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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108263
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】錠剤取出し容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20240805BHJP
   A61J 1/03 20230101ALI20240805BHJP
【FI】
B65D83/04 Z
A61J1/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012541
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【弁理士】
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】長島 弘彦
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047GG24
(57)【要約】
【課題】 錠剤を1錠ずつ確実且つ衛生的に取り出せるようにした錠剤取出し容器を創出することを課題とする。
【解決手段】 錠剤Pが収容される容器本体10と、該容器本体10の上部開口端11に装着される下蓋20と、前記錠剤Pを取り出す操作部材30と、前記下蓋20を覆う上蓋40と、を有して構成される錠剤取出し容器であって、前記下蓋20が、前記錠剤Pの吐出を可能とする吐出口23と、該吐出口23に前記錠剤Pを導く傾斜状頂壁部22とを有すると共に、前記吐出口23の内径が径方向に伸縮可能とされており、前記操作部材30には前記吐出口23に位置する前記錠剤Pを押し込むことにより、前記吐出口23の内径を拡開させて前記錠剤Pを通り抜けさせる操作ロッド32が設けられた構成とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤(P)が収容される容器本体(10)と、該容器本体(10)の上部開口端(11)に装着される下蓋(20)と、前記錠剤(P)を取り出す操作部材(30)と、前記下蓋(20)を覆う上蓋(40)と、を有して構成される錠剤取出し容器であって、
前記下蓋(20)が、前記錠剤(P)の吐出を可能とする吐出口(23)と、該吐出口(23)に前記錠剤(P)を導く傾斜状頂壁部(22)とを有すると共に、前記吐出口(23)の内径が径方向に伸縮可能とされており、
前記操作部材(30)には前記吐出口(23)に位置する前記錠剤(P)を押し込むことにより、前記吐出口(23)の内径を拡開させて前記錠剤(P)を通り抜けさせる操作ロッド(32)が設けられていることを特徴とする錠剤取出し容器。
【請求項2】
操作部材(30)が、外筒部(31A)及び操作底壁(31B)を有する操作キャップ(31)と、前記操作底壁(31B)の中央に垂設された操作ロッド(32)と、該操作ロッド(32)の先端に設けられた押圧部(33)とを有して形成され、
前記操作ロッド(32)が容器本体(10)の底壁(13)に穿設された貫通孔(13a)を介して容器本体(10)内に挿入された状態で、操作部材(30)が容器軸(O)に沿う軸方向に移動可能とされている請求項1記載の錠剤取出し容器。
【請求項3】
押し込まれた操作部材(30)を押し込み前の元の位置に復帰させる復帰手段(50)を備える請求項1又は2記載の錠剤取出し容器。
【請求項4】
復帰手段(50)が、操作キャップ(31)と、容器本体(10)の底壁(13)の外側に設けられた板バネ部(14)とにより構成される請求項3記載の錠剤取出し容器。
【請求項5】
操作ロッド(32)の外周面の所定の高さ位置に、前記操作ロッド(32)の移動範囲を規制する規制片(34)が形成されている請求項1又は2記載の錠剤取出し容器。
【請求項6】
押圧部(33)が、錠剤(P)の外形形状に倣う凹湾曲面で形成されている請求項2記載の錠剤取出し容器。
【請求項7】
