(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108242
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】物品保持装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20240805BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012508
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】相馬 寿昭
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB07
(57)【要約】
【課題】ガイド部に軸部を入れる取り付け負荷を軽減した物品保持装置を提供する。
【解決手段】ホルダー20とアーム30とのいずれか一方の部材が軸部22を備え、ホルダー20とアーム30とのなかの部材以外がガイド部35を備え、ガイド部35は、作動部35Bに沿った軸部22の相対移動によってアーム30に進退させる作動部35Bと、ガイド部35に軸部22を入れる取付部35Aであって、取付部35Aに沿った軸部22の移動が作動部35Bに向けて折れ曲がるように作動部35Bに連なる取付部35Aと、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容部を備えたホルダーと、
前記物品を保持するために前記収容部に進退するアームと、
を備える物品保持装置であって、
前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方の部材が軸部を備え、
前記ホルダーと前記アームとのなかの前記部材以外がガイド部を備え、
前記ガイド部は、
作動部に沿った前記軸部の相対移動によって前記アームに進退させる前記作動部と、
前記ガイド部に前記軸部を受け入れる取付部であって、前記取付部に沿った前記軸部の移動が前記作動部に向けて折れ曲がるように前記作動部に連なる前記取付部と、を備える
ことを特徴とする物品保持装置。
【請求項2】
前記取付部が、第1端部と第2端部とを備え、
前記第1端部が前記作動部に連なり、
前記第2端部が前記ガイド部に前記軸部を受け入れる開口部を構成する
請求項1に記載の物品保持装置。
【請求項3】
前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部を備え、
前記付勢部が前記軸部に装着されるねじりコイルばねである
請求項1に記載の物品保持装置。
【請求項4】
前記ねじりコイルばねが、ばねアームを備え、
前記アームが、前記ばねアームを掛け止める止め部を備え、
前記止め部が、前記収容部から前記アームを退出させる外力によって前記軸部に対し前記ばねアームを相対移動させ、これによって、前記作動部に対する前記軸部の相対移動が許容され、
前記ホルダーが、前記軸部に対する前記ばねアームの相対移動の経路上に、前記軸部に対する前記ばねアームの変位を規制する第1規制部を備える
請求項3に記載の物品保持装置。
【請求項5】
前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、
前記第1規制部が、前記作動部における前記軸部の相対移動の範囲外に前記接続部を含めるように前記経路上に配置されている
請求項4に記載の物品保持装置。
【請求項6】
前記ねじりコイルばねが、前記軸部を挿入されたコイル部を備え、
前記アームが、前記アームに対する前記コイル部の相対移動の経路上に、前記アームに対する前記コイル部の変位を規制する第2規制部を備える
請求項3に記載の物品保持装置。
【請求項7】
前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、
前記第2規制部が、前記作動部における前記軸部の相対移動の範囲外に前記接続部を含めるように前記経路上に配置されている
請求項6に記載の物品保持装置。
【請求項8】
前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部を備え、
前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、
前記付勢部が、前記作動部のなかで前記軸部を前記接続部から離すように前記アームを付勢する
請求項1から7のいずれか一項に記載の物品保持装置。
【請求項9】
物品を収容する収容部を備えたホルダーと、
前記物品を保持するために前記収容部に進退するアームと、
前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部と、
を備える物品保持装置であって、
前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方の部材が軸部を備え、
前記ホルダーと前記アームとのなかの前記部材以外がガイド部を備え、
前記ガイド部は、前記軸部を受け入れる開口部を備え、前記ガイド部に沿った前記軸部の相対移動が前記アームを進退させるように構成され、
前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方が当接部材であり、
前記当接部材は、
前記当接部材に対する前記付勢部の相対移動の経路上に配置され、かつ前記当接部材に対する前記付勢部の変位のなかで前記開口部から前記軸部が出る変位を規制部と前記付勢部との当接によって規制する前記規制部を備える
