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特開2024-108291搬送体、搬送体の連結用ユニット、及び、搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108291
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】搬送体、搬送体の連結用ユニット、及び、搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240805BHJP
   A47B 31/00 20060101ALI20240805BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20240805BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240805BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20240805BHJP
【FI】
B65G1/137 A
A47B31/00 Z
B61B13/00 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012583
(22)【出願日】2023-01-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年11月7日、Okamura Grand Fair 2023、ホテルニューオータニにて公開 令和5年1月5日(現地時間)、コンシューマー エレクトロニクス ショー(CES) 2023、ラスヴェガス コンベンション センターにて公開 令和5年1月4日(現地時間)、https://asahi-kasei-ces.com/及びhttps://asahi-kasei-ces.com/products/smart-cloak-gateway/にて公開 令和5年1月27日、https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20230127/index/及びhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000061.000073738.htmlにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】521499860
【氏名又は名称】株式会社Preferred Robotics
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 佳人
(72)【発明者】
【氏名】山名 崇博
(72)【発明者】
【氏名】礒部 達
【テーマコード(参考)】
3D101
3F022
3F522
【Fターム(参考)】
3D101BB16
3D101BB34
3D101BB43
3F022AA13
3F022AA15
3F022FF21
3F022JJ11
3F022MM00
3F022MM03
3F022NN31
3F022NN56
3F022NN57
3F022PP04
3F022QQ17
3F022QQ20
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB25
3F522BB35
3F522CC01
3F522DD04
3F522EE15
3F522FF02
3F522FF06
3F522FF11
3F522FF12
3F522FF37
3F522GG09
3F522HH04
3F522HH05
3F522HH11
3F522HH35
3F522LL59
3F522LL70
(57)【要約】
【課題】自律走行車と連結され、自律走行車に牽引されて移動する搬送体の人の生活空間への導入を促進可能とする。
【解決手段】搬送体は、底板と、前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行車と連結され、前記自律走行車に搬送されて移動する搬送体であって、
底板と、
前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、
を備える搬送体。
【請求項2】
複数の車輪をさらに有し、
前記連結部は、前記複数の車輪による当該搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置される、
請求項1に記載の搬送体。
【請求項3】
前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
請求項1に記載の搬送体。
【請求項4】
前記ガイドフレームは、前記所定方向に延在する梁部と、前記梁部の両端にて前記下面と連結して前記梁部を吊り下げる柱部とを有し、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記一対のガイドフレームの対向方向における前記ガイドフレームより外側、かつ、前記所定方向と垂直な方向から視て、前記所定方向に沿った前記柱部の幅の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
請求項2に記載の搬送体。
【請求項5】
前記底板が長円形状であり、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記長円形状のうち対向する一対の直線のそれぞれの両端より外側、かつ、前記一対の直線によって挟まれる領域の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
請求項2に記載の搬送体。
【請求項6】
前記複数の車輪のそれぞれは、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記車輪の支点まわりの旋回円の少なくとも一部が前記ガイドフレームと重なるよう配置される、
請求項2に記載の搬送体。
【請求項7】
搬送体を自律走行車と連結可能とし、前記自律走行車に搬送されて移動可能とする連結用ユニットであって、
前記搬送体の底板の下面に配置可能な基板と、
前記基板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記基板の前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記基板の前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置
される一対のブラケットと、
を備える、搬送体の連結用ユニット。
【請求項8】
前記基板は、前記連結部が前記搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置されるように前記搬送体の前記底板に配置される、
請求項7に記載の搬送体の連結用ユニット。
【請求項9】
前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った前記搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
請求項7に記載の搬送体の連結用ユニット。
【請求項10】
自律走行車と、前記自律走行車と連結され、前記自律走行車に搬送されて移動する搬送体と、を具備する搬送システムであって、
前記搬送体は、
底板と、
前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、
を備える、
搬送システム。
【請求項11】
前記連結部は、前記搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置される、
請求項10に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
請求項10に記載の搬送システム。
【請求項13】
前記搬送体の前記ガイドフレームは、前記所定方向に延在する梁部と、前記梁部の両端にて前記下面と連結して前記梁部を吊り下げる柱部と、
前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記複数の車輪は、前記一対のガイドフレームの対向方向において前記ガイドフレームの4つの前記柱部より前記対向方向の外側に配置され、
前記自律走行車は、前記柱部と重畳する高さ位置に設置され、外周方向の物体を検知するライダセンサを備え、
前記ライダセンサは、前記自律走行車が前記搬送体と連結するとき、前記搬送体に対して前記所定方向の一方側に露出する位置に設置され、
前記複数の車輪のうち、前記自律走行車が前記搬送体と連結しているときに前記ライダセンサ側に配置される一部の前記複数の車輪の支点は、前記ライダセンサの前記外周方向の測定範囲のうち前記柱部により測定が阻害される死角となる範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
請求項10に記載の搬送システム。
【請求項14】
前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記底板が長円形状であり、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記長円形状のうち対向する一対の直線のそれぞれの両端より外側、かつ、前記一対の直線によって挟まれる領域の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
請求項10に記載の搬送システム。
【請求項15】
前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記複数の車輪のそれぞれは、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記車輪の支点まわりの旋回円の少なくとも一部が前記ガイドフレームと重なるよう配置される、
請求項10に記載の搬送システムに記載の搬送体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送体、搬送体の連結用ユニット、及び、搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車などの自律走行車を、工場や一般家庭で用いる際に、例えば物品が載置された棚などの家具や、牽引台車など、任意の搬送体の搬送を行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/085626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自律走行車により搬送体を搬送する構成としては、例えばユーザにより搬送対象の搬送体が指定されると、各搬送体に付加されている識別用のバーコードなどのマーカを自律走行車がカメラ画像などを用いて読み取って指定された搬送体を特定し、当該搬送体と連結して搬送する構成が考えられる。
【0005】
ところで、このような自律走行車を、例えば、一般家庭で適用する場合、搬送対象は主に棚やキッチンワゴンなど、日常的に使用される家具が多くなると考えられる。このため、上記の識別用のマーカが例えば家具の前面や側面など目立つ場所に付加されていると、日常生活でユーザの視野に入りやすく、生活空間の美観を損ねる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態の一観点に係る搬送体は、自律走行車と連結され、前記自律走行車に搬送されて移動する搬送体であって、底板と、前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】自律走行車の利用シーンの一例を示す図
図2】実施形態に係る自律走行車の外観構成の一例を示す斜視図
図3】実施形態に係る自律走行車の外観構成の一例を示す側面図
図4】実施形態に係る自律走行車の外観構成の一例を示す背面図
図5】自律走行車が搬送対象となる棚とドッキングする様子を示した図
図6】棚のうち最下段より下部の概略構成を示す正面図
図7】実施形態に係る自律走行車の上方から視た内部構造を示す平面図
図8】実施形態に係る自律走行車の下方から視た平面図
図9】実施形態に係る搬送システムの概略構成を示す斜視図
図10図9に示す搬送システムを上方から視た平面図
図11】棚を下方から視た平面図
図12図9に示す搬送システムを下方から視た平面図
図13図9に示す搬送システムの連結部分近傍の正面図
図14】キャスターの配置を説明するための模式図
図15】自律走行車と棚が連結した状態における旋回円の一例を示す模式図
図16】棚の形状が長円形状である利点を説明する模式図
図17】棚の変形例を示す図
図18】変形例における棚の設置状態の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は水平方向であり、z方向は鉛直方向である。x方向は、自律走行車120の幅方向である。y方向は、自律走行車120の前後方向である。z方向は、自律走行車120の高さ方向である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0010】
<自立走行車の利用シーン>
はじめに、第1実施形態に係る自律走行車の利用シーンについて説明する。図1は、自律走行車の利用シーンの一例を示す図であり、自律走行車120とその搬送対象を有する搬送システムを図示する。図1に示すように、自律走行車120は、例えば、自宅のリビング等の所定空間100において、ユーザ110がソファでくつろぐシーン等で利用される。また、例えば、自宅のリビングの他にも、オフィス、倉庫、工場等でも利用されてもよい。
【0011】
図1に示す利用シーンは、例えば、ユーザ110がノートPCを使用しようとして、自律走行車120に対して、
・ウェイクワードを発声した後、
・「ノートPCを持ってきて」と発声した場合(すなわち、音声による搬送指示(以降、音声指示と呼ぶ)が行われた場合)、
を示している。この場合、自律走行車120は、車輪(以下、キャスターとも称する)付きの棚130~150の中から、ノートPCや書物等の仕事道具131が載置された棚130を搬送対象として特定し、棚130とドッキングした後、棚130をユーザ110の近傍の位置まで搬送する。なお、自律走行車120は、ウェイクワードなしに行われた音声指示に従うよう構成されてもよい。
【0012】
このように、自律走行車120を利用すれば、ユーザ110は、音声指示を行うだけで、ソファから動くことなく、離れた位置にあるノートPCを手元に置くことができる。
【0013】
なお、図1の例は、ユーザ110が音声指示を行った時点で、棚130が、所定空間100内のアンカ170の位置に待機していた場合を示している。また、図1の例は、アンカ170の位置に待機していた棚130を、ユーザ110の近傍の位置172まで搬送する際に、最短の搬送経路上に、障害物として、ごみ箱160が置かれていた場合を示している。
【0014】
このような場合、自律走行車120は、棚130の搬送中にごみ箱160を検知し、点線矢印171に示す搬送経路で棚130を搬送することで、ごみ箱160との衝突を回避する。
【0015】
また、図1には示していないが、自律走行車120が棚130をユーザ110の近傍の位置172まで搬送し、ユーザ110がノートPCを棚130から取り出した後、自律走行車120に対して、「棚を元の位置に戻して」との音声指示を行ったとする。この場合、自律走行車120は、棚130を、アンカ170の位置まで搬送してもよい。
【0016】
また、図1の例では、自律走行車120が搬送対象として棚130を搬送する場合について示したが、ユーザ110の音声指示の内容によっては、自律走行車120が、棚140又は棚150を搬送対象として特定して搬送してもよい。また、図1の例では、自律走行車120が、ユーザ110の近傍の位置を棚130の搬送先の位置として特定した。しかしながら、ユーザ110の音声指示の内容によっては、自律走行車120が、所定空間100内に設置された所定の設置物(例えば、家具等)の近傍の位置や、所定空間100内の任意の位置を、棚130の搬送先の位置として特定してもよい。
【0017】
<自律走行車の構成>
次に、自律走行車120の構成について説明する。図2は、実施形態に係る自律走行車120の外観構成の一例を示す斜視図である。図3は、実施形態に係る自律走行車120の外観構成の一例を示すx正方向側から視た側面図である。図4は、実施形態に係る自律走行車120の外観構成の一例を示すy正方向側から視た背面図である。
【0018】
図2に示すように、自律走行車120は、全体として直方体の形状を有しており、搬送対象となる棚の最下段の下側に進入できるよう、高さ方向(z軸方向)及び幅方向(x軸方向)の寸法が規定されている。なお、自律走行車120の形状は直方体に限定されない。
【0019】
自律走行車120の上面210には、搬送対象となる棚とドッキングするためのドッキング機構を構成する部材であるロック装置211(連結部)が設置されてもよい。また、自律走行車120の上面210には、例えば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)212が設置されている。LIDAR212は、自律走行車120の上面210の高さ位置における、前後方向(y軸方向)及び幅方向(x軸方向)を測定範囲としており、LIDAR212による測定結果を用いることで、当該測定範囲にある障害物等を検出することができる。
【0020】
自律走行車120の前面220には、例えば、前面RGBカメラ221と、ToF方式(Time of Flight方式)のカメラ(ToFカメラ222)とが設置されている。なお、本実施形態の前面RGBカメラ221は、ToFカメラ222の上側に設置されるが、前面RGBカメラ221の設置位置は、この位置に限定されず、前面RGBカメラ221がToFカメラ222の下側に設置されてもよいし、横に並んで設置させてもよい。
【0021】
前面RGBカメラ221は、自律走行車120が前進方向に移動する際、例えば、
・搬送対象となる棚(例えば、棚130)、
・搬送先の近傍にいるユーザ(例えば、ユーザ110)、搬送先の近傍にある設置物、
・搬送経路上の障害物(例えば、ごみ箱160)、
等を撮影し、カラー画像を出力する。
【0022】
ToFカメラ222は、測定範囲内の物体の3次元的な位置(つまり、自律走行車120の幅方向、前後方向、高さ方向それぞれにおける位置)を特定するための当該3次元的な位置に関する測定データを取得するセンサの一例である。ToFカメラ222は、マルチパス問題を回避するために、自律走行車120が走行する走行面(図3に示す床面240)が測定範囲に含まれない程度に、自律走行車120の前面220において上向きに設置される。マルチパス問題の一例として、光源から出射した光が床面240を経由して他の対象物で反射し、その反射光をToFカメラ222が受光することによる測定精度の悪化が挙げられる。本実施形態において、ToFカメラ222の自律走行車120の前面220における上向きの設置角度θは、床面240に対して約50度であるとする。
【0023】
また、ToFカメラ222は、自律走行車120が前進方向に移動する際、少なくともドッキングした棚が通過する領域(ドッキングした棚の高さ×ドッキングした棚の幅分の領域)を測定範囲として障害物等を撮影してもよい。また、ToFカメラ222は、撮影した距離画像(深度画像)を3次元位置データとして出力してもよい。なお、本実施形態において、ToFカメラ222の垂直画角θvは70度、水平画角θhは90度であるとする。なお、物体の3次元的な位置データを取得するためのセンサデバイスとして、ToFカメラ222に代えて、ステレオカメラや単眼カメラを用いてもよい。ステレオカメラの場合、同じタイミングで撮影された2つの画像から測定範囲内の3次元位置データが計算できる。単眼カメラの場合、異なるタイミングで撮影された2つの画像と自律走行車120の移動方向及び移動距離から、測定範囲内の3次元位置データが計算できる。
【0024】
自律走行車120の前面220のうち前面RGBカメラ221の近傍には、照明機構223が設置されている。照明機構223は、搬送対象とのドッキングが開始すると点灯してもよく、搬送対象とのドッキングが完了すると消灯してもよい。照明機構223は、例えばLEDであり、前面RGBカメラ221の動作中に点灯することによって、前面RGBカメラ221の撮像対象を照光して前面RGBカメラ221の撮像画像をより鮮明にでき、撮像画像を用いる物体認識の精度を向上できる。
【0025】
自律走行車120の下面230には、駆動輪231と、従動輪232とが設置されてもよく、これにより自律走行車120を支持する。
【0026】
駆動輪231は、幅方向(x軸方向)に1つずつ設置されており(幅方向に、例えば、計2つ設置されており)、それぞれが独立してモータ駆動されることで、自律走行車120を、進行方向すなわち前進/後退方向(y軸方向)に移動させることができる。また、駆動輪231は、自律走行車120を、z軸周りに旋回させることができる。
【0027】
従動輪232は、幅方向(x軸方向)に1つずつ(幅方向に計2つ)設置されている。また、従動輪232は、自律走行車120に対して、それぞれがz軸周りに旋回可能に設置されている。なお、従動輪232の設置位置や設置数は、上記以外でもよい。
【0028】
また、図3に示すように、自律走行車120の内部には制御装置310が搭載されている。制御装置310は、自律走行車120内に搭載される各種センサから入力される情報や、外部から受信する操作指令などに基づき、駆動輪231やロック装置211の動作を制御して、自律走行車120の移動や棚130との連結を制御する。なお、本開示における2つの対象の連結とは、2つの対象が互いに接触しているか否かを問わず、一方の対象が移動すると他方の対象も連動して移動するような関係性のことを指してよい。
【0029】
図4に示すように、自律走行車120の後面250には、後面RGBカメラ320が設置されてもよい。
【0030】
後面RGBカメラ320は、自律走行車120が後退方向に移動する際、例えば、
・搬送対象となる棚(例えば、棚130)、
・搬送対象の棚の周辺の障害物、
等を撮影し、カラー画像を出力する。
【0031】
自律走行車120の後面250のうち後面RGBカメラ320の近傍には、照明機構251が設置されてもよい。照明機構251は、搬送対象とのドッキングが開始すると点灯してもよく、搬送対象とのドッキングが完了すると消灯してもよい。照明機構251は、例えばLEDであり、後面RGBカメラ320の動作中に点灯することによって、後面RGBカメラ320の撮像対象を照光して後面RGBカメラ320の撮像画像をより鮮明にでき、撮像画像を用いる物体認識の精度を向上できる。
【0032】
また、自律走行車120の上面210に電源スイッチ213が設けられてもよい。電源スイッチ213は、例えば自律走行車120の利用者によって押下されることによって、制御装置310を起動させ、自律走行車120を動作可能に起動させることができる。また、自律走行車120の起動中に押下されることによって、制御装置310を停止させ、自律走行車120を停止させることができる。なお、電源スイッチ213は、上面210の前端付近に配置されるのが好ましい。これにより、自律走行車120が搬送対象の棚130と連結している状態においても、電源スイッチ213が棚130より前方に露出するので、スイッチ操作を容易にできる(図5参照)。
【0033】
また、自律走行車120の後面250にはユーザスイッチ252が設けられてもよい。ユーザスイッチ252は、自律走行車120の利用者が任意の操作指令を入力できるよう設定できる。
【0034】
また、自律走行車120の上面210に設けられるLIDAR212は、図2に示すように略円柱形状に形成されてもよい。LIDAR212の円柱形状の上面の外縁端に沿って円環状に光源214が設置されてもよい。光源214は例えば複数のLEDを円環状に配置して構成される。光源214は多色で発光可能であり、例えば自律走行車120の動作状態に応じて発光色を変更することによって、自律走行車120の動作状態を周囲に報知することができる。
【0035】
<ドッキングの概要>
次に、ドッキングの概要について説明する。図5は、自律走行車が搬送対象となる棚130とドッキングする様子を示した図である。なお、棚140、150の場合も同様である。また、図5は、ドッキング概要を説明することを趣旨とする図であり、図1に例示した一般的な使用形態のイメージ図に示した搬送対象の一例である棚130を例示している。本実施形態に係る搬送物としての棚180については、図9以降に具体的な構成を説明する。
【0036】
図5(a)は、自律走行車120が、アンカ170の位置に待機する、搬送対象となる棚130とドッキングする直前の様子を示したものである。
【0037】
図5(a)に示すように、棚130は段数が3段の棚であり、最下段400の下側には、フレームガイド410、420が、自律走行車120の幅に応じた間隔で、略平行に取り付けられている。これにより、自律走行車120が、搬送対象となる棚130の最下段400の下側に進入する際の進入方向が規定される。また、フレームガイド410、420は、自律走行車120が搬送対象となる棚130を搬送する際、幅方向のガイド部として機能し、棚130が自律走行車120に対して幅方向にずれることを防止する。なお、自律走行車120は、搬送対象となる棚130に向かって前進して当該棚130とドッキングしてもよい。
【0038】
また、棚130の足元には、キャスター431~434が旋回可能に取り付けられている。これにより、自律走行車120は、ドッキングした棚130を容易に搬送することができる。
【0039】
一方、図5(b)は、自律走行車120が搬送対象となる棚130にドッキングした後の様子を示したものである。図5(b)に示すように、棚130にドッキングした状態であっても、自律走行車120の前面220は、棚130の各段によって覆われない(前面220が、棚130の各段よりも前進方向に突出する)。このため、図5(b)に示す例であれば、自律走行車120が棚130を搬送する際に、前面RGBカメラ221の測定範囲が、棚130のいずれかの段によって遮られることはない。但し、自律走行車120が棚130を搬送する際に、前面RGBカメラ221の測定範囲が、棚130のいずれかの段によって遮られるような仕様とすることも可能である。
【0040】
同様に、ToFカメラ222についても、自律走行車120が棚130を搬送する際に、測定範囲(垂直画角θv、水平画角θh)が、棚130のいずれかの段によって遮られることはない。但し、同様に、ToFカメラ222についても、自律走行車120が棚130を搬送する際に、測定範囲(垂直画角θv、水平画角θh)が、棚130のいずれかの段によって遮られる仕様とすることも可能である。
【0041】
一方、LIDAR212は、自律走行車120が棚130にドッキングした状態で、自律走行車120の高さ位置における前方及び後方の測定範囲が遮られることはない。しかしながら、幅方向の測定範囲についてはフレームガイド410、420によって遮られる可能性がある。
【0042】
このため、棚130のフレームガイド410、420には、LIDAR212の幅方向の測定範囲を遮蔽する割合を低減するために、開口部411、421が設けられている。これにより、自律走行車120が棚130を搬送する際に、LIDAR212は、自律走行車120の高さ位置における前方、後方及び幅方向の測定範囲を、棚130によって遮られることなく測定することができる。但し、自律走行車120が棚130を搬送する際に、LIDAR212は、自律走行車120の高さ位置における前方、後方及び幅方向の測定範囲を、棚130によって遮られる仕様とすることも可能である。
【0043】
なお、図5(b)においては示されていないが、自律走行車120の前面側に設置されたマイク301、302(図10参照)も、自律走行車120が棚130にドッキングした状態で、棚130の各段よりも前進方向に突出した位置に配置されてもよい。これにより、自律走行車120が棚130を搬送する際に、前面側のマイク301、302の検出範囲が、棚130のいずれかの段によって遮られることはない。但し、自律走行車120が棚130を搬送する際に、前面側のマイク301、302の検出範囲が、棚130のいずれかの段によって遮られる仕様とすることも可能である。
【0044】
図6は、棚130のうち最下段400より下部の概略構成を示す正面図である。図6に示すように、一対のフレームガイド410、420の中間の位置、すなわち棚130の最下段400のx方向の中心位置には、最下段400の下面から下方に突出するように突起440(凸部)が設けられている。本実施形態では、突起440は例えば円柱状であるが、この形状に限られない。
【0045】
上述の自律走行車120のロック装置211は上下動可能に構成されてもよく、ロック装置211が上昇したときに、この突起440に篏合することによって、自律走行車120と棚130とが連結される。すなわち、自律走行車120のロック装置211と、棚130(搬送対象)の突起440とが、本実施形態に係る「自律走行車と搬送対象との連結構造」を構成する。
【0046】
ロック装置211は、「自律走行車120に設けられ、上下動可能であり、上方に移動して突起440と係合したとき自律走行車120の少なくとも前進後退方向への突起440の相対移動を規制する規制部」として機能する。本実施形態では、規制部としてのロック装置211は、突起440に篏合する凹部であり、突起440を少なくとも自律走行車120の進行方向の前後で挟むように突起440と係合する係合部であるといってよい。ロック装置211の凹部は、上方に移動して突起440と篏合(突起440の少なくとも一部を収容)したとき、自律走行車120に対する突起440すなわち搬送対象の水平方向への相対移動を規制することで、自律走行車120が搬送対象を牽引可能な状態を作り出す。
【0047】
ここで、本実施形態で用いる「篏合」とは、「係合」の一例であり、「係合」という概念に包含される。「篏合」とは、一般には、軸と軸受けのように、機械のいろいろな部分がはまり合う関係を意味し、例えば、軸が孔などのくぼんだ所に固くはまり合ったり、滑り動くようにゆるくはまり合ったりする関係をいう。本実施形態では、凸状の突起440と凹状のロック装置211とが互いに嵌り合い、突起440の外周面がロック装置211により完全に覆われる状態をいう。
【0048】
また、「係合」とは、複数の要素が互いに係わり合うことを意味し、歯車同士による動力伝達を表現する場合などに一般的に用いられる表現である。本実施形態では、「係合」とは、自律走行車120の移動によって、自律走行車120に設けられる凹状のロック装置211と、棚130に設けられる凸状の突起440とが少なくとも一時的に接触し、ロック装置211から突起440に自律走行車120の駆動力を伝達できるような、ロック装置211と突起440との連結関係をいう。篏合以外の係合の種類としては、例えば、凸状の突起440を複数の板材や棒材などで挟持する構成などが挙げられる。或いは、係合関係とは、複数の要素が必ずしも相互に接触しなくてもよく、駆動力を伝達できれば非接触の関係でもよい。例えば電磁石などを利用して要素間に引力や斥力を発生させ、これらの引力や斥力によって要素間で動力を伝達する構成でもよい。
【0049】
また、自律走行車120のロック装置211は、「搬送対象の棚130~150と連結可能な連結部」とも表現できる。
【0050】
また、本実施形態では、ロック装置211は、棚130の円柱形状の突起440を篏合可能な円筒形状で形成されるが、少なくとも突起440を内部に収容できればよく、例えば楕円形や長円形状などの円形以外の環状でもよい。
【0051】
<自律走行車の内部構成及び下面構成の詳細>
次に、自律走行車の内部構成及び下面構成の詳細について説明する。図7は、実施形態に係る自律走行車120の上方から視た内部構造を示す平面図である。図8は、実施形態に係る自律走行車120の下方から視た平面図であり、重心位置を説明する図である。図7は、自律走行車120の上面カバーを取り外して、真上から見た様子を示している。
【0052】
(a-1)第1制御基板及び第2制御基板
はじめに第1制御基板及び第2制御基板について説明する。図7図8に示すように、自律走行車120は、第1制御基板311及び第2制御基板312を有してもよい。本実施形態において、第1制御基板311は、例えば、電子デバイスを制御し、第2制御基板312は、例えば、駆動デバイスを制御する。ただし、第1制御基板311と第2制御基板312の役割区分はこれに限定されない。
【0053】
なお、図7図8の例では、第1制御基板311と第2制御基板312とが、分かれて設置される場合を示しているが、第1制御基板311と第2制御基板312とは、1つの基板として一体的に設置されてもよい。第1制御基板311と第2制御基板312とを分けて設置するか、一体的に設置するかに関わらず、本実施形態では、第1制御基板311が有する機能と第2制御基板312が有する機能の両方を備える装置を、制御装置310と称す。
【0054】
(a-2)ドッキング機構
次に、ドッキング機構について説明する。図7に示すように、自律走行車120は、搬送対象となる棚とドッキングするためのドッキング機構として、ソレノイド式のロック装置211と、フォトリフレクタ330とを有してもよい。なお、本実施形態のドッキング機構はソレノイド式のロック装置211を用いているが、ロック装置211の昇降を、ソレノイド以外の電磁アクチュエータで行っても、ラックアンドピニオン機構、台形ねじ機構、空気圧駆動機構など、他のアクチュエータで行ってもよい。
【0055】
本実施形態において、ソレノイド式のロック装置211は、自律走行車120の車体の幅方向(x方向)の両端に1つずつ設置された駆動輪231の幅方向の中心位置であって、駆動輪231の回転軸C1上に設置されてもよい(図8の一点鎖線参照)。
【0056】
図7に示すように、ソレノイド式のロック装置211は、圧縮コイルばね(図示せず)を内蔵してもよく、ソレノイド(図示せず)がONになると、ソレノイドの内部に収容される可動部(図示せず)が下方に吸引され、これに伴い可動部の上方に連結されているロック装置も下方に吸引されて、圧縮コイルばねが縮む。一方、ソレノイド式のロック装置は、ソレノイドがOFFになると、圧縮コイルばねの圧縮力により、上方(図7の場合は紙面手前側)に突出する。なお、ソレノイドのON/OFFは、制御装置310によって制御されてもよい。
【0057】
フォトリフレクタ330は、自律走行車120が、搬送対象となる棚の最下段の下側に進入した際に、搬送対象となる棚に取り付けられた突起440にロック装置211を突出させることが可能であるか否かを判定するための信号を出力してもよい。
【0058】
自律走行車120は、フォトリフレクタ330より出力された信号に基づいて、ロック装置211を突出させることが可能であると判定した場合に、ソレノイドをOFFにする。なお、本実施形態ではフォトリフレクタ330を用いてロック装置211と突起440との対面状態を検出するようにしているが、フォトリフレクタ以外の方式で、この検出を行うようにしてもよい。フォトリフレクタ以外の方式としては、例えば、カメラや物理スイッチ、磁気式センサ、超音波センサ等を用いた方式が挙げられる。
【0059】
これにより、ロック装置211が突起440に向けて突出し、突出したロック装置211が突起440に挿入される。この結果、自律走行車120と、搬送対象の棚とのドッキングが完了する。
【0060】
なお、上述したように、ソレノイド式のロック装置211は、自律走行車120の車体の幅方向(x方向)の両端に1つずつ設置された駆動輪231の幅方向の中心位置に設置されていてもよい(幅方向において対称である)。これにより、自律走行車120は、搬送対象となる棚の最下段の下側へ進入する際、前進方向で進入することも後退方向で進入することもできる。
【0061】
一方、自律走行車120が、搬送対象の棚とドッキングした状態で、ソレノイドをONにすることで、ロック装置211を吸引すると、自律走行車120と搬送対象の棚との間のドッキングが解除される。
【0062】
(a-3)各種入出力装置
次に、各種入出力装置について説明する。図7に示すように、自律走行車120は、各種入出力装置として、上述したLIDAR212、前面RGBカメラ221、ToFカメラ222、後面RGBカメラ320に加えて、マイク301~304、スピーカ305を有してもよい。
【0063】
このうち、LIDAR212、前面RGBカメラ221、ToFカメラ222、後面RGBカメラ320の設置位置、設置方向、測定範囲、測定対象等については説明済みであるため、ここでは説明を省略する。
【0064】
マイク301~304は、音入力装置の一例であり、自律走行車120のコーナ部4か所(前面側2か所、後面側2か所)にそれぞれ設置されてもよく、それぞれの方向からの音を検出する。このように、自律走行車120のコーナ部4か所にマイク301~304を設置することで、自律走行車120の現在の位置及び向きに対して、音声指示を行ったユーザ110がいずれの方向にいるのかを判定し、ユーザ110の位置を推定することができる。
【0065】
スピーカ305は、音声出力装置の一例であり、自律走行車120の側面方向に向かって、音声を出力してもよい。スピーカ305は、例えば、ユーザ110による音声指示に対して、自律走行車120が認識したタスクの内容を確認するための音声を出力してもよい。スピーカ305は、例えば図8に示すように自律走行車120の車体のx正方向側の側面付近に設置さてもよい。なお、本実施形態では、自律走行車120が単一のスピーカ305を備える構成を例示しているが、2個以上のスピーカを備える構成でもよい。
【0066】
また、自律走行車120の内部にはファン306が設けられてもよい。ファン306は、例えば発熱量の多い第1制御基板311に隣接して配置されてもよく、第1制御基板311を冷却する。つまり、ファン306は、第2制御基板312よりも第1制御基板311の近くに配置されてもよい。図8の例では、ファン306は、自律走行車120の車体のx正方向側の側面付近で、スピーカ305と隣接して配置されている。
【0067】
(b-1)駆動輪
図8図9に示すように、自律走行車120は、車体の幅方向(x方向)の両端側に1つずつ設置された駆動輪231を有してもよい。上述したように、駆動輪231は、それぞれが独立してモータ駆動されることで、自律走行車120を、前進/後退方向(y方向)に移動させたり、z軸周りに旋回させたりすることができる。
【0068】
具体的には、駆動輪231の両方を正転させることで、自律走行車120を前進方向に移動させ、駆動輪231の両方を逆転させることで、自律走行車120を後退方向に移動させることができる。また、駆動輪231の一方を正転させ、他方を逆転させることで、自律走行車120を旋回させることができる。
【0069】
なお、上述したように、駆動輪231の一方の回転軸と他方の回転軸とは、同軸C1上に形成されており、ソレノイド式のロック装置211は、同軸C1上において、駆動輪231の一方と駆動輪231の他方との中心位置に設置されてもよい。これにより、駆動輪231の一方を正転させ、駆動輪231の他方を逆転させた場合、自律走行車120は、ソレノイド式のロック装置211を中心に、旋回することになる。
【0070】
図7に示すように、各駆動輪231には、回転軸C1に沿った自律走行車120の内部側にそれぞれモータなどの駆動源233が個別に連結されてもよく、これらの駆動源233から出力される動力によって独立駆動することができる。
【0071】
(b-2)従動輪
図9に示すように、自律走行車120は、車体の幅方向(x軸方向)の両端側に1つずつ設置された従動輪232を有してもよい。従動輪232は、それぞれが、z軸方向に延在する旋回軸C3周りに旋回可能に設置されてもよい。また、各従動輪232は、水平方向かつ旋回軸C3と直交する方向に回転軸C2を有してもよい。これにより、例えば、自律走行車120が前進方向または後退方向に移動した後に旋回する場合、従動輪232は、その向きを旋回方向に直ちに追従させることができる。また、例えば、自律走行車120が旋回した後に前進方向または後退方向に移動する場合、従動輪232は、その向きを前進または後退方向に直ちに追従させることができる。
【0072】
従動輪232は、駆動輪231に対して車体の前後方向に離間した位置に配置されてもよい。図8の例では、従動輪232は駆動輪231より前方側に配置されている。
【0073】
なお、本実施形態では一対の従動輪232を備える構成を例示したが、少なくとも駆動輪231に対して車体の前後方向に離間した位置に配置されればよく、従動輪の個数はこれに限られない。例えば図9に示す2つの従動輪232と同様の前後方向の位置において、車体の幅方向の中央に1個の従動輪を設ける構成でもよい。
【0074】
また、本実施形態に係る自律走行車120は、例えば車体内部に錘などを設置することにより、図8に示す重心位置Gを所望の位置に調整することができる。
【0075】
例えば図8に示すように、平面視において、一対の駆動輪231のそれぞれの接地部分を、回転軸C1の直下の位置と仮定して接地点P1、P2とする。また、一対の従動輪232のそれぞれの接地部分を、回転軸C2の直下の位置と仮定して接地点P3、P4とする。
【0076】
このとき、一対の駆動輪231のそれぞれの接地点P1、P2と、一対の従動輪232の一方の接地点P3とにより形成される第一の三角形T1と、一対の駆動輪231のそれぞれの接地点P1、P2と、一対の従動輪232の他方の接地点P4とにより形成される第二の三角形T2と、を考える。図8には、第一の三角形T1を点線で図示し、第二の三角形T2を二点鎖線で図示している。
【0077】
第一の三角形T1と、第二の三角形T2とは、共に三角形状の3つの頂点のうちの2つとして一対の駆動輪231の接地点P1、P2を含み、かつ、共に三角形状の一辺として接地点P1、P2を結ぶ線分を含む。このため、第一の三角形T1と、第二の三角形T2とは、この線分を含む一部分が必ず重畳する。また、第一の三角形T1と、第二の三角形T2とは、接地点P1、P2を結ぶ線分を共通の底辺とし、それぞれ一対の従動輪232の接地点P3、P4を三角形状の残りの1つの頂点とする配置となる。このため、第一の三角形T1と、第二の三角形T2との重畳部分は底辺を一辺とする三角形T3となる。本実施形態では、図8に示すように、第一の三角形T1及び第二の三角形T2の重畳部分の三角形T3の内部に自律走行車120の重心Gが配置されるように、車体内部に設置する錘などの位置及び重量が調整される。
【0078】
この構成により、一対の駆動輪231に荷重を充分にかけることができるので、駆動輪231の接地圧を向上でき、駆動輪231による駆動力をより効率良く発生することが可能となる。これにより、重心位置Gが図8に示す重畳部分T3から外れている場合と比較して、駆動源233から駆動輪231に同一の動力が伝達される場合でも、より大きな駆動力を出力することが可能となるので、車両の搬送重量を向上できる。
【0079】
なお、重心Gの位置は、第一の三角形T1及び第二の三角形T2の重畳部分の三角形T3のy方向高さの中心に配置されるのが好ましい。自律走行車120の搬送性能は床反力中心の位置に依存するが、床反力中心は床に置かれて静止している際は、自律走行車120の重心Gの位置に等しい。自律走行車120の床反力中心は、搬送時に搬送対象から受ける反力や、走行中の加減速などの影響で移動する状況が生じ得る。このように床反力中心が変動する場合でも、加減速の加速度が同じ場合は、重心Gを三角形T3のy方向高さの中心に配置しておけば、床反力中心が三角形T3から外れる可能性を最も低くできる。これにより、搬送対象の牽引中に自律走行車120の搬送性能の変動を抑制できる。
【0080】
<搬送システム200の構成>
図9図18を参照して実施形態に係る搬送システム200について説明する。図9は、実施形態に係る搬送システム200の概略構成を示す斜視図である。図10は、図9に示す搬送システム200を上方から視た平面図である。図11は、棚180を下方から視た平面図である。図12は、図9に示す搬送システム200を下方から視た平面図である。図13は、図9に示す搬送システム200の連結部分近傍の正面図である。
【0081】
図9図10図12に示すように、搬送システム200は、上述の自律走行車120と、搬送体としての棚180とを備えてもよい。棚180は、上述の棚130、140、150などの搬送対象と同様に、自律走行車120と連結され、自律走行車120に搬送されて移動することができる。
【0082】
図9図10図12では、棚180が自律走行車120と連結され、自律走行車120と一体的に移動可能な状態を示している。なお、自律走行車120と棚180との連結状態については、図5(b)などを参照して説明した棚130の場合と同様であるので説明を省略する。また、自律走行車120の各部の説明も省略する。
【0083】
図9に示すように、搬送体の一例としての棚180は三段の棚であり、上端に設置される上板189と、下部に設置される底板190と、上板189と底板190との中間位置に設置される中間板191とを備える。上板189、底板190、中間板191は、平面視において同一形状であり、特に本実施形態では長円形状である。
【0084】
ここで、本実施形態で用いる「長円」とは、半径の等しい二つの円を共通外接線でつないだ形(たとえば陸上競技のトラックの形)をいう。また、本実施形態では、自律走行車120の進入方向(y方向)を短径とし、連結時における自律走行車120の幅方向(x方向)を長径とするように、上板189、底板190、中間板191の各長円形状が形成されてもよい。
【0085】
上板189、底板190、中間板191の外縁部分には、4本の柱181、182、183、184が連結されてもよい。各柱181~184はz方向に延材するよう設置されてもよい。例えば図9に示すように、柱181は、上板189、底板190、中間板191の長円形状のうちx負方向側かつy正方向側の位置に設置される。柱182は、上板189、底板190、中間板191の長円形状のうちx負方向側かつy負方向側の位置に設置されてもよい。柱183は、上板189、底板190、中間板191の長円形状のうちx正方向側かつy負方向側の位置に設置されてもよい。柱184は、上板189、底板190、中間板191の長円形状のうちx正方向側かつy正方向側の位置に設置されてもよい。
【0086】
4本の柱181、182、183、184の下端には、それぞれキャスター185、186、187、188が旋回自在に設置されてもよい。つまり、各キャスター185~188のそれぞれの旋回の「支点」は各柱181~184の軸心となる。
【0087】
底板190は、図5などを参照して説明した棚130の最下段400と同様の部品でもよい。底板190は、下方に自律走行車120が進入可能な高さに設置されてもよい。また、底板190には、各柱181~184を介して各キャスター185~188が支点まわりに旋回自在に接続されてもよい。
【0088】
棚180は、さらに突起193(連結部)と、一対のガイドフレーム194、195と、一対のブラケット196、197と、を備えてもよい。
【0089】
突起193は、図6などを参照して説明した棚130の突起440と同様の部品でもよい。図11に示すように、突起193は、底板190の下面に設けられてもよく、自律走行車120と連結してもよい。突起193は、突起440と同様に、自律走行車120のロック装置211と篏合可能な形状で形成されてもよい。
【0090】
一対のガイドフレーム194、195は、図5などを参照して説明した棚130のフレームガイド410、420と同様の部品でもよい。図9図11図12図13に示すように、一対のガイドフレーム194、195は、底板190の下面に設けられてもよく、自律走行車120が所定方向(y正方向側またはy負方向側)から突起193の位置まで進入するよう誘導してもよい。一対のガイドフレーム194、195は、それぞれ自律走行車120の進入方向(y方向)に沿って延材してもよく、突起193を中心としてx方向に自律走行車120の車体の幅寸法より大きい距離をとって設置されてもよい。また、一対のガイドフレーム194、195は、例えば図11などに示すように、y方向の両端部が中央部に対してx方向の外側に広がるように湾曲して形成されてもよく、これにより自律走行車120の棚180の下部への進入を容易とする構成でもよい。
【0091】
一対のブラケット196、197は、図11図13に示すように、一対のガイドフレーム194、195の間にて底板190の下面から下方に立設されてもよく、突起193のy方向の両側、すなわち自律走行車120の進入方向の両側、にそれぞれ隣接されてもよい。一対のブラケット196、197は、例えば図11図13に示すように、自律走行車120の進入方向に対して直交する方向(x方向)に延材して直線状に形成される。一対のブラケット196、197には、上述の自律走行車120の進入方向である所定方向に向けて自律走行車120が視認可能な2種類のマーカ198、199が付加されてもよい。
【0092】
2種類のマーカ198、199のうち一方のマーカ198(第一のマーカ)は、ブラケット196、197のうち所定方向に沿った棚180の外部側に向いて付加されてもよい。つまり、マーカ198は、図11図13に示すように、一対のブラケット196、197のうち外部から自律走行車120が進入する際に対向する面、すなわちブラケット196のy負方向側の面とブラケット197のy正方向側の面に付加されてもよい。
【0093】
一方、2種類のマーカ198、199のうち他方のマーカ199(第二のマーカ)は、ブラケット196、197のうち所定方向に沿った棚180の内部側に向いて付加されてもよい。つまり、マーカ199は、図11に示すように、一対のブラケット196、197のうち突起193側を向く面、すなわちブラケット196のy正方向側の面とブラケット197のy負方向側の面に付加されてもよい。
【0094】
マーカ198、199は、例えばバーコード、文字、図や絵、若しくはこれらの組み合わせなど、自律走行車120が搭載する前面RGBカメラ221や後面RGBカメラ320の撮像画像に基づき情報を取得できるものであればよい。例えば外部側に向いて付加されるマーカ198は、棚180の種類や品名などの識別情報を含み、自律走行車120は前面RGBカメラ221や後面RGBカメラ320を介してマーカ198から取得した情報に基づき搬送対象を選別できる。また、マーカ198は、自律走行車120が棚180の外部にいる場合に、棚180との連結位置に進入するための位置調整の指標としても用いることができる。例えば自律走行車120は、前面RGBカメラ221や後面RGBカメラ320が撮像した画像内のマーカ198の位置に基づき、マーカ198との相対的な位置関係を把握することができる。
【0095】
一方、内部側に向いて付加されるマーカ199は、自律走行車120が棚180の下方に進入した後、前面RGBカメラ221や後面RGBカメラ320ではマーカ198を視認不能な位置にあるときに、棚180との連結位置に位置決めするための位置調整の指標として用いることができる。例えば自律走行車120は、前面RGBカメラ221や後面RGBカメラ320が撮像した画像内のマーカ199の位置に基づき、マーカ199との相対的な位置関係を把握することができる。また、内部側のマーカ199も、外部側のマーカ198と同様の識別情報を含んでもよいし、例えば棚180側の連結部である突起193の位置、形状、種類の情報など、マーカ198とは異なる情報も含んでもよい。
【0096】
本実施形態の搬送システム200では、自律走行車120がユーザに指定された搬送体(本実施形態では棚180)を特定するために、各搬送体に付加されるマーカ198、199から当該搬送体に関する情報を取得する必要がある。本実施形態に係る自律走行車120を特に一般家庭で適用する場合、搬送物は例えば棚180のように、主に棚やキッチンワゴンなど、日常的に使用される家具が多くなると考えられる。このため、上記の搬送体特定用のマーカ198、199が例えば家具の前面や側面など目立つ場所に付加されていると、日常生活でユーザの視野に入りやすく、生活空間の美観を損ねる場合がある。
【0097】
これに対して本実施形態に係る棚180では、一対のガイドフレーム194、195の間にて底板190の下面から下方に立設され、突起193の所定方向の両側に隣接される一対のブラケット196、197を備え、所定方向(y方向)に向けて自律走行車120が視認可能なマーカ198、199が一対のブラケット196、197に付加されるよう構成されてもよい。
【0098】
棚180側の自律走行車120との連結部である突起193は、棚180を搬送しやすくするために棚180の底板190の下面の中心部分と重なるように設けられてもよい。一対のブラケット196、197は、突起193のy方向の両側に隣接されてもよいため、一対のブラケット196、197も底板190の下面の中心部分付近に設けられてもよい。このため、一対のブラケット196、197に付加されるマーカ198、199も同様に棚180の底板190の下面の中心部分付近に配置されてもよいことになる。したがって、本実施形態の上記構成により、各搬送物に付加されるマーカ198、199を底板190の下面に隠すことができるので、日常生活で人の視点から見えにくくできる。例えば図13に示すように、棚180の外部側に向いて付加されるマーカ198は、自律走行車120の車高と同程度の位置まで人が頭を低くして、棚180の底板190の中心側を覗き込まないと見ることができない。また、棚180の内部側に向いて付加されるマーカ199は、マーカ198の裏側に配置されるのでさらに見にくい位置となる。これにより、マーカ198、199が付加された搬送体を室内に置いても、生活空間の美観が損なわれることが抑制できるので、本実施形態に係る搬送システム200を人の生活空間への導入することを促進できる。
【0099】
また、本実施形態の搬送システム200では、二種類のマーカ198、199を利用する。一方のマーカ198は、ブラケット196、197のうち所定方向(y方向)に沿った棚180の外部側に向いて付加されてもよい。他方のマーカ199は、ブラケット196、197のうち所定方向に沿った棚180の内部側に向いて付加されてもよい。
【0100】
この構成により、マーカ198は自律走行車120が棚180の下部に進入前に読み取り可能な情報を記録し、マーカ199は自律走行車120が棚180の下部に進入した後に棚180側の連結部である突起193との相対位置の微調整に利用できる。これにより、自律走行車120と棚180とのより高精度な連結が可能となる。
【0101】
図14は、キャスター185~188の配置を説明するための模式図である。図14は、搬送システム200を上方から視た平面図であり、自律走行車120と、棚180のうちガイドフレーム194、195、柱181~184、及びキャスター185~188のみを図示している。
【0102】
図14に示すように、ガイドフレーム194は、y方向に延在する梁部194Aと、梁部194Aの両端にて底板190の下面と連結して梁部194Aを吊り下げる一対の柱部194B、194Cとを有してもよい。同様に、ガイドフレーム195は、y方向に延在する梁部195Aと、梁部195Aの両端にて底板190の下面と連結して梁部195Aを吊り下げる一対の柱部195B、195Cとを有してもよい。4個のキャスター185~188の各支点(すなわち各柱181~184)は、一対のガイドフレーム194、195の対向方向(x方向)におけるガイドフレーム194、195より外側、かつ、y方向に沿った柱部194C、194B、195B、195Cの幅の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置されてもよい。以下では、このような各キャスター185~188の配置の定義を、以下では「各キャスター185~188の配置に係る第1定義」とも表記する。
【0103】
各キャスター185~188の配置については、自律走行車120のLIDAR212(ライダセンサ)との位置関係を用いて次のようにも表現できる。LIDAR212は、ガイドフレームの各柱部194B、194C、195B、195Cと重畳する高さ位置に設置され、外周方向の物体を検知してもよい。LIDAR212は、例えば図10に示すように、自律走行車120が棚180と連結するとき、棚180に対してy正方向側に露出する位置に設置されてもよい。そして図14に示すように、4個のキャスター185~188のうち、自律走行車120が棚180と連結しているときにLIDAR212側に配置される2個のキャスター186、187の各支点182、183は、LIDAR212の外周方向の測定範囲のうち柱部194B、195Bにより測定が阻害される死角となる範囲B1と少なくとも一部が重なる位置に配置されてもよい。
【0104】
また、他の2個のキャスター185、188の各支点181、184は、LIDAR212の外周方向の測定範囲のうち柱部194C、195Cにより測定が阻害される死角となる範囲B2と少なくとも一部が重なる位置に配置されてもよい。以下では、このような各キャスター185~188の配置の定義を、以下では「各キャスター185~188の配置に係る第2定義」とも表記する。
【0105】
なお、LIDAR212の外周方向の測定範囲は、LIDAR212に対してy正方向側に配置されるロック装置211及び突起193によっても、測定が阻害される死角となる範囲B3が生じる。したがって、図14に示すように、棚180と連結された状態におけるLIDAR212の外周方向の測定可能範囲Mは、外周方向の全周から上述の3種類の死角となる範囲B1、B2、B3を除く範囲となる。
【0106】
上述の「各キャスター185~188の配置に係る第1定義」は「各キャスター185~188の配置に係る第2定義」に包含される。図14を参照すれば明らかなように、「各キャスター185~188の配置に係る第1定義」を満たせれば、「各キャスター185~188の配置に係る第2定義」も満たすことができる。
【0107】
このように本実施形態では、上述の「各キャスター185~188の配置に係る第1定義」と「各キャスター185~188の配置に係る第2定義」の少なくとも一方を満たすことにより、元々ガイドフレーム194、195の各柱部194B、194C、195B、195Cにより生じるLIDAR212の測定範囲の死角となる範囲B1、B2、またはその周辺に、各キャスター185~188の支点となる柱181~184を配置してもよい。これにより、各キャスター185~188の支点によるLIDAR212の測定範囲の死角の増加を抑制することが可能となり、自律走行車120が棚180を牽引している状態においてLIDAR212による周囲の物体の検出精度の低下を抑制できる。
【0108】
図15は、自律走行車120と棚180が連結した状態における旋回円R5の一例を示す模式図である。図15に示すように、棚180側の連結部である突起193は、各キャスター185~188による棚180の旋回円R5の中心点Cと重なる位置に配置されるのが好ましい。この構成により、棚180が自律走行車120に連結されて移動するときに、搬送システム200の旋回半径をより小さくできる。また、自律走行車120が棚180と連結している状態において、自律走行車120の前方の棚180から外部に露出している部分が、旋回円R5の範囲内に収まるように構成されるのが望ましい。これにより搬送システム200の旋回半径を最小にできる。図15の例では、自律走行車120の車体の前端部の幅方向両端において、角部を省略して平面視において端面が車体中心側に入り込む曲面形状として、これにより旋回円R5の範囲内に収まる車体の形状としている。
【0109】
ここで、図15に例示する搬送システム200の各部寸法の一例を例示する。まず、自律走行車120の各部寸法は例えば下記のとおりである。
・車体の前後方向の寸法:389mm
・車体の幅方向の寸法:240mm
・車体前端からの駆動輪231の回転軸C1までの距離:239mm
・従動輪232と駆動輪231との間のホイールベース:183.5mm
・一対の従動輪232の旋回軸C3間の距離:154mm
・駆動輪231の直径:91mm
・一対の駆動輪231のトレッド(各駆動輪231の接地中心間の距離):200mm
【0110】
次に、棚180の各部寸法は例え下記のとおりである。
・棚板の長円形状の長径:488mm
・棚板の長円形状の短径:328mm
・各キャスター185~188の旋回円R1~R4の直径:105mm
・棚180の旋回円R5の直径:500mm
・キャスター185~188の旋回半径を含めた棚180の旋回直径:575mm
【0111】
図16は、棚180の形状が長円形状である利点を説明する模式図である。図10図12図15などに示すように、棚180の底板190(及び上板189、中間板191)は上述のとおり平面視において長円形状であってもよい。4個のキャスター185~188の各支点(柱181~184)は、長円形状のうち、y方向に対向し、それぞれx方向に延材する一対の直線部分のそれぞれの両端よりx方向の外側に配置されてもよい。さらに、y方向において、一対の直線部分によって挟まれる領域の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置されてもよい。
【0112】
上記の各キャスター185~188の配置の定義は次のようにも表現できる。まず、底板190の長円形状と中心位置Cが同一であり、長円形状の長径と短径と同一長の長辺と短辺を有する長方形を考える。平面視においてこの長方形と長円とを重ねたときに、長方形と長円とが重畳しない長方形の4つの角を含む部分に、4個のキャスター185~188の各支点(柱181~184)が配置されてもよい。
【0113】
まず棚180の底板190(及び上板189、中間板191)が長円形状であり、自律走行車120の進入方向が長円形状の短径の方向であると、例えば図16に示すように、長円形状の長径方向に沿った直線部分が自律走行車120の後面側に配置される。これにより、自律走行車120を壁面260に正対して後退すれば、棚180の長円形状の直線部分が壁面260と正対するように接近させることができるので、棚180を壁面260と隙間なく設置することが可能となる。
【0114】
また、上述のように棚板の長円形状に対して4個のキャスター185~188の各支点(柱181~184)を配置することにより、柱181~184を長円形状の長径方向に沿った直線部分よりy方向内側に収めることができる。これにより、図16に示すように棚180を壁面260に接近させる際に、各柱181~184が棚板と壁面との間に介在しないので、棚180を壁面260と隙間なく設置することを容易にできる。
【0115】
さらに、棚180の各板が長円形状であり、長円形状に対して4個のキャスター185~188の配置を上記のようにすると、長円形状の長径方向両側の半円部分が各キャスター185~188の支点の位置よりx方向外側に突出して、この範囲まで載置面を延在できるので、棚の搭載面積を最大化できる。
【0116】
図12には、棚180の各キャスター185~188の支点181~184まわりの旋回円R1、R2、R3、R4を点線円で図示している。図12に示すように、本実施形態では、棚180の複数のキャスター185~188のそれぞれは、平面視において支点181~184まわりの旋回円R1~R4の少なくとも一部がガイドフレーム194、195と重なるよう配置されるのが好ましい。この構成により、各キャスター185~188をx方向の中心側に詰めて配置できるので、x方向に対向するキャスター185とキャスター188との間隔と、キャスター186とキャスター187との間隔とを縮小できる。これにより、各キャスター185~188と自律走行車120との干渉を防止しつつ、棚180の旋回半径R5をさらに縮小できる。
【0117】
また、図12に示すように、本実施形態では、自律走行車120が棚180と連結している状態では、自律走行車120の後端部は棚180の外縁部より中心側(突起193側)に配置される。これにより、自律走行車120の後方部を棚180のフットプリントからはみ出さないようにできるので、図16に示すような棚180を壁際に置くことを容易にできる。
【0118】
また、図10に示すように、本実施形態では、自律走行車120が棚180と連結している状態では、自律走行車120の前方部の一部が棚180のフットプリントからはみ出るように配置されてもよい。これにより、棚180からはみ出した位置に自律走行車120の電源スイッチ213があるため、ドッキングした状態で電源スイッチ213のボタンを押しやすくできる。同様に、棚180からはみ出した位置に、LIDAR212の円柱形状に沿って配置される円環状の光源214の少なくとも一部があるため、ドッキングした状態で光源214の表示がみえる。これにより、ユーザが光源214を介して自律走行車120の動作状態を把握しやすくできる。同様に、棚180からはみ出した位置に自律走行車120のToFカメラ222が配置されるため、ドッキングした状態でも棚180によりToFカメラ222の画角が遮られることを防止できる。同様に、棚180からはみ出した位置にマイク301、302を配置できるため、ドッキングした状態でも自律走行車120の音声認識を精度良く行うことができる。
【0119】
また、本実施形態では、図11図13に示すように、棚180の底板190の下面の少なくとも中央部分には、下面と対向して板状の基板192が接続されていてもよい。基板192は例えば金属板であり、ネジ締結などにより底板190に固設される。また、基板192は底板190と脱着可能に接続する構成でもよい。
【0120】
そして、本実施形態では、上述の突起193、一対のガイドフレーム194、195、及び一対のブラケット196、197は、この基板192の下面に設置されていてもよい。つまり、突起193、一対のガイドフレーム194、195、及び一対のブラケット196、197は、基板192を介して棚180の底板190の下面に設けられている。
【0121】
したがって、基板192と、突起193と、一対のガイドフレーム194、195と、一対のブラケット196、197とは、相互に連結されて単一の連結用ユニット300として構成してもよい。これにより、突起193と、一対のガイドフレーム194、195と、一対のブラケット196、197とを含む、自律走行車120との連結に係る要素をユニット化することができるので、既存の家具などの底面にこの連結用ユニット300を設置すれば、搬送システム200の搬送物として利用することが可能となる。このように、連結用ユニット300を備える構成にとすることによって、搬送システム200の搬送対象となる搬送物をユーザが自由に増やすことが可能となり、汎用性を向上できる。
【0122】
なお、突起193と、一対のガイドフレーム194、195と、一対のブラケット196、197とを含む、自律走行車120との連結に係る要素をユニット化せずに、棚180の底板190に直接個別に設置する構成でもよい。
【0123】
図17は、棚180の変形例を示す図である。図17に示すように、棚180にセンターパネル201及び一対のサイドパネル202、203を取り付ける構成としてもよい。センターパネル201は、棚180の後面(例えば柱181と柱184との間の範囲)に、長円形状の外縁に沿って高さ方向の上板189と底板190との間の範囲を覆うよう形成されてもよい。一方のサイドパネル202は、棚の左側面(例えば柱181と柱182との間の範囲)に、長円形状の外縁に沿って高さ方向の上板189と底板190との間の範囲を覆うよう形成されてもよい。他方のサイドパネル203は、棚の右側面(例えば柱183と柱184との間の範囲)に、長円形状の外縁に沿って高さ方向の上板189と底板190との間の範囲を覆うよう形成されてもよい。
【0124】
このようにセンターパネル201及び一対のサイドパネル202、203を設置することにより、棚180の後方や側方を隠すことができるので、例えばユーザが棚180に置いたものを側面や後方から見せたくない場合などに便利である。また、センターパネル201及び一対のサイドパネル202、203の少なくとも一部を取り付ける構成としてもよい。
【0125】
図18は、変形例における棚180の設置状態の一例を示す図である。棚180にセンターパネル201及び一対のサイドパネル202、203を取り付ける構成の場合には、例えば図18に示すように、自律走行車120をセンターパネル201側が前方となるように棚180と連結すれば、例えば図16に示したように壁面260に近接して配置した後に棚180との係合を解除して、矢印Aで示すように自律走行車120が棚180から離間すれば、センターパネル201を前側にして棚180を設置可能となる。これにより、設置後の棚180の内部を隠すことが可能となる。
【0126】
[その他の実施形態]
本明細書(請求項を含む)において、「a、b及びcの少なくとも1つ(一方)」又は「a、b又はcの少なくとも1つ(一方)」の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、a、b、c、a-b、a-c、b-c又はa-b-cのいずれかを含む。また、a-a、a-b-b、a-a-b-b-c-c等のように、いずれかの要素について複数のインスタンスを含んでもよい。さらに、a-b-c-dのようにdを有する等、列挙された要素(a、b及びc)以外の他の要素を加えることも含む。
【0127】
本明細書(請求項を含む)において、「データを入力として/を用いて/データに基づいて/に従って/に応じて」等の表現(同様な表現を含む)が用いられる場合は、特に断りがない場合、データそのものを用いる場合や、データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、データから抽出した特徴量、データの中間表現等)を用いる場合を含む。また、「データを入力として/を用いて/データに基づいて/に従って/に応じて」何らかの結果が得られる旨が記載されている場合(同様な表現を含む)、特に断りがない場合、当該データのみに基づいて当該結果が得られる場合や、当該データ以外の他のデータ、要因、条件及び/又は状態にも影響を受けて当該結果が得られる場合を含む。また、「データを出力する」旨が記載されている場合(同様な表現を含む)、特に断りがない場合、データそのものを出力として用いる場合や、データに何らかの処理を行ったもの(例えば、ノイズ加算したもの、正規化したもの、データから抽出した特徴量、各種データの中間表現等)を出力として用いる場合を含む。
【0128】
本明細書(請求項を含む)において、「接続される(connected)」及び「結合される(coupled)」との用語が用いられる場合は、直接的な接続/結合、間接的な接続/結合、電気的(electrically)な接続/結合、通信的(communicatively)な接続/結合、機能的(operatively)な接続/結合、物理的(physically)な接続/結合等のいずれをも含む非限定的な用語として意図される。当該用語は、当該用語が用いられた文脈に応じて適宜解釈されるべきであるが、意図的に或いは当然に排除されるのではない接続/結合形態は、当該用語に含まれるものして非限定的に解釈されるべきである。
【0129】
本明細書(請求項を含む)において、「AがBするよう構成される(A configured to B)」との表現が用いられる場合は、要素Aの物理的構造が、動作Bを実行可能な構成を有するとともに、要素Aの恒常的(permanent)又は一時的(temporary)な設定(setting/configuration)が、動作Bを実際に実行するように設定(configured/set)されていることを含んでよい。例えば、要素Aが汎用プロセッサである場合、当該プロセッサが動作Bを実行可能なハードウェア構成を有するとともに、恒常的(permanent)又は一時的(temporary)なプログラム(命令)の設定により、動作Bを実際に実行するように設定(configured)されていればよい。また、要素Aが専用プロセッサ、専用演算回路等である場合、制御用命令及びデータが実際に付属しているか否かとは無関係に、当該プロセッサの回路的構造等が動作Bを実際に実行するように構築(implemented)されていればよい。
【0130】
本明細書(請求項を含む)において、含有又は所有を意味する用語(例えば、「含む(comprising/including)」、「有する(having)」等)が用いられる場合は、当該用語の目的語により示される対象物以外の物を含有又は所有する場合を含む、open-endedな用語として意図される。これらの含有又は所有を意味する用語の目的語が数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)である場合は、当該表現は特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0131】
本明細書(請求項を含む)において、ある箇所において「1つ又は複数(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」等の表現が用いられ、他の箇所において数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)が用いられているとしても、後者の表現が「1つ」を意味することを意図しない。一般に、数量を指定しない又は単数を示唆する表現(a又はanを冠詞とする表現)は、必ずしも特定の数に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0132】
本明細書において、ある実施形態の有する特定の構成について特定の効果(advantage/result)が得られる旨が記載されている場合、別段の理由がない限り、当該構成を有する他の1つ又は複数の実施形態についても当該効果が得られると理解されるべきである。但し、当該効果の有無は、一般に種々の要因、条件及び/又は状態に依存し、当該構成により必ず当該効果が得られるものではないと理解されるべきである。当該効果は、種々の要因、条件及び/又は状態が満たされたときに実施形態に記載の当該構成により得られるものに過ぎず、当該構成又は類似の構成を規定したクレームに係る発明において、当該効果が必ずしも得られるものではない。
【0133】
本明細書(請求項を含む)において、複数のハードウェアが所定の処理を行う場合、各ハードウェアが協働して所定の処理を行ってもよいし、一部のハードウェアが所定の処理の全てを行ってもよい。また、一部のハードウェアが所定の処理の一部を行い、別のハードウェアが所定の処理の残りを行ってもよい。本明細書(請求項を含む)において、「1又は複数のハードウェアが第1の処理を行い、前記1又は複数のハードウェアが第2の処理を行う」等の表現(同様な表現を含む)が用いられている場合、第1の処理を行うハードウェアと第2の処理を行うハードウェアは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。つまり、第1の処理を行うハードウェア及び第2の処理を行うハードウェアが、前記1又は複数のハードウェアに含まれていればよい。なお、ハードウェアは、電子回路、電子回路を含む装置等を含んでよい。
【0134】
本明細書(請求項を含む)において、複数の記憶装置(メモリ)がデータの記憶を行う場合、複数の記憶装置のうち個々の記憶装置は、データの一部のみを記憶してもよいし、データの全体を記憶してもよい。また、複数の記憶装置のうち一部の記憶装置がデータを記憶する構成を含んでもよい。
【0135】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。例えば、前述した実施形態において、数値又は数式を説明に用いている場合、これらは例示的な目的で示されたものであり、本開示の範囲を限定するものではない。また、実施形態で示した各動作の順序も例示的なものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0136】
上記実施形態では、搬送システム200の搬送対象となる搬送物の一例として棚180を例示したが、棚180の構造はこれに限られない。例えば、上板189、底板190、中間板191の形状を長円形状以外の形状としてもよいし、少なくとも底板190を残せば棚板の数を増減させてもよい。また、4本の柱181~184の高さ寸法を増減させてもよいし、柱の数を増減させてもよい。また、柱の増減に合わせてキャスター185~188の個数も増減させてもよい。棚180の形状や構成はユーザのニーズに合わせて各種パーツを組み替えることで所望の構成とすることができる。
【0137】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0138】
<1> 自律走行車と連結され、前記自律走行車に搬送されて移動する搬送体であって、
底板と、
前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、
を備える搬送体。
【0139】
<2> 複数の車輪をさらに有し、
前記連結部は、前記複数の車輪による当該搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置される、
前記<1>に記載の搬送体。
【0140】
<3> 前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
前記<1>に記載の搬送体。
【0141】
<4> 前記ガイドフレームは、前記所定方向に延在する梁部と、前記梁部の両端にて前記下面と連結して前記梁部を吊り下げる柱部とを有し、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記一対のガイドフレームの対向方向における前記ガイドフレームより外側、かつ、前記所定方向と垂直な方向から視て、前記所定方向に沿った前記柱部の幅の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
前記<2>に記載の搬送体。
【0142】
<5> 前記底板が長円形状であり、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記長円形状のうち対向する一対の直線のそれぞれの両端より外側、かつ、前記一対の直線によって挟まれる領域の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
前記<2>に記載の搬送体。
【0143】
<6> 前記複数の車輪のそれぞれは、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記車輪の支点まわりの旋回円の少なくとも一部が前記ガイドフレームと重なるよう配置される、
前記<2>に記載の搬送体。
【0144】
<7> 搬送体を自律走行車と連結可能とし、前記自律走行車に搬送されて移動可能とする連結用ユニットであって、
前記搬送体の底板の下面に配置可能な基板と、
前記基板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記基板の前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記基板の前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置
される一対のブラケットと、
を備える、搬送体の連結用ユニット。
【0145】
<8> 前記基板は、前記連結部が前記搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置されるように前記搬送体の前記底板に配置される、
前記<7>に記載の搬送体の連結用ユニット。
【0146】
<9> 前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った前記搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
前記<7>に記載の搬送体の連結用ユニット。
【0147】
<10> 自律走行車と、前記自律走行車と連結され、前記自律走行車に搬送されて移動する搬送体と、を具備する搬送システムであって、
前記搬送体は、
底板と、
前記底板の下面に設けられ、前記自律走行車と連結する連結部と、
前記下面に設けられ、前記自律走行車が所定方向から前記連結部の位置まで進入するよう誘導する一対のガイドフレームと、
前記一対のガイドフレームの間にて前記下面から下方に立設され、前記所定方向に向けて前記自律走行車が視認可能なマーカが付加され、前記連結部の前記所定方向の両側に配置される一対のブラケットと、
を備える、
搬送システム。
【0148】
<11> 前記連結部は、前記搬送体の旋回円の中心点と重なる位置に配置される、
前記<10>に記載の搬送システム。
【0149】
<12> 前記マーカは、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の外部側に向いて付加される第一のマーカと、前記ブラケットのうち前記所定方向に沿った当該搬送体の内部側に向いて付加される第二のマーカと、を有する、
前記<10>に記載の搬送システム。
【0150】
<13> 前記搬送体の前記ガイドフレームは、前記所定方向に延在する梁部と、前記梁部の両端にて前記下面と連結して前記梁部を吊り下げる柱部と、
前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記複数の車輪は、前記一対のガイドフレームの対向方向において前記ガイドフレームの4つの前記柱部より前記対向方向の外側に配置され、
前記自律走行車は、前記柱部と重畳する高さ位置に設置され、外周方向の物体を検知するライダセンサを備え、
前記ライダセンサは、前記自律走行車が前記搬送体と連結するとき、前記搬送体に対して前記所定方向の一方側に露出する位置に設置され、
前記複数の車輪のうち、前記自律走行車が前記搬送体と連結しているときに前記ライダセンサ側に配置される一部の前記複数の車輪の支点は、前記ライダセンサの前記外周方向の測定範囲のうち前記柱部により測定が阻害される死角となる範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
前記<10>に記載の搬送システム。
【0151】
<14> 前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記底板が長円形状であり、
前記複数の車輪の少なくとも一つの支点は、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記長円形状のうち対向する一対の直線のそれぞれの両端より外側、かつ、前記一対の直線によって挟まれる領域の範囲と少なくとも一部が重なる位置に配置される、
前記<10>に記載の搬送システム。
【0152】
<15> 前記搬送体は複数の車輪を有し、
前記搬送体の前記複数の車輪のそれぞれは、前記搬送体の上面から前記搬送体の下面方向を垂直に見て、前記車輪の支点まわりの旋回円の少なくとも一部が前記ガイドフレームと重なるよう配置される、
前記<10>に記載の搬送システムに記載の搬送体。
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