(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108265
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】管理会計装置、管理会計方法および管理会計プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240805BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012544
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角中 克哉
(72)【発明者】
【氏名】田中 澄花
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB63
5L055BB63
(57)【要約】
【課題】部門別の粗利を把握することができる管理会計装置、管理会計方法および管理会計プログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態の管理会計装置であって、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成し、伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成し、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成し、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備える管理会計装置であって、
商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、
商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、
定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、
仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、
売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成部と、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成部と、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成部と、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成部と、
を備える、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理会計装置であって、
前記第1生成部、前記第2生成部、前記第3生成部および前記第4生成部の各々は、前記売上データが計上されたタイミングで、前記第1仕訳データ、第2仕訳データ、第3仕訳データおよび第4仕訳データを生成する、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管理会計装置であって、
前記制御部は、
前記仕入データ、前記売上データ、前記第1仕訳データ、第2仕訳データ、第3仕訳データおよび第4仕訳データに基づいて、前記売上データが計上されたタイミングで部門別の粗利を算出する算出部、
をさらに備える、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管理会計装置であって、
前記制御部は、
外部から入力される操作情報に基づいて、対外取引科目での粗利算出または前記部門別での粗利算出であるか否かを判定する判定部、
をさらに備え、
前記算出部は、
前記判定部によって対外取引科目での粗利算出であると判定された場合、前記仕入データおよび前記売上データに基づいて、対外取引科目での粗利を算出する一方、
前記判定部によって前記部門別での粗利算出であると判定された場合、前記部門別での粗利を算出する、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項5】
請求項4に記載の管理会計装置であって、
部門コード毎に、特定の部門名を対応付けた特定部門判別用マスタ、
にさらにアクセス可能であり、
前記算出部は、
前記判定部によって部門別での粗利算出であると判定された場合、前記特定部門判別用マスタを参照し、特定の部門の粗利をさらに算出する、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管理会計装置であって、
前記算出部は、
前記判定部によって部門別での粗利算出であると判定された場合、前記仕入データ、前記売上データ、前記第1仕訳データ、第2仕訳データ、第3仕訳データおよび第4仕訳データに基づいて、財務会計の粗利を算出し、
前記財務会計の粗利から前記部門毎の粗利を減算した金額を前記特定の部門の粗利として算出する、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項7】
請求項6に記載の管理会計装置であって、
前記制御部は、
前記算出部が算出した前記部門別での粗利を含む財務会計画面をモニタに出力する表示出力制御部、
をさらに備える、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項8】
請求項7に記載の管理会計装置であって、
前記財務会計画面は、
前記特定の部門の粗利を含む、
ことを特徴とする管理会計装置。
【請求項9】
制御部を備える管理会計装置で実行される管理会計方法であって、
前記管理会計装置は、
商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、
商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、
定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、
仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、