ことを特徴とする物品保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボトルやカップなどの物品を保持する物品保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品保持装置の一例であるカップホルダーは、ベース部、コイルばね、およびアームを備える(例えば、特許文献1を参照)。ベース部は、ガイド溝を形成された左右で一対の側壁と、両側壁に挟まれた進退開口とを備える。ベース部のガイド溝は、ベース部の底部に近い部位ほど進退開口から離れるように斜め下向きに延びる。アームにおける左右で一対の側壁は、ガイド溝に嵌め込まれた軸部を備える。ガイド溝に沿って移動する軸部は、(i)ベース部の進退開口からアームを引っ込めたり(ii)ベース部の進退開口からアームを突き出したりする。コイルばねは、ベース部の進退開口からアームが突き出るようにアームを付勢する。カップがベース部の底部に向けて押し込まれるとき、カップの押圧がコイルばねの付勢力に抗して(i)進退開口からアームを引っ込める。カップがベース部のなかから引き抜かられるとき、コイルばねの付勢が(ii)進退開口からアームを突き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、左右で一対の軸部がガイド溝に沿って移動することは、(i)進退開口からアームを突き出したり(ii)進退開口からアームを引っ込めたりする。一方、左右で一対のガイド溝にそれぞれ軸部を取り付けることは、左右で一対のガイド溝の間隔を指などで一旦押し広げることを要求する。軸部の長さが長いことは、ガイド溝から軸部の抜け出ることを抑えるが、ガイド溝の間隔に大きな押し広げを要求する。このため、上記物品保持装置では、軸部の抜け出ることを抑えながらも、ガイド部に軸部を取り付ける負荷を軽減できることが切望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための物品保持装置は、物品を収容する収容部を備えたホルダーと、前記物品を保持するために前記収容部に進退するアームと、を備える物品保持装置であって、前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方の部材が軸部を備え、前記ホルダーと前記アームとのなかの前記部材以外がガイド部を備え、前記ガイド部は、作動部に沿った前記軸部の相対移動によって前記アームに進退させる前記作動部と、前記ガイド部に前記軸部を受け入れる取付部であって、前記取付部に沿った前記軸部の移動が前記作動部に向けて折れ曲がるように前記作動部に連なる前記取付部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、取付部に受け入れられた軸部は、取付部に沿って移動して取付部に連なる作動部に入れられる。取付部に沿った軸部の移動は、作動部に向けて折れ曲がる。作動部に入れられた軸部は、作動部に沿って移動することによりアームを進退させる。これにより、作動部から軸部の抜け出ることを抑えながらも、ガイド部に軸部を取り付ける際に作動部を変形させるような負荷を軽減できる。
【0007】
上記物品保持装置において、前記取付部が、第1端部と第2端部とを備え、前記第1端部が前記作動部に連なり、前記第2端部が前記ガイド部に前記軸部を受け入れる開口部を備えてもよい。
【0008】
上記構成によれば、ガイド部に受け入れられる軸部は、取付部の端部である開口部から取付部を通じて作動部に入れられる。これにより、ガイド部に軸部を取り付ける作業方法が作業者の直感によって把握されやすい。
【0009】
上記物品保持装置において、前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部を備え、前記付勢部が前記軸部に装着されるねじりコイルばねでもよい。
上記構成によれば、アームが収容部に進入するように、アームがねじりコイルばねに付勢される。このため、物品の大きさや形状に適合した保持がアームによって実現される。この際、アームにおける進退の案内機能と、ねじりコイルばねの支持機能とを軸部が兼ね備える。このため、ホルダーにおける構成要素の点数削減も可能である。
【0010】
上記物品保持装置において、前記ねじりコイルばねが、ばねアームを備え、前記アームが、前記ばねアームを掛け止める止め部を備え、前記止め部が、前記収容部から前記アームを退出させる外力によって前記軸部に対し前記ばねアームを相対移動させ、これによって、前記作動部に対する前記軸部の相対移動が許容され、前記ホルダーが、前記軸部に対する前記ばねアームの相対移動する経路上に、前記軸部に対する前記ばねアームの変位を規制する第1規制部を備えてもよい。
【0011】
上記構成によれば、収容部からアームを退出させる外力によって、アームの止め部が軸部に対しばねアームを変位させる。付勢力に抗したばねアームの変位は、作動部に対する軸部の相対移動を許容する。一方、軸部に対するばねアームの位置が第1規制部に達するとき、ホルダーの第1規制部が軸部に対するばねアームの変位を規制する。これにより、止め部に対する軸部の相対移動、すなわち作動部に対する軸部の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。作動部に対する軸部の相対移動が所定範囲に抑えられることは、ホルダーに対するアームの可動範囲を安定化させる。
【0012】
上記物品保持装置において、前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、前記第1規制部が、前記作動部における前記軸部の相対移動の範囲外に前記接続部を含めるように前記経路上に配置されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、作動部に対する軸部の相対移動が接続部を含まない所定範囲に抑えられる。結果として、取付部から作動部に入った軸部が取付部に戻りがたいため、作動部に沿った軸部の相対移動に再現性を高められる。
