(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108261
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】回転電機保護リングおよびその製造方法並びに回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20240805BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20240805BHJP
B29C 70/32 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K15/03 Z
B29C70/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012534
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 暉
(72)【発明者】
【氏名】高岩 玲生
(72)【発明者】
【氏名】佐野 健太郎
【テーマコード(参考)】
4F205
5H622
【Fターム(参考)】
4F205AA39
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG08
4F205AH33
4F205HA02
4F205HA23
4F205HA33
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HC17
4F205HK04
4F205HK05
4F205HL02
4F205HT22
5H622CA02
5H622CA07
5H622PP03
5H622PP18
(57)【要約】
【課題】
本発明は、回転電機における回転子の外側に巻き回し成形される繊維強化複合材料から構成される回転電機保護リングについて、回転電機の動作時に生じる回転電機保護リングの端部の剥離を抑制することで、回転電機保護リングの強度を向上し、回転電機のより一層の高速回転を可能にする、回転電機保護リングおよび、かかる回転電機保護リングの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料が、環状に複数回巻き回されて、円筒状の積層体として成形されてなる、回転電機保護リングであって、
前記テープ状もしくはシート状の材料の全ての長手方向の端部の外周側に、外層が1層以上存在する、回転電機保護リング。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料が、環状に複数回巻き回されて、円筒状の積層体として成形されてなる、回転電機保護リングであって、
前記テープ状もしくはシート状の材料の全ての長手方向の端部の外周側に、外層が1層以上存在する、回転電機保護リング。
【請求項2】
樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料を、環状に複数回巻き回して、円筒状の積層体として、次いで前記積層体を成形する、回転電機保護リングの製造方法であって、
前記テープ状もしくはシート状の材料を、外周から内周に向けて環状に複数回巻き回して、円筒状の積層体とする、回転電機保護リングの製造方法。
【請求項3】
前記テープ状もしくはシート状の材料における端部以外の箇所を巻き回しの起点とする、請求項2に記載の回転電機保護リングの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機保護リングを用いた回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機や電動機等の回転電機の回転子の保護に使用可能な、回転電機保護リングに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転電機の性能向上のために、回転電機の高速回転化が求められている。回転電機には、回転子の外周側に永久磁石を配置したSPM(Surface Permanent Magnet)型、回転子に永久磁石を埋没させて配置したIPM(Internal Permanent Magnet)型が挙げられるが、かかる回転電機を高速回転させた場合、遠心力により、外周に配置された永久磁石が回転子から脱落したり、回転子自体が破損したりする可能性がある。このような高速回転に伴う回転電機の破壊を抑制するために、特許文献1には、SPM型の回転電機において、回転部材の外周側に配置される永久磁石の、さらに外周面側を覆って装着されるリング状材料であって、一方向に配列した複数の糸状の繊維が、樹脂により平らに束ねられるテープ状繊維束を、被覆筒として形成したものが記載されている。
【0003】
上記リング状材料として、強度が高く軽量である等の理由から繊維強化複合材料が用いられており、特に強化繊維として炭素繊維を用いた材料が好ましい素材として記載されている。
【0004】
特許文献2には、回転電機の回転子の回転軸の外周を円環状に包囲するように配列された磁石を外周から拘束する拘束具が記載されており、かかる拘束具は、複数本の繊維をテープ状に束ねた繊維束を環状に積層するように複数回巻回してマトリックスとなる樹脂で一体的に結着しており、その巻き終わりの端部を略V字形状にカットすることにより、巻終端の剥離を抑制する、という手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-71763号公報
【特許文献2】特開2019-110622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明では、回転電機の高速回転に伴う遠心力によって、上記被覆筒(リング)に強い張力が付与されると、テープ状繊維束を巻き終え、成形してなる終端部を構成する材料が他の部分から剥離することによってリングが破壊され、強度が低下する問題が生じる。
【0007】
特許文献2に記載の発明においては、V字形状にカットすることで、巻終端の剥離の抑制が図られているものの、かかるV字形状にカットされた先端部に応力が集中するため、巻終端の剥離抑制の効果は不十分であった。
【0008】
ここで、本発明では、かかる回転子の外側に巻き回して、その保護のために用いられ得るリング状材料を、回転電機保護リングとする。
【0009】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、回転電機における回転子の外側に巻き回し成形される繊維強化複合材料から構成される回転電機保護リングについて、回転電機の動作時に生じる回転電機保護リングの端部の剥離を抑制することで、回転電機保護リングの強度が向上し、回転電機のより一層の高速回転を可能にする、回転電機保護リングおよび、かかる回転電機保護リングの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記構成からなる回転電機保護リングを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明の回転電機保護リング、その製造方法は、以下のとおりである。
1. 樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料が、環状に複数回巻き回されて、円筒状の積層体として成形されてなる、回転電機保護リングであって、
前記テープ状もしくはシート状の材料の全ての長手方向の端部の外周側に、外層が1層以上存在する、回転電機保護リング。
2. 樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料を、環状に複数回巻き回して、円筒状の積層体として、次いで前記積層体を成形する回転電機保護リングの製造方法であって、
前記テープ状もしくはシート状の材料を、外周から内周に向けて巻き回す、回転電機保護リングの製造方法。
3. 前記テープ状もしくはシート状の材料における端部以外の箇所を巻き回しの起点とする、上記2に記載の回転電機保護リングの製造方法である。
【0011】
また、本発明の回転電機は、上記1に記載の回転電機保護リングを用いたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回転電機保護リングは、回転電機動作時のリングの最外層における長手方向の端部の剥離が抑制されることから、回転電機をより一層高速で回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る回転電機保護リングの斜視図
【
図2】本発明の実施形態に係る回転電機保護リングを、その内周上に形成するために用いる円筒状材料の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、上記した本発明の回転電機保護リングの構成、および、回転電機保護リングの製造方法について説明する。
(回転電機保護リングの構成)
本発明の回転電機保護リングは、樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料が、環状に複数回巻き回されて、円筒状の積層体として成形されたものである。テープ状もしくはシート状の材料は、巻き始めから巻き終わりまで連続して巻き回されてもよく、複数回に分けて断続的に巻き回されてもよい。なお、本特許において、積層体とは、巻き回されて積み重ねられた材料が成形された後における態様を表すこともあれば、材料を巻き回して積み重ね、成形する前の製造過程における態様を表すこともある。
【0015】
上記繊維強化複合材料に用いられる強化繊維は、特に限定されるものではなく、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維などが使用できる。これらの繊維を2種以上混合して用いても構わない。軽量かつ高剛性な繊維強化複合材料が得られる観点から、炭素繊維を用いることが好ましい。
【0016】
上記繊維強化複合材料に用いられる樹脂は、特に限定されるものではなく、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアネートエステル樹脂といった熱硬化性樹脂の他、ポリアリールエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂といった熱可塑性樹脂も用いることができる。これらの樹脂を2種類以上混合して用いても構わない。