上蓋(40)が、吐出口(23)に挿入されると共にその先端が操作部材(30)の押圧部(33)に当接する規制ロッド(43)を備える請求項1又は2記載の錠剤取出し容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤取出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子や薬剤等から成る錠剤を1錠ずつ取り出せるようした容器として、例えば容器本体2の口部2c内を筒状壁に沿って移動可能なヘッド4を備えた定量取出し容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この取出し容器では、ヘッド4を手の平などの対象物Tに押し付けると、ヘッド4が容器本体2内に向かって移動し、このときヘッド4に設けられた内側端4dが口部2cの内壁に設けられた規制片3eを中心軸線Oから離れる向きに弾性的に変位させるため、錠剤が容器本体2から規制片3eを通過してヘッド4内の計量空間Kに至る。次に、ヘッド4を対象物Tから離すと、弾性部4jの復元力によってヘッド4が容器本体2の外側に向かって移動し、弾性変位していた規制片3eが復元して、他の錠剤の計量空間Kへの移動が遮断されるため、計量空間Kに収容されていた1錠の錠剤を取り出すことがきるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-119540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の取出し容器では、錠剤を取り出す際に、口部2cに設けたヘッド4の先端を手の平などの対象物Tに押し付ける必要がある。この際、例えば手の平が汚れた状態や非衛生な状態にあると、手の平に付着していた異物や菌などがヘッドを介して錠剤に移行する可能性があることから、衛生面において改善の余地があった。
【0006】
またヘッド4を対象物Tに押し付けた状態では、規制片3eによる規制は受けないので錠剤は自由に通過可能である。このため、容器本体2を傾けた姿勢にした状態でヘッド4を対象物Tに押し付けると、錠剤が次々と押し出されてしまう虞があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、錠剤を1錠ずつ確実且つ衛生的に取り出せるようにした錠剤取出し容器を創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の第1の手段は、
錠剤が収容される容器本体と、該容器本体の上部開口端に装着される下蓋と、前記錠剤を取り出す操作部材と、前記下蓋を覆う上蓋と、を有して構成される錠剤取出し容器であって、
前記下蓋が、前記錠剤の吐出を可能とする吐出口と、該吐出口に前記錠剤を導く傾斜状頂壁部とを有すると共に、前記吐出口の内径が径方向に伸縮可能とされており、
前記操作部材には前記吐出口に位置する前記錠剤を押し込むことにより、前記吐出口の内径を拡開させて前記錠剤を通り抜けさせる操作ロッドが設けられていることを特徴とする、と云うものである。
本発明の第1の手段では、吐出口に位置する錠剤を操作部材の先端で押し込むことにより吐出される構成としたことにより、吐出口やその近傍を押し付ける必要がなく、またその他の錠剤に触れることもないので1錠ずつ確実且つ衛生的に取り出すことができる。
【0009】
本発明の第2の手段は、上記第1の手段に、操作部材が、外筒部及び操作底壁を有する操作キャップと、前記操作底壁の中央に垂設された操作ロッドと、該操作ロッドの先端に設けられた押圧部とを有して形成され、
前記操作ロッドが容器本体の底壁に穿設された貫通孔を介して容器本体内に挿入された状態で、操作部材が容器軸に沿う軸方向に移動可能とされている、との手段を加えたものである。
上記手段では、軸方向に移動可能に設けられた操作部材に対して押し込み操作を行うことにより、錠剤を取り出すことができる。
【0010】
また本発明の第3の手段は、上記第1又は第2の手段に、押し込まれた操作部材を押し込み前の元の位置に復帰させる復帰手段を備える、との手段を加えたものである。
上記手段では、操作部材に対する押圧操を解除すると、操作部材を使用開始時の操作位置に自動的に復帰させることができる。
【0011】
また本発明の第4の手段は、上記第2の手段に、復帰手段が、操作キャップと、容器本体の底壁の外側に設けられた板バネ部とにより構成される、との手段を加えたものである。
上記手段では、復帰手段を簡単な構成で構成することができる。
【0012】
また本発明の第5の手段は、上記第1又は第2の手段に、操作ロッドの外周面の所定の高さ位置に、前記操作ロッドの移動範囲を規制する規制片が形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、貫通孔からの操作ロッドの抜け止めを達成することができる。
【0013】
また本発明の第6の手段は、上記第2の手段に、押圧部が、錠剤の外形形状に倣う凹湾曲面で形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、球形状の錠剤を確実に捕らえて押し込むことが可能であるため、錠剤を確実に吐出することができる。
【0014】
また本発明の第7の手段は、上記第1又は第2の手段に、上蓋が、吐出口に挿入されると共にその先端が操作部材の押圧部に当接する規制ロッドを備える、との手段を加えたものである。
上記手段では、使用開始前の状態、特に流通過程において、操作部材が軸方向に移動を防止すること及び錠剤が吐出口から吐出されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、操作部材を操作することにより1錠ずつ確実に吐出することができる。また従来のように、吐出口やその近傍を押し付ける必要がなく、またその他の錠剤にも触れることもないので衛生的に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例として、使用前の初期状態を示す錠剤取出し容器の断面図である。
図2】使用開始時の操作を示す錠剤取出し容器の断面図である。
図3】押圧操作時の状態を示す錠剤取出し容器の断面図である。
図4】復帰操作時の状態を示す錠剤取出し容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施例として使用前の初期状態を示す錠剤取出し容器の断面図である。
尚、以下においては、容器軸Oに沿う方向を軸方向、上下方向又は高さ方向と称し、容器軸Oに直交する方向を径方向、容器軸Oの周りを周回する方向を周方向と称して説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の錠剤取出し容器1は、容器本体10と、容器本体10の上部開口端11に装着される下蓋20と、錠剤Pを取り出すための操作部材30と、上部開口端11に装着された下蓋20をその上から覆う上蓋40とを有して構成され。これらはすべて所定の合成樹脂材料を成形することにより形成されている。
尚、錠剤取出し容器1から取り出される錠剤Pは、例えば菓子や薬剤などであり、その外形形状は球体又は扁平状を含む回転楕円体が好ましい。
【0019】
容器本体10は、上端に上部開口端11を有して多数の錠剤Pを収容する収容部Mが設けられた収容筒12と、収容筒12の下端に設けられた底壁13と、底壁13の外側下面に垂下設された板バネ部14とを有して構成される。収容筒12の上部開口端11側の外周面には段差部11Aが周設されており、この段差部11Aには係止凹部11aが形成されている。また底壁13の中心には、収容部Mの外側(図1では図示下端側)から収容部Mの内側(図1では図示上端側)に向かって縮径する形状を有して軸方向(上下方向)に貫通する貫通孔13aが穿設されている。
【0020】
板バネ部14は、円筒の一部をその先端から底壁13側の基端に向かって徐々に細幅となるテーパー状に切欠き形成して成る欠損部14bを周方向の複数箇所に設けることで形成された複数の板バネ14aを有して形成されている。各板バネ14aは、底壁13側の基端を支点として先端が径方向の内側及び外側に向かって撓むことで垂直姿勢と傾斜姿勢との間で変位可能に構成されている。尚、各板バネ14aの先端の外周面には案内用の傾斜部14cが形成されている。
【0021】
下蓋20は、容器本体10側の係止凹部11aに係止可能な係止凸部21aを有して段差部11Aに嵌着する側壁部21と、側壁部21の上端に上部開口端11から離れる方向に向かって縮径状に連設されると共に頂部に吐出口23が設けられた傾斜状頂壁部22とを有して形成されている。側壁部21の外周面には雄ネジ21bが形成されている。また吐出口23は、軸方向に沿って貫通形成されると共に内径が径方向に伸縮する弁動が可能とされており、吐出口23にテンションを与えると吐出口23の内径を変形前の収縮状態から拡開状態に広げることができ、またテンションを解放すると吐出口23の内径を変形前の収縮状態に復元できるように構成されている。更に、変形前の収縮状態にある吐出口23の内径寸法は、錠剤Pの最大外径寸法よりも僅かに小さな寸法に設定され、拡開状態にある吐出口23の内径寸法は錠剤Pの最大外径寸法よりも大きくなるように構成されている。このような吐出口23は、傾斜状頂壁部22の頂部を形成する合成樹脂の肉厚を薄肉状とすることで径方向に弁動可能に構成されている。
【0022】