【0014】
上記物品保持装置において、前記ねじりコイルばねが、前記軸部を挿入されたコイル部を備え、前記アームが、前記アームに対する前記コイル部の相対移動の経路上に、前記アームに対する前記コイル部の変位を規制する第2規制部を備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、アームに対するコイル部の位置が第2規制部に達するとき、アームの第2規制部がコイル部の変位を規制する。これにより、アームに対するホルダーの相対移動、すなわち作動部に対する軸部の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。軸部の相対移動が所定範囲に抑えられることは、ホルダーに対するアームの可動範囲を安定化させる。
【0016】
上記物品保持装置において、前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、前記第2規制部が、前記作動部における前記軸部の相対移動の範囲外に前記接続部を含めるように前記経路上に配置されてもよい。
【0017】
上記構成によれば、作動部における軸部の相対移動が接続部を含まない所定範囲に抑えられる。結果として、取付部から作動部に入った軸部が取付部に戻りがたいため、作動部に沿った軸部の相対移動に再現性を高められる。
【0018】
上記物品保持装置において、前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部を備え、前記作動部が、前記取付部に連なる接続部を備え、前記付勢部が、前記作動部のなかで前記軸部を前記接続部から離すように前記アームを付勢してもよい。
【0019】
上記構成によれば、作動部における軸部の相対移動が接続部から離れるようにアームが付勢される。これにより、取付部から作動部に入った軸部が取付部に戻ることが抑えられる。
【0020】
上記課題を解決するための物品保持装置は、物品を収容する収容部を備えたホルダーと、前記物品を保持するために前記収容部に進退するアームと、前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部と、を備える物品保持装置であって、前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方の部材が軸部を備え、前記ホルダーと前記アームとのなかの前記部材以外がガイド部を備え、前記ガイド部は、前記軸部を受け入れる開口部を備え、前記ガイド部に沿った前記軸部の相対移動が前記アームを進退させるように構成され、前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方が当接部材であり、前記当接部材は、前記当接部材に対する前記付勢部の相対移動の経路上に配置され、かつ前記当接部材に対する前記付勢部の変位のなかで前記開口部から前記軸部が出る変位を規制部と前記付勢部との当接によって規制する前記規制部を備える。
【0021】
上記構成によれば、開口部からガイド部に受け入れられた軸部は、ガイド部に沿って移動することによりアームを進退させる。また、軸部が開口部から出るような軸部の変位は、当接部材の規制部が付勢部に当接することによって規制される。これにより、ガイド部から軸部の抜け出ることを抑えながらも、ガイド部に軸部を取り付ける際にガイド部を変形させるような負荷を軽減できる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の物品保持装置によれば、ガイド部から軸部の抜け出ることを抑えながらも、ガイド部に軸部を取り付ける負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、物品保持装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、物品保持装置の構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、ガイド部に軸部を取り付ける方法を示す作用図である。
【
図5】
図5は、収容部に進入したアームを示す断面図である。
【
図6】
図6は、収容部から退出したアームを示す断面図である。
【
図7】
図7は、変更例のアームを示す平面図である。
【
図8】
図8は、変更例のアームを示す断面図である。
【
図9】
図9は、収容部に進入した変更例のアームを示す断面図である。
【
図10】
図10は、収容部から退出した変更例のアームを示す断面図である。
【
図12】
図12は、変更例の物品保持装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[物品保持装置10]
図1が示すように、物品保持装置10は、ホルダー20とアーム30とを備える。ホルダー20は、収容部21、軸部22、および連結部23を備える。なお、
図1は、ホルダー20の構造を説明する便宜上から、4つのアーム30のうちで2つのアーム30を割愛している。物品保持装置10に保持される物品は、円筒状や円筒台状を有するカップや、円筒状、円筒台状、あるいは括れた円筒状を有するボトルなどである。
【0025】
[ホルダー20]
収容部21は、上下方向に延びる有底の円筒状を有する。収容部21は、収容部21の周方向に等配された4つの進退開口21Pを備える。進退開口21Pは、収容部21の上縁部21Eから下方に向けて延びる。進退開口21Pは、収容部21の外周面から径方向の外側に突き出る2つの支持壁21Wに挟まれている。2つの支持壁21Wは、上下方向に延びる平板状を有して左右方向に並んでいる。軸部22と連結部23とは、2つの支持壁21Wと一体に形成されている。