売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部で実行される、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする管理会計方法。
【請求項10】
制御部を備える管理会計装置に実行させるための管理会計プログラムであって、
前記管理会計装置は、
商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、
商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、
定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、
仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、
売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、
にアクセス可能であり、
前記制御部に実行させるための、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成ステップと、
前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成ステップと、
を含むこと、
を特徴とする管理会計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理会計装置、管理会計方法および管理会計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、取引発生時にリアルタイムに社内の部門毎の損益を捉えて成績を明確にすることにより、営業部門の原価意識および購買部門の収益意識を高め、全社の活性化することができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商社や海外との取引を多く行う企業では、発注(仕入)部門(購買部門)と、販売部門(営業部門)とが分離されている場合が多い。このため、部門毎の損益を把握するには、部門単体の対外取引のみを用いて判断することが難しく、社内間取引の仕訳を計上することで、部門別損益を把握する必要があった。
【0005】
しかしながら、企業では、社内間取引が日々発生するため、社内取引を全て記録するシステムへの登録の手間が生じたり、社内取引を計上しなければ社外取引をシステム計上することができなかったりすることで、部門別の粗利を把握することが難しかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、部門別の粗利を把握することができる管理会計装置、管理会計方法および管理会計プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る管理会計装置は、制御部を備える管理会計装置であって、商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成部と、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成部と、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成部と、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成部と、を備える、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る管理会計方法は、制御部を備える管理会計装置で実行される管理会計方法であって、前記管理会計装置は、商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、にアクセス可能であり、前記制御部で実行される、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る管理会計プログラムは、制御部を備える管理会計装置に実行させるための管理会計プログラムであって、前記管理会計装置は、商品コード毎に、商品名および社内売買用仕入計上部門を対応付けた商品マスタと、商品コード毎に、標準原価単価および仕入単価を対応付けた商品単価マスタと、定義コード毎に、少なくとも定義名および総勘定科目を対応付けた仕訳定義マスタと、仕入の伝票番号毎に、仕入先、商品、部門および金額を対応付けた仕入データと、売上の伝票番号毎に、得意先、商品、部門および金額を対応付けた売上データと、にアクセス可能であり、前記制御部に実行させるための、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する第1生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記仕入データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する第2生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する第3生成ステップと、前記商品マスタ、前記商品単価マスタ、前記仕訳定義マスタおよび前記売上データに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する第4生成ステップと、を含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部門別の粗利を把握することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る管理会計装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する商品マスタにおける商品マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する商品単価マスタにおける商品単価マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する仕訳定義マスタにおける仕訳定義マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する特定部門判別用マスタにおける特定部門判別用マスタテーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する仕入データにおける仕入データテーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る管理会計装置の記憶部が記憶する売上データにおける売上データテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る管理会計装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、仕入の仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、売上の仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1仕訳データおよび第2仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第3仕訳データおよび第4仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る管理会計装置の出力装置が表示する財務会計画面の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る管理会計装置の出力装置が表示する財務会計画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る管理会計装置、管理会計方法および管理会計プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0013】
[1.構成]
本実施形態に係る管理会計装置の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、管理会計装置の構成の一例を示すブロック図での概要を示す模式図である。
【0014】
図1に示す管理会計装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、管理会計装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0015】
管理会計装置100は、制御部102と、通信インターフェース部104と、記憶部106と、入出力インターフェース部108と、を備えている。管理会計装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0016】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、管理会計装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と、通信回線と、を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、管理会計装置100と、サーバ200と、を相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0017】
入出力インターフェース部108には、入力装置112と、出力装置114と、が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0018】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、商品マスタ106aと、商品単価マスタ106bと、仕訳定義マスタ106cと、特定部門判別用マスタ106dと、仕入データ106eと、売上データ106fと、を記憶している。
【0019】
商品マスタ106aは、商品コード毎に、商品名および社内販売用仕入計上部門を対応付けて記憶している。
【0020】
図2は、商品マスタ106aにおける商品マスタテーブルの一例を示す図である。
図2に示す商品マスタテーブルT1の1行目には、商品コード「SH001」に、商品名「商品A」および社内販売用仕入計上部門「購買部」を対応付けて記憶している。
【0021】
商品単価マスタ106bは、商品コード毎に、改定日、標準原価単価および仕入単価を対応付けて記憶している。
【0022】
図3は、商品単価マスタ106bにおける商品単価マスタテーブルの一例を示す図である。
図3に示す商品単価マスタテーブルT2の1行目には、商品コード「SH001」に、改定日「2022/04/01」、標準原価単価「¥1,200」および仕入単価「¥1,000」を対応付けて記憶している。
【0023】
仕訳定義マスタ106cは、定義コード毎に、改定日、定義名、総勘定科目、補助科目および内訳科目を対応付けて記憶している。
【0024】
図4は、仕訳定義マスタ106cにおける仕訳定義マスタテーブルの一例を示す図である。
図4に示す仕訳定義マスタテーブルT3の1行目には、定義コード「100」に、改定日「2022/04/01」に、定義名「社内販売用勘定科目(仕入)」、総勘定科目「管理会計仕入」、補助科目「*」および内訳科目「*」を対応付けて記憶している。
【0025】
特定部門判別用マスタ106dは、部門コード毎に、特定の部門に計上して管理を行うための部門名を対応付けて記憶している。
【0026】
図5は、特定部門判別用マスタ106dにおける特定部門判別用マスタテーブルの一例を示す図である。
図5に示す特定部門判別用マスタテーブルT4の1行目には、部門コード「B001」に、部門名「管理本部」を対応付けて記憶している。
【0027】
仕入データ106eは、仕入の伝票番号毎(仕入番号毎)に、行番号、仕入先、商品名、部門および金額を対応付けて記憶している。
【0028】
図6は、仕入データ106eにおける仕入データテーブルの一例を示す図である。
図6に示す仕入データテーブルT5の1行目には、仕入の伝票番号である仕入番号「SR001」に、行番号「1」、仕入先「AA商店」、商品「SH001:商品A」、部門「B01:購買部」および金額「¥900」を対応付けて記憶している。
【0029】
売上データ106fは、売上の伝票番号毎に、行番号、得意先、商品、部門および金額を対応付けて記憶している。
【0030】
図7は、売上データ106fにおける売上データテーブルの一例を示す図である。
