(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108286
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240805BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012575
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】523034140
【氏名又は名称】株式会社INFIY
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小野 真利
(72)【発明者】
【氏名】秋山 記男
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB22
5L049BB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザ同士の関係性を確認でき、それを用いて、未成年者等の制限行為能力者が取引を行う情報処理システム及び方法を提供する。
【解決手段】情報処理システムにおいて、管理端末は、制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から保護者の属性情報及び身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付け、制限行為能力者端末及び保護者端末に取引情報の一部または全部を送る取引管理処理部と、を有する。取引管理処理部は、認証された保護者の保護者端末から制限行為能力者による取引の取消請求を受け付けると、サービス提供者システムに対して注文取消及び/又は返金請求を送る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制限行為能力者による取引を取り消すことができる情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、
前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、
前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付け、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る取引管理処理部と、を有しており、
前記取引管理処理部は、
前記認証された保護者の保護者端末から前記制限行為能力者による取引の取消請求を受け付けると、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記取引管理処理部は、
前記取引情報における制限行為能力者を示す情報に基づいて、その制限行為能力者に対する保護者を同定し、前記同定した保護者の保護者端末に前記取引情報を送る、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取引管理処理部は、
前記保護者端末に、前記取引情報の一部または全部のほかに、前記取引を取り消すための入力部を含むメッセージを送る、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
制限行為能力者による取引を取り消すことができる情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、
前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、
前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付けると、前記認証された保護者の保護者端末から設定された前記保護者に対応する制限行為能力者の取引条件を参照して、前記取引情報における取引が取引条件を充足しているかを判定し、前記条件を充足していない場合には前記サービス提供者システム7に対して注文取消および/または返金請求を送る取引管理処理部と、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
前記取引管理処理部は、
前記取引情報における取引が取引条件を充足している場合には、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る、
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記取引管理処理部は、
前記保護者端末から一定期間内に、前記取引情報における取引の取消請求を受け付けた場合には、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記情報処理システムは、
前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部、を有しており、
前記確認処理部は、
前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項8】
制限行為能力者とその保護者との関係性を認証する情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、
前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、