【0026】
軸部22は、1つの支持壁21Wに1つずつ備えられている。2つの軸部22は、進退開口21Pを挟んで相互に対向するように支持壁21Wの上部に配置されている。一方の支持壁21Wと一体の軸部22は、他方の支持壁21Wに向けて延びる。2つの軸部22は、相互に対向するように配置されている。
【0027】
連結部23は、2つの支持壁21Wに1つずつ備えられている。連結部23は、支持壁21Wの上下方向における中間に配置されている。連結部23は、2つの支持壁21Wを連結している。1つの連結部23は、ホルダー止め部23Aと第1規制部23Bとを1つずつ備える。第1規制部23Bを備えるホルダー20は、当接部材の一例である。
【0028】
ホルダー止め部23Aは、収容部21の内部に面している。ホルダー止め部23Aは、上下方向に延びる溝状を有する。ホルダー止め部23Aは、ねじりコイルばね40のばねアーム42を掛け止める形状を有する。ホルダー止め部23Aと第1規制部23Bとは、軸部22の延びる左右方向に並んでいる。第1規制部23Bは、上下方向に延びる溝状を有する。第1規制部23Bは、アーム30と共に回動するばねアーム42を受け入れる形状を有する。
【0029】
[アーム30]
図2が示すように、アーム30は、保持壁31と、2つのガイド壁32とを備える。
保持壁31は、収容部21の内部に向けて収容部21の径方向に突き出るくちばし状を有する。保持壁31の突出端は、アーム30の内側端30Tである。保持壁31は、2つの支持壁21Wの間に配置される。保持壁31は、第1保持斜面31Tと第2保持斜面31Bとを備える。第1保持斜面31Tは、進退開口21Pの上端から収容部21の内側下方に向けて延びる。第2保持斜面31Bは、第1保持斜面31Tの下端から進退開口21Pの下端に向けて延びる。
【0030】
2つのガイド壁32は、支持壁21Wに沿って広がる平板状を有する。2つのガイド壁32は、左右方向に並ぶように配置されている。2つのガイド壁32は、保持壁31と一体である。2つのガイド壁32は、2つの支持壁21Wの間に配置される。2つのガイド壁32は、保持壁31を挟むように相互に対向している。
【0031】
ガイド壁32の下端部は、ストッパー32Aを備える。ストッパー32Aは、支持壁21Wの外側に向けて突き出る。ストッパー32Aは、収容部21の外側で支持壁21Wの外側端面に当接し、これによってアーム30の下端部が収容部21の内側に入ることを規制する。
【0032】
[ガイド部]
図3が示すように、アーム30は、掛け止め壁33を備える。掛け止め壁33は、アーム30の内側端30Tから後端に向けて延びる平板状を有する。掛け止め壁33は、アーム30の上下方向における中間に配置されている。掛け止め壁33は、2つのガイド壁32の間で2つのガイド壁32を連結する。
【0033】
掛け止め壁33の後端部は、2つのアーム止め部33Aを備える。2つのアーム止め部33Aは、アーム30の後端から内側端30Tに向けて窪む。2つのアーム止め部33Aは、左右方向に並んでいる。
【0034】
図2に戻り、ねじりコイルばね40は、付勢部の一例である。ねじりコイルばね40は、2つの軸部22に装着されている。ねじりコイルばね40は、1つのコイル部41と、2つのばねアーム42とを備える。軸部22の延びる方向において、コイル部41の長さは、2つの軸部22の長さの合計よりも長い。2つの軸部22は、コイル部41に挿入されると共に、コイル部41のなかで軸部22の延びる方向に隙間を空けている。2つのばねアーム42は、コイル部41の軸方向における両端からコイル部41の接線方向に延びる。一方のばねアーム42は、ホルダー止め部23Aに掛け止められている。他方のばねアーム42は、1つのアーム止め部33Aに掛け止められている。
【0035】
ねじりコイルばね40は、コイル部41の軸方向から見て、2つのばねアーム42の形成する角度を広げるように、ホルダー止め部23Aに対しアーム止め部33Aを付勢する。これによって、ねじりコイルばね40は、収容部21にアーム30を進入させるようにアーム30を付勢する。
【0036】
図3に戻り、アーム30は、1つのガイド壁32に1つずつガイド部35を備える。ガイド部35は、ガイド壁32を貫通する貫通溝である。ガイド部35は、2つのガイド壁32に挟まれた空間にアーム30における外側の空間を連通する。ガイド部35の溝幅は、軸部22の通る大きさであり、かつガイド部35に対する軸部22の相対移動がガイド部35の延びる方向に沿うような大きさである。
【0037】
ガイド部35は、作動部35Bと取付部35Aとから構成される逆L字状を有する。取付部35Aは、折れ曲がりを介して作動部35Bに連なる。取付部35Aは、掛け止め壁33から収容部21の内側上方に向けて延びる直線状を有する。作動部35Bは、緩やかな円弧状を有する。作動部35Bは、アーム30の後端から内側端30Tに向けた方向である前後方向に沿って延びる。作動部35Bにおける外側の端部は、閉塞されている。作動部35Bにおける内側の端部は、取付部35Aに連なる接続部35B1である。
【0038】
取付部35Aは、第1端部35A1と第2端部35A2とを備える。取付部35Aの第1端部35A1は、作動部35Bの接続部35B1に連なる。第2端部35A2は、下方に向けて開口している。掛け止め壁33は、取付部35Aの第2端部35A2に連なる貫通溝を備える。取付部35Aの第2端部35A2と、掛け止め壁33の貫通溝とは、開口部36を構成する。開口部36は、軸部22の延びる方向に沿って延びる。
【0039】
