(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024108297
(43)【公開日】2024-08-13
(54)【発明の名称】債権管理装置、債権管理方法、および債権管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240805BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023012595
(22)【出願日】2023-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】田中 澄花
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】債権回収の管理の精度を高めることができる債権管理装置等を提供する。
【解決手段】取引先から回収する債権の回収予定日を管理する債権管理装置であって、取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、取引先の債権の請求締日および取引先の債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における債権の取引元計上日を含む計上データと、にアクセス可能であり、制御部は、取引先データおよび計上データに基づいて、債権の取引元計上日に計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、算出した加算計上日が債権の請求締日以内であるか否かを判定し、算出した加算計上日が債権の請求締日以内である場合、請求締日に対応する計上月から設定される回収設定日を、債権の回収予定日として算出する一方で、算出した加算計上日が債権の請求締日を超える場合、請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される回収設定日を、回収予定日として算出する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引先から回収する債権の回収予定日を管理する制御部を備える債権管理装置であって、
前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、にアクセス可能であり、
前記制御部は、
前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、
算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出する債権管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
算出した前記回収予定日、および前記回収予定日に対応する計上月の帳端フラグを含む回収予定データを生成する請求項1に記載の債権管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記債権の請求を仮締する請求仮締処理を実行しており、
前記請求仮締処理では、
前記取引先における前記債権の取引先計上日を含む検収データを取得したか否かを判定し、
前記検収データを取得した場合、前記取引先計上日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出し、
前記検収データから算出される前記回収予定日と、前記回収予定データの前記回収予定日とが一致する場合、前記回収予定データの前記回収予定日および前記帳端フラグを維持する一方で、
前記検収データから算出される前記回収予定日と、前記回収予定データの前記回収予定日とが異なる場合、前記回収予定データの前記回収予定日を、前記検収データから算出される前記回収予定日に更新すると共に、前記回収予定データの前記帳端フラグを、更新後の前記回収予定日に対応する計上月の前記帳端フラグに更新する請求項2に記載の債権管理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記検収データを取得していない場合、前記請求仮締処理において仮締する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日に、前記回収予定データの前記回収予定日を更新すると共に、更新後の前記回収予定日に対応する計上月の前記帳端フラグに、前記回収予定データの前記帳端フラグを更新する請求項3に記載の債権管理装置。
【請求項5】
取引先から回収する債権の回収予定日を管理する債権管理方法であって、
前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、が用いられ、
前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、
算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出することを、制御部を備える債権管理装置が実行する債権管理方法。
【請求項6】
取引先から回収する債権の回収予定日を管理する債権管理方法を、制御部を備える債権管理装置に実行させる債権管理プログラムであって、
前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、が用いられ、
前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、
算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、