図7に示す売上データテーブルT6の1行目には、売上の伝票番号である売上番号「UR001」に、行番号「1」、得意先「BB卸」、商品「SH001:商品A」、部門「E01:営業部」および金額「¥1,500」を対応付けて記憶している。
【0031】
図1に戻り、管理会計装置100の構成の説明を続ける。
制御部102は、管理会計装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、仕入データ生成部102aと、売上データ生成部102bと、第1生成部102cと、第2生成部102dと、第3生成部102eと、第4生成部102fと、判定部102gと、算出部102hと、表示出力制御部102iと、を備える。
【0032】
仕入データ生成部102aは、オペレータが入力装置112を介して入力された内容と仕入データ106eに基づいて、仕入の仕訳データを生成する。
【0033】
売上データ生成部102bは、オペレータが入力装置112を介して入力された内容と仕入データ106eに基づいて、営業部に商品を販売した場合、売上の仕訳データを生成する。
【0034】
第1生成部102cは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび仕入データ106eに基づいて、購買部が仕入先より仕入れた商品を営業部に販売した場合、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する。
【0035】
第2生成部102dは、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび仕入データ106eに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する。
【0036】
第3生成部102eは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび売上データ106fに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する。
【0037】
第4生成部102fは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび売上データ106fに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する。
【0038】
判定部102gは、オペレータが入力装置112を介して入力した操作内容に応じて、操作情報に基づいて、対外取引科目での粗利算出または前記部門別での粗利算出であるか否かを判定する。
【0039】
算出部102hは、算出部102hは、特定部門判別用マスタ106d、仕訳データに基づいて、部門別の粗利を算出する。算出部102hは、対外取引で粗利を算出する。具体的には、算出部102hは、仕入データ106eおよび売上データ106fに基づいて、対外取引科目で粗利を算出する。
【0040】
表示出力制御部102iは、算出部102hが算出した部門別の粗利を含む財務会計画面を出力装置114へ出力する。表示出力制御部102iは、算出部102hが算出した対外取引科目の粗利を含む財務会計画面を出力装置114へ出力する。
【0041】
[2.管理会計装置が実行する処理]
次に、管理会計装置100が実行する処理について説明する。
図8は、管理会計装置100が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【0042】
図8に示すように、仕入データ生成部102aは、オペレータが入力装置112を介して入力された内容と仕入データ106eに基づいて、仕入の仕訳データを生成する(ステップS1)。
【0043】
図9は、仕入の仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図9に示す仕訳データテーブルT10には、仕訳テーブルNo.「1」に、借方科目の勘定科目「仕入」、借方科目の部門「購買部」、金額「¥900」、貸方科目の勘定科目「買掛金」、貸方科目の部門「-」および金額「¥900」を対応付けて生成されている。具体的には、仕入データ生成部102aは、オペレータが入力装置112を介して入力された内容に応じて購買部が仕入先より¥900で仕入れた仕訳データテーブルT10を生成する。
【0044】
続いて、売上データ生成部102bは、オペレータが入力装置112を介して入力された内容と仕入データ106eに基づいて、営業部に商品を販売した場合、売上の仕訳データを生成する(ステップS2)。
【0045】
図10は、売上の仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図10に示す仕訳データテーブルT11には、仕訳テーブルNo.「2」に、借方科目の勘定項目「売掛金」、借方科目の部門「-」、金額「¥1,500」、貸方科目の勘定科目「売上」、貸方科目の部門「営業」および金額「¥1,500」を対応付けて生成されている。
【0046】
その後、第1生成部102cは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび仕入データ106eに基づいて、購買部が仕入先より仕入れた商品を営業部に販売した場合、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第1仕訳データを生成する(ステップS3)。
【0047】
続いて、第2生成部102dは、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび仕入データ106eに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用仕入高の第2仕訳データを生成する(ステップS4)。
【0048】
図11は、第1仕訳データおよび第2仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図11の仕訳データテーブルT12の1行目に示すように、第1生成部102cは、商品マスタ106aの社内販売用仕入計上部門により購買部の社内売上計上である旨の情報と、仕入データ106eと、商品単価マスタ106bの標準原価単価「¥1,200」と、を用いて、第1仕訳データを生成する。具体的には、第1生成部102cは、第1仕訳データである仕訳テーブルNo.「A」に、借方科目の勘定科目「諸口」、部門「-」、金額「¥1,200」、貸方科目の勘定科目「管理会計売上」、貸方部門の部門「購買部」および金額「¥1,200」を対応付けて生成する。この場合、第1仕訳データである仕訳テーブルNo.「A」を生成する。