開口部36は、ガイド部35に軸部22を受け入れる。取付部35Aは、取付部35Aに沿った軸部22の相対移動によって軸部22を作動部35Bまで案内する。取付部35Aは、取付部35Aに沿った軸部22の移動が作動部35Bに向けて折れ曲がるように作動部35Bに連なる。作動部35Bは、接続部35B1から軸部22を受け入れる。作動部35Bは、作動部35Bに沿った軸部22の相対移動によってアーム30に収容部21を進退させる。
【0040】
[取付作業]
図4の左側下方が示すように、ホルダー20にアーム30を取り付ける作業は、まず前後および上下を反転させた姿勢にアーム30を配置して、連結部23の下方から進退開口21Pに向けてガイド部35、および保持壁31の内側端30Tを入れる。
【0041】
次いで、
図4の左側上方が示すように、前後および上下を整合させた姿勢にアーム30を配置すると共に、軸部22の上方にアーム30の開口部36を配置する。続いて、アーム30の開口部36に軸部22を受け入れた後、取付部35Aの第2端部35A2から第1端部35A1に向けて、取付部35Aに沿って取付部35Aに対し軸部22を相対移動させる。そして、作動部35Bの接続部35B1から作動部35Bにおける外側の端部に向けて、作動部35Bに沿って作動部35Bに対し軸部22を相対移動させる。
【0042】
これにより、
図4の右側が示すように、ストッパー32Aが支持壁21Wの外側に配置され、かつアーム30が連結部23よりも内側に配置された状態で、軸部22が作動部35Bのなかに配置される。
【0043】
次いで、軸部22が作動部35Bのなかに配置された状態から、2つの軸部22がねじりコイルばね40のコイル部41のなかに装着される。この際、一方のばねアーム42がホルダー止め部23Aに掛け止められ、かつ他方のばねアーム42が1つのアーム止め部33Aに掛け止められる。
【0044】
これにより、アーム30が収容部21のなかに進出するように、アーム止め部33Aがホルダー止め部23Aに対し収容部21の内側に向けて付勢される。また、軸部22が作動部35Bにおける外側の端部に向けて、すなわち軸部22が作動部35Bの接続部35B1から離れるように作動部35Bのなかで付勢される。
【0045】
[作用]
図5が示すように、紙面奥側のばねアーム42は、ホルダー止め部23Aに掛け止められている。紙面手前側のばねアーム42は、紙面手前側の掛け止め壁33に掛け止められる。外力がアーム30に作用していない場合、ねじりコイルばね40の付勢力は、第1保持斜面31T、および第2保持斜面31Bを収容部21の内部に配置させる。ねじりコイルばね40の付勢力は、作動部35Bの接続部35B1から軸部22を離し、かつ作動部35Bにおける外側の端部に軸部22を押し付ける。
【0046】
物品が収容されはじめる場合、アーム30を押し下げるような押圧力が物品から第1保持斜面31Tに作用しはじめる。第1保持斜面31Tに作用する下向きの押圧力は、第1保持斜面31Tに沿って第1保持斜面31Tに対し相対的に物品を下動させる。
【0047】
この際、軸部22に対する作動部35Bの相対移動は、上下方向に規制される。一方、軸部22に対する作動部35Bの相対移動は、(a)軸部22を中心とした左周りの回動と(b)軸部22に接続部35B1を近づける作動部35Bに沿った移動とに許容される。(a)作動部35Bの回動や(b)軸部22の作動部35Bに沿った移動は、ねじりコイルばね40の付勢によって抑えられている。このため、第1保持斜面31Tに作用する下向きの押圧力が、ねじりコイルばね40の付勢力を上回ると、(a)作動部35Bが左周りに回動したり(b)軸部22が接続部35B1に近づいたりする。これにより、アーム30が収容部21から退出する。
【0048】
物品が取り出されはじめる場合、アーム30を押し上げるような押圧力が物品から第2保持斜面31Bに作用する。第2保持斜面31Bに作用する上向きの押圧力は、第2保持斜面31Bに沿って第2保持斜面31Bに対し相対的に物品を上動させる。
【0049】
この際、軸部22に対する作動部35Bの相対移動は、上下方向に規制される。一方、軸部22に対する作動部35Bの相対移動は、(a)軸部22を中心とした右周りの回動と(b)軸部22に接続部35B1を近づける作動部35Bに沿った移動とに許容される。(a)作動部35Bの回動や(b)軸部22の作動部35Bに沿った移動は、ねじりコイルばね40の付勢によって抑えられている。このため、第2保持斜面31Bに作用する上向きの押圧力が、ねじりコイルばね40の付勢力を上回ると、(a)作動部35Bが右回りに回動したり(b)軸部22が接続部35B1に近づいたりする。これにより、アーム30が収容部21から退出する。
【0050】
なお、保持壁31に対する物品の摩擦係数が大きい場合、物品から保持壁31に作用する押圧力は、(a)作動部35Bの回動に変換されやすい。保持壁31に対する物品の摩擦係数が小さい場合、物品から保持壁31に作用する押圧力は、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動に変換されやすい。
【0051】
上述したように、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、ねじりコイルばね40の付勢力に抗した掛け止め壁33によるばねアーム42の移動を伴う。加えて、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、接続部35B1に軸部22を近づける。保持壁31に対する物品の摩擦係数が大きい場合、物品から保持壁31に作用する押圧力は、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動に変換されやすく、このため、軸部22が接続部35B1に近づきやすい。
【0052】
図6が示すように、ホルダー20は、軸部22に対するばねアーム42の相対移動する経路上に、連結部23の第1規制部23Bを備える。このため、掛け止め壁33によるばねアーム42の移動は、ばねアーム42が第1規制部23Bに当接するまで許容される。そして、掛け止め壁33によるばねアーム42の移動は、ばねアーム42が第1規制部23Bに当接することによって止められる。これにより、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、軸部22が接続部35B1に達する前に止められる。
【0053】
[効果]
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)取付作業において、取付部35Aに受け入れられた軸部22は、取付部35Aに沿って移動して取付部35Aに連なる作動部35Bに入れられる。取付部35Aに沿った軸部22の移動は、作動部35Bに向けて折れ曲がる。このため、作動部35Bから軸部22の抜け出ることを抑えながらも、ガイド部35に軸部22を取り付ける際に作動部35Bを変形させるような負荷を軽減できる。
【0054】
(2)取付作業において、ガイド部35に受け入れられる軸部22は、開口部36から取付部35Aを通じて作動部35Bに入れられる。開口部36は、取付部35Aの第2端部35A2を含む。このため、ガイド部35に軸部22を取り付ける作業方法が作業者の直感によって把握されやすい。
【0055】
(3)アーム30が収容部21に進入するように、アーム30がねじりコイルばね40に付勢される。このため、物品の大きさや形状に適合した保持がアーム30によって実現される。
【0056】
(4)アーム30における進退の案内機能と、ねじりコイルばね40の支持機能とを軸部22が兼ね備えるため、ホルダー20における構成要素の点数削減が可能でもある。
(5)ばねアーム42の移動が第1規制部23Bに規制されるため、作動部35Bに対する軸部22の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。作動部35Bに対する軸部22の相対移動が所定範囲に抑えられることは、ホルダー20に対するアーム30の可動範囲を安定化させる。
【0057】
(6)特に、作動部35Bに対する軸部22の相対移動が接続部35B1を含まない所定範囲に抑えられるため、取付部35Aから作動部35Bに入った軸部22が取付部35Aに戻りがたい。このため、作動部35Bに沿った軸部22の相対移動に再現性を高められる。
【0058】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[変更例1:規制部]
・作動部35Bの延びる方向において、軸部22が作動部35Bの途中に位置するときに、第1規制部23Bがばねアーム42と当接するように、第1規制部23Bが配置されてもよい。例えば、第1規制部23Bは、ホルダー止め部23Aよりも収容部21の内側に配置されてもよい。
【0059】
[変更例2]
・
図7が示すように、アーム30は、上側規制部38、および下側規制部39を備えてもよい。上側規制部38、および下側規制部39は、それぞれ第2規制部の一例である。上側規制部38、および下側規制部39は、保持壁31の外側面と一体のリブである。上側規制部38は、下側規制部39の上方に配置されている。上側規制部38は、保持壁31の上部を補強する。下側規制部39は、掛け止め壁33と一体である。下側規制部39は、掛け止め壁33を補強する。
【0060】
上側規制部38、および下側規制部39は、2つのガイド壁32から離れ、かつ2つのガイド壁32の間に配置されている。上側規制部38、および下側規制部39は、軸部22の延びる方向において、ガイド壁32から軸部22の長さだけ離れている。言い換えれば、上側規制部38とガイド壁32との隙間は、軸部22の延びる方向において、軸部22の通過できる大きさだけ空けられている。上側規制部38とガイド壁32との隙間は、軸部22の延びる方向において、軸部22の通過できる大きさだけ空けられている。これにより、上側規制部38、および下側規制部39は、ガイド部35に軸部22を受け入れることを許容する。
【0061】
図8が示すように、上側規制部38は、ガイド壁32と対向する視点から見て、作動部35Bの接続部35B1に重なる。下側規制部39は、ガイド壁32と対向する視点から見て、取付部35Aに重なる。
【0062】
図9が示すように、上側規制部38は、ガイド壁32と対向する視点から見て、ねじりコイルばね40のコイル部41が接続部35B1を通過することを規制するように配置されている。下側規制部39は、ガイド壁32と対向する視点から見て、ねじりコイルばね40のコイル部41が作動部35Bから取付部35Aに移動することを規制するように配置されている。
【0063】
図10が示すように、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、接続部35B1に軸部22を近づけると共に、接続部35B1にコイル部41を近づけることを伴う。この点、アーム30は、アーム30に対するコイル部41の相対移動する経路上に、上側規制部38を備える。このため、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、コイル部41が上側規制部38に当接するまで許容される。そして、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、コイル部41が上側規制部38に当接することによって抑えられる。
【0064】
また、仮に、コイル部41が上側規制部38を超えて取付部35Aに戻るように、さらにアーム30が押圧力を受けるとしても、(b)作動部35Bに沿った軸部22の移動は、コイル部41が下側規制部39に当接することによってさらに抑えられる。
【0065】
上記変更例2によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(7)コイル部41の移動が上側規制部38、および下側規制部39に規制される。このため、ガイド部35に対する軸部22の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。ガイド部35に対する軸部22の相対移動が所定範囲に抑えられることは、ホルダー20に対するアーム30の可動範囲を安定化させる。
【0066】
(8)特に、作動部35Bに対する軸部22の相対移動が接続部35B1を含まない所定範囲に抑えられるため、取付部35Aから作動部35Bに入った軸部22が取付部35Aに戻りがたい。さらに、作動部35Bから取付部35Aに軸部22が戻るとしても、軸部22が開口部36に戻りがたい。このため、アーム30がホルダー20から外れることが一層に抑制される。
【0067】
[変更例3]
・物品保持装置10は、第1規制部23B、上側規制部38、および下側規制部39の少なくとも1つを割愛されてもよい。
【0068】
[変更例4]
・物品保持装置10が第1規制部23B、上側規制部38、および下側規制部39の少なくとも1つを備える場合、取付部35Aと作動部35Bとは、取付部35Aと作動部35Bとの境界に形成される折れ曲がりをガイド部35から割愛してもよい。
【0069】
上記変更例4によれば、取付部35Aに沿った軸部22の移動が作動部35Bに向けて折れ曲がることによる上記(1)が得られずとも、上記(5)~(8)に準じた効果が得られる。
【0070】
[変更例5:軸部22]
・軸部22は、上下方向において支持壁21Wの下部に配置されてもよいし、ガイド部35は、上下方向においてガイド壁32の下部に配置されてもよい。また、ストッパー32Aは、ガイド壁32の上端部に配置されてもよいし、ガイド壁32から割愛されてもよい。この際、開口部36は、アーム30の下面に配置されてもよい。このように、軸部22は、(a)軸部22を中心としたガイド部35の回動と(b)ガイド部35に沿った軸部22の移動とを許容し、これによってアーム30が収容部21から退出する構成であればよい。
【0071】
なお、変更例4と同様に、物品保持装置10が第1規制部23B、上側規制部38、および下側規制部39の少なくとも1つを備える場合、取付部35Aと作動部35Bとは、取付部35Aと作動部35Bとの境界に形成される折れ曲がりをガイド部35から割愛してもよい。
【0072】
例えば、取付部35Aと作動部35Bとは、前後方向に延びる1つの直線状を有してもよいし、1つの円弧状を有してもよい。そして、開口部36は、第2保持斜面31Bなどのアーム30の内側面に開口するように、保持壁31に配置されてもよい。
【0073】
・ホルダー20とアーム30とのいずれか一方が当接部材であり、かつ物品保持装置10が付勢部を備えてもよい。付勢部は、収容部21にアーム30を進入させるようにアーム30を付勢する。付勢部の一例は、ねじりコイルばね40である。物品保持装置10は、当接部材に対する付勢部の相対移動の経路上に配置される規制部39Tを備えてもよい。規制部39Tは、付勢部と規制部39Tとの当接によって、ガイド部35に沿った軸部22の相対移動を所定範囲に規制する。物品保持装置10は、第1規制部23B、上側規制部38、および下側規制部39を割愛し、かつ規制部39Tのみを備えてもよい。
【0074】
例えば、
図11が示すように、ガイド部35は、変更例4と同じく、折れ曲がりを備えていない1つの線状でもよい。すなわち、取付部35Aと作動部35Bとは、前後方向に延びる1つの直線状を有してもよいし、1つの円弧状を有してもよい。ガイド部35に沿った軸部22の移動は、取付部35Aと作動部35Bとの境界で折れ曲がらずに取付部35Aから作動部35Bに移ってもよい。
【0075】
この際、開口部36は、アーム30の内側面から後方に向けて軸部22を通すように、アーム30の内側面に開口してもよい。2つの軸部22が通る2つの開口部36は、軸部22の延びる方向に沿って並ぶ。2つの開口部36は、1つの規制部39Tによって仕切られている。規制部39Tを挟む2つの開口部36は、それぞれガイド部35の延びる方向に沿って、開口部36からガイド部35に軸部22を通す。一方、2つの開口部36に挟まれた規制部39Tは、2つの軸部22に装着されたコイル部41に規制部39Tよりも紙面手前へ移動することを規制する。コイル部41に当接する規制部39Tによるコイル部41の移動規制は、コイル部41の装着された軸部22がガイド部35に沿って開口部36から抜け出るような相対移動を規制する。
【0076】
ここで、
図12が示すように、軸部22は、変更例5と同じく、上下方向において支持壁21Wの下部に配置される。ガイド部35は、上下方向においてガイド壁32の下部に配置される。軸部22は、(a)軸部22を中心としたガイド部35の回動と(b)ガイド部35に沿った軸部22の移動とを許容し、これによってアーム30が収容部21から退出する。アーム30の退出にアーム30の並進成分が大きく含まれる場合、(b)ガイド部35に沿った軸部22の移動は、アーム30の退出と共に、開口部36に軸部22を大きく近づける。
【0077】
この点、規制部39Tは、アーム30に対するコイル部41の相対移動の経路上に配置される。アーム30に対するコイル部41の相対移動は、ガイド部35に対する軸部22の相対移動に相当する。すなわち、規制部39Tは、規制部39Tとコイル部41との当接によって、ガイド部35に沿った軸部22の相対移動を所定範囲に規制する。これによって、ガイド部35が直線状を有するとしても、規制部39Tとコイル部41との当接が、軸部22がガイド部35から外れることを抑制する。結果として、アーム30の退出にアーム30の並進成分が大きく含まれるとしても、軸部22がガイド部35のなかに保持され続ける。
【0078】
[変更例6:ガイド部35]
・ホルダーがガイド部35を備え、かつアーム30が軸部22を備えてもよい。この際、ねじりコイルばね40は、1つの軸部22に1つずつ備えてもよい。この構成であっても、上記(1)~(6)に準じた効果が得られる。
【0079】
[変更例7]
・取付部35Aは、ガイド壁32を貫通しない有底の溝でもよい。作動部35Bは、ガイド壁32を貫通しない有底の溝でもよい。さらに、ガイド部35の全体は、ガイド壁32を貫通しない有底の溝でもよい。ガイド部35は、作動部35Bの受け入れに作動部35Bの変形を要するような軸部22を、ホルダー20に対するアーム30の相対移動によってガイド部35に受け入れるような取付部35Aを備えればよい。
【0080】
例えば、2つの取付部35Aは、軸部22の延びる方向において、2つの取付部35Aの間隔を作動部35Bに向けて狭める構造でもよい。開口部36は、2つの取付部35Aの間隔のなかで最も広い部位であってアーム30の縁に開口していなくてもよい。
【0081】
[変更例8]
・取付部35Aが曲線状を有し、作動部35Bが取付部35Aの第1端部35A1における接線方向に延びる線状を有してもよい。
【0082】
[変更例9]
・取付部35Aは、作動部35Bが延びる方向において、作動部35Bの途中に接続されてもよい。言い換えれば、接続部35B1は、作動部35Bが延びる方向において、作動部35Bの途中に配置されてもよい。この構成においても、上記(1)~(5)に準じた効果が得られる。
【0083】
[変更例10]
・開口部36は、取付部35Aの第2端部35A2のみから構成されてもよい。開口部36は、軸部22の延びる方向において、軸部22を受け入れる長さを有していればよい。
【0084】
上記実施形態、および変更例から導き出される技術的思想を以下に付記する。
[付記1]
物品を収容する収容部を備えたホルダーと、
前記物品を保持するために前記収容部に進退するアームと、
前記アームが前記収容部に進入するように前記アームを付勢する付勢部と、
を備える物品保持装置であって、
前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方の部材が軸部を備え、
前記ホルダーと前記アームとのなかの前記部材以外がガイド部を備え、
前記ガイド部に沿った前記軸部の相対移動が前記アームを進退させるように構成され、
前記ホルダーと前記アームとのいずれか一方が当接部材であり、
前記当接部材は、
前記当接部材に対する前記付勢部の相対移動の経路上に配置され、かつ前記付勢部と規制部との当接によって前記ガイド部に沿った前記軸部の相対移動を所定範囲に規制する前記規制部を備える、
ことを特徴とする物品保持装置。
【0085】
上記付記1によれば、収容部に向けてアームを付勢する付勢部がアームの移動と共に変位するなかで、当接部材の規制部が付勢部に当接する。付勢部に当接する規制部は、規制部に対する付勢部の変位、ひいては当該変位に連動するガイド部に対する軸部の変位を所定範囲に規制する。仮に、ガイド部そのものがガイド部に対する軸部の変位範囲を定める場合、ガイド部の構造は、ガイド部に対する軸部の相対移動を可能にするのみならず、軸部の変位範囲まで定められるように制限される。結果として、ガイド部の加工に適したガイド部の構造を採用したり、ガイド部に軸部を取り付ける際の負荷を抑えるようなガイド部の構造を採用したりすることが困難となる。この点、付記1の構成によれば、規制部と付勢部との当接が、ガイド部に対する軸部の変位を所定範囲に規制するため、ガイド部の設計自由度を高めることが可能となる。
【0086】
[付記2]
前記付勢部は、ばねアームを備えるねじりコイルばねであり、
前記ねじりコイルばねは、前記アームの止め部に掛け止められるばねアームを備え、
前記止め部が、前記収容部から前記アームを退出させる外力によって前記軸部に対し前記ばねアームを相対移動させ、これによって、前記ガイド部に対する前記軸部の相対移動が許容され、
前記当接部材は、前記軸部を備える前記ホルダーであり、
前記規制部は、前記軸部に対する前記ばねアームの相対移動の経路上に配置され、かつ前記ばねアームと前記規制部との当接によって前記軸部に対する前記ばねアームの変位を所定範囲に規制する、
付記1に記載の物品保持装置。
【0087】
上記付記2によれば、第1規制部23Bの例に示すように、ばねアームの移動が規制部に規制されるため、ガイド部に対する軸部の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。
[付記3]
前記付勢部は、前記軸部に装着されるコイル部を備えたねじりコイルばねであり、
前記当接部材は、前記ガイド部を備える前記アームであり、
前記規制部は、前記ガイド部に対する前記コイル部の相対移動の経路上に配置され、かつ前記コイル部と前記規制部との当接によって前記ガイド部に対する前記コイル部の変位を所定範囲に規制する、
付記1または2に記載の物品保持装置。
【0088】
上記付記3によれば、上側規制部38や下側規制部39の例に示すように、コイル部の移動が規制部に規制されるため、ガイド部に対する軸部の相対移動が所定範囲のなかに抑えられる。
【符号の説明】
【0089】
10…物品保持装置
20…ホルダー
21…収容部
22…軸部
23A…ホルダー止め部
23B…第1規制部
30…アーム
33…掛け止め壁
33A…アーム止め部
35…ガイド部
35A…取付部
35A1…第1端部
35A2…第2端部
35B…作動部
35B1…接続部
36…開口部
38…上側規制部
39…下側規制部
40…ねじりコイルばね
41…コイル部
42…ばねアーム