前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部と、を有しており、
前記確認処理部は、
前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、
前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付け、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る取引管理処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、
前記取引管理処理部は、
前記認証された保護者の保護者端末4から前記制限行為能力者による取引の取消請求を受け付けると、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項10】
コンピュータを、
制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、
前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付けると、前記認証された保護者の保護者端末から設定された前記保護者に対応する制限行為能力者の取引条件を参照して、前記取引情報における取引が取引条件を充足しているかを判定し、前記条件を充足していない場合には前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る取引管理処理部、
として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項11】
コンピュータを、
制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、
前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、
前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、
前記確認処理部は、
前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人(ユーザ)同士の関係性を確認することができ、またそれを用いて、未成年者などの制限行為能力者が取引を行うための情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどを利用した商取引が日常的に行われるようになっている。商取引をを行う際に、購入者の氏名などの属性情報を入力することがあるが、その者が実名を入力しているかなどを特定することはできない。そこで、あらかじめ、本人の属性情報、本人の確認書類などを所定のシステムに記録しておき、身分証明を可能とするコンピュータシステムが下記特許文献1乃至特許文献3に記載のように存在している。このようなコンピュータシステムは、KYC(Know Your Customer)と呼ばれ、本人確認が必要となる各種の場面で用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-091731号公報
【特許文献2】特開2020-187428号公報
【特許文献3】特開2021-043800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターネットなどを利用した商取引では、未成年者である子どもが、インターネットモールやアプリケーションソフトウェアでの各種決済を行う場合がある。しかし、未成年者であることからその取引については、保護者などの親権者が当該取引について取消を行うこともできる。そのため、商取引の他方当事者としては、取引の安定性を担保することはできない課題がある。
【0005】
そこで、上述の各特許文献に記載のようなKYCのシステムを用いることが考えられるが、その場合でも本人確認が行えるのは本人のみであって、たとえば親子間、兄弟姉妹間などの人同士の関係性まで確認することができるものではない。そのため、KYCのシステムを導入しても、直ちに取引の安定性を担保がなされるわけではない。
【0006】
未成年者のほか、成年被後見人、被保佐人、被補助人などでも同様に、取引の安定性に関する課題が発生する。本明細書では、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人など、取引を行うのに一定の制限を課された人を制限行為能力者とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題に鑑み、人(ユーザ)同士の関係性を確認することができ、またそれを用いて、未成年者などの制限行為能力者が取引を行うための情報処理システムを発明した。
【0008】
第1の発明は、制限行為能力者による取引を取り消すことができる情報処理システムであって、前記情報処理システムは、前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付け、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る取引管理処理部と、を有しており、前記取引管理処理部は、前記認証された保護者の保護者端末から前記制限行為能力者による取引の取消請求を受け付けると、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、情報処理システムである。
【0009】
本発明のように構成することで、人(ユーザ)同士の関係性を確認することができ、またそれを用いて、未成年者などの制限行為能力者が取引を行うための情報処理システムが可能となる。
【0010】
上述の発明において、前記取引管理処理部は、前記取引情報における制限行為能力者を示す情報に基づいて、その制限行為能力者に対する保護者を同定し、前記同定した保護者の保護者端末に前記取引情報を送る、情報処理システムのように構成することができる。
【0011】
本発明のように構成することで、取引をした制限行為能力者に対する保護者を同定することができる。
【0012】
上述の発明において、前記取引管理処理部は、前記保護者端末に、前記取引情報の一部または全部のほかに、前記取引を取り消すための入力部を含むメッセージを送る、情報処理システムのように構成することができる。
【0013】
本発明のように構成することで、保護者は、制限行為能力者が行った取引を簡便な方法により取り消すことができる。
【0014】
第4の発明は、制限行為能力者による取引を取り消すことができる情報処理システムであって、前記情報処理システムは、前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付けると、前記認証された保護者の保護者端末から設定された前記保護者に対応する制限行為能力者の取引条件を参照して、前記取引情報における取引が取引条件を充足しているかを判定し、前記条件を充足していない場合には前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る取引管理処理部と、を有する情報処理システムのように構成することができる。
【0015】
本発明のように構成することで、あらかじめ設定された取引条件を充足していない場合には、当該取引の注文取消、返金請求を行うことができる。
【0016】
上述の発明において、前記取引管理処理部は、前記取引情報における取引が取引条件を充足している場合には、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る、情報処理システムのように構成することができる。
【0017】
本発明のように構成することで、制限行為能力者が行った取引について、保護者が容易に認識可能となる。
【0018】
上述の発明において、前記取引管理処理部は、前記保護者端末から一定期間内に、前記取引情報における取引の取消請求を受け付けた場合には、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、情報処理システムのように構成することができる。
【0019】
上述の発明において、前記情報処理システムは、 前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部、を有しており、前記確認処理部は、前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、情報処理システムのように構成することができる。
【0020】
本発明のように構成することで、認証された制限行為能力者と認証された保護者との関係性を確認し、保護者から制限行為能力者に対する送金処理を行うことができる。
【0021】
第8の発明は、制限行為能力者とその保護者との関係性を認証する情報処理システムであって、前記情報処理システムは、前記制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部と、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部と、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部と、を有しており、前記確認処理部は、前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、情報処理システムのように構成することができる。
【0022】
本発明のように構成することで、認証された制限行為能力者と認証された保護者との関係性を確認し、保護者から制限行為能力者に対する送金処理を行うことができる。
【0023】
第1の発明は、本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで、実現できる。すなわち、コンピュータを、制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付け、前記制限行為能力者端末および前記保護者端末に前記取引情報の一部または全部を送る取引管理処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、前記取引管理処理部は、前記認証された保護者の保護者端末から前記制限行為能力者による取引の取消請求を受け付けると、前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る、情報処理プログラムである。
【0024】
第4の発明は、本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで、実現できる。すなわち、コンピュータを、制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、前記認証された制限行為能力者が取引したサービス提供者のサービス提供者システムからの取引情報を受け付けると、前記認証された保護者の保護者端末から設定された前記保護者に対応する制限行為能力者の取引条件を参照して、前記取引情報における取引が取引条件を充足しているかを判定し、前記条件を充足していない場合には前記サービス提供者システムに対して注文取消および/または返金請求を送る取引管理処理部、として機能させる情報処理プログラムである。
【0025】
第8の発明は、本発明のプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することで、実現できる。すなわち、コンピュータを、制限行為能力者が利用する制限行為能力者端末から前記制限行為能力者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う制限行為能力者認証処理部、前記制限行為能力者に対する保護者が利用する保護者端末から前記保護者の属性情報および身元確認情報を受け付けて認証を行う保護者認証処理部、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けて、その結果を返す確認処理部、として機能させる情報処理プログラムであって、前記確認処理部は、前記保護者端末からの送金要求を受け付けた送金制御システムから、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性の確認要求を受け付けると、前記制限行為能力者と前記保護者との関係性を確認してその確認結果を返すことで、前記送金制御システムに前記保護者から前記制限行為能力者への送金処理を実行させる、情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0026】
本発明の情報処理システムを用いることによって、人(ユーザ)同士の関係性を確認することができ、またそれを用いて、未成年者などの制限行為能力者が取引を行うことができる。そのため、取引の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の情報処理システムの全体の処理機能の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図2】本発明の情報処理システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の情報処理システムにおける人同士の関係性を登録する処理プロセスの一例を示すシーケンス図である。
【
図4】本発明の情報処理システムにおける送金処理の処理プロセスの一例を示すシーケンス図である。
【
図5】本発明の情報処理システムにおける取消権管理の処理プロセスの一例を示すシーケンス図である。
【
図6】本発明の情報処理システムにおける取引の取消を行う場合の処理プロセスの一例を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の情報処理システムにおいて、あらかじめ条件設定を行う場合の取引処理の処理プロセスの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の情報処理システム1の処理機能の一例を
図1のブロック図で示す。情報処理システム1は管理端末2を有しており、制限行為能力者端末3、保護者端末4、送金制御システム5、電子契約システム6、サービス提供者システム7とネットワークを介して情報の送受信が可能である。
【0029】
管理端末2は、本発明の情報処理システム1の処理機能を備えたアプリケーションソフトウェアを備えたコンピュータである。
【0030】
制限行為能力者端末3は、制限行為能力者が利用するコンピュータである。制限行為能力者端末3では、本発明の情報処理システム1を利用するために必要なアプリケーションソフトウェアを備えているとよい。
【0031】
保護者端末4は、制限行為能力者を保護する者(以下、「保護者」という)が利用するコンピュータである。保護者には、制限行為能力者の代理人、承継人若しくは同意をすることができる者などが該当する。たとえば、任意に定めた代理人、親権者、未成年後見人、成年後見人などの法定代理人、保佐人、補助人、後見監督人、補助監督人などが該当する。また制限行為能力者を保護する者であれば、上記に限定されず、あらかじめ指定された任意の者(自然人、法人を含む)であってよい。保護者端末4では、本発明の情報処理システム1を利用するために必要なアプリケーションソフトウェアを備えているとよい。
【0032】
送金制御システム5は、送金を制御するコンピュータシステムである。たとえば金融機関のコンピュータシステムが該当するが、それに限定するものではない。
【0033】
電子契約システム6は、電子契約を行うためのコンピュータシステムである。
【0034】
サービス提供者システム7は、制限行為能力者との間で商取引を行うためのコンピュータシステムであって、たとえばオンラインショッピングのためのコンピュータシステムのほか、取引の相手方となる者が利用するコンピュータシステムなどが該当する。
【0035】
情報処理システム1における管理端末2、制限行為能力者端末3、保護者端末4、送金制御システム5、電子契約システム6、サービス提供者システム7はコンピュータを用いて実現される。
図2にコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。コンピュータは、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、情報を表示するディスプレイなどの表示装置72と、情報の入力が可能なキーボードやマウス、マイクなどの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。
【0036】
コンピュータがタッチパネルディスプレイを備えている場合には、表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。タッチパネルディスプレイは、たとえばタブレット型コンピュータやスマートフォンなどの可搬型通信端末などで利用されることが多いが、それに限定するものではない。
【0037】
タッチパネルディスプレイは、そのディスプレイ上で、直接、所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で、表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0038】
入力装置73としては、マイクを介した音声での入力を可能としてもよい。
【0039】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。本発明の各手段における処理は、その処理順序を適宜変更することもできる。また、処理の一部を省略してもよい。
【0040】
管理端末2、送金制御システム5、電子契約システム6、サービス提供者システム7は、ほかのコンピュータシステムと一体的に構成されていてもよいし、あるいは、その機能の一部または全部がほかのコンピュータシステムで実現されていても良い。また、クラウドコンピューティングシステムで実現されていてもよい。
【0041】
管理端末2は、制限行為能力者認証処理部20と保護者認証処理部21と関係性情報記憶部22と確認処理部23と取引管理処理部24と取引情報記憶部25とを有する。
【0042】
制限行為能力者認証処理部20は、制限行為能力者の身元確認を行うため、その個人の属性情報と身元確認のための証明書の画像情報などの入力を受け付け、本人であることの認証処理を行う。この際に、当該制限行為能力者を識別するための識別情報を割り当てて、当該識別情報に紐付けて、入力を受け付けた情報を、後述する関係性情報記憶部22に記憶させる。属性情報としては、氏名、生年月日、年齢、住所、電子メールアドレスやSNSなどのアカウント(電子的なメッセージの送受信が可能なアカウント)、制限される行為などの一部または全部が含まれる。
【0043】
保護者認証処理部21は、制限行為能力者に対する保護者の身元確認を行うため、その個人の属性情報と身元確認のための証明書の画像情報などの入力を受け付け、本人であることの認証処理を行う。この際に、当該保護者を識別するための識別情報を割り当てて、当該識別情報に紐付けて、入力を受け付けた情報を、後述する関係性情報記憶部22に記憶させる。また、制限行為能力者と保護者とを対応づけて記憶させるため、当該保護者が保護する制限行為能力者の識別情報や氏名の情報などを受け付けてもよい。制限行為能力者と保護者とは、後述する関係性情報記憶部22において対応づけて記憶させる。属性情報としては、氏名、生年月日、年齢、住所、電子メールアドレスやSNSなどのアカウント(電子的なメッセージの送受信が可能なアカウント)、制限行為能力者による商取引に対してあらかじめ設定しておく条件などの一部または全部が含まれる。
【0044】
関係性情報記憶部22は、制限行為能力者、保護者などに関する情報を記憶する。
【0045】
確認処理部23は、制限行為能力者、保護者の身元の確認要求、制限行為能力者と保護者の関係性の確認要求などを受け付け、その確認要求に対する結果を返す。
【0046】
取引管理処理部24は、制限行為能力者による取引を管理する。たとえば、サービス提供者システム7において制限行為能力者が商品の購入などの取引を行った場合、サービス提供者システム7から管理端末2に送られた支払請求の通知に対して支払処理を実行するほか、保護者端末4から当該取引の取消請求を受け付けた場合、サービス提供者システム7に対して当該取引の注文取消および/または返還請求当等の要求を行う。
【0047】
また、サービス提供者システム7において制限行為能力者が商品の購入などの取引を行った場合、保護者が制限行為能力者に対して設定した条件を充足するかを判定し、充足する場合には支払処理を実行し、充足しない場合には注文を取り消す通知をサービス提供者システム7に対して行う。
【0048】
取引管理処理部24は、サービス提供者システム7、制限行為能力者端末3、保護者端末4などから受け付けた取引に関する情報を、後述する取引情報記憶部25に記憶させる。取引に関する情報としては、たとえば、取引識別情報、制限行為能力者識別情報、保護者識別情報、サービス提供者の識別情報、取引の内容、取引の日付、金額、取引を取り消したかそのまま決済をしたか、取消の日付など、取引に関する各種の情報を記憶している。
【0049】
取引情報記憶部25は、制限行為能力者による取引に関する情報を記憶する。取引情報記憶部25では、取引を識別する情報に対応づけて、取引に関する情報を記憶している。
【実施例0050】
つぎに本発明の情報処理システム1を用いた処理プロセスの一例を
図3乃至
図6のシーケンス図を用いて説明をする。なお、以下の説明では制限行為能力者として未成年者、保護者として親権者、サービス提供システムがインターネット上の商品販売サイトのコンピュータシステムであり、未成年者が当該商品販売サイトから商品を購入する場合を説明する。また、当該未成年者の商品購入について、親権者が必要に応じて取消を行う場合を説明する。
【0051】
まず未成年者(制限行為能力者)と、親権者(保護者)のそれぞれの登録と関係性を登録する処理プロセスを、
図3のシーケンス図を用いて説明する。
【0052】
本発明を用いて未成年者が自らの身元確認の情報を登録する場合、所定の方法により管理端末2にアクセスをして、氏名、生年月日、年齢、住所、電子メールアドレスなどの属性情報を制限行為能力者端末3に入力する(S100)。また、学生証などの所定の身分証明書(本人確認書類)を撮影し、その画像情報を制限行為能力者端末3に入力する(S110)。
【0053】
そして、当該未成年者の本人登録要求を管理端末2に送る(S120)。この本人登録要求を管理端末2の制限行為能力者認証処理部20で受け付けると、当該未成年者に対して識別情報を付して、関係性情報記憶部22に、本人の属性情報、身分証明書の画像情報に対応づけて記憶させる(S130)。登録処理後、制限行為能力者認証処理部20は、制限行為能力者端末3に登録結果を送る(S140)。この際に、親権者の登録が必要であることも合わせて通知し、当該未成年者の親権者の登録を促す。
【0054】
未成年者は、自らの登録の終了後、制限行為能力者端末3で所定の操作を行い、親権者が利用する保護者端末4に対して、保護者としての登録を行うよう要求を通知する(S150)。
【0055】
この登録を受け付けた親権者は、保護者端末4から所定の方法により管理端末2にアクセスをして、氏名、生年月日、年齢、住所、電子メールアドレスなどの属性情報を保護者端末4端末に入力する(S160)。また、運転免許証などの所定の身分証明書(本人確認書類)を撮影し、その画像情報を保護者端末4に入力する(S170)。この際に、親権者自身の身分証明書のほか、住民票、戸籍などの未成年者(制限行為能力者)と、親権者(保護者)との関係性が示された書類(あるいはその電子的データ)などを入力するようにしてもよい。
【0056】
そして、当該親権者の本人登録要求を管理端末2に送る(S180)。この本人登録要求を管理端末2の保護者認証処理部21で受け付けると、当該親権者に対して識別情報を付して、関係性情報記憶部22に、本人の属性情報、身分証明書の画像情報に対応づけて記憶させる(S190)。登録処理後、制限行為能力者認証処理部20は、保護者端末4に登録結果を送る(S200)。
【0057】
この登録結果を保護者端末4で受け付けると、保護者端末4から制限行為能力者端末3に対して、登録結果を制限校能力者端末に送る(S210)。その結果を受け付けた制限行為能力者端末3では、保護者として、当該親権者の情報が表示される(S220)。
【0058】
以上の処理を実行することで、未成年者(制限行為能力者)、親権者(保護者)の各情報、関係性を登録することができる。なお、未成年者(制限行為能力者)に対する親権者(保護者)の登録は、一人に限られず、複数人いてもよい。その場合には、各親権者(保護者)が同様の処理を実行する。
【0059】
つぎに、親権者から未成年者への送金を行う場合の処理プロセスの一例を
図4のシーケンス図を用いて説明する。
【0060】
未成年者が親権者から送金をして欲しい場合、制限行為能力者端末3で所定の操作を行うことで送金依頼者として親権者を選択する(S300)。この送金依頼者の選択を制限行為能力者端末3で受け付けると、制限行為能力者端末3から保護者端末4に対して、送金依頼の通知を送る(S310)。この際に送金して欲しい金額や使う目的などの情報の入力を受け付けておき、それらの情報も保護者端末4に送られるとよい。
【0061】
送金依頼の通知を受け付けた保護者端末4では、その通知を確認した親権者が送金を行う場合には、未成年者に対する贈与とするか、貸付とするかを選択する(S320)。この際に、送金する金額の情報も入力を受け付けているとよい。そして、親権者が保護者端末4で所定の操作を行うことで、送金要求を送金制御システム5に送る(S330)。この際に、親権者から未成年者への送金であること、送金処理を行うのに必要な金融機関名、支店名、口座番号、送金額などの情報も送られる。通知先となる送金制御システム5としては、たとえば親権者が利用している金融機関のコンピュータシステムであるとよい。
【0062】
送金要求を受け付けた送金制御システム5は、管理端末2に対して送金元となる親権者、送金先となる未成年者、およびそれらの関係性の確認要求を通知する(S340)。この通知を受け付けた管理端末2の確認処理部23は、関係性情報記憶部22を参照することで、親権者、未成年者が登録されていること、および当該親権者が当該未成年者の保護者であることの確認を行い、確認結果を送金制御システム5に送る(S350)。
【0063】
親権者、未成年者の本人確認、関係性の確認の結果を管理端末2から受け付けると、送金制御システム5は、親権者の口座から未成年者の口座への送金処理を実行する(S360)。そして送金が正常に完了すると、保護者端末4、制限行為能力者端末3、管理端末2に対して、送金結果を送る(S370)。
【0064】
管理端末2の取引管理処理部24は、送金制御システム5から送金結果を受け付けると、当該送金を送金履歴として当該送金の記録を取引情報記憶部25に記憶させる(S380)。たとえば、送金元、送金先、金額、日付などの情報を取引を識別する情報に対応づけて記憶させる。取引を識別する情報は、取引情報記憶部25などに記憶させる際に付してもよいし、関係性の確認要求を受け付けた段階で付してもよい。
【0065】
また、送金制御システム5は、所定の電子契約システム6に対して、送金情報として、送金元となる親権者、送金先となる未成年者、金額、日付、貸付か贈与かを示す情報を送る(S390)。この情報を受け付けた電子契約システム6は、送金元となる親権者、送金先となる未成年者、金額、日付、貸付か贈与かを示す情報を含めた電子契約書を作成し(S400)、電子契約書を発行して制限行為能力者端末3に送る(S410)。そして電子契約書を受け付けた制限行為能力者端末3では、当該電子契約書の内容を確認し、所定の操作を行うことで承認し(S420)、承認結果が電子契約システム6に送られる(S430)。同様に、電子契約システム6は、作成した電子契約書を発行して保護者端末4におくる(S440)。そして電子契約書を受け付けた保護者端末4では、当該電子契約書の内容を確認し、所定の操作を行うことで承認し(S450)、承認結果が電子契約システム6に送られる(S460)。なお、電子契約書を制限行為能力者端末3、保護者端末4に対して送る場合には、電子契約書のほか、電子メールなどにより通知も行う。
【0066】
制限行為能力者端末3、保護者端末4からそれぞれ受け付けた承認結果を、電子契約システム6では合意結果として記録しておく(S470)。
【0067】
なお、制限行為能力者の場合、当該電子契約書に対する承認権限がない場合もある。たとえば制限行為能力者が未成年者である場合、当該電子契約書に対する承認権限はなく、また、保護者が親権者の場合、未成年者との貸付契約について、貸付を行った当該親権者は承認することはできない。そのため、管理端末2の取引管理処理部24は、未成年者と親権者との間の貸付契約の場合であって、当該未成年者に対応づけられた親権者が複数いる場合には、送金元となる親権者以外の親権者の保護者端末4を関係性情報記憶部22に記憶する当該未成年者に対応づけられた他の親権者を特定し、当該他の親権者の保護者端末4に対して、電子契約書を発行し承認を求めるように構成してもよい。また、当該未成年者に対して特別代理人が選任されている場合には、当該特別代理人の保護者端末4に対して電子契約書を発行し承認を求めるように構成してもよい。
【0068】
以上のような処理を実行することで、送金処理を実行することができる。
【0069】
つぎにサービス提供者との間で、保護者による取消権の管理に関する処理の処理プロセスの一例を、
図5のシーケンス図を用いて説明する。
【0070】
サービス提供者が本発明の情報処理システム1を利用する場合、サービス提供者システム7から所定の操作を行うことで利用登録を行う(S500)。利用登録後、管理端末2からサービス提供者端末に対して、制限行為能力者との間の取引は保護者によって取り消される可能性があること、すなわち取消権があることの確認の通知を行う(S510)。そしてサービス提供者システム7において、S510における通知に基づいて、取消権があることの承諾をすると(S520)、承諾結果がサービス提供者システム7から管理端末2に送られる(S530)。そして、承諾結果が記録される(S540)。なお、管理端末2においてサービス提供者システム7からの承諾結果を受け付けると、サービス提供者システム7に対して、制限行為能力者、保護者、制限行為能力者と保護者との関係性の情報を関係性情報記憶部22から抽出し、サービス提供者システム7に対して送るように構成をしてもよい。
【0071】
以上のような処理を実行することで、取消権の管理に関する処理を実行することができる。
【0072】
つぎに未成年者(制限行為能力者)とサービス提供者との間で、商品の売買や、ゲームなどのサービスの提供など、何らかの取引行為を行う場合の処理を、
図6のシーケンス図を用いて説明する。ここでは、未成年者が、サービス提供者が提供するオンラインショッピングモールで商品を購入する場合とする。
【0073】
未成年者は所定の方法で制限行為能力者端末3からサービス提供者システム7にアクセスし、購入したい商品を注文する操作を実行する(S600)。サービス提供者システム7でこの注文を受け付けると、注文処理を実行する(S610)。そして、商品の代金の支払請求を管理端末2に送る(S620)。この際に、購入者、購入した商品、販売(利用)したサービス提供者、サービス提供者が付与する注文番号、金額、日付、決済方法など取引を実行するために必要な取引情報もサービス提供者から管理端末2に送られる。
【0074】
そして、管理端末2の取引管理処理部24はS620で送られた情報を受け付け、取引を識別するための識別情報を付して、取引情報記憶部25に記憶する。また、取引管理処理部24は、サービス提供者システム7に対して支払処理を実行する(S630)。たとえば管理端末2で未成年者やサービス提供者の残高等を管理している場合には、代金分を未成年者の残高から減算し、サービス提供者の残高に加算をする。またクレジットカード、銀行払いなど所定の金融機関で決済を行う場合には、それらに対する決済処理を実行し、決済処理の結果をサービス提供者システム7に送る。
【0075】
また、管理端末2の取引管理処理部24は、S620で受け付けた取引情報に基づいて関係性情報記憶部22を参照し、当該取引を行った未成年者を同定し、またその保護者を同定する。そして、同定した未成年者が利用する制限行為能力者端末3、保護者が利用する保護者端末4に対して、当該取引が行われたことを示す取引情報をそれぞれ送る(S640)。この際に、保護者端末4には、未成年者が行った当該取引は保護者によって取消可能であること、取消可能期間、取消を行うための入力部(ボタンなど)などが含まれた電子メールなどのメッセージが含まれているとよい。取消可能期間としては、たとえば支払日から1週間、2週間、1ヶ月といったように任意の期間が設定されているとよい。
【0076】
管理端末2から送られた支払をしたことの情報は制限行為能力者端末3、保護者端末4で受け付ける。そして、その情報を確認した保護者が当該商品の注文を取り消したいと考えた場合には、所定の操作を行うことで、取消請求を管理端末2に送る(S650)。
【0077】
管理端末2の取引管理処理部24は、保護者端末4からの取消請求を受け付けると、関係性情報記憶部22を参照して、当該取引を行った未成年者の親権者であるかを確認し、親権者である場合には、取引情報記憶部25を参照して、当該取引について取消の情報を記憶させるとともに、当該取引のサービス提供者を同定し、当該サービス提供者のサービス提供者システム7に対して、注文取消と返金請求を行う(S660)。この際に注文取消、返金請求の各処理に必要な情報、たとえば購入者、購入した商品、注文番号、金額、日付、決済方法などの情報の一部または全部も合わせて送ってもよい。
【0078】
管理端末2からの注文取消と返金請求を受け付けたサービス提供者システム7では、注文取消処理、返金処理を実行する(S670)。そして注文取消処理、返金処理の実行後、その処理が終了したことを管理端末2に通知をする(S680)。管理端末2の取引管理処理部24は、取消処理が終了したことを、当該未成年者の制限行為能力者端末3、保護者端末4に対して送る(S690)。また、取引管理処理部24は、注文の取消処理が終了したことを取引結果として取引情報記憶部25に記憶させる(S700)。
【0079】
以上のような処理を実行することで、未成年者が行った取引を保護者が取り消しすることができる。
未成年者の親権者は、保護者端末4において所定の操作を行うことで、未成年者の取引条件を設定し、管理端末2に送信する(S800)。たとえば5000円以下の商品の購入は許可、文房具、書籍の購入は許可、総額10万円までの株式購入は許可、など、金額、商品やサービスの種類などに応じて条件設定する。この際に、親権者、未成年者の情報のほか、設定する条件の情報などが送られるとよい。
そして、未成年者は、所定の方法で制限行為能力者端末3からサービス提供者システム7にアクセスし、購入したい商品を注文する操作を実行する(S810)。サービス提供者システム7でこの注文を受け付けると、注文処理を実行する(S820)。そして、商品の代金の支払請求を管理端末2に送る(S830)。この際に、購入者、購入した商品、販売(利用)したサービス提供者、サービス提供者が付与する注文番号、金額、日付、決済方法など取引を実行するために必要な取引情報もサービス提供者から管理端末2に送られる。
そして、管理端末2の取引管理処理部24はS830で送られた情報を受け付け、取引を識別するための識別情報を付して、取引情報記憶部25に記憶する。また、取引管理処理部24は、当該取引情報における未成年者の情報に基づいて関係性情報記憶部22を参照し、当該未成年者の取引条件と、取引情報とを比較して、当該取引が取引条件を充足しているかを確認する(S840)。
取引管理処理部24は、取引情報に基づいて、当該取引が取引条件を充足していると確認した場合には、取引管理処理部24は、実施例1と同様に、サービス提供者システム7に対して支払処理を実行する(S850)。
また、管理端末2の取引管理処理部24は、S830で受け付けた取引情報に基づいて、関係性情報記憶部22を参照して同定した未成年者が利用する制限行為能力者端末3、親権者が利用する保護者端末4に対して、当該取引が行われたことを示す取引情報をそれぞれ送る(S870)。この際に、実施例1と同様に、さらに、保護者端末4には、未成年者が行った当該取引は保護者によって取消可能であること、取消可能期間、取消を行うためのボタンなどが含まれた電子メールやメッセージを含めてもよい。それによって、具体的な取引内容によって、個別的に取引を取り消すことが可能となる。この処理は、実施例1のS650からS700の処理と同様に実行できる。
一方、取引管理処理部24は、取引情報に基づいて、当該取引が取引条件を充足していないと確認した場合には、取引管理処理部24は、当該サービス提供者のサービス提供者システム7に対して、注文取消と返金請求を行う(S880)。この際に注文取消、返金請求の各処理に必要な情報、たとえば購入者、購入した商品、注文番号、金額、日付、決済方法などの情報の一部または全部も合わせて送ってもよい。
管理端末2からの注文取消と返金請求を受け付けたサービス提供者システム7では、注文取消処理、返金処理を実行する(S890)。そして注文取消処理、返金処理の実行後、その処理が終了したことを管理端末2に通知をする(S900)。管理端末2の取引管理処理部24は、取消処理が終了したことを、当該未成年者の制限行為能力者端末3、保護者端末4に対して送る(S910)。また、取引管理処理部24は、注文の取消処理が終了したことを取引結果として取引情報記憶部25に記憶させる(S920)。この際に保護者端末4に対しては、単に未成年者の取引を取り消したことのほか、取引情報記憶部25に記憶する、当該未成年者が行った取引の情報を抽出し、その情報も合わせて保護者端末4に対して送るとよい。
以上のような処理を実行することで、親権者があらかじめ設定した条件の範囲内で、未成年者の取引を管理し、未成年者が行った取引について、自動的に取消を行うこともできる。