算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出することを、前記債権管理装置に実行させる債権管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、債権管理装置、債権管理方法、および債権管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、債権の回収予定日を管理する債権管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の債権管理装置では、売上の入力内容に基づいて、回収予定日を登録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、取引元の売上から債権の回収予定日を登録しており、取引元の計上基準に基づく回収予定日となっている。しかしながら、債権の回収は、取引先からの入金によって実行されることから、回収予定日は、取引先の計上基準に依拠することが多くなっている。このため、取引元と取引先との計上基準が異なる場合、取引元で登録した回収予定日が不正確となる可能性があり、これにより、債権回収の管理に支障をきたすおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、債権回収の管理の精度を高めることができる債権管理装置、債権管理方法、および債権管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る債権管理装置は、取引先から回収する債権の回収予定日を管理する制御部を備える債権管理装置であって、前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、にアクセス可能であり、前記制御部は、前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出する。
【0007】
なお、本発明に係る債権管理装置において、前記制御部は、算出した前記回収予定日、および前記回収予定日に対応する計上月の帳端フラグを含む回収予定データを生成してもよい。
【0008】
また、本発明に係る債権管理装置において、前記制御部は、前記債権の請求を仮締する請求仮締処理を実行しており、前記請求仮締処理では、前記取引先における前記債権の取引先計上日を含む検収データを取得したか否かを判定し、前記検収データを取得した場合、前記取引先計上日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出し、前記検収データから算出される前記回収予定日と、前記回収予定データの前記回収予定日とが一致する場合、前記回収予定データの前記回収予定日および前記帳端フラグを維持する一方で、前記検収データから算出される前記回収予定日と、前記回収予定データの前記回収予定日とが異なる場合、前記回収予定データの前記回収予定日を、前記検収データから算出される前記回収予定日に更新すると共に、更新後の前記回収予定日に対応する計上月の前記帳端フラグを更新してもよい。
【0009】
また、本発明に係る債権管理装置において、前記制御部は、前記検収データを取得していない場合、前記請求仮締処理において仮締する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定データの前記回収予定日として更新すると共に、更新後の前記回収予定日に対応する計上月の前記帳端フラグを更新してもよい。
【0010】
また、本発明に係る債権管理方法は、取引先から回収する債権の回収予定日を管理する債権管理方法であって、前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、が用いられ、前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出することを、制御部を備える債権管理装置が実行する。
【0011】
また、本発明に係る債権管理プログラムは、取引先から回収する債権の回収予定日を管理する債権管理方法を、制御部を備える債権管理装置に実行させる債権管理プログラムであって、前記取引先の計上基準に対応付けられる計上迄日数、前記取引先の前記債権の請求締日および前記取引先の前記債権の回収設定日を含む取引先データと、取引元における前記債権の取引元計上日を含む計上データと、が用いられ、前記取引先データおよび前記計上データに基づいて、前記債権の前記取引元計上日に前記計上迄日数を加算して加算計上日を算出し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内であるか否かを判定し、算出した前記加算計上日が前記債権の前記請求締日以内である場合、前記請求締日に対応する計上月から設定される前記回収設定日を、前記債権の前記回収予定日として算出する一方で、算出した前記加算計上日が前記債権の請求締日を超える場合、前記請求締日に対応する計上月の次月以降の計上月から設定される前記回収設定日を、前記回収予定日として算出することを、前記債権管理装置に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、債権回収の管理の精度を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、債権管理装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、取引先データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、回収予定データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、債権管理方法の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、請求仮締処理画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、取引先T001における回収予定データの遷移の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、取引先T002における回収予定データの遷移の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、取引先T003における回収予定データの遷移の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る債権管理装置、債権管理方法、および債権管理プログラムの実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0015】
[1.構成]
本実施形態に係る債権管理装置100の構成の一例について、
図1等を参照して説明する。
図1は、債権管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
債権管理装置100は、取引先から回収する債権を管理するものであり、例えば、取引先に対する債権の回収予定日を登録する。債権管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータを基に構築したものである。なお、債権管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置を基に構築したものに限らず、市販のノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォンまたはタブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置を基に構築したものであってもよい。
【0017】
債権管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。債権管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0018】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、債権管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、債権管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、記憶部106に格納されるデータは、例えばサーバ200に格納されてもよい。
【0019】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0020】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブルおよびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0021】
記憶部106は、取引先データ106a、計上データ106b、回収予定データ106c、および検収データ106dなどを格納する。
【0022】
図2は、取引先データの一例を示す図である。取引先データ106aは、例えば、得意先となる顧客を管理する情報となっている。
図2に示すように、取引先データ106aは、得意先コード、得意先名称、締日(請求締日)、回収日(回収設定日)、先方売上基準、および計上迄日数の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。得意先コードは、顧客の識別コードである。得意先名称は、顧客の名称である。締日は、取引先において設定される債権の請求の締日であり、例えば、末締等である。回収日は、債権の回収の設定日であり、例えば、締日の翌月末等である。先方売上基準は、取引先において債権を計上する基準であり、例えば、出荷基準、検収基準等である。計上迄日数は、先方売上基準に対応付けて設定される日数であり、先方売上基準に基づいて、例えば、0日、5日、15日等が設定される。
【0023】
図3は、計上データの一例を示す図である。計上データ106bは、例えば、取引元の商品売上を管理する売上データである。
図3に示すように、計上データ106bは、売上番号、得意先、出荷日(自社計上日)、得意先注文番号、および売上金額の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。売上番号は、商品の売上を識別する番号である。得意先は、
図2の得意先コードと同様であり、顧客の識別コードである。出荷日は、取引元において商品が出荷された日であり、取引元における債権の計上日(取引元計上日)となっている。得意先注文番号は、取引先からの商品の注文を識別する番号であり、注文ごとに割り付けられる番号となっている。売上金額は、注文において売り上げた金額である。
【0024】
図4は、回収予定データの一例を示す図である。回収予定データ106cは、債権の回収予定日を管理するデータである。
図4に示すように、回収予定データ106cは、売上番号、得意先注文番号、得意先、自社計上日、回収予定日、回収予定金額、帳端フラグ、および請求番号の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。売上番号、得意先注文番号、得意先、自社計上日については、
図3の計上データ106bと同様である。回収予定日は、取引先データ106aの回収設定日に基づいて設定される債権の回収の日付である。回収予定金額は、売上金額に対応する債権の回収予定の金額である。帳端フラグは、回収予定日に対応する計上月に割り付けられるフラグである。例えば、帳端フラグは、「0」、「1」、「2」があり、「0」は当月請求、「1」は次月請求、「2」は次々月請求となっている。請求番号は、請求対象となる債権を識別する番号である。
【0025】
図5は、検収データの一例を示す図である。検収データ106dは、取引先から提供されるデータであり、取引先において商品を受領したことを示すデータである。
図5に示すように、検収データ106dは、得意先、得意先注文番号、計上日(取引先計上日)、および支払金額の項目を含んでおり、これらの情報が対応付けられている。得意先、得意先注文番号については、
図3の計上データ106bおよび回収予定データ106cと同様である。計上日(取引先計上日)は、取引先において商品が受領された日であり、取引先における債務の計上日(取引先計上日)となっている。支払金額は、売上金額に対応した取引元に支払う金額である。
【0026】
次に、再び
図1を参照して、制御部102について説明する。制御部102は、債権管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0027】
制御部102は、情報処理として、記憶部106に記憶された各種データに基づいて債権を管理する処理を実行する。制御部102は、債権を管理する処理として、例えば、債権の回収予定日を自動で算出する処理を実行したり、算出した回収予定日を更新したりする処理を実行したりしている。
【0028】
以下、制御部102が実行する処理の具体例について、以下の[2.処理の具体例]にて詳細に説明する。
【0029】
[2.処理の具体例]
ここでは、債権管理装置100で実行される処理の具体例を、
図2から
図7を参照して説明する。
図6は、債権管理方法の一例を示す図であり、
図7は、請求仮締処理画面の一例を示す図である。
図6に示すように、債権管理装置100では、債権の回収予定日を自動で算出する処理が実行される。回収予定日の算出処理では、取引先データ106aと、計上データ106bとが用いられる。
【0030】