【0049】
さらに、
図11の仕訳データテーブルT12の2行目に示すように、第2生成部102dは、売上伝票と同部門である営業部の社内仕入計上である旨の情報と、仕入データ106eと、商品単価マスタ106bの標準原価単価「¥1,200」と、を用いて、第2仕訳データを生成する。具体的には、第2生成部102dは、第2仕訳データである仕訳テーブルNo.「B」に、借方科目の勘定科目「管理会計仕入」、借方科目の部門「営業部」、借方科目の金額「¥1,200」、貸方科目の勘定科目「諸口」、貸方部門の部門「-」および金額「¥1,200」を対応付けて生成する。なお、仕訳データテーブルT12は、営業部が購買部から商品を仕入れする内部取引のため、取引伝票に計上されない。
【0050】
図8に戻り、ステップS5以降の説明を続ける。
その後、第3生成部102eは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび売上データ106fに基づいて、売上の伝票番号に、営業部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第3仕訳データを生成する。
【0051】
続いて、第4生成部102fは、商品マスタ106a、商品単価マスタ106b、仕訳定義マスタ106cおよび売上データ106fに基づいて、売上の伝票番号に、購買部の借方科目、借方部門、貸方科目、貸方部門の発生金額を対応付けた管理会計用売上高の第4仕訳データを生成する(ステップS6)。
【0052】
図12は、第3仕訳データおよび第4仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図12に示す仕訳データテーブルT13の1行目に示すように、第3生成部102eは、売上伝票と同部門である営業部の社内仕入計上である旨の情報と、売上データ106fの「¥1,500」と、を用いて、第3仕訳データを生成する。具体的には、第3生成部102eは、第3仕訳データである仕訳テーブルNo.「C」に、借方科目の勘定科目「諸口」、部門「-」、金額「¥1,500」、貸方科目の勘定科目「管理会計売上」、貸方部門の部門「営業部」および金額「¥1,500」を対応付けて生成する。
【0053】
さらに、
図12に示す仕訳データテーブルT13の2行目に示すように、第4生成部102fは、商品マスタ106aの社内販売用仕入計上部門により購買部の社内売上計上である旨の情報と、商品単価マスタ106bの仕入単価「¥1,000」と、を用いて、第4仕訳データを生成する。具体的には、第4生成部102fは、第4仕訳データである仕訳テーブルNo.「D」に、借方科目の勘定科目「管理会計仕入」、借方科目の部門「購買部」、借方科目の金額「¥1,000」、貸方科目の勘定科目「諸口」、貸方部門の部門「-」および金額「¥1,000」を対応付けて生成する。
【0054】
このように管理会計装置100は、営業部が売上計上した場合、
図13に示す社内売上・社内仕入の仕訳計上元データを生成する。
【0055】
図13は、仕訳データにおける仕訳データテーブルの一例を示す図である。
図13に示す仕訳データテーブルT14には、仕入データおよび売上データに加えて、第1生成部102c、第2生成部102d、第3生成部102eおよび第4生成部102fの各々が生成した仕訳テーブルNo.「A」~「D」が生成される。
【0056】
図8に戻り、ステップS7以降の説明を続ける。
ステップS7において、判定部102gは、オペレータが入力装置112を介して入力した操作内容に応じて、仕訳計上元データの管理会計科目を使用せず、粗利計算を対外取引科目で行うか否かを判定する。判定部102gによって粗利計算を対外取引科目で行うと判定された場合(ステップS7:Yes)、管理会計装置100は、ステップS8へ移行する。これに対して、判定部102gによって粗利計算を対外取引科目で行わないと判定された場合(ステップS7:No)、管理会計装置100は、後述するステップS10へ移行する。
【0057】
ステップS8において、算出部102hは、対外取引で粗利を算出する。具体的には、算出部102hは、仕入データ106e(例えば
図9の仕訳データテーブルT10を参照)および売上データ106f(例えば
図10の仕訳データテーブルT11を参照)に基づいて、対外取引科目で粗利を算出する。
【0058】
続いて、表示出力制御部102iは、算出部102hが算出した対外取引科目の粗利を含む財務会計画面を出力装置114へ出力する(ステップS9)。
【0059】
図14は、出力装置114が表示する財務会計画面の一例を示す図である。
図14の財務会計画面P1に示すように、算出部102hは、営業部の売上「1,500」から購買部の仕入「900」を減算した「600」を全社の売上総利益として算出する。表示出力制御部102iは、算出部102h算出した対外取引科目の粗利「600」を含む財務会計画面P1を表示する。これにより、オペレータは、全社での売上総利益を把握することができる。ステップS9の後、管理会計装置100は、本処理を終了する。
【0060】
図8に戻り、ステップS10以降の説明を続ける。
ステップS10において、算出部102hは、特定部門判別用マスタ106d、仕訳データ(例えば
図11の仕訳データテーブルT12および
図12の仕訳データテーブルT13)に基づいて、部門別の粗利を算出する。
【0061】
続いて、表示出力制御部102iは、算出部102hが算出した部門別の粗利を含む財務会計画面を出力装置114へ出力する(ステップS11)。
【0062】
図15は、出力装置114が表示する財務会計画面の一例を示す図である。
図15の財務会計画面P2に示すように、まず、算出部102hは、科目の管理会計仕入に基づいて、財務会計粗利を算出する。具体的には、
図15に示すように、算出部102hは、営業部および購買部の各々の総売上利益である粗利を算出する。例えば、算出部102hは、営業部の場合、管理会計売上「1,500」から管理会計仕入「1,200」を減算することによって営業部の売上総利益「300」を算出する。また、算出部102hは、購買部の場合、管理会計売上「1,200」から管理会計仕入「1,000」を減算することによって営業部の売上総利益「200」を算出する。
【0063】
さらに、算出部102hは、科目の管理会計仕入に基づいて、営業部および購買部の各々の管理会計売上「1,500」および「1,200」を加算した部門別計「2,700」から、営業部および購買部の各々の管理会計仕入「1,200」および「1,000」を加算した部門別計「2,100」を減算することによって財務会計粗利「600」を算出する。その後、算出部102hは、特定部門判別用マスタ106dを参照し、財務会計粗利「600」から営業部および購買部の各々の売上総利益「300」および「200」を減算した金額を管理本部粗利「100」として算出する。
【0064】
なお、
図15では、部門別の粗利を確認するためなので、財務会計粗利(例えば¥600)と同じものにはならない場合もある。例えば、商品単価マスタ106bの仕入単価が¥1,000である場合において、購買部の実際の対外仕入が¥900のとき、財務会計粗利と管理会計粗利との差である¥100が生じる。このため、管理会計装置100では、特定の部門である、管理本部に財務会計粗利と管理会計粗利との差である¥100を計上して管理することができる。ステップS11の後、管理会計装置100は、本処理を終了する。
【0065】
以上説明した実施形態によれば、第1生成部102c、第2生成部102d、第3生成部102eおよび第4生成部102fの各々が第1仕訳データ、第2仕訳データ、第3仕訳データおよび第4仕訳データを生成するため、対外取引の仕入および売上の取引伝票の計上のみにより、部門別の粗利を把握することができる。
【0066】
また、実施形態によれば、オペレータによって売上データ106fが計上されたタイミングで、第1生成部102c、第2生成部102d、第3生成部102eおよび第4生成部102fの各々が第1仕訳データ、第2仕訳データ、第3仕訳データおよび第4仕訳データを生成するため、取引伝票計上負担の低減が図れるうえ、対外取引の計上および数字確認のみになるため、結果的に会社としての月次締の早期化を図ることができる。
【0067】
また、実施形態によれば、算出部102hがオペレータによって売上データ106fが計上されたタイミングで、部門別の粗利を算出するため、対外取引計上の裏側で社内間取引の仕訳の計上を行うことで、部門別の粗利を把握することができる。
【0068】
また、実施形態によれば、判定部102gによって対外取引科目での粗利算出であると判定された場合、算出部102hが仕入データ106eおよび売上データ106fに基づいて、対外取引科目での粗利を算出する一方、判定部106gによって部門別での粗利算出であると判定された場合、算出部102hが部門別での粗利を算出するため、オペレータが所望する粗利を算出することができる。
【0069】
また、実施形態によれば、算出部102hが特定部門判別用マスタ106dを参照し、財務会計粗利から営業部および購買部の各々の売上総利益を減算した金額を管理本部粗利として算出するため、特定の部門の粗利も算出することができ、部門間での利益を把握することができる。
【0070】
また、実施形態によれば、表示出力制御部102iが算出部102hによって算出した対外取引科目の粗利を含む財務会計画面P2を出力装置114へ出力するため、オペレータは、部門毎の粗利を直感的に把握することができる。
【0071】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0074】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0075】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0076】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメーターを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0077】
また、管理会計装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0078】
例えば、管理会計装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。なお、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて管理会計装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0079】
また、このコンピュータプログラムは、管理会計装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0080】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0081】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0082】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0083】
また、管理会計装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、管理会計装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0084】
さらに、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、卸業および商社において有用である。
【符号の説明】
【0086】
100 管理会計装置
102 制御部
102a 仕入データ生成部
102b 売上データ生成部
102c 第1生成部
102d 第2生成部
102e 第3生成部
102f 第4生成部
102g 判定部
102h 算出部
102i 表示出力制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 商品マスタ
106b 商品単価マスタ
106c 仕訳定義マスタ
106d 特定部門判別用マスタ
106e 仕入データ
106f 売上データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク