(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108271
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
B61D 27/00 20060101AFI20240805BHJP
B61D 33/00 20060101ALI20240805BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20240805BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20240805BHJP
B60H 1/22 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B61D27/00 G
B61D33/00 A
B60N2/56
A47C7/74 B
B60H1/22 611C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012558
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 善博
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JE02
3B084JF02
3B087DE09
3L211BA55
3L211DA50
(57)【要約】
【課題】座席の周囲に対する暖房効率を向上させることができ、省スペース化の要請にも応じることができる暖房装置を提供する。
【解決手段】脚台1の上面側に配置され、通電により発熱する薄板状の発熱体12を底浅なケース13内に収めてなる暖房器11と、暖房器11に平面視で重なり、前記脚台1の上面より下方に配置される防熱板20と、を備え、防熱板20は、暖房器11により加熱され上昇する熱気を下面側に滞留させず、防熱板20の所定方向の端縁まで導き周囲へ分散させる形状とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席を床面上に設置する脚台に設けられ、前記座席の周囲を暖めるための暖房装置において、
前記脚台の上面側に配置され、通電により発熱する薄板状の発熱体を底浅なケース内に収めてなる暖房器と、
前記暖房器の上方に平面視で重なる状態に配置される防熱板と、を備え、
前記防熱板は、前記暖房器により加熱され上昇する熱気を下面側に滞留させず、該防熱板の所定方向の端縁まで導き周囲へ分散させる形状としたことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記防熱板は、一枚の金属板を長手方向の中心線に沿って山折りした山型の縦断面形状であり、該金属板の両側短辺である端縁の下面側は、前記ケースの上面との間でそれぞれ外側に開口させたことを特徴とする請求項1に記載の暖房装置。
【請求項3】
前記防熱板は、上方より落下する塵埃を含む異物が前記暖房器に積もることを防ぐ塵除け板を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の暖房装置。
【請求項4】
前記座席は、鉄道車両の客室内に装備され、
前記暖房器は、前記座席の周囲である前記客室内を暖めるものであることを特徴とする請求項3に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席を床面上に設置する脚台に設けられ、前記座席の周囲を暖めるための暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば鉄道車両の客室内における暖房器は、座席を床面上に設置する脚台に設けられることが多い(例えば特許文献1参照)。具体的な暖房器としては、発熱体であるシーズ線を、金属製で箱型のケース内に収めて構成されたものであった。このようなシーズ線を用いた暖房器は、シーズ線をケース内壁より離隔させて支持する構成上、ケース全体がかなりの容積を要して、縦幅(厚さ)も例えば60mm等と比較的大きく嵩む形状であった。
【0003】
また、鉄道に関する関連法規では、車両の火災対策として、暖房器等には必要に応じて絶縁性かつ不燃性の防熱板を設けることが定められている。このような防熱板は、例えば
図5に示すように、座席の脚台の上面より下方に水平に取り付けられ、さらに防熱板の下方に、暖房器が吊り下がるように設置されていた。これにより、脚台上の座席の座部と暖房器との間に、防熱板は配置されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の暖房器では、熱せられた空気はそのまま自然対流で上昇するが、水平な防熱板の下面に受け止められて滞留することが多い。ここで防熱板は、その上方の座部への断熱効果を発揮するものであるが、熱気が長い時間滞留すると高温化するため、座部も着座者が不快感を感じるほど熱くなりやすいという問題があった。
【0006】
その反面、暖房器からの熱気が座席の周囲に分散しにくいため、シーズ線は消費電力が比較的多いにも関わらず、座席の周囲に対する暖房効率には問題があった。すなわち、従来の暖房器では、これに付随させる防熱板の構成と相俟って、消費電力の割りに客室内を十分に暖めることができないという問題があった。
【0007】
さらに、従来の暖房器では、シーズ線を備える構成上、ケースが全体的に嵩張る大きさとなる。そのため、脚台内の限られた空間において、暖房器の配置スペースが大きくなり、その取り付け性に問題があるだけでなく、他部品の配置が侵食されたり、脚台内で着座者が足を伸ばせる空間も侵食されるという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、簡易な構成でもって、発熱体からの熱気を局所的に滞留させずに周囲へ分散させることを可能とし、座席を快適な温度に保つことができると共に、座席の周囲に対する暖房効率を向上させることができ、全体的な構成が嵩張ることなく省スペース化の要請にも応じることができる暖房装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
座席を床面上に設置する脚台に設けられ、前記座席の周囲を暖めるための暖房装置において、
前記脚台の上面側に配置され、通電により発熱する薄板状の発熱体を底浅なケース内に収めてなる暖房器と、
前記暖房器の上方に平面視で重なる状態に配置される防熱板と、を備え、
前記防熱板は、前記暖房器により加熱され上昇する熱気を下面側に滞留させず、該防熱板の所定方向の端縁まで導き周囲へ分散させる形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る暖房装置によれば、簡易な構成でもって、発熱体からの熱気を局所的に対流させずに周囲へ分散させることを可能とし、座席を快適な温度に保つことができると共に、座席の周囲に対する暖房効率を向上させることができ、全体的な構成が嵩張ることなく省スペース化の要請にも応じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る暖房装置を脚台内に設置した状態を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る暖房装置を脚台内に設置した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る暖房装置を示す斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る暖房装置を脚台内に設置した状態を示す縦断面図である。
【
図5】従来の暖房器を脚台内に設置した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施形態を説明する。
図1から
図3は、本発明の第1実施形態を示している。
本実施形態の暖房装置10は、座席を床面上に設置する脚台1に設けられ、座席の周囲を暖めるものである。ここで座席の種類は特に限定されるものではないが、以下、鉄道車両の客室内に設置される腰掛に適用した場合を例に説明する。なお、以下に説明する実施形態で示される構成要素、形状、数値等は、何れも本発明の一例であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0013】
<脚台1の概要>
図1および
図2に示すように、脚台1は、左右両側で前後に並ぶ合計4本の支柱2と、各支柱2の上端間に組み付けられた枠組状の上部フレーム3を主として、図示省略した座席の両側方向に長い直方体形状に構成されている。ここで上部フレーム3の上端内側が脚台1の上面をなすが、この上面は、例えば板状の部材等で必ずしも面状に塞がれている必要はなく、一部が開口面であっても構わない。
【0014】
図2に示すように、上部フレーム3の左右中央には前後の梁に亘り、座席の回転機構(図示せず)を取り付ける回転台座4が組み付けられている。脚台1上の座席は、この回転機構によって、前後に方向転換ができるように回転可能に支持されている。脚台1の上面側の一側端には、回転機構を操作するための足踏ペダル5が設けられている。また、脚台1の上面側の他側端には、後述する暖房器11の配線をまとめる配線板6が設けられている。
【0015】
座席自体は図示省略したが、脚台1の両側方向に並ぶ複数の座部ごとに、それぞれリクライニング機構を介して背もたれを傾動可能に支持してなる。このような座席は、座部と背もたれが2組並ぶ場合は2人掛けであり、3組並ぶ場合は3人掛けとなる。もちろん、脚台1の両側方向の幅を短くして1人掛けとしたり、あるいは両側方向の幅を長くして4人掛け以上に構成しても良い。なお、座席の回転機構を設けずに、脚台1上の上面側に座席を直接支持しても構わない。
【0016】
<暖房装置10の概要>
図1および
図3に示すように、暖房装置10は、鉄道車両の客室内を暖めるものであり、客室内における配置スペースの関係で、座席を床面上に支持する脚台1に設けられている。暖房装置10は、脚台1の上面側に配置される暖房器11と、該暖房器11の上方に平面視で重なる状態に配置される防熱板20と、を備えている。
【0017】
防熱板20は、脚台1の上面側に配置されるが、暖房器11の後述するケース13の上面より上方に配置され、要は、脚台1の上面とケース13の上面との間に配置されている。防熱板20は、その下面が暖房器11のケース13の上面に対して上方に離隔しており、防熱板20の下面とケース13の上面との間には、隙間としての通気空間Sが設けられている。
【0018】
<<暖房器11について>>
暖房器11は、通電により発熱する薄板状の発熱体12を底浅なケース13内に収めてなる。このような暖房器11は、個体として独立したユニットとして構成されている。先ず発熱体12は、車両に搭載された電源からの通電により発熱するものであり、例えば薄板状の抵抗発熱材によって、平坦で両側方向に長い略長方形状に形成されている。ここで抵抗発熱材としては、ニクロム材、クローム-Al材等が用いられ、熱伝導用の基板等に貼り合わせても良い。なお、発熱体12の発熱温度は、車両に搭載された制御基板、すなわちCPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピューターによって制御される。
【0019】
発熱体12は、基本的には薄板状に形成されるものであるが、可撓性を有する面状発熱体を基板等に貼り合わせて構成しても良い。ここで面状発熱体は、通電により発熱する薄いフィルム状の発熱体であり、具体的には例えば、自己温度制御機能を持ったPTC(Positive Temperature Coefficient:正温度係数)インクと導電ペーストをエッチングして回路を形成したものであるが、その構成は、前記抵抗発熱材と同様に一般的であるので、詳細な説明は省略する。
【0020】
次にケース13は、発熱体12を内部に収めて暖房器11の外郭をなす金属製の筐体である。ケース13は、薄板状の発熱体12の形状に合わせて最小限の容積となるように、底浅で平たい直方体状に形成されており、上面側の開口は別体である上面板13aで塞がれている。このように暖房器11全体を薄型化することにより、従来のシーズ線を含む暖房器の半分程度まで重量を削減することができる。また、ケース13の外部には、図示省略したが発熱体12の配線が延ばされている。この配線は、脚台1の上面の一側端に延設された配線板6の上にまとめられて、長さを調節することができる。
【0021】
また、ケース13の上面側の開口は、必ずしも上面板13aで塞ぐ必要はなく、開口した面のままでも良い。仮に、ケース13の上面側がそのまま開口している場合、その上側は次述する防熱板20が蓋となって塞がれることになるが、もちろん、ケース13の上面側の開口と防熱板20との間には、熱気を逃がす通気空間Sは確保される。ケース12の上面板13aを含む各面には、図示省略したが数多の通気孔が形成されている。なお、
図1と
図3において、ケース13についての多少の形状の違いは、単に設計変更にすぎない。
【0022】
<<防熱板20について>>
防熱板20は、発熱体12により加熱され上昇する空気を受け止めるものである。特に本発明の防熱板20は、その周囲に暖房器11からの熱気を分散させるように導く機能を備えている。すなわち、防熱板20は、暖房器11により加熱され上昇する熱気を下面側に滞留させず、該防熱板20の所定方向の端縁まで導き周囲へ分散させる形状に設けられている。
【0023】
図1および
図3に示すように、防熱板20は、ケース13の上面全域に平面視で重なる大きさの長方形の金属板からなる。防熱板20は、一枚の金属板を長手方向の中心線に沿って山折りした山型の縦断面形状であり、該金属板の両側辺の下面側は、ケース13の上面板13aとの間でそれぞれ外側に開口している。防熱板20は、その長手方向と平行に延びる山型の頂端21によって、暖房器11からの熱気を防熱板20の両側端まで指向させることができることが、発明者らの実験データにより確かめられている。
【0024】
防熱板20の具体的な折曲角度や通気空間の大きさは、暖房器11からの熱気が意図した所定方向へ流出して分散するように、実験データ等に基づき適宜定め得る設計事項である。なお、防熱板20は、必ずしも一枚物に限られることはなく、例えば脚台1の上面側において回転台座4の取付箇所との干渉を避けるように、両側方向(長手方向)に複数に分割して配置しても良い。
【0025】
また、防熱板20は、塵除け板としての機能も兼ねている。すなわち、暖房器11を覆う防熱板20に上方から落下してきた塵等の異物は、防熱板20の山型の頂端21の前後の下方傾斜によって、防熱板20上に溜まることなく前後の長辺である端縁まで滑り落ちるように移動させることができる。この異物の移動箇所には、異物を受け入れて取り出し可能なトレイ等のゴミ受けを配置すると良い。
【0026】
<<暖房器11と防熱板20の取り付け>>
図1に示すように、暖房器11は、脚台1の上面側より下方に吊り下げられた状態で設置されている。また、防熱板20は、暖房器11のケース13の上面側に、防熱板20の下面側との間に通気空間Sを区画する状態で一体に取り付けられている。ここで通気空間Sの上下の間隔(断面積)は、熱気が流通可能な最小寸法であれば足り、よって、脚台1内の限られた配置スペースを大きく侵食することなく設置することができる。
【0027】
防熱板20の両側短辺である端縁の下面側、すなわち通気空間Sの両側端は、それぞれ脚台1の外側方の周囲に開口している。一方、防熱板20の前後長辺である端縁は、それぞれケース13の前後端に沿って固定されており、よって、通気空間Sの前後端は、それぞれ閉じられている。
【0028】
図2に示すように、脚台1の上部フレーム3の前後の梁には、それぞれ2組ずつ固着手段として取付ブラケット7が固定され、この取付ブラケット7を介して、暖房器11および防熱板20は、それぞれ脚台1の上面側の下方に吊り下げられた状態に設置されている。詳しく言えば、防熱板20の前後長辺である端縁に沿って、それぞれ取付辺22が延設されている。この取付辺22の下側に、ケース13の上面板13aの前辺および後辺の各端縁が重ね合わされた状態で、一緒に取付ブラケット7に対してネジ8で固定されている。
【0029】
<暖房装置10の作用>
本暖房装置10によれば、発熱体12を薄板状とし、ケース13は底浅にすることにより、暖房器11全体、特に縦幅(厚さ)をコンパクトに構成でき、重量も軽減することができる。これにより、脚台1内における暖房装置10の設置箇所や取り付けも大きく制約されることはなく、省スペース化の要請にも応じることができる。
【0030】
図1に示すように、暖房器11は、脚台1の上面側より下方に吊り下げられた状態で設置される。ここで床面からケース13の下面までの距離は、従来のシーズ線を用いた暖房器と比べて、全体的に薄型となった分だけ大きく広がっている。これにより、脚台1内の空間を広く有効に利用することができ、他の関連部品の配置に活用したり、脚台1内で着座者が足を伸ばせる足元スペースを広く確保することもできる
【0031】
暖房装置10において、発熱体12に通電が開始されると、ケース13内に取り入れられた空気が、発熱体12により加熱されて熱気となる。この熱気は、自然対流によって通気空間Sを上昇し、防熱板20の下面にいったん受け止められる。次いで、防熱板20の下面側に到達した空気は、その山型の頂端21の裏側に沿って通気空間Sの両側端まで導かれるように移動し、
図3中の矢印に示すように、防熱板20の両側短辺である端縁より流出して脚台1の周囲に分散する
【0032】
このように防熱板20自体の簡易な形状によって、別体のガイド部材等を付加することなく、発熱体12からの熱気を防熱板20の下面側に長時間滞留させることなく、積極的に所定方向へ導き分散させることができる。従って、消費電力が比較的少ない発熱体12であっても、座席の周囲の客室内における暖房効率を向上させることができる。また、従来の暖房器のように防熱板の下面側に熱気が滞留しないため、着座者は座部に不快な熱さを感じることもなく快適に過ごすことができる。また、着座時の安全性も向上する。
【0033】
また、防熱板20は、塵除け板としての機能も兼ねている。すなわち、暖房器11を覆う防熱板20に上方から落下してきた塵等の異物は、防熱板20の山型の頂部の前後の下方傾斜によって、防熱板20上に溜まることなく前後の長辺である端縁まで滑り落ちるように移動する。従って、暖房装置10を簡易に清掃することができると共に、発熱体12に可燃性の異物が接触する虞はなく安全性も高まる。なお、異物の移動箇所には、異物を受け入れて取り出し可能なトレイ等のゴミ受けを配置すると良い。これにより、暖房装置10の周囲をいっそう清掃しやすくなる。
【0034】
<第2実施形態>
図4は、本発明の第2実施形態を示している。
第2実施形態に係る暖房装置10Aは、前述した第1実施形態に係る暖房装置10と基本的には同様に構成されているが、防熱板20Aの形状が前記防熱板20とは異なるように構成されている。なお、第1実施形態と同種の部位については、同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、防熱板20Aも、一枚の金属板を長手方向の中心線に沿って山折りした山型の縦断面形状であるが、その頂端21より前後長辺の端縁に至る途中部位23でも、それぞれ中央寄りに折り曲げられている。このような第2実施形態における防熱板20Aの縦断面形状によれば、前記第1実施形態の防熱板20と同じ高さであっても、通気空間Sの容積をより多くとることができる。
【0036】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0037】
先ず、本発明は、座席を床面上に設置する脚台1に設けられ、前記座席の周囲を暖めるための暖房装置10,10Aにおいて、
前記脚台1の上面側に配置され、通電により発熱する薄板状の発熱体12を底浅なケース13内に収めてなる暖房器11と、
前記暖房器11の上方に平面視で重なる状態に配置される防熱板20,20Aと、を備え、
前記防熱板20,20Aは、前記暖房器11により加熱され上昇する熱気を下面側に滞留させず、該防熱板20,20Aの所定方向の端縁まで導き周囲へ分散させる形状としたことを特徴とする。
【0038】
このような構成により、暖房器11からの熱気を局所的に対流させずに周囲へ分散させることを可能とし、座席を快適な温度に保つことができると共に、座席の周囲に対する暖房効率を向上させることができる。また、暖房器11の全体的な構成が嵩張ることなく、脚台1内における省スペース化の要請にも応じることができる。
【0039】
また、本発明では、前記防熱板20,20Aは、一枚の金属板を長手方向の中心線に沿って山折りした山型の縦断面形状であり、該金属板の両側短辺である端縁の下面側は、前記ケース13の上面との間でそれぞれ外側に開口させたことを特徴とする。
【0040】
このような防熱板20,20A自体の簡易な縦断面形状により、発熱体12からの熱気は山型の頂端21に沿って積極的に導かれ、防熱板20,20Aの両側短辺である端縁より流出して脚台1の周囲に分散する。これにより、座席自体でなくその周囲の暖房効率を高めることができる。
【0041】
また、本発明では、前記防熱板20,20Aは、上方より落下する塵埃を含む異物が前記暖房器11に積もることを防ぐ塵除け板を兼ねる。
このような構成により、暖房装置10,10Aを簡易に清掃することができると共に、発熱体12に可燃性の異物が接触する虞はなく、安全性も高めることができる。
【0042】
さらに、本発明では、前記座席は、鉄道車両の客室内に装備され、
前記暖房器11は、前記座席の周囲である前記客室内を暖めるものであることを特徴とする。
このように、本発明に係る暖房装置10,10Aは、鉄道車両の客室内に最適に適用することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、防熱板20の縦断面形状は、山型が1つとは限らず2つの山型を並べる形状としても良い、また、山型の頂端21が延びる方向は、必ずしも長手方向と平行とは限らず、例えば長方形の対角線上に斜めに延びる形状も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、鉄道車両やバス等の車両の客室に装備される座席の脚台への設置に限定されるものではなく、他に例えば、船舶や航空機等の各種乗物における客室あるいは乗務室を含む室内の座席にも広く適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1…脚台
10,10A…暖房装置
11…暖房器
12…発熱体
13…ケース
20,20A…防熱板