操作部材30は、断面略T字形状有して軸方向に沿って移動可能な部材であり、板バネ部14を外側から覆うことで各板バネ14aを径方向に撓み変形させることが可能な外筒部31Aを有する操作キャップ31と、操作キャップ31の操作底壁31Bの中央に一体に垂設されて図示上下方向に沿って延びる長筒状又は棒状から成る操作ロッド32とを有して構成されている。尚、外筒部31Aの内径寸法は、板バネ部14を構成する各板バネ14aの外径寸法よりも若干小さな寸法で形成されている。また外筒部31Aの先端の内周面には案内用の傾斜部31aが形成されている。
【0023】
操作部材30は、操作ロッド32を容器本体10側の貫通孔13aに挿入した状態において軸方向に沿って移動可能とされている。操作ロッド32の先端には錠剤Pの外形形状に倣う凹湾曲面から成る押圧部33が形成され、操作ロッド32の外周面の所定の高さ位置には操作ロッド32の移動範囲を規制する規制片34が形成されている。すなわち、規制片34は先端から操作底壁31Bに向かって拡径状に形成されており、規制片34の先端の径寸法は、縮径状に形成された貫通孔13aの下端側の内径よりも小さく、規制片34の基端側(操作底壁31B側)の径寸法は貫通孔13aの上端側の内径よりも大きい寸法を有して形成されている。このため、操作ロッド32を先端側から貫通孔13aに挿入し、一度規制片34が貫通孔13aを通り抜けると、その後は規制片34の基端側が貫通孔13aの上端に当接するため、挿入後の抜脱を規制すること(抜け止め)が可能となっている。
【0024】
これにより、操作部材30の底壁13側への移動(図2乃至図4では上方向への移動)は、図2又は図4に示すように規制片34が貫通孔13aに当接するまでの範囲で可能とされている。また操作部材30の下蓋20側への移動(図2乃至図4では下方向への移動)は、図3に示すように操作キャップ31の傾斜部31aによって傾斜姿勢に撓み変形させられた各板バネ14aの先端同士が接触するまでの範囲、すなわち各板バネ14aがこれ以上傾斜することができなくなることで操作キャップ31の押し込みが不可となるまで移動することが可能である。
【0025】
尚、図1に示すように、規制片34の基端側(操作底壁31B側)が貫通孔13aの上端に当接した状態では、外筒部31Aの先端に設けられた傾斜部31aと複数の板バネ14aの先端に設けられた傾斜部14cとが径方向に対向配置され、互いに外れないように接触している。
【0026】
上蓋40は、天壁部41の外縁部に外側部42が垂下設された部材である。天壁部41の内面中央には棒状の規制ロッド43が垂下設され、天壁部41の内面で、且つ外側部42と規制ロッド43との間には短筒状の内筒部44が垂下設されている。また外側部42の内周面には、下蓋20の側壁部21の外周面に形成された雄ネジ21bに対して螺合可能な雌ネジ42aが形成されている。
【0027】
錠剤取出し容器の組み立ては、上述したように、最初に操作ロッド32の先端を貫通孔13a内に挿入し、操作部材30を容器本体10に組み付け、次に上部開口端11から操作ロッド32と容器本体10の内周面との間の収容部M内に錠剤Pを充填する。続いて、下蓋20を容器本体10の上端に嵌着して容器本体10の上部開口端11側を覆う。最後に、下蓋20の上に上蓋40を被せると共に、上蓋40を周方向の一方(閉蓋方向)に回して雌ネジ42aと雄ネジ21bとを螺合させ、下蓋20の外側に上蓋40を螺着させることで使用前の初期状態に設定する。
使用前の初期状態では、規制ロッド43が吐出口23に挿入され、その先端が操作部材30の押圧部33に当接すると共に、規制片34の基端が貫通孔13aの上端に当接する状態にあるため、操作部材30の軸方向への移動を防止すること及び吐出口23からの錠剤Pの吐出を制限することが可能となっている。また内筒部44の先端が下蓋20の側壁部21の上面に対して環状に当接することで容器本体10内の気密性を維持し、湿気の増大を防止できるようになっている。
【0028】
次に、上記構成からなる錠剤取出し容器の作用効果について説明する。
図2は上蓋を外すと共に倒立姿勢とした使用開始時の操作を示す錠剤取出し容器の断面図、図3図2に続く押圧操作時の状態を示す錠剤取出し容器の断面図、図4は押圧操作から使用開始時の操作に戻す復帰操作時の状態を示す錠剤取出し容器の断面図である。
【0029】
(使用開始時の操作)
錠剤取出し容器1を使用するには、操作者は、最初に上蓋40を取り外して下蓋20を露出させる。これにより、規制ロッド43の先端が操作部材30の押圧部33から離れるため、操作部材30の軸方向への移動を許容させることができる。
【0030】
続いて、図2に示すように、操作者は錠剤取出し容器1を倒立姿勢に設定する。すると、複数の錠剤Pが収容部M内を下方に移動し、縮径状に形成された傾斜状頂壁部22の内面上に載置されると共に、そのうちの1錠が傾斜状頂壁部22に導かれて吐出口23内に嵌りこむ。尚、吐出口23の内径寸法は変形前の収縮状態にあるため、錠剤Pが吐出口23を通り抜けることはない。
【0031】
(押圧操作)
次に、図3に示すように、操作者は手で操作キャップ31の操作底壁31Bを下方に向かって押し込む操作を行う。すると、操作ロッド32が収容部M内を下方に移動するため、先端の押圧部33で吐出口23に位置する錠剤Pを更に押し込むことができる。尚、押圧部33の先端は凹湾曲面で形成されているため、球形状の錠剤Pを確実に捕らえて押し込むことが可能である。この際、吐出口23には錠剤Pからのテンションが作用するため、吐出口23の内径を操作ロッド32の押し込み量に応じて強制的に広げることができる、そして、吐出口23の内径寸法が錠剤Pの最大外径寸法を越えると、錠剤Pが吐出口23を通り抜けるため、1錠の錠剤Pのみを確実に取り出すことが可能となる。
【0032】
尚、このときの押圧操作においては、操作キャップ31の外筒部31Aの先端に設けられた傾斜部31aが、板バネ部14を構成する各板バネ14aの外周面上を底壁13に近づく方向(図3では下方向)に向かって摺動するが、上述のとおり外筒部31Aの内径寸法は各板バネ14aの外径寸法よりも若干小さな寸法で形成されている。このため、各板バネ14aを、押圧操作に伴って径方向内側に向かう傾斜姿勢に撓み変形させることができる。
【0033】
(復帰操作)
錠剤Pを取り出した後は、操作者は操作キャップ31から手を離して押圧操作を解除する。すると、図4に示すように、径方向内側に向かって傾斜姿勢に撓み変形していた各板バネ14aが、元の垂直姿勢に復元しようとして先端が径方向外側に向かって変形する。これにより、傾斜部31aが各板バネ14aの外周面上を先ほどとは逆方向となる底壁13から離れる方向(図4では上方向)に摺動するため、操作部材30を元の使用開始時の操作位置に復帰させることができる。このように、板バネ部14と操作キャップ31とは、押し込まれた操作部材30を元の使用開始時の操作位置に復帰させる復帰手段50を構成している。
【0034】
操作部材30を使用開始時の操作位置に復帰させた状態では、押圧部33は吐出口23から離れ、吐出口23は元の収縮状態に戻る。このため、錠剤Pの吐出を確実に防止できる、特に、上蓋40を装着しない状態において容器本体10を傾斜姿勢にしたとしても、従来のように錠剤Pが次々と吐出されることを防止することが可能である。
【0035】
尚、続けて錠剤Pを取り出したい場合には、上記使用開始時の操作及びそれに続く押圧操作を繰り返すことにより、錠剤Pを1錠ずつ取り出すことが可能である。
【0036】
上記のように本発明の錠剤取出し容器では、錠剤Pを1錠ずつ確実に取り出すことができる。また錠剤Pを取り出す際に、吐出口23から錠剤Pを直接受け取ることが可能である。このため、従来のように吐出口23やその近傍を押し付ける必要がなく、また他の錠剤Pに触れずに所定の場所に取り出すことができる。よって、異物や菌などが錠剤Pに移行することを抑制でき、より衛生的に収容し且つ取り出すことができる。
【0037】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、上記実施例では吐出口23を、傾斜状頂壁部22の頂部を形成する合成樹脂の肉厚を薄肉状として構成する場合を示して説明したが、下蓋20の全体をより弾性変形可能なゴムや合成樹脂材料で形成してもよい。あるいは吐出口23を有する傾斜状頂壁部22又はその頂部のみを柔軟性の高いゴムや合成樹脂材料で形成する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、錠剤取出し容器の分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 :錠剤取出し容器
10 :容器本体
11 :上部開口端
11A :段差部
11a :係止凹部
12 :収容筒
13 :底壁
13a :貫通孔
14 :板バネ部(復帰手段)
14a :板バネ
14b :欠損部
14c :傾斜部
20 :下蓋
21 :側壁部
21a :係止凸部
21b :雄ネジ
22 :傾斜状頂壁部
23 :吐出口
30 :操作部材
31 :操作キャップ(復帰手段)
31A :外筒部
31B :操作底壁
31a :傾斜部
32 :操作ロッド
33 :押圧部
34 :規制片
40 :上蓋
41 :天壁部
42 :外側部
42a :雌ネジ
43 :規制ロッド
50 :復帰手段
44 :内筒部
M :収容部
O :容器軸
P :錠剤
図1
図2
図3
図4