制御部102は、回収予定日の算出処理において、取引先データ106aおよび計上データ106bに基づいて、債権の自社計上日に計上迄日数を加算して加算計上日を算出する。なお、以下で説明する回収予定日の算出処理は、2022年11月時点で実行される処理であり、例えば、回収予定日を登録する際に実行されている。具体的に、制御部102は、
図6において、計上データ106bの売上番号「U001」、「U002」に対応付けられる得意先が「T001」である。このため、制御部102は、計上データ106bの売上番号「U001」の出荷日(22/11/25)、「U002」の出荷日(22/11/29)に、
図2に示す取引先データ106aの計上迄日数である「0日」を加算する。これにより、制御部102は、「U001」の加算計上日として、「22/11/25」を算出し、「U002」の加算計上日として、「22/11/29」を算出する。同様に、制御部102は、
図6において、計上データ106bの売上番号「U003」、「U004」、「U005」に対応付けられる得意先が「T002」である。このため、制御部102は、計上データ106bの売上番号「U003」の出荷日(22/11/24)、「U004」の出荷日(22/11/25)、および「U005」の出荷日(22/11/26)に、
図2に示す取引先データ106aの計上迄日数である「5日」を加算する。これにより、制御部102は、「U003」の加算計上日として、「22/11/29」を算出し、「U004」の加算計上日として、「22/11/30」を算出し、「U005」の加算計上日として、「22/12/1」を算出する。同様に、制御部102は、
図6において、計上データ106bの売上番号「U006」に対応付けられる得意先が「T003」である。このため、制御部102は、計上データ106bの売上番号「U006」の出荷日(22/11/20)に、
図2に示す取引先データ106aの計上迄日数である「15日」を加算する。これにより、制御部102は、「U006」の加算計上日として、「22/12/5」を算出する。
【0031】
続いて、制御部102は、算出した加算計上日が債権の締日以内であるか否かを判定する。具体的に、制御部102は、
図2に示す取引先データ106aの締日が末締となっていることから、加算計上日が「22/11/30」以内であるか否かを判定している。制御部102は、売上番号「U001」~「U004」について、締日(22/11/30)以内であることから、締日に対応する計上月が「当月」であるとする。そして、制御部102は、「当月」から設定される回収設定日が翌月末であることから、債権の回収予定日として「22/12/31」を算出する。一方で、制御部102は、売上番号「U005」~「U006」について、締日(22/11/30)を超えていることから、締日に対応する計上月が「次月」であるとする。そして、制御部102は、「次月」から設定される回収設定日が翌月末であることから、債権の回収予定日として「23/1/31」を算出する。
【0032】
そして、制御部102は、算出した回収予定日に基づいて
図4および
図6に示す回収予定データ106cを生成する。このとき、制御部102は、回収予定日に対応する計上月の帳端フラグを付している。具体的に、制御部102は、
図4および
図6の回収予定データ106cに示すように、売上番号「U001」~「U004」について、帳端フラグ「0」を付し、売上番号「U005」~「U006」について、帳端フラグ「1」を付している。
【0033】
次に、
図7から
図10を参照して、回収予定日を更新する処理について説明する。回収予定日の更新処理では、回収予定データ106cと、検収データ106dとが用いられる。以下で説明する回収予定日の更新処理は、例えば、2022年11月末に実行され、債権の請求を仮締する請求仮締処理において実行されている。
【0034】
取引先から検収データ106dを取得すると、請求仮締処理において、回収予定日を含む請求情報の修正作業が生じる場合がある。請求情報の修正は、重要度の高い業務であることから、習熟者が対応することになるものの、手作業による入力では作業効率が低いものとなる。このため、請求仮締処理における回収予定日の更新処理では、回収予定日を自動で算出するために、制御部102が下記する処理を実行している。
【0035】
ここで、請求仮締処理では、制御部102が
図7に示す請求仮締処理画面Mをモニタ114に表示させている。請求仮締処理画面Mは、請求仮締処理に必要な情報を入力する画面となっており、
図7では、仮締の請求対象となる注文番号を抽出する画面となっている。
図7に示す請求仮締処理画面Mには、作成区分、請求締年月日、締日、得意先の項目が含まれている。作成区分には、抽出した注文番号の債権の請求書を作成する「作成」と、抽出した注文番号を削除する「削除」とを選択するチェックボックスが表示されている。請求締年月日は、請求締日の日付である。締日および得意先は、
図2の取引先データ106aと同様である。
【0036】
制御部102は、請求仮締処理画面Mにおいて入力された抽出条件に基づいて、仮締の請求対象となる注文番号を、回収予定データ106cから抽出する。
【0037】
制御部102は、回収予定日の更新処理において、取引先から検収データ106dを取得しているか否かを判定する。制御部102は、検収データ106dを取得している場合、検収データ106dの取引先の計上日に対応する計上月から設定される回収設定日を、債権の回収予定日として算出する。具体的に、制御部102は、
図5に示す検収データ106dにおいて、注文番号「TOK001」の計上日が「22/11/25」であることから、回収予定日として、「22/12/31」を算出する。なお、注文番号「TOK002」、「TOK003」、「TOK005」についても同様に、回収予定日として、「22/12/31」が算出される。
【0038】
制御部102は、検収データ106dから算出される回収予定日と、回収予定データ106cの回収予定日とを突き合わせ、回収予定日が一致する場合、回収予定データ106cの回収予定日および帳端フラグを維持する。具体的に、
図8に示すように、制御部102は、検収データ106dの注文番号「TOK001」の回収予定日が「22/12/31」であり、回収予定データ106cの注文番号「TOK001」の回収予定日が「22/12/31」であり、一致することから、回収予定データ106cの回収予定日は、「22/12/31」を維持し、帳端フラグも「0」を維持する。なお、注文番号「TOK002」および
図9の注文番号「TOK003」についても同様である。
【0039】
そして、制御部102は、取得した検収データ106dに基づく請求仮締処理が実行されると、回収予定データ106cの請求番号の項目に番号が付される。
図8に示すように、請求番号は、得意先と対応付けられた番号となっており、例えば、「S001」が付される。なお、注文番号「TOK002」についても同様であり、
図9の注文番号「TOK003」についても「S002」が付される。
【0040】
一方で、制御部102は、検収データ106dから算出される回収予定日と、回収予定データ106cの回収予定日とを突き合わせ、回収予定日が異なる場合、回収予定データ106cの回収予定日を、検収データ106dから算出される回収予定日に更新すると共に、回収予定データ106cの帳端フラグを、更新後の回収予定日に対応する計上月の帳端フラグに更新している。具体的に、
図9に示すように、制御部102は、検収データ106dの注文番号「TOK005」の回収予定日が「22/12/31」であり、回収予定データ106cの注文番号「TOK005」の回収予定日が「23/1/31」であり、異なることから、回収予定データ106cの回収予定日を、「22/12/31」に更新し、帳端フラグも「0」に更新する。そして、制御部102は、注文番号「TOK005」において、請求番号「S002」を付す。
【0041】
ここで、制御部102は、検収データ106dを取得していない場合、請求仮締処理において仮締する計上月の次月以降の計上月から設定される回収設定日に、回収予定データ106cの回収予定日を更新すると共に、更新後の回収予定日に対応する計上月の帳端フラグに、回収予定データ106cの帳端フラグを更新している。具体的に、
図5および
図9に示すように、制御部102は、注文番号「TOK004」において、検収データ106dを取得していない。この場合、制御部102は、仮締する計上月(11月)の次月(12月)を計上月とし、計上月(12月)から設定される回収設定日(翌月末)を、回収予定日(23/1/31)として算出する。そして、制御部102は、算出した回収予定日(23/1/31)を、回収予定データ106cの回収予定日を、「23/1/31」に更新し、帳端フラグも「1」に更新する。なお、制御部102は、注文番号「TOK004」において検収データ106dを取得していないため、請求番号は未入力(空欄)のままとなる。
【0042】
なお、
図10に示す注文番号「TOK006」については、検収データ106dを取得しておらず、一方で、算出される回収予定日(23/1/31)と、回収予定データ106cの回収予定日(23/1/31)とが一致することから、回収予定データ106cの回収予定日は、「23/1/31」を維持し、帳端フラグも「1」を維持する。
【0043】
以上のように、本実施形態よれば、取引先の計上基準に基づく計上迄日数を用いて、回収予定日を自動で算出することができるため、債権回収の管理の精度を高めることができる。
【0044】
また、本実施形態よれば、算出した回収予定日を含む回収予定データを生成することで、データに基づく債権回収の管理を精度よく行うことができる。
【0045】
また、本実施形態よれば、検収データ106dに基づいて、回収予定データ106cの更新を自動で行うことができるため、修正作業の負荷を軽減することができ、作業効率を向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態よれば、検収データ106dが取得できない場合であっても、適正な回収予定日とすることができる。
【0047】
[3.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8および9に貢献することが可能となる。
【0048】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13および15に貢献することが可能となる。
【0049】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0050】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0051】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0052】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0053】
また、債権管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0054】
例えば、債権管理装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて債権管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0055】
また、このコンピュータプログラムは、債権管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0056】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0057】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0058】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0059】
また、債権管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、債権管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0060】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、商品を選ばず、卸売業・商社等を含めた幅広い産業において有用である。
【符号の説明】
【0062】
100 債権管理装置
102 制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 取引先データ
106b 計上データ
106c 回収予定データ
106d 検収データ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク