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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108251
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】光量調節装置及び光学機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 9/02 20210101AFI20240805BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20240805BHJP
【FI】
G03B9/02 C
G03B11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012520
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森越 康貴
【テーマコード(参考)】
2H080
2H083
【Fターム(参考)】
2H080AA31
2H080AA38
2H080AA54
2H080AA64
2H083AA05
2H083AA07
2H083AA26
2H083AA35
2H083AA50
(57)【要約】      (修正有)
【課題】NDフィルタが回動中、特に回転軸回りでNDフィルタもしくは羽根部材の傾きが大きくなり、傾くことでNDフィルタもしくは羽根部材が変形する可能性があった。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明の光量調節装置は、光を通過させる開口部が設けられた地板部材1と、地板部材1に固定されるカバー部材2と、開口部に対して移動する光量調節部材3と、光量調節部材3を駆動する駆動部と、を備え、地板部材1及びカバー部材2は、光量調節部材3側に凸となり光量調節部材3が移動する空間を形成するレール群を有し、レール群の形成する空間のうち、開口部よりも駆動部の駆動軸側の第1のレール対1d、2dが形成する空間の厚みは、光量調節部材3の先端側に形成された第2のレール対1f、2fが形成する空間の厚みよりも薄いことを特徴とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を通過させる開口部が設けられた地板部材と、
前記地板部材に固定されるカバー部材と、
前記開口部に対して移動する光量調節部材と、
前記光量調節部材を駆動する駆動部と、を備え、
前記地板部材及びカバー部材は、前記光量調節部材側に凸となり前記光量調節部材が移動する空間を形成するレール群を有し、
前記レール群の形成する空間のうち、前記開口部よりも前記駆動部の駆動軸側の第1のレール対が形成する空間の厚みは、前記光量調節部材の先端側に形成された第2のレール対が形成する空間の厚みよりも薄いことを特徴とする光量調節装置。
【請求項2】
前記レール群の形成する空間のうち、前記駆動部の駆動軸よりも前記開口部側の第3のレール対が形成する空間の厚みは、前記第2のレール対が形成する空間の厚みよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項3】
前記レール群のうち、前記第2のレール対よりも前記第1のレール対の方が、前記光量調節部材側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の光量調節装置。
【請求項4】
前記第3のレール対が形成する空間には、前記光量調節部材のうちNDフィルタが接着された部分が移動することを特徴とする請求項2に記載の光量調節装置。
【請求項5】
前記光量調節部材は、羽根部材に前記NDフィルタが3点で接着されていることを特徴とする請求項4に記載の光量調節装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の光量調節装置と、前記光量調節装置を通過した光の像を撮像する撮像素子と、を備えたことを特徴とする光学機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルスチルカメラ等の光学撮像機器に用いられる光量調節装置及び光量調節装置を備えた光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやビデオカメラ、デジタルカメラにおいて露光量制御手段の一つとしてNDフィルタが知られている。NDフィルタは、基材に蒸着膜を形成することで取り込む光量を調整するもので、基材は合成樹脂製が主流となっている。
【0003】
カメラに内蔵する場合のNDフィルタの構成は、主に2種類が知られている。1つは露光開口部よりも小さい絞り開口を有する羽根部材に該絞り開口を覆うようにNDフィルタを設けた構成である。もう1つは羽根部材を使用せず、NDフィルタのみで構成し露光開口部を覆う構成である。いずれの場合も、地板部材及びカバー部材、もしくはシート部材で形成された羽根室内に、NDフィルタ及び羽根部材が収納される。特許文献1には、羽根部材に光学フィルタとしてNDフィルタが設けられたものが知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-40720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、NDフィルタもしくは羽根部材を収容する羽根室の厚みが全域に渡って一定であるものが記載されている。また、不作動を防ぐために羽根室はある程度大きめに設定されており、そのためNDフィルタが回動中、特に回転軸回りでNDフィルタもしくは羽根部材の傾きが大きくなり、傾くことでNDフィルタもしくは羽根部材が変形する可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光量調節装置は、
光を通過させる開口部が設けられた地板部材と、
前記地板部材に固定されるカバー部材と、
前記開口部に対して移動する光量調節部材と、
前記光量調節部材を駆動する駆動部と、を備え、
前記地板部材及びカバー部材は、前記光量調節部材側に凸となり前記光量調節部材が移動する空間を形成するレール群を有し、
前記レール群の形成する空間のうち、前記開口部よりも前記駆動部の駆動軸側の第1のレール対が形成する空間の厚みは、前記光量調節部材の先端側に形成された第2のレール対が形成する空間の厚みよりも薄いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、NDフィルタもしくは羽根部材が回転軸回りで傾くことを抑制でき、変形しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の分解斜視図
図2】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の地板部材の説明図
図3】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置のカバー部材の説明図
図4】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の羽根部材の説明図
図5】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の駆動部の説明図
図6】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の開放状態の説明図
図7】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の閉じ状態の説明図
図8】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の断面説明図
図9】本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置のA-A断面とB-B断面の説明図
図10】本発明の第2の実施形態に係る光量調節装置の羽根部材の説明図
図11】本発明の光量調節装置を備えた光学機器の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態に係る光量調節装置の分解斜視図である。光量調節装置は、例えばデジタルカメラなどの撮像装置の光量調節装置として利用され、主に地板部材1、カバー部材2、NDフィルタ3、羽根部材4、駆動部5、駆動部カバー6で構成される。
【0011】
図2は地板部材1の説明図である。地板部材1は、通過する光の光軸と同心の開口部1aが設けられている。また地板部材1には、扇型開口部1bが設けられ、この扇型開口部1bはNDフィルタ3の移動範囲に渡って開口しており、NDフィルタ3と地板部材1とが接触しNDフィルタ3に傷が付くことを防止する。さらに、地板部材1には回動軸1cが設けられ、この回転軸1cに対して、羽根部材4に設けられた軸孔4aが嵌合する。また地板部材1は羽根部材4側に凸となるレール1d、1e、1fを有し、後述するカバー部材2が有するレールとで、NDフィルタ3および羽根部材4を収納する羽根室(空間)を形成する。さらに地板部材1は突起1g、1hを有し、それぞれが羽根部材4の機械的なストッパの役割をする。
【0012】
図3は、カバー部材2の説明図である。カバー部材2は、地板部材1と同様に光軸と同心の開口部2aが設けられ、地板部材1と同様に扇型の開口部2bが設けられ。開口部2bはNDフィルタ3の移動範囲に渡って開口しており、NDフィルタ3とカバー部材2が接触しNDフィルタ3に傷が付くことを防止する。またカバー部材2は挿通部2cを有し、地板部材1が有する回転軸1cが挿通する。さらにカバー部材2は羽根部材4側に凸となるレール2d、2e、2fを有し、地板部材1が有するレール1d、1e、1fとほぼ同位置に設けられる。地板部材1が有するレール1d、1e、1fとカバー部材2が有する2d、2e、2fで形成された羽根室内に、NDフィルタ3と羽根部材4が収容される構成となる。これらのレール群のうち、レール1d、2dが対となっており、レール1e、2e、レール1f、2f、もレール対となり、レール対のそれぞれが羽根部材4の走行する空間を形成する。レール1d、2dは、開口部2bよりも駆動部5側に設けられている。レール1f、2fは、羽根部材4の先端側に設けられている。レール1f、2fは、駆動部5の駆動軸よりも開口部2b側に設けられている。
【0013】
図4は羽根部材4の説明図である。羽根部材4は軸孔4aが設けられ、軸孔4aには地板1が有する回動軸1cが嵌合する。また軸孔4aの近傍には長孔4bが設けられ、長孔4bには、駆動部5が有する突起5a’(駆動軸)が嵌合する。NDフィルタ3と羽根部材4の貼り付け方法は接着であるが、羽根部材4が有する凹部4cに接着剤を塗布し、上からNDフィルタ3を貼りつける方法となる。本実施形態1では凹部4cを2つとし、ゆえに接着箇所も2箇所の構成としているが、凹部4cの数と接着箇所は1箇所のみもしくは2箇所より多くても良い。
【0014】
図5は駆動部5の説明図である。駆動部5はNDフィルタ3および羽根部材4を開閉させるための機構であり、例えばムービングマグネット式アクチュエータ等の電動アクチュエータである。ムービングマグネット式アクチュエータは、例えば、永久磁石の外周面に2極(N極とS極)に着磁されたロータマグネットに樹脂をインサート成形したアーム部品5aと、アーム部品5aの外周に配置されたヨーク5bとを有し、コイル5cへの通電によりアーム部品5aおよびヨーク5b間に生じる吸引力および反発力を利用してアーム部品5aを回動させるアクチュエータである。またアーム部品5aは突起5a’を有し、羽根部材4に設けられた長孔4bと嵌合する。
【0015】
図6は本実施形態1におけるNDフィルタ3および羽根部材4の開放状態の説明図である。羽根部材4が有する平面部4dを突起1gに突き当て、NDフィルタ3および羽根部材4は、開口部1aを覆わないよう、退避している状態である。
【0016】
図7は本実施形態1におけるNDフィルタ3および羽根部材4の閉じ状態の説明図である。羽根部材4が有する平面部4eを突起1hに突き当て、NDフィルタ3および羽根部材4は、開口部1aを覆っている状態である。
【0017】
本実施形態1ではNDフィルタ3および羽根部材4が回動し開口部1aを開閉する構成としたが、NDフィルタ3および羽根部材4が平行移動によって開口部1aを開閉する構成でも良い。また、光量を調節する部材であれば、羽根部材にNDフィルタが取り付けられた構成以外でもどのような光量調節部材でもよい。
【0018】
図8は本実施形態1における各部品が組み込まれてユニットとなっている状態かつ閉じ状態の断面説明図である。地板部材1の回転軸1c周りをA―A断面、反対側(先端側)をB―B断面としている。
【0019】
図9aは本実施形態1におけるA―A断面の説明図である。回転軸1c周りでは、レール1dとレール2dで形成される羽根室Gd内に羽根部材4のみが位置する。また開口部2a周辺においては、レール1eとレール2eで形成される羽根室Ge内にNDフィルタ3および羽根部材4が位置する。なお羽根室Geは、NDフィルタ3および羽根部材4の接着部が位置するため、少し広めの設定となっている。
【0020】
図10bは本実施形態1におけるB―B断面の説明図である。レール1fとレール2fで形成される羽根室Gf内に、NDフィルタ3および羽根部材4が位置する。また、B―B断面部におけるNDフィルタ3および羽根部材4は自由端となっている。また本実施形態1ではレール1fに羽根部材4が当接し、レール2fにNDフィルタ3が当接する構成だが逆の構成でも良く、またNDフィルタ3もしくは羽根部材4のいずれか一方のみが当接する構成でも良い。
【0021】
本実施形態1は、レール2fの端面よりもレール2dの端面がNDフィルタ3および羽根部材4側に突出していることを特徴とする。この構成により羽根部材4の回転軸1c回りでの傾きを抑制し、変形を防止することができる。また地板部材1が有するレール1fの端面よりレール1dの端面がNDフィルタ3および羽根部材4側に突出する構成でも良く、さらにレール1dの端面とレール2dの端面の双方が、レール1f、2fの端面より突出する構成でも良い。
【0022】
本実施形態1は羽根室の関係について、羽根室Gfの厚みより羽根室Gdの厚みの方が小さい。このように構成すると、羽根部材4が、地板部材1が有する突起1gまたは突起1hに衝突した際、羽根室Gdの厚みを小さくしておくことで羽根部材4が傾くのを抑えることができ、軸孔4aの変形を防止することができる。
【0023】
本実施形態1は羽根室の関係について、羽根室Gfの厚みより羽根室Geの厚みの方が大きいことが好ましい。NDフィルタ3および羽根部材4の固定は接着にて行うが、この接着箇所は羽根室Ge内に位置する。すなわち、羽根室Geには、NDフィルタ3のうち接着された部分が移動する。
接着部は、NDフィルタ3および羽根部材4の厚みに接着剤の厚みも加わることになるが、羽根室Geの厚みを大きくしておくことで、NDフィルタ3および羽根部材4をスムーズに摺動させることができる。
【0024】
<第2の実施形態>
図10は、第2の実施形態の光量調節装置の羽根部材4である。凹部4cの数を3点にし、NDフィルタ3および羽根部材4の回動中に接着部にかかる負荷を分散させることで、接着部もしくはNDフィルタ3が破損するリスクを低減することができる。
【0025】
<第3の実施形態>
図11は、実施例1、2で説明した光量調節装置を搭載した撮像装置としての、一眼レフカメラ用の交換レンズ221、及びその交換レンズが装着されるカメラ本体の内部構成を示している。
【0026】
交換レンズ221の鏡筒内には、変倍レンズ232、実施形態1の光量調節装置100、およびフォーカスレンズ229を含む撮影光学系が収容されている。
【0027】
CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成される撮像素子225はカメラ本体内に配置され、交換レンズ221により形成された被写体像を光電変換して電気信号を出力する。光量調節装置100の絞り開口を変化させたり不図示のNDフィルタを進退させたりすることにより、撮像素子225上に形成される被写体像の明るさ(つまりは撮像素子225に到達する光量)を適正に設定することができる。
【0028】
撮像素子225から出力された電気信号は、画像処理回路226においてデジタル信号に変換されるとともに、種々の画像処理を施される。これにより、画像信号が生成される。
【0029】
ユーザは、ズームリング231を回転操作することにより、変倍レンズ232を移動させて変倍(ズーミング)を行わせることが出来る。コントローラ222は、画像信号のコントラストを検出し、そのコントラストに応じてフォーカスモータ228を制御し、フォーカスレンズ229を移動させてオートフォーカスを行う。あるいは、コントローラ222は、不図示の位相差検出方式を用いた焦点検出手段の検出信号に基づいて、フォーカスモータ228を制御し、フォーカスレンズ229を移動させてオートフォーカスを行ってもよい。
【0030】
さらに、コントローラ222は、不図示の測光手段の測光値あるいは画像信号に基づいて、光量調節装置100のアクチュエータ(駆動部)を制御し、光量を調節する。これにより、撮影時のボケやゴーストを自然な形状にすることができ、高画質の画像を記録することができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した一眼レフカメラに限定されず、レンズ一体型のデジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器にも広く適用可能である。
【0032】
以上説明した各実施形態は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施形態に対して種々の変形や変更が可能である。"
【符号の説明】
【0033】
1 地板部材
1a 開口部
1d、1e、1f レール
2 カバー部材
2a 開口部
2d、2e、2f レール
3 NDフィルタ
4 羽根部材
5 駆動部
6 駆動部カバー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11