23の検出結果を統合することにより、被覆体24の応力歪み及びその時間変化を算出する。そして、応力歪み及びその時間変化の算出結果に基づいて、被覆体24の表面24Bにおける、どの位置に、どの角度で接触対象物TOが接触しているかを推定する。被覆体24の応力歪みは、接触対象物TOが接触している部分に近いほど大きくなる。そのため、被覆体24の応力歪みに基づいて、接触対象物TOが接触している部分を推定できるとともに、応力歪みの時間変化に基づいて接触対象物TOが接触している角度を推定できる。
【0049】
位置推定部30による各処理は、記憶部33に記憶されている制御プログラム33aを用いて実行される。制御プログラム33aは、多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて接触位置を推定する処理を実行する情報処理装置12としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0050】
形状推定部31は、複数の多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて、接触対象物TOの形状を推定する。形状推定部31は、例えば、複数の多軸力覚センサ23の検出結果を統合することにより、被覆体24の応力歪み及びその時間変化を算出する。そして、応力歪み及びその時間変化の算出結果に基づいて、接触対象物TOの形状を推定する。
【0051】
形状推定部31による各処理は、記憶部33に記憶されている制御プログラム33aを用いて実行される。制御プログラム33aは、多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて接触対象物TOの形状を推定する処理を実行する情報処理装置12としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0052】
触覚情報推定部32は、感圧センサ21の検出結果、及び多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて触覚情報を推定する。触覚情報推定部32により推定される触覚情報は、接触対象物TOの表面粗さ、接触対象物TOの硬軟、及び接触対象物TOとの間の摩擦から選ばれる少なくとも一つである。
【0053】
接触対象物TOの表面粗さの一種であるマクロ粗さは、例えば、スライド触動作時において、多軸力覚センサ23が受けた外力の時間変化に基づいて推定できる。
接触対象物TOの表面粗さの一種であるミクロ粗さは、例えば、スライド触動作時において、多軸力覚センサ23の検出結果から算出した触覚検出装置11の振動周波数に基づいて推定できる。
【0054】
接触対象物TOの硬軟は、例えば、触動作時において、多軸力覚センサ23の検出結果から算出した被覆体24の応力歪み及び被覆体24の接触面積に基づいて推定できる。接触対象物TOが柔らかい場合、触動作時に、接触対象物TOが被覆体24に沿って変形する。
図4は、接触対象物TOの中央部か下方に凹むように変形している状態を図示している。接触対象物TOが柔らかいほど上記変形量が大きくなるため、被覆体24の応力歪みが小さくなり、被覆体24の接触面積が大きくなる。
【0055】
接触対象物TOとの間の摩擦は、例えば、ゆっくりとしたスライド触動作時において、多軸力覚センサ23が受けている外力における接触対象物TOの相対移動方向と逆向きのベクトルに基づいて推定できる。
【0056】
上記のとおり、触覚情報は、多軸力覚センサ23の検出結果のみに基づいて推定することも可能であるが、触覚情報推定部32は、感圧センサ21の検出結果を組み合わせて触覚情報を推定するように構成されている。これにより、より精度の高い触覚情報の推定が可能になっている。つまり、感圧センサ21の検出結果と、多軸力覚センサ23の検出結果とを組み合わせることにより、感圧センサ21及び多軸力覚センサ23の一方の検出結果のみでは得られない情報であって、触覚情報の推定に有用な情報を得ることができる。そして、その情報を用いることにより、より精度の高い触覚情報の推定を可能にしている。
【0057】
その一例を、
図5を参照して説明する。
図5は、触覚検出装置11の被覆体24の表面24Bに対して、特定条件の触動作を行った場合における多軸力覚センサ23及び感圧センサ21の検出値の時間変化の波形を示すグラフである。上記特定条件として、感圧センサ21の第1検出面21Aに垂直な角度で、硬さ100kPaの接触対象物TOを荷重3Nで接触させている。
図5に示す多軸力覚センサ23の検出結果は、第2検出面23Aが感圧センサ21の第1検出面21Aと平行に配置されている多軸力覚センサ231の検出結果である。なお、
図5の示す多軸力覚センサ23及び感圧センサ21の検出値は、それぞれの最大値が1になるように調整されている。
【0058】
図5に示すように、感圧センサ21の波形の立ち上がりのタイミングは、多軸力覚センサ231の波形の立ち上がりのタイミングと異なっている。具体的には、感圧センサ21の波形は、多軸力覚センサ231の波形よりも遅いタイミングで立ち上がっている。
図5のグラフから取得できる、多軸力覚センサ231の波形に対する感圧センサ21の波形の立ち上がりの遅延時間は、触覚情報を推定するための有用な情報になる。
【0059】
上記遅延時間は、触覚検出装置11の中間部材22と比較して、接触対象物TOが柔らかくなるにしたがって長くなる傾向がある。つまり、接触対象物TOが柔らかい場合、触動作時において、感圧センサ21の第1検出面21Aに荷重が伝わる前に、接触対象物TOに変形が生じ、その変形に要する時間に応じた遅延時間の分、感圧センサ21の波形の立ち上がりが遅延している。そのため、上記遅延時間は、接触対象物TOの硬軟を推定するための有用な情報になる。
【0060】
触覚情報推定部32の一例は、触動作時において、上記遅延時間に基づいて接触対象物TOの硬軟を推定する、又は多軸力覚センサ23の検出結果から算出した被覆体24の応力歪み及び被覆体24の接触面積と上記遅延時間とに基づいて接触対象物TOの硬軟を推定する。
【0061】
また、接触対象物TOの硬軟は、接触対象物TOの表面粗さ、接触対象物TOとの間の摩擦等のその他の触覚情報に影響を与える要素になり得る。そのため、上記遅延時間に基づいて推定された接触対象物TOの硬軟を用いて、その他の触覚情報を推定することにより、その他の触覚情報についても、より精度の高い推定が可能になる。
【0062】
触覚情報推定部32の一例は、スライド触動作時において、多軸力覚センサ23が受けた外力の時間変化と、上記遅延時間に基づく接触対象物TOの硬軟の推定結果とに基づいて接触対象物TOのマクロ粗さを推定する。
【0063】
触覚情報推定部32の一例は、スライド触動作時において、多軸力覚センサ23の検出結果から算出した触覚検出装置11の振動周波数と、上記遅延時間に基づく接触対象物TOの硬軟の推定結果とに基づいて接触対象物TOのミクロ粗さを推定する。
【0064】
触覚情報推定部32の一例は、ゆっくりとしたスライド触動作時において、多軸力覚センサ23が受けている外力の接触対象物TOの相対移動方向と逆向きのベクトルと、上記遅延時間に基づく接触対象物TOの硬軟の推定結果とに基づいて接触対象物TOとの間の摩擦を推定する。
【0065】
触覚情報推定部32による各処理は、記憶部33に記憶されている制御プログラム33aを用いて実行される。制御プログラム33aは、感圧センサ21の検出結果、及び多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて触覚情報を推定する処理を実行する情報処理装置12としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0066】
次に、本実施形態の作用について説明する。
触覚検出装置11は、中間部材22を間に挟む位置に配置された2種類のセンサである、感圧センサ21及び多軸力覚センサ23を備えている。
【0067】
多軸力覚センサ23は、触動作時において、中間部材22の表面22B、即ち、接触対象物TOが接触する部位である被覆体24に相対的に近い位置に配置されている。そして、多軸力覚センサ23は、中間部材の表面22Bの一部、即ち、当該多軸力覚センサ23が設けられている位置に加えられた局所的な外力を検出する。
【0068】
感圧センサ21は、触動作時において、中間部材22の裏面22A、即ち、接触対象物TOが接触する部位である被覆体24から相対的に遠い位置に配置されている。そして、感圧センサ21は、中間部材22から感圧センサ21に加えられた荷重、即ち、中間部材22全体に加えられた総荷重を検出する。
【0069】
このように、触覚検出装置11によれば、触動作時において、中間部材の表面22Bに加えられる局所的な外力、及び中間部材22全体に加えられた総荷重の2種類の情報を取得できる。これらの2種類の情報を組み合わせて触覚情報を推定することにより、多軸力覚センサ23の検出結果のみに基づいて触覚情報を推定する場合と比較して、推定の精度が向上する。
【0070】
なお、触覚検出装置11における感圧センサ21及び多軸力覚センサ23の配置は、人の触覚を司る皮膚受容器の配置を模している。
図6に示すように、皮膚受容器としては、表皮に近い部位である表層に位置するマイスナー小体R1及びメルケル細胞R2と、深層(真皮及び皮下組織)に位置するルフィニ終末R3及びパチニ小体R4が知られている。表層に位置するマイスナー小体R1及びメルケル細胞R2は、触動作時において、接触対象物TOの細かいパターンの認識に寄与する。深層に位置するルフィニ終末R3及びパチニ小体R4は、触動作時において、全体的な接触の認識に寄与する。触覚検出装置11において、多軸力覚センサ23は、表層に位置するマイスナー小体R1及びメルケル細胞R2に相当するセンサであり、感圧センサ21は、深層に位置するルフィニ終末R3及びパチニ小体R4に相当するセンサである。
【0071】
触覚検出装置11は、人の皮膚受容器の配置を模した構造であるため、人の脳が行っている触覚情報の認識体系を模した認識モデルを構築する場合に有用であると考えられる。例えば、脳の機能の一つとして、予測的符号化が知られている。予測的符号化とは、これから入力される刺激を予測する内的モデルを構成し、その内的モデルよる刺激の予測を行い、予測された刺激と、実際に感覚器官から入力される刺激との両者のずれ(予測誤差)の計算に基づいて、知覚を創発することを意味する。触覚検出装置11は、例えば、予測的符号化に基づく知覚を行う認識モデルを構築する場合において、感覚器官に相当する構成を担う検出装置として有用であると考えられる。
【0072】
本実施形態の触覚検出システム10の適用例として、患者と離れた遠隔地に存在する医師が患者の診断や手術等を行う遠隔触診システムが挙げられる。例えば、遠隔地に存在する医師からの指示に従って、患者側に存在する介護者、ロボット又は患者本人が、触覚検出装置11に接触対象物である患部を接触させる触動作を行う。情報処理装置12は、触動作時における触覚検出装置11の検出結果に基づいて、患部の触覚情報を推定する。推定された触覚情報は、遠隔地に存在する医師へ送信される。遠隔地に存在する医師は、送信された触覚情報に基づいて患者の診断や、患者側に存在するロボットを介した遠隔手術を行う。触覚検出システム10を適用することにより、遠隔地に存在する医師は、実際に患者の患部に触れた場合に近い触覚情報を取得できるため、遠隔地において適切な診断や手術を行うことができる。
【0073】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)触覚検出装置11は、第1検出面21Aを有し、第1検出面21Aに加えられた荷重を検出する感圧センサ21と、感圧センサ21の第1検出面21Aに配置された中間部材22と、中間部材22の表面22Bに配置され、第1検出面21Aよりも小さい面積の第2検出面23Aを有し、第2検出面23Aに加えられた外力を検出する多軸力覚センサ23と、を備える。感圧センサ21は、多軸力覚センサ23及び中間部材22を通じて第1検出面21Aに加えられた圧力を検出する。
【0074】
上記構成によれば、触動作時において、中間部材の表面22Bに加えられる局所的な外力、及び中間部材22全体に加えられた総荷重の2種類の情報を取得できる。これらの2種類の情報を組み合わせて触覚情報を推定することにより、多軸力覚センサ23の検出結果のみに基づいて触覚情報を推定する場合と比較して、推定の精度が向上する。
【0075】
(2)多軸力覚センサ23は、3次元直交座標の各座標軸方向の圧力、及び当該3次元直交座標の各座標軸周りのモーメントを検出するセンサである。
上記構成によれば、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
【0076】
(3)触覚検出装置11は、感圧センサ21の第1検出面21Aに対する第2検出面23Aの角度が異なる複数の多軸力覚センサ23を備える。
上記構成によれば、接触対象物TOが接触している部分の推定、及び接触対象物TOが接触している角度の推定の精度が向上する。また、上記構成によれば、被覆体24の応力歪みを算出する精度が向上する。これらの結果、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
【0077】
(4)感圧センサ21は、エラストマー製の静電容量式感圧センサである。
上記構成の感圧センサ21は、広い面を対象とする荷重を好適に検出できる。そのため、上記構成によれば、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
【0078】
(5)触覚検出装置11は、多軸力覚センサ23を間に挟んで中間部材22の表面22Bを覆う被覆体24を備える。被覆体24は、中間部材22よりも柔らかい弾性材料により形成されている。
【0079】
上記構成によれば、被覆体24の応力歪みに基づく触覚情報の推定が可能になる。また、複数の多軸力覚センサ23を備える場合には、触動作時において、被覆体24を通じて、複数の多軸力覚センサ23に対して、それぞれの位置に応じた外力が伝えることができる。つまり、被覆体24における接触対象物TOが接触している接触部位に近い多軸力覚センサ23には、相対的に強い外力が伝わり、接触部位から遠い多軸力覚センサ23には、相対的に弱い外力が伝わる。この場合、接触部位から遠い多軸力覚センサ23からも外力の検出結果が出力されることになるため、取得できる情報量が増加する。その結果、触覚情報の推定の精度が更に向上する。
【0080】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・感圧センサ21は、複数に分割して設けられていてもよい。
【0081】
・触覚検出装置11は、基部20、感圧センサ21、中間部材22、多軸力覚センサ23、及び被覆体24以外のその他の構成を備えていてもよい。例えば、多軸力覚センサ23と被覆体24との間に、被覆体24よりも硬い材料により形成される第2中間部材が配置されていてもよい。第2中間部材は、例えば、複数の多軸力覚センサ23の第2検出面23Aに跨って配置されており、それら多軸力覚センサ23への外力の伝達を調整するために設けられる。
【0082】
・被覆体24は、弾性を有さない材料により形成されていてもよい。
・被覆体24を省略してもよい。なお、触動作は、被覆体24を介して間接的に中間部材22の表面に間接的に接触対象物TOを接触させる動作であってもよいし、中間部材の表面に直接、接触対象物TOを接触させる動作であってもよい。
【0083】
・触覚検出装置11は、指先の形状に限定されるものでなく、適宜、変更することができる。
・記憶部33は、データの送受信可能に接続されたサーバに設けられた記憶部であってもよいし、データの送受信可能に接続されたクラウド上の記憶部であってもよい。
【0084】
・触覚検出方法は、第1検出面21Aに加えられた荷重を検出する感圧センサ21の第1検出面21Aに中間部材22を配置し、第1検出面21Aよりも小さい面積の第2検出面23Aを有し、第2検出面23Aに加えられた外力を検出する多軸力覚センサ23を中間部材22の表面に配置し、中間部材22の表面に直接又は間接的に接触対象物TOを接触させた際に、多軸力覚センサ23の第2検出面23Aに加えられた圧力を検出するとともに、多軸力覚センサ23及び中間部材22を通じて感圧センサ21の第1検出面21Aに加えられた圧力を検出し、感圧センサ21の検出結果及び多軸力覚センサ23の検出結果に基づいて接触対象物TOの触覚情報を推定する。
【符号の説明】
【0085】
TO…接触対象物
10…触覚検出システム
11…触覚検出装置
12…情報処理装置
20…基部
21…感圧センサ
21A…第1検出面
22…中間部材
22B…表面
23…多軸力覚センサ
23A…第2検出面
24…被覆体