【0017】
本発明における回転電機保護リングは、樹脂が強化繊維に含浸してなるテープ状もしくはシート状の材料が、環状に複数回巻き回されてなる積層体によって構成されている。
【0018】
かかるテープ状もしくはシート状の材料は、あらかじめ強化繊維に樹脂を含浸させたトウプレグやプリプレグ、スリットテープを用いても良いし、フィラメントワインディングなどの手法によって、その場で強化繊維に樹脂を含浸させたものを用いても良い。
【0019】
テープ状もしくはシート状の材料の幅は特に限定されないが、幅1mm~100mmのものを用いた場合、巻き回して積層体を構成することが容易となるため好ましい。
【0020】
テープ状もしくはシート状の材料の長手方向の端部を終端としたとき、1つのテープ状もしくはシート状の材料は、終端が長手方向の両側にそれぞれ存在するため、1つのテープ状もしくはシート状の材料には2つの終端が存在する。2つ以上のテープ状もしくはシート状の材料を用いた場合は、用いたテープ状もしくはシート状の材料の2倍の数の終端全てが、全ての長手方向の端部を指す。
【0021】
外層とは、基準とした位置からリングの半径方向における、より外周側に存在する層を指す。また、外周側とは、リングの半径方向における、リングを構成する積層体の最外層の外周面への方向を指す。
【0022】
上記テープ状もしくはシート状の材料の全ての長手方向の端部、すなわち終端は、その外周側に外層が1層以上存在することで、少なくとも一部領域が外層に覆われている。一部の終端の全領域が外層に覆われ、外部に露出していないことが好ましく、全ての終端の全領域が外層に覆われ、外部に露出する終端がないことがより好ましい。終端と、その外周側に存在する外層とは、同一のテープ状もしくはシート状の材料で構成されてもよく、異なる材料で構成されてもよい。外周側に外層が存在していない場合、回転電機の高速回転に伴う遠心力によって、リングに強い張力が付与されたときに終端に剥離する力が作用することで、終端が剥離することが懸念されるが、終端の外周側に外層が1層以上存在することで、外層が力を負担するので、剥離抑制の効果が得られる。テープ状もしくはシート状の材料の1つの終端の外周側に外層が存在しているが、その他のいずれか1つの終端でも外周側に外層が存在していない場合、外周側に外層が存在していない終端で剥離が発生し得ることから、本発明では、全ての終端は、その外周側に外層が設けられたものとしており、リング全体で剥離抑制の効果が得られるものとしている。
【0023】
本発明の回転電機保護リングは、内径が1cm~25cmであることが剥離抑制効果を一層向上できるため好ましい。また、リングの厚みが0.1mm~5.0mmであることが剥離抑制効果を一層向上できるため好ましい。回転電機保護リングの内径と厚みが上記範囲であった場合、回転電機保護リングの最外層剥離抑制効果が高まり、回転電機を一層高速で回転させることができる。
(回転電機保護リングの成形法)
上記した、終端の外周側に外層が設けられた構造は、最外層に設けられた終端を、より内周側の層に潜り込ませることで形成してもよいが、終端を含む領域、すなわち、終端のそれぞれから積層体の最外層の円周の長さの半分までの範囲を端部領域としたとき、全ての端部領域について、その外周側に外層が存在することが好ましく、かかる積層体を形成するため、本発明では、円筒状材料の外周面ではなく、内周面に積層して行われ、内周面に沿って積層体の外周から内周に向けて巻き回して行う方法を提案する。ただし、全ての端部領域について、その外周側に外層が存在する積層体を構成可能であれば、上記方法に限られるものではない。
【0024】
前記積層体の形成は、テープ状もしくはシート状の材料を、円筒状材料の周方向を基準として、0°方向に巻き回す、つまりは円筒状材料の同一高さ位置にて重ねて巻き回して行っても良いし、上記基準方向から角度を変えてらせん状に巻き回して行っても良い。らせん状に巻き回して積層した場合、終端の外周側が外層と接していないこともありうるが、かかる接していない場合でも、終端の外周側に外層が存在することでその剥離を抑制する効果は十分得られるため、本発明において、必ずしも、終端とその外周側に存在する外層とが接することは必須ではない。
【0025】
また、従来技術では、材料の長手方向における端部のいずれか片方を巻き回しの起点としていたが、本発明では、長手方向の端部以外の箇所を巻き回しの起点として、外周から内周に向けて巻き回すことで、好適に端部の外周側に外層が存在できることを見出した。好ましくは、テープ状もしくはシート状の材料の終端から、円筒状材料の内周分の長さを除いた領域を巻き回しの起点とする方法である。ただし、本発明に係る積層体を構成可能であれば、上記方法に限られるものではない。上記した、終端以外の箇所を巻き回しの起点とする場合、テープ状もしくはシート状の材料の片側の端部を含む材料部分と、反対側の端部を含む材料部分とで、円筒状材料に異なる周方向に巻き回してもよいし、同じ周方向に巻き回してもよい。片側の端部を含む材料部分と、反対側の端部を含む材料部分とを異なる周方向に巻き回すことで、積層体の最も外周の全ての層の繊維方向を円筒状材料の周方向と同一とすることができる観点で好ましい。さらに、積層体の最も外周の層の繊維方向を円筒状材料の周方向と同一とすることで、回転電機の高速回転に伴う遠心力によって、リングに作用する張力と繊維方向が平行になるという観点でより好ましい。
【0026】
材料を構成する樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、前記積層体に対して、オートクレーブ成形などの手法によって、熱および圧力を付与し、硬化させることで、回転電機保護リングを得ることができる。
【0027】
材料として熱可塑性樹脂を用いる場合、前記積層時に、巻き回すと同時にレーザーなどで熱を加え溶着させていくことで、積層体の構成と同時に回転電機保護リングを得ることができる。
【実施例0028】
以下に本発明の回転電機保護リングの具体的な成形法の実施例を説明する。
【0029】
積層体を形成するための円筒状材料として、直径150mm、高さ30mmの金属製中空円柱材を用いた。また、積層体を構成するテープ状材料として、炭素繊維を目付が100g/m2となるように一方向に引き揃えられた強化繊維となし、これにエポキシ樹脂組成物を含浸して、樹脂含有率が30質量%であるシート状の一方向プリプレグを得て、一方向に並んだ繊維の幅方向に5mm幅でカットしてテープ状にしたものを用意した。
【0030】
前記中空円柱材の内周面上の任意に選択した位置に、カットしたテープ状プリプレグの繊維の長手方向の中央を固定して、繊維の長手方向が中空円柱材の軸方向と直交する向きに貼り付けた。
【0031】
その後、テープ状プリプレグの片側の端部を含むほぼ半分(以下、プリプレグの一方の半分とする。)を、中空円柱材の内周面を軸方向上の一方の端部(以下、中空円柱材一端とする。)に沿ってらせん状に巻き回し、中空円柱材一端に到達したところで、プリプレグの一方の半分の巻き回しを一旦止め、同じプリプレグの他方の端部を含むほぼ半分(すなわち、プリプレグの一方の半分以外の部分。以下、プリプレグ他方の半分とする。)を、中空円柱材の軸方向上の他方の端部(以下、中空円柱材他端とする。)に向けて、先と同じ向きのらせん状に巻き回し、中空円柱材他端に到達したところで、プリプレグの他方の半分の巻き回しを一旦止めた。
【0032】
次いで、中空円柱材一端に到達したプリプレグの一方の半分を、中空円柱材一端にて、同一高さ位置にて内周に向けて一周分巻き回した上で、マンドレル軸方向上に折り返し、中空円柱材他端に向けて、逆向きのらせん状に、先に中空円柱材一端に向けて巻き回した材料、および、中空円柱材他端に向けて巻き回した材料の上に積層させて巻き回し、中空円柱材一端から中空円柱材の軸方向長さの約5/6まで到達した地点で、同一高さ位置にて内周に向けて一周分巻き回した上で、マンドレル軸方向上に折り返し、再び、中空円柱材一端に向けて、始めと同じ向きのらせん状に、先に巻き回した材料の上に積層させて巻き回し、中空円柱材一端に到達したところで、プリプレグの一方の半分の巻き回しを一旦止めた。
【0033】
さらに、中空円柱材他端に到達したプリプレグの他方の半分を、中空円柱材他端にて、同一高さ位置にて内周に向けて三周分巻き回した上で、マンドレル軸方向上に折り返し、中空円柱材一端に向け、先に巻き回した材料の上に積層させて巻き回し、中空円柱材他端から中空円柱材の軸方向長さの約5/6まで到達地点で折り返し、その地点で、同一高さ位置にて内周に向けて一周分巻き回した上で折り返し、中空円柱材他端に向け、先に巻き回した材料の上に積層させてらせん状に巻き回し、中空円柱材他端にて、同一高さ位置にて内周に向けて一周分巻き回した上で折り返し、中空円柱材一端に向け、先に巻き回した材料の上に積層させて、中空円柱材の軸方向のほぼ中央まで巻き回した。
【0034】
その上で、中空円柱材一端に到達したプリプレグの一方の半分を、中空円柱材一端にて、同一高さ位置にて内周に向けて三周分巻き回した上で折り返し、中空円柱材他端に向け、先に巻き回した材料の上に積層させて、中空円柱材の軸方向のほぼ中央まで巻き回し、厚みが1mmの積層体を構成した。
【0035】
その後、積層体を中空円柱材とともに、積層体の内周側から中空円柱材の外周にかけてバッギングフイルムで覆い、オートクレーブを用いて加圧、加熱硬化することで、回転電機保護リングを成形した。
本発明の回転電機保護リングは、発電機や電動機等の回転電機の回転子の外側に装着し、磁石が含まれる回転子を、回転電機が動作する際の遠心力による破壊から保護する目的に使用可能である。本発明により、かかる回転電機保護リングおよび回転子から構成される回転電機をも提供可能である。
例えば、上記したSPM型の電動機に好ましく適用することができ、動作時に遠心力による永久磁石の回転子からの脱落が抑制されるため、回転電機を高速で回転させることが可能となる。また、上記したIPM型の電動機に好ましく適用することもでき、動作時に遠心力による電磁鋼板の破壊が抑制されるため、回転電機を高速で回転させることが